JP2003259811A - 分画大豆蛋白の製造法 - Google Patents
分画大豆蛋白の製造法Info
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Abstract
形成能が小さい大豆蛋白を得ることを目的とする。副次
的には大豆の11S塩基性サブユニットを殆ど含まない
大豆蛋白画分を得ること、しかも7S蛋白と11S蛋白
の分画工程を必要とすることなく、また油脂の使用も必
須とすることなく、得ることを目的とする。 【解決手段】11S酸性サブユニットと11S塩基性サ
ブユニットが解離した大豆蛋白溶液に、アルコールを加
えて大豆蛋白溶液のアルコール濃度を10〜60容量%
に調整し沈殿画分を分離して上澄画分を得ることを特徴
とする分画大豆蛋白の製造法であり、大豆蛋白溶液の1
1S塩基性サブユニットと11S酸性サブユニットを解
離させる態様としては還元処理または加熱処理をするこ
とができる。
Description
ニットを殆ど含まない大豆蛋白の製造法に関する。
SP(Acid SensitiveProtein)
などが含まれている。このうち、11S蛋白はさらに1
1S酸性サブユニットと11S塩基性サブユニットから
構成されており、両サブユニットを分画製造する方法は
以下のような方法が知られている。すなわち特開200
0−191694号公報「大豆の11Sグロブリンより
サブユニットを分画・調製する方法及びその製品」に
は、11Sグロブリンを、150℃(水蒸気圧のゲージ
圧で約4 kgf/cm2)以上の水蒸気と接触させて、
酸性サブユニット画分と塩基性サブユニット画分を分画
する方法が開示されている。また特開昭63−0367
48号公報「大豆グリシニンよりサブユニットを分離し
て調整する方法」には、大豆タンパク質の主要成分であ
るグリシニンを還元剤の存在下で加熱して酸性サブユニ
ット画分と塩基性サブユニット画分に分離して、各サブ
ユニットをモノマーとして得る大豆グリニシンより酸性
サブユニットと塩基性サブユニットを分離調製する方法
が開示されている。
蛋白を分離した後に、サブユニットを分画するものであ
り、11S蛋白を分離する過程を経ずに直接サブユニッ
トを得る方法には次のものがあるにすぎない。
「大豆11Sグロブリン塩基性サブユニットの分離方
法」には、大豆の分散液を加熱処理することにより、大
豆に含まれる蛋白質及び油脂を水相に溶出させ、溶出さ
せた油滴に蛋白質中の大豆11Sグロブリン塩基性サブ
ユニットを凝縮させた後、該塩基性サブユニットが凝縮
した油滴を水相から分離する大豆11Sグロブリン塩基
性サブユニットの分離方法が開示されている。特開平9
−025296号公報「大豆11Sグロブリン塩基性サ
ブユニットの分離方法」には、大豆の分散液に、油脂を
加えて乳化し、水相に分散させた油滴に、加熱処理によ
り大豆から溶出させた蛋白質中の11Sグロブリン塩基
性サブユニットを凝縮させた後、該塩基性サブユニット
が凝縮した油滴を水相から分離する、大豆11Sグロブ
リン塩基性サブユニットの分離方法が開示されている。
これらは、11S塩基性サブユニットの疎水性を利用し
たもので油脂成分の存在を必須とする方法である。
する熱凝固性があって種々の食品に利用されているが、
飲料など水溶液の状態を維持したい場合は、熱凝固性が
障害になる。
高く沈殿が生じ難く、加熱してもゲル形成能が小さい大
豆蛋白を目的として種々研究を行った。そういう中で、
塩基性サブユニットは疎水性アミノ酸が多いことに着目
しこれを選択的に除去することを着想し、かかる塩基性
サブユニットを殆ど含まない画分を得ることを目指し、
しかも7S蛋白と11S蛋白の分画工程を必要とするこ
となく、また油脂の使用も必須とすることなく、得るこ
とを目的とする。
解決するため鋭意研究を行う中で、7S蛋白なども共存
する系にあっても、11S蛋白は、酸性サブユニットと
塩基性サブユニットに解離でき、アルコール濃度を特定
範囲に調整することにより11S塩基性サブユニットを
選択的に殆ど沈殿除去できる知見を得て本発明を完成す
るに到った。
11S塩基性サブユニットが解離した大豆蛋白溶液に、
アルコールを加えて大豆蛋白溶液のアルコール濃度を1
0〜60容量%に調整し沈殿画分を分離して上澄画分を
得ることを特徴とする分画大豆蛋白の製造法であり、大
豆蛋白溶液の11S塩基性サブユニットと11S酸性サ
ブユニットを解離させる態様としては還元処理または加
熱処理をすることができる。
に説明する。この発明において、大豆蛋白溶液中、11
S酸性サブユニットと11S塩基性サブユニットに解離
させることは、分離した11S蛋白について両サブユニ
ットを解離する公知の技術に準じて実施できる。即ち、
大豆蛋白溶液は11S蛋白以外に7S蛋白など他の画分
を含んでいても、溶液を還元条件下で処理するか、また
は/及び加熱処理することにより両サブユニットに解離
させることができる。
1Sを豊富にした大豆はもちろん、11S蛋白以外に7
S蛋白などを含む最も普通の大豆を用いることができ
る。また、大豆蛋白溶液には、油脂が存在する必要がな
いので、丸大豆だけでなく脱脂した大豆を原料として、
水抽出して得た豆乳や、それを等電点沈殿させて分離し
中和して蛋白溶液としたものも利用できる。また市販の
分離大豆蛋白を水に溶解させて利用することもできる。
酸ナトリウム、アスコルビン酸、メルカプトエタノール
などの還元剤を大豆蛋白溶液に添加する方法や、電解還
元装置などを利用して電気的還元状態に処理する方法、
など公知の方法を利用することができる。
〜60分、間接加熱、直接蒸気吹き込み加熱など利用す
ることができるが、好ましくは120℃〜160℃で1
秒〜60秒の直接蒸気吹き込み加熱、最適には、135
℃〜155℃で1秒〜60秒の直接蒸気吹き込み加熱が
よい。
囲が望ましい。濃度が薄すぎると実用的でなく、また濃
度が高過ぎると7Sと11S塩基性サブユニットの重合
が生じやすいので目的とする分画の効率が低下する。
に遠心分離しただけでは、目的とする溶解性に優れた7
S蛋白、11S酸性サブユニット及びASPを主成分と
する蛋白の収率が小さくなり好ましくない。
ど含まない画分を収率よく得るために特定アルコール濃
度範囲に大豆蛋白溶液を調整することが重要である。ア
ルコールはメタノール、プロパノール等も使用できる
が、食品用としてはエタノールが好適である。
0容量%、好ましくは15%〜52%、より好ましくは
20%〜30%である。この範囲で11S塩基性サブユ
ニットを効率よく沈殿させて遠心分離などで除去するこ
とにより、11S塩基性サブユニットを殆ど含まない上
澄画分を得ることができる。大豆蛋白のアルコール濃度
が低いと11S塩基性サブユニットが沈殿しないので、
良好な上澄みを得がたい。また、大豆蛋白溶液のアルコ
ール濃度が高いと11S酸性サブユニット、7S蛋白、
ASPの沈殿量が増えてやはり好ましくない。アルコー
ル添加により沈殿した画分を分離除去する手段として
は、濾過、遠心分離などの固液分離手段を利用すること
ができる。
ト、7S蛋白及びASPを主成分として溶解 性に優
れ、加熱してもゲル形成性が極めて少ないものである。
従って、飲料などの利用に適していると言える。また、
溶液画分は、プロテアーゼの作用を受けやすく、沈殿を
生じないので、効率よく加水分解物を得ることができ
る。
するが、例示は当然単なる説明であって、発想思想の内
包・外延とは直接関係の無いものである。
「フジプロ−R」。以下「SPI」という)の水溶液
(固形分濃度5%)に0.12%(対SPI重量)の亜
硫酸ナトリウムを添加し140℃で蒸気吹き込みによる
直接加熱を10秒間行った溶液を、撹拌しながらエタノ
ールを加えて全体を20%エタノール溶液とした。その
後、不溶解物を遠心分離(5000rpm、20分)に
て沈降させて上澄みと沈殿物に分画した。上澄み画分の
固形分収率は26.9%、沈殿物画分の収率は73.1
%であった。上澄液はエバポレーターでアルコールを除
去した後凍結乾燥した。以下この標品を「B(―)SP
I」という。沈殿物は水に分散させた後凍結乾燥した。
ら、その上澄み画分には11S塩基性サブユニット(以
下11S・BSと呼ぶ)が殆ど欠損しているのが明らか
になった。この画分は水への溶解性が良く、また10%
濃度でもゲル化しないので水溶性蛋白飲料に適してい
た。
を中和した分離大豆蛋白質溶液を固形分濃度5%に調整
した。この水溶液に撹拌しながらエタノールを加えて全
体を20%エタノール溶液とした後、遠心分離(500
0rpm、20分)にて上澄みと沈殿物に分画した。上
澄みと沈殿物画分の固形分収率はそれぞれ86.2%と
13.8%であった。11S・BSは両画分に存在して
いた(図2の‘及び’並びに‘および’)。ま
た解離していない高分子のものが沈殿画分に観察され
た。
を中和した分離大豆蛋白質溶液を固形分濃度5%に調整
した。この水溶液を140℃で10秒間蒸気加熱した
後、撹拌しながらエタノールを加えて全体を20%エタ
ノール溶液とした。遠心分離(5000rpm、20
分)にて分画した上澄みと沈殿物両画分の固形分収率は
それぞれ93.7%と6.3%であった。11S・BS
は20%沈殿画分に回収された(図2の‘及び’)
が、上澄液にも一部観察された(図2の‘及び
’)。
る感受性は還元されたもの(実施例1のB(―)SP
I)と、されていないもの(比較例1)との中間であっ
た。また本例の両画分では、比較例1の沈殿画分に比べ
高分子のものは少なかった。実施例3 B(−)S
PIと分離大豆蛋白(SPI)との溶解性の比較方法B
(−)SPI及びSPIを5%、10%、15%になる
様に脱イオン水に溶解さ せた。充分に攪拌後、遠心分
離行い上澄み液を取った。その溶液を各各450倍に水
で希釈し、OD280nmで蛋白濃度を測定した。
トを除くことにより大豆蛋白の水に対する溶解性が非常
に上がることが判った。
ゼに対する消化性の比較を行うために両者の5%溶液を
作成した。それにプロチンをpH7.0、37℃5時間
反応させた。反応後遠心分離を行い上澄液中の蛋白量、
沈殿量を測定した。
ない大豆蛋白はプロテアーゼの作用を受けやすく、沈殿
を生じないことが明らかになった。即ち水溶性の高いペ
プチドが出来ていることを示している。
成能 大豆蛋白(B(−)SPI)のゲル形成能を調べるため
に10%溶液を作り80℃20分間加熱したがゲルを形
成せず、濁りも生じなかった。即ちこのことは飲料用等
に利用する際に有効である。
のアミノ酸分析結果B(−)SPIと分離大豆蛋白(S
PI)のアミノ酸組成 ─────────────────────────────── アミノ酸 SPI(mol%) B(−)SPI(mol%) ─────────────────────────────── アルギニン 7.67 7.83 リジン 6.13 6.86 ヒスチジン 3.87 2.97 フェニルアラニン 4.90 5.12 チロシン 4.00 2.86 ロイシン 7.44 6.12 イソロイシン 2.96 3.77 バリン 3.11 3,51 アラニン 4.50 3.27 グリシン 4.42 4.15 メチオニン 1.79 1.62 システイン 1.42 1.79 グルタミン酸 20.03 23.43 アスパラギン酸 12.20 12.16 セリン 5.90 5.17 スレオニン 3.74 5.90 プロリン 5.70 5.90 ───────────────────────────────
の減少は見られるがイソロイシン、バリン、グルタミン
酸の増加が見られる。しかし全体としてのアミノ酸バラ
ンスは取れている。
なるゲル形成能の極めて少ない、水溶解性に優れた大豆
蛋白を得ることが出来る。
沈殿の上澄み画分と沈殿画分の電気泳動結果を示す図面
代用写真である。
分と沈殿画分の電気泳動結果を示す図面代用写真であ
る。
Claims (2)
- 【請求項1】11S酸性サブユニットと11S塩基性サ
ブユニットが解離した大豆蛋白溶液に、アルコールを加
えて大豆蛋白溶液のアルコール濃度を10〜60容量%
に調整し沈殿画分を分離して上澄画分を得ることを特徴
とする分画大豆蛋白の製造法。 - 【請求項2】大豆蛋白溶液の11S塩基性サブユニット
と11S酸性サブユニットを解離させる態様が還元処理
または加熱処理をする請求項1の製造法。
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---|---|---|---|
JP2002061233A JP3649199B2 (ja) | 2002-03-06 | 2002-03-06 | 分画大豆蛋白の製造法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007116961A (ja) * | 2005-10-27 | 2007-05-17 | Fuji Oil Co Ltd | ゲルの製造法及びこれを利用した食品 |
CN108949878A (zh) * | 2018-07-19 | 2018-12-07 | 山东瑞芝生物科技有限公司 | 复合酶法水解大豆蛋白质制备大豆肽的清洁生产方法 |
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- 2002-03-06 JP JP2002061233A patent/JP3649199B2/ja not_active Expired - Fee Related
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