JP2003259810A - 分画大豆蛋白の製造方法 - Google Patents

分画大豆蛋白の製造方法

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JP2003259810A
JP2003259810A JP2002061087A JP2002061087A JP2003259810A JP 2003259810 A JP2003259810 A JP 2003259810A JP 2002061087 A JP2002061087 A JP 2002061087A JP 2002061087 A JP2002061087 A JP 2002061087A JP 2003259810 A JP2003259810 A JP 2003259810A
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protein
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soybean protein
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JP2002061087A
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Nobuo Sagi
信雄 鷺
Tadahisa Shimoda
忠久 下田
Shinpei Morita
紳平 森田
Toshio Kiriyama
俊夫 桐山
Akira Takakura
晃 高蔵
Kiyozou Asada
起代蔵 浅田
Ikunoshin Kato
郁之進 加藤
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Society for Techno Innovation of Agriculture Forestry and Fisheries
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Society for Techno Innovation of Agriculture Forestry and Fisheries
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 11S塩基性サブユニットを高純度に含むこ
とのできる分画大豆蛋白の製造方法を提供する。 【解決手段】 11S酸性サブユニットと11S塩基性
サブユニットが解離した大豆蛋白溶液を酵素分解(15
%トリクロル酢酸溶液可溶性蛋白の割合が15〜35
%)し、固液分離して沈殿画分を分取する。該酵素分解
は、固定化プロテアーゼを使用し、70℃〜100℃で
行うのがよく、固液分離は酵素分解された溶液にアルコ
ールを添加して該アルコール濃度を15〜52容量%に
調整して行うのがよい。また、上記サブユニットが解離
した状態は溶液を還元状態で処理するかまたは/及び加
熱処理することにより行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は11S塩基性サブユ
ニットを高純度に含むことのできる分画大豆蛋白の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大豆蛋白には7S蛋白、11S蛋白、A
SP(Acid SensitiveProtein)
などが含まれている。このうち、11S蛋白はさらに1
1S酸性サブユニットと11S塩基性サブユニットから
構成されており、両サブユニットを分画製造する方法は
以下のような方法が知られている。すなわち特開200
0−191694号公報「大豆の11Sグロブリンより
サブユニットを分画・調製する方法及びその製品」に
は、11Sグロブリンを、150℃(水蒸気圧のゲージ
圧で約4kgf/cm2)以上の水蒸気と接触させて、酸
性サブユニット画分と塩基性サブユニット画分を分画す
る方法が開示されている。また特開昭63−03674
8号公報「大豆グリシニンよりサブユニットを分離して
調整する方法」には、大豆タンパク質の主要成分である
グリシニンを還元剤の存在下で加熱して酸性サブユニッ
ト画分と塩基性サブユニット画分に分離して、各サブユ
ニットをモノマーとして得る大豆グリニシンより酸性サ
ブユニットと塩基性サブユニットを分離調製する方法が
開示されている。
【0003】これらはいずれも一旦大豆蛋白から11S
蛋白を分離した後に、サブユニットを分画するものであ
り、11S蛋白を分離する過程を経ずに直接サブユニッ
トを得る方法には次のものがあるにすぎない。すなわち
特開平9−023821号公報「大豆11Sグロブリン
塩基性サブユニットの分離方法」には、大豆の分散液を
加熱処理することにより、大豆に含まれる蛋白質及び油
脂を水相に溶出させ、溶出させた油滴に蛋白質中の大豆
11Sグロブリン塩基性サブユニットを凝縮させた後、
該塩基性サブユニットが凝縮した油滴を水相から分離す
る大豆11Sグロブリン塩基性サブユニットの分離方法
が開示されている。特開平9−025296号公報「大
豆11Sグロブリン塩基性サブユニットの分離方法」に
は、大豆の分散液に、油脂を加えて乳化し、水相に分散
させた油滴に、加熱処理により大豆から溶出させた蛋白
質中の11Sグロブリン塩基性サブユニットを凝縮させ
た後、該塩基性サブユニットが凝縮した油滴を水相から
分離する、大豆11Sグロブリン塩基性サブユニットの
分離方法が開示されている。これらは、11S塩基性サ
ブユニットの疎水性を利用したもので油脂成分の存在を
必須とする方法である。
【0004】他方、大豆たん白の酵素分解について古く
から多くの研究が行われて来た。このうち、釘宮らはβ
コングリシニンのみや、グリシニンのみを選択的に酵素
分解する方法を提案した(特開平9−313110号公
報、同313111号公報)が、サブユニットのレベル
の分画蛋白を得ることまでは教えない。また一般には低
分子ペプチドはアルコールで沈殿しにくいためか、蛋白
を酵素分解後エタノール分画することも寡聞にして行わ
れていないと思われる。また、蛋白に固定化酵素を作用
させる実用的適用は、一般に油脂の分野に比べて遅れて
おり、固定化プロテアーゼの新たな用途の開発が探求さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、11S蛋
白の塩基性サブユニットには必須アミノ酸や分枝アミノ
酸が多く含まれ栄養的価値が高く血中コレステロール低
下作用などの生理活性が期待できることに着目し、かか
る塩基性サブユニットを、7S蛋白と11S蛋白の分画
工程を必要とすることなく、また油脂の使用も必須とす
ることなく、分取することを目的とする。副次的には、
固定化プロテアーゼの分野に新たな用途を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記目的を
解決するため鋭意研究を行う中で、7S蛋白なども共存
する系にあっても、11S蛋白は、極性アミノ酸が多く
水に溶け易い酸性サブユニットと、疎水性アミノ酸が多
く水に溶けにくい塩基性サブユニットとに解離する状態
にできること、解離した塩基性サブユニットは酸性サブ
ユニットに比べて酵素による分解を受けにくく、酵素分
解を軽度にとどめれば、固液分離を容易に行うことがで
き、塩基性サブユニットの純度に優れた画分を沈殿画分
として得られることの知見を得て、本発明に到達した。
【0007】又、酵素分解を軽度にとどめるには、固定
化プロテアーゼを有利に用いることができ、特に耐熱性
の強い酵素を高温で作用させる有用性が発揮できること
を見出した。即ちこの発明は、11S酸性サブユニット
と11S塩基性サブユニットが解離した大豆蛋白溶液を
酵素分解(15%トリクロル酢酸溶液可溶性蛋白の割合
が15〜35%)し、固液分離して沈殿画分を分取する
ことを特徴とする分画大豆蛋白の製造方法であり、酵素
分解に固定化プロテアーゼを使用する態様、酵素分解が
70℃〜100℃で行われる態様、及び、固液分離が、
酵素分解された溶液にアルコールを添加して該アルコー
ル濃度を15〜52容量%に調整して行われる態様が好
ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を詳細
に説明する。この発明において、大豆蛋白溶液中11S
酸性サブユニットと11S塩基性サブユニットに解離さ
せることは、分離した11S蛋白について両サブユニッ
トを解離する公知の技術に準じて実施できる。即ち、大
豆蛋白溶液は11S蛋白以外に7S蛋白など他の画分を
含んでいても、溶液を還元条件下で処理するか、または
/及び加熱処理することにより両サブユニットに解離さ
せることができる。従い原料大豆は、育種や遺伝子操作
等で11Sを豊富にした大豆はもちろん、11S蛋白以
外に7S蛋白などを含む最も普通の大豆を用いることが
できる。また、大豆蛋白溶液には、油脂が存在する必要
がないので、丸大豆だけでなく脱脂した大豆を原料とし
て、水抽出して得た豆乳や、それを等電点沈殿させて分
離し中和して蛋白溶液としたものも利用できる。また市
販の分離大豆蛋白を水に溶解させて利用することもでき
る。
【0009】還元条件下で処理する態様としては、亜硫
酸ナトリウム、アスコルビン酸、メルカプトエタノール
などの還元剤を大豆蛋白溶液に添加する方法や、電解還
元装置などを利用して電気的還元状態に処理する方法、
など公知の方法を利用することができる。加熱処理は、
通常70℃〜210℃で1秒〜60分、間接加熱、直接
蒸気吹き込み加熱など利用することができるが、好まし
くは120℃〜160℃で1秒〜60秒の直接蒸気吹き
込み加熱、最適には、135℃〜155℃で1秒〜60
秒の直接蒸気吹き込み加熱がよい。本発明の酵素分解に
用いる大豆蛋白溶液のたん白濃度は3−10%の範囲が
望ましい。濃度が薄すぎると実用的でないばかりか塩基
性サブユニットが酵素により分解されやすくなって好ま
しくない。また濃度が高過ぎると重合が生じやすいのか
固液分離の際に他の未分解ペプチドの沈殿量も増し、1
1S塩基性サブユニットを高純度で得がたくなる。
【0010】酵素分解は、過度に行わないことが重要で
あり、分解が進みすぎると11S塩基性サブユニットの
画分の分解も進んで、このサブユニットを含む画分を効
率よく得ることが困難になる。具体的酵素分解の程度は
15%トリクロル酢酸(TCA)溶液に可溶性の蛋白の
割合が15〜35%、好ましくは15〜30%にとどめ
るのがよい。本発明に用いる酵素は、動物、植物、微生
物由来などの起源は問わず、また、酸性プロテアーゼ、
アルカリ性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、これらの
1種又は2種以上のくみ合わせも可能である。酵素はま
たエキソプロテアーゼよりはエンドプロテアーゼが分画
性能上より適当であるが、エキソプロテアーゼが混在し
た粗酵素や酵素でも使用できる。酵素反応は、溶液を加
熱して酵素を失活させるかまたは固定化酵素と分離する
ことにより停止するが、反応の制御は、固定化プロテア
ーゼを用いると比較的容易に行うことができる。特に、
固定化耐熱性プロテアーゼを用い70℃〜100℃で酵
素反応を行なう態様が本発明に好適である。
【0011】この理由の一つは、ペプチドやアミノ酸を
製造する多くのプロテアーゼの用法では、フリーの(固
定化していない)酵素が基質の重量に対して1%〜5%
添加されるのが一般的である。しかし、そのような酵素
使用量では本発明に対しては酵素反応を非常に短時間に
する必要が有り制御が困難である。むしろ固定化酵素な
ら基質に対して0.01%といった低い濃度にする事が
出来、あまり分解を受けない状態で11S塩基性サブユ
ニットを収量良く得る事が出来ることによる。そして一
般にプロテアーゼの活性は、フリーの状態に比べて固定
化すると活性が多少低下するので、上記のように過度に
ならないように酵素分解するにはむしろ適しており、酵
素反応の程度を制御しやすい利点がある。すなわち使用
する酵素量を非常に少なくし大豆たん白の分解し易い部
分のみを消化し、分解を受け難い11Sの塩基性サブユ
ニットを得ることができる。
【0012】そして、固定化酵素による分解の場合に
は、菌による腐敗を防ぐため高温で作用させるのがよ
い。高温の使用に適した耐熱性のエンドプロテアーゼと
しては「Pfu Protease S」(宝酒造株式
会社)が例示される。この耐熱性プロテアーゼはBac
illus 属細菌にPyrococcus furi
osusのプロテアーゼ遺伝子を導入し生産された酵素
であり、至適pHが6〜8である。固定化の手段は公知
の方法を用いることが出来るが、繰り返し使用するには
化学的結合が好ましい。何故なら、大豆蛋白を酵素分解
して沈殿画分を固定化酵素と分離しなければならないか
らである。
【0013】また固定化酵素の担体は公知のものを使用
でき、粒子状、膜状、中空糸状等適切な形状のものを選
択すればよい。担体は例えば「TOYONITE 20
0−A」が例示される。該「トヨナイト(Toyoni
te)」は、カオリン鉱物を塩酸酸性のもとで水熱処理
した後、それを造粒、焼成して得られる酵素固定化用多
孔質セラミックス系担体であり、番手「200−A」は
粒子の表面をアミノ基で修飾したものである。固定化酵
素を使用する場合は、目的の11S塩基性サブユニット
が沈殿するため、固定化酵素を用いて連続酵素分解が進
むにつれて沈殿が増加するので、溶出する7S画分と1
1S酸性画分から固定化酵素と沈殿画分を分離し、要す
れば更に篩別などして11S塩基性サブユニット画分を
採取する。かかる操作を繰り返す所謂バッチ式の連続作
業が出来る。
【0014】また酵素が耐熱性であると、固定化されて
いないと大豆蛋白溶液に混在した酵素を失活させること
が困難である。換言すれば、固定化されていることによ
り、耐熱性酵素を分解された大豆蛋白から酵素の混在な
しに容易に分離することが可能である。又、固定化酵素
を用いて連続的にカラムなどで処理する場合に、反応時
間を指標として酵素と分解された大豆蛋白溶液を分離で
きるので分解の程度の制御が容易である。酵素分解する
溶液のpHは用いる酵素の作用範囲内で実施するが、中
和による塩の生成などを考慮すると中性範囲での実施が
好ましい。大豆蛋白溶液の酵素処理ののち、酵素を失活
させるかまたは酵素を除いた後に、沈殿画分と上澄を固
液分離し、11S塩基性サブユニットに富む沈殿画分を
分取する。
【0015】ただしこの沈殿画分が蛋白中11S塩基性
サブユニットを50%以上、好ましくは70%以上含む
ためには、用いる大豆蛋白溶液が予め11S蛋白のみを
単離したものであれば、単なる遠心分離の分離手段でよ
いが、大豆蛋白溶液が11S蛋白の他の7S蛋白などを
含む場合の固液分離は、極性有機溶媒を加えて分画する
ことが好ましい。それら有機溶媒はメタノール、プロパ
ノール、アセトン等も使用できるが、食品用としてはエ
タノールが好適である。アルコールの濃度は、大豆蛋白
溶液のアルコール濃度が15〜52%、好ましくは15
〜50%にすることが適当であり(単位は容量%)、こ
の場合、アルコール濃度が低いと11S塩基性サブユニ
ットだけを分離することが困難となり、アルコール濃度
が高いと11S塩基性サブユニット以外の大豆蛋白(7
S蛋白、酸性沈殿蛋白)も沈殿してしまいやはり11S
塩基性サブユニットを分離することが困難になる。
【0016】好適に分画された上澄画分は、7S蛋白と
酵素消化されたあるいは部分消化された大豆たん白が主
成分であり、該画分も食用に供することができる。分離
手段は上記遠心分離以外に濾過、膜分離など公知の手段
を用いてもよい。この沈殿画分は電気泳動だけでみて一
般に高い純度であることがわかる。上記11S塩基性サ
ブユニットの50%や70%という純度はN末端アミノ
酸分析の価から求めることができる。分子量は電気泳動
やTNBS法による平均分子量で求めることができ、通
常の大豆に含まれる既知の5種類の塩基性サブユニット
のアミノ酸配列より得られる理論的分子量、B2(2
0,464)、B1a(20,306)、B1b(2
0,594)、B4(19,032)、B3(20,6
08)と対比して純度を検定できる。
【0017】本発明により得られる沈殿画分は、疎水性
アミノ酸が分離大豆蛋白の31%に比べて有意に増加
し、ロイシン、イソロイシン、ヴァリンなど分岐鎖アミ
ノ酸の量も増加したものである。以上のようにして得ら
れた沈殿画分は必要に応じて乾燥し、粉末状の11S塩
基性サブユニットとすることができる。乾燥方法は、公
知の手段を利用することが出来るが、例えば、アルコー
ル沈殿画分のアルコールを蒸散させて得るか、蛋白濃度
を5〜15%に調製して噴霧乾燥などすることができる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明の実施態様を説明
するが、例示は当然単なる説明であって、発想思想の内
包・外延とは直接関係の無いものである。 実施例1 市販の分離大豆(フジプロテインテクノロジー社販売の
「フジプロ−R」。以下「SPI」という)の水溶液
(固形分濃度5%)に0.12%(対SPI重量)の亜
硫酸ナトリウムを添加し140℃で蒸気吹き込みによる
直接加熱を10秒間行った溶液300重量部を、前記固
定化「Pfu Protease S」22.8重量部
(SPI100g当たりフリー酵素として950ユニッ
ト量)を用いて、回転ドラム型リアクター内で接触させ
pHはアルカリを加えて6.9に維持し、70℃の条件
で3hr反応を行った。反応後の蛋白質の15%TCA
溶液に対する溶解率は24%であった。この反応溶液に
攪拌しながらエタノールを加えて全体のエタノール濃度
を20%に調整し、5,000rpm、20分遠心分離
によって上清画分及び沈澱画分に分け、沈澱画分は20
%エタノールに分散させ再度遠心分離によって、上清画
分と沈殿画分(「20%ppt」。固形物としての収率
は5.3%)に分離した。
【0019】上記2つの上清区分は、合わせてから更に
エタノールを加えて全体のエタノール濃度を50%に調
整の後、5,000rpm、20分遠心分離によって上
清及び沈澱物に分け、沈澱物を50%エタノールに分散
させ再度遠心分離した(この沈澱画分を「50%pp
t」という。固形物としての収率は5.2%)。なお、
固定化「Pfu Protease S」の製造は次の
方法によった。即ち、粒径2mmのTOYONITE2
00−A(東洋電化工業(株)製)800gに2.5%
(v/v)濃度のグルタルアルデヒド2,000mlを
加え、室温で1時間反応後、蒸留水で洗浄した。Pfu
Protease S溶液(宝酒造(株)製)(52
6mg)44mlと0.1Mリン酸緩衝液(pH7.
5)756mlを担体に加え、室温で1時間振とうし
た。更に25%(v/v)濃度のグルタルアルデヒド1
6mlを加え、室温で1時間振とうした後、上清を除い
た。担体に0.9%(v/v)濃度のグルタルアルデヒ
ドを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.5)1,20
0mlを加え、室温で30分間振とうした。次いで0.
5M NaClで洗浄した後、0.1Mトリス−塩酸緩
衝液(pH8.0)を加え、室温で1時間反応ささせ
た。0.25%(w/v)のホウ素化水素ナトリウム溶
液800mlを加え、室温で5分反応させた。担体を
0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄し固定化P
fu Protease Sを得た。
【0020】実施例1で得られた沈殿の分析結果:上記
20%pptについて、N末端よりアミノ酸配列をアミ
ノ酸シークエンサーにかけて調べた結果、1段目Gl
y、2段目Ile,Val、3段目Glu,Asp、4
段目Glu、5段目Asn,Thrと決定された。これ
は11S塩基性サブユニットのB2,B1a,B1bが
Gly−Ile−Asp−Glu−Thr,及びB4と
B3がGly−Val−Glu−Glu−Asn−と完
全に一致した。また1段目のGlyの回収量は297ピ
コモルで使用した量の78%であった。そのアミノ酸配
列を検討すると既知のBSの一次構造と20段目まで一
致した。
【0021】上記2つの沈殿画分(20%pptと50
%ppt)を、SDS電気泳動により分析した結果、い
ずれも未分解の11S塩基性サブユニット成分(以下
「BS」という)を主とする画分であり(図1)、20
%pptも50%pptも分子量20,000であるこ
とを示した。またゲル濾過HPLCによる分析でもほぼ
純粋なBSであることが示された。20%pptの平均
分子量をTNBS(トリニトロベンゼンスルフォン酸)
試薬との反応による分析方法で調べた結果、2.03x
104であり、cDNAの配列より得られる各11S塩
基性サブユニットB2:20,464、B1a:20,
306、B1b:20,594、B4:19,032、
B3:20,608に良く一致した。以上の結果より2
0%エタノール沈殿画分は11S塩基性サブユニットが
酵素消化を受けずに得られたと判断した。なお表2に示
した様に、沈殿画分は疎水性アミノ酸が約40%とSP
Iの31%に比べて有意に増加しており、ロイシン、イ
ソロイシン、ヴァリンなど分岐鎖アミノ酸の量増加、グ
ルタミン酸の減少が観察された。
【0022】 表2 11S塩基性サブユニットのアミノ酸組成 単位:重量% ─────────────────────────────────── アミノ酸 20%エタノール沈殿画分 SPI ─────────────────────────────────── Asx 11.59(12.71) 12.20(11.88) Thr 4.98( 3.85) 3.74( 3.60) Ser 5.82( 6.28) 5.90( 5.13) Glx 13.40(14.16) 20.03(20.20) Gly 4.60( 3.55) 4.42( 4.08) Ala 5.62( 5.06) 4.50( 4.04) Cys 1.12( 1.02) 1.42( 1.41) Val 5.65( 7.94) 3.31( 4.83) Met 1.81( 1.19) 1.79( 1.24) Ile 4.84( 4.98) 2.96( 4.66) Leu 10.08( 9.77) 7.44( 7.79) Tyr 4.05( 4.90) 4.00( 3.79) Phe 5.02( 5.90) 4.90( 5.68) Lys 5.75( 3.98) 6.13( 6.08) His 3.22( 2.06) 3.87( 2.71) Arg 7.08( 7.98) 7.68( 7.69) Pro 5.37( 4.67) 5.70( 5.18) ─────────────────────────────────── カッコ内は理論量%であり、サブユニットB2:20,
464、B1a:20,306、B1b:20,59
4、B4:19,032、B3:20,608が等量存
在するものとして重量%で計算した。
【0023】比較例1〜3 実施例1と同条件で分離大豆たんぱく質(SPI)溶液
の前処理(亜硫酸ナトリウムの添加と加熱)及び酵素分
解を行ない、20%エタノール濃度で実施するかわり
に、エタノール濃度55%、60%または65%のエタ
ノール濃度にて実施し、再度同濃度のアルコールで洗浄
することにより、沈殿画分を得た。それぞれ比較例1〜
3とする。遠心分離後のそれぞれの沈殿収率は50.6
%、56.3%および70.7%であり、いずれもSD
S電気泳動による分析で11S・BS以外にも多くのサ
ブユニットが含まれていて、11S・BSとしての純度
はかなり低いものであった。
【0024】実施例2 分離大豆たんぱく質(SPI)溶液(固形分濃度5%)
を140℃で10分間蒸気加熱した後、「プロチンA1
0LF」(大和化成製)を0.5%添加して50℃にて
20分間酵素分解した。比較として酵素を4%添加して
50℃にて5hr酵素分解した。この間にpHは7.0
から6.3に変化した。反応後の溶液を95℃、10分
加熱し酵素を失活させた。反応の途中サンプルをHPL
C及びSDS電気泳動により分析したところ本例の沈殿
画分は実施例1の沈殿画分に比べて多少不純物が多いも
のの、BSに富むものであった。比較は反応初期(5分
後)から11S・BSの消失が認められた。
【0025】
【発明の効果】本発明により、11S塩基性サブユニッ
トを主成分とするポリペプチドが得られたものである。
耐熱性エンドプロテアーゼを利用して高温で酵素分解で
きるので、連続カラム処理が無菌的に可能になった。本
発明は、7S蛋白と11S蛋白の分画工程を必要とする
ことなく、また油脂の使用も必須とすることなく、大豆
蛋白溶液から11S蛋白の塩基性サブユニットに富んだ
分画蛋白を得ることができた。この分画蛋白は必須アミ
ノ酸や分枝アミノ酸が多く含まれ栄養的価値が高く血中
コレステロール低下作用などの生理活性が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】は実施例1で用いたSPI,20%エタノール
沈殿時及び50%エタノール沈殿時に分取した沈殿画分
の蛋白の電気泳動図である。
【図2】は比較例1〜3で分取した沈殿画分の蛋白の電
気泳動図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桐山 俊夫 茨城県守谷市松前台4丁目2−3 守谷ハ イツ202号 (72)発明者 高蔵 晃 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 浅田 起代蔵 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 加藤 郁之進 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 4B018 MD20 ME04 MF01 MF12 4B064 AG01 CA21 CA32 CB06 CC06 DA10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 11S酸性サブユニットと11S塩基性
    サブユニットが解離した大豆蛋白溶液を酵素分解(15
    %トリクロル酢酸溶液可溶性蛋白の割合が15〜35
    %)し、固液分離して沈殿画分を分取することを特徴と
    する分画大豆蛋白の製造方法。
  2. 【請求項2】 酵素分解に固定化プロテアーゼが使用さ
    れる請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 酵素分解が70℃〜100℃で行われる
    請求項1または2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 固液分離が、酵素分解された溶液にアル
    コールを添加して溶液のアルコール濃度を15〜52容
    量%に調整して行われる請求項1記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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