JP2003257360A - 電子衝撃型イオン源 - Google Patents

電子衝撃型イオン源

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JP2003257360A
JP2003257360A JP2002050995A JP2002050995A JP2003257360A JP 2003257360 A JP2003257360 A JP 2003257360A JP 2002050995 A JP2002050995 A JP 2002050995A JP 2002050995 A JP2002050995 A JP 2002050995A JP 2003257360 A JP2003257360 A JP 2003257360A
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electron
ionization chamber
ion source
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Mitsuyasu Iwanaga
岩永光恭
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Abstract

(57)【要約】 【課題】イオン光学系の光源となるEIイオン源を、よ
り点光源の理想に近づける。 【解決手段】試料分子をイオン化させるイオン化室と、
該イオン化室内に試料分子を供給する供給口を持つ試料
分子供給手段と、該イオン化室内に電子ビームを供給す
る電子ビーム供給手段と、該電子ビームを収束させる電
子ビーム収束手段とを備え、該電子ビーム収束手段は、
前記電子ビームを前記試料分子供給手段の供給口近傍に
収束させ、供給された試料分子が前記イオン化室内に拡
散する前に、収束した電子ビームを試料分子に衝突させ
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、質量分析装置(M
S)のイオン源として用いられる電子衝撃型(EI)イ
オン源に関する。
【0002】
【従来の技術】図1は、従来のMSに用いられているE
Iイオン源の構造を示したものである。この系では、装
置全体をターボ・モレキュラー・ポンプ(TMP)で1
−5〜10−6torr程度に排気することによっ
て、装置内が真空に保たれている。
【0003】図中、1はイオン化室である。このイオン
化室1の上壁の外側と下壁の外側とに対向して設けられ
たフィラメント2と電子トラップ3の間には、フィラメ
ント2よりも電子トラップ3の方が電位が高くなるよう
に、所定の電位差が与えられており、更に、フィラメン
ト2の外側に設けられた電子リペラー4には、負の電圧
が印加されている。また、イオン化室1の上壁の中央付
近には、電子ビームをイオン化室1の内部に導入するた
めに開口1a、また、イオン化室1の下壁の中央付近に
は、イオン化室1の内部を通過した電子ビームをイオン
化室1の外部に取り出すための開口1bが設けられてい
るので、フィラメント2から飛び出した熱電子は、電場
勾配のため、電子リペラー4によってイオン化室1方向
に向かって押し出され、電子ビームとなって、開口1
a、イオン化室1、開口1bを経由して、電子トラップ
3に向けて引き寄せられる。
【0004】このとき、イオン化室1内の空間に、例え
ば、ガス・クロマトグラフ装置(GC)などから試料ガ
スが導入されると、イオン化室1の内部に試料分子が拡
散して、イオン化室1の内部の真空度が10−2〜10
−3torr程度に低下する。それと同時に、拡散した
試料分子が熱電子と衝突してイオン化され、生成したイ
オンは、イオンリペラー5によって引き出し電極6に向
かって押し出された後、イオン化室1の右壁中央付近に
設けられた開口1cを通って、イオンビームとして、イ
オン化室1の外部に取り出され、更に、引き出し電極6
によって加速された後、図示しない質量分析部に導入さ
れる。
【0005】EIイオン源の上下の隔壁上には、フィラ
メント2から飛び出した熱電子を電子ビーム7として束
ねるための磁場を形成する永久磁石8および9が設けら
れていて、該電子ビーム7と衝突した試料分子は、所定
の確率でイオン化された後、イオンビーム10となっ
て、電子ビーム7と直交する方向に引き出される。
【0006】尚、図中、電子ビーム7とイオンビーム1
0の軌跡は、説明のために、コンピュータ・シミュレー
ションで得たものを、EIイオン源の構造図に適宜重ね
書きしたものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のEI
イオン源において、フィラメント2の加熱で生成した熱
電子は、磁石8および9で作られる磁場により、「磁気
的収束」として知られる作用で束ねられ、電子ビーム7
となって、電子トラップ3に移動する。このときの電子
ビーム7の輪郭を見ると、ビーム径が太く、しかも、そ
の太さは、フィラメント2からの距離で異なっている。
電子およびイオンが形成する空間電荷や、イオンリペラ
ー5および引き出し電極6が作る電界を考慮しても、電
子ビーム7の輪郭は、大勢として、このような状況にあ
る。
【0008】一方、イオン化室1に入ってくる試料ガス
は、図示しない試料ガス導入管の開口端を出た後、イオ
ン化室1の内部に一様に分布・充満し、電子ビーム7と
の衝突によりイオン化される。生成したイオンは、引き
出し電極6に印加される電位によって形成され、かつ、
開口1cからイオン化室1に入り込む電界によって、イ
オンビーム10として、イオン化室1の外部に引き出さ
れる。
【0009】このように、イオン化は、電子の通過する
電子ビーム7の軌道上で起きるため、電子ビーム7の軌
道が広く広がり、しかも、試料ガスがその軌道上に広く
分布しているような場合、イオンの生成源、すなわち、
イオンビームの光源としての形状は、電子ビーム7の軌
道に沿って太く長いものとなる。また、電子ビーム7の
太さ(輪郭の径)は、場所によって異なり、当然、電子
密度も異なるため、イオン化の確率も、電子ビーム7の
場所によって異なることとなる。
【0010】その結果、イオン生成の場所は、不均質で
太く長い形になってしまい、イオン光学系の観点からす
れば、点状の明るい光源が理想的な姿であるから、現実
の光源の姿は、理想からは遠いものとなる。
【0011】このような条件下で取り出されたイオンが
形成するイオンビーム10は、初期条件の各要素がそれ
ぞれ幅広いものとなるため、イオンビームの均質性を要
求する利用条件下では、後段に置くイオン光学系のビー
ム規制スリット等でイオンビームの一部を除外すること
になる。これは、取り出されたイオンの一部が有効に利
用できないことを意味する。
【0012】このことを、MSを例に取って考えると、
高い分解能を必要とする条件下においては、イオンビー
ムの均質性を劣化させるイオン、すなわち、角度やエネ
ルギーの違い過ぎるイオンをスリット等で排除すること
により、結果的に、MSの検出感度を悪化させているこ
とになる。つまり、イオン化室1の中で起こっているこ
のようなイオン化の状況は、MSの高感度化、高分解能
化を目指そうとする際には、大きな問題があると言え
る。
【0013】本発明の目的は、上述した点に鑑み、イオ
ン光学系の光源となるイオン化部位を、より点光源の理
想に近づけたEIイオン源を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明にかかるEIイオン源は、試料分子をイオン
化させるイオン化室と、該イオン化室内に試料分子を供
給する供給口を持つ試料分子供給手段と、該イオン化室
内に電子ビームを供給する電子ビーム供給手段と、該電
子ビームを収束させる電子ビーム収束手段とを備え、該
電子ビーム収束手段は、前記電子ビームを前記試料分子
供給手段の供給口近傍に収束させ、供給された試料分子
が前記イオン化室内に拡散する前に、収束した電子ビー
ムを試料分子に衝突させるようにしたことを特徴として
いる。
【0015】また、前記電子ビーム収束手段は、磁場を
形成する磁場形成手段であることを特徴としている。
【0016】また、前記磁場形成手段は、磁場強度が可
変であることを特徴としている。
【0017】また、前記磁場形成手段は、設置位置が可
変であることを特徴としている。
【0018】また、前記磁場形成手段は、永久磁石と電
磁石を組み合わせて成ることを特徴としている。
【0019】また、前記電子ビーム供給手段は、設置位
置が可変であることを特徴としている。
【0020】また、前記電子ビーム供給手段は、フィラ
メントであることを特徴としている。
【0021】また、電子ビームの導入軸と、試料ガスの
導入軸と、イオンビームの引き出し軸とが、イオン化室
内の所定の位置で互いに交差するように構成された電子
衝撃型イオン源であって、該交差位置の近傍に電子ビー
ムを収束させるとともに、該交差位置の近傍に試料ガス
を噴出させることにより、初期条件のそろった高密度の
イオンビームを引き出すようにしたことを特徴としてい
る。
【0022】また、前記交差位置に噴出させた試料ガス
は、すみやかにイオン化室内から排気されるように構成
されていることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を説明する。図2は、本発明にかかるEIイ
オン源の一実施例を示したものである。この系では、装
置全体をターボ・モレキュラー・ポンプ(TMP)で1
−5〜10−6torr程度に排気することによっ
て、装置内が真空に保たれている。
【0024】図中、1はイオン化室である。このイオン
化室1の上壁の外側と下壁の外側とに対向して設けられ
たフィラメント2と電子トラップ3の間には、フィラメ
ント2よりも電子トラップ3の方が電位が高くなるよう
に、所定の電位差が与えられており、更に、フィラメン
ト2の外側に設けられた電子リペラー4には、負の電圧
が印加されている。また、イオン化室1の上壁の中央付
近には、電子ビームをイオン化室1の内部に導入するた
めに開口1a、また、イオン化室1の下壁の中央付近に
は、イオン化室1の内部を通過した電子ビームをイオン
化室1の外部に取り出すための開口1bが設けられてい
るので、フィラメント2から飛び出した熱電子は、電場
勾配のため、電子リペラー4によってイオン化室1方向
に向かって押し出され、電子ビームとなって、開口1
a、イオン化室1、開口1bを経由して、電子トラップ
3に向けて引き寄せられる。
【0025】EIイオン源の上下の隔壁上には、フィラ
メント2から飛び出した熱電子を電子ビーム7として束
ねるための磁場を形成する永久磁石8および9が設けら
れていて、該電子ビーム7と衝突した試料分子は、所定
の確率でイオン化された後、イオンビーム10となっ
て、電子ビーム7と直交する方向に引き出される。
【0026】本実施例では、フィラメント2から飛び出
した熱電子を電子ビーム7として束ねるための磁場を形
成する永久磁石8および9に加え、更に電磁石11およ
び12が、真空室の外部に設けられている。電磁石11
および12は、イオンビーム10の中心光軸上に位置す
るイオン化室1の中心付近(イ)で、電子ビーム7の径
が細く絞られるように、磁場の強さを任意に調節できる
ようになっている。その結果、(イ)付近では、電子密
度が局所的に高い領域ができる。一方、イオン化したい
試料ガスは、電子ビーム7の細く絞られた(イ)近傍
に、電子ビーム7と交差する形で、例えばキャピラリー
パイプ等の図示しない細い導入管によって導入されるよ
うにする。
【0027】この試料ガスは、真空室外部に置かれたG
C装置等から導入管出口まで導かれた後は、分子ジェッ
トとなって拡散していき、対面位置に設けられた図示し
ない排出口へと流れて排気される。従って、(イ)近傍
では、導入管出口から次々に供給される試料ガスが、高
い分子密度を維持したまま、イオン化室1全体に未だ拡
散されないうちに、細く絞られて電子密度の高まった電
子ビーム7と交差することになり、試料分子のイオン化
が高い確率で起こり、高密度で初期条件のそろったイオ
ンが生成しやすくなる。生成したイオンは、イオンビー
ム10を形成して、引き出し電極6の電界により、開口
1cからイオン化室1の外部に取り出される。これによ
り、点光源の理想に近いEIイオン源が可能になる。
【0028】電磁石11および12による電子ビーム7
の磁気的収束点の調節は、まず、シミュレーション等の
計算に基づいて、磁場の強さと電子のエネルギーの設
定、および、永久磁石8、9、電磁石11、12、フィ
ラメント2等の位置関係の設定が行なわれ、最終的に
は、フィラメント電流の帰還制御のない条件下で、電子
トラップ電流の最大化、およびイオン電流の最大化を図
る、という形での微調整が行なわれる。
【0029】尚、図中、電子ビーム7とイオンビーム1
0の軌跡は、説明のために、コンピュータ・シミュレー
ションで得たものを、EIイオン源の構造図に適宜重ね
書きしたものである。
【0030】次に、図3は、本発明の別の実施例を示し
たものである。この実施例では、図2で示した一実施例
のイオン化室1内に、内室13が設けてある。この内室
13には、電子ビーム7が通過する部分に、開口部また
はメッシュを設けることにより、電子ビーム7の通路が
確保されている。また、イオン取り出し用の穴も、この
内室の引き出し電極6側に開けてある。
【0031】この実施例において、電磁石11および1
2の磁場を調節して、電子ビーム7の磁気的収束点をイ
オン化現場の中心付近に設定することまでは、前の実施
例と同じである。ただ、前の実施例との相違点として、
イオン化室1の内側に内室13が設けられているのは、
イオン化の対象となる試料ガスを(イ)の近傍に局在化
させるのが、その目的である。このように、本実施例で
は、イオン化室1を隔壁で仕切って、内室13が設けら
れているので、試料ガスの拡散は、この内室13の範囲
にほぼ限定することができ、高密度の試料ガスを高い確
率でイオン化することができる。しかも、イオン化室1
に仕切りを設けても、電子ビーム7の輪郭には殆ど影響
を与えない。よって、前の実施例と同様の結果が得られ
る。
【0032】尚、本実施例では、イオン化室1から壁で
内室13が仕切られたことにより、イオンリペラー5の
作用が得られなくなるが、この問題は、引き出し電極6
の電位を調節して、電界を内室13の内部にまで深く入
り込ませることにより、解決することが可能である。あ
るいは、内室13のイオンリペラー5側の壁に穴を設
け、イオンリペラー5が作る電界を、内室13の内部に
入り込ませても良い。
【0033】次に、図4は、本発明の別の実施例を示し
たものである。この実施例は、図2で示した一実施例の
イオン化室1そのものを小さくして、試料ガスの拡散領
域を狭めることにより、試料ガスが拡散して試料ガスの
分子密度が低下するのを抑えたものである。電子ビーム
7が通過する部分には、通過のためのトンネル状の通路
が確保されているとともに、イオン取り出しのための開
口1cも、引き出し電極6側の壁面に設けられている。
図5は、この実施例を立体的に表示したものである。
【0034】この実施例においても、電磁石11、12
でイオン化室1に印加される磁場強度を調節して、電子
ビーム7の磁気的収束点をイオン化現場の中心(イ)付
近に設定することは、前の実施例と変わらない。本実施
例は、電子ビーム7の収束方法の変形例ではなく、イオ
ン化の対象となる試料ガスを(イ)の近傍に局在化させ
る手段の変形例に当たっている。本実施例では、イオン
化室1は、試料ガスが通過でき、かつ、電子ビーム7と
交差できる場を提供するのに必要な最小限度の大きさに
縮小して作られている。このように、イオン化室1を小
さくし、電子ビーム7の通路をトンネル状に設けても、
電子ビーム7の輪郭には、殆ど影響を与えない。
【0035】次に、図5の立体図を使って本実施例を説
明する。まず、電子ビーム7の磁気的収束点(イ)が、
イオン化室1の位置に来るように、図示しない電磁石の
電流量が調節される。電子ビーム7の通路は、太い筒状
に作られ、イオン化室1を上下に貫通している。また、
電子ビーム7の通路とイオン化室1との接続部では、小
さく作られたイオン化室1に合わせて、電子ビーム7の
通路の直径が細く円錐状に絞られている。
【0036】次に、電子ビーム7の軸に直交する方向か
らは、直径250〜300μm程度のトンネル状の細管
路14を通して、試料ガス15がイオン化室1内へ導入
される。試料ガス15は、細管路14の開口部から、電
子ビーム7に交差する形でイオン化室1内に噴出し、そ
の後、ラッパ状に開口した試料ガス排出口16に向かっ
て拡散し、円錐状の試料ガス分子ジェット17を形成す
る。
【0037】電子ビーム7の収束位置と、試料ガスの噴
出位置とは、電子ビーム7の導入軸と試料ガスの導入軸
とが互いに交差する交差位置のごく近傍になるように設
定されている。その結果、細管路14の開口部からイオ
ン化室1内に噴出した分子密度の高い試料ガス15は、
イオン化室1および試料ガス排気口16に向かって拡散
して分子密度が低下してしまう前に、収束して電子密度
の高まっている電子ビーム7と交差し、両者の衝突によ
って高密度のイオンが生成する。生成したイオンは、図
示しない引き出し電極が作る電界により、試料ガス分子
ジェット17の導入軸方向と電子ビーム7の導入軸方向
の両方に直交するイオンビーム引き出し口18方向へと
引き出され、ラッパ状に開口したイオンビーム引き出し
口18を通って、イオン化室1の外部へと取り出され
る。
【0038】試料ガス16は、従来のEIイオン源のよ
うに、イオン化室1内に拡散して長時間滞留することな
く、次々に、拡散前の高い分子密度を維持した状態で、
イオン化室1に噴出し続ける。そして、噴出後は、細管
路14の間近に対面する試料ガス排気口16に向かって
円錐状に拡散し、すみやかにイオン化室1から排気され
る。その結果、交差する電子ビーム7の通路部分への試
料ガス16の拡散は、ほぼ最小限度に抑えられるので、
電子ビーム7のイオン化室1への十分な供給が維持され
続ける。結果的に、狭いイオン化室1内で、密度の高い
電子と密度の高い試料分子とを連続的に衝突させ、高密
度のイオンを連続的に生成させることが可能になり、イ
オンビームの光源としては、初期条件が均質にそろった
点光源に近いものとなる。
【0039】以上、主な実施例とその変形例について述
べたが、それら以外にも、さまざまな変形例が考えられ
る。例えば、先の実施例では、電子ビームの磁気的収束
点を調節する手段として、電磁石の例を挙げた。しか
し、電子ビームの収束点を試料ガス噴出口付近に合わせ
る方法としては、電磁石を流れる電流値を可変させて、
発生する磁場の強さを可変させる方法の他に、磁石と磁
石の距離を機械的に可変させる方法や、電子ビーム源の
フィラメントの位置を調節する方法、電子のエネルギー
を調節する方法、磁場補正用に別途設ける永久磁石の位
置を可変させる方法など、さまざまな方法が可能であ
る。
【0040】また、電子ビーム収束用磁石は、先の実施
例のような永久磁石と電磁石の組み合わせばかりではな
く、電磁石と電磁石の組み合わせであっても良い。
【0041】また、電磁石や補正用永久磁石の設置場所
も、EIイオン源の置かれている真空室内であっても良
く、あるいは、EIイオン源の置かれている真空室の外
の大気中であっても良い。
【0042】また、試料ガス導入路は、先の実施例のよ
うなトンネル状のものばかりではなく、キャピラリー管
のようなものであっても良い。
【0043】また、試料ガス噴出口に対面する試料ガス
排気口は、先の実施例のようなイオン化室の壁に開けら
れた穴状のものばかりではなく、イオン化室に引き込ま
れた排出管のようなものであっても良い。
【0044】また、試料ガス導入路、試料ガス噴出口、
試料ガス排気口等の位置関係を最適化するための調節機
構が組み込まれた構造であっても良い。
【0045】イオン化室の大きさ、周辺の各電極などの
細部は、いろいろと変更可能である。小さな空間に電子
密度の高い電子ビームの磁気的収束点を設定し、その磁
気的収束点に対して、ガス密度の高い試料ガスが交差で
きるようになっていて、しかも、そこで生成したイオン
を効率良く外部に取り出せるような構造になっていれ
ば、それらの変形はすべて本発明の範疇に含まれること
は言うまでもない。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のEIイオン
源によれば、試料分子をイオン化させるイオン化室と、
該イオン化室内に試料分子を供給する供給口を持つ試料
分子供給手段と、該イオン化室内に電子ビームを供給す
る電子ビーム供給手段と、該電子ビームを収束させる電
子ビーム収束手段とを備え、該電子ビーム収束手段は、
前記電子ビームを前記試料分子供給手段の供給口近傍に
収束させ、供給された試料分子が前記イオン化室内に拡
散する前に、収束した電子ビームを試料分子に衝突させ
るようにしたので、イオン光学系の光源となるEIイオ
ン源を、より点光源の理想に近づけることが可能になっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電子衝撃型イオン源を示す図である。
【図2】本発明にかかる電子衝撃型イオン源の一実施例
である。
【図3】本発明にかかる電子衝撃型イオン源の別の実施
例である。
【図4】本発明にかかる電子衝撃型イオン源の別の実施
例である。
【図5】本発明にかかる電子衝撃型イオン源の立体図で
ある。
【符号の説明】
1・・・イオン化室、2・・・フィラメント、3・・・電子トラ
ップ、4・・・電子リペラー、5・・・イオンリペラー、6・・
・引き出し電極、7・・・電子ビーム、8・・・永久磁石、9・
・・永久磁石、10・・・イオンビーム、11・・・電磁石、1
2・・・電磁石、13・・・内室、14・・・細管路、15・・・試
料ガス、16・・・試料ガス排出口、17・・・試料ガス分子
ジェット、18・・・イオンビーム引き出し口。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料分子をイオン化させるイオン化室と、
    該イオン化室内に試料分子を供給する供給口を持つ試料
    分子供給手段と、該イオン化室内に電子ビームを供給す
    る電子ビーム供給手段と、該電子ビームを収束させる電
    子ビーム収束手段とを備え、該電子ビーム収束手段は、
    前記電子ビームを前記試料分子供給手段の供給口近傍に
    収束させ、供給された試料分子が前記イオン化室内に拡
    散する前に、収束した電子ビームを試料分子に衝突させ
    るようにしたことを特徴とする電子衝撃型イオン源。
  2. 【請求項2】前記電子ビーム収束手段は、磁場を形成す
    る磁場形成手段であることを特徴とする請求項1記載の
    電子衝撃型イオン源。
  3. 【請求項3】前記磁場形成手段は、磁場強度が可変であ
    ることを特徴とする請求項2記載の電子衝撃型イオン
    源。
  4. 【請求項4】前記磁場形成手段は、設置位置が可変であ
    ることを特徴とする請求項2記載の電子衝撃型イオン
    源。
  5. 【請求項5】前記磁場形成手段は、永久磁石と電磁石を
    組み合わせて成ることを特徴とする請求項2、3、また
    は4記載の電子衝撃型イオン源。
  6. 【請求項6】前記電子ビーム供給手段は、設置位置が可
    変であることを特徴とする請求項1記載の電子衝撃型イ
    オン源。
  7. 【請求項7】前記電子ビーム供給手段は、フィラメント
    であることを特徴とする請求項1または6記載の電子衝
    撃型イオン源。
  8. 【請求項8】電子ビームの導入軸と、試料ガスの導入軸
    と、イオンビームの引き出し軸とが、イオン化室内の所
    定の位置で互いに交差するように構成された電子衝撃型
    イオン源であって、該交差位置の近傍に電子ビームを収
    束させるとともに、該交差位置の近傍に試料ガスを噴出
    させることにより、初期条件のそろった高密度のイオン
    ビームを引き出すようにしたことを特徴とする電子衝撃
    型イオン源。
  9. 【請求項9】前記交差位置に噴出させた試料ガスは、す
    みやかにイオン化室内から排気されるように構成されて
    いることを特徴とする請求項8記載の電子衝撃型イオン
    源。
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Cited By (4)

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