JP2003252965A - 電子輸送性材料、その製造方法及びその用途 - Google Patents

電子輸送性材料、その製造方法及びその用途

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Abstract

(57)【要約】 【課題】安定性、加工性、電子輸送性に優れる高分子か
らなる電子輸送性材料及びそれを用いた発光強度が高く
長寿命の有機エレクトロルミネッセント素子を提供す
る。 【解決の手段】電子親和力が大きくN型半導体となりや
すい、ニトロピリジン骨格を含む高分子からなる電子輸
送性材料を有機エレクトロルミネッセント素子に用い
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子親和力が大きく
N型半導体となりやすい高分子からなる電子輸送性材料
に関する。また本発明は該電子輸送材料を得るための効
果的な製造法に関する。さらに本発明は該電子輸送性材
料を用いた発光効率が高く、長時間発光が可能な発光素
子及びその製造方法に関する。またさらに本発明は該電
子輸送性材料を用いた効率が高く、耐久性がすぐれ、オ
ゾン発生が少なく環境への影響の少ない有機光導電体材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】主鎖にπ共役二重結合を有するπ共役系
高分子には電子供与性物質添加により酸化され正孔が電
気伝導の主役を演じるP型有機導電体と電子受容性物質
添加により還元され電子が電気伝導の主役を演じるN型
有機導電体とがある。前者の例としては、ポリ(2,5
―チエニレン)、ポリ(2,5−ピロリレン)、ポリパ
ラフェニレンビニレン等数多くあるが、後者の例は極め
て少ない。電子伝導体となりうるn型有機半導体は、有
機EL素子や有機光導電体電極等の電子輸送層やその他
広範な用途として利用でき、その開発が切望されてい
る。シンセティックメタルズ、25巻、103〜107
頁(1988年)に記載されているポリ(2,5−ピリ
ジンジイル)は、パイ電子共役系高分子として電子吸引
性のピリジン骨格を繰り返しとする数少ないn型有機導
電体のひとつである。しかしながら、ピリジンは電子吸
引性が弱く安定なn型としては不十分であった。
【0003】Polymer Journal, Vo
l. 32, No.11, pp991−994(2
000)には、ポリ(2,5−ピリジンジイル)にニト
ロ基を導入した例が報告されているが、その電子輸送性
や電子輸送性材料としての応用は何ら説明されていな
い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安定性、加
工性、電子輸送性に優れる高分子からなる電子輸送性材
料及びその製造方法を提供すること、該電子輸送性材料
を用いた発光強度が高く、長寿命の発光素子及びその製
造方法を提供すること、及び該電子輸送性を用いたオゾ
ン発生の少ない有機光導電体材料を提供することを目的
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記課題に
鑑み鋭意検討した結果、ピリジン骨格にニトロ基を導入
したピリジン系高分子は、その電子吸引性が増加し、安
定なN型半導体になりやすく、電子輸送性材料として好
適であることを見いだした。
【0006】さらに本発明者らは前記ニトロ基導入ピリ
ジン系高分子を電子輸送性材料に用いることにより、発
光強度が高く、長寿命の発光素子が得られることを見い
だした。
【0007】さらに本発明者らは前記ニトロ基導入ピリ
ジン系高分子を電子輸送性材料に用いることにより、オ
ゾン発生が少なく環境負荷の少ない有機光導電体材料が
得られることを見いだした。すなわち、本発明は、 [1] 下記の一般式(1)
【0008】
【化4】 (式中、R1 ,R2 ,R3は置換基を示し、該置換基の
少なくとも一つはニトロ基であり、残りは水素原子;ヘ
テロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキ
ル基;ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下
のエステル基;炭素数2以上20以下のアルケニル基;
炭素数2以上20以下のアルキニル基;または置換を有
してもよいアリール基;炭素数1以上20以下のカルボ
ン酸基を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構
造を有するものでもよい。nは1以上の整数。)で表さ
れるニトロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子を
含むことを特徴とする電子輸送性材料。 [2]電子輸送性材料が、電子受容性物質を含む前項1に
記載の電子輸送性材料。
【0009】[3]下記の一般式(2)
【化5】 (式中、R1 ,R2 ,R3は置換基を示し、該置換基の
少なくとも一つはニトロ基であり、残りは水素原子;ヘ
テロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキ
ル基;ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下
のエステル基;炭素数2以上20以下のアルケニル基;
炭素数2以上20以下のアルキニル基;または置換を有
してもよいアリール基;炭素数1以上20以下のカルボ
ン酸基を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構
造を有するものでもよい。Xは水素またはハロゲンを表
す。)で表されるニトロピリジン化合物を還元性触媒を
用いて重合することを特徴とする前項1または2に記載
の電子輸送性材料の製造方法。 [4]下記の一般式(3)
【化6】 (式中、R4 〜 R9は置換基を示し、該置換基の少なく
とも一つはニトロ基であり、残りは水素原子;ヘテロ原
子を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキル基;
ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下のエス
テル基;炭素数2以上20以下のアルケニル基;炭素数
2以上20以下のアルキニル基;または置換を有しても
よいアリール基;炭素数1以上20以下のカルボン酸基
を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有
するものでもよい。Yは水素またはハロゲンを表す。)
で表されるニトロビピリジン化合物を還元性触媒を用い
て重合することを特徴とする前項1記載の電子輸送性材
料の製造方法。
【0010】[5]前項1または2に記載の電子輸送性材
料を用いることを特徴とする発光素子。 [6]前項1または2に記載の電子輸送性材料を用いるこ
とを特徴とする光導電体材料。
【0011】[7]発光材料との溶液とした前項1または
2に記載の電子輸送材料を、電極またはホール輸送層上
で重合し、溶媒を除去し、成膜することを特徴とする前
項5に記載の発光素子の製造方法。
【0012】[8]前項5に記載の発光素子を用い画素を
構成したことを特徴とする画像表示装置。 [9]前項5に記載の発光素子を用いたことを特徴とする
照明装置。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてより詳細に
説明する。 1.ニトロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子 本発明の電子輸送材料は、一般式(1)で表されるニト
ロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子からなるこ
とを特徴とする。
【0014】
【化7】 (式中、R1 ,R2 ,R3は置換基を示し、該置換基の
少なくとも一つはニトロ基であり、残りは水素原子;ヘ
テロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキ
ル基;ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下
のエステル基;炭素数2以上20以下のアルケニル基;
炭素数2以上20以下のアルキニル基;または置換基を
有してもよいアリール基;炭素数1以上20以下のカル
ボン酸基を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの
構造を有するものでもよい。nは1以上の整数。)
【0015】本発明の「ニトロピリジン骨格の二価基を
主鎖に含む高分子」とは、高分子主鎖の少なくとも一部
にニトロピリジン骨格を含むものであればよく、いかな
る化学構造の形態であってもよい。
【0016】本発明の一般式(1)で表されるR1
2,R3は、それぞれ独立に少なくとも一つはニトロ基
(例えば、トリニトロ置換体でもよい)であり、残りは
水素原子;ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20
以下のアルキル基;ヘテロ原子を有してもよい炭素数1
以上20以下のエステル基;炭素数2以上20以下のア
ルケニル基;炭素数2以上20以下のアルキニル基;ま
たは置換を有してもよいアリール基;炭素数1以上20
以下のカルボン酸基を表す。これらの置換基は、直鎖
状、分岐状または環状のいずれの構造を有するものでも
よい。ここでいう「それぞれ独立に」とは、R1,R2
3のいずれもが独立であると言うことのみならず、高
分子主鎖のそれぞれ独立したニトロピリジン骨格におい
ても独立であることを示している。すなわち、例えばニ
トロピリジン主鎖の任意のRα(αは1、2、3)がメ
チル基である場合、他のニトロピリジン骨格の相似の位
置であるRαではメチル基でも良いしメチル基以外の他
の官能基であっても良いことを示している。従って、一
つの高分子にm個のニトロピリジン骨格が存在する場
合、任意のRαはm個のニトロピリジン骨格において各
々独立の官能基であることを示している。
【0017】一般式(1)におけるR1,R2,R3とし
て、ニトロ基以外の具体例としては、水素原子、メチル
基、トリフルオロメチル基、エチル基等のアルキル基、
エテニル基、2−プロペニル基、1,3−ブタジエニル
基、4−メトキシー2−ブテニル基等のアルケニル基、
エチニル基、2−プロピニル基等のアルキニル基、フェ
ニル基、チエニル基、ピロリル基、4−メトキシフェニ
ル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、ナフチル
基、3―メチルチエニル基等のアリール基、フッ素、塩
素等のハロゲン基、カルボン酸基、カルボン酸エステル
基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基等を挙げるこ
とができる。好ましくは水素原子、メチル基、トリフル
オロメチル基、フェニル基、3−トリフリオロメチルフ
ェニル基、ナフチル基、フッ素、カルボン酸基、カルボ
ン酸エステル基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基
であり、より好ましくは水素原子、メチル基、トリフル
オロメチル基、フェニル基、ナフチル基、フッ素、スル
ホン酸基、スルホン酸エステル基である。
【0018】本発明の一般式(1)で表されるニトロピ
リジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子の具体例として
は、Polymer Journal, Vol. 3
2,No.11, pp991−994(2000)に
記載のポリ(3−ニトロ−ピリジン−2,5−ジイル)
以外に、ポリ(4−メチル−3−ニトロ−ピリジン−
2,6−ジイル)、ポリ(4−メチル−6−トリフルオ
ロメチル−3−ニトロ−ピリジン−2,5−ジイル)等
を挙げることができるが、これらに限定されるものでは
ない。側鎖にメチル等のアルキルを導入すると、ニトロ
ピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子の電子吸引性
は若干低下するが、溶媒への可溶性が増し、加工性が改
善される。また側鎖にトリフルオロメチル等のフルオロ
アルキルを導入すると、ニトロピリジン骨格の二価基を
主鎖に含む高分子の電子吸引性及び溶媒への可溶性が増
し、加工性も改善される。
【0019】本発明の一般式(1)で表されるニトロピ
リジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子のニトロピリジ
ン骨格は、核磁気共鳴スペクトル(以下、NMRと略
す。)、赤外スペクトル(以下、IRと略す。)、元素
分析、質量分析法(以下、MSと略す。)等の方法で分
析、同定することが可能である。
【0020】本発明の発光素子より、洗浄等の方法によ
り一般式(1)で表されるニトロピリジン骨格の二価基
を主鎖に含む高分子を分離し、さらに熱重量分析−質量
分析法(以下、TG−MSと略す)で分解物の構造から
ニトロピリジン骨格を同定、元素分析で元素の組成比を
定量、NMR、IRで結合状態を同定等の方法でニトロ
ピリジン骨格を同定することが可能である(Polym
er Journal, Vol. 32, No.1
1, pp991−994(2000))。
【0021】本発明の一般式(1)で表されるニトロピ
リジン骨格の二価基を主鎖に含む重合体の分子量は、例
えばゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、
GPCと略す。)等の液体クロマトグラフィーにより測
定することができる。具体的には、例えば、ジメチルホ
ルムアミド等の溶媒に溶解し、GPCにより測定するこ
とができる(Polymer Journal, Vo
l. 32, No.11, pp991−994(2
000))。
【0022】本発明の一般式(1)で表されるニトロピ
リジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子の分子量として
は、特に制限はない。モノマー単位の繰り返し数が2以
上であれば、使用可能である。本発明の一般式(1)で
表されるニトロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分
子を電子輸送層として成膜する場合に、溶媒に溶解して
塗布する方法や真空蒸着により塗布する方法を行うが、
その場合、分子量が高すぎると溶媒に溶けにくくなった
り、蒸着できない場合がある。一方、分子量が高いほ
ど、成膜後の膜強度や均一性が優れており、分子量とし
てはその加工性、用途等によって使い分けることが好ま
しい。一般的にはGPCによる分子量測定での質量平均
分子量で1000以上のものが用いられる。
【0023】2.ニトロピリジン骨格の二価基を主鎖に
含む高分子の合成法、及びその原料 2−1.合成法 本発明の一般式(1)で表されるニトロピリジン骨格の
二価基を主鎖に含む高分子の合成法は特に限定されな
い。例えば、合成法としては、一般式(2)で表される
ニトロピリジン構造を有する化合物の2つのXが水素、
または臭素等のハロゲンである化合物を単独でもしくは
他の2つ以上の水素、またはハロゲンを有する化合物と
の共存下でCuやNi等の金属を含む触媒で重合もしく
は共重合する方法が挙げられる。このようなニトロピリ
ジン構造を有する化合物としては、3−ニトロピリジ
ン、3−ニトロ−2,5−ジブロモ−ピリジン、4−エ
チル−3−ニトロ−2,5−ジクロルピリジン、4−ト
リフルオロメチル−ニトロ−2,6−イオド−ピリジン
等が挙げられる。
【0024】触媒としては銅粉、Cu1価錯体、Ni0
価錯体等の還元性触媒が挙げられる。この中で銅粉はコ
スト的に有利で好ましい。また、他の合成法の例として
は、一般式(3)で表されるニトロビピリジン構造を有
する化合物の2つのYが水素、またはブロム基等のハロ
ゲンである化合物を単独でもしくは他の2つ以上の水
素、またはハロゲンを有する化合物との共存下でCuや
Ni等の金属を含む触媒で重合もしくは共重合する方法
が挙げられる。このようなニトロビピリジン構造を有す
る化合物としては、5−ニトロ−ビピリジン、5,8−
ジニトロ−3,10−ジブロモ−ビピリジン、4−エチ
ル−5,8−ジニトロ−3,11−ジイオド−ビピリジ
ン、4−トリフルオロメチル−5,8ジニトロ−3,1
0−ジイオド−ピリジン等が挙げられる。
【0025】触媒としては銅粉、Cu1価錯体、Ni0
価錯体等の還元性触媒が挙げられる。この中で銅粉はコ
スト的に有利で好ましい。
【0026】3.発光素子 次に、前記一般式(1)で表されるニトロピリジン骨格
の二価基を主鎖に含む高分子を用いた本発明の発光素子
について説明する。図1は本発明の発光素子構成の一例
を示す断面図であり、透明基板上に設けた陽極と陰極の
間にホール輸送層、発光層、電子輸送層を順次設けたも
のである。また、本発明の発光素子構成は図1の例のみ
に限定されず、陽極と陰極の間に順次、1)ホール輸送
層/発光層、2)発光層/電子輸送層、のいずれかを設
けたものでもよく、更には3)ホール輸送材料、発光材
料、電子輸送材料を含む層、4)ホール輸送材料、発光
材料を含む層、5)発光材料、電子輸送材料を含む層、
6)発光材料の単独層、のいずれかの層を一層設けるだ
けでもよい。また、図1に示した発光層は1層である
が、2つ以上の発光層が直接あるいは他層を間に挟んで
積層されていてもよい。
【0027】3−1.電子輸送材料 本発明の発光素子においては、前記電子輸送材料に一般
式(1)で表されるニトロピリジン骨格の二価基を主鎖
に含む高分子を用いることを特徴とする。一般式(1)
で表されるニトロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高
分子を成膜する方法は特に限定しない。例えば、(A)
発光体層の上にニトロピリジン骨格を含む高分子の溶液
を塗布し溶媒を揮発除去する方法や、(B)発光体層の
上に一般式(1)で表されるニトロピリジン骨格の二価
基を主鎖に含む高分子を抵抗加熱等による真空蒸着で成
膜する方法、(C)発光体層の上に一般式(1)で表さ
れるニトロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子の
モノマーを塗布、成膜後に、モノマーを重合する方法が
挙げられる。これらの方法は多層構造素子を作成する場
合に好適である。また、発光材料や電子輸送材料、ホー
ル輸送材料の混合単層素子を作成する方法もプロセス上
有利である。例えば、(D)一般式(1)で表されるニ
トロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子からなる
電子輸送材料と発光材料やホール輸送材料を混合した溶
液を調製し、電極上に塗布後、溶媒を揮発除去する方法
や、(E)一般式(1)で表されるニトロピリジン骨格
の二価基を主鎖に含む高分子のモノマーと発光材料やホ
ール輸送材料を混合した溶液を調製し、電極上に塗布
後、モノマーを重合し、溶媒を揮発除去する方法が挙げ
られる。前記の重合体溶液やモノマー溶液を塗布する方
法も特に限定されない。例えば、印刷法やインクジェッ
ト、スピンコート等、種々の方法が挙げられる。電子輸
送層の厚さは、電子輸送層の導電率にもよるので一概に
限定はできないが、10nm〜10μmが好ましく、1
0nm〜3μmが更に好ましく、10nm〜1μmが特
に好ましい。
【0028】本発明では前記一般式(1)で表されるニ
トロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子に他の電
子輸送材料を混合及び/または積層して用いても良い。
用いることのできる他の電子輸送材料としては、Alq
3(トリスアルミニウムキノリノール)などのキノリノ
ール誘導体金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリア
ゾール誘導体などの既知の電子輸送材料が使用できる
が、特にこれらに限定されることはない。
【0029】前記の電子輸送材料はそれぞれ単独で電子
輸送層を形成するほかに、高分子材料をバインダとして
各層を形成することもできる。これに使用される高分子
材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボ
ネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレン
オキサイドなどを例示できるが、特にこれらに限定され
るものではない。
【0030】3−2.発光材料 発光材料としては、例えば、スチルベン構造等の共役系
構造を有する化合物、アルミニウムキノリウム錯体等の
軽金属錯体や遷移金属錯体等があげられるが、安定性、
設計自由性等の面で金属錯体が好ましい。
【0031】本発明の発光素子に用いられる発光材料に
おいては、さらに励起三重項状態からの発光あるいは励
起三重項状態を経由する発光、いわゆる燐光発光物質を
発光部位に有する化合物が好ましい。燐光発光物質は、
励起三重項状態の量子効率の値として0.1以上が好ま
しく、更に好ましくは0.3以上であり、より一層好ま
しくは0.5以上である。尚、これらの励起三重項状態
の量子効率が高い化合物は、例えば“Handbook
of Photochemistry,Second
Edition(Steven L. Murovほ
か著,Marcel Dekker Inc.,199
3)などから選ぶことができる。
【0032】本発明の好ましい発光材料の励起三重項状
態からの発光あるいは励起三重項状態を経由する燐光発
光部位としてはイリジウムや白金等の金属錯体構造及び
これらの誘導体があげられる。燐光性金属錯体構造は励
起三重項状態が高温でも比較的安定であり好ましい。
【0033】前記の燐光性金属錯体構造に使用される遷
移金属としては、周期表において第1遷移元素系列は原
子番号21のScから原子番号30のZnまでを、第2
遷移元素系列は原子番号39のYから原子番号48のC
dまでを、第3遷移元素系列は原子番号72のHfから
原子番号80のHgまでを含める。また前記の励起三重
項状態を経由して発光する燐光性金属錯体構造の他の具
体的な例としては希土類金属錯体構造を例示することが
できるが、何らこれに限定されるものではない。この希
土類金属錯体構造に使用される希土類金属としては、周
期表において原子番号57のLaから原子番号71のL
uまでを含める。
【0034】上述した金属錯体構造に使用される配位子
の構造としては、アセチルアセトナート、2,2’−ビ
ピリジン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジ
ン、1,10−フェナントロリン、2−フェニルピリジ
ン、ポルフィリン、フタロシアニン、ピリミジン、キノ
リン及び/またはこれらの誘導体などを例示することが
できるが、何らこれらに限定されるものではない。これ
らの配位子は、1つの錯体について1種類または複数種
類が配位される。また、前記の錯体化合物として二核錯
体構造あるいは多核錯体構造や、2種類以上の錯体の複
錯体構造を使用することもできる。
【0035】前記の発光体層に用いられる発光材料はそ
れぞれ単独で各層を形成するほかに、高分子材料をバイ
ンダとして各層を形成することもできる。これに使用さ
れる高分子材料としては、ポリメチルメタクリレート、
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリ
フェニレンオキサイドなどを例示できるが、特にこれら
に限定されるものではない。
【0036】発光体層の厚さは一概に限定はできない
が、10nm〜10μmが好ましく、10nm〜3μm
が更に好ましく10nm〜1μmが特に好ましい。
【0037】前記の発光層に用いられる発光材料の成膜
方法は、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタ
リング法、コーティング法などを用いることが可能で、
これらに特に限定されることはないが、低分子化合物に
場合は主として抵抗加熱蒸着および電子ビーム蒸着が用
いられ、高分子材料の場合は主に溶液塗布法が用いられ
る。
【0038】3−3.ホール輸送材料 本発明の発光素子にホール輸送材料も用いることもでき
る。発光材料にホール輸送機能がない場合は特にホール
輸送材料を用いることにより、発光効率の向上、駆動電
圧の低下等、素子の性能向上が図れる。用いるホール輸
送材料に特に制限はなく、発光材料やキノキサリン構造
を有する重合体からなる電子輸送材料との組み合わせで
適したものを選べばよい。
【0039】ホール輸送材料としては、低分子化合物と
して、フタロシアニン類、金属フタロシアニン類、ナフ
タロシアニン類、金属ナフタロシアニン類、ビスアゾ化
合物類、トリスアゾ化合物類、TPD(N,N’−ジメ
チル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−
ビフェニル−4,4’ジアミン)、α−NPD(4,
4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミ
ノ]ビフェニル)、m−MTDATA(4、4’,
4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)
トリフェニルアミン)等のトリフェニルアミン誘導体
類、ジフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類の多
環芳香族類、ベンゾキノン、アントラキノン等の芳香族
キノン類が挙げられる。また高分子化合物として、前記
低分子化合物の重合体以外にポリアニリン、ポリチオフ
ェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリピロー
ル、ポリパラフェニレンビニレン及びこれらの誘導体に
代表されるp型導電性高分子、ポリカルバゾール及び誘
導体、ポリシラン及び誘導体、ポリシロキサン及び誘導
体等が挙げられる。これらのホール輸送材料は単独でも
用いられるが、異なるホール輸送材料と混合または積層
して用いてもよい。ホール輸送層の厚さは、ホール輸送
層の導電率にもよるので一概に限定はできないが、10
nm〜10μmが好ましく、10nm〜3μmが更に好
ましく、10nm〜1μmが特に好ましい。
【0040】またこれらのホール輸送材料はそれぞれ単
独で各層を形成するほかに、高分子材料をバインダとし
て各層を形成することもできる。これに使用される高分
子材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカー
ボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレ
ンオキサイドなどを例示できるが、特にこれらに限定さ
れるものではない。
【0041】前記のホール輸送材料の成膜方法は、抵抗
加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、コ
ーティング法などを用いることが可能で、これらに特に
限定されることはないが、低分子化合物に場合は主とし
て抵抗加熱蒸着および電子ビーム蒸着が用いられ、高分
子材料の場合は主に溶液塗布法が用いられる。
【0042】3−4.陽極材料 本発明に係る発光素子の陽極材料としては、ITO(酸
化インジウムスズ)、酸化錫、酸化亜鉛、ポリチオフェ
ン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子な
どの既知の透明導電材料が使用できるが、特にこれらに
限定されることはない。この透明導電材料による電極の
表面抵抗は1〜50Ω/□(オーム/スクエアー)であ
ることが好ましい。これらの陽極材料の成膜方法として
は、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、化学反応
法、コーティング法などを用いることができるが、これ
らに特に限定されることはない。陽極の厚さは50〜3
00nmが好ましい。
【0043】また、陽極とホール輸送層または陽極に隣
接して積層される有機層の間に、ホール注入に対する注
入障壁を緩和する目的でバッファ層が挿入されていても
よい。これには銅フタロシアニンなどの既知の材料が用
いられるが、特にこれに限定されることはない。
【0044】3−5.陰極材料 本発明に係る発光素子の陰極材料としては、Al、Mg
Ag合金、Caなどのアルカリ土類金属、AlCaなど
のAlとアルカリ土類金属の合金などの既知の陰極材料
が使用できるが、特にこれらに限定されることはない。
これらの陰極材料の成膜方法としては、抵抗加熱蒸着
法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ
ーティング法などを用いることができるが、これらに特
に限定されることはない。陰極の厚さは10nm〜1μ
mが好ましく、30〜700nmが更に好ましく、50
〜500nmが特に好ましい。
【0045】また、陰極と、電子輸送層または陰極に隣
接して積層される有機層との間に、電子注入効率を向上
させる目的で、厚さ0.1〜10nmの絶縁層が挿入さ
れていてもよい。この絶縁層としては、フッ化リチウ
ム、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、アルミナ
などの既知の陰極材料が使用できるが、特にこれらに限
定されることはない。
【0046】3−6.基板、応用例 本発明に係る発光素子の基板としては、発光材料の発光
波長に対して透明な絶縁性基板が使用でき、ガラスのほ
か、PET(ポリエチレンテレフタレート)やポリカー
ボネートを始めとする透明プラスチックなどの既知の材
料が使用できるが、特にこれらに限定されることはな
い。
【0047】本発明の発光素子は、マトリックス方式、
セグメント方式などの既知の方法で画素を構成すること
ができ、例えば、画像表示装置として用いることができ
る。また、例えば、画素を形成せずにバックライト等の
照明装置として用いることもできる。
【0048】
【実施例】以下に本発明について代表的な例を示し具体
的に説明する。尚これらは説明のための例示であって、
本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【0049】<測定装置及び測定条件> 1)1H−NMR 日本電子(JEOL)製 JNM EX270 270Mz 溶媒:重クロロホルムまたは重ジメチルス
ルホシキド
【0050】2)GPC測定(分子量測定) カラム:Shodex KF−G+KF804L+KF
802+KF801 溶離液:ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP) 温度 :40℃ 検出器:RI(Shodex RI−71)
【0051】3)元素分析装置 REC0社製 CHNS−932型
【0052】4)ポリマー塗膜評価 実施例1〜3、比較例1で製造したPNPy、PMNP
y、PMTNPy、PPyの3質量%HFIP溶液を調
製した。これらをスピンコータで1×1cmの白金箔上
に塗布後、HFIPを蒸発除去させることにより、厚さ
約200nmの各ポリマー塗膜を白金箔上に成膜した。
これらポリマー/白金電極を作用極とし、対極を白金箔
(2×2cm)、銀電極を参照極として、0.5Mテト
ラエチルアンモニウムBF4/アセトニトリル溶液中
で、1mV/secの走査速度で、サイクリックボルタ
モグラムを行った。
【0053】実施例1:ポリ(3−ニトロ−ピリジン−
2,5−ジイル)(PNPy)の合成反応は下記スキー
ムに従って実施した。
【化8】
【0054】即ち、DMF(含水量200ppm)60
0ccを加えた1Lのガラス製四口フラスコ(長さ4c
mの撹拌はね及び冷却管付き)に、3−ニトロ−2,5
−ジブロモ−ピリジン(Mw280)23.0gを溶解
し、Cu粉37.0gを添加し、窒素雰囲気下、還流・
攪拌しながら10時間反応させた。反応後の反応液を2
Lの冷水中に加えることにより得られた黄褐色沈殿を濾
過、塩酸洗浄、水洗浄、メタノール洗浄、乾燥後120
℃で12時間、真空乾燥することにより、ポリ(3−ニ
トロ−ピリジン−2,5−ジイル)(PNPy)7.0
gの粉末を得た。
【0055】この粉末の元素分析値及びIRスペクトル
から目的通りの構造と推定された。またヘキサフルオロ
イソプロパノール(HFIP)を溶離液としたGPCか
らの質量平均分子量(質量平均)は11000であっ
た。ポリマー塗膜評価結果を表1示した。
【0056】実施例2:ポリ(4−メチル−3−ニトロ
−ピリジン−2,6−ジイル) (PMNPy)の合成 反応は下記スキームに従って実施した。
【化9】
【0057】即ち、DMF(含水量200ppm)60
0ccを加えた1Lのガラス製四口フラスコ(長さ4c
mの撹拌はね及び冷却管付き)に、4−メチル−3−ニ
トロ−2,6−ジブロモ−ピリジン(Mw294)2
1.9gを溶解し、Cu粉37.0gを添加し、窒素雰
囲気下、還流・攪拌しながら15時間反応させた。反応
後の反応液を2Lの冷水中に加えることにより得られた
赤褐色沈殿を濾過、塩酸洗浄、水洗浄、メタノール洗
浄、乾燥後120℃で12時間、真空乾燥することによ
り、ポリ(4−メチル−3−ニトロ−ピリジン−2,5
−ジイル)(PMNPy)6.3gの粉末を得た。
【0058】この粉末の元素分析値及びIRスペクトル
から目的通りの構造と推定された。またヘキサフルオロ
イソプロパノール(HFIP)を溶離液としたGPCか
らの質量平均分子量(質量平均)は9800であった。
ポリマー塗膜評価結果を表1示した。
【0059】実施例3:ポリ(4−メチル−6−トリフ
ルオロメチル−3−ニトロ−ピリジン−2,5−ジイ
ル)(PMFNPy)の合成 反応は下記スキームに従って実施した。
【化10】
【0060】即ち、DMF(含水量200ppm)60
0ccを加えた1Lのガラス製四口フラスコ(長さ4c
mの撹拌はね及び冷却管付き)に、4−メチル−6−ト
リフルオロメチル−3−ニトロ−2,5−ジブロモ−ピ
リジン(Mw332)14.8gを溶解し、Cu粉3
7.0gを添加し、窒素雰囲気下、還流・攪拌しながら
20時間反応させることにより沈殿が得られた。この沈
殿を含む反応液を2Lの冷水中に加えることにより得ら
れた茶褐色沈殿を濾過、塩酸洗浄、水洗浄、メタノール
洗浄、乾燥後120℃で12時間、真空乾燥することに
より、ポリ(4−メチル−6−トリフルオロメチル−3
−ニトロ−ピリジン−2,5−ジイル)(PMFNP
y)3.8gの粉末を得た。
【0061】この粉末の元素分析値及びIRスペクトル
から目的通りの構造と推定された。またヘキサフルオロ
イソプロパノール(HFIP)を溶離液としたGPCか
らの質量平均分子量(質量平均)は8700であった。
ポリマー塗膜評価結果を表1示した。
【0062】比較例1:ポリ(ピリジン−2,5−ジイ
ル)(PPy)の合成 反応は下記スキームに従って、Chem. Let
t.,pp153(1988)と同様の方法で実施し
た。
【化11】
【0063】即ち、DMF(含水量200ppm)60
0ccを加えた1Lのガラス製四口フラスコ(長さ4c
mの撹拌はね及び冷却管付き)に、2,5−ジブロモ−
ピリジン(Mw235)5.0gを溶解し、ビスシクロ
オクタジエニルNi(0価)錯体20g、2,2−ビピ
リジン1gを添加し、窒素雰囲気下、60℃で攪拌しな
がら20時間反応させた。得られた黄色沈殿を濾過、塩
酸洗浄、水洗浄、メタノール洗浄、乾燥後120℃で1
2時間、真空乾燥することにより、ポリ(ピリジン−
2,5−ジイル)1.2gの粉末を得た。
【0064】この粉末の元素分析値及びIRスペクトル
から目的通りの構造と推定された。またヘキサフルオロ
イソプロパノール(HFIP)を溶離液としたGPCか
らの質量平均分子量(質量平均)は15000であっ
た。ポリマー塗膜評価結果を表1示した。
【0065】
【表1】 表1に示すごとく、各ポリマーのN型ドーピングによる
酸化還元ピークがみられた。
【0066】以上、本発明のニトロピリジン系ポリマー
は比較例の非ニトロ系PPyに比較してN型ドーピング
での酸化還元ピークが高く、N型になりやすいことが証
明された。
【0067】実施例4:燐光高分子用重合性化合物:I
r(4−MA−PPy)2(PPy)の合成 常法に従い4−メトキシフェニルピリジン(4−MeO
−PPy)を合成した。即ち、下記スキーム3Aに示す
ように、常法によりアルゴン気流下において4−ブロモ
アニソール22.4g(120mmol)から脱水テト
ラヒドロフラン(THF)中でマグネシウム(Mg)
3.4gを用いて(4−メトキシフェニル)マグネシウ
ムブロマイドを合成し、これを2−ブロモピリジン1
5.8g(100mmol)と(1,2−ビス(ジフェ
ニルホスフィノ)エタン)ジクロロニッケル(II)
(Ni(dppe)Cl2) 1.8gの脱水THF溶
液に徐々に添加し、1時間還流した。反応液に5%塩酸
水溶液250mlを加えた後、クロロホルムで洗浄し
た。水層を炭酸水素ナトリウムで中和した後、クロロホ
ルムで目的物を抽出し、有機層を減圧下に蒸留した。蒸
留物は室温で直ちに固化し、白色固体として2−(4−
メトキシフェニル)ピリジン(4−MeO−PPy)を
15.1g(81.5mmol)得た。同定はCHN元
素分析、1H−NMRで行った。
【化12】
【0068】次いでこの4−MeO−PPyのメトキシ
基を常法に従い加水分解した。即ち、下記スキームに示
すように、4−MeO−PPy 15.0g(80.1
mmol)を濃塩酸中に溶解させ密閉容器中130℃で
4時間攪拌した。反応後、反応液を炭酸水素ナトリウム
水溶液で中和し、目的物をクロロホルムで抽出し、抽出
物をクロロホルム/ヘキサン溶液より結晶化させ、無色
の結晶として2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリジン
(4−HO−PPy)10.0g(58.5mmol)
を得た。同定はCHN元素分析、1H−NMRで行っ
た。
【化13】 次いでこの4−HO−PPyを常法に従いヘキサクロロ
イリジウム酸ナトリウムn水和物(Na3IrCl6・n
2O)と反応させてビス(μ−クロロ)テトラキス
(2−(4−ヒドロキシフェニル)ピリジン)ジイリジ
ウム(III)([Ir(4−HO−PPy)2
l]2)を合成した。即ち、下記スキームに示すよう
に、Na3IrCl6・nH2O 10.0gを2−エト
キシエタノールと水の3:1の混合溶媒400ml中に
溶解させ、アルゴンガスを30分間吹き込んだ後に、ア
ルゴン気流下で4−HO−PPy 8.6g(50.2
mmol)を加えて溶解させ、5時間還流した。反応
後、溶媒を留去し、エタノールより再結晶させ、赤橙色
の結晶として[Ir(4−HO−PPy)2Cl]2
5.88g(5.18mmol)を得た。同定はCHN
元素分析、1H−NMRで行った。
【化14】
【0069】次いでこの[Ir(4−HO−PPy)2
Cl]2を、常法に従いトリフルオロメチルスルホン酸
銀(I)(AgCF3SO3)の存在下に2−フェニルピ
リジン(PPy)と反応させた。即ち、下記スキームに
示すように、アルゴン気流下にて[Ir(4−HO−P
Py)2Cl]2 3.98g(3.5mmol)とPP
y 15.5g(10.0mmol)の脱水トルエン懸
濁液にAgCF3SO3を1.98g加え、6時間還流し
た。反応液をシリカゲルカラムで精製した後、溶媒を留
去し、黄色粉末としてビス(2−(4−ヒドロキシフェ
ニル)ピリジン)(2−フェニルピリジン)イリジウム
(III)(Ir(4−HO−PPy)2(PPy))
2.20g(3.2mmol)を得た。同定はCHN元
素分析、1H−NMRで行った。
【化15】 次いで、下記スキームに示すように、アルゴン気流下に
て、Ir(4−HO−PPy)2(PPy) 1.37
g(2.0mmol)、脱酸剤としてのトリエチルアミ
ン0.81g(8.0mmol)の脱水THF溶液にメ
タクリル酸クロライド0.50g(4.8mmol)を
加えて20℃で5時間反応させた。反応液からトリエチ
ルアミンの塩酸塩を濾別し、濾液をシリカゲルカラムで
精製した後、溶媒を留去し、ビス((2−(4−(2−
メタクリロイルオキシ)フェニル)ピリジン)(2−フ
ェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(4−M
A−PPy)2(PPy))1.55g(1.88mm
ol)を得た。同定はCHN元素分析、1H−NMRで
行った。
【化16】 実施例5〜7、比較例2〜4: 発光素子の作製、評価 実施例4で合成した燐光高分子用重合性化合物、Ir
(4−MA−PPy)2(PPy)のヘキサフルオロイ
ソプロパノール(HFIP)の5wt%溶液をポリエチ
レンジオキシチオフェン(PEDOT、バイエル社製)
が50nmの厚さで予め塗布成膜されたITO陽極(ガ
ラス基板上にITOが塗布されたもの)上にスピンコー
ト法により5mm×5mmの大きさに塗布後、窒素雰囲
気で60℃加熱2時間行い、燐光高分子用重合性化合物
を架橋重合/60℃3時間真空乾燥することにより、厚
さ約100nmの燐光性高分子層(Ir(4−MA−P
Py) 2(PPy)架橋重合体)をPEDOT/ITO
陽極上に12個成膜し、発光層を形成した。これらのう
ち8個の燐光性高分子/PEDOT/ITO電極上に電
子輸送材料として実施例1〜3及び比較例1で合成した
PNPy、PMNPy、PMFPy、PPyの3wt%
溶液をスピンコ−トにより成膜後、60℃3時間真空乾
燥することにより、各厚さ約50nmの電子輸送層を各
2個ずつ形成させた。また残り4個の燐光性高分子/P
EDOT/ITO電極のうち、電子輸送層を形成させな
いものを2個、電子輸送層としてPBD(2−(4−b
iphenylyl)−5−(4−tert−buty
lphenyl)−1,3,4−oxadiazol)
を約50nmの厚さに真空蒸着により成膜したものを2
個、作成した。ついでこれら10個の電子輸送層/燐光
性高分子/PEDOT/ITO電極及び2個の燐光性高
分子/PEDOT/ITO電極の電子輸送層上(ない場
合は燐光性高分子上)に陰極としてAg/Mgを質量比
9/1で約100nmの厚さに成膜し、発光層、電子輸
送層のことなる6種の発光素子を各2個ずつ作製した。
これら素子をアルゴン雰囲気のグローブボックス中でリ
ード線をつけガラス容器内にアルゴン雰囲気で密閉し、
発光評価に用いた。
【0070】発光輝度は電源として、(株)アドバンテ
スト社製 プログラマブル直流電圧/電流源 TR61
43を用い、実施例において得られた発光素子に電圧を
印加し、発光輝度を(株)トプコン社製 輝度計 BM
−8を用いて測定した。
【0071】前記発光素子に直流電源を引加したとこ
ろ、発光開始電圧、10Vでの初期輝度、その後10V
で固定し連続発光させた場合の240時間後の輝度は表
2及び3の如くなった(各測定値は2個の平均値)。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【発明の効果】本発明のニトロピリジン骨格の二価基を
主鎖に含む高分子からなる電子輸送材料を用いることに
より、高輝度で耐久性のある発光素子及び有機光導電体
を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発光素子の断面図の例である。
【符号の説明】 1 ガラス基板 2 陽極 3 ホール輸送層 4 発光層 5 電子輸送層 6 陰極

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1) 【化1】 (式中、R1 ,R2 ,R3は置換基を示し、該置換基の
    少なくとも一つはニトロ基であり、残りは水素原子;ヘ
    テロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキ
    ル基;ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下
    のエステル基;炭素数2以上20以下のアルケニル基;
    炭素数2以上20以下のアルキニル基;または置換を有
    してもよいアリール基;炭素数1以上20以下のカルボ
    ン酸基を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構
    造を有するものでもよい。nは1以上の整数。)で表さ
    れるニトロピリジン骨格の二価基を主鎖に含む高分子を
    含むことを特徴とする電子輸送性材料。
  2. 【請求項2】電子輸送性材料が、電子受容性物質を含む
    請求項1に記載の電子輸送性材料。
  3. 【請求項3】下記の一般式(2) 【化2】 (式中、R1 ,R2 ,R3は置換基を示し、該置換基の
    少なくとも一つはニトロ基であり、残りは水素原子;ヘ
    テロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキ
    ル基;ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下
    のエステル基;炭素数2以上20以下のアルケニル基;
    炭素数2以上20以下のアルキニル基;または置換を有
    してもよいアリール基;炭素数1以上20以下のカルボ
    ン酸基を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構
    造を有するものでもよい。Xは水素またはハロゲンを表
    す。)で表されるニトロピリジン化合物を触媒を用いて
    重合することを特徴とする請求項1または2に記載の電
    子輸送性材料の製造方法。
  4. 【請求項4】下記の一般式(3) 【化3】 (式中、R4 〜 R9は置換基を示し、該置換基の少なく
    とも一つはニトロ基であり、残りは水素原子;ヘテロ原
    子を有してもよい炭素数1以上20以下のアルキル基;
    ヘテロ原子を有してもよい炭素数1以上20以下のエス
    テル基;炭素数2以上20以下のアルケニル基;炭素数
    2以上20以下のアルキニル基;または置換を有しても
    よいアリール基;炭素数1以上20以下のカルボン酸基
    を表し、直鎖状、分岐状または環状のいずれの構造を有
    するものでもよい。Yは水素またはハロゲンを表す。)
    で表されるニトロビピリジン化合物を触媒を用いて重合
    することを特徴とする請求項1記載の電子輸送性材料の
    製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1または2に記載の電子輸送性材料
    を用いることを特徴とする発光素子。
  6. 【請求項6】請求項1または2に記載の電子輸送性材料
    を用いることを特徴とする光導電体材料。
  7. 【請求項7】発光材料との溶液とした請求項1または2
    に記載の電子輸送材料を、電極またはホール輸送層上で
    重合し、溶媒を除去し、成膜することを特徴とする請求
    項5に記載の発光素子の製造方法。
  8. 【請求項8】請求項5に記載の発光素子を用い画素を構
    成したことを特徴とする画像表示装置。
  9. 【請求項9】請求項5に記載の発光素子を用いたことを
    特徴とする照明装置。
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JP2011184320A (ja) * 2010-03-05 2011-09-22 Sumitomo Chemical Co Ltd ピリジン化合物

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