JP2003252505A - 歯付きローラ、排紙装置、インクジェット記録装置 - Google Patents

歯付きローラ、排紙装置、インクジェット記録装置

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JP2003252505A JP2002062131A JP2002062131A JP2003252505A JP 2003252505 A JP2003252505 A JP 2003252505A JP 2002062131 A JP2002062131 A JP 2002062131A JP 2002062131 A JP2002062131 A JP 2002062131A JP 2003252505 A JP2003252505 A JP 2003252505A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯付きローラの振れを解消することによって
高画質印刷において歯付きローラの通過痕を目立ちにく
くし、以てより高い印刷品質を得ること。 【解決手段】 第1排紙従動ローラ30は、外周に歯3
0aを多数有する歯付きローラからなり、歯30aが用
紙Pの印刷面に弾性的に接触する様に設けられ、用紙P
の搬送動作に伴って従動回動する。歯30aは、用紙P
の搬送方向から見て左右対称の形状をなす様に形成さ
れ、これにより、歯30aが印刷面に食い込んでも、軸
方向と直交する方向の力を受けない。従って、第1排紙
従動ローラ30には振れが生じず、真っ直ぐに回動し、
印刷面を抉ることが無い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被記録材の記録面
と点接触し、且つ、回動駆動される排紙駆動ローラとの
間で被記録材をニップして従動回動する、外周に歯を有
する歯付きローラに関する。また、本発明は、該歯付き
ローラを備えた排紙装置および該排紙装置を備えたイン
クジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置では、インクジ
ェット記録ヘッドによりインク滴を吐出された印刷用紙
は、回動駆動される排紙駆動ローラと、該排紙駆動ロー
ラに向けて付勢され、且つ、印刷用紙の印刷面と接触し
て従動回動する排紙従動ローラとによってニップされ、
そして下流側に排紙されるようになっている。
【0003】ここで、印刷面が排紙従動ローラを通過す
る際には印刷面が未乾燥状態である為、排紙従動ローラ
は、印刷面との接触部分をなるべく少なくするために、
図22(A)に示す様な先端が鋭角的に尖った歯を外周
に有する歯付きローラ500を使用している。ここで、
図22(A)は歯付きローラ500の平面図であり、図
22(B)は図22(A)のx方向矢視図である。尚、
図22において符号Pは印刷用紙を示し、図22(A)
の矢印は印刷用紙Pの排紙方向を示している。歯付きロ
ーラ500は、ローラ502の外周に、図示する様に平
面視において三角形の形状をなす歯501を等間隔に備
えている。
【0004】従来、歯501は、成形の容易性の観点か
ら図22(B)に示す様に印刷用紙Pの搬送方向から見
て印刷面に垂直な垂直面501bと、印刷面に斜めに入
る斜面501aとを有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年インク
ジェット記録装置は銀塩写真並の高画質化を実現可能と
なっていて、インク滴の超微小化およびドット形成の高
密度化によって、インク粒子が肉眼では殆ど識別できな
い程度になっている。しかし、印刷面には前述の歯50
1が食い込む為、この様に銀塩画質並の画質となった印
刷面においては、歯付きローラ500の通過跡がより一
層目立ち易くなる。
【0006】一方、従来の歯付きローラ500における
歯501は、前述の様に印刷用紙Pの搬送方向から見て
片側に斜面501aを有し、且つ、その反対側に垂直面
501を有していたので、印刷面に食い込んだ際に斜面
501aに押され、これによって歯付きローラ500は
印刷用紙Pの進行方向と直交する方向(図22(B)の
左右方向)に振れが生じ、歯501が印刷面を抉る様な
状態となる。この様な現象を伴って印刷面に形成された
歯付きローラ500の通過痕は、従来では殆ど問題にな
らないレベルであったが、前述の様に超高画質の印刷を
行う場合には無視できないレベルとなってしまう。加え
て、インクジェット記録装置には染料インクの他に顔料
インクを使用するものがあるが、顔料インクは印刷面へ
の浸透性が低く、歯が抜ける際にインク層が連れ去られ
易い。従ってこの場合には歯付きローラ500の痛禍痕
がより一層目立ち易くなる。
【0007】そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされ
たものであり、その課題は、歯付きローラの振れを解消
することによって高画質印刷において歯付きローラの通
過痕を目立ちにくくし、以てより高い印刷品質を得るこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本願請求項1記載の歯付きローラは、被記録材の記
録面と点接触し、且つ、回動駆動される排紙駆動ローラ
との間で被記録材をニップして従動回動する、外周に歯
を有する歯付きローラであって、前記歯が、被記録材の
搬送方向から見て左右対称の形状をなす様に形成されて
いることを特徴とする。
【0009】本願請求項1記載の発明によれば、歯付き
ローラの歯が、被記録材の搬送方向から見て左右対称の
形状をなす様に形成されているので、歯が被記録材の記
録面に食い込んでも当該左右対称の形状によって歯付き
ローラの振れが生じない。従ってこれにより、歯が記録
面を抉る様なことが無く、以て歯付きローラの痕跡を最
小限とすることが可能となり、写真画質を実現する高画
質印刷においてもより高い印刷品質を得ることができ
る。
【0010】本願請求項2記載の歯付きローラは、請求
項1において、前記歯が先細り形状をなしていることを
特徴とする。本願請求項2記載の発明によれば、歯付き
ローラの歯が先細り形状をなしているので、歯の先端部
分の断面積が小さくなり、記録面との接触面積が小さく
なってインク滴が他の部分に付着する転写の問題や、歯
が接触した部分のインク滴が無くなってしまう所謂白抜
けの問題を最小限とすることができる。
【0011】本願請求項3記載の歯付きローラは、請求
項2において、前記歯が四角錐の形状をなしていること
を特徴とする。本願請求項3記載の発明によれば、歯付
きローラの歯が四角錐の形状をなしているので、歯は先
細り形状となり、以て前述した本願請求項2記載の発明
と同様な作用効果を得ることができる。
【0012】本願請求項4記載の歯付きローラは、請求
項2において、前記歯が三角錐の形状をなしていること
を特徴とする。本願請求項4記載の発明によれば、歯付
きローラの歯が三角錐の形状をなしているので、歯は先
細り形状となり、以て前述した本願請求項2記載の発明
と同様な作用効果を得ることができる。
【0013】本願請求項5記載の歯付きローラは、請求
項1において、前記歯が円錐の形状をなしていることを
特徴とする。本願請求項5記載の発明によれば、歯付き
ローラの歯が円錐の形状をなしているので、歯は先細り
形状となり、以て前述した本願請求項2記載の発明と同
様な作用効果を得ることができる。
【0014】本願請求項6記載の排紙装置は、被記録材
をニップする排紙ローラを有し、当該排紙ローラの回動
によって被記録材を排紙する排紙装置であって、前記排
紙ローラが、回動駆動される排紙駆動ローラと、付勢手
段によって該排紙駆動ローラに向けて付勢される、請求
項1から5のいずれか1項に記載の歯付きローラとから
なることを特徴とする。本願請求項6記載の発明によれ
ば、排紙ローラの回動によって被記録材を排紙する排紙
装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載の歯付き
ローラを備えているので、これによって前述した本願請
求項1から5のいずれか1項に記載の発明と同様な作用
効果を得ることが可能となる。
【0015】本願請求項7記載のインクジェット記録装
置は、被記録材にインク滴を吐出することによって記録
を行うインクジェット記録ヘッドを備えた記録装置であ
って、前記インクジェット記録ヘッドの下流側に、請求
項6記載の排紙装置を備えていることを特徴とする。本
願請求項7記載の発明によれば、請求項6記載の排紙装
置を備えているので、以て記録装置において前述した本
願請求項1から6のいずれか1項に記載の発明と同様な
作用効果を得ることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下では図面を参照しつつ本発明
の実施形態について、 1.インクジェットプリンタの構成 2.第1排紙従動ローラの構成 3.第2排紙従動ローラの構成 4.排紙フレームの取り付け構造 5.第2排紙従動ローラのレリース手段の構成 の順に説明する。
【0017】<1.インクジェットプリンタの構成>以
下、図1乃至図6を参照しつつ、本発明の一実施形態に
係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と略称
する)1の構成について概説する。ここで、図1はプリ
ンタ1の外観斜視図(外部カバーを取り外した状態)、
図2はプリンタ1の側断面概略図、図3は排紙フレーム
下33およびアダプタ50の側面図である。また、図4
(A),(B)はアダプタ取付部37の平面図および正
面図、図5(A),(B)はアダプタ50をアダプタ取
付部37に取り付ける作業を示す説明図である。更に、
図6は、プリンタ1の制御系統を示すブロック図であ
る。尚、以下では、必要に応じてプリンタ1の後方側
(図2において左側)を上流側(用紙搬送経路の上流
側)と言い、プリンタ1の前方側(図2において右側)
を下流側(用紙搬送経路の下流側)と言うこととする。
【0018】プリンタ1は、図1に示す様に後部に給紙
装置5を備え、該給紙装置5から単票紙を給送し、そし
て前方側の用紙排出口1bから排出する基本構成を採
る。また、プリンタ1は、コンパクトディスクに代表さ
れる光ディスク(図示せず:以下「光ディスク」と言
う)をセット可能な、板状体からなる記録媒体搬送用ト
レイ(以下「トレイ」と言う)70を前方側から手差し
給送し、そして光ディスクのラベル面に直接印刷するこ
とができる様に構成されていて、また、印刷が行われた
後は、給紙側と同じ前方側に排出される構成となってい
る。ここで、トレイ70は、用紙排出口1bに着脱自在
に取り付けられる位置決め用アダプタ(以下「アダプ
タ」と言う)50によって下方から支持され、且つ、給
紙および排紙の際の桁方向(用紙幅方向)位置が規制さ
れる様になっている。
【0019】より詳しくは、プリンタ1は図2に示す様
に、給紙装置5において傾斜姿勢でセットされた単票紙
Pを、回動駆動される給紙ローラ13によって矢印の
方向に給送する第1の給送経路と、装置後方から給紙装
置5の下を通り、インクジェット記録ヘッド(以下「記
録ヘッド」と言う)21の下へ略水平(矢印の方向)
に給送する第2の給送経路と、装置前方(図2の右側)
から記録ヘッド21の下へ略水平(矢印の方向)に手
差し給送する第3の給送経路とを備えている。ここで、
第1の給送経路は可撓性を有する単票紙Pの給送用に、
第2の給送経路は剛性の高く且つ厚手(非可撓性)の被
記録材(例えば、ボード紙等)の給送用に、第3の給送
経路は、前述したトレイ70の給送用に利用される様に
なっている。尚、給紙装置5は、後部に図示しないロー
ル紙ホルダが着脱可能となっていて、該ロール紙ホルダ
からロール紙を繰り出し、給紙装置5の下側を通って記
録ヘッド21へ給送することもできる様に構成されてい
る。
【0020】尚、以下では、上述の単票紙、ボード紙、
光ディスク等の、インク滴が吐出されることによって印
刷が行われるものを総称して「被記録材」と言い、印刷
が行われるか否かに関わらず、プリンタ1の用紙搬送経
路を搬送されるものを総称して「搬送媒体」(例えば、
前述のトレイ70)と言うこととする。
【0021】以下、主として図2を参照しつつ、適宜そ
の他の図面をも参照しながら、プリンタ1の用紙搬送経
路を構成する各構成要素について詳説する。給紙装置5
は、傾斜姿勢で設けられる板状体からなるホッパ9を備
えている。ホッパ9は、上部に設けられた揺動支点9a
を中心に揺動可能(図2の時計方向および半時計方向)
に設けられ、図示しないカム機構によって揺動すること
により、下部が給紙ローラ13に圧接および離間する様
になっていて、圧接することにより、ホッパ9上に堆積
された単票紙Pの最上位のものが給紙ローラ13の回動
と共に下流側へ給送される。給紙ローラ13は側面視略
D形の形状をなし、後述する駆動モータ16(図6参
照)によって回動駆動され、外周にはゴム材(図示せ
ず)が巻回されることによって当該給紙ローラ13に圧
接した単票紙Pをスリップすることなく給送する。ま
た、下流側に設けられた搬送ローラ19による搬送媒体
の精密送り(副走査送り)時には、搬送負荷(バックテ
ンション)が生じない様に、図示する様に平坦面が単票
紙Pと対向する様に駆動制御される。
【0022】次に、給紙ローラ13の下流には搬送媒体
を副走査方向に精密送りする搬送ローラ19が設けられ
ている。搬送ローラ19は、後述する駆動モータ16
(図6参照)によって回動駆動される搬送駆動ローラ1
5と、該搬送駆動ローラ15に圧接して従動回動する搬
送従動ローラ17とから構成されている。搬送駆動ロー
ラ15は、主走査方向(図2の紙面表裏方向)に長い軸
体からなり、外周面に耐摩耗性粒子(例えば、セラミッ
ク粒子)が接着材によって固着されてなる高摩擦層(図
示せず)を有し、搬送媒体の裏面(印刷面と反対側の
面)との間でスリップを発生させずに確実な精密送り動
作を実行可能となっている。一方、搬送従動ローラ17
は搬送駆動ローラ15の軸方向に複数個配置され、且
つ、同様に搬送駆動ローラ15の軸方向に複数個配置さ
れる搬送従動ローラホルダ18の下流側(図2の右側)
端部において自由回動可能に軸支されている。尚、本実
施形態に置いては、1つの搬送従動ローラホルダ18に
2つの搬送従動ローラ17が軸支されている。
【0023】搬送従動ローラホルダ18は、回動支点1
8aを中心に図2の時計方向および半時計方向に回動可
能に設けられ、且つ、図示しない付勢手段によって搬送
従動ローラ17が搬送駆動ローラ15に圧接する方向
(図2の時計方向)に回動付勢されている。また、搬送
従動ローラホルダ18は、図示しないカムの回動によっ
て、搬送従動ローラ17が搬送駆動ローラ15から離間
する方向(図2の反時計方向)に回動することができる
様になっている。そして、回動することによって搬送従
動ローラ17が搬送駆動ローラ15から離間し、離間す
ることにより、矢印およびで示す方向に搬送媒体を
手差し給送する際の、手差し給送経路を開放する様にな
っている。
【0024】次に、搬送駆動ローラ15の軸方向に複数
配設された搬送従動ローラホルダ18のうち、最も0桁
側(プリンタ1の右側:図2の紙面裏側)に位置するも
のには溝穴が設けられ、該溝穴を挿通して上から下に突
出する様に紙検出レバー14が設けられている。紙検出
レバー14は、上部を揺動中心として揺動可能となって
いて、符号及びで示す方向から給送された搬送媒体
の先端が通過すると上方に押し上げられ、搬送媒体の後
端が通過すると下方に復帰する様になっている。そし
て、当該紙検出レバー14の揺動動作は紙検出器11
(図6参照)によって検出可能となっていて、該紙検出
器11がプリンタ1の制御部8(図6参照)へ検出信号
を送信し、以て搬送媒体の通過および搬送媒体のサイズ
(長さ)を検出することができる様になっている。
【0025】次に、搬送ローラ19の下流には、インク
ジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と言う)21
および該記録ヘッド21に対向してプラテン25が設け
られている。記録ヘッド21はキャリッジ23の下部に
設けられ、キャリッジ23に搭載されたインクカートリ
ッジ24からインクを供給され、搬送された被記録材の
印刷面にインク滴を吐出する。キャリッジ23は、プリ
ンタ1の基体を構成する、装置右側に立設されたサイド
フレーム右6と、装置左側に立設されたサイドフレーム
左7(図1参照)との間に掛架された主キャリッジガイ
ド軸22aおよび副キャリッジガイド軸22bとにガイ
ドされながら、キャリッジモータ36(図6参照)の駆
動力を受けて主走査方向(図2の紙面表裏方向)に往復
動する様構成されている。
【0026】次に、記録ヘッド21から下流は、プリン
タ1の排紙部(排紙装置)を構成する。記録ヘッド21
の下流には第1排紙ローラ26が設けられ、該第1排紙
ローラ26の下流には更に第2排紙ローラ27が設けら
れている。第1排紙ローラ26および第2排紙ローラ2
7は、それぞれ駆動モータ16(図6参照)によって回
動駆動される第1排紙駆動ローラ28および第2排紙駆
動ローラ29と、これら回動駆動されるローラに弾性的
に接することによって従動回動する第1排紙従動ローラ
30および第2排紙従動ローラ31によって構成されて
いて、これら2組のローラ対で搬送媒体を挟圧し、且
つ、それぞれの駆動ローラが回動駆動されることによっ
て搬送媒体が下流側に排紙される。ここで、第1排紙従
動ローラ30は、印刷面と点接触する、外周に歯を有す
る歯付きローラからなり、第2排紙従動ローラ31は、
印刷面と面接触するゴムローラからなっているが、詳細
については後に説明する。
【0027】次に、第1排紙従動ローラ30と、第2排
紙従動ローラ31とは、主走査方向に所定の間隔で複数
個配設されていて(図4(A)参照)、そしてこれらロ
ーラは、主走査方向に長い板状体からなる排紙フレーム
下33に取り付けられている。排紙フレーム下33は、
サイドフレーム右6およびサイドフレーム左7(図1参
照)とによって左右端が保持され、且つ、後に詳述する
保持手段により、下流側を揺動支点として上流側が上方
に浮き上がる様に揺動可能となっている。そして、揺動
することにより、第1排紙従動ローラ30が、第1排紙
駆動ローラ28から離間する離間位置と、第1排紙駆動
ローラ28に接する接触位置とをとることができる様に
なっている。即ち、排紙フレーム下33は、第1排紙従
動ローラ30を第1排紙駆動ローラ28から離間させる
「離間姿勢」と、第1排紙従動ローラ30を第1排紙駆
動ローラ28に接触させる「接触姿勢」との2つの姿勢
をとることができる様になっている。尚、排紙フレーム
下33の姿勢をこの様に変化させる手段については、後
に詳説する。
【0028】以上により、第1排紙従動ローラ30が第
1排紙駆動ローラ28から離間すると、矢印および
で示す方向に搬送媒体を手差し給送する際の当該給送経
路が開放されると共に、被記録材の印刷面に、第1排紙
従動ローラ30が接触しない状態となる。ここで、第1
排紙従動ローラ30が被記録材の印刷面に接触しない様
にするのは、トレイ70によって搬送される光ディスク
は、印刷面(ラベル面)の直下にデータ記憶領域があ
り、従って外周に歯を有する第1排紙従動ローラ30が
前記印刷面に強く接触すると、前記データ記憶領域を希
に破壊することがあるからである。
【0029】次に、プリンタ1においては、第2排紙従
動ローラ31についても、図示しないローラレリース手
段によって第2排紙駆動ローラ29から離間可能となっ
ていて、これにより、印刷面に第2排紙従動ローラ31
が接触しない様にすることもできる様になっている。こ
れは、被記録材が前述した光ディスクである場合、吐出
されたインクが印刷面(ラベル面)に浸透しづらく、乾
燥時間が掛かり、この様な印刷面に第2排紙従動ローラ
31が接触すると、インクの白ヌケや転着を招く虞があ
るからである。尚、第2排紙従動ローラ31を第2排紙
駆動ローラ29から離間させるローラレリース手段につ
いても、後に詳説する。
【0030】尚、第1排紙従動ローラ31が第1排紙駆
動ローラ28との間で被記録材をニップするニップ力
と、第2排紙従動ローラ31が第2排紙駆動ローラ29
との間で被記録材をニップするニップ力とは、本実施形
態においては後者が大なる様に設定されている(例え
ば、前者が0.049N(5gf)、後者が0.147
N(15gf))。これは、第1排紙ローラ26は記録
ヘッド21に近い為、記録ヘッド21によって吐出され
たインク滴が未乾燥状態の虞があり、この様な状態で強
くニップするとインクの転着等を招いて印刷品質を低下
させる虞がある為である。従って、本実施形態において
は、特に第2排紙ローラ27によって被記録材をしっか
りとニップする様に構成し、これによって被記録材後端
が搬送従動ローラ17と搬送駆動ローラ15とから外れ
た後も、精度良く紙送りすることができる様になってい
る。
【0031】次に、図3において、排紙フレーム下33
の上方には排紙フレーム上35が設けられ、排紙フレー
ム上35の左側に偏倚した位置(図1参照)には、アダ
プタ50を取り付ける為のアダプタ取付部37が設けら
れている。アダプタ取付部37は、図4に示す様に左右
に嵌合穴右38および嵌合穴左39を有し、これら嵌合
穴に、図5(A),(B)に示す様にアダプタ50の先
端部(図3の左側)に設けられた嵌合凸部右52および
嵌合凸部左53が嵌合することにより、アダプタ50が
プリンタ1の用紙排出口1bに取り付けられる様になっ
ている。
【0032】尚、嵌合穴右38には、嵌合凸部右52が
嵌合穴右38に嵌入したことを検出する検出端41およ
び検出部42が設けられている。検出端41の一端側は
検出部42において揺動可能に保持され、他端側は、嵌
合穴右38内に突出する様に設けられている。そして、
嵌合凸部右52が嵌合穴右38に嵌入すると、検出端4
1が揺動し(図4(A)において時計方向)、これによ
って検出部42がプリンタ1の制御部8(図6参照)へ
検出信号を送信する様になっている。従って、プリンタ
1の制御部8は、アダプタ50がプリンタ1の用紙排出
口1bに取り付けられたことを認識し、これにより、ア
ダプタ50が装着された状態においては上流側から下流
側への用紙搬送動作を行わない様にすることができ、搬
送媒体がアダプタ50に引っ掛かって紙ジャムとなると
いった不具合を防止することが可能となっている。
【0033】次に、アダプタ50は、図5に示す様に左
右にグリップ部右55およびグリップ部左56を備え、
これらの間に、板状体としてのトレイ70を差し込む様
な形状を有している。一方、アダプタ50によって下方
から支持され、且つ、給紙の際の桁方向位置が規制され
るトレイ70には、光ディスクをセットする凹部71
と、光ディスクの中央に形成された丸穴と嵌合する凸部
72とが形成され、これによってセットされた光ディス
クがトレイ70において動かない様に保持される。ここ
で、トレイ70は、アダプタ50に一旦差し込まれる
と、アダプタ50に対して前後にスライド動作する際の
スライド範囲が、図示しない係合手段によって規制され
る様になっていて、これにより、トレイ70は一旦アダ
プタ50に差し込まれると、アダプタ50から容易に脱
落しない様になっている。従って、アダプタ50とトレ
イ70とは常に一体化した状態となり、アダプタ50と
トレイ70の取り扱い性を向上させている。
【0034】以上がプリンタ1の用紙搬送経路の詳細で
あり、以下、プリンタ1の制御系統について図6を参照
しつつ概説する。プリンタ1は、図示しないCPU、R
OM、RAM、外部コンピュータとの接続用インタフェ
ース、モータドライバ等を備えた制御部8を備えてい
る。制御部8には、前述した紙検出器11の検出信号
と、アダプタ50が装着されたことを検出する検出部4
2の検出信号が入力され、制御部8は、これによって必
要な制御を行う。また、制御部8はキャリッジ23を駆
動するキャリッジモータ36と、給紙ローラ13、搬送
駆動ローラ15,第1排紙駆動ローラ28、第2排紙駆
動ローラ29の共通の駆動源となる駆動モータ16を制
御対象として有し、これにより、制御部8の有するRO
Mに格納された種々の制御プログラムに従って、給紙ロ
ーラ13,搬送駆動ローラ15、第1排紙駆動ローラ2
8,第2排紙駆動ローラ29の駆動タイミング、回転速
度、回転量が制御される。以上が、プリンタ1の全体構
成である。
【0035】<2.第1排紙従動ローラの構成>次に、
図7及び図8を参照しつつ、第1排紙従動ローラ30の
詳細な構成について説明する。ここで、図7(A)は第
1排紙従動ローラ30の平面図、図7(B)同正面図
((A)のA矢視図)、図8は第1排紙従動ローラ31
の種々の実施形態を示す部分拡大斜視図である。
【0036】先ず、第1排紙従動ローラ30について説
明する。第1排紙従動ローラ30には、図7に示す様に
外周に歯30aが等間隔で複数配設されていて、当該歯
30aが単票紙P(以下では、説明の便宜上、被記録材
の例として単票紙Pを用いることとする)の印刷面と点
接触し、且つ、単票紙Pが搬送されることにより、第1
排紙従動ローラ30が従動回動する。また、第1排紙従
動ローラ30の軸心部には棒ばね32が挿通する様にな
っていて、該棒ばね32が、排紙フレーム下33に設け
られた排紙従動ローラホルダ43(図19参照)に軸支
され、これにより、第1排紙従動ローラ30は、第1排
紙駆動ローラ28に向けて付勢された状態となってい
る。
【0037】ここで、歯30aは、図7(B)に示す様
に、単票紙Pの搬送方向(図7(A)の矢印方向)から
見て左右対称の形状をなす様に形成されている。より詳
しくは、歯30aは図8(a)に示す様に先端に向かっ
て先細りする四角錐の形状をなし、その四角錐の形状
は、図7(B)に示す様に単票紙Pの搬送方向から見
て、単票紙Pの印刷面に直交する直線Vに対して線対称
となる形状となっている。従ってこれにより、歯30a
が単票紙Pの印刷面に食い込んだ状態で第1排紙従動ロ
ーラ30が回動しても、第1排紙従動ローラは振れが生
じることなく真っ直ぐに回動することになる。
【0038】つまり、図7(B)において、歯30aが
直線Vに対して非対称の形状(例えば、一方が垂直面で
片方が斜面)であると、歯30aが単票紙Pの印刷面に
食い込んだ際に当該歯30aには搬送方向と直交する方
向(図7(B)における左右方向)へ力が働き、これに
よって第1排紙従動ローラ30には回動に際して振れが
生じる。そして、振れが生じると、歯30aは単票紙P
の印刷面を抉る様な状態となり、第1排紙従動ローラ3
0の通過痕が目立ち易くなる。特に、単票紙Pに銀塩写
真並の超高画質印刷を行う場合にはより顕著となり、更
に、顔料インクを使用する際には印刷面へのインクの浸
透性が低いことからインク層が連れ去られ易く、歯30
aの通過痕がより一層目立ち易い。
【0039】しかし、歯30aは上述の様に単票紙Pの
搬送方向から見て左右対称の形状をなす様に形成されて
いるので、第1排紙従動ローラ30は振れが生じること
なく真っ直ぐに回動し、以て第1排紙従動ローラ30の
通過痕を最小限とすることができ、特に顔料インクを用
いて銀塩写真並の超高画質印刷を行う場合にも印刷品質
の低下を防止することができる。
【0040】尚、この様な歯30aの形状として、図8
(a)に示す本実施形態に係る歯30aの他に、図8
(b)乃至(d)に示す様な形状とすることもできる。
ここで、図8(b)は三角錐形状をなす歯30a、
(c)は円錐形状をなす歯30a、(d)は平面視(ロ
ーラ軸方向視)において三角形の形状をなし、単票紙P
の搬送方向から見て長方形の形状をなす歯30aを示し
ている。これらはいずれも単票紙Pの搬送方向からみて
左右対称の形状をなし、これによって第1排紙従動ロー
ラ30は振れが生じることなく真っ直ぐに回動すること
ができる。尚、図8に示した歯30aの種々の形態は例
示であり、その他の形状を採用可能であることは言うま
でも無い。
【0041】<3.第2排紙従動ローラの構成>次に、
図9乃至図15を参照しつつ、第2排紙従動ローラ31
の構成について詳説する。先ず、図9を参照しつつ、第
2排紙従動ローラ31の外観構成について説明する。こ
こで、図9(A)は第2排紙従動ローラ31の平面図、
図9(B)は同正面図((A)のB矢視図)である。
【0042】第2排紙従動ローラ31は、図9に示す様
に樹脂材料によって形成されたホイール31aに、ドー
ナツ形状をなすゴム材31b(本実施形態においては、
幅約3mm)が装着されてなる。また、ホイール31a
の軸心部には、前述した第1排紙従動ローラ30と同様
に棒ばね32が挿通する様になっていて、該棒ばね32
が、排紙フレーム下33に設けられた排紙従動ローラホ
ルダ43(図19参照)に軸支され、これにより、第2
排紙従動ローラ31は、第2排紙駆動ローラ29に向け
て付勢された状態となっている。
【0043】そして第2排紙従動ローラ31は、ゴム材
31bそのものの硬度を下げないでローラ外周面におけ
る硬度を下げる為に、外周面にシボ加工を施している
(本実施形態においては、シボ深さ20〜100μ
m)。ここで、ローラ外周面における硬度を下げるの
は、ローラ外周面における硬度を下げることによって単
票紙Pとの接触面積を増大させ、以て単票紙Pを確実に
精度良く精密送りする為である。即ち、第2排紙ローラ
27は、前述の通り単票紙Pの後端が搬送ローラ19を
外れた後においても確実に精度良く単票紙Pの精密送り
を実行する為に設けられるものであり、従って単票紙P
との接触面積を増大することによってより一層確実な搬
送力を得る為である。また、ゴム材31bそのものの硬
度を下げない様にするのは、ゴム材31bそのものの硬
度を下げると、可塑剤が滲出して単票紙Pの印刷面に悪
影響を及ぼすからである。尚、本実施形態においては、
第2排紙従動ローラ31の外周面の硬度は22〜30
(JIS硬度)となっている。
【0044】また、ゴム材31bの材料として、本実施
形態においてはCMゴム(塩素化ポリエチレンゴム)を
用いている。これは、CMゴムは、硬度を低くした場合
でも可塑剤が比較的滲出しづらいという性質を有してい
る為であり、これによっても、可塑剤の滲出を抑制して
印刷面への悪影響を防止している。加えて、本実施形態
における第2排紙従動ローラ31の外周面には、撥イン
ク処理が施されていて、これによってインクの転写の防
止を図っている。
【0045】次に、第2排紙従動ローラ31は、図2か
ら明らかな様に第1排紙従動ローラ30に比して外径d
rが大なる様に形成されている(本実施形態において
は、dr=15mm)。以下、第2排紙従動ローラ31
の外径drが大なる様になされたことによる作用効果に
ついて、図10乃至図15を参照しつつ詳説する。図1
0は、単票紙Pが、桁方向に複数個配設された第2排紙
従動ローラ31を矢印の方向に通過する様子を示してい
る。図10(A),(B)において、符号Aは、記録
ヘッド21によってインクが吐出された印刷領域(例え
ば、高画質写真印刷の様に高インクデューティによって
印刷された領域)を示し、図10(B)において符号A
は、これからインクが吐出される印刷領域を示してい
る。
【0046】前述の様に、第2排紙従動ローラ31は、
単票紙Pを確実に搬送する為に単票紙Pと面接触するゴ
ムローラからなっている。従って、図10に示す様に第
2排紙従動ローラ31が高インクデューティによって印
刷された領域を通過すると、未乾燥のインクが第2排紙
従動ローラ31に転着し、そして当該転着したインク
が、第2排紙従動ローラ31が1回転した際に印刷面に
転着して印刷結果に影響を及ぼすといった問題が生じ
る。この様なインクの転着の問題は、印刷領域Aにお
いて発生することによって印刷領域Aの印刷品質を低
下させる他、特に、第2排紙従動ローラ31が印刷領域
から抜けた後の余白領域Aにおいて発生すること
によって、より顕著に視認し易くなり、好ましくない印
刷結果を招くことになる。
【0047】そこで、プリンタ1においては、第2排紙
従動ローラ31の外径drを大なる様にすることによ
り、第2排紙従動ローラ31が1回転する時間を長く設
定し、以て第2排紙従動ローラ31の外周面に転着した
インクが、第2排紙従動ローラが1回転した時点で印刷
面に転着しない程度にまでローラ外周面に定着する様に
している。図11は、これをわかりやすく図示したもの
であり、図示する様にインクの濡れ領域におけるM
点(図10の領域A内)において第2排紙従動ローラ
31の外周面に付着したインクが、第2排紙従動ローラ
31がM地点から1回転した場合に相当する位置を示
すM地点(図10の領域A内)において、印刷面に
転着しない状態にまでローラ外周面に定着した状態とな
る様に、第2排紙従動ローラ31の外径dr、換言する
と、第2排紙従動ローラ31の外周長Lpが設定されて
いる。尚、図11における矢印は、単票紙Pの搬送方向
(排紙方向)を示している。
【0048】以下、第2排紙従動ローラ31の外径dr
の決定方法について詳しく説明する。図10において、
プリンタ1は印刷領域A或いはAにおいては、キャ
リッジ23を主走査方向に移動させてインクを吐出する
インク吐出工程と、搬送ローラ19を所定の回動速度で
回動駆動することにより、単票紙Pを副走査方向に予め
定められた量だけ紙送りする紙送り工程とを交互に繰り
返す。ここで、紙送り工程を実行する際における搬送ロ
ーラ19の回動速度(紙送り速度)及び1回の紙送り量
は、プリンタ1固有のものとして予め判明しているの
で、これにより、1回の紙送り工程に掛かる時間が判明
する。尚、紙送り速度及び1回の紙送り量は、種々の印
刷モード、例えば、ドラフト印刷、高品質文字印刷、画
像印刷、インターレース画像印刷、等々によって異なる
こととなるが、プリンタ1においては、画像の印刷を対
象とした印刷モードのうち、最も不利となる条件(第2
排紙従動ローラ31の1回転する時間が短くなるもの)
を採用する。以下、当該条件における紙送り速度をVc
(mm/s)とし、1回の紙送り量をFp(mm)とす
る。これにより、1回の紙送り工程に掛かる時間Tf
(s)は、Tf=Fp/Vcとなる。
【0049】一方、1回のインク吐出工程に掛かる時間
は、予め便宜的に決定する。即ち、キャリッジ23の移
動量(主走査範囲)はホストコンピュータ(図示せず)
から送信される印刷データ、つまり、単票紙Pの幅寸法
や或いは印刷領域の幅寸法によって変動する為、キャリ
ッジ23の移動量を便宜的な値(一定値)Wp(mm)
とし、このときのキャリッジ23の1パスに掛かる時間
(主走査時間)をTp(s)とする。
【0050】そして、第2排紙従動ローラ31に転着し
たインクが、印刷面に転着しない程度に定着する時間
(インク定着時間)Tc(s)は、高インクデューティ
によって印刷を行い、そして余白部分にインクの転着が
認められるか否かを、搬送ローラ19の回動速度、即
ち、紙送り速度を段階的に変化させることによって実験
的に求めることができる。
【0051】以上により、インク定着時間Tc内におい
て、前記紙送り工程は、 (Tc/(Tf+Tp)) (回) だけ行われることになり、従ってインク定着時間Tc内
において単票紙Pは、 (Tc/(Tf+Tp))×Fp (mm) だけ紙送りされる。従ってこれが、第2排紙従動ローラ
31の外周長Lpに最低求められる値となる。即ち、 Lp≧(Tc/(Tf+Tp))×Fp (mm) となる。
【0052】尚、主走査時間Tp及びインク定着時間T
cは、安全を考慮して小さめに設定することが望まし
い。従って、第2排紙従動ローラ31の外径drに制限
がなければ、主走査時間Tp、即ち、キャリッジ23の
1パス分の時間を考慮に入れずに、紙送り工程時間Tf
のみを考慮して外周長Lpを決定することが望ましい。
加えて、インク定着時間Tcは、プリンタ1の置かれる
環境の温度等によっても左右されるので、この様な条件
をも考慮して決定されることが望ましい。しかしなが
ら、より安全を考慮する程、第2排紙従動ローラ31の
外径drは大なるものとなり、プリンタ1への組み込み
が困難となるので、最も一般的な使用条件(室温)を前
提とし、最もインク転着の防止効果が得られる印刷モー
ド(画像印刷モード)を考慮して、インク定着時間Tc
或いは主走査時間Tpを決定することが望ましいと言え
る。
【0053】以上により、第2排紙従動ローラ31が1
回転する間に、当該第2排紙従動ローラ31に転着した
インクが、印刷面に転着しない程に第2排紙従動ローラ
31に定着するので、これにより、紙送り工程とインク
吐出工程との間に待ち時間を設けずにインクの転着を防
止することができ、以て印刷スループットを低下させず
にインクの転着を防止することが可能となる。
【0054】尚、インク転着の防止効果を得る為には、
少なくとも一定の条件下において、第2排紙従動ローラ
31に転着したインクが、当該第2排紙従動ローラ31
が1回転する間に、印刷面に転着しない程に当該第2排
紙従動ローラ31の外周面に定着していれば良い。従っ
て、必ずしも全ての条件(単票紙Pの紙質、周囲の環
境、インク成分・色、等々)下においてインク定着を防
止できずとも、一定条件下でこの様な機能を奏すること
のできるインクジェットプリンタは、本実施形態に係る
プリンタ1が奏する作用効果と同様な作用効果を奏する
と言える。
【0055】次に、印刷実行時におけるより具体的な制
御方法について図12乃至図15を参照しつつ説明す
る。ここで、図12はプリンタ1における印刷制御のフ
ローチャートであり、図13はその変形例(他の実施
例)、図14は余白送り制御のフローチャートであり、
図15は図12に示した印刷制御を実行中における単票
紙Pの状態を示す説明図である。尚、図12及び図13
に示した印刷制御は、制御プログラムとして図示しない
記憶装置に格納され、制御部8(図6参照)によって実
行される。
【0056】図12に示した制御ルーチン200におい
ては、先ず用紙頭出しを行い(ステップS201)、そ
の後に印刷を開始する。印刷実行中は、キャリッジ23
の主走査(インク吐出工程)及び副走査送り(紙送り工
程)を交互に実行する。尚この時の紙送り速度はVc
(mm/s)であり、また、紙送り量はFp(mm)で
あり、第2排紙従動ローラ31の外径drは、これに合
わせて決定されている為、インクの転着が防止された状
態となっている。
【0057】一方、余白送りを実行する場合(例えば、
図10(b)に示した印刷領域Aの印刷終了時)に
は、ステップS205によって余白送り制御を実行す
る。ここで、余白送り制御を実行するのは、余白部分を
形成する為に紙送り工程を連続して実行すると、第2排
紙従動ローラ31に転着したインクがローラ外周面に定
着する前に当該第2排紙従動ローラ31が1回転する虞
があるからである。
【0058】図14に示す余白送り制御ルーチン400
では、紙送り速度をVsに設定する(ステップS40
1)。紙送り速度Vs(mm/s)は、ローラ外周長
(Lp)/インク定着時間(Tc)によって求め、これ
により、インク定着時間が確保される。そして、所定量
の余白送りを実行した後に(ステップS402)、再度
紙送り速度をVcに戻し、メインルーチンへ戻る。
【0059】次に、図12に戻って印刷が終了した状
態、より詳しくは、インクの吐出が全て完了した状態
(ステップS206の肯定枝)では、単票紙Pは、例え
ば図15(a)に示す様な状態となっている。図15
(a)において、記録ヘッド21から下流側(右側)の
印刷面はインクで濡れた領域(印刷領域)となってい
て、記録ヘッド21から上流側(左側)は、下端マージ
ン部分となっている。従って、当該状態から単票紙Pを
高速で排出すると、インクの転着を招く虞があり、従っ
てステップS207において送り速度を余白送り制御時
と同様な値Vsに設定し、そして印刷領域の後端部分が
第2排紙従動ローラ31に到達するまで(図15(b)
の状態)、排紙送りを実行する(ステップS20
8)。ここで、排紙送りにおける紙送り量はLc(m
m)であり、これは、本実施形態においては記録ヘッド
21における最も上流側のノズル位置から、第2排紙従
動ローラ31に至る距離である(図15(a)参照)。
尚、図15(b),(c)において符号Peは、単票紙
Pの後端を示している。
【0060】そして次に、下端マージンLe(mm)
が、第2排紙従動ローラ31の外周長Lpよりも大なる
か否かを判断し(ステップS209)、下端マージンL
eが外周長Lpよりも小さければ(ステップS209の
否定枝)、送り速度をVf(高速)に設定し(ステップ
S211)、単票紙Pの最終的な排紙送りである排紙送
りを実行する(ステップS212)。一方、下端マー
ジンLeが外周長Lpよりも大きいと(ステップS20
9の肯定枝:図15(b)に示す様な状態)、インク転
着の虞がある為、低速度(速度Vs)のまま第2排紙従
動ローラ31が1回転するまで紙送りを行う(ステップ
S210)。この状態を、図15(c)に示す。これに
より、図15(c)に示す様に、図15(b)の状態に
おいて第2排紙従動ローラ31が(上流側に向かって)
1回転した場合に相当する位置Qが、第2排紙従動ロー
ラ31の地点まで移動する。
【0061】そしてその後、送り速度をVf(高速)に
設定して(ステップS211)単票紙Pの最終的な排紙
送りを行う(ステップS212)。これにより、単票紙
Pの下端マージンが大きい場合であってもインク転着が
発生せず、且つ、インク転着の虞が無くなった後(図1
5(c)に示す状態から後)は、高速で紙送りすること
によって迅速に排紙される。
【0062】尚、以上においては、図15(b)に示し
た状態から、ゆっくりとした紙送りを続けることによっ
てインク転着を防止しているが、図13に示す様に、図
15(b)に示した状態で一旦待ち時間を置き、そして
その後に高速に排紙する様にしても良い。より詳しく
は、図13において、ステップS309迄は図12と同
様である。そして、下端マージンLeがローラ外周長L
pよりも大きいと判断した場合には、時間Twだけ待ち
時間を置き(ステップS210)、そしてその後に送り
速度をVf(高速)に設定して(ステップS311)、
単票紙Pの最終的な排紙を行う。ここで、時間Twは、
紙送り速度Vfによって第2排紙従動ローラ31を1回
転させた時間(外周長Lp/紙送り速度Vf)を、イン
ク定着時間Tcから引いた値を採用する。これにより、
高速で紙送りを行っても、第2排紙従動ローラ31が1
回転する時間は、インク定着時間Tcと同一となり、こ
れにより、インクの転着を防止することができる。尚、
以上説明した印刷制御は一例であり、第2排紙従動ロー
ラ31が1回転する時間が、インク定着時間Tc以上と
なる様な制御方法であれば、どの様なものであっても構
わないことは言うまでも無い。
【0063】<4.排紙フレームの取り付け構造>次
に、図16乃至図19を参照しつつ、排紙フレーム下3
3の取り付け構造について詳説する。ここで、図16
(A)は排紙フレーム下33の右端部の斜視図、図16
(B)は同左端部の斜視図、図17は排紙フレーム下3
3をプリンタ1の手前側(下流側)から見た図であり、
図18は排紙フレーム下33の中央部付近の斜視図、図
19は排紙フレーム下33の側面図である。
【0064】図16において、サイドフレーム右6には
L字形のフック形状をなすフレーム係合部右6bが形成
され、該フレーム係合部右6bと、排紙フレーム下33
の右端手前(下流側)に形成された、L字形のフック形
状をなす被係合部右33dとが係合している。また、サ
イドフレーム右6においてフレーム係合部右6bから奥
側(上流側)には、排紙フレーム下33の側に突出する
様に舌片6cが形成され、該舌片6cに、排紙フレーム
下33の右端奥側(上流側)が乗る様になっている。一
方、サイドフレーム左7側も同様に、L字形のフック形
状をなすフレーム係合部左7bと被係合部左33eとが
係合し、更に、排紙フレーム下33においてサイドフレ
ーム左7から外側に突出する様に形成された舌片33c
が、図示する様にサイドフレーム左7に形成された窓穴
の縁部に乗る様になっている。以上により、排紙フレー
ム下33は、手前側(下流側)、即ち、フレーム係合部
右6bおよびフレーム係合部左7bを支点とし、奥側
(上流側)が上方に浮き上がる様に揺動することができ
る様になっている。
【0065】また、サイドフレーム右6にはコイルばね
45aの一端が掛止するばね掛止部6aが形成され、排
紙フレーム下33の右端中程にはコイルばね45aの他
端が掛止するばね掛止部33aが形成され、これらばね
掛止部にコイルばね45aが掛止することによって排紙
フレーム下33を手前側に引き寄せる様な外力を付与し
ている。一方、排紙フレーム下33の左側も同様に、サ
イドフレーム左7に形成されたばね掛止部7aおよび排
紙フレーム下33左側においてやや中央部(搬送経路を
側視して中央部)に形成されたばね掛止部33bにコイ
ルばね45bが掛止し、排紙フレーム下33を手前側に
引き寄せる様な外力を付与している。よって、排紙フレ
ーム下33は、コイルばね45a,45bのばね力によ
ってサイドフレーム右6およびサイドフレーム左7に弾
性的に保持される。尚、ばね掛止部6aとばね掛止部7
aとは、共にばね掛止部33aおよびばね掛止部33b
よりも下方に形成され、これによって排紙フレーム下3
3は、コイルばね45a,45bから下方に引き寄せら
れる様な外力を受け、これによって排紙フレーム下33
の上流側が容易に上方に浮き上がらない様になってい
る。
【0066】次に、排紙フレーム下33の上面を下方に
向けて付勢する付勢手段、排紙フレーム下33の撓みを
規制する撓み規制手段、排紙フレーム下33の曲げモー
メントを緩和する曲げモーメント緩和手段について説明
する。図17において、排紙フレーム下33は桁方向
(図17の左右方向)に長く、且つ、前述の様に両側端
をサイドフレーム右6とサイドフレーム左7とによって
弾性的に保持されている。従って、排紙フレーム下33
は、いわば両端が自由端となっている両端支持はりの状
態となっている。一方、排紙フレーム下33は前述の通
り桁方向に複数の第1排紙従動ローラ30および第2排
紙従動ローラ31を有し、これらローラは、その下に配
置された第1排紙駆動ローラ28および第2排紙駆動ロ
ーラ29に付勢手段(図7および図8に示した棒ばね3
2)によって弾性的に接触している。従って、排紙フレ
ーム下33は、これらローラによる上方へ向かう荷重を
受け、上に凸となる方向に撓もうとする。つまり、換言
すると、両端支持はりに複数の集中荷重が加わった状態
となる。
【0067】ここで、排紙フレーム下33が上に凸とな
る方向に撓むと、以下の様な不具合が生ずる。即ち、第
1排紙従動ローラ30および第2排紙従動ローラ31
は、排紙フレーム下33が撓まずに水平面に沿った状態
においては被記録材の印刷面に対して垂直に接するが、
排紙フレーム下33が上に凸となる様に撓むと、印刷面
に対して垂直に接することができなくなる。その結果、
特に、第1排紙従動ローラ30は図7を参照しつつ説明
した様に外周に歯を有する歯付きローラである為、印刷
面に対して垂直に接しないと、回動と共に印刷面を抉る
様な状態となり、印刷面を傷めることになる。
【0068】そこで、プリンタ1においては、この様な
不具合を防止する為に、図17に示す様に桁方向におけ
る中央付近に、排紙フレーム下33の上面(被記録材通
過側と反対側の面)を、下方(被記録材通過側)に向け
て付勢するコイルばね44を備えている。コイルばね4
4は、図17及び図18に示す様に排紙フレーム上33
の上部に設けられた補助フレーム40の、水平に折り曲
げられたばね当接部40aの下面と、排紙フレーム下3
3の上面とに付勢力を付与する。従って、当該コイルば
ね44による下向きの付勢力が、前述した第1排紙従動
ローラ30および第2排紙従動ローラ31とによる上向
きの荷重に対抗し、これによって排紙フレーム下33が
上に凸となる方向に撓む現象を抑制し、第1排紙従動ロ
ーラ30が長期に渡って常に印刷面に対して垂直に接す
ることが可能となることにより、高い印刷品質を維持す
ることが可能となっている。
【0069】尚、本実施形態においてコイルばね44
は、図18に示す様に排紙フレーム下33において、第
2排紙従動ローラ31の近傍に配設されているので、図
2から明らかな様にコイルばね44がキャリッジ23の
主走査方向への往復動作に邪魔になることは無い。
【0070】ところで、上述からコイルばね44は、排
紙フレーム下33の撓みを規制する「撓み規制手段」を
構成し、或いは、排紙フレーム下33に生ずる曲げモー
メントを緩和する「曲げモーメント緩和手段」を構成す
る、と言うこともできる。従って、この様な手段として
はコイルばね44に限られず、他の弾性手段であっても
良い。また、弾性的に排紙フレーム下33に力を付与す
るのではなく、例えばコイルばね44の代替として、撓
みを規制する規制部材を配設しても良い。つまり、弾性
的に排紙フレーム下33に力を付与するのではなく、非
弾性的に排紙フレーム下33に力を付与する様なもので
あっても良い。また、排紙フレーム下33へ付与する力
の作用点は、本実施形態の様に桁方向における略中央部
付近に1つである必要はなく、桁方向に複数配置しても
良い。
【0071】次に、排紙フレーム下33を揺動させる手
段、即ち、排紙フレームを前述した「離間姿勢」と「接
触姿勢」とに変化させる手段について、主として図19
を参照しつつ説明する。図19に示す様に、排紙フレー
ム下33に設けられた従動ローラホルダ43には、レリ
ースローラ34が1つ、自由回動可能に軸支されてい
る。レリースローラ34は、図4に示す様に排紙フレー
ム下33の左側端側の上流に設けられ、更にその上下位
置は、図19に示す様に第1排紙従動ローラ30からや
や下方に突出する様に設けられている。ここで、図19
(A)に示す様にトレイ70が第2排紙駆動ローラ29
と第2排紙従動ローラ31との間から上流側に向けて挿
入されると、図19(B)に示す様に、トレイ70にお
ける左側端部分、即ち、トレイ70の記録領域外の部分
(光ディスクをセットする凹部71(図5参照)から外
れた部分)がレリースローラ34と接触し、そしてレリ
ースローラ34を上方に押し退け、これにより、排紙フ
レーム下33が離間姿勢をとり、第1排紙従動ローラ3
0が、トレイ70にセットされた光ディスクの印刷面に
接触しない位置まで離間する。
【0072】つまり、搬送媒体としてのトレイ70が、
直接に排紙フレーム下33を離間姿勢に変化させ、第1
排紙従動ローラ30を上方に変位させる構成となってい
るので、操作レバーおよびリンク機構等によってユーザ
が手動で排紙フレーム下33の姿勢を変化させる様な構
成と比して、低コスト化を図ることが可能となる。また
同時に、トレイ70を利用して光ディスクに印刷を行う
際に、ユーザが第1排紙従動ローラ30を上方に退避さ
せないまま印刷を実行する様なことが無く、光ディスク
の印刷面直下にあるデータ記憶領域を確実に保護するこ
とができる。更に、搬送媒体が直接に第1排紙従動ロー
ラ30を上方に変位させるので、第1排紙従動ローラ3
0の上方への変位量が正確となる。
【0073】尚、レリースローラ34は、挿入されたト
レイ70の記録領域外の部分と係合して排紙フレーム下
33の姿勢を変化させる「係合部」であるので、必ずし
も回転体である必要は無いが、本実施形態の様に回転体
(ローラ)とすることによって円滑に且つ負荷なくトレ
イ70を挿入することが可能となる。また、本実施形態
においては、レリースローラ34は記録ヘッド21の印
刷可能領域外、即ち、プリンタ1後方側から給送される
単票紙P或いはボード紙等(図2において符号および
で示す方向に給送される搬送媒体)の側端から外れた
位置に設けられていて、これにより、プリンタ1後方側
から搬送媒体が搬送されても、当該搬送媒体によっては
第1排紙従動ローラ30は上方に離間せず、以て第1搬
送ローラ26と第2搬送ローラ27とによる適切な排紙
動作を実行することが可能となっている。
【0074】<5.第2排紙従動ローラのレリース手段
の構成>次に、主として図20および図21を参照しな
がら、適宜その他の図面をも参照しつつ、第2排紙従動
ローラ31を第2排紙駆動ローラ29から離間させるロ
ーラレリース手段について説明する。ここで、図20は
排紙フレーム下33の外観斜視図であり、図21は排紙
フレーム下33の側断面図(部分拡大図)である。
【0075】先ず、図20に示す様に排紙フレーム下3
3の長手方向において左側に偏倚した場所であって下流
側端部には、排紙フレーム下33の長手方向に長い送り
従動ローラレリース部材(以下「レリース部材」と言
う)46が設けられている。レリース部材46の、排紙
フレーム下33の長手方向における配設位置は、より詳
しくは図4(A)に示す様にアダプタ取付部37の配設
位置と同じであって、アダプタ50がアダプタ取付部3
7に取り付けられた際に、アダプタ50の先端部と係合
可能な位置(アダプタ50によって押される位置)に配
設されている。
【0076】以下、図21を参照しつつより詳しく説明
する。図21(A)において、レリース部材46は排紙
フレーム下33の長手方向に延びる回動軸46aを有
し、該回動軸46aを中心に、被記録材搬送経路を側視
して回動可能に設けられている。回動軸46aから下に
は、第2排紙従動ローラ31の外周部に当接可能な当接
部46bが形成されていて、レリース部材46が回動軸
46aを中心に回動すると、当接部46bが第2排紙従
動ローラ31の外周に当接する様に構成されている。
【0077】一方、第2排紙従動ローラ31の外周に当
接する当接部46bの反対側(被記録材搬送経路を側視
して右側)は、アダプタ取付部37の下方に位置するア
ダプタ係合部46cとなっていて、図21(A)に示す
様にアダプタ50の嵌合凸部52がアダプタ取付部37
に嵌合すると、アダプタ50の先端面50aがアダプタ
係合部46cに当接し、そしてレリース部材46を、当
接部46bが第2排紙従動ローラ31の外周面に当接す
る方向に回動させる。すると、図21(B)に示す様
に、レリース部材46が第2排紙従動ローラ31の回動
軸をなす棒ばね32のばね力に抗して第2排紙従動ロー
ラ31を第2排紙駆動ローラ29から離間(レリース)
させる。
【0078】以上の様に構成されたローラレリース手段
の作用効果について説明する。プリンタ1は、前述の通
りトレイ70をセットしたアダプタ50をアダプタ取付
部37に着脱自在に取り付け可能に構成されていて、ト
レイ70を第2排紙従動ローラ31と第2排紙駆動ロー
ラ29との間から手差し給送する際には、アダプタ50
をアダプタ取付部37に取り付け、アダプタ50上から
トレイ70を手差し給送する様になっている。一方、ト
レイ70にセットされた光ディスクは、インク滴の浸透
性が悪く、印刷面に第2排紙従動ローラ31が接触する
とインクの転着を招き易く、また、トレイ70の排紙動
作は、搬送ローラ19(図2参照)によって行うことが
できるので、必ずしも第2排紙従動ローラ31と第2排
紙駆動ローラ29とでトレイ70をニップする必要は無
い。従って、トレイ70を用いて適切に光ディスクへ印
刷を行うには、第2排紙従動ローラ31を第2排紙駆動
ローラ29から離間させる必要があるが、ユーザが印刷
前に予め第2排紙従動ローラ31を第2排紙駆動ローラ
29から離間させる様な構成であると、ユーザの操作忘
れの虞がある。
【0079】しかし、プリンタ1においては、前述の様
にアダプタ50をアダプタ取付部37に取り付けた際
に、アダプタ50の一部(先端面50a)がレリース部
材46に当接し、これによって第2排紙従動ローラ31
が第2排紙駆動ローラ29から離間(レリース)するの
で、トレイ70を手差し給送する際には必ず第2排紙従
動ローラ31が第2排紙駆動ローラ29から離間した状
態となる。従って、トレイ70を用いて光ディスクへの
印刷を実行する際に、ユーザの操作ミス、即ち、第2排
紙従動ローラ31のレリース忘れを防止することがで
き、確実に適切な印刷結果を得ることができる。
【0080】尚、本実施形態においては、図4に示す様
にレリース部材46は、桁方向に複数個配置された第2
排紙従動ローラ31のうち、アダプタ50上から給送さ
れるトレイ70の範囲に位置するものにのみ(本実施形
態においては、6個)当接する様に構成されているの
で、不必要な第2排紙従動ローラ31を離間させる必要
が無く、レリース部材46の低コスト化を計ることがで
きる。
【0081】尚、本実施形態においては、アダプタ50
はトレイ70を適切に給送する為の専用の構成要素とし
て構成されているが、トレイ70のみならず、例えば厚
手のボード紙等をアダプタ50上から給紙し、そしてア
ダプタ50上に排紙する様に構成することも可能であ
る。この場合、アダプタ50は、前記ボード紙等を下方
から支持する給紙トレイおよび排紙トレイの機能を果た
すとともに、給紙の際の桁方向位置を規制する機能を果
たすことになる。
【0082】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、歯
付きローラの歯が、被記録材の搬送方向から見て左右対
称の形状をなす様に形成されているので、歯が被記録材
の記録面に食い込んでも当該左右対称の形状によって歯
付きローラの振れが生じない。従ってこれにより、歯が
記録面を抉る様なことが無く、以て歯付きローラの痕跡
を最小限とすることが可能となり、写真画質を実現する
高画質印刷においてもより高い印刷品質を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンタの外観斜
視図である。
【図2】本発明に係るインクジェットプリンタの側断面
概略図である。
【図3】本発明に係るインクジェットプリンタを構成す
る、排紙フレーム下及び位置決め用アダプタの側面図で
ある。
【図4】(A)は本発明に係るインクジェットプリンタ
を構成する、アダプタ取付部の平面図であり、(B)は
同正面図である。
【図5】本発明に係るインクジェットプリンタを構成す
る、位置決め用アダプタをアダプタ取付部に取り付ける
作業を示す説明図である。
【図6】本発明に係るインクジェットプリンタの制御系
統のブロック図である。
【図7】(A)は本発明に係るインクジェットプリンタ
を構成する、第1排紙従動ローラの平面図であり、
(B)は同正面図((A)のA矢視図)である。
【図8】第1排紙従動ローラの他の実施形態を示す部分
拡大斜視図である。
【図9】本発明に係るインクジェットプリンタを構成す
る、第2排紙従動ローラの平面図であり、(B)は同正
面図((A)のB矢視図)である。
【図10】単票紙が第2排紙従動ローラを通過する様子
を示す説明図である。
【図11】第2排紙従動ローラの外径とインクの転着と
の関係を示す説明図である。
【図12】本発明に係るインクジェットプリンタの印刷
制御のフローチャートである。
【図13】図12に示した印刷制御のフローチャートの
変形例である。
【図14】本発明に係るインクジェットプリンタの余白
送り制御のフローチャートである。
【図15】図12に示した印刷制御を実行中における単
票紙の状態を示す説明図である。
【図16】(A)は本発明に係るインクジェットプリン
タを構成する、排紙フレーム下の右端部の斜視図であ
り、(B)は同左端部の斜視図である。
【図17】本発明に係るインクジェットプリンタを構成
する、排紙フレーム下の正面図である。
【図18】本発明に係るインクジェットプリンタを構成
する、排紙フレーム下の中央部付近の斜視図である。
【図19】本発明に係るインクジェットプリンタを構成
する、排紙フレーム下の側面図である。
【図20】本発明に係るインクジェットプリンタを構成
する、排紙フレーム下の外観斜視図である。
【図21】本発明に係るインクジェットプリンタを構成
する、排紙フレーム下の側断面図(部分拡大図)であ
る。
【図22】(A)は従来技術に係る歯付きローラの平面
図であり、(B)は同正面図((A)のx矢視図)であ
る。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ 1b 用紙排出口 5 給紙装置 6 サイドフレーム右 7 サイドフレーム左 8 制御部 11 紙検出器 14 紙検出レバー 15 搬送駆動ローラ 16 駆動モータ 17 搬送従動ローラ 19 搬送ローラ 21 インクジェット記録ヘッド 26 第1排紙ローラ 27 第2排紙ローラ 28 第1排紙駆動ローラ 29 第2排紙駆動ローラ 30 第1排紙従動ローラ 31 第2排紙従動ローラ 32 棒ばね 33 排紙フレーム下 34 レリースローラ 35 排紙フレーム上 36 キャリッジモータ 37 取付部 40 補助フレーム 43 排紙従動ローラホルダ 44 コイルばね 46 レリース部材 47 補助フレーム 50 位置決め用アダプタ 70 記録媒体搬送用トレイ P 単票紙
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65H 29/22 B41J 3/04 101Z (72)発明者 中島 洋生 長野県諏訪市大和3丁目3番5号 セイコ ーエプソン株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA07 HA32 HA33 2C059 AA04 AA05 AA22 AA26 AB01 BB07 BB10 BB11 BB13 BB22 CC03 CC21 CC25 3F049 AA10 CA02 CA03 DA11 DA12 LA07 LB03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被記録材の記録面と点接触し、且つ、回
    動駆動される排紙駆動ローラとの間で被記録材をニップ
    して従動回動する、外周に歯を有する歯付きローラであ
    って、 前記歯が、被記録材の搬送方向から見て左右対称の形状
    をなす様に形成されている、ことを特徴とする歯付きロ
    ーラ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記歯が先細り形状
    をなしていることを特徴とする歯付きローラ。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記歯が四角錐の形
    状をなしていることを特徴とする歯付きローラ。
  4. 【請求項4】 請求項2において、前記歯が三角錐の形
    状をなしていることを特徴とする歯付きローラ。
  5. 【請求項5】 請求項1において、前記歯が円錐の形状
    をなしていることを特徴とする歯付きローラ。
  6. 【請求項6】 被記録材をニップする排紙ローラを有
    し、当該排紙ローラの回動によって被記録材を排紙する
    排紙装置であって、前記排紙ローラが、 回動駆動される排紙駆動ローラと、 付勢手段によって該排紙駆動ローラに向けて付勢され
    る、請求項1から5のいずれか1項に記載の歯付きロー
    ラと、からなることを特徴とする排紙装置。
  7. 【請求項7】 被記録材にインク滴を吐出することによ
    って記録を行うインクジェット記録ヘッドを備えた記録
    装置であって、前記インクジェット記録ヘッドの下流側
    に、請求項6記載の排紙装置を備えていることを特徴と
    するインクジェット記録装置。
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