JP2003243840A - 熱伸縮防止板及び基板の熱伸縮防止方法 - Google Patents

熱伸縮防止板及び基板の熱伸縮防止方法

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JP2003243840A
JP2003243840A JP2002034884A JP2002034884A JP2003243840A JP 2003243840 A JP2003243840 A JP 2003243840A JP 2002034884 A JP2002034884 A JP 2002034884A JP 2002034884 A JP2002034884 A JP 2002034884A JP 2003243840 A JP2003243840 A JP 2003243840A
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substrate
circuit board
contraction
thermal expansion
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Masatoshi Kato
正利 加藤
Akio Fushihara
昭夫 伏原
Atsuyuki Okada
敦行 岡田
Akio Harada
昭雄 原田
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Daiken Kagaku Kogyo KK
Original Assignee
Daiken Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光・現像・乾燥等の処理工程で温度変動を
受けても回路基板が熱伸縮しない方法を開発し、特に多
層回路基板の高精度化と高密度化を実現する。 【解決手段】 本発明に係る熱伸縮防止方法は、低熱膨
張係数の非熱伸縮性材料で熱伸縮防止主板1aを形成
し、この熱伸縮防止主板1aの表面に温度領域によって
粘着性と非粘着性が切り換わる感温性粘着剤層1bを形
成した熱伸縮防止板1を用意し、粘着性温度領域におい
て感温性粘着剤層1bの表面に回路基板などの物品を接
着させて固定し、露光・現像・乾燥などの中間処理にお
いて温度変動があっても粘着剤層1bの粘着性によって
回路基板等の熱伸縮を防止し、その後非粘着性温度領域
において回路基板などを粘着剤層1bから容易に分離で
きることを特徴としている。特に、この方法は多層回路
基板48において有効で、1層毎の回路基板のサイズを
高精度に維持して、多層組立においても両端を面一にす
るだけで内部回路の位置合わせを簡単にしかも高精度に
行うことを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は主としてセラミック
ス基板に回路パターンを形成した回路基板に関し、更に
詳細には、基板となるグリーンシートに回路材料とフォ
トレジストを混合した感光ペースト層を形成し、この感
光ペースト層に対し露光・現像処理をする過程で加熱・
冷却によるグリーンシートの熱伸縮を防止し、特にこの
グリーンシートを複数層積層する多層回路基板のサイズ
設計を高精度化でき、同時に外観を秀麗に形成できる基
板の熱伸縮防止方法及び熱伸縮防止板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における情報通信技術や電子装置の
進歩は、回路基板の小型化・高密度化を促進し、薄膜技
術と多層化技術を融合した高密度多層回路基板を出現さ
せている。また、自動車などの走行車両やジェット機や
ロケット等の分野では、エンジン系や路面摩擦・空気摩
擦などにより発生する高温・高湿・振動・粉塵に耐える
電子装置の開発が急ピッチに進められている。
【0003】小型化・高密度化に加えて耐熱・耐湿・耐
振・耐塵特性などを電子装置に導入するには、回路基板
にそれらの性質を具有させることが要請される。回路基
板は回路パターンを基板表面に形成した素材であるが、
特に耐熱・耐高温特性を導入するために基板としてセラ
ミックス基板が用いられている。
【0004】特に、多層回路基板では、上下に重なる基
板同士はスルーホールを介して相互に導通されており、
スルーホールと各基板の配線との接続は極めて高精度に
行なわれる必要がある。つまり、スルーホールの位置と
配線との相互位置関係は極めて精細に行なわれ、更に高
密度になって回路パターンが微細化すると、その相互位
置関係も設計通りに高精細を要求される。
【0005】図6はセラミックス基板を用いた従来の多
層回路基板の製造工程図である。(A)では、設計に従
ってスルーホール5を穿孔されたグリーンシート2が所
定位置に配置されている。このグリーンシート2は、セ
ラミックス粉末を有機系の溶剤と有機バインダ及び可塑
剤で混錬してスラリー化し、このスラリーをシート状に
形成した生の素材である。
【0006】(B)では、グリーンシート2の上に感光
ペースト層4を形成して未露光基板3を構成している。
まず、感光剤であるフォトレジストを回路材料、例えば
導体材料であるAg粉末と一様に混合して感光ペースト
を形成し、この感光ペーストをグリーンシート2の表面
に塗着して感光ペースト層4が形成される。このとき、
スルーホール5の中まで感光ペーストが充填される。
【0007】(C)では、感光ペースト層4にフォトマ
スク60を介して紫外線を照射し、回路パターンの潜像
を形成する。フォトマスク60には、白地で示した透光
部60aと斜線で示した不透光部60bが形成されてい
る。
【0008】このフォトマスク60を感光ペースト層4
に対向させ、その全面に紫外光62を照射する。紫外光
62は不透光部60bで遮断され、透光部60aだけを
透過する。従って、感光ペースト層4には、紫外光照射
を受けた露光部4aと紫外光の照射を受けていない未露
光部4bが形成されることになる。しかし、紫外光62
はスルーホール5の内部まで到達しないので、スルーホ
ール5の中にはスルーホール感光ペースト4cが未感光
のまま残存することになる。
【0009】(D)では、現像装置12から現像液14
を噴霧したり、現像液に浸漬して、感光ペースト層4の
全面を現像する。未露光部4bには潜像が形成されてい
ないから、感光ペーストが除去されて除去領域16にな
る。他方、潜像が形成された露光部4aは、現像により
フォトレジストが重合して硬化し、そのまま残留する。
従って、グリーンシート2の表面に未焼成の回路パター
ン17が形成される。
【0010】しかし、この現像工程により、スルーホー
ル感光ペースト4cも同様に除去される。但し、スルー
ホール5の中は極めて狭い空間であるから、感光ペース
トが完全に除去される場合もあれば、部分的に除去され
る場合もあり、或いは全く除去されずにそのまま残留す
る場合もある。従って、この現像工程により、感光ペー
スト完全欠落部4dや感光ペースト部分欠落部4eが形
成される。
【0011】また、前述した露光処理や現像処理、その
後に行なわれる乾燥処理では、グリーンシート2は加熱
を受けたり冷却されたりするため、その度毎にグリーン
シート2は熱膨張や熱収縮を引き起こす。従って、乾燥
後に得られるグリーンシート2のサイズLには熱伸縮に
より多少のバラツキが生じることは避けられない。
【0012】(E)では、乾燥されたグリーンシート2
を所要枚数だけ積層して未焼成多層回路基板46を形成
し、この状態のまま上下から圧力Pを印加する。圧力P
を加えることによって、グリーンシート2を相互に不動
状態に保持し、グリーンシート同士を位置ずれなく一体
化させる。
【0013】(F)では、圧力Pを加えた状態で未焼成
多層回路基板46を所要温度で焼成する。この焼成によ
り、グリーンシート2の有機物は全て燃焼して除去さ
れ、残留したセラミックス材料が焼結してセラミックス
基板18が形成される。同時に、未焼成回路パターン1
7の有機物も全て燃焼して除去され、例えば回路材料の
一種である残留したAg粉末が均一なAg膜となって回
路パターン20を形成する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、この従来技
術には大きな問題点が二つ存在する。第1の問題点は、
各グリーンシート2のサイズLにバラツキがあるため
に、左右両端が不揃いになる事である。上述したよう
に、この不揃いは露光・現像・乾燥工程における熱膨張
と熱収縮(以下、熱伸縮と称する)が原因であり、この
不揃いは熱伸縮を抑制できない従来技術の必然的結果で
ある。
【0015】不揃いは左右両端に生じるだけでなく、相
互に重なる基板の内部回路にも上下不一致のずれが生じ
る。詳細に述べれば、上下の回路パターンはスルーホー
ルによって導通接続されるが、熱伸縮により相互に横方
向にずれるから、接続できない場合が生じたり、回路内
に抵抗やコンデンサなどの素子が組み込まれる場合に
は、素子同士の接続に誤差が生じて誤動作の原因になる
事もある。
【0016】第2の問題点は、スルーホール5の中に感
光ペースト完全欠落部4dと感光ペースト部分欠落部4
eが存在し、焼成した場合にスルーホール5に導体金属
が充填されない結果、上下の回路基板が導通接続されな
い可能性があることである。
【0017】多層回路基板48において、スルーホール
5は上下のセラミックス基板18を導通接続させる重要
な役割を担なっており、この導通がないと上下の回路が
分離されるために、多層回路基板が全体として動作しな
い事態が生じる。多数のスルーホール5のうち、ただ一
つのスルーホールが不導通となるだけで、多層回路基板
の故障となり、そのような多層回路基板は不良品として
廃棄される。
【0018】従って、本発明に係る基板の熱伸縮防止方
法は、低熱膨張係数の熱伸縮防止板を基板に接着させ、
露光・現像・乾燥などの中間工程において加熱や冷却処
理を受けても、熱伸縮防止板により基板の熱変形を規制
して基板の熱伸縮を強制的に遮断でき、複数の基板を積
層しても熱伸縮していないために基板が相互にずれるこ
となく設計通りに正しく動作する多層回路基板を提供す
ることを目的とする。また、熱伸縮防止板によりスルー
ホール内の感光ペーストの流出が遮断されるため、焼成
によりスルーホールが回路材料により充填されて確実に
導通し、多層回路基板の不良品率を激減させて信頼でき
る多層回路基板を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになされたものであり、その第1の発明は、低
熱膨張係数の非熱伸縮性材料で熱伸縮防止主板を形成
し、この熱伸縮防止主板の表面に温度領域によって粘着
性と非粘着性が切り換わる感温性粘着剤を塗布して感温
性粘着剤層を形成した熱伸縮防止板である。感温性粘着
剤が粘着力を発現する粘着性温度領域では、物品を感温
性粘着剤層の表面に付着させるだけで物品がその粘着力
により接着でき、しかも環境温度が変化しても物品は熱
伸縮防止板に規制されて熱伸縮することがなく、物品を
感温性粘着剤層から分離するには感温性粘着剤が粘着力
を喪失する非粘着性温度領域に設定するだけで極めて簡
単である。
【0020】第2の発明は、前記熱伸縮防止板を用い
て、粘着性温度領域において感温性粘着剤層の表面に基
板を接着させ、続いて粘着性温度領域において熱伸縮防
止主板により基板の熱伸縮を防止しながら基板表面に所
要処理を施し、その後非粘着性温度領域において基板を
感温性粘着剤層から剥離する基板の熱伸縮防止方法であ
る。所要処理の過程で温度変動があっても熱伸縮防止主
板に規制されて基板は熱伸縮することがなく、しかも非
粘着性温度領域に設定するだけで基板を簡単に剥離する
ことができる。
【0021】第3の発明は、前記所要処理が回路基板を
製造する処理工程であり、基板の表面にフォトレジスト
と回路材料を混合した感光ペーストを塗着して感光ペー
スト層を形成する処理と、この感光ペースト層を露光し
て露光部と未露光部からなる描画領域を形成する処理
と、感光ペースト層を現像することによって露光部又は
未露光部のいずれかを除去して未焼成回路パターンを形
成する処理から構成される基板の熱伸縮防止方法であ
る。加熱や冷却といった温度変動を伴いながらこれらの
処理工程を受けても、回路基板は熱伸縮することがない
ので、小型化・高密度化の技術傾向においても設計通り
の回路基板を提供することができる。
【0022】第4の発明は、前記未焼成回路パターンを
形成した基板にスルーホールを穿孔し、この基板を複数
層積層して未焼成多層回路基板を形成する基板の熱伸縮
防止方法であり、この結果未焼成回路パターンに熱伸縮
による誤差が導入されず、しかもスルーホール内の感光
ペーストが熱伸縮防止板により流出することがないの
で、上下に重なった回路基板が確実に且つ正しい位置で
導通接続され、未焼成多層回路基板の不良品発生率を激
減させることができる。
【0023】第5の発明は、前記基板としてセラミック
ス粉末と有機バインダーを混練してシート状に形成され
たグリーンシートを用いた基板の熱伸縮防止方法であ
り、焼成前の柔軟性のあるグリーンシートが温度変動を
伴った露光・現像・乾燥などの所要処理を受けても熱伸
縮することがなく、回路基板のサイズの一定性を確実化
することができる。
【0024】第6の発明は、前記基板を焼成することに
より有機物を除去して、未焼成回路パターンから回路材
料よりなる回路パターンを形成し、同時にグリーンシー
トからセラミックス基板を形成する基板の熱伸縮防止方
法であり、セラミックス回路基板やセラミックス多層回
路基板の更なる小型化・高密度化に貢献することができ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明者等は多層回路基板を構成
する各基板の熱伸縮を防止するために鋭意研究した結
果、温度が変動しても熱膨張や熱収縮を殆んど生起しな
い熱伸縮防止板に基板を接着し、温度変動を伴う各種処
理を行なっても熱伸縮防止板に規制されて基板の熱伸縮
を遮断できるという着想を想到するに到った。この着想
を実現するには、低熱膨張係数の非熱伸縮性材料を探索
し、この非熱伸縮性材料から熱伸縮防止板を形成すれば
よい。
【0026】次の問題は、熱伸縮防止板に基板を確実に
接着でき、必要時に基板に無理な応力を加えることな
く、基板を熱伸縮防止板から自然に脱離させる技術の開
発である。この操作を実現するために、本発明者等は感
温性粘着剤が利用できることを着想したのである。
【0027】感温性粘着剤は、ある温度領域において粘
着力を発現し、別の温度領域において粘着力を喪失する
性質を有した粘着剤である。この発明では、粘着力発現
温度領域を粘着性温度領域と呼び、粘着力喪失温度領域
を非粘着性温度領域と呼ぶ。
【0028】このような感温性粘着剤と熱伸縮防止板の
組み合わせにより、熱伸縮を防止しながら粘着―非粘着
の可逆性を利用して回路基板の接着と取り外しを繰り返
すところが本発明の主たる構成である。この構成によ
り、微小素子を高密度に装填できる高精度設計が可能な
回路基板、特に多層回路基板の製造が可能となり、本発
明の目的を達成することができる。
【0029】まず、本発明の非熱伸縮性材料とは低熱膨
張係数の材料であり、加熱や冷却を受けても殆んど熱膨
張や熱収縮を生じない材料のことである。本発明で低熱
膨張係数とは、線熱膨張係数αが10-6(1/deg)オ
ーダー或いはそれ以下にあることを云い、材料の線熱膨
張係数がこの条件にあるとき、非熱伸縮性材料と呼ばれ
る。例えば、鉄のαは1.18×10-7(1/deg)で
あるから鉄は非熱伸縮性材料ではないが、後述するFe
65Ni35(インバー)のαは1.2×10-6(1/de
g)であるからインバーは非熱伸縮性材料である。
【0030】非熱伸縮性材料には金属とセラミックスが
含まれる。非熱伸縮性金属はインバーやインバー合金と
も呼ばれ、例えばFe65Ni35(インバー)、Fe64.6
Co 3.9Ni31.5(スーパーインバー)、Cr10.4Fe
37.3Co52.3(ステンレスインバー)、Fe74Pt2
6等が含まれる。
【0031】Fe基アモルファスインバー合金には、F
83B17、Fe8515、Zr30Fe70、La(Fe0.9
l0.1)13等がある。また、Cr基反強磁性インバー合
金には、Cr95.2Mn0.5Fe4.3、Cr95.7Ir0.3
4.0、Cr98.4Mn0.2Si1 .4、Cr96.0Fe3.0Co
1.0などが含まれる。
【0032】低熱膨張係数のセラミックスは低膨張セラ
ミックスと言われるが、本発明の非熱伸縮性材料に含ま
れる。この低膨張セラミックスには、例えば2MgO・
2Al23・5SiO2(コーディエライト)、Li2
・Al23・4SiO2(アルミノシリケート)、Al2
TiO5(チタン酸アルミニウム)、石英ガラス等が含
まれる。その他、近年開発されているファインセラミッ
クス複合材料として、ユークリプタイト・アルミナ、ユ
ークリプタイト・部分安定化ジルコニア、チタン酸アル
ミニウム・部分安定化ジルコニア、チタン酸アルミニウ
ム・部分安定化ジルコニア・ユークリプタイト等も前記
低膨張セラミックスに含まれる。
【0033】本発明の一つの実施形態では、鳴海製陶株
式会社が製造する商品名ネオセラムで呼称される非熱伸
縮性材料が使用される。このネオセラムは、極めて小さ
な熱膨張係数の微結晶をガラス中に析出させた耐熱性の
結晶化ガラスである。約0.1μmのベータ石英型の微
結晶を析出させたものから、約1μmのベータスポジュ
メン型の微結晶を析出させたものまで幅広く材料提供が
行なわれている。
【0034】ネオセラムの製造方法の一例を説明する
と、SiO2・Al23・Li2Oの主原料と、ZrO2
・TiO2・P25の核形成剤を混合して溶解し、成形
して徐冷した後、結晶化熱処理を施す。これにより、ガ
ラス内部に微結晶が析出したネオセラムが製造される。
これらのネオセラムの線膨張係数αは、例えば−0.6
〜3.2×10-6(1/deg)であり、10-6オーダー
以下であるから非熱伸縮性材料であることが分る。線膨
張係数αが負の値であっても、その絶対値が10-6オー
ダー以下であれば非熱伸縮性であると云える。
【0035】次に、本発明で用いる感温性粘着剤とは、
前述したように特定の温度領域によって粘着力が発現し
たり、また粘着力を喪失する粘着剤で、粘着―非粘着の
変化が可逆的に生起する粘着剤を言う。同じ意味に用い
られる用語には、感熱性粘着剤、感温性接着剤、感熱性
接着剤があり、本発明では感温性粘着剤により統一的に
表現する。
【0036】この感温性粘着剤としては種々の粘着剤が
開示されている。例えば、特開平7−11229号には
熱可塑性樹脂と粘着付与剤と結晶性可塑剤と溶解度パラ
メータが7〜11の有機溶剤と水からなる粘着剤が開示
され、また特開平11−286667号には固体可塑剤
としてフタル酸ジヘキシル、安息香酸スクロース、カテ
コールジステアレート等を用いた粘着剤が開示されてい
る。
【0037】また、特開2000−129234には、
熱可塑性樹脂と固体可塑剤を含有し、熱可塑性樹脂の重
量平均分子量(Mw)が10万〜50万の粘着剤が開示
され、更に特開2001−207151には、酸価が3
0〜300mgKOH/gで重量平均分子量が2000
〜30000のポリウレタン樹脂とガラス転移温度がー
20℃以下の重合体を含有する水性エマルジョン型の粘
着剤が開示されている。これらの公知の粘着剤であって
温度により粘着―非粘着の可逆変化を示す粘着剤は全て
本発明の感温性粘着剤に包含される。
【0038】前述したように、感温性粘着剤は粘着性温
度領域で粘着力を発現し、非粘着性温度領域で粘着力を
喪失する。粘着性と非粘着性の境界温度をスイッチング
温度と称している。非粘着性温度領域が高温の粘着剤を
ウォームオフ型と呼び、非粘着性温度領域が低温の粘着
剤をクールオフ型と呼ぶ。即ち、ウォームオフ型は暖め
ると剥離するものであり、クールオフ型は冷やすと剥離
するものである。
【0039】本発明ではウォームオフ型もクールオフ型
も使用する事ができるが、感温性粘着剤のスイッチング
温度によって、どちらのタイプを使用するかが決まる。
スイッチング温度が50℃のウォームオフ型では、50
℃未満で接着し、50℃以上で剥離する。また、スイッ
チング温度が50℃のクールオフ型では、50℃以上で
接着し、50℃未満で剥離する。
【0040】本発明の主たる利用例である回路基板で
は、低温度で回路基板を製造する場合と、高温度で回路
基板を製造する場合がある。低温度で回路基板を製造す
る場合には、低温度で接着しておく必要があるからウォ
ームオフ型を使用する。また、逆に、高温度で回路基板
を製造する場合には、高温度で接着する必要があるから
クールオフ型を使用すればよい。感温性粘着剤のスイッ
チング温度は回路基板の製造温度によって決まる。
【0041】本発明の実施形態で使用する感温性粘着剤
の一例として、ニッタ株式会社が販売する商品名インテ
リマーテープの感温性粘着剤又は感温性粘着テープが利
用できる。ウォームオフ型にはスイッチング温度が50
℃の型番WO−3があり、50℃未満が粘着性温度領域
であり、50℃以上が非粘着性温度領域となる。また、
クールオフ型にはスイッチング温度が50℃の型番CO
−2があり、50℃未満が非粘着性温度領域であり、5
0℃以上が粘着性温度領域となる。回路基板の製造温度
(又は環境温度)によって両者のタイプを選択できる。
【0042】更に具体的には、製造温度が40℃であれ
ばウォームオフ型のWO−3を用い、50℃以上に昇温
して回路基板を熱伸縮防止板から剥離し、その後最終の
焼成工程に入る。また、製造温度が70℃であればクー
ルオフ型のCO−2を用い、50℃未満に冷却して回路
基板を熱伸縮防止板から剥離し、その後に焼成工程に入
る。
【0043】以下に、本発明に係る基板の熱伸縮防止方
法の実施形態を添付の図面に従って詳細に説明する。
【0044】図1は本発明の第1実施形態であるレーザ
描画方式を用いた1層式回路基板の製造工程図である。
この製造工程では環境温度は粘着性温度領域に設定され
ている。従って、グリーンシート等から構成される回路
基板は感温性粘着剤層に接着された状態にあり、最終の
焼成工程前に非粘着性温度領域に設定されて基板を感温
性粘着剤層から剥離する。
【0045】(A)では、非熱伸縮性材料で形成した熱
伸縮防止主板1aの表面に感温性粘着剤からなる感温性
粘着剤層1bを形成して熱伸縮防止板1が構成され、こ
の熱伸縮防止板1を要所に配置している。配置されてい
る環境温度は粘着性温度領域に設定されているから、感
温性粘着剤層1bは粘着状態にある。
【0046】(B)では、複数のスルーホール5を穿孔
したグリーンシート2が感温性粘着剤層1aに接着され
ている。つまり、スルーホール5の下面開口部は感温性
粘着剤層1bにより閉鎖されており、上面開口部だけが
開放された状態にある。熱伸縮防止主板は温度変化があ
っても熱伸縮しない性質を有するから、グリーンシート
2が環境温度の変化に追随して熱伸縮しようとしてもそ
の変化は強制的に遮断され、グリーンシート2は熱伸縮
することはない。
【0047】ここで、回路基板の基体となるグリーンシ
ート2は次のように形成されている。まず、グリーンシ
ート2の基剤となるセラミックス粉末が調整される。セ
ラミックス粉末として各種のものが使用される。例え
ば、CaO・Al23・B23・SiO2系のホウケイ
酸ガラスの粉末と、アルミナ粉末を、60:40の重量
比で混合したものでもよい。
【0048】このセラミックス粉末を有機系の溶剤、有
機バインダ及び可塑剤でスラリー化し、このスラリーを
例えばドクターブレード法により1〜300μm厚のシ
ート状物に成形し、これを巻回して生のグリーンテープ
を作成する。このグリーンテープから所定長に裁断して
グリーンシート2が形成される。
【0049】(C)では、フォトレジストとAg粉末等
の回路材料と有機ペースト材料を混練して感光ペースト
を調製し、この感光ペーストをグリーンシート2の表面
とスルーホール5の内部に塗着して感光ペースト層4を
形成する。この感光ペースト4を有したグリーンシート
2を未露光基板3と称する。
【0050】スルーホール5の下面開口部は熱伸縮防止
板1により閉鎖されているから、感光ペーストの塗着工
程で感光ペーストがスルーホールから流出することはな
い。また、スルーホール5の中にも感光ペーストが充填
される。
【0051】フォトレジストにはネガタイプとポジタイ
プがある。ネガタイプのフォトレジストは、感光した領
域が現像により残留する形式の材料であり、ポジタイプ
のフォトレジストは、感光した領域が現像により除去さ
れる形式の材料である。どちらのタイプも本発明には使
用できるが、図1ではネガタイプのフォトレジストが例
示されている。
【0052】(D)では、感光ペースト層4の表面に、
レーザービーム8で回路パターンを描画する。この露光
工程の詳細は後述するが、レーザー光源6から射出され
たレーザービーム8をレーザー描画装置10に入射し、
このレーザー描画装置10でレーザービーム8を走査し
て感光ペースト層4の表面に任意の回路パターンを形成
し、描画領域7を形成する。
【0053】描画領域7は、レーザービーム8が照射さ
れた露光部4aと、照射されなかった未露光部4bから
構成される。レーザビーム8はスルーホール5の中まで
透過することはないので、スルーホール5内の感光ペー
ストはスルーホール感光ペースト4cとして未感光のま
ま残留する。
【0054】(E)では、この感光ペースト層4に対し
現像装置12により現像液14を噴霧して現像処理を行
なう。勿論、現像液に浸漬してもよい。この実施形態で
使用されるフォトレジストはネガタイプであるから、未
露光部4bが除去されることになる。従って、未露光部
4bが除去されて除去領域16となり、露光部4aだけ
が残留した未焼成回路パターン17が形成される。
【0055】スルーホール5の中にあるスルーホール感
光ペースト4cは熱伸縮防止板1により邪魔されている
から、現像工程が行なわれてもスルーホール感光ペース
ト4cはスルーホール5から流出することはない。
【0056】(F)では、現像工程を経た後、非粘着性
温度領域に設定された回路基板が示されている。未焼成
回路パターン17を形成したグリーンシート2には熱伸
縮防止板1が配置されている。環境温度が非粘着性温度
領域に設定されると、感温性粘着剤層1bの粘着性はな
くなり、グリーンシート2は応力を作用することなく自
然に熱伸縮防止板から剥離される。
【0057】(G)では、熱伸縮防止板1から剥離され
た焼成前の1層式回路基板が配置されている。この焼成
前の1層式回路基板は、未焼成回路パターン17を形成
したグリーンシート2のことである。図1の全工程を経
てもグリーンシート2の熱伸縮は熱伸縮防止板1により
規制されるから、未焼成の1層式回路基板のサイズLは
初期段階のグリーンシート2のサイズと同じである。従
って、グリーンシート2の初期サイズLが同じである限
り、これらの工程を何回繰り返しても、得られる1層式
回路基板のサイズLは全て同一である事が本発明によっ
て保証される。
【0058】図1には焼成工程は図示されていない。し
かし、このグリーンシート2をそのまま焼成すれば、有
機物は全て燃焼除去され、未焼成回路パターン17は回
路パターン20になり、スルーホール5の中も導体金属
で充填され、グリーンシート2もセラミックス基板18
となる。その結果、1層式回路基板が形成される。
【0059】図2は焼成前の1層式回路基板を積層して
焼成した多層回路基板の製造工程図である。図1に示す
焼成前の1層式回路基板を多数形成しておく。つまり、
多層回路基板の各層に対応する1層式回路基板を図1の
工程で事前に製造しておく。
【0060】(A)では、前記焼成前の1層式回路基板
を必要数だけ積層する。これらの1層式回路基板のサイ
ズLが全て同じである事は上述された通りである。焼成
前であるから、露光部4aとスルーホール感光ペースト
4cを有したグリーンシート2がその順番に従って多段
に積層されている。各層の回路基板は同サイズに形成さ
れているから、両端を一致させるだけで、相互に重なる
回路基板の相互関係は高精度に位置決めされる。この未
焼成多層回路基板46の上下面に圧力Pを加えて狭着す
る。この狭着によって、未焼成多層回路基板46の全体
の変形が阻止される。
【0061】(B)では、前記圧力Pを印加した状態
で、未焼成多層回路基板46を焼成する。焼成によって
全体が熱膨張しようとするが、圧力Pによって熱膨張は
規制される。この焼成によって有機物は燃焼除去され、
グリーンシート2はセラミックス基板18に、露光部4
aからなる未焼成回路パターン17は回路パターン20
に、そしてスルーホール感光ペースト4cは導通部5c
になる。この結果、多層回路基板48が完成される。
【0062】前述したように、多層回路基板48の性能
は各層の重なり合う位置関係の位置決め精度に依存する
が、本発明によれば、各層を構成する1層式回路基板の
サイズLは全て同一に形成されるから、各層の両端を一
致させるだけで位置決め精度は最高精度に保持できる。
従って、多層回路基板の不良品率を極端に小さくでき、
製造コストを安価にできるだけでなく、省力化にも貢献
できる。
【0063】図3は本発明の第2実施形態であるフォト
マスクを用いた1層式回路基板の製造工程図である。図
1との相違点は工程(D)だけであり、他の工程の構成
とその作用効果は図1と同様であるから、以下では工程
(D)のみを説明する。
【0064】(D)では、感光ペースト層4に対しフォ
トマスク60を介して紫外線により描画領域7を形成す
る。フォトマスク60には透光部60aと不透光部60
bが形成されている。このフォトマスク60の上方から
紫外光62を照射すると、透光部60aを透過した紫外
光62は感光ペースト層4に露光部4aを形成し、他の
領域は、不透光部60bで紫外光が遮断されるために未
露光部4bとなる。
【0065】紫外線照射によっても、スルーホール5の
中まで光は到達しないので、スルーホール感光ペースト
4cは未感光のままスルーホール5内に残留する。スル
ーホール感光ペースト4cは本発明に係る熱伸縮防止板
1の存在により流出する事はなく、スルーホール5内に
確実に残留し、最後の焼成工程によりスルーホール導通
を確実にできる。
【0066】また、熱伸縮防止板1の存在により、図3
の全工程においてグリーンシート2の熱伸縮は阻止さ
れ、工程(G)における未焼成1層式回路基板のサイズ
は全て同一に形成されることは図1と同様である。
【0067】図1〜図3において、焼成温度は有機成分
を除去でき、しかも残留成分を焼結できる温度の範囲内
に自在に調整されることができる。通常用いられる温度
は、250〜1500℃で、望ましくは800〜150
0℃である。これらの温度は素材に応じて適宜変更され
る。
【0068】図4は多層回路基板の詳細工程図である。
まず、S1でグリーンテープを巻回したグリーンロール
を形成し、S2では、グリーンテープをカッターで所定
長さに裁断して一定長さのグリーンシートを形成する。
S3ではこのグリーンシートの端縁を前進させながら適
性位置に基準孔やスルーホールを穿孔する。
【0069】S4では、グリーンシートを熱伸縮防止板
の上に接着させる。熱伸縮防止板は、非熱伸縮性材料か
ら形成された熱伸縮防止主板の上に感温性粘着剤層を形
成して構成されており、環境温度を粘着性温度領域に設
定してグリーンシートを感温性粘着剤層に接着させる。
【0070】S5では、このグリーンシートの表面に感
光ペーストをドクターブレード法やロールコート法やス
クリーン印刷により塗着する。この感光ペーストは乾燥
させても未乾燥のままでもどちらでもよい。
【0071】S6では、基準孔を位置確認してレーザー
ビームによる描画開始位置を定め、S7で回路パターン
をレーザー描画する。感光ペーストが未乾燥でもレーザ
ー描画は可能である。フォトマスクを使用する場合に
は、フォトマスクを感光ペースト面に接触させるため、
S5の段階で感光ペーストを乾燥させる必要がある。こ
の実施形態では、フォトマスクを使用しないから、未乾
燥でも直ちにレーザー描画が可能であり、乾燥工程を省
略できる利点がある。但し、乾燥させてもレーザー描画
できることは当然である。
【0072】n8で露光された感光ペースト層を現像
し、S9で水洗した後、S10で乾燥する。この段階
で、未露光部は除去され、グリーンシートの上に露光部
だけからなる未焼成回路パターンが形成される。
【0073】乾燥が終了すると、焼成工程が残るだけで
あるから、S11により熱伸縮防止板をグリーンシート
から剥離する。以上の工程を繰り返すと、多数枚の未焼
成1層式回路基板を形成できる。熱伸縮防止板の利用に
より、これらの1層式回路基板のサイズは全て同一サイ
ズLに設定できる。
【0074】S12では、これらの未焼成回路パターン
を形成したグリーンシートを所要枚数積層して未焼成多
層回路基板を形成し、S13で上下から過熱加圧してグ
リーンシートを一体化して不要な隙間を除去する。S1
4で焼成すると、グリーンシートはセラミックス基板に
変化し、未焼成回路パターンは回路パターンへと変化す
る。このようにして、S15にて多層回路基板が完成す
る。
【0075】S12において、1層式回路基板の両端を
完全に一致しながら多段に積層するだけで、各層の回路
基板は確実に位置決めできる。前述した熱伸縮防止板に
よって各回路基板の熱伸縮を遮断しているからである。
【0076】図5は露光工程の詳細斜視図である。送り
ベルト50はモーターMにより回転駆動される駆動ロー
ラ52により矢印c方向に定速移動する。この送りベル
ト50の上に複数の未露光基板3が熱伸縮防止板1に接
着された状態で所定間隔に載置されている。これらの未
露光基板3は送りベルト50により矢印c方向に定速移
動してゆく。
【0077】熱伸縮防止板1に接着された未露光基板3
は、感光ペースト層4を上方に向けて送りベルト50に
載置されている。この上方位置にレーザー描画装置10
が配置されている。
【0078】半導体などのレーザー光源6から射出され
たレーザービーム8は、コリメーターレンズ30により
集束されて断面直径が1μm以下の微細レーザービーム
に成形される。この断面直径が露光精度を与え、フォト
マスクを用いた露光よりは高精度の露光処理を実現でき
る。
【0079】その後、レーザービーム8は波形成形ユニ
ット32に入射し、コンピュータ31からのコンピュー
タ信号によってビームのオンオフ制御が行なわれる。コ
ンピュータ31には感光ペースト層4の描画領域44に
形成されるべき回路パターンデータがオン・オフの二値
データとして格納されている。
【0080】このオン・オフの二値データのコンピュー
タ信号が波形成形ユニット34に送信される。コンピュ
ータ信号がオンのときにレーザービーム8はそのまま通
過し、オフのときには遮断される。オンは露光信号で、
オフは未露光信号である。この信号形態は、フォトレジ
ストのネガタイプとポジタイプによって逆転することは
言うまでもない。
【0081】オン・オフ化されたレーザービーム8は反
射ミラー34により反射されてポリゴンミラー36の反
射面36aに到達する。ポリゴンミラー36の周面は正
多角形に配置された多数の反射面36a、36a・・を
有し、モーター37により矢印a方向に回転する。
【0082】反射したレーザービーム8は、反射面36
aの回転に連れて矢印b方向に偏移し、次の反射面36
aにより元の位置に帰還して再び偏移する。1回の偏移
によって、レーザービーム8はfθレンズ38を通して
露光ミラー40の全幅を移動する。露光ミラー40によ
り下方に反射されたレーザービーム8は、描画領域44
の全幅に亘って移動する。
【0083】オンのときに感光ペースト層に対しレーザ
ービームが入射して露光され、オフではレーザービーム
が遮断されるため未露光になる。この露光と未露光がド
ット状に形成され、描画領域44に未焼成の回路パター
ンが形成されてゆく。レーザービーム8の断面直径が小
さいほどドット直径が小さくなり、レーザービームを走
査しながら高精度に回路パターンが形成されてゆく。
【0084】この実施形態では、露光手段としてレーザ
ービーム8を用いるため、1枚のグリーンシートに対す
る露光処理を高精度に、しかも高速に行なう事ができ
る。回路パターンが変われば、コンピュータ31に格納
する回路パターンデータを変更するだけでよく、任意の
回路パターンをコンピュータ技術を用いて安価に形成す
ることが可能である。
【0085】書き込みが終了すると、現像装置12によ
り現像液が感光ペースト層4の表面に噴霧され、感光ペ
ースト層4が現像される。噴霧の代わりに現像液に浸漬
してもよい。この現像によって、未露光部4bは除去さ
れ、露光部4aから構成される回路パターンが形成され
る。
【0086】基板を現像して乾燥した後、環境温度を非
粘着性温度領域に設定して感温式粘着剤層の粘着性を喪
失させ、1層式回路基板を熱伸縮防止板1から剥離す
る。これらの回路基板を積層して多層回路基板46を構
成する。1層式回路基板には全く熱伸縮が生じていない
から、そのサイズは全て元のサイズLに等しい。従っ
て、各回路基板の両端を一致させるだけで、各層の回路
基板の位置決めが高精度に行なえる。
【0087】本発明は上記実施形態に限定されるもので
はなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における
種々の変形例、設計変更もその技術的範囲内に包含され
ることは云うまでもない。
【0088】
【発明の効果】第1の発明によれば、非熱伸縮性材料で
形成された熱伸縮防止主板の表面に、温度に依存して粘
着性―非粘着性が可逆的に変化する感温性粘着剤層を形
成して熱伸縮防止板が構成される。感温性粘着剤が粘着
力を発現する粘着性温度領域で物品を感温性粘着剤層の
表面に強力に接着でき、しかも環境温度が変化しても物
品は熱伸縮防止板に規制されて熱伸縮せず、温度を非粘
着性温度領域に設定するだけ簡単に物品を感温性粘着剤
層から取り外すことができる。
【0089】第2の発明によれば、前記熱伸縮防止板を
利用して、粘着性温度領域において任意の基板を接着
し、続いて粘着性温度領域において基板の熱伸縮を防止
しながら基板表面に基板の種類に応じた所要処理を施
し、その後非粘着性温度領域において基板を剥離する基
板の熱伸縮防止方法が構成される。各種の基板を所要処
理する過程で処理温度が変化しても基板は熱伸縮せず、
しかも非粘着性温度領域に設定するだけで簡単に基板を
剥離することができる。
【0090】第3の発明によれば、この熱伸縮防止法を
回路基板の製造工程に適用したもので、基板に対する感
光ペースト層形成処理と、感光ペースト層に対する露光
描画処理と、感光ペースト層の現像による未焼成回路パ
ターンを形成処理から構成される。加熱や冷却といった
温度変動を伴いながらこれらの処理工程を受けても、回
路基板は熱伸縮することがないので、回路設計通りに高
精度に回路基板を製造する事が可能になり、回路基板の
小型化・高密度化に資することができる。
【0091】第4の発明によれば、1層式回路基板にス
ルーホールを穿孔し、この回路基板を複数層積層して未
焼成多層回路基板を形成する基板の熱伸縮防止方法が提
供され、この結果未焼成回路パターンに熱伸縮による誤
差が導入されず、しかもスルーホール内の感光ペースト
が熱伸縮防止板により流出することがないので、上下に
重なった回路基板が確実に且つ正しい位置で導通接続さ
れ、未焼成多層回路基板を歩留まりなく高効率で製造す
る事ができる。
【0092】第5の発明によれば、前記基板としてセラ
ミックス粉末と有機バインダーを混練してシート状に形
成されたグリーンシートを用いた基板の熱伸縮防止方法
であり、焼成前の柔軟性のあるグリーンシートが温度変
動を伴った露光・現像・乾燥などの所要処理を受けても
熱伸縮することがなく、高精度に回路基板を製造するこ
とができる。
【0093】第6の発明によれば、グリーンシートを用
いた回路基板を焼成することにより、未焼成回路パター
ン及びグリーンシートから有機物を完全に燃焼除去で
き、回路パターンとセラミックス基板を同時形成できる
基板の熱伸縮防止方法であり、セラミックス回路基板や
セラミックス多層回路基板の高精度化を図りながら更な
る小型化・高密度化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるレーザ描画方式を
用いた1層式回路基板の製造工程図である。
【図2】焼成前の1層式回路基板を積層して焼成した多
層回路基板の製造工程図である。
【図3】本発明の第2実施形態であるフォトマスクを用
いた1層式回路基板の製造工程図である。
【図4】多層回路基板の詳細工程図である。
【図5】露光工程の詳細斜視図である。
【図6】図6はセラミックス基板を用いた従来の多層回
路基板の製造工程図である。
【符号の説明】
1は熱伸縮防止板、1aは熱伸縮防止主板、1bは感温
性粘着剤層、2はグリーンシート、3は未露光基板、4
は感光ペースト層、4aは露光部、4bは未露光部、4
cはスルーホール感光ペースト、4dは感光ペースト完
全欠落部、4eは感光ペースト部分欠落部、5はスルー
ホール、5cは導通部、6はレーザ光源、7は描画領
域、8はレーザビーム、10はレーザ描画装置、12は
現像装置、14は現像液、16は除去領域、17は未焼
成回路パターン、18はセラミックス基板、20は回路
パターン、24は基準孔、30はコリメーターレンズ、
31はコンピュータ、32は波形整形ユニット、34は
反射ミラー、36はポリゴンミラー、36aは反射面、
37はモーター、38はfθレンズ、40は露光ミラ
ー、44は描画領域、46は未焼成多層回路基板、48
は多層回路基板、50は送りベルト、52は駆動ローラ
ー、60はフォトマスク、60aは透光部、60bは不
透光部、62は紫外光、Lはサイズ、Mはモーター、P
は圧力。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 敦行 大坂府大阪市城東区放出西2丁目7番19号 大研化学工業株式会社内 (72)発明者 原田 昭雄 大坂府大阪市城東区放出西2丁目7番19号 大研化学工業株式会社内 Fターム(参考) 5E339 AB06 AD05 AE01 BB02 BD03 BD07 BD11 BD14 BE05 BE20 CF17 DD03 EE02 EE05 GG02 5E346 AA12 AA15 AA24 AA32 AA38 AA43 BB01 CC17 CC31 DD02 DD13 DD32 EE24 EE25 EE29 FF18 GG03 GG04 GG06 GG08 GG09 HH11

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低熱膨張係数の非熱伸縮性材料で熱伸縮
    防止主板を形成し、この熱伸縮防止主板の表面に温度領
    域によって粘着性と非粘着性が切り換わる感温性粘着剤
    を塗布して感温性粘着剤層を形成し、粘着性温度領域に
    おいて感温性粘着剤層の表面に物品を接着させ、非粘着
    性温度領域において物品を感温性粘着剤層から分離する
    ことを特徴とする熱伸縮防止板。
  2. 【請求項2】 低熱膨張係数の非熱伸縮性材料で形成さ
    れた熱伸縮防止主板の表面に温度領域によって粘着性と
    非粘着性が切り換わる感温性粘着剤層を形成し、粘着性
    温度領域において感温性粘着剤層の表面に基板を接着さ
    せ、続いて粘着性温度領域において熱伸縮防止主板によ
    り基板の熱伸縮を防止しながら基板表面に所要処理を施
    し、その後非粘着性温度領域において基板を感温性粘着
    剤層から剥離することを特徴とする基板の熱伸縮防止方
    法。
  3. 【請求項3】 前記所要処理は、基板の表面にフォトレ
    ジストと回路材料を混合した感光ペーストを塗着して感
    光ペースト層を形成する処理と、この感光ペースト層を
    露光して露光部と未露光部からなる描画領域を形成する
    処理と、感光ペースト層を現像することによって露光部
    又は未露光部のいずれかを除去して未焼成回路パターン
    を形成する処理から構成される請求項2に記載の基板の
    熱伸縮防止方法。
  4. 【請求項4】 前記未焼成回路パターンを形成した基板
    にはスルーホールが穿孔され、この基板を複数層積層し
    て未焼成多層回路基板を形成する請求項3に記載の基板
    の熱伸縮防止方法。
  5. 【請求項5】 前記基板はセラミックス粉末と有機バイ
    ンダーを混練してシート状に形成されたグリーンシート
    から構成される請求項3又は4に記載の基板の熱伸縮防
    止方法。
  6. 【請求項6】 前記基板を焼成することにより有機物を
    除去して、未焼成回路パターンから回路材料からなる回
    路パターンを形成し、同時にグリーンシートからセラミ
    ックス基板を形成する請求項5に記載の基板の熱伸縮防
    止方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100688823B1 (ko) * 2004-07-21 2007-03-02 삼성전기주식회사 고밀도 기판의 제조방법
US7537668B2 (en) 2004-07-21 2009-05-26 Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. Method of fabricating high density printed circuit board
KR101021011B1 (ko) 2003-11-14 2011-03-09 엘지이노텍 주식회사 인쇄회로기판의 제조방법
CN110563384A (zh) * 2019-09-10 2019-12-13 广东风华邦科电子有限公司 一种陶瓷电容器浆料粘片及其制备方法

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