JP2003243743A - 化合物半導体ホール素子及びその製造方法 - Google Patents

化合物半導体ホール素子及びその製造方法

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JP2003243743A
JP2003243743A JP2002036018A JP2002036018A JP2003243743A JP 2003243743 A JP2003243743 A JP 2003243743A JP 2002036018 A JP2002036018 A JP 2002036018A JP 2002036018 A JP2002036018 A JP 2002036018A JP 2003243743 A JP2003243743 A JP 2003243743A
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thin film
semiconductor thin
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JP2002036018A
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English (en)
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Takayuki Watanabe
隆行 渡辺
Takashi Yoshida
孝志 吉田
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Asahi Kasei Electronics Co Ltd
Original Assignee
Asahi Kasei Electronics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 InAsなどを活性層として高感度で、高温
処理に対して特性変動が小さく、信頼性の高い化合物半
導体ホール素子を提供すること。 【解決手段】 Sbを含む第一化合物半導体層62aと
第二化合物半導体層62cの間に、それらより禁制帯幅
の小さな化合物半導体を活性層62bとして配置した。
第一保護層64aを形成し、感磁部の形状にパターンニ
ングした第一保護層64aをマスクとして感磁部を形成
した後、第一化合物半導体層62a、第二化合物半導体
層62cおよび第三化合物半導体層62dの側面と第一
保護層64aを第二保護層64bで被覆する。活性層6
2bの一部を露出させ、露出した第二化合物半導体層6
2cおよび第三化合物半導体層62dを第三保護層64
cで被覆し、保護層の一部を除去した後、金属電極層6
3を形成する。金属電極層63が半導体薄膜62とは活
性層62bのみで接触する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化合物半導体ホー
ル素子及びその製造方法に関し、より詳細には、InA
sなどを活性層とした積層型の化合物半導体ホール素子
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】InAs、InSb、GaAsおよびこ
れらの混晶半導体は、高電子移動度を有し、高感度ホー
ル素子用材料として適している。特許第2793440
号(特開平6−77556号公報)によると、InAs
活性層を格子定数が近く禁制帯幅の大きいAlGaAs
Sb層上に形成することにより高電子移動度を実現する
ことができる。
【0003】また、J.Vac.Sci.Techno
l.B16(1998)p2644では、InAs上に
さらにAlGaAsSb層を形成し、InAs活性層を
禁制帯幅の大きな化合物半導体層で挟み込む構造とする
ことにより、さらに高い電子移動度を達成している。ま
た、上部AlGaAsSb層の酸化を抑制するために、
格子整合したGaAsSb層をキャップ層として形成し
ている。
【0004】また、InAs活性層をAlGaAsSb
層で挟んだホール素子のデバイス構造に関する技術とし
ては、例えば、特開平9−116207号公報がある。
ここでは、感磁部以外の半導体薄膜をすべて除去し、そ
の感磁部全体を金属電極層の上から保護層で被覆するこ
とにより、ホール出力電圧および入力抵抗値の変化率は
小さくなり信頼性が向上すると記載されている。また、
電極層はInAs層とコンタクトしても良いし、上部A
lGaAsSb層とコンタクトしても良いとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
たホール素子では、未だ信頼性が十分ではないという問
題があった。具体的には、高温高湿環境下で不平衡電圧
(Vu)の値が大きく変動することと、ホール素子をプ
リント基板などに半田付けすると入力抵抗(Rin)や
不平衡電圧(Vu)の値が大きく変動することである。
【0006】図7は、特開平9−116207号公報に
記載されているようなホール素子構造の一例を示す図
で、また、図14は、その作製手順を示す図である。図
中符号71は基板、72は半導体薄膜、72aは第一化
合物半導体層、72bは活性層、72cは第二化合物半
導体層、72dは第三化合物半導体層、73は金属電極
層、74は保護層を示している。
【0007】このホール素子は、金属電極層をリフトオ
フ法により形成した後、保護層で全体を被覆しボンディ
ングパッド部を開けて完成する。電極形成にリフトオフ
法を用いる理由は、Sbを含む化合物半導体が酸・アル
カリに十分な耐性がなく、金属電極層を全面に形成した
後、酸・アルカリを用いたエッチングによりパターニン
グすることが困難であったからである。
【0008】しかしながら、リフトオフ法で形成した金
属電極層は、そのパターンの端部に突起(バリ)が残存
してしまい、上部に形成する保護層の被覆性を極めて悪
くする原因となっていた。そのため、高温高湿などの加
速試験を実施すると耐湿性が不十分なSbを含む化合物
半導体が腐食され、その結果として、不平衡電圧Vuが
大きく変動した。
【0009】このリフトオフ法による電極パターンのバ
リの影響をなくすためには、金属電極層が最上部に配す
る図3の構造を図4の手順で作製することが考えられた
(図3及び図4については後述する)。これにより前述
の構造を有する素子と比較して耐湿性は改善されたが未
だ十分とは言えなかった。また、半田付けに対する耐性
は改善されていなかった。
【0010】これらの変動があるため従来のホール素子
は実用的ではなく、高温高湿環境下および半田付けでの
特性変動の小さい、つまり信頼性の高いホール素子が求
められていた。
【0011】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、InAsなどを活
性層として高感度を実現できる積層型の化合物半導体ホ
ール素子において、信頼性の高い化合物半導体ホール素
子及びその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような目
的を達成するために、請求項1に記載の発明は、In
X1Ga1−X1AsY1Sb1−Y1(0≦X1≦
1、0≦Y1≦1)からなる活性層の上下に、該活性層
より大きな禁制帯幅を有するSbを含む化合物半導体層
を配置した半導体薄膜と、金属電極層および保護層から
なる化合物半導体ホール素子において、前記金属電極層
が前記半導体薄膜とは前記活性層のみで接触し、該接触
面以外の前記半導体薄膜の上面と側面のすべてが前記保
護層で直接被覆されていることを特徴とする。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、InX1
Ga1−X1AsY1Sb1−Y1(0≦X1≦1、0
≦Y1≦1)からなる活性層の上下に、該活性層より大
きな禁制帯幅を有するSbを含む化合物半導体層を配置
した半導体薄膜と、金属電極層および保護層からなる化
合物半導体ホール素子において、上部化合物半導体層の
上にInX2Ga1−X2As(0≦X2≦1)からな
るキャップ層を具備することを特徴とする。
【0014】また、請求項3に記載の発明は、請求項1
に記載の発明において、前記上部化合物半導体層の上に
InX2Ga1−X2As(0≦X2≦1)からなるキ
ャップ層を具備することを特徴とする。
【0015】また、請求項4に記載の発明は、請求項
1,2又は3に記載の発明において、前記半導体薄膜が
GaAsまたはSiの基板上に形成され、前記活性層が
InAsで、前記化合物半導体層がAlZ1Ga
1−Z1AsY2Sb1−Y2(0≦Z1≦1、0≦Y
2≦0.3)であることを特徴とする。
【0016】また、請求項5に記載の発明は、請求項
1,2又は3に記載された化合物半導体ホール素子の製
造方法において、前記金属電極層と接触する前記活性層
をエッチング工程により露出し、次いで前記保護層を形
成する工程を有することを特徴とする。
【0017】また、請求項6に記載の発明は、請求項5
に記載の発明において、前記半導体薄膜の形成後、まず
前記金属電極層と接触する前記活性層をエッチング工程
により露出し、次いで第一保護層を形成する工程と、パ
ターンニングした該第一保護層をマスクとして用いて前
記半導体薄膜の感磁部および電極接触部以外をエッチン
グ工程で除去した後、エッチング工程で露出した基板と
半導体薄膜の側面および第一保護層を第二保護層で被覆
する工程を有することを特徴とする。
【0018】また、請求項7に記載の発明は、InX1
Ga1−X1AsY1Sb1−Y1(0≦X1≦1、0
≦Y1≦1)からなる活性層の上下に、該活性層より大
きな禁制帯幅を有するSbを含む化合物半導体層を配置
した半導体薄膜と、金属電極層および保護層からなる化
合物半導体ホール素子の製造方法において、前記半導体
薄膜の形成後、まず第一保護層を形成し、パターニング
された該第一保護層をマスクとして用いて半導体薄膜の
感磁部および電極接触部以外をエッチングで除去する工
程と、エッチング工程で露出した基板と半導体薄膜およ
び第一保護層を第二保護層で被覆する工程を有すること
を特徴とする。
【0019】また、請求項8に記載の発明は、請求項
1,2又は3に記載された化合物半導体ホール素子の製
造方法において、前記半導体薄膜の形成後、まず第一保
護層を形成し、パターニングされた該第一保護層をマス
クとして用いて半導体薄膜の感磁部および電極接触部以
外をエッチングで除去する工程と、第一保護層およびキ
ャップ層を含む上部化合物半導体層をエッチング工程に
より除去し前記金属電極層と接触する前記活性層を露出
させた後、エッチング工程で露出した基板と半導体薄膜
および第一保護層を第二保護層で被覆する工程を有する
ことを特徴とする。
【0020】また、請求項9に記載の発明は、請求項
1,2又は3に記載された化合物半導体ホール素子の製
造方法において、前記半導体薄膜の形成後、まず第一保
護層を形成し、パターニングされた該第一保護層をマス
クとして用いて半導体薄膜の感磁部および電極接触部以
外をエッチング工程で除去した後、エッチング工程で露
出した基板と半導体薄膜および第一保護層を第二保護層
で被覆する工程と、第二保護層と第一保護層およびキャ
ップ層を含む上部化合物半導体層をエッチング工程によ
り除去し前記金属電極層と接触する前記活性層を露出さ
せた後、エッチング工程で露出した半導体薄膜および第
二保護層を第三保護層で被覆する工程を有することを特
徴とする。
【0021】また、請求項10に記載の発明は、請求項
6乃至9いずれかに記載された化合物半導体ホール素子
の製造方法において、前記第一保護層がSiOで、前
記第二保護層がSiであることを特徴とする。
【0022】また、請求項11に記載の発明は、請求項
5乃至10いずれかに記載の発明において、前記半導体
薄膜がGaAsまたはSiの基板上に形成され、前記活
性層がInAsで、前記化合物半導体層がAlZ1Ga
1−Z1AsY2Sb1−Y (0≦Z1≦1、0≦Y
2≦0.3)であることを特徴とする。
【0023】このように、本発明者らは、上記課題を解
決するために鋭意検討を重ねた結果、従来の素子構造で
は半導体薄膜を保護層で被覆性良く完全にカバーするこ
とができず、酸化されやすいSbを含む化合物半導体層
が湿気で腐食され特性変動が大きくなることを明らかに
して、該化合物半導体層の露出面すべて、つまり表面お
よび側面を直接保護層で被覆することが、高温高湿環境
下で特性変動の小さな素子を作製することに有効である
ことを見い出した。
【0024】さらに、ホール素子を形成するプロセス中
にOアッシングなどの工程で、キャップ層であるGa
AsSb層表面に酸化などの損傷が起こりキャップ層と
保護層との界面状態が不安定になるため、高温(半田付
けなど)において素子の特性変動が大きくなることを明
らかにし、Sbを含まないInGaAsをキャップ層と
することと、半導体薄膜形成後、まず保護層を形成しパ
ターニングされた保護層をマスクとして感磁部を形成す
ることにより半導体薄膜の最表面の損傷を抑制すること
が、キャップ層と保護層との界面状態を安定化し半田耐
熱性の高いホール素子を作製することに有効であること
を見い出し、本発明をなすに至った。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1は、本発明の化合物半
導体ホール素子の一実施例を説明するための断面構造図
で、図中符号11は基板、12aは第一化合物半導体
層、12bは活性層、12cは第二化合物半導体層、1
2dは第三化合物半導体層で、第一化合物半導体層12
aおよび第二化合物半導体層12cの禁制帯幅は、活性
層12bより大きい。また、第一化合物半導体層12a
から第三化合物半導体層12dで構成される積層体を半
導体薄膜12と称する。
【0026】符号13は金属電極層で、14は保護層で
ある。金属電極層13は、第一化合物半導体層12a、
第二化合物半導体層12cおよび第三化合物半導体層1
2dとは保護層14により電気的に隔離されており、半
導体薄膜12a〜12dとは活性層12bとのみ接触し
ている。そのため、活性層12bに安定して電流を流す
ことができる。
【0027】また、第一化合物半導体層12a、第二化
合物半導体層12cおよび第三化合物半導体層12dの
上面および側面すべてが、保護層14により直接被覆さ
れているので、これら化合物半導体層が大気中の水分に
曝されることはない。上述した図7に示される従来のホ
ール素子は、金属電極層73が活性層72b以外に、第
一化合物半導体層72a、第二化合物半導体層72cお
よび第三化合物半導体層72dとも接触しており、これ
ら化合物半導体層は保護層74で直接は被覆されていな
い。
【0028】つまり、本発明は、InX1Ga1−X1
AsY1Sb1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)
からなる活性層12bの上下に、この活性層12bより
大きな禁制帯幅を有するSbを含む化合物半導体層12
a、12cとキャップ層としての化合物半導体層12d
を配置した半導体薄膜12a〜 12dと、金属電極層
13および保護層14からなるホール素子において、金
属電極層13が半導体薄膜12a〜12dとは活性層1
2bのみで接触し、この接触面以外の半導体薄膜12の
上面および側面のすべてが保護層14で直接被覆されて
いることを特徴としている。
【0029】活性層12bの材料には、高電子移動度を
有する化合物半導体が用いられる。本発明の活性層とし
ては、InX1Ga1−X1AsY1Sb1−Y1(0
≦X1≦1、0≦Y1≦1)で表される化合物半導体層
であれば特に限定されるものではないが、素子感度、素
子消費電力および温度特性を総合的に判断するとInA
sが好ましい。
【0030】また、所望の素子抵抗を得るために、必要
に応じて活性層にSi、Snなどをドーピングしても良
い。活性層12bの下側の化合物半導体層を第一化合物
半導体層12a、上側の化合物半導体層を第二化合物半
導体層12cと称すると、第一化合物半導体層12aと
第二化合物半導体層12cは、活性層12bより禁制帯
幅が大きく、且つSbを含んでいれば特に限定されるも
のではなく、またそれぞれが異なる材料であっても良
い。
【0031】また、活性層にキャリアを供給するため
に、必要に応じて化合物半導体層にSi、Snなどのド
ーピングを行っても良い。活性層を化合物半導体層で挟
み込む構造で高電子移動度が実現されるのは、活性層内
の電子が閉じこめら2次元的に電子が動くためである。
伝導帯上端の差が大きいほど電子を効率よく閉じこめる
ことができ、活性層と化合物半導体層の禁制帯幅の差を
大きくとれる組み合わせにすることが、本発明のホール
素子として適している。
【0032】具体的には、禁制帯幅の差が、0.3eV
以上が好ましく、0.7eV以上がより好ましい。十分
な禁制帯幅の差を得るためにも、InAs(禁制帯幅:
0.36eV)は活性層として適しており、その場合の
化合物半導体層の材料としては、AlGaAsSbが適
している。表1に示すように、AlGaAsSbはその
組成比により広い範囲の禁制帯幅(0.72〜2.13
eV)を有しており、InAsとの格子整合性を考慮す
ると化合物半導体層としてはAlZ1Ga1− Z1As
Y2Sb1−Y2(0≦Z1≦1、0≦Y2≦0.3)
が好ましい。
【0033】
【表1】
【0034】この組成範囲のAlGaAsSbは、基板
材料として一般的なGaAsおよびSiとは格子定数が
大きく異なるが、この基板上に形成すると初期段階で格
子緩和した後、AlGaAsSb特有の格子定数で高品
質薄膜が形成されることが知られており、第一化合物半
導体層材料として適している。
【0035】図2は、本発明における化合物半導体ホー
ル素子の他の実施例を説明するための断面構造図で、図
中符号21は基板、22aは第一化合物半導体層、22
bは活性層、22cは第二化合物半導体層、22dは第
三化合物半導体層で、第一化合物半導体層22aおよび
第二化合物半導体層22cの禁制帯幅は、活性層22b
より大きい。本発明における第三化合物半導体層22d
はInGaAsであるのに対し、従来のホール素子にお
ける第三化合物半導体層はGaAsSbである。この点
が本発明と従来のものとの相違点である。
【0036】また、従来のホール素子においては、金属
電極層23が第二化合物半導体層22cおよび第三化合
物半導体層22dとも接触しており、電極接触部におけ
る第二化合物半導体層22cおよび第三化合物半導体層
22dの側面は、保護層24で直接は被覆されていな
い。この点が本発明と従来のものとの相違点である。
【0037】つまり、本発明は、InX1Ga1−X1
AsY1Sb1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)
からなる活性層22bの上下に、この活性層22bより
大きな禁制帯幅を有するSbを含む化合物半導体層22
a、22cおよびキャップ層としての化合物半導体層2
2dを配置した半導体薄膜22a〜22dと、金属電極
層23および保護層24からなるホール素子において、
上部化合物半導体層22cの上にInX2Ga1−X2
As(0≦X2≦1)からなるキャップ層22dを具備
することを特徴としている。
【0038】活性層22bとしてInAs、第一化合物
半導体層22aおよび第二化合物半導体層22cとして
AlGaAsSbを用いたホール素子では、表面酸化防
止を目的としてキャップ層としての第三化合物半導体層
22dを形成している。第三化合物半導体層22dの材
料には、酸化されにくい化合物半導体が用いられる。本
発明のキャップ層としては、InX2Ga1−X2As
(0≦X2≦1)で表される化合物半導体層であれば特
に限定されるものではないが、酸化されにくく、また禁
制帯幅が大きく高抵抗であるのでGaAsが好ましい。
【0039】また、本発明は、半導体薄膜がGaAsま
たはSiの基板上に形成され、活性層がInAsで、化
合物半導体層がAlZ1Ga1−Z1AsY2Sb
1−Y2(0≦Z1≦1、0≦Y2≦0.3)であるこ
とを特徴としている。
【0040】図8は、本発明の化合物半導体ホール素子
の製造方法を示す工程図で、この製造方法により図1に
示すホール素子を作製することができる。金属電極層1
3が半導体薄膜12a〜12dとは活性層12bのみで
接触し、この接触面以外の半導体薄膜の上面と側面のす
べてが保護層14で直接被覆される素子構造を実現する
方法としては、金属電極層13と接触する活性層12b
をエッチングにより露出させ、金属電極層13を形成す
る前に保護層14で被覆すれば特に限定されるものでは
ないが、エッチングにより露出したSbを含む化合物半
導体の側面が以降の工程で損傷を受けないように、エッ
チング工程の直後に保護層14で被覆することが好まし
い。
【0041】また、半導体薄膜表面のプロセスによる損
傷を軽減するためには、図10の工程図(作製されるホ
ール素子の断面図は図3に示す)に示されるように、半
導体薄膜形成後、まず前述のエッチング工程を行い、次
いで第一保護層34aで被覆し、この第一保護層34a
を感磁部形成のためのマスクとして用い、感磁部形成
後、第二保護層34bで被覆することがより好ましい。
【0042】したがって、本発明は、金属電極層13が
半導体薄膜12とはInX1Ga −X1AsY1Sb
1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)活性層12b
のみで接触し、この接触面以外の半導体薄膜12の上面
と側面のすべてが保護層14で直接被覆されているホー
ル素子の製造方法において、金属電極層13と接触する
活性層12bをエッチング工程により露出し、次いで保
護層14を形成する工程を有することを特徴とする。
【0043】また、本発明は、金属電極層33が半導体
薄膜32とはInX1Ga1−X1AsY1Sb
1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)活性層32b
のみで接触し、この接触面以外の半導体薄膜32の上面
および側面のすべてが保護層34で直接被覆されている
ホール素子の製造方法において、半導体薄膜32の形成
後、まず金属電極層33と接触する活性層32bをエッ
チング工程により露出し、次いで第一保護層34aを形
成する工程と、パターンニングしたこの第一保護層34
aをマスクとして用いて半導体薄膜32の感磁部および
電極接触部以外をエッチング工程で除去した後、エッチ
ング工程で露出した基板31と半導体薄膜32の側面お
よび第一保護層34aを第二保護層34bで被覆する工
程を有することを特徴とする。
【0044】ホール素子の半田耐熱性を向上するために
は、前述したInGaAsキャップ層(第三化合物半導
体層)とは別の方法として、図11に示す製造方法があ
る。
【0045】図4は、図11に示す製造方法により作製
されるホール素子の断面構造図である。図中符号41は
基板、42は半導体薄膜、42aは第一化合物半導体
層、42bは活性層、42cは第二化合物半導体層、4
2dは第三化合物半導体層、43は金属電極層、44は
保護層、44aは第一保護層、44bは第二保護層を示
している。
【0046】半導体薄膜42の表面がレジスト塗布、O
アッシング等のプロセスに全く曝されないように、半
導体薄膜42を形成した後、まず最初に第一保護層44
aを形成することが特徴である。
【0047】この製造方法によれば、第三化合物半導体
層42dがGaAsSbの場合においても十分に高い半
田耐熱性を確保することができるが、InGaAsキャ
ップ層と組み合わせることによりさらに高い信頼性を実
現することができる。また、極めて高い半田耐熱性と耐
高温高湿性とを両立するためには、請求項1に記載した
素子構造も同時に実現することが好ましい。
【0048】図12及び図13は、その具体的な製造方
法を示す工程図である。これら製造方法により作成され
るホール素子の断面構造図は、それぞれ図5及び図6に
示してある。図中符号51,61は基板、52,62は
半導体薄膜、52a,62aは第一化合物半導体層、5
2b,62bは活性層、52c,62cは第二化合物半
導体層、52d,62dは第三化合物半導体層、53,
63は金属電極層、54,64は保護層、54a,64
aは第一保護層、54b,64bは第二保護層、64c
は第三保護層を示している。
【0049】つまり、本発明は、InX1Ga1−X1
AsY1Sb1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)
からなる活性層42bの上下に、この活性層42bより
大きな禁制帯幅を有するSbを含む化合物半導体層42
a、42cとキャップ層としての化合物半導体層42d
を配置した半導体薄膜42a〜 42dと、金属電極層
43および保護層44からなるホール素子の製造方法に
おいて、半導体薄膜42の形成後、まず第一保護層44
aを形成し、パターニングされたこの第一保護層44a
をマスクとして用いて半導体薄膜42の感磁部および電
極接触部以外をエッチングで除去する工程と、エッチン
グ工程で露出した基板41と半導体薄膜42および第一
保護層44aを第二保護層44bで被覆する工程を有す
ることを特徴とする。
【0050】また、本発明は、金属電極層53が半導体
薄膜52とはInX1Ga1−X1AsY1Sb
1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)活性層52b
のみで接触し、この接触面以外の半導体薄膜52の上面
および側面のすべてが保護層54で直接被覆されている
ホール素子の製造方法において、半導体薄膜52の形成
後、まず第一保護層54aを形成し、パターニングされ
たこの第一保護層54aをマスクとして用いて半導体薄
膜52の感磁部および電極接触部以外をエッチングで除
去する工程と、第一保護層54aおよびキャップ層を含
む上部化合物半導体層52d、52cをエッチング工程
により除去し金属電極層53と接触する活性層52bを
露出させた後、エッチング工程で露出した基板51と半
導体薄膜52および第一保護層54aを第二保護層54
bで被覆する工程を有することを特徴とする。
【0051】さらに、本発明は、金属電極層63が半導
体薄膜62とはInX1Ga1−X AsY1Sb
1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)活性層62b
のみで接触し、この接触面以外の半導体薄膜62の上面
および側面のすべてが保護層64で直接被覆されている
ホール素子の製造方法において、半導体薄膜62の形成
後、まず第一保護層64aを形成し、パターニングされ
たこの第一保護層64aをマスクとして用いて半導体薄
膜62の感磁部および電極接触部以外をエッチング工程
で除去した後、エッチング工程で露出した基板61と半
導体薄膜62および第一保護層64aを第二保護層64
bで被覆する工程と、第二保護層64b、第一保護層6
4aおよびキャップ層を含む上部化合物半導体層62
d、62cをエッチング工程により除去し金属電極層6
3と接触する活性層62bを露出させた後、エッチング
工程で露出した半導体薄膜62および第二保護層64b
を第三保護層64cで被覆する工程を有することを特徴
とする。
【0052】本発明における保護層材料としては、特に
限定されるものではないが、感磁部形成工程をイオンミ
リング法などの物理的エッチングにより実施する場合、
第一保護層もエッチングされるので十分に厚い必要があ
り、厚くしても剥離しにくいSiOが好ましく、また
第二保護層としては耐湿性の点からSiが好まし
い。
【0053】したがって、本発明は、半導体薄膜の形成
後、まず第一保護層を形成し、パターニングされたこの
第一保護層をマスクとして用いて半導体薄膜の感磁部お
よび電極接触部以外をエッチングで除去する工程を含む
製造方法において、第一保護層がSiOであり、第二
保護層がSiであることを特徴とする。
【0054】本発明における活性層表面を露出させる方
法としては、特に限定されるものではないが、InAs
などの活性層はエッチングされずSbを含む化合物半導
体層がエッチングされるエッチング液を用い選択エッチ
ングを行うと、InAs表面でエッチングが停止しプロ
セスの制御が容易である。キャップ層がInGaAsで
ある場合は、イオンミリング法などの物理的エッチング
により少なくともキャップ層を除去した後、前述した選
択エッチングで活性層表面を露出させることができる。
この選択エッチング後に活性層表面部分をさらにエッチ
ングすることは、高温高湿試験および半田耐熱試験にお
ける不平衡電圧の変動をより小さくする効果がある。こ
のエッチング方法としては特に限定されるものではな
い。また、エッチング量としては特に限定されるもので
はないが、活性層の厚さの2分の1以下が好ましい。
【0055】以下に、本発明の具体的な実施例について
説明する。 [実施例1]図1に示す化合物半導体ホール素子を以下
の工程により作製した。まず、半導体薄膜の作製手順を
説明する。直径2インチのGaAs基板11上に分子線
エピタキシー(MBE)法により、第一化合物半導体層
12aとして500nmのAl0.57Ga0.43
0.04Sb0.96、活性層12bとして50nm
のInAs、第二化合物半導体層12cとして50nm
のAl .57Ga0.43As0.04
0.96、第三化合物半導体層12dとして10nm
のGaAs0.02Sb0.98を順次成膜することに
より半導体薄膜12を形成した。
【0056】Al0.57Ga0.43As0.04
0.96の禁制帯幅はおよそ1.2eVであり、In
Asの0.36eVと比較して十分大きな値である。半
導体薄膜12の電気特性を、van der Pauw
法を用いて測定したところ、電子移動度が22000c
/Vs、シート抵抗が360Ω、シート電子濃度が
7.9×1011cm−2であった。
【0057】次に、図8に示す工程図に基づきウェハプ
ロセスについて説明する。まず、感磁部(電極接触部を
含む)の形状をしたレジストパターンを形成し(S80
1)、これをマスクとしてイオンミリング法によりGa
As基板までメサエッチングを行い感磁部を形成した後
(S802)、レジストを除去した(S803)。
【0058】次に、金属電極層がInAs層と接触する
部分よりわずかに大きい領域が開口部となっているレジ
ストパターンを半導体薄膜上に形成した後(S80
4)、不要なGaAs0.02Sb0.98層とAl
0.57Ga0.43As0.04Sb0.96層のエ
ッチングをHCl系エッチング液で行い(S805)、
その後レジストを除去した(S806)。InAs層は
エッチングされないエッチング液を用いたためInAs
層表面でエッチングは停止する。
【0059】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、保護層14としてのSi を300nm形成
した(S807)。金属電極層がInAs層と接触する
部分とパッド部分が開口部となっているレジストパター
ンをこのSi層上に形成した後(S808)、C
とOの混合ガスを用いた反応性イオンエッチング
法によりSi層の不要部分をエッチングした(S
809)。その後レジストを除去し(S810)、さら
に真空蒸着法によりTi層100nm、Au層600n
mを連続蒸着し、通常のリフトオフ法により金属電極層
13のパターンを形成した(S811,S812)。最
後に、ウェハにAr雰囲気中で250℃、2時間のアニ
ールを施してホール素子を製作した。
【0060】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0061】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子を高温高湿環境下(121℃、99%、2気
圧)で100時間放置させ、その前後での不平衡電圧変
動ΔVu(mV)を調べた。さらに、ホール素子を35
0℃に加熱された半田槽に5秒間ディップさせ、その前
後での不平衡電圧変動ΔVu(mV)および入力抵抗変
動ΔRin(%)〔抵抗変動をディップ前の抵抗値で割
ったもの〕を調べた。Rinの測定は入力電流0.1m
Aで、Vuの測定は入力電圧3Vで行った。50素子に
おける測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平均
値で評価し、その結果を以下の表2に示した。いずれの
値も後述比較例と比較して小さい値であった。特に、高
温高湿試験におけるΔVuは大きく改善されており、金
属電極層と接触する活性層以外を保護層で直接被覆した
効果である。
【0062】
【表2】
【0063】[比較例1]図7に示すホール素子を以下
の工程により作製した。半導体薄膜72の層構成および
作製手順は実施例1と同じである。図14に示す工程図
に基づきウェハプロセスについて説明する。まず、感磁
部(電極接触部を含む)の形状をしたレジストパターン
を、フォトリソグラフィー法を用いて形成し(S140
1)、これをマスクとしてイオンミリング法によりGa
As基板71までメサエッチングを行い感磁部を形成し
た後(S1402)、レジストを除去した(S140
3)。
【0064】次いで、InAs層72bを露出させるた
めのレジストパターンをフォトリソグラフィー法を用い
て形成した(S1404)。不要なGaAs0.02
.98層72dとAl0.57Ga0.43As
0.04Sb0.96層72cのエッチングをHCl系
エッチング液で行い(S1405)、その後レジストを
除去した(S1406)。InAs層はエッチングされ
ないエッチング液を用いたためInAs層表面でエッチ
ングは停止する。
【0065】次に、真空蒸着法によりTi層100n
m、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ
法により金属電極層73のパターンを形成した(S14
07)。その後、ウェハ全面にプラズマCVD法を用い
て、保護層74としてのSiを300nm形成し
た(S1408)。パッド部分が開口部となっているレ
ジストパターンをこのSi層上に形成した後(S
1409)、CFとO の混合ガスを用いた反応性イ
オンエッチング法によりSi層の不要部分をエッ
チングした(S1410)。レジストを除去した後、ウ
ェハにAr雰囲気中で250℃、2時間のアニールを施
してホール素子を製作した。
【0066】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0067】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も極
めて大きく十分な信頼性が得られなかった。
【0068】[比較例2]図2に示すホール素子を以下
の工程により作製した。半導体薄膜22の層構成および
作製手順は実施例1と同じである。図9に示す工程図に
基づきウェハプロセスについて説明する。まず、感磁部
(電極接触部を含む)の形状をしたレジストパターンを
形成し(S901)、これをマスクとしてイオンミリン
グ法によりGaAs基板21までメサエッチングを行い
感磁部を形成した後(S902)、レジストを除去した
(S903)。
【0069】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、保護層24としてのSi を300nm形成
した(S904)。金属電極層がInAs層22bと接
触する部分とパッド部分が開口部となっているレジスト
パターンをこのSi層上に形成した後(S90
5)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオンエ
ッチング法によりSi層の不要部分をエッチング
し(S906)、次いでレジストを除去した(S90
7)。
【0070】次に、不要なGaAs0.02Sb
0.98層22dとAl0.57Ga0. 43As
0.04Sb0.96層22cをHCl系エッチング液
でエッチングして金属電極層と接触するInAs表面を
露出させた(S908)。さらに、真空蒸着法によりT
i層100nm、Au層600nmを連続蒸着し、通常
のリフトオフ法により金属電極層23のパターンを形成
した(S909,S910)。最後に、ウェハにAr雰
囲気中で250℃、2時間のアニールを施してホール素
子を製作した。
【0071】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0072】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も極
めて大きく十分な信頼性が得られなかった。
【0073】[実施例2]図2に示すホール素子を以下
の工程により作製した。まず、半導体薄膜の作製手順を
説明する。直径2インチのGaAs基板21上に分子線
エピタキシー(MBE)法により、第一化合物半導体層
22aとして500nmのAl0.57Ga0.43
0.04Sb0.96、活性層22bとして50nm
のInAs、第二化合物半導体層22cとして50nm
のAl .57Ga0.43As0.04
0.96、第三化合物半導体層22dとして10nm
のGaAsを順次成膜することにより半導体薄膜22を
形成した。Al0.57Ga0.43As0.04Sb
0.96の禁制帯幅はおよそ1.2eVであり、InA
sの0.36eVと比較して十分大きな値である。半導
体薄膜2の電気特性を、van der Pauw法を
用いて測定したところ、電子移動度が22000cm
/Vs、シート抵抗が380Ω、シート電子濃度が7.
5×1011cm−2であった。
【0074】次に、図9に示す工程図に基づきウェハプ
ロセスについて説明する。まず、感磁部(電極接触部を
含む)の形状をしたレジストパターンを形成し(S90
1)、これをマスクとしてイオンミリング法によりGa
As基板までメサエッチングを行い感磁部を形成した後
(S902)、レジストを除去した(S903)。
【0075】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、保護層24としてのSi を300nm形成
した(S904)。金属電極層がInAs層と接触する
部分とパッド部分が開口部となっているレジストパター
ンをこのSi層上に形成した後(S905)、C
とOの混合ガスを用いた反応性イオンエッチング
法によりSi層の不要部分をエッチングし(S9
06)、次いでレジストを除去した(S907)。
【0076】次に、不要なGaAs層と一部のAl
0.57Ga0.43As0.04Sb 0.96層をイ
オンミリング法で、残りのAl0.57Ga0.43
0.0 Sb0.96層をHCl系エッチング液でエ
ッチングして金属電極層と接触するInAs表面を露出
させた(S908)。さらに、真空蒸着法によりTi層
100nm、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリ
フトオフ法により金属電極層23のパターンを形成した
(S909,S910)。最後に、ウェハにAr雰囲気
中で250℃、2時間のアニールを施してホール素子を
製作した。
【0077】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0078】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例2の第三化合物半導体層がGaAsSbの場合と比
較して小さく、特に半田耐熱試験における改善が顕著で
あった。
【0079】[実施例3]実施例2と同じ層構成の半導
体薄膜で、図1に示すホール素子を作製する工程を以下
に説明する。半導体薄膜12の作製手順は実施例2と同
じである。ウェハプロセスは図8に示す工程図に基づき
実施した。まず、感磁部(電極接触部を含む)の形状を
したレジストパターンを形成し(S801)、これをマ
スクとしてイオンミリング法によりGaAs基板11ま
でメサエッチングを行い感磁部を形成した後(S80
2)、レジストを除去した(S803)。
【0080】次に、金属電極層がInAs層12bと接
触する部分よりわずかに大きい領域が開口部となってい
るレジストパターンを半導体薄膜上に形成した後(S8
04)、不要なGaAs層12dと一部のAl0.57
Ga0.43As0.04Sb0.96層12cをイオ
ンミリング法で、残りのAl0.57Ga0.43As
0.04Sb0.96層12cをHCl系エッチング液
でエッチングして金属電極層と接触するInAs表面を
露出させた(S805,S806)。
【0081】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、保護層14としてのSi を300nm形成
した(S807)。金属電極層がInAs層と接触する
部分とパッド部分が開口部となっているレジストパター
ンをこのSi層上に形成した後(S808)、C
とOの混合ガスを用いた反応性イオンエッチング
法によりSi層の不要部分をエッチングした(S
809)。
【0082】その後レジストを除去し(S810)、さ
らに、真空蒸着法によりTi層100nm、Au層60
0nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ法により金属電
極層13のパターンを形成した(S811,S81
2)。最後に、ウェハにAr雰囲気中で250℃、2時
間のアニールを施してホール素子を製作した。
【0083】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0084】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例の場合と比較して極めて小さく改善が顕著であっ
た。
【0085】[実施例4]実施例1と同じ層構成の半導
体薄膜で、図3に示すホール素子を作製する工程を以下
に説明する。半導体薄膜32の作製手順は実施例1と同
じである。ウェハプロセスは図10に示す工程図に基づ
き実施した。まず、金属電極層がInAs層32bと接
触する部分よりわずかに大きい領域が開口部となってい
るレジストパターンを半導体薄膜上に形成した後(S1
001)、不要なGaAs0.02Sb0.98層32
dとAl0.57Ga0.43As0.04Sb
0.96層32cをHCl系エッチング液でエッチング
して金属電極層と接触するInAs表面を露出させた
(S1002,S1003)。
【0086】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて第一保護層34aとしてのSiOを500nm形
成した(S1004)。次に、感磁部(電極接触部を含
む)の形状をしたレジストパターンを形成した後(S1
005)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオ
ンエッチング法によりSiO層の不要部分をエッチン
グし、次いでレジストを除去することによりハードマス
クを形成した(S1006)。このハードマスクを用い
てイオンミリング法によりGaAs基板31までメサエ
ッチングを行い感磁部を形成した(S1007,S10
08)。イオンミリングにより半導体薄膜をエッチング
する際、ハードマスクのSiO層もエッチングされ残
り膜厚はおよそ100nmであった。
【0087】次いで、ウェハ全面にプラズマCVD法を
用いて、第二保護層34bとしてのSiを300
nm形成した(S1009)。金属電極層がInAs層
と接触する部分とパッド部分が開口部となっているレジ
ストパターンをこのSi 層上に形成した後(S1
010)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオ
ンエッチング法によりSi層およびSiO層の
不要部分をエッチングし(S1011)、次いでレジス
トを除去した(S1012)。
【0088】さらに、真空蒸着法によりTi層100n
m、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ
法により金属電極層33のパターンを形成した(S10
13,S1014)。最後に、ウェハにAr雰囲気中で
250℃、2時間のアニールを施してホール素子を製作
した。
【0089】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0090】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例の場合と比較して極めて小さく、顕著な改善が見ら
れた。
【0091】[実施例5]実施例2と同じ層構成の半導
体薄膜で、図3に示すホール素子を作製する工程を以下
に説明する。半導体薄膜32の作製手順は実施例2と同
じである。ウェハプロセスは図10に示す工程図に基づ
き実施した。まず、金属電極層がInAs層32bと接
触する部分よりわずかに大きい領域が開口部となってい
るレジストパターンを半導体薄膜上に形成した後(S1
001)、不要なGaAs層32dと一部のAl0.
57Ga0.43As0.04Sb0.96層32cを
イオンミリング法で、残りのAl0.57Ga0.43
As0.04Sb0.96層32cをHCl系エッチン
グ液でエッチングして金属電極層と接触するInAs表
面を露出させた(S1002,S1003)。
【0092】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて第一保護層34aとしてのSiOを500nm形
成した(S1004)。次に、感磁部(電極接触部を含
む)の形状をしたレジストパターンを形成した後(S1
005)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオ
ンエッチング法によりSiO層の不要部分をエッチン
グし、次いでレジストを除去することによりハードマス
クを形成した(S1006)。このハードマスクを用い
てイオンミリング法によりGaAs基板31までメサエ
ッチングを行い感磁部を形成した(S1007,S10
08)。イオンミリングにより半導体薄膜をエッチング
する際、ハードマスクのSiO層もエッチングされ残
り膜厚はおよそ100nmであった。
【0093】次いで、ウェハ全面にプラズマCVD法を
用いて、第二保護層34bとしてのSiを300
nm形成した(S1009)。金属電極層がInAs層
と接触する部分とパッド部分が開口部となっているレジ
ストパターンをこのSi 層上に形成した後(S1
010)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオ
ンエッチング法によりSi層およびSiO層の
不要部分をエッチングし(S1011)、次いでレジス
トを除去した(S1012)。
【0094】さらに、真空蒸着法によりTi層100n
m、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ
法により金属電極層33のパターンを形成した(S10
13,S1014)。最後に、ウェハにAr雰囲気中で
250℃、2時間のアニールを施してホール素子を製作
した。
【0095】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0096】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例の場合と比較して極めて小さく、顕著な改善が見ら
れた。
【0097】[実施例6]実施例1と同じ層構成の半導
体薄膜を用いて、図4に示すホール素子を作製する工程
を以下に説明する。半導体薄膜42の作製手順は実施例
1と同じである。ウェハプロセスは図11に示す工程図
に基づき実施した。まず、ウェハ全面にプラズマCVD
法を用いて第一保護層44aとしてのSiOを500
nm形成した(S1101)。次に、感磁部(電極接触
部を含む)の形状をしたレジストパターンを形成した後
(S1102)、CFとOの混合ガスを用いた反応
性イオンエッチング法によりSiO層の不要部分をエ
ッチングし、次いでレジストを除去することによりハー
ドマスクを形成した(S1103)。このハードマスク
を用いてイオンミリング法によりGaAs基板41まで
メサエッチングを行い感磁部を形成した(S1104,
S1105)。イオンミリングにより半導体薄膜をエッ
チングする際、ハードマスクのSiO層もエッチング
され残り膜厚はおよそ100nmであった。
【0098】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、第二保護層44bとしてのSiを300n
m形成した(S1106)。金属電極層がInAs層と
接触する部分とパッド部分が開口部となっているレジス
トパターンをこのSi層上に形成した後(S11
07)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオン
エッチング法によりSi層およびSiO層の不
要部分をエッチングし(S1108)、次いでレジスト
を除去した(S1109)。その後、不要なGaAs
0.02Sb0.98層42dとAl0.57Ga
0.43As0.04Sb0.96層42cをHCl系
エッチング液でエッチングして金属電極層と接触するI
nAs表面を露出させた(S1110)。
【0099】さらに、真空蒸着法によりTi層100n
m、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ
法により金属電極層43のパターンを形成した(S11
11,S1110)。最後に、ウェハにAr雰囲気中で
250℃、2時間のアニールを施してホール素子を製作
した。
【0100】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0101】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例の場合と比較して極めて小さかった。
【0102】[実施例7]実施例1と同じ層構成の半導
体薄膜を用いて、図5に示すホール素子を作製する工程
を以下に説明する。半導体薄膜52の作製手順は実施例
1と同じである。ウェハプロセスは図12に示す工程図
に基づき実施した。まず、ウェハ全面にプラズマCVD
法を用いて第一保護層54aとしてのSiOを500
nm形成した(S1201)。次に、感磁部(電極接触
部を含む)の形状をしたレジストパターンを形成した後
(S1202)、CFとOの混合ガスを用いた反応
性イオンエッチング法によりSiO層の不要部分をエ
ッチングし、次いでレジストを除去することによりハー
ドマスクを形成した(S1203)。このハードマスク
を用いてイオンミリング法によりGaAs基板51まで
メサエッチングを行い感磁部を形成した(S1204,
S1205)。イオンミリングにより半導体薄膜をエッ
チングする際、ハードマスクのSiO層もエッチング
され残り膜厚はおよそ100nmであった。
【0103】次に、金属電極層がInAs層と接触する
部分よりわずかに大きい領域が開口部となっているレジ
ストパターンを該SiO層上に形成した後(S120
6)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオンエ
ッチング法によりSiO層の不要部分をエッチングし
(S1207)、次いでレジストを除去した(S120
8)。その後、不要なGaAs0.02Sb0.98
52dとAl0.57Ga0.43As0.04Sb
0.96層52cをHCl系エッチング液でエッチング
して金属電極層と接触するInAs表面を露出させた
(S1209)。
【0104】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、第二保護層54bとしてのSiを300n
m形成した(S1210)。金属電極層がInAs層と
接触する部分とパッド部分が開口部となっているレジス
トパターンをこのSi層上に形成した後(S12
11)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオン
エッチング法によりSi層およびSiO層の不
要部分をエッチングし、次いでレジストを除去した。
【0105】さらに、真空蒸着法によりTi層100n
m、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ
法により金属電極層53のパターンを形成した(S12
12)。最後に、ウェハにAr雰囲気中で250℃、2
時間のアニールを施してホール素子を製作した。
【0106】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0107】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例の場合と比較して極めて小さかった。
【0108】[実施例8]実施例1と同じ層構成の半導
体薄膜を用いて、図6に示すホール素子を作製する工程
を以下に説明する。半導体薄膜62の作製手順は実施例
1と同じである。ウェハプロセスは図13に示す工程図
に基づき実施した。まず、ウェハ全面にプラズマCVD
法を用いて第一保護層64aとしてのSiOを500
nm形成した(S1301)。次に、感磁部(電極接触
部を含む)の形状をしたレジストパターンを形成した後
(S1302)、CFとOの混合ガスを用いた反応
性イオンエッチング法によりSiO層の不要部分をエ
ッチングし、次いでレジストを除去することによりハー
ドマスクを形成した(S1303)。このハードマスク
を用いてイオンミリング法によりGaAs基板61まで
メサエッチングを行い感磁部を形成した(S1304,
S1305)。イオンミリングにより半導体薄膜をエッ
チングする際、ハードマスクのSiO層もエッチング
され残り膜厚はおよそ100nmであった。
【0109】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、第二保護層64bとしてのSiを100n
m形成した(S1306)。金属電極層がInAs層と
接触する部分よりわずかに大きい領域が開口部となって
いるレジストパターンをこのSi層上に形成した
後(S1307)、CFとOの混合ガスを用いた反
応性イオンエッチング法によりSi層およびSi
層の不要部分をエッチングし(S1308)、次い
でレジストを除去した(S1309)。その後、不要な
GaAs0.02Sb0.98層62dとAl0.57
Ga0.43As0.04Sb0.96層62cをHC
l系エッチング液でエッチングして金属電極層と接触す
るInAs表面を露出させた(S1310)。
【0110】次いで、ウェハ全面にプラズマCVD法を
用いて、第三保護層64cとしてのSiを200
nm形成した(S1311)。金属電極層がInAs層
と接触する部分とパッド部分が開口部となっているレジ
ストパターンをこのSi 層上に形成した後(S1
312)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオ
ンエッチング法によりSi層の不要部分をエッチ
ングし、次いでレジストを除去した(S1313)。
【0111】さらに、真空蒸着法によりTi層100n
m、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ
法により金属電極層63のパターンを形成した(S13
14,S1315)。最後に、ウェハにAr雰囲気中で
250℃、2時間のアニールを施してホール素子を製作
した。
【0112】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0113】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例の場合と比較して極めて小さかった。
【0114】[実施例9]実施例2と同じ層構成の半導
体薄膜を用いて、図6に示すホール素子を作製する工程
を以下に説明する。半導体薄膜62の作製手順は実施例
2と同じである。ウェハプロセスは図13に示す工程図
に基づき実施した。まず、ウェハ全面にプラズマCVD
法を用いて第一保護層64aとしてのSiOを500
nm形成した(S1301)。次に、感磁部(電極接触
部を含む)の形状をしたレジストパターンを形成した後
(S1302)、CFとOの混合ガスを用いた反応
性イオンエッチング法によりSiO層の不要部分をエ
ッチングし、次いでレジストを除去することによりハー
ドマスクを形成した(S1303)。このハードマスク
を用いてイオンミリング法によりGaAs基板61まで
メサエッチングを行い感磁部を形成した(S1304,
S1305)。イオンミリングにより半導体薄膜をエッ
チングする際、ハードマスクのSiO層もエッチング
され残り膜厚はおよそ100nmであった。
【0115】次に、ウェハ全面にプラズマCVD法を用
いて、第二保護層64bとしてのSiを100n
m形成した(S1306)。金属電極層がInAs層と
接触する部分よりわずかに大きい領域が開口部となって
いるレジストパターンをこのSi層上に形成した
後(S1307)、CFとOの混合ガスを用いた反
応性イオンエッチング法によりSi層およびSi
層の不要部分をエッチングし(S1308)、次い
でレジストを除去した(S1309)。その後、不要な
GaAs層62dと一部のAl0.57Ga0.43
0.04Sb 0.96層62cをイオンミリング法
で、残りのAl0.57Ga0.43As 0.04Sb
0.96層62cをHCl系エッチング液でエッチング
して金属電極層と接触するInAs表面を露出させた
(S1310)。
【0116】次いで、ウェハ全面にプラズマCVD法を
用いて、第三保護層64cとしてのSiを200
nm形成した(S1311)。金属電極層がInAs層
と接触する部分とパッド部分が開口部となっているレジ
ストパターンをこのSi 層上に形成した後(S1
312)、CFとOの混合ガスを用いた反応性イオ
ンエッチング法によりSi層の不要部分をエッチ
ングし(S1310)、次いでレジストを除去した。
【0117】さらに、真空蒸着法によりTi層100n
m、Au層600nmを連続蒸着し、通常のリフトオフ
法により金属電極層63のパターンを形成した(S13
14,S1315)。最後に、ウェハにAr雰囲気中で
250℃、2時間のアニールを施してホール素子を製作
した。
【0118】このような方法でウェハ上に多数製作した
ホール素子の感磁部の長さ(対向した電極間長)は95
μm、幅は35μmである。これらホール素子を、ダン
シング、ダイボンド、ワイヤボンド、ついでトランスフ
ァーモールドを行い、エポキシ樹脂でモールドされたホ
ール素子を製作した。
【0119】上述した方法で作製されたホール素子の感
度を、50mTの磁場中で3Vの入力電圧を加えて測定
したところ、120mVの出力電圧が得られた。また、
ホール素子の不平衡電圧変動ΔVuと入力抵抗変動ΔR
inの測定を実施例1と同様な条件で行った。50素子
における測定結果をΔVuは標準偏差で、ΔRinは平
均値で評価し、その結果を表2に示す。いずれの値も比
較例の場合と比較して極めて小さかった。
【0120】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、I
X1Ga1−X1AsY1Sb1− Y1(0≦X1≦
1、0≦Y1≦1)からなる活性層の上下に、活性層よ
り大きな禁制帯幅を有するSbを含む化合物半導体層を
配置した半導体薄膜と、金属電極および保護層からなる
ホール素子において、金属電極層が半導体薄膜とは活性
層のみで接触し、接触面以外は半導体薄膜の上面と側面
のすべてが保護層で直接被覆されているので、活性層の
上下に配置された禁制帯幅の大きな化合物半導体層全面
(表面および側面)が保護層で被覆される構造を実現
し、素子特性の変動が小さく信頼性の高い、特に高温高
湿環境下においても特性変動が小さい化合物半導体ホー
ル素子を提供することができる。
【0121】また、本発明によれば、最上部の化合物半
導体層としてSbを含まないInGaAsをキャップ層
とすることにより、工程中の半導体薄膜の表面酸化を抑
制することができ、素子特性の変動が小さく信頼性の高
い、特に半田付けなどの高温処理においても特性変動が
小さい化合物半導体ホール素子を提供することができ
る。
【0122】さらに、本発明によれば、半導体薄膜を形
成した後、まず最初にSiO層などの保護層を形成
し、半導体薄膜の表面損傷を最小化することにより、素
子特性の変動が小さく信頼性の高い、特に半田付けなど
の高温処理においても特性変動が小さい化合物半導体ホ
ール素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における化合物半導体ホール素子の一実
施例を説明するための断面図である。
【図2】本発明における化合物半導体ホール素子の他の
実施例を説明するための断面図である。
【図3】本発明における化合物半導体ホール素子のさら
に他の実施例を説明するための断面図である。
【図4】本発明における化合物半導体ホール素子のさら
に他の実施例を説明するための断面図である。
【図5】本発明における化合物半導体ホール素子のさら
に他の実施例を説明するための断面図である。
【図6】本発明における化合物半導体ホール素子のさら
に他の実施例を説明するための断面図である。
【図7】従来構造を有する化合物半導体ホール素子の断
面図である。
【図8】図1の化合物半導体ホール素子を作製する工程
図の一例を示す図である。
【図9】図2の化合物半導体ホール素子を作製する工程
図の一例を示す図である。
【図10】図3の化合物半導体ホール素子を作製する工
程図の一例を示す図である。
【図11】図4の化合物半導体ホール素子を作製する工
程図の一例を示す図である。
【図12】図5の化合物半導体ホール素子を作製する工
程図の一例を示す図である。
【図13】図6の化合物半導体ホール素子を作製する工
程図の一例を示す図である。
【図14】図7の化合物半導体ホール素子を作製する工
程図の一例を示す図である。
【符号の説明】
11,21,31,41,51,61,71 基板 12,22,32,42,52,62,72 半導体薄
膜 12a,22a,32a,42a,52a,62a,7
2a 第一化合物半導体層 12b,22b,32b,42b,52b,62b,7
2b 活性層 12c,22c,32c,42c,52c,62c,7
2c 第二化合物半導体層 12d,22d,32d,42d,52d,62d,7
2d 第三化合物半導体層 13,23,33,43,53,63,73 金属電極
層 14、24,34,44,54,64,74 保護層 34a,44a,54a,64a 第一保護層 34b,44b,54b,64b 第二保護層 64c 第三保護層

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 InX1Ga1−X1AsY1Sb
    1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)からなる活性
    層の上下に、該活性層より大きな禁制帯幅を有するSb
    を含む化合物半導体層を配置した半導体薄膜と、金属電
    極層および保護層からなるホール素子において、前記金
    属電極層が前記半導体薄膜とは前記活性層のみで接触
    し、該接触面以外の前記半導体薄膜の上面と側面のすべ
    てが前記保護層で直接被覆されていることを特徴とする
    化合物半導体ホール素子。
  2. 【請求項2】 InX1Ga1−X1AsY1Sb
    1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)からなる活性
    層の上下に、該活性層より大きな禁制帯幅を有するSb
    を含む化合物半導体層を配置した半導体薄膜と、金属電
    極層および保護層からなるホール素子において、上部化
    合物半導体層の上にInX2Ga1−X2As(0≦X
    2≦1)からなるキャップ層を具備することを特徴とす
    る化合物半導体ホール素子。
  3. 【請求項3】 前記上部化合物半導体層の上にInX2
    Ga1−X2As(0≦X2≦1)からなるキャップ層
    を具備することを特徴とする請求項1に記載の化合物半
    導体ホール素子。
  4. 【請求項4】 前記半導体薄膜がGaAsまたはSiの
    基板上に形成され、前記活性層がInAsで、前記化合
    物半導体層がAlZ1Ga1−Z1AsY2Sb
    1−Y2(0≦Z1≦1、0≦Y2≦0.3)であるこ
    とを特徴とする請求項1,2又は3に記載の化合物半導
    体ホール素子。
  5. 【請求項5】 請求項1,2又は3に記載された化合物
    半導体ホール素子の製造方法において、前記金属電極層
    と接触する前記活性層をエッチング工程により露出し、
    次いで前記保護層を形成する工程を有することを特徴と
    する化合物半導体ホール素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記半導体薄膜の形成後、まず前記金属
    電極層と接触する前記活性層をエッチング工程により露
    出し、次いで第一保護層を形成する工程と、パターンニ
    ングした該第一保護層をマスクとして用いて前記半導体
    薄膜の感磁部および電極接触部以外をエッチング工程で
    除去した後、エッチング工程で露出した基板と半導体薄
    膜の側面および第一保護層を第二保護層で被覆する工程
    を有することを特徴とする請求項5に記載の化合物半導
    体ホール素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 InX1Ga1−X1AsY1Sb
    1−Y1(0≦X1≦1、0≦Y1≦1)からなる活性
    層の上下に、該活性層より大きな禁制帯幅を有するSb
    を含む化合物半導体層を配置した半導体薄膜と、金属電
    極層および保護層からなる化合物半導体ホール素子の製
    造方法において、前記半導体薄膜の形成後、まず第一保
    護層を形成し、パターニングされた該第一保護層をマス
    クとして用いて半導体薄膜の感磁部および電極接触部以
    外をエッチングで除去する工程と、エッチング工程で露
    出した基板と半導体薄膜および第一保護層を第二保護層
    で被覆する工程を有することを特徴とする化合物半導体
    ホール素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1,2又は3に記載された化合物
    半導体ホール素子の製造方法において、前記半導体薄膜
    の形成後、まず第一保護層を形成し、パターニングされ
    た該第一保護層をマスクとして用いて半導体薄膜の感磁
    部および電極接触部以外をエッチングで除去する工程
    と、第一保護層およびキャップ層を含む上部化合物半導
    体層をエッチング工程により除去し前記金属電極層と接
    触する前記活性層を露出させた後、エッチング工程で露
    出した基板と半導体薄膜および第一保護層を第二保護層
    で被覆する工程を有することを特徴とする化合物半導体
    ホール素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1,2又は3に記載された化合物
    半導体ホール素子の製造方法において、前記半導体薄膜
    の形成後、まず第一保護層を形成し、パターニングされ
    た該第一保護層をマスクとして用いて半導体薄膜の感磁
    部および電極接触部以外をエッチング工程で除去した
    後、エッチング工程で露出した基板と半導体薄膜および
    第一保護層を第二保護層で被覆する工程と、第二保護層
    と第一保護層およびキャップ層を含む上部化合物半導体
    層をエッチング工程により除去し前記金属電極層と接触
    する前記活性層を露出させた後、エッチング工程で露出
    した半導体薄膜および第二保護層を第三保護層で被覆す
    る工程を有することを特徴とする化合物半導体ホール素
    子の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項6乃至9いずれかに記載された
    化合物半導体ホール素子の製造方法において、前記第一
    保護層がSiOで、前記第二保護層がSi であ
    ることを特徴とする化合物半導体ホール素子の製造方
    法。
  11. 【請求項11】 前記半導体薄膜がGaAsまたはSi
    の基板上に形成され、前記活性層がInAsで、前記化
    合物半導体層がAlZ1Ga1−Z1As Sb
    1−Y2(0≦Z1≦1、0≦Y2≦0.3)であるこ
    とを特徴とする請求項5乃至10いずれかに記載の化合
    物半導体ホール素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013070092A (ja) * 2012-12-20 2013-04-18 Asahi Kasei Electronics Co Ltd 磁気デバイスの製造方法

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