JP2003243578A - 導電接点素子及び電気コネクタ - Google Patents

導電接点素子及び電気コネクタ

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JP2003243578A
JP2003243578A JP2002038623A JP2002038623A JP2003243578A JP 2003243578 A JP2003243578 A JP 2003243578A JP 2002038623 A JP2002038623 A JP 2002038623A JP 2002038623 A JP2002038623 A JP 2002038623A JP 2003243578 A JP2003243578 A JP 2003243578A
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Koji Nishizawa
孝治 西沢
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Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Polymer Co Ltd
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯蔵の安定性に優れ、成形する場合に導通抵
抗が安定し、繰り返し使用しても導通抵抗の上昇を抑制
防止できる導電接点素子及び電気コネクタを提供する。 【解決手段】 実装基板1と半導体パッケージ10間に
介在する絶縁性の基板20と、基板20に貫通支持さ
れ、実装基板1と半導体パッケージ10の電極2・11
を導通する複数の導電接点素子22とを備える。各導電
接点素子22を導電性組成物23で成形し、導電性組成
物23の成分を(a)硬化可能な重合体組成物と(b)導電
性粒子とするとともに、(b)導電性粒子の成分中の少な
くとも50重量%を、最外面が金、銀、又はニッケル金
属で被覆された金属被覆導電性粒子とし、金属被覆導電
性粒子の質量を(a)硬化可能な重合体組成物に対して±
1.5以内の比重とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種電気電子機器
の電気的な接続、例えばLGAやBGAからなるエリア
・アレイ型の半導体パッケージを実装基板に接続する場
合等に使用される導電接点素子及び電気コネクタに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、LGAやBGAからなる半導体パ
ッケージは、図示しない実装基板上に直接ハンダ付けさ
れたり、あるいは板バネ、コイルスプリング、コイルス
プリングにより上下動する可動ピン等により実装基板に
接続される。ところが近時、半導体パッケージの高性能
化や高機能化に伴い、外部接続端子が増加してきている
ので、接続信頼性の観点からハンダによる一括接続が困
難になってきている。また、電気信号の高速化に伴い、
従来の板バネやコイルスプリングでは、接続距離が長く
なるので、インダクタンス成分が大きくなり、高速の信
号伝達に支障を来すようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上のような問題に鑑
み、近年、絶縁性の基板に複数の導電性エラストマー素
子を貫通支持させた電気コネクタが検討されている。こ
の電気コネクタを構成する材料の導電性付与材として
は、通常、抵抗やコストの観点から銀粉末が多用され
る。この銀粉末は、硝酸銀水溶液をヒドラジン、ホルム
アルデヒド、アスコルビン酸等の還元剤により還元して
得られる還元銀粉末、硝酸銀水溶液を電気分解により陰
極上に析出して得られる電解銀粉末、1000℃以上に
加熱溶融した溶融銀を水中あるいは不活性ガス中に噴霧
して得られるアトマイズ銀粉末とに分類される。これら
銀粉末の形状は、粒状、フレーク状、樹枝状、不定形状
に分けられるが、特に低い導通抵抗のエラストマーを形
成することができるという理由から、フレーク状又はフ
レーク状と粒状とを組み合わせた銀粉末が好適に使用さ
れる。
【0004】しかしながら、フレーク状又はフレーク状
と粒状とを組み合わせた銀粉末を配合し、この配合した
組成物を貯蔵すると、この組成物から銀粉末が層分離し
てしまうという大きな問題がある。また、金型に組成物
を充填し、導電性エラストマー素子を成形する場合に
は、銀粉末の分離が局所的に発生し、半導体パッケージ
を実装する場合には、導通抵抗が大きく変化したり、導
通抵抗が不安定になり、結果として半導体パッケージの
動作が安定しないこととなる。さらに、実装基板に対す
る半導体パッケージの圧縮を繰り返すと、銀粉末の凝集
や連鎖が顕著な部分において破壊され、導通抵抗が著し
く上昇し、繰り返して使用できないおそれが少なくな
い。
【0005】本発明は、上記に鑑みなされたもので、貯
蔵の安定性に優れ、成形する場合に導通抵抗が安定し、
しかも、繰り返し使用しても導通抵抗の上昇を抑制防止
することのできる導電接点素子及び電気コネクタを提供
することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、導電接点素
子を形成する導電性組成物について、導電性粒子の成分
中の少なくとも50重量%を、金、銀、あるいはニッケ
ル金属で被覆された金属被覆導電性粒子とし、この金属
被覆導電性粒子を(a)硬化可能な重合体組成物の比重に
対して±1.5以内とすれば、貯蔵安定性に優れ、成形
する場合に導通抵抗が安定し、例え繰り返し使用しても
導通抵抗の上昇を抑制防止することができるのを見出
し、本発明を完成させるに至った。すなわち、請求項1
記載の発明においては、上記課題を達成するため、導電
性組成物の成分を(a)硬化可能な重合体組成物と(b)導
電性粒子とし、この(b)導電性粒子の成分中の少なくと
も50重量%を、金、銀、ニッケル金属で被覆された金
属被覆導電性粒子とし、この金属被覆導電性粒子を(a)
硬化可能な重合体組成物に対して±1.5以内の比重と
したことを特徴としている。
【0007】なお、(a)硬化可能な重合体組成物を、オ
ルガノポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル重合
体を主体とする組成物とし、この組成物をヒドロシリル
化により硬化させることが好ましい。また、(b)導電性
粒子の金属被覆導電性粒子は、還元性のケイ素系高分子
で表面処理された中空あるいは発泡粒子の最外面が、
金、銀、ニッケルから選択される金属により被覆された
ものであることが好ましい。
【0008】さらに、請求項4記載の発明においては、
上記課題を達成するため、第一、第二の電気的接合物を
電気的に導通(電流を導き通す)するものであって、第
一、第二の電気的接合物の間に介在する絶縁性の基板
と、この基板に支持されて第一、第二の電気的接合物の
電極間を接続する請求項1ないし3いずれかに記載の導
電接点素子とを含んでなることを特徴としている。
【0009】ここで、特許請求の範囲における導電接点
素子と電気コネクタとは、各種の電気電子機器、OA機
器、携帯電話、情報端末機器等の電気的な接続に使用さ
れる。具体的には、これらを構成する各種の実装基板
(例えば、プリント回路基板やフレキシブル回路基板
等)、半導体パッケージ、液晶ディスプレイ、電池、小
型電子部品等の電気的な接続に使用される。また、導電
接点素子は、基板に支持される場合には、柱形や錐台形
等が主であるが、基板に支持されない場合には、略線
条、テープ状、棒形、ブロック形等に形成することがで
きる。この導電接点素子は、単数複数いずれでも良い。
【0010】以下、導電接点素子を形成する導電性組成
物について説明する。先ず、(a)成分の硬化可能な重合
体組成物としては、硬化可能な重合体からなる組成物で
あれば良い。具体的には、オルガノポリシロキサン、パ
ーフルオロポリエーテル、ポリイソブチレン、ポリオキ
シアルキレン、エポキシ、アクリル等を主成分とする重
合体組成物があげられるが、柔軟性や耐熱性の観点から
オルガノポリシロキサン、パーフルオロポリエーテルが
好適である。重合体組成物がオルガノポリシロキサンの
場合には、ヒドロシリル化により硬化する組成物、縮合
硬化型のものがあげられ、この縮合硬化型としては、脱
アルコールタイプや脱アセトンタイプが好ましい。さら
に好ましくは、付加硬化型の重合体組成物が良い。
【0011】重合体組成物がパーフルオロポリエーテル
の場合にも、ケイ素反応基で修飾した付加硬化型が良
い。また、重合体組成物がオルガノポリシロキサンの場
合、25℃における比重は置換基により異なるが、0.
97〜1.4近傍である。これに対し、重合体組成物が
パーフルオロポリエーテルの場合、25℃における比重
は1.6〜1.8近傍である。
【0012】(a)成分の付加硬化型オルガノポリシロキ
サン組成物の例としては、一般的に以下の(A)〜(C)を
含むシリコーン組成物が最適な例としてあげられる。 (A) 一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有す
るオルガノポリシロキサン (B) 一分子中に少なくとも2個のケイ素に結合した水
素原子を有するオルガノポリシロキサン (C) 本組成物を硬化させるに十分な量の白金系触媒
【0013】以下、シリコーン組成物の(A)〜(C)成分
について詳細に説明する。先ず、(A)成分のオルガノポ
リシロキサンは、本組成物の主剤であり、一分子中に少
なくとも2個のアルケニル基を有している。具体的なア
ルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル
基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基があげ
られ、特にビニル基が好ましい。このアルケニル基の結
合位置は、特に限定されるものではなく、例えば分子鎖
末端、分子鎖側鎖、分子鎖末端と分子鎖側鎖でも良い。
【0014】(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原
子に結合した有機基は、特に限定されるものではなく、
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル
基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル
基、フェネチル基等のアラルキル基;3−クロロプロピ
ル基、3,3,3−トリフロロプロピル基等のハロ置換
アルキル基等の一価炭化水素基があげられる。特にメチ
ル基やフェニル基が好ましい。
【0015】(A)成分の分子構造は、特に限定されるも
のではなく、具体的には、直鎖状、一部分岐を有する直
鎖状、分岐状、網状があげられ、好ましくは直鎖状、一
部分岐を有する直鎖状が良い。また、(A)成分の25℃
における粘度は5,000ポイズ以下が好ましい。これ
は、5,000ポイズを超える場合には、金属被覆され
た導電性粒子を混合するときに粘度が高すぎ、混合時の
応力により導電性粒子が破壊されるおそれがあるからで
ある。
【0016】このような(A)成分のオルガノポリシロキ
サンとしては、具体的には、分子鎖両末端トリメチルシ
ロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキ
サン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖
メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチル
シロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・メチルフェニ
ルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキ
シ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン
・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジ
メチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサ
ン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル
ビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシ
ロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両
末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン
・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメ
チルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル
フェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール
基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共
重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルシ
ロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロ
キサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロ
キサン共重合体、R3SiO1/2単位とSiO4/2
単位からなるシリコーンレジン、RSiO3/2単位か
らなるシリコーンレジン、R2SiO2/2単位とRS
iO3/2単位からなるシリコーンレジン、R2SiO
2/2単位とR2SiO3/2単位とRSiO4/2単
位とからなるシリコーンレジン、及びこれらの二種以上
の混合物があげられる。
【0017】上記シリコーンレジンの単位式中、Rは置
換非置換の一価炭化水素基である。但し、上記単位式の
少なくとも1個のRはアルケニル基であることが必要で
ある。上記シリコーンレジンの単位式におけるRとして
は、具体的に、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、ペンチル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル
基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル
基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル
基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラ
ルキル基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフ
ロロプロピル基等のハロ置換アルキル基等があげられ
る。
【0018】(B)成分のオルガノポリシロキサンは、本
組成物を硬化させるための架橋剤として作用し、一分子
中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子を
有する。この(B)成分のケイ素に結合した水素原子の結
合位置は、特に限定されるものではなく、例えば分子鎖
末端、分子鎖側鎖、分子鎖末端と分子鎖側鎖でも良い。
(B)成分のケイ素に結合した有機基は、特に限定される
ものではないが、具体的には、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアル
キル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリー
ル基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3
−クロロプロピル基、3,3,3−トリフロロプロピル
基等のハロ置換アルキル基等の一価炭化水素基があげら
れ、特にメチル基やフェニル基が好ましい。
【0019】(B)成分の分子構造は、特に限定されず、
具体的には、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐
状、網状があげられ、好ましくは直鎖状、一部分岐を有
する直鎖状が良い。また、(B)成分の25℃における粘
度は、上述した理由から5,000ポイズ以下が好まし
い。
【0020】このような(B)成分のオルガノポリシロキ
サンとしては、具体的には、分子鎖両末端トリメチルシ
ロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン、分子鎖
両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・
メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末
端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロ
キサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両
末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メ
チルハイドロジェンシロキサン共重合体・メチルフェニ
ルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロ
ジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖
両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハ
イドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハ
イドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチ
ルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジ
メチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサ
ン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端
ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニル
ポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチル
ハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端シラノー
ル基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシ
ロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメ
チルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキ
サン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチル
シロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチル
フェニルシロキサン共重合体があげられる。
【0021】(B)成分の配合量は、(A)成分のアルケニ
ル基1個に対し、(B)成分のケイ素原子に結合した水素
原子が0.5〜10個となるような量である。これは、
水素原子が0.5個未満の場合には、得られた組成物が
十分に硬化しなくなるからである。逆に、10個を超え
る場合には、硬化して得られる導電性シリコーンゴムの
耐熱性が著しく低下するからである。
【0022】(C)成分の白金系触媒は、本組成物の硬化
を促進するための触媒であり、ヒドロシリル化反応用触
媒としての周知の化合物を使用することができる。この
ような(C)成分の白金系触媒として、具体的には、白金
黒、白金担持のアルミナ粉末、白金担持のシリカ粉末、
白金担持のカーボン粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のア
ルコール溶液、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、塩化
白金酸とビニルシロキサンとの錯体があげられる。さら
に、これら例示の白金系触媒をメチルメタクリレート樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコ
ーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂中に分散した微粒子状の
白金系触媒があげられる。
【0023】(C)成分の配合量は、特に限定されるもの
ではなく、本組成物を硬化させるに十分な量であれば良
い。例えば、(A)成分と(B)成分の合計量に対し、(C)
成分の白金金属として1〜1000ppmとなる量であ
ることが好ましい。
【0024】(a)成分である付加硬化型フッ素化ポリエ
ーテルの例としては、一般的に、(A´),(B´),(C
´)を含むフッ素樹脂組成物が好適な例としてあげられ
る。 (A´) フッ素化ポリエーテル単位を有し、脂肪族不飽
和炭化水素基を一分子中に少なくとも2個有する反応性
フッ素化ポリエーテル重合体 (B´) ケイ素原子に直結した水素原子を少なくとも2
個有する化合物 (C´) 本組成物を硬化させるに十分な量である白金族
金属系触媒
【0025】以下、(A´)〜(C´)成分について詳細に
説明する。先ず、(A´)成分は、フッ素化ポリエーテル
単位を有し、かつ一分子中に少なくとも2個の脂肪族不
飽和炭化水素基を有する反応性フッ素化ポリエーテル重
合体であり、(a)成分の主剤(ベースポリマー)となる。
【0026】ここで、(A´)成分の反応性フッ素化ポリ
エーテル重合体中のフッ素化ポリエーテル単位として
は、以下の式(1)で示される単位が好適である。 ―(Rf―O)q― …(1) [Rfは炭素原子数1〜6,好ましくは1〜3の直鎖状
又は分岐状のパーフルオロアルキレン基、qは1〜50
0,好ましくは2〜400,より好ましくは10〜20
0の整数である。]
【0027】式(1)の―(Rf―O)q―基は、具体的に
は、―CF2O―、―CF2―CF2―O―、―CF2
―CF2―CF2O―、―CF2―CF2―CF2―C
F2―O、―CF2―CF2―CF2―CF2―CF2
―O―、―CF(CF3)―CF2―O―、―CF(CF
3)2―O―等があげられ、これらの繰り返し単位の一
種単独で構成されていても良いし、2種以上の組み合わ
せでも良い。
【0028】脂肪族不飽和炭化水素基としては、炭素数
2〜8のアルケニル基が好ましく、例えばビニル基、ア
リル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル
基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等、好ましくは
末端にCH2=CH―構造を有するもの等があげられ
る。特にビニル基やアリル基が好ましい。
【0029】(A´)成分の反応性フッ素化ポリエーテル
重合体は脂肪族不飽和炭化水素基を一分子中に少なくと
も2個有することが必要であり、脂肪族不飽和炭化水素
基は直鎖状フルオロポリエーテル化合物の主鎖の両端部
に直接結合していても良いし、他の原子を介して結合し
ていても良い。さらに、分子の途中に存在していても良
いが、硬化性や硬化物の物性の観点から、少なくとも直
鎖状又は分岐状のフルオロポリエーテルからなる主鎖の
両末端に直接あるいは間接に結合した脂肪族不飽和炭化
水素基を有するものであることが好ましい。
【0030】このような反応性フッ素化ポリエーテル重
合体の代表例としては、以下の式(2)で示される化合物
が好適に使用される。
【0031】
【化1】
【0032】[式中、Xは独立に―CH2―、―CH2
O―又は―Y―NR―CO―(但し、Yは―CH2―、
あるいは
【化2】 であり、Rは水素原子,メチル基,フェニル基又はアリ
ル基である)であり、pは独立に0又は1、Lは2〜6
の整数、m,nはそれぞれ0〜200の整数,好ましく
は5〜100の整数である。]
【0033】式(2)で示される反応性フッ素化ポリエー
テル重合体の25℃における粘度は、上記理由と同様の
理由から5,000ポイズ以下であるのが好ましい。ま
た、式(2)の化合物は直鎖状ポリマーである(但し、繰
り返し単位としての―RfO―は直鎖状でも良いし、分
岐状でも良い)が、(A´)成分は分岐した化合物でも良
い。
【0034】式(2)で示される反応性フッ素化ポリエー
テル重合体の具体例としては、以下に示す通りである。
【0035】
【化3】
【0036】
【化4】
【0037】
【化5】
【0038】
【化6】
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】 [m,nはそれぞれ0〜200の整数,好ましくは10
〜200の整数である。]
【0043】なお、予め直鎖状フルオロポリエーテル化
合物を目的に応じ、所定の分子量に調整するため、上記
分子鎖両末端にのみアルケニル基を有する直鎖状フッ素
化ポリエーテル重合体と、分子内にSi基を2個含有す
るオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物をヒド
ロシリル化により付加反応させ、鎖延長した生成物(両
端にフッ素化ポリエーテル部分を有するフッ素化ポリエ
ーテル・シロキサンブロック共重合体等)を(A´)成分
として使用することも可能である。
【0044】次いで、(B´)成分について説明すると、
この(B´)成分は、ケイ素原子に直結した水素原子(す
なわち、Si基)を少なくとも2個、好ましくは3個以
上含有する化合物である。この場合、(B´)成分は、架
橋剤として作用するものであり、(A´)成分中の脂肪族
不飽和炭化水素基と(C)成分の白金族金属系触媒によ
り、ヒドロシリル化反応を行うSi基を有する化合物で
あれば、どのような化合物でも良い。例えば、非置換又
はフッ素置換1価炭化水素基あるいはパーフルオロポリ
エーテル含有炭化水素基をケイ素原子上の1価の置換基
(オルガノ基)として有する、オルガノハイドロジェンポ
リシロキサン、ヒドロシリル基含有パーフルオロ炭化水
素化合物、ヒドロシリル基含有パーフルオロ炭化水素化
合物、ヒドロシリル基含有パーフルオロポリエーテル炭
化水素化合物等があげられるが、通常、オルガノポリシ
ロキサンの反応に使用されるオルガノハイドロジェンポ
リシロキサンが最も便利である。
【0045】この場合、(A´)成分との相溶性を考慮す
ると、ケイ素原子に結合した1価の置換基(オルガノ基)
がフッ素置換炭化水素基を含有しない非置換の1価炭化
水素基である場合には、ケイ素原子数2〜10、特に3
〜5程度の低分子量のオルガノハイドロジェンポリシロ
キサン、環状オルガノハイドロジェンポリシロキサン等
が最適である。
【0046】ここで、非置換の1価炭化水素基として
は、炭素数1〜12、好ましくは脂肪族不飽和結合を有
しない炭素数1〜8程度のものであれば良い。例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブ
チル基、イソブチル基、tert‐ブチル基、ヘキシル
基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、ビ
ニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアル
ケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチ
ル基等のアリール基、フェニルエチル基、フェニルプロ
ピル基等のアラルキル基等があげられる。また、フッ素
置換1価炭化水素、あるいはパーフルオロポリエーテル
含有炭化水素基としては、炭素数1〜12のパーフルオ
ロアルキル基の他、以下の化学式で示される1価の基等
があげられる。
【0047】
【化11】
【0048】
【化12】
【0049】
【化13】
【0050】また、分子量の高いシロキサンを用いる場
合には、フッ素化合物で変性し、(A´)成分との相溶性
を向上させることが好ましい。さらに、パーフルオロポ
リエーテルやパーフルオロポリアルキレン主鎖の末端等
にSi基を有する化合物等も好適なSiH源として使用
できる。このような(B´)成分の具体的な化合物として
は、以下に示すことができる。
【0051】
【化14】
【0052】
【化15】
【0053】
【化16】
【0054】
【化17】
【0055】
【化18】
【0056】
【化19】
【0057】
【化20】
【0058】
【化21】
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
【化26】
【0064】
【化27】
【0065】
【化28】
【0066】
【化29】
【0067】
【化30】 [Meはメチル基を示し、Phはフェニル基を示す。]
【0068】(B´)成分の配合量は、(A´)成分の脂肪
族不飽和炭化水素基に対し、(B´)成分のケイ素原子に
直結した水素原子(すなわち、SiH基)が0.5〜10
当量(モル/モル)、好ましくは0.8〜5当量(モル/
モル)となる範囲が良い。
【0069】(C)成分の白金族金属系触媒としては、ヒ
ドロシリル化付加反応に用いられている白金族の遷移金
属やその化合物が使用される。上記オルガノポリシロキ
サンにおける例示と同様である。
【0070】(a)成分の重合体組成物は、(A),(B),
(C)成分、(A´),(B´),(C)成分を均一に配合する
ことにより得られるが、得られた導電性ゴムの接触抵抗
や体積抵抗率の経時変化を抑制する任意の成分として、
(D)ケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化
合物を配合することが好ましい。この有機ケイ素化合物
として、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェ
ニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、アリルトリメトキシシラン、3‐グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン等のアルコキシシランがあげら
れる。さらに、接着性に優れる導電性ゴム組成物を製造
できることから、以下の化学式で示される有機ケイ素化
合物が例示される。
【0071】
【化31】
【0072】
【化32】
【0073】
【化33】
【0074】
【化34】
【0075】
【化35】
【0076】
【化36】
【0077】
【化37】
【0078】
【化38】
【0079】
【化39】 [式中、a,bは1以上の整数である。]
【0080】本組成物において、(D)の有機ケイ素化合
物の配合は任意であり、好ましくは(A)あるいは(A´)
成分10重量部に対して20重量部以下、より好ましく
は0.5〜8重量部の範囲が良い。
【0081】本組成物において、導電性ゴム組成物の貯
蔵安定性を向上させ、作業性や取扱性を向上させるため
の任意の成分として、3‐メチル‐1‐ブチン‐3‐オ
ール、3,5‐ジメチル‐1‐ヘキシン‐3‐オール、
フェニルブチノール等のアルキンアルコール、3‐メチ
ル‐3‐ペンテン‐1‐イン、3,5‐ジメチル‐3‐
ヘキセン‐1‐イン等のエンイン化合物;1,3,5,
7‐テトラメチル‐1,3,5,7‐テトラビニルシク
ロテトラシロキサン、1,3,5,7‐テトラメチル‐
1,3,5,7‐テトラヘキセニルシクロトトラシロキ
サン、ベンゾトリアゾール等の硬化抑制剤を配合するこ
とができる。これらの硬化抑制剤の配合量は、(A)ある
いは(A´)成分100重量部に対して0.001〜5重
量部であることが好ましい。
【0082】(a)成分の重合体組成物には、硬化して得
られる導電性ゴムに、適当な硬度と強度を付与する任意
の成分として無機質充填剤を配合することができる。こ
の無機質充填剤としては、例えばヒュームドシリカ、結
晶性シリカ、焼成シリカ、湿式シリカ、フュームド酸化
チタン、カーボンブラック、無機質充填剤をオルガノア
ルコキシシラン、オルガノクロロシラン、オルガノジシ
ラザン等の有機ケイ素化合物により表面処理した無機質
充填剤があげられる。これら無機質充填剤の配合量は、
(A)あるいは(A´)成分100重量部に対して50重量
部以下であることが好ましい。
【0083】次いで、(b)の導電性粒子について説明す
る。この導電性粒子は、マトリックス樹脂との比重差が
±1.5以内に調整されることにより、貯蔵時の分離や
成形時の流動分離を抑制するよう機能する。また、凝集
や連鎖の偏在を抑制防止し、成形時における導通抵抗の
安定化、繰り返し圧縮時の凝集や連鎖の構造破壊を抑制
する。この低比重の導電性粒子は、中空あるいは発泡粒
子の最外面が、金、銀、又はニッケルから選択される金
属によりメッキされることで好適に製造される。
【0084】導電性粒子の製造に際しては、低比重粉
体、特に中空粉体が使用され、中空粒子としては、無機
中空粉体、あるいは耐熱性の有機中空粉体等が利用可能
である。この点に関し、中空ガラス粉体は、Cel‐s
tar(東海工業株式会社)、スコッチライト(住友3M
株式会社)、中空ガラスビーズ(東芝バロティーニ株式会
社)の名称で市販されている。また、アルミノシリケー
トからなる中空粉体としては、E‐Spheres(秩
父小野田セメント株式会社)、Fillite(日本フィ
ライト株式会社)、シラスバルーン(丸中白土株式会社)
があげられる。耐熱性の有機中空粉体としては、フェノ
ール樹脂製のPhenoset(巴工業株式会社)が市販
されている。
【0085】導電性粒子の粉体の平均粒径は、0.01
〜1000μm、好ましくは0.1〜100μmが良
い。これは、粉体の平均粒径が0.01μm未満の場合
には、比表面積が高くなるので、メッキ量が増大して高
価となり、経済的に好ましくないからである。逆に、粉
体の平均粒径が1000μmを超える場合、母材に混合
しにくく、硬化物の表面が凹凸になるからである。粉体
の比重は、0.01〜3.0、好ましくは0.1〜2.
5が良い。これは、0.01未満の場合には、粒子の壁
が薄くなり、機械的に破壊されやすくなるからである。
逆に、3.0を超える場合、金属被覆したときの比重が
(a)の重合体組成物よりも1.5以上高くなり、(a)の
重合体組成物に混入した際に導電性粒子が分離しやすく
なるからである。また、金属被覆したときの比重が(a)
の重合体組成物よりも1.5以下のときでも、導電性粒
子が分離しやすくなる。
【0086】導電性粒子の製造に際しては、係る粉体を
還元性のケイ素系高分子で処理し、粉体の最外面に還元
性のケイ素系高分子層を形成する。還元性のケイ素系高
分子としては、Si‐Si結合及び又はSi‐H結合を
有するポリシラン、ポリカルボシラン、ポリシロキサ
ン、ポリシラザンがあげられ、この中でも、ポリシラン
及び又はSi原子に直接結合した水素原子を有するポリ
シロキサンが好ましい。特に、以下の式(3)で表わされ
るポリシロキサンが最適である。
【0087】 (R1mR2nXpSi)q …(3) [R1,R2は水素原子又は置換若しくは非置換の一価
炭化水素基、XはR1,アルコキシ基,ハロゲン原子,
酸素原子,窒素原子、mは0.1≦m≦2、nは0≦n
≦1、pは0≦p≦0.5であり,かつ1≦m+n+p
≦2.5を満足する数、qは4≦q≦100,000を
満足する整数である。]
【0088】上記ポリシランにおいて、R1,R2の種
類は水素、脂肪族、脂環式炭化水素の場合、炭化数は1
〜12、好ましくは1〜6であり、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等があげられ
る。また、芳香族炭化水素としては、炭化数が6〜1
4、好ましくは6〜10のものが好適であり、例えばフ
ェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジ
ル基等があげられる。なお、置換炭化水素基としては、
上記した非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部
をハロゲン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアル
キル基等で置換したもの、例えばモノフルオロメチル
基、トリフルオロメチル基、m‐ジメチルアミノフェニ
ル基等があげられる。
【0089】XはR1と同様の基、アルコキシ基、ハロ
ゲン原子であり、アルコキシ基としては、メトキシ基、
エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭化数1〜4のも
の、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭
素原子等があげられ、通常、メトキシ基、エトキシ基が
用いられる。mは0.1≦m≦2,特に0.5≦m≦
1、nは0≦n≦1,特に0.5≦n≦1が良い。ま
た、pは0≦p≦0.5,特に0≦p≦0.2であり、
かつ1≦m+n+p≦2.5,特に1.5≦m+n+p
≦2を満足する数、qは4≦q≦100,000を満足
する整数,特に10≦q≦100,000の範囲の整数
である。
【0090】また、下記(4)で表わされるポリシロキサ
ンが好適に用いられる。 (R3aR4bHcSiOd)e …(4) [R3,R4は水素原子又は置換若しくは非置換の一価
炭化水素基,アルコキシ基又はハロゲン原子を示し、a
は0.1≦a≦2、bは0≦b≦1、cは0.01≦c
≦1、dは0.5≦d≦1.95であり,かつ2≦a+
b+c+d≦3.5を満足する数、eは2≦e≦10
0,000を満足する整数である。]
【0091】上記ポリシランにおいて、R3,R4の種
類は水素、脂肪族、脂環式炭化水素の場合、炭化数は1
〜12、好ましくは1〜6であり、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等があげられ
る。また、芳香族炭化水素としては、炭化数が6〜1
4、好ましくは6〜10のものが好適であり、例えばフ
ェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ベンジ
ル基等があげられる。
【0092】なお、置換炭化水素基としては、上記した
非置換の炭化水素基の水素原子の一部又は全部をハロゲ
ン原子、アルコキシ基、アミノ基、アミノアルキル基等
で置換したもの、例えばモノフルオロメチル基、トリフ
ルオロメチル基、m‐ジメチルアミノフェニル基等があ
げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキ
シ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜4のもの、ハロ
ゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等
があげられ、通常、メトキシ基やエトキシ基が用いられ
る。
【0093】aは0.1≦a≦2,好ましくは0.5≦
a≦1、bは0≦b≦1,好ましくは0.5≦b≦1が
良い。また、cは0.01≦c≦1,好ましくは0.1
≦c≦1であり、dは0.5≦d≦1.95,好ましく
は1≦d≦1.5であり,かつ2≦a+b+c+d≦
3.5,好ましくは2≦a+b+c+d≦3.2を満足
する数である。また、eは2≦e≦100,000を満
足する整数,好ましくは10≦e≦100,000の範
囲の整数である。
【0094】金属被覆導電性粒子を製造する場合には、
先ず、粉体を還元性ケイ素系高分子化合物で処理して粉
体の表面に還元性ケイ素系高分子化合物の層を形成(第
一工程)し、この粉体を凝集のない状態で水中に分散さ
せる。こうして粉体を分散させたら、粉体を標準酸化還
元電位0.54V以上の金属からなる金属塩で処理して
還元性ケイ素系高分子化合物層上に金属コロイドを析出
(第二工程)させ、無電解メッキ液で処理して粉体の最外
面に金属層を析出(第三工程)させることにより、導電性
粉体を製造する。そしてその後、導電性粉体を200℃
以上の温度で熱処理し、還元性ケイ素系高分子化合物の
全部又は一部をセラミック化すれば、金属被覆導電性粒
子を製造することができる。
【0095】こうして金属被覆導電性粒子を製造した
ら、(a)成分の硬化可能な重合体組成物と均一に混合さ
せて導電性組成物を得る。この際、(b)の導電性粒子
は、全体の50重量%以上が金属被覆導電性粒子に占め
られていれば良く、他の導電性粒子と混合することも可
能である。これは、金属被覆導電性粒子が(b)の導電性
粒子の50重量%未満の場合には、(a)の重合体組成物
と分離する成分が多く、安定した導通抵抗を得ることが
できないからである。金属被覆導電性粒子以外の他の導
電性粒子としては、金、銀、ニッケル、白金、パラジウ
ム等があげられ、これらは単独でも良いし、合金でも良
い。特に抵抗やコストの観点から、銀の粉状及び又はフ
レーク状が良い。このような導電性組成物を電気コネク
タに用いれば、20%の圧縮量において、導通抵抗が1
00mΩ以下と安定する。
【0096】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
ましい実施形態を説明すると、本実施形態における電気
コネクタは、図1ないし図3に示すように、第一、第二
の電気的接合物である実装基板1とLGAタイプからな
る半導体パッケージ10との間に介在する絶縁性の基板
20と、この基板20に並べて貫通支持され、実装基板
1と半導体パッケージ10の複数の電極2・11間を電
気的に接続する複数の導電接点素子22とを備え、弾性
の各導電接点素子22を導電性組成物23で成形し、こ
の導電性組成物23の成分を上記した(a)硬化可能な重
合体組成物と(b)導電性粒子とするとともに、この(b)
導電性粒子の成分中の少なくとも50重量%を、最外面
が金、銀、又はニッケル金属で被覆された金属被覆導電
性粒子とし、この金属被覆導電性粒子の質量を(a)硬化
可能な重合体組成物の質量に対して±1.5以内の比重
とするようにしている。
【0097】基板20は、図1や図2に示すように、ガ
ラスエポキシや公知のエンジニアリングプラスチック
(例えば、PET、PEN、PEI、PPS、ポリイミ
ド等)を用いて薄い平面略正方形に形成され、XY方向
に導電接点素子22用の複数の貫通孔21が穿孔され
る。この基板20は、材質としてエンジニアリングプラ
スチックが用いられる場合には、熱膨張係数の小さい耐
熱性のポリイミドが選択され、例えば強度や取扱作業性
等の観点から、25〜300μm、好ましくは50〜1
50μmの厚さに形成される。複数の貫通孔21は、基
板20のXY方向に0.5〜1.27mmのピッチで並
設され、各貫通孔21が0.25〜0.8mmの径に形
成される。
【0098】各導電接点素子22は、金型30に上記導
電性組成物23が充填され、一対の円錐台が組み合わさ
れた断面略算盤玉形に成形されることにより製造され
る。導電接点素子22は、実装基板1と半導体パッケー
ジ10との間に介在された状態で圧縮されるので、50
〜80°Hs、好ましくは60〜80°Hsの硬度とさ
れる。これは、導電接点素子22の硬度が50°Hs未
満の場合には、十分な反発荷重が得られず、安定した接
続が期待できないからである。逆に、導電接点素子22
の硬度が80°Hsを超える場合には、圧縮に要する荷
重が大きくなり、実装基板1や半導体パッケージ10を
損傷させるおそれがあるからである。
【0099】上記において、電気コネクタを製造する場
合には、先ず、半導体パッケージ10の電極に対応する
よう、基板20に複数の貫通孔21をマトリックスに穿
孔する。こうして複数の貫通孔21を穿孔したら、基板
20上に各導電接点素子22の成形に必要十分な量の導
電性組成物23を重ねて上下型からなる金型30にセッ
ト(図3(a)参照)し、その後、金型30を型締めして加
圧加熱成形(図3(b)参照)すれば、基板20の複数の貫
通孔21に導電性組成物23がそれぞれ充填され、基板
20と導電接点素子22とが一体化した電気コネクタを
製造することができる(図3(c)参照)。
【0100】上記構成によれば、上記成分の導電性組成
物23により導電接点素子22を成形するので、貯蔵安
定性を大幅に向上させることができる。また、金型30
で成形する場合にも、導通抵抗が大きく変化したり、導
通抵抗が不安定になることがないので、実装時に半導体
パッケージ10の動作を安定させることができるととも
に、半導体パッケージ10を継続して長期使用すること
ができる。さらに、実装基板1に対して半導体パッケー
ジ10の圧縮を繰り返しても、導通抵抗値が50mΩ以
下と実に小さく、しかも、接続距離が短い関係上、外部
ノイズの影響を受けにくいので、信号伝達の高速化に十
分対応することが可能になる。
【0101】なお、上記実施形態では導電接点素子22
を断面略算盤玉形(図4(a)参照)に成形したものを示し
たが、なんらこれに限定されるものではない。例えば、
導電接点素子22を太い断面略柱形(円柱形でも良い
し、角柱形等でも良い) (図4(b)参照)に成形したり、
細い断面略柱形(図4(c)参照)に成形したり、あるいは
断面略小判形(図4(d)参照)に成形することができる。
また、導電接点素子22を断面略円形あるいは略楕円形
(図5(a)参照)に成形したり、導電接点素子22の平坦
な上下両端部の周縁をそれぞれ丸めたり(図5(b)参照)
することもできる。さらに、導電接点素子22を断面略
八角形(図5(c)参照)に成形したり、導電接点素子22
の周面の一部をカーブさせたり(図5(d)参照)すること
も可能である。
【0102】
【実施例】以下、本発明に係る電気コネクタの実施例に
ついて比較例と共に説明する。 実施例1 先ず、下記の(A),(B),(C),(D)からなる(a)成分
の硬化可能な重合体組成物(比重1.0)に、(b)成分の
導電性粒子として銀メッキ中空ガラス粉体(平均粒径4
0μm、粒径分布10〜60μm、比重1.3、金属含
有量:銀5重量%,ニッケル40重量%)150重量部
を混合し、導電性組成物を調製した。
【0103】(A) 粘度20ポイズの分子鎖両末端ジメ
チルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビ
ニル基含有量=0.2重量%)100重量部 (B) 粘度30センチポイズの分子鎖両末端トリメチル
シロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン3
重量部 (C) 塩化白金酸とビニルシロキサンの錯体と軟化点8
0〜90℃の熱可塑性シリコーン樹脂中に分散して微粒
子化した触媒0.3重量部(本組成物において、触媒中
の白金金属が5ppmとなる量である) (D) 以下の式で表わされる有機ケイ素化合物7重量部
【0104】
【化40】
【0105】次いで、調整した導電性組成物をポリイミ
ドからなる厚さ100μmの絶縁性の基板における複数
の貫通孔の略中央部に配置し、上下型からなる金型で1
20℃、5分間の成形条件で加圧加熱成形し、基板と複
数の導電接点素子とが一体化した電気コネクタを製造し
た。複数の貫通孔は、0.5mmの径の貫通孔をXY方
向共に1mmピッチで1156個(34×34個)穿孔す
ることにより設けた。また、各導電接点素子について
は、円錐台の高さ1mm、円錐台の縮径端部の径0.5
mm、円錐台の拡径端部の径0.7mmの大きさとし、
基板の表裏面からそれぞれ0.45mm突出させるよう
にした。
【0106】こうして電気コネクタを製造したら、実装
基板とLGAタイプからなる半導体パッケージとの間に
電気コネクタを挟持させ、20%の圧縮量で実装基板と
半導体パッケージとを電気コネクタで導通させた。この
際、全導電接点素子の導通抵抗を測定したところ、平均
値31mΩ、最大値55mΩであり、全導電接点素子の
抵抗が100mΩ以下と低抵抗でバラツキの小さいこと
が確認された。また、圧縮作業を100回繰り返したと
ころ、導通抵抗は表1に示すように初期値の1.3倍と
僅かな変化であるのが確認された。
【0107】実施例2 基本的には実施例1と同様であるが、(a)成分の硬化可
能な重合体組成物(比重1.0)に、(b)成分として実施
例1と同様の銀メッキ中空ガラス粉体150重量部、フ
レーク状銀粉末(平均粒径8μm、比重10.5)15重
量部からなる導電性粒子を均一に混合し、導電性組成物
を調製した。その他は実施例1と同様にして評価したと
ころ、平均値20mΩ、最大値28mΩであり、低抵抗
でバラツキのきわめて小さいことが確認された。また、
圧縮作業を100回繰り返したところ、導通抵抗は表1
に示すように初期値の1.1倍と僅かな変化であるのが
確認された。
【0108】比較例1 基本的には実施例1と同様であるが、(a)成分の硬化可
能な重合体組成物(比重1.0)に、(b)成分として銀メ
ッキシリカ粉末(平均粒径12μm、比重3、金属含有
量:銀12重量%,ニッケル20重量%)300重量部
からなる導電性粒子を均一に混合し、導電性組成物を調
製した。その他は実施例1と同様にして評価したとこ
ろ、平均値93mΩ、最大値274mΩであり、初期の
導通抵抗のバラツキが多いことが確認された。また、圧
縮作業を100回繰り返したところ、導通抵抗が大幅に
上昇し、良好な結果を得ることができなかった。
【0109】比較例2 基本的には実施例1と同様であるが、(a)成分の硬化可
能な重合体組成物(比重1.0)に、(b)成分としてフレ
ーク状銀粉末(平均粒径8μm、比重10.5)800重
量部からなる導電性粒子を均一に混合し、導電性組成物
を調製した。その他は実施例1と同様にして評価したと
ころ、平均値65mΩ、最大値255mΩとなり、初期
の導通抵抗のバラツキが多いのが判明した。さらに、圧
縮作業を100回繰り返したが、不導通となり、良好な
結果を得ることができなかった。
【0110】
【表1】
【0111】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、貯蔵の安
定性に優れ、成形する場合に導通抵抗を安定させること
ができるという効果がある。また、例え繰り返し使用し
たとしても、導通抵抗の上昇を抑制あるいは防止するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る導電接点素子及び電気コネクタの
実施形態を示す模式説明図である。
【図2】本発明に係る導電接点素子及び電気コネクタの
実施形態を示す斜視説明図である。
【図3】本発明に係る導電接点素子及び電気コネクタの
実施形態における製造方法を示す説明図で、(a)図は基
板上に導電性組成物を重ねて金型にセットした状態を示
す図、(b)図は(a)図の金型を型締めして加圧加熱成形
した状態を示す図、(c)は基板と導電接点素子とが一体
化した電気コネクタを取り出す状態を示す図である。
【図4】本発明に係る導電接点素子及び電気コネクタの
他の実施形態を示す説明図で、(a)図は断面略算盤玉形
の導電接点素子を示す図、(b)図は太い断面略柱形の導
電接点素子を示す図、(c)図は細い断面略柱形の導電接
点素子を示す図、(d)は断面略小判形の導電接点素子を
示す図である。
【図5】本発明に係る導電接点素子及び電気コネクタの
他の実施形態を示す説明図で、(a)図は断面略円形の導
電接点素子を示す図、(b)図は導電接点素子の上下両端
部の周縁をそれぞれ面取りした状態を示す図、(c)図は
断面略八角形の導電接点素子を示す図、(d)は導電接点
素子の周面を一部湾曲させた状態を示す図である。
【符号の説明】
1 実装基板(第一の電気的接合物) 2 実装基板の電極 10 半導体パッケージ(第二の電気的接合物) 11 半導体パッケージの電極 20 基板 22 導電接点素子 23 導電性組成物
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01R 33/76 H01R 33/76 A 503 503A 505 505Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性組成物の成分を(a)硬化可能な重
    合体組成物と(b)導電性粒子とし、この(b)導電性粒子
    の成分中の少なくとも50重量%を、金、銀、ニッケル
    金属で被覆された金属被覆導電性粒子とし、この金属被
    覆導電性粒子を(a)硬化可能な重合体組成物に対して±
    1.5以内の比重としたことを特徴とする導電接点素
    子。
  2. 【請求項2】 (a)硬化可能な重合体組成物を、オルガ
    ノポリシロキサン、パーフルオロポリエーテル重合体を
    主体とする組成物とし、この組成物をヒドロシリル化に
    より硬化させるようにした請求項1記載の導電接点素
    子。
  3. 【請求項3】 (b)導電性粒子の金属被覆導電性粒子
    は、還元性のケイ素系高分子で表面処理された中空ある
    いは発泡粒子の最外面が、金、銀、ニッケルから選択さ
    れる金属により被覆されたものである請求項1又は2記
    載の導電接点素子。
  4. 【請求項4】 第一、第二の電気的接合物を電気的に導
    通する電気コネクタであって、 第一、第二の電気的接合物の間に介在する絶縁性の基板
    と、この基板に支持されて第一、第二の電気的接合物の
    電極間を接続する請求項1ないし3いずれかに記載の導
    電接点素子とを含んでなることを特徴とする電気コネク
    タ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005322492A (ja) * 2004-05-07 2005-11-17 Polymatech Co Ltd 導電弾性体及びその製造方法
JP2007026732A (ja) * 2005-07-12 2007-02-01 Smk Corp コネクタ

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