JP2003240034A - 湿式摩擦係合装置用摩擦部材 - Google Patents
湿式摩擦係合装置用摩擦部材Info
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Abstract
板クラッチのクラッチディスクを提供する。 【解決手段】 湿式多板クラッチのクラッチディスク1
8は,心金39と,その心金39に接着された摩擦材4
0とを有する。その摩擦材40は炭素繊維よりなる縦糸
43および横糸44を用いて得られた織布を構成材料と
する。摩擦材40の摩擦面bは,織布表面に研削加工を
施して形成されたものであって,炭素繊維の,繊維長さ
方向と交差する断面の集合部dを複数備えている。
Description
摩擦部材,特に,心金と,その心金に接着された摩擦材
とを有するものの改良に関する。 【0002】 【従来の技術】従来,前記摩擦材としては炭素繊維より
なる縦糸および横糸を用いて得られた織布を構成材料と
するものが公知である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の摩
擦材の摩擦面は,縦糸および横糸の外周面,つまり炭素
繊維外周面の集合により形成されていることから,その
結晶構造に起因して剥離等が生じ易く,耐摩耗性につい
て難点があった。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は,高い耐摩耗性
を有する摩擦材を備えた前記摩擦部材を提供することを
目的とする。 【0005】前記目的を達成するため本発明によれば,
心金と,その心金に接着された摩擦材とを有し,その摩
擦材は炭素繊維よりなる縦糸および横糸を用いて得られ
た織布を構成材料とする湿式摩擦係合装置用摩擦部材に
おいて,前記摩擦材の摩擦面は,前記織布表面に研削加
工を施して形成されたものであって,前記炭素繊維の,
繊維長さ方向と交差する断面の集合部を複数備えている
湿式摩擦係合装置用摩擦部材が提供される。 【0006】前記のように,摩擦面が炭素繊維の前記断
面の集合部を複数備えていると,それら断面の耐剥離性
を得て摩擦材の耐摩耗性を向上させることが可能であ
る。 【0007】 【発明の実施の形態】図1において,エンジン(図示せ
ず)のクランクシャフト1とトランスミッション(図示
せず)のメインシャフト2との間に,モータ・ジェネレ
ータMGと,ダンパDと,湿式摩擦係合装置としての湿
式多板クラッチCとが直列に配置される。 【0008】湿式多板クラッチCにおいて,そのクラッ
チ入力軸3はモータ・ジェネレータMGのロータ4にボ
ールベアリング5を介して支持される。クラッチケース
6は,クラッチ入力軸3に溶接された第1ケース半体7
と,第1ケース半体7の外周部に重ね合わされて溶接さ
れた第2ケース半体8とよりなり,クラッチガイド9が
第1ケース半体7の内周部に固定される。第2ケース半
体8の内周部は,オイルポンプ(図示せず)を駆動する
オイルポンプハブ10に溶接される。オイルポンプハブ
10はミッションケース11にボールベアリング12を
介して支持され,オイルポンプハブ10とミッションケ
ース11との間にオイルシール13が配置される。 【0009】トランスミッションのメインシャフト2の
小径端部は,クラッチ入力軸3の支持孔に軸受メタル1
4を介して支持される。メインシャフト2の外周部にス
プライン結合されたクラッチハブ15は,その一端部が
スラストベアリング16を介してクラッチ入力軸3の端
面に対向し,他端部がスラストベアリング17を介して
第2ケース半体8の内面に対向する。クラッチハブ15
の外周部に摩擦部材としての5つのクラッチディスク1
8の内周部がスプライン嵌合し,またクラッチガイド9
の内周部に5つのクラッチプレート19および1つのエ
ンドプレート20の外周部がスプライン嵌合している。
1つのクラッチディスク18がクラッチプレート19お
よびエンドプレート20間に配置され,他のクラッチデ
ィスク18は各2つのクラッチプレート19間にそれぞ
れ配置されている。 【0010】クラッチガイド9内周面とクラッチ入力軸
3外周面との間に一対のOリング21を介してクラッチ
ピストン22が摺動自在に嵌合しており,そのクラッチ
ピストン22と第1ケース半体7との間にクラッチ油室
23が区画される。クラッチピストン22の,クラッチ
油室23区画側と反対側の面は最外側のクラッチプレー
ト19に当接可能に対向する。クラッチ入力軸3にクリ
ップ24で支持されたスプリングシート25およびクラ
ッチピストン22間にクラッチスプリング26が圧縮状
態で挿入され,このクラッチスプリング26の弾発力で
クラッチピストン22が係合解除方向に付勢される。 【0011】メインシャフト2の内部に在って軸方向に
延びるオイル通路27は,クラッチ入力軸3を半径方向
に貫通するオイル通路28を介してクラッチ油室23に
連通する。メインシャフト2外周面とオイルポンプハブ
10内周面との間に筒状のオイルセパレータ28が配置
されており,オイルセパレータ28の端部外周面とクラ
ッチハブ15の端部内周面との間にシールリング29が
配置される。クラッチハブ15の外周部に環状の仕切り
部材30が固定されており,この仕切り部材30外周面
のシールリング31がエンドプレート20の内周面に当
接する。 【0012】皿状の第2ケース半体8内面には,エンド
プレート20と密着し得る平坦な複数の受圧面32が形
成されており,相隣る両受圧面32間にはオイル溝33
が放射方向に形成される。メインシャフト2外周面およ
びオイルセパレータ28内周面間に形成されたオイル通
路34は,クラッチハブ15を貫通する複数のオイル通
路35を介してクラッチディスク18,クラッチプレー
ト19およびエンドプレート20の摺動領域に連通し,
その摺動領域は第2ケース半体8の各オイル溝33,ク
ラッチハブ15およびオイルポンプハブ10間に形成さ
れたオイル通路36を介して,オイルポンプハブ10内
周面およびオイルセパレータ28外周面間に形成された
オイル通路37に連通する。 【0013】図2,3に示すように,クラッチディスク
18は,内周部にスプライン38を有する環状板形の心
金39と,その心金39の両側面に接着された環状摩擦
材40とよりなる。心金39は鋼板より構成され,また
摩擦材40は炭素繊維よりなる縦糸および横糸を用いて
得られた織布を構成材料とし,さらに接着剤としてはエ
ポキシ樹脂,フェノール樹脂等の熱硬化性合成樹脂接着
剤が用いられている。 【0014】織布41は図4,5に示されており,その
織布41は次のように形成されている。即ち,直径7〜
8μmの炭素繊維5000本を束ねて直径0.3〜0.
5mmの繊維束42を作製し,この繊維束42の2本を1
本の縦糸43および1本の横糸44として平織を行った
ものである。織目aの大きさは約0.8mmである。 【0015】図6,7に示すように,摩擦材40の摩擦
面bは,心金39に接着された織布41表面に研削加工
を施して形成されたものであって,炭素繊維の,繊維長
さ方向と交差する断面の集合部dを複数備えている。そ
れら集合部dには,図6示のごとく横糸44の,その長
手方向に沿った不完全(および/または完全)な分断に
より形成されたものと,図7示のごとく縦糸43の,そ
の長手方向に沿った不完全(および/または完全)な分
断により形成されたものとが含まれる。 【0016】前記のように,摩擦面bが炭素繊維の前記
断面の集合部dを複数備えていると,それら断面の耐剥
離性を得て摩擦材40の耐摩耗性を向上させることが可
能である。 【0017】耐摩耗性を評価すべく,前記実施例に係る
1つのクラッチディスク18を2つのクラッチプレート
19により挟んで,それらをSAE No. 2試験機に組
込み,面圧:1.55MPa;回転速度:3000rpm
;イナーシャ:0.54kg・m2 ;試験油量:700
cc;試験油温:100℃;試験サイクル数:3000
サイクルの条件で湿式摩耗評価試験(耐久試験)を行っ
た。その後,摩擦材40の摩耗量を調べたところ,その
摩耗量は62μmであった。 【0018】比較例として,前記織布41を心金39に
接着したものについて前記と同一条件で湿式摩耗試験を
行ってその織布41,したがって摩擦材の摩耗量を調べ
たところ,その摩耗量は350μmであって,実施例の
約5.6倍であった。図8は実施例および比較例の摩耗
量をグラフ化したものである。 【0019】次に,摩擦特性を評価すべく,前記実施例
に係る1つのクラッチディスク18を2つのクラッチプ
レート19により挟んで,それらをSAE No. 2試験
機に組込み,面圧:0.85MPa;回転速度:294
0rpm ;イナーシャ:0.12kg・m2 ;試験油量:7
00cc;試験油温:100℃;試験サイクル数:50
0サイクルの条件で湿式摩擦評価試験を行って,摩擦係
数μi,μd,μoを測定した。それらμi等は,図9
のSAE No. 2試験のトルク波形に示されており,μ
iはトルクの立上がり部分の摩擦係数,μdは回転数1
200rpm 時の摩擦係数,μoはトルクが急激に減少す
る直前の摩擦係数である。これら3つの摩擦係数は回転
マスを止めるブレーキングテストによる。摩擦係数μs
は,2つのクラッチプレート19を1つのクラッチディ
スク18に押付けてから軸を0.7rpm で回転させたと
きの,最大トルク発生時の摩擦係数である。前記同様の
比較例について前記と同一条件で湿式摩擦試験を行っ
て,前記同様に摩擦係数μi等を測定した。 【0020】表1は実施例および比較例の摩擦係数μ
i,μd,μsおよびμo/μdを示す。 【0021】 【表1】 【0022】図10は,表1に基づいて実施例と比較例
の摩擦係数μi,μdおよびμsをグラフ化したもので
あり,また図11は,表1に基づいて実施例と比較例の
両摩擦係数μoとμdの比μo/μdをグラフ化したも
のである。図10,11から明らかなように,実施例1
は,比較例に比べて,摩擦係数μi,μdおよびμsが
大であると共にμo/μdが小であることから,ジャダ
防止上優れた摩擦特性を有するものである。 【0023】本発明は湿式摩擦ブレーキ装置にも適用さ
れる。 【0024】 【発明の効果】本発明によれば,前記のように構成する
ことによって,優れた耐摩耗性を有する摩擦材を備えた
湿式摩擦係合装置用摩擦部材を提供することができる。
る。 【図7】図6の7−7線断面図で,図4の7−7線断面
図に対応する。 【図8】摩耗量のグラフである。 【図9】SAE No. 2試験のトルク波形図である。 【図10】摩擦係数のグラフである。 【図11】摩擦係数の比μo/μdのグラフである。 【符号の説明】 18………クラッチディスク(摩擦部材) 39………心金 40………摩擦材 41………織布 43………縦糸 44………横糸 b…………摩擦面 d…………集合部 C…………湿式多板クラッチ(湿式摩擦係合装置)
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 心金(39)と,その心金(39)に接
着された摩擦材(40)とを有し,その摩擦材(40)
は炭素繊維よりなる縦糸(43)および横糸(44)を
用いて得られた織布(41)を構成材料とする湿式摩擦
係合装置用摩擦部材において,前記摩擦材(40)の摩
擦面(b)は,前記織布(41)表面に研削加工を施し
て形成されたものであって,前記炭素繊維の,繊維長さ
方向と交差する断面の集合部(d)を複数備えているこ
とを特徴とする湿式摩擦係合装置用摩擦部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002043688A JP3887244B2 (ja) | 2002-02-20 | 2002-02-20 | 湿式摩擦係合装置用摩擦部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002043688A JP3887244B2 (ja) | 2002-02-20 | 2002-02-20 | 湿式摩擦係合装置用摩擦部材 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
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JP2003240034A true JP2003240034A (ja) | 2003-08-27 |
JP2003240034A5 JP2003240034A5 (ja) | 2004-07-15 |
JP3887244B2 JP3887244B2 (ja) | 2007-02-28 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-02-20 JP JP2002043688A patent/JP3887244B2/ja not_active Expired - Fee Related
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