JP2003239871A - ロータの製造方法およびロータを用いたベーンポンプ - Google Patents
ロータの製造方法およびロータを用いたベーンポンプInfo
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 使用するベーンの板厚が一定寸法以下の製品
については、型強度の関係で細いスリット下溝を焼結型
成形では製作できず、また、ロータ中心部には円周方向
の曲げ荷重がかかるが、焼入れでは内部まで固くなって
曲げ疲労強度が上がらず、強度不足となる問題があっ
た。 【解決手段】 焼結金属による型成形によって円周上複
数のスリット底部丸穴22を持つ円板上のロータ素材1
7Aを成形し、このロータ素材17Aの表面を浸炭焼入
れし、しかる後、ロータ素材17Aの外周から前記スリ
ット底部丸穴22に連なるスリット20を円周上複数加
工し、ロータ17の軸方向両端部のスリット20の両端
面に浸炭層31が存在され、ロータ17の軸方向中央部
のスリット20の両端面に浸炭層が存在しないようにし
た。
については、型強度の関係で細いスリット下溝を焼結型
成形では製作できず、また、ロータ中心部には円周方向
の曲げ荷重がかかるが、焼入れでは内部まで固くなって
曲げ疲労強度が上がらず、強度不足となる問題があっ
た。 【解決手段】 焼結金属による型成形によって円周上複
数のスリット底部丸穴22を持つ円板上のロータ素材1
7Aを成形し、このロータ素材17Aの表面を浸炭焼入
れし、しかる後、ロータ素材17Aの外周から前記スリ
ット底部丸穴22に連なるスリット20を円周上複数加
工し、ロータ17の軸方向両端部のスリット20の両端
面に浸炭層31が存在され、ロータ17の軸方向中央部
のスリット20の両端面に浸炭層が存在しないようにし
た。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力舵取装置等の
油圧源として用いられるベーンポンプに関するものであ
る。
油圧源として用いられるベーンポンプに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、ベーンポンプにおいては、円周
上に複数のベーンを放射方向に摺動可能に収納するスリ
ットを形成したロータがカムリング内に収容され、ロー
タの回転によりポンプ作用を行うようになっている。
上に複数のベーンを放射方向に摺動可能に収納するスリ
ットを形成したロータがカムリング内に収容され、ロー
タの回転によりポンプ作用を行うようになっている。
【0003】かかるベーンポンプのロータは従来におい
ては以下に述べるように製作されている。
ては以下に述べるように製作されている。
【0004】図8に示すように、ロータ素材1は鉄系の
焼結金属より型成形によって成形される。この型成形時
にロータ素材1には、外形形状とともに、ベーンを収納
するスリットの下溝2、スリット底部の丸穴3および回
転軸に嵌合するスプライン穴4が同時に成形される。こ
こでスリット下溝2の溝幅寸法t0は、後に行う研削加
工での取りしろを見込んで最終寸法t1より小さな寸法
に成形される。
焼結金属より型成形によって成形される。この型成形時
にロータ素材1には、外形形状とともに、ベーンを収納
するスリットの下溝2、スリット底部の丸穴3および回
転軸に嵌合するスプライン穴4が同時に成形される。こ
こでスリット下溝2の溝幅寸法t0は、後に行う研削加
工での取りしろを見込んで最終寸法t1より小さな寸法
に成形される。
【0005】このロータ素材1に浸炭焼入れを施した
後、スリット下溝2を砥石幅t1の砥石5により底部丸
穴3まで突っ切るように研削加工して最終寸法に仕上げ
るとともに、ロータ素材1の両側面を研削加工で仕上げ
て、製品にしている。
後、スリット下溝2を砥石幅t1の砥石5により底部丸
穴3まで突っ切るように研削加工して最終寸法に仕上げ
るとともに、ロータ素材1の両側面を研削加工で仕上げ
て、製品にしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、使用す
るベーンの板厚が一定寸法以下の製品については、型の
強度上の制約より、細いスリット下溝を焼結型成形では
製作できない問題があり、また、ロータ中心部には円周
方向の曲げ荷重がかかるが、上記したようなスリット下
溝の表面を含む焼入れでは、ロータの内部まで固くなっ
て曲げ疲労強度が上がらず、強度不足となる問題があっ
た。
るベーンの板厚が一定寸法以下の製品については、型の
強度上の制約より、細いスリット下溝を焼結型成形では
製作できない問題があり、また、ロータ中心部には円周
方向の曲げ荷重がかかるが、上記したようなスリット下
溝の表面を含む焼入れでは、ロータの内部まで固くなっ
て曲げ疲労強度が上がらず、強度不足となる問題があっ
た。
【0007】本発明は、上記した従来の問題点に鑑みて
なされたもので、スリットの下溝だけをなくして鉄系の
焼結金属による型成形を行い、これに浸炭焼入れを施し
た後、スリットを加工するようにして、疲労強度が低下
しないようにすることを目的とするものである。
なされたもので、スリットの下溝だけをなくして鉄系の
焼結金属による型成形を行い、これに浸炭焼入れを施し
た後、スリットを加工するようにして、疲労強度が低下
しないようにすることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に記載
された発明は、焼結金属による型成形によって円周上複
数のスリット底部丸穴を持つ円板上のロータ素材を成形
し、このロータ素材の表面を浸炭焼入れし、しかる後、
ロータ素材の外周から前記スリット底部丸穴に連なるス
リットを円周上複数加工してなるロータの製造方法であ
る。
された発明は、焼結金属による型成形によって円周上複
数のスリット底部丸穴を持つ円板上のロータ素材を成形
し、このロータ素材の表面を浸炭焼入れし、しかる後、
ロータ素材の外周から前記スリット底部丸穴に連なるス
リットを円周上複数加工してなるロータの製造方法であ
る。
【0009】本発明の請求項2に記載された発明は、前
記ロータ素材の型成形時に、ロータ中心部にスプライン
穴を同時に成形するようにしてなる請求項1に記載のロ
ータの製造方法である。
記ロータ素材の型成形時に、ロータ中心部にスプライン
穴を同時に成形するようにしてなる請求項1に記載のロ
ータの製造方法である。
【0010】本発明の請求項3に記載された発明は、ハ
ウジングに装着されたカムリングに回転可能に収納され
たロータと、このロータに形成されたスリット内に放射
方向へ摺動可能に収納された複数のベーンと、前記カム
リングの両側に設けられた側壁部材とを有し、この側壁
部材のロータと摺接する面に、吐出ポートと吸入ポート
を設けたベーンポンプにおいて、前記ベーンを収納した
スリットの側面には、ロータの軸方向両端部および外周
部ならびにスリット底部に浸炭層が存在され、スリット
の側面の中央部に浸炭層が存在しないようにロータに浸
炭焼入れが施されたことを特徴とするベーンポンプであ
る。
ウジングに装着されたカムリングに回転可能に収納され
たロータと、このロータに形成されたスリット内に放射
方向へ摺動可能に収納された複数のベーンと、前記カム
リングの両側に設けられた側壁部材とを有し、この側壁
部材のロータと摺接する面に、吐出ポートと吸入ポート
を設けたベーンポンプにおいて、前記ベーンを収納した
スリットの側面には、ロータの軸方向両端部および外周
部ならびにスリット底部に浸炭層が存在され、スリット
の側面の中央部に浸炭層が存在しないようにロータに浸
炭焼入れが施されたことを特徴とするベーンポンプであ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を、図に
基づいて説明する。
基づいて説明する。
【0012】図1、図2において、10はベーンポンプ
のフロントハウジングを示し、このフロントハウジング
10に凹所11を形成したリヤハウジング12が凹所1
1を閉塞するように固着されている。
のフロントハウジングを示し、このフロントハウジング
10に凹所11を形成したリヤハウジング12が凹所1
1を閉塞するように固着されている。
【0013】前記凹所11には、サイドプレート13と
カムリング14が収納され、カムリング14の一側には
サイドプレート13が、他側にはフロントハウジング1
0のサイド面15がそれぞれ対接している。これらサイ
ドプレート13とフロントハウジングサイド面15と
が、カムリング14の両側部を閉塞する側壁部材として
機能する。カムリング14の内周には、カム曲線の周期
が180度の基本的に楕円曲面であるカム面16が形成
され、このカムリング14内にロータ17が回転可能に
収納されている。ロータ17の中心部にはスプライン穴
18が形成され、このスプライン穴18に前記フロント
ハウジング10に回転可能に支持された回転軸19の先
端部がスプライン係合されている。この回転軸19は自
動車エンジン等の適宜な駆動手段によって回転駆動され
る。
カムリング14が収納され、カムリング14の一側には
サイドプレート13が、他側にはフロントハウジング1
0のサイド面15がそれぞれ対接している。これらサイ
ドプレート13とフロントハウジングサイド面15と
が、カムリング14の両側部を閉塞する側壁部材として
機能する。カムリング14の内周には、カム曲線の周期
が180度の基本的に楕円曲面であるカム面16が形成
され、このカムリング14内にロータ17が回転可能に
収納されている。ロータ17の中心部にはスプライン穴
18が形成され、このスプライン穴18に前記フロント
ハウジング10に回転可能に支持された回転軸19の先
端部がスプライン係合されている。この回転軸19は自
動車エンジン等の適宜な駆動手段によって回転駆動され
る。
【0014】前記ロータ17には、図5に詳細に示すよ
うに、円周上等角度間隔に複数のスリット20が放射方
向に形成され、これらスリット20に前記カム面16に
先端面が摺接する複数のベーン21がそれぞれ摺動可能
に収納されている。各スリット20の底部には丸穴22
が形成され、これら丸穴22に前記サイドプレート13
に形成された背圧溝23を介して圧油が導入されてベー
ン21をカム面16に向けて押圧するようになってい
る。これらベーン21の両端は、サイドプレート13と
フロントハウジングサイド面15にそれぞれ摺接可能に
対接している。
うに、円周上等角度間隔に複数のスリット20が放射方
向に形成され、これらスリット20に前記カム面16に
先端面が摺接する複数のベーン21がそれぞれ摺動可能
に収納されている。各スリット20の底部には丸穴22
が形成され、これら丸穴22に前記サイドプレート13
に形成された背圧溝23を介して圧油が導入されてベー
ン21をカム面16に向けて押圧するようになってい
る。これらベーン21の両端は、サイドプレート13と
フロントハウジングサイド面15にそれぞれ摺接可能に
対接している。
【0015】これにより、カムリング14のカム面16
とロータ17との間に、隣合うベーン21によって複数
のポンプ室が形成され、これらポンプ室はロータ17の
回転により容積変化を生じる。膨張領域(吸入領域)の
ポンプ室には図略のリザーバに接続される吸入通路25
より吸入ポートを介して作動油が吸入され、圧縮領域
(吐出領域)のポンプ室より吐出ポートを介して吐出通
路28に圧油が吐出されるようになっている。
とロータ17との間に、隣合うベーン21によって複数
のポンプ室が形成され、これらポンプ室はロータ17の
回転により容積変化を生じる。膨張領域(吸入領域)の
ポンプ室には図略のリザーバに接続される吸入通路25
より吸入ポートを介して作動油が吸入され、圧縮領域
(吐出領域)のポンプ室より吐出ポートを介して吐出通
路28に圧油が吐出されるようになっている。
【0016】なお、図示してないが、吐出通路28の途
中には、公知の流量制御弁29が設けられ、この流量制
御弁29によって前記吐出通路28より図略の動力舵取
装置等の油圧作動機器に送出される流量を一定に制御す
るようになっている。
中には、公知の流量制御弁29が設けられ、この流量制
御弁29によって前記吐出通路28より図略の動力舵取
装置等の油圧作動機器に送出される流量を一定に制御す
るようになっている。
【0017】次に前記ロータ17の製造方法について説
明する。
明する。
【0018】使用するベーン21の板厚が薄い場合、型
強度の問題で焼結型成形では製作できないため、図3に
示すように、スリット20の下溝のないまま、外形形状
と、円周上複数のスリット底部の丸穴22と、ロータ中
心部のスプライン穴18とを持つロータ素材17Aを、
鉄系の焼結金属で成形する。
強度の問題で焼結型成形では製作できないため、図3に
示すように、スリット20の下溝のないまま、外形形状
と、円周上複数のスリット底部の丸穴22と、ロータ中
心部のスプライン穴18とを持つロータ素材17Aを、
鉄系の焼結金属で成形する。
【0019】スリット底部の丸穴22は、後述するスリ
ット研削加工時の砥石の逃げと、スリット底部の強度確
保のために必要であり、スリット底部に大きい円弧の丸
穴22が形成されるほど応力集中が緩和されてロータ1
7の強度が高められる。また、スリット底部に丸穴22
があった方が、ベーン底面への圧油の流入が容易にな
り、低温始動時のベーン21の押出しを効果的に行える
ようになり、ポンプの吐出性を向上できる。
ット研削加工時の砥石の逃げと、スリット底部の強度確
保のために必要であり、スリット底部に大きい円弧の丸
穴22が形成されるほど応力集中が緩和されてロータ1
7の強度が高められる。また、スリット底部に丸穴22
があった方が、ベーン底面への圧油の流入が容易にな
り、低温始動時のベーン21の押出しを効果的に行える
ようになり、ポンプの吐出性を向上できる。
【0020】型成形された鉄系焼結金属からなるロータ
素材17Aは、続いて浸炭焼入れが施され、ロータ素材
の外周および両側面の外形表面、スリット底部丸穴2
2、ならびにスプライン穴18が硬度とともに表面強度
を向上される。この場合、ロータ素材17Aの内部はあ
まり硬度が上がらないように浸炭焼入れが行われる。
素材17Aは、続いて浸炭焼入れが施され、ロータ素材
の外周および両側面の外形表面、スリット底部丸穴2
2、ならびにスプライン穴18が硬度とともに表面強度
を向上される。この場合、ロータ素材17Aの内部はあ
まり硬度が上がらないように浸炭焼入れが行われる。
【0021】次いで、図4に示すように、研削盤を用い
て砥石30により、ベーン21を収納すべき複数のスリ
ット20をロータ素材17Aの外周から底部丸穴22ま
で突っ切るように研削加工する。1つのスリット20の
研削加工が終了すると、ロータ素材17Aを所定角度θ
1(円周上10個のスリットをもつロータの場合は36
度)回転させ、次のスリット20を同様に研削加工す
る。
て砥石30により、ベーン21を収納すべき複数のスリ
ット20をロータ素材17Aの外周から底部丸穴22ま
で突っ切るように研削加工する。1つのスリット20の
研削加工が終了すると、ロータ素材17Aを所定角度θ
1(円周上10個のスリットをもつロータの場合は36
度)回転させ、次のスリット20を同様に研削加工す
る。
【0022】このようにして円周上すべてのスリット2
0を研削加工し、最後にロータ素材17Aの両側面を研
削加工によって仕上げ、図5に示すように製品としての
ロータ17の製造が完了する。
0を研削加工し、最後にロータ素材17Aの両側面を研
削加工によって仕上げ、図5に示すように製品としての
ロータ17の製造が完了する。
【0023】研削加工されたスリット20の両側面は、
ロータ17の軸方向位置によって浸炭層の深度が異なる
ものとなる。すなわち、図6のB−B線で示すロータ1
7の軸方向両端部においては、スリット20の両側面に
図7(A)に示すように、浸炭層31(図の斜線部分)
が存在されているのに対し、図6のC−C線で示すロー
タ17の軸方向中央部においては、研削加工によってロ
ータ17の内部が露呈された結果、図7(B)に示すよ
うにスリット20の両側面には浸炭層31が存在されな
いようになり、これにより、スリット20の両側面の硬
度を上げないようにしてロータ17の曲げ疲労強度の低
下を防止するようにしている。
ロータ17の軸方向位置によって浸炭層の深度が異なる
ものとなる。すなわち、図6のB−B線で示すロータ1
7の軸方向両端部においては、スリット20の両側面に
図7(A)に示すように、浸炭層31(図の斜線部分)
が存在されているのに対し、図6のC−C線で示すロー
タ17の軸方向中央部においては、研削加工によってロ
ータ17の内部が露呈された結果、図7(B)に示すよ
うにスリット20の両側面には浸炭層31が存在されな
いようになり、これにより、スリット20の両側面の硬
度を上げないようにしてロータ17の曲げ疲労強度の低
下を防止するようにしている。
【0024】従って、ベーン21は軸方向の両端部の硬
い部分で支えられて、スリット側面の摩耗が生じないと
ともに、ロータ中心部に円周方向の曲げ荷重がかかって
も、疲労強度が確保されているので、強度不足になるこ
ともない。
い部分で支えられて、スリット側面の摩耗が生じないと
ともに、ロータ中心部に円周方向の曲げ荷重がかかって
も、疲労強度が確保されているので、強度不足になるこ
ともない。
【0025】上記のように構成された本実施の形態にお
ける作用を、図5を参照しながら説明する。
ける作用を、図5を参照しながら説明する。
【0026】自動車エンジン等によってロータ17が矢
印方向に回転されると、膨張行程をなすポンプ室に吸入
通路25より吸入ポートを介して作動油が吸入され、圧
縮行程をなすポンプ室より吐出ポートを介して作動油が
吐出通路28に吐出される。吐出通路28に吐出された
作動油は図略の流量制御弁によって所定流量に制御さ
れ、動力舵取装置等の油圧作動機器(図示せず)に圧送
される。また、前記吐出通路28より吐出される圧油
は、背圧溝23よりスリット20の底部丸穴22に導入
され、ベーン21の下面に作用してベーン21をカム面
16に向けて押圧する。上記した実施の形態において
は、スリット20の下溝が成形されていない状態でロー
タ素材17Aの外表面を浸炭焼入れすることにより、ロ
ータ素材17Aの内部まで硬くなることがないので、そ
の状態でスリット20を形成すると、スリット20の側
面(ベーン摺接面)には、その周囲のロータ素材17A
の外周部、底部、軸方向両端部に浸炭層31が存在さ
れ、中央に浸炭層が存在されない部分が形成される。従
って、ベーン21はスリット20の側面の周縁部の硬い
部分で支持されるため、スリット20の側面に摩耗を生
じさせない。同時に、スリット20の側面の中央部分は
浸炭層がなく、硬度が上がらないようにしてあるので、
ロータ17に円周方向の曲げ荷重がかかっても、疲労強
度が確保され、強度不足になることもない。上記した実
施の形態においては、鉄系の焼結金属にて型成形する例
について述べたが、鉄系以外の焼結金属にて成形するこ
とも可能である。また、上記した実施の形態において
は、ロータ17の中心にスプライン穴18を設けた例に
ついて述べたが、回転軸19との結合はキー係合にても
行えるものである。
印方向に回転されると、膨張行程をなすポンプ室に吸入
通路25より吸入ポートを介して作動油が吸入され、圧
縮行程をなすポンプ室より吐出ポートを介して作動油が
吐出通路28に吐出される。吐出通路28に吐出された
作動油は図略の流量制御弁によって所定流量に制御さ
れ、動力舵取装置等の油圧作動機器(図示せず)に圧送
される。また、前記吐出通路28より吐出される圧油
は、背圧溝23よりスリット20の底部丸穴22に導入
され、ベーン21の下面に作用してベーン21をカム面
16に向けて押圧する。上記した実施の形態において
は、スリット20の下溝が成形されていない状態でロー
タ素材17Aの外表面を浸炭焼入れすることにより、ロ
ータ素材17Aの内部まで硬くなることがないので、そ
の状態でスリット20を形成すると、スリット20の側
面(ベーン摺接面)には、その周囲のロータ素材17A
の外周部、底部、軸方向両端部に浸炭層31が存在さ
れ、中央に浸炭層が存在されない部分が形成される。従
って、ベーン21はスリット20の側面の周縁部の硬い
部分で支持されるため、スリット20の側面に摩耗を生
じさせない。同時に、スリット20の側面の中央部分は
浸炭層がなく、硬度が上がらないようにしてあるので、
ロータ17に円周方向の曲げ荷重がかかっても、疲労強
度が確保され、強度不足になることもない。上記した実
施の形態においては、鉄系の焼結金属にて型成形する例
について述べたが、鉄系以外の焼結金属にて成形するこ
とも可能である。また、上記した実施の形態において
は、ロータ17の中心にスプライン穴18を設けた例に
ついて述べたが、回転軸19との結合はキー係合にても
行えるものである。
【0027】
【発明の効果】以上、述べたように本発明においては、
細いスリット下溝を成形するための型を不要にできるの
で、型の製作が容易になり、それに伴う型費の低減によ
る製品コストの低減が可能となる。
細いスリット下溝を成形するための型を不要にできるの
で、型の製作が容易になり、それに伴う型費の低減によ
る製品コストの低減が可能となる。
【0028】また、スリット下溝が成形されていない状
態でロータ素材を浸炭焼入れするようにしたので、スリ
ットを成形した後においては、スリット側面の周縁部に
浸炭層が存在されているのに対し、スリット側面の中央
部分には浸炭層がなくて硬度が上がらないようにしたの
で、スリット側面の周縁部の硬い部分で支えられ、スリ
ット側面の摩耗が生じないとともに、ロータ中心部に円
周方向の曲げ荷重がかかっても、疲労強度が確保される
効果がある。
態でロータ素材を浸炭焼入れするようにしたので、スリ
ットを成形した後においては、スリット側面の周縁部に
浸炭層が存在されているのに対し、スリット側面の中央
部分には浸炭層がなくて硬度が上がらないようにしたの
で、スリット側面の周縁部の硬い部分で支えられ、スリ
ット側面の摩耗が生じないとともに、ロータ中心部に円
周方向の曲げ荷重がかかっても、疲労強度が確保される
効果がある。
【図1】本発明の実施の形態を示すベーンポンプの全体
断面図である。
断面図である。
【図2】図1のロータ部の断面図である。
【図3】図1、図2のベーンポンプに用いられるロータ
素材を示す図である。
素材を示す図である。
【図4】ロータの製造方法を示す図である。
【図5】ロータの完成品を示す図である。
【図6】図5のA−A線に沿って断面した図である。
【図7】図6のB−B線およびC−C線に沿ってそれぞ
れ断面した図である。
れ断面した図である。
【図8】従来のロータの製造方法を示す図である。
10 フロントハウジング
12 リヤハウジング
13 サイドプレート
14 カムリング
17 ロータ
17A ロータ素材
18 スプライン穴
20 スリット
21 ベーン
22 底部丸穴
30 砥石
31 浸炭層
Claims (3)
- 【請求項1】 焼結金属による型成形によって円周上複
数のスリット底部丸穴を持つ円板上のロータ素材を成形
し、このロータ素材の表面を浸炭焼入れし、しかる後、
ロータ素材の外周から前記スリット底部丸穴に連なるス
リットを円周上複数加工するようにしてなるロータの製
造方法。 - 【請求項2】 前記ロータ素材の型成形時に、ロータ中
心部にスプライン穴を同時に成形するようにしてなる請
求項1に記載のロータの製造方法。 - 【請求項3】 ハウジングに装着されたカムリングに回
転可能に収納されたロータと、このロータに形成された
スリット内に放射方向へ摺動可能に収納された複数のベ
ーンと、前記カムリングの両側に設けられた側壁部材と
を有し、この側壁部材のロータと摺接する面に、吐出ポ
ートと吸入ポートを設けたベーンポンプにおいて、前記
ベーンを収納したスリットの側面には、ロータの軸方向
両端部および外周部ならびにスリット底部に浸炭層が存
在され、スリットの側面の中央部に浸炭層が存在しない
ようにロータに浸炭焼入れが施されたことを特徴とする
ベーンポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002042822A JP2003239871A (ja) | 2002-02-20 | 2002-02-20 | ロータの製造方法およびロータを用いたベーンポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002042822A JP2003239871A (ja) | 2002-02-20 | 2002-02-20 | ロータの製造方法およびロータを用いたベーンポンプ |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2002
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