JP2003239029A - 金属材料 - Google Patents

金属材料

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JP2003239029A
JP2003239029A JP2002042687A JP2002042687A JP2003239029A JP 2003239029 A JP2003239029 A JP 2003239029A JP 2002042687 A JP2002042687 A JP 2002042687A JP 2002042687 A JP2002042687 A JP 2002042687A JP 2003239029 A JP2003239029 A JP 2003239029A
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Hiroya Kakegawa
宏弥 掛川
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い熱伝導率を有しかつ熱膨張係数が半導体
素子と同等程度に小さな金属材料を実現する。 【解決手段】 金属材料は、銅系材料からなるマトリッ
クスと、当該マトリックス内に含まれる黒鉛系材料とを
備えており、黒鉛系材料は、表面にホウ素元素を有する
黒鉛からなる。黒鉛系材料は、例えば、表面に炭化ホウ
素を有する黒鉛である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属材料、特に、
銅系の金属材料に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】例えばSiやGaAsなどを
基材とする半導体素子のような作動時に発熱する電子部
品を搭載するための基板、例えばマルチチップモジュー
ル用基板やパワーモジュール用ベースプレートは、熱膨
張率の差に起因して半導体素子が基板から剥離するのを
防止するため、熱膨張率が半導体素子の熱膨張率と可能
な限り一致しているのが望ましい。また、このような基
板は、半導体素子からの熱を効果的に放熱するための、
高い熱伝導率が要求される。
【0003】このため、上述のような特性を具備する基
板を実現するための材料として、42アロイ(Fe−N
i合金)などの合金が広く利用されている。しかし、高
密度化が飛躍的に進展して発熱量が大きく増大している
最近の半導体素子は、42アロイ等の合金を用いて形成
されるものよりもより軽量で優れた熱伝導率を有する基
板を必要としていることから、この種の基板の分野で
は、42アロイ等に代わる新たな金属材料が提案されつ
つある。
【0004】例えば、特開昭52−53720号公報に
は、主として銅からなるマトリックス中に炭化物生成元
素と炭素繊維とを含む複合材料が記載されている。しか
し、この材料は、マトリックス中に含まれる炭化物生成
元素が固溶し、熱伝導率が徐々に低下する場合がある。
また、特開平3−173166号公報には、Fe−Ni
合金と銅とを用いた放熱基板が記載されているが、この
放熱基板は、半導体素子の剥離を抑制可能な程度に熱膨
張係数を調整するのが困難であり、また、熱伝導率も必
ずしも十分ではなく、発熱量の大きな半導体素子用の基
板として適したものとは言い難い。
【0005】本発明の目的は、高い熱伝導率を有しかつ
熱膨張係数が半導体素子と同等程度に小さな金属材料を
実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の金属材料は、銅
系材料からなるマトリックスと、当該マトリックス内に
含まれる黒鉛系材料とを備えており、黒鉛系材料は、表
面にホウ素元素を有する黒鉛からなる。ここで用いられ
る黒鉛系材料は、例えば、表面に炭化ホウ素を有する黒
鉛である。また、黒鉛系材料は、例えば、表面にホウ酸
溶液を配置した炭素材料を2,000〜2,800℃で
熱処理したものである。さらに、黒鉛系材料は、通常、
粒子状および繊維状のうちの少なくとも一つである。
【0007】本発明の一形態に係る金属材料は、熱伝導
率の異方比が1.0以上1.5未満である。また、本発
明の他の形態に係る金属材料は、熱伝導率の異方比が少
なくとも1.5である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の金属材料は、マトリック
スと、当該マトリックス内に含まれる黒鉛系材料とを備
えた複合材料である。本発明の金属材料を構成するマト
リックスは、後述する黒鉛系材料を内部に保持するため
のものであり、銅系材料からなる。ここで用いられる銅
系材料は、銅(銅の割合が99.9重量%以上の純銅)
または銅合金である。利用可能な銅合金は、銅を主成分
とするものであれば特に限定されるものではなく、例え
ば、銅−コバルト−リン合金(例えば、コバルトを0.
30重量%、リンを0.08重量%それぞれ含み、残余
が銅からなるもの)、銅−鉄−スズ−ニッケル−リン合
金(例えば、鉄を0.20重量%、スズを0.07重量
%、ニッケルを0.15重量%、リンを0.06重量%
それぞれ含み、残余が銅からなるもの)、銅−鉄−リン
−亜鉛合金(例えば、鉄を2.30重量%、リンを0.
03重量%、亜鉛を0.10重量%それぞれ含み、残余
が銅からなるもの)、銅−ニッケル−スズ−リン合金
(例えば、ニッケルを1.00重量%、スズを0.50
重量%、リンを0.05重量%それぞれ含み、残余が銅
からなるもの、およびニッケルを1.00重量%、スズ
を0.90重量%、リンを0.05重量%それぞれ含
み、残余が銅からなるもの)、銅−亜鉛合金(例えば、
銅を70重量%含み、残余が亜鉛からなるもの)、銅−
スズ−鉄−リン−亜鉛合金(例えば、銅を85.8重量
%、スズを1.75重量%、鉄を1.7重量%、リンを
0.025重量%それぞれ含み、残余が亜鉛からなるも
の)、銅−スズ−亜鉛合金(例えば、銅を74.2重量
%、スズを0.8重量%それぞれ含み、残余が亜鉛から
なるもの)などである。
【0009】なお、ここで用いる銅合金は、熱伝導率の
高い金属材料を実現するために、熱伝導率が200W/
mK以上のものが好ましく、300W/mK以上のもの
がより好ましい。
【0010】上述のマトリックス内に含まれる黒鉛系材
料は、表面にホウ素元素を有する黒鉛からなる。黒鉛の
表面に存在するホウ素元素の形態は、特に限定されるも
のではなく、ホウ素の単体として存在していてもよい
し、ホウ素の化合物として存在していてもよい。また、
黒鉛系材料は、形状が特に限定されるものではないが、
通常は粒子状や繊維状などの各種の形状のものである。
また、黒鉛系材料は、粒子状のものと繊維状のものとの
混合物であってもよい。
【0011】本発明で用いられる黒鉛系材料として好ま
しいものは、黒鉛の表面に炭化ホウ素を有するものであ
る。このような黒鉛系材料は、例えば、次のようにして
製造することができる。先ず、ホウ酸溶液を用意し、こ
のホウ酸溶液を炭素材料の表面に配置する。ここで用い
るホウ酸溶液は、通常、ホウ酸の水溶液やホウ酸のアル
コール溶液である。一方、ここで用いる炭素材料は、後
述する熱処理により黒鉛化するものであれば特に限定さ
れるものではないが、通常は粒状炭や炭素繊維等が好ま
しく用いられる。因みに、炭素繊維としては、ピッチ系
異方性炭素繊維を用いるのが好ましい。
【0012】ホウ酸溶液を炭素材料の表面に配置するた
めの方法としては、ホウ酸溶液を炭素材料の表面に塗布
する方法やホウ酸溶液中に炭素材料を浸漬する方法等を
採用することができる。この際、ホウ酸溶液の配置量
は、炭素材料の重量に対し、ホウ酸換算で1〜20重量
%に設定するのが好ましく、5〜15重量%に設定する
のがより好ましい。ホウ酸溶液の配置量が1重量%未満
の場合は、黒鉛系材料と上述のマトリックスとの馴染み
性が低下し、黒鉛系材料とマトリックスとの界面で剥離
が生じたり、黒鉛系材料とマトリックスを構成する銅系
材料とが反応したりするおそれがある。逆に、15重量
%を超える場合は、炭素材料から生成する黒鉛そのもの
が有する高い熱伝導率を損なうおそれがあり、結果的に
本発明の金属材料の熱伝導性を高めるのが困難になるお
それがある。
【0013】次に、ホウ酸溶液が表面に配置された炭素
材料を2,000〜2,800℃、好ましくは2,30
0〜2,800℃で熱処理する。熱処理時間は、熱処理
温度により異なるが、通常は1〜10時間に設定するの
が好ましい。このような熱処理により、炭素材料が黒鉛
化し、同時にホウ酸を構成するホウ素元素と炭素元素と
が反応して炭化ホウ素が生成する。この結果、表面に炭
化ホウ素を有する黒鉛が得られる。なお、熱処理温度が
2,000℃未満の場合は、炭素材料が黒鉛化しにくく
なり、また、炭化ホウ素が生成しにくい場合がある。一
方、熱処理温度が2,800℃を超える場合は、黒鉛の
昇華が発生するおそれがある。
【0014】また、本発明で用いられる黒鉛系材料とし
て特に好ましいものは、表面に炭化ホウ素を有する、直
径が0.1〜20μm、平均繊維長が50〜3,000
μmおよび熱伝導率が100〜1,500W/mKの黒
鉛繊維である。このような黒鉛繊維は、所定の直径およ
び平均繊維長を有するピッチ系異方性炭素繊維の表面に
上述のようなホウ酸溶液を配置し、上述の条件で熱処理
すると製造することができる。因みに、このような黒鉛
系材料を用いた場合は、本発明の金属材料の熱伝導率を
より高めることができ(すなわち、銅系材料の熱伝導率
を損ないにくく)、同時に、その熱膨張係数を半導体素
子のそれと略同等の小ささに設定しやすくなる。
【0015】本発明で用いられる黒鉛系材料は、通常の
黒鉛とは異なり、表面、すなわち銅系材料との界面にホ
ウ素元素を有しているため、マトリックスを構成する銅
系材料とのぬれ性が高く、また、加熱下でも銅系材料と
反応しにくい。このため、当該黒鉛系材料は、銅系材料
のマトリックスと馴染みやすく、当該マトリックス内で
安定に存在し得る。
【0016】上述の黒鉛系材料は、繊維状の場合、上述
のマトリックス内において種々の形態、例えば、短繊維
状態(ミルド状態)、フエルト状態、織物状態、編物状
態、組紐状態などの各種の形態で含まれ得る。因みに、
短繊維状態の黒鉛系材料、例えば上述の特に好ましい形
態の黒鉛系材料が用いられる場合、当該黒鉛系材料は、
交絡部分が結合剤を介して一体化したプリフォームの状
態でマトリックス内に含まれていてもよい。
【0017】黒鉛系材料がこのようなプリフォームとし
て含まれている場合、本発明の金属材料は、熱伝導率が
方向性を示し難くなり(すなわち、異方性を示しにくく
なり)、どのような方向においても熱伝導率が概ね等し
く現れ得る(すなわち、等方性を示し得る)。例えば、
この金属材料が円盤状や矩形状等の板状に形成されてい
る場合、当該金属材料の熱伝導率は、面方向および厚さ
方向のいずれの方向についても概ね等しく現れ得る。因
みに、このような金属材料において、熱伝導率の異方比
は、通常、1.0以上1.5未満の範囲になり得る。な
お、「異方比」の用語については後述する。
【0018】一方、黒鉛系材料がフエルト状態、織物状
態、編物状態または組紐状態などの形態で含まれている
場合、本発明の金属材料は、繊維状の黒鉛系材料の配向
方向に基づいて熱伝導率が方向性を示し易くなり(すな
わち、異方性を示しやすくなり)、方向毎の熱伝導率に
差が現れ易くなる。例えば、この金属材料が円盤状や矩
形状等の板状に形成されており、そこに含まれる黒鉛系
材料が主として面方向に配向している場合、当該金属材
料の熱伝導率は、面方向の値が大きくなり、厚さ方向の
値が相対的に小さくなる。因みに、このような金属材料
において、熱伝導率の異方比は、通常、少なくとも1.
5、すなわち1.5以上の値になり得る。
【0019】なお、上述の「異方比」とは、本発明の金
属材料を製造するための後述する製造工程において作用
した重力方向または加圧工程を含む場合は加圧方向にお
ける熱伝導率と、当該重力方向または加圧方向と直交す
る方向における熱伝導率とを個別に測定し、大きい方の
値を小さい方の値で除して得た数値をいう。例えば、本
発明の金属材料が上述のような板状に形成されている場
合において、面方向の熱伝導率が大きく、厚さ方向の熱
伝導率がそれよりも小さいとすると、面方向の熱伝導率
を厚さ方向の熱伝導率で除した値が異方比になる。
【0020】本発明の金属材料において、黒鉛系材料が
占める割合(体積割合:Vf)は、通常、5〜50体積
%に設定するのが好ましく、20〜40体積%に設定す
るのがより好ましい。黒鉛系材料の割合が5体積%未満
の場合は、金属材料の熱膨張係数が大きくなり、例えば
当該金属材料を半導体素子の搭載用基板として用いた場
合に、当該基板と半導体素子との間で熱膨張係数差によ
る剥離が生じ易くなるおそれがある。逆に、50体積%
を超える場合は、上述の銅系材料との複合が困難にな
る。本発明の金属材料は、黒鉛系材料の割合を上述の範
囲で適宜設定すると、銅系材料が有する高い熱伝導率を
維持しつつ、熱膨張係数を所要の範囲(例えば、半導体
素子の熱膨張係数に近い範囲)に容易に設定することが
できる。
【0021】但し、本発明の金属材料の熱伝導率につい
て上述のような等方性を確保する場合、例えば上述の異
方比を1.0以上1.5未満の範囲内に設定する場合
は、黒鉛系材料として上述の短繊維状態のもの、好まし
くは上述のようなプリフォーム状のもの、より好ましく
は上述の特に好ましい形態の黒鉛系材料からなるプリフ
ォーム状のものを用い、しかも本発明の金属材料におい
てこのような黒鉛系材料が占める割合を20〜40体積
%に設定するのが好ましい。
【0022】次に、本発明の金属材料の製造方法を説明
する。ここでは、黒鉛系材料の形態毎に区別して、金属
材料の製造方法を説明する。黒鉛系材料が上述のプリフ
ォームの形態で含まれる金属材料を製造する場合は、先
ず、上述のプリフォームを製造する。プリフォームを製
造する場合は、例えば、短繊維状態の黒鉛系材料と結合
剤(バインダー)とを水中に投入して混合し、両者の混
合物のスラリーを調製する。ここで利用可能な結合剤
は、公知の各種の抄紙用バインダーであり、例えばフェ
ノール樹脂系、ポリアクリルアミド樹脂系、でんぷん系
若しくはセルロース系のバインダー等である。また、結
合剤の使用量は、通常、固形分換算で混合物の1〜10
重量%に設定するのが好ましく、3〜7重量%に設定す
るのがより好ましい。結合剤の使用量が1重量%未満の
場合は、所要のプリフォームが得られにくくなる。一
方、10重量%を超える場合は、金属材料の熱伝導率を
低下させるおそれがある。
【0023】次に、得られたスラリーを吸引湿式成形法
などの公知の湿式成形法に従って所望の形状に成形し、
さらに必要に応じてこの形成物を型内で加圧する。そし
て、この成形物を焼成すると、目的とするプリフォーム
が得られる。焼成時の温度は、金属材料を製造するため
に用いる銅系材料の融点以上に設定するのが好ましい。
当該温度が銅系材料の融点未満の場合は、金属材料中に
ボイドが発生するおそれがある。
【0024】なお、上述のプリフォームは、黒鉛系材料
の調製と並行して製造することもできる。この場合は、
短繊維状態の炭素繊維と上述の結合剤とを水中に投入し
て混合し、両者を含むスラリーを調製する。そして、得
られたスラリーを上述の方法と同様にして所望の形状に
成形する。次に、得られた成形物を、必要に応じて型内
で加圧し、例えば熱風下で乾燥した後、上述のホウ酸溶
液中に浸漬する。そして、ホウ酸溶液が付着した成形物
を上述の条件で熱処理すると、目的とする黒鉛系材料か
らなるプリフォームが得られる。
【0025】次に、得られたプリフォームに上述の銅系
材料を鋳込む。例えば、プリフォームを所定形状の型内
に配置し、当該型内に溶融した銅系材料を流し込んで冷
却する。銅系材料の流し込みは、必要に応じて加圧下で
実施されてもよい。これにより、銅系材料とプリフォー
ムとが一体化し、目的とする金属材料が得られる。プリ
フォームに対する銅系材料の鋳込み量は、製造後の金属
材料において黒鉛系材料の占める割合が上述のような体
積割合になり得る量に設定するのが好ましい。このよう
にして得られる金属材料は、そのまま用いられてもよい
し、加工が容易であるため所望の形状に加工して用いら
れてもよい。
【0026】因みに、このような製造方法によれば、通
常、熱伝導率が等方性を示す金属材料、特に熱伝導率の
異方比が上述の1.0以上1.5未満の範囲の金属材料
が得られる。
【0027】一方、黒鉛系材料がフエルト状態、織物状
態、編物状態または組紐状態などの形態で含まれる金属
材料を製造する場合は、先ず、フエルト状態、織物状
態、編物状態または組紐状態などの形態に設定された黒
鉛系材料を用意する。このような黒鉛系材料を製造する
場合は、先ず、炭素繊維をフエルト状態、織物状態、編
物状態または組紐状態などの形態に設定する。そして、
このような形態に設定された炭素繊維を上述のホウ酸溶
液に浸漬し、上述の条件で熱処理する。これにより、目
的とする形態の黒鉛系材料が得られる。この黒鉛系材料
に対し、上述の製造方法の場合と同様にして銅系材料を
鋳込むと、目的とする金属材料が得られる。このように
して得られる金属材料は、そのまま用いられてもよい
し、加工が容易であるため所望の形状に加工して用いら
れてもよい。
【0028】因みに、このような製造方法の場合、特
に、フエルト状態、織物状態、編物状態または組紐状態
などの形態に設定された黒鉛系材料において繊維状の黒
鉛系材料の配向方向に特徴を持たせた場合、熱伝導率の
異方比が大きな(例えば異方比が1.5以上の)金属材
料、特に、黒鉛系材料の配向方向の熱伝導率が他の方向
に比べて大きな金属材料が得られる。
【0029】本発明の金属材料は、銅系材料を用いてい
るため熱伝導率が高く、また、上述の黒鉛系材料を含ん
でいるため熱膨張係数が小さいので、そのような特性が
求められる各種の用途、例えば、半導体素子をはじめと
する各種の電子部品を搭載するための基板、パワーモジ
ュール用ベースプレート、ヒートシンク材および放熱板
等として用いられる。また、本発明の金属材料は、銅系
材料を用いているためハンダの付着性が良好であり、例
えば電子部品の搭載用基板として用いられる場合、電子
部品をハンダ付けにより安定に固定することができる。
さらに、本発明の金属材料は、軽量な黒鉛系材料を含む
結果、銅系材料そのものからなる成形体に比べて大幅に
軽量化することができる。
【0030】
【実施例】実施例1 ピッチ系炭素繊維(大阪ガスケミカル株式会社の商品名
“MGII2415”)100重量部に対し、市販試薬
のホウ酸の水溶液をホウ酸換算で5重量部添加し、11
0℃で撹拌しながら乾燥した。そして、乾燥後の炭素繊
維を2,300℃で1時間アルゴンガス雰囲気下で熱処
理したところ、表面に炭化ホウ素を有する黒鉛繊維が得
られた。この黒鉛繊維に対し、結合剤であるフェノール
樹脂(カネボウ株式会社の商品名“S899”)を7重
量部添加し、十分に混合した。これにより得られた混合
物を130℃のホットプレスにより成形し、直径70m
m、高さ50mmの円柱状の成形物(プリフォーム)を
得た。この際、目的とする金属材料を製造するための後
述する枠組み式ショッププレスの成形型の容積に対する
プリフォームの体積割合(Vf)が35%になるよう、
混合物の充填量を調整した。
【0031】続いて、得られたプリフォームを1,10
0℃で1時間アルゴンガス雰囲気下で熱処理した後、こ
のプリフォームに対し、枠組み式ショッププレス(大阪
ジャッキ株式会社の商品名“30KPB”)を用いて市
販の電解銅粉(銅純度=99.99%)を1,200℃の
アルゴンガス雰囲気下で溶融含浸し、黒鉛繊維、即ちプ
リフォームの体積割合が35%の円柱形状の金属材料を
得た。
【0032】実施例2 ピッチ系炭素繊維に対するホウ酸の添加量を7重量部に
変更した点を除き、実施例1と同様にして金属材料を得
た。
【0033】実施例3 ピッチ系炭素繊維に対するホウ酸の添加量を20重量部
に変更し、また、黒鉛繊維に対するフェノール樹脂の添
加量を10重量部に変更した点を除き、実施例1と同様
にして金属材料を得た。
【0034】比較例1 ホウ酸を添加して乾燥後の炭素繊維の熱処理温度を1,
800℃に変更した点を除き、実施例1と同様にして金
属材料を得た。
【0035】比較例2 実施例1で用いたピッチ系炭素繊維をそのままフェノー
ル樹脂と混合してプリフォームを製造し、このプリフォ
ームを用いて実施例1の場合と同様にして金属材料を得
た。
【0036】比較例3 電解銅粉に替えてチタンを1重量%含む銅を用いた点を
除き、比較例2の場合と同様にして金属材料を得た。
【0037】評価 各実施例および各比較例で得られた金属材料を高さ方向
に直角に切り出して試料片を得、この試料片の熱伝導率
および熱膨張係数を調べた。なお、熱伝導率は、熱伝導
率測定計(アルバック株式会社の商品名“TC−700
0”)を用い、室温で測定した。一方、熱膨張係数は、
熱膨張計(セイコー電子株式会社の商品名”TMA3
0”)を用い、室温から300℃の範囲の熱膨張係数を
測定した。因みに、電界銅粉のみを用いて製造した成形
体は、熱伝導率が391W/mKであり、熱膨張係数が
20×10-6/℃である。
【0038】
【表1】
【0039】
【発明の効果】本発明の金属材料は、銅系材料からなる
マトリックスと、このマトリックス内に含まれる黒鉛系
材料とを備え、黒鉛系材料が表面にホウ素元素を有して
いるので、熱伝導率が高く、熱膨張係数が半導体素子と
同等程度に小さい。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅系材料からなるマトリックスと、 前記マトリックス内に含まれる黒鉛系材料とを備え、 前記黒鉛系材料は、表面にホウ素元素を有する黒鉛から
    なる、金属材料。
  2. 【請求項2】前記黒鉛系材料は、表面に炭化ホウ素を有
    する黒鉛である、請求項1に記載の金属材料。
  3. 【請求項3】前記黒鉛系材料は、表面にホウ酸溶液を配
    置した炭素材料を2,000〜2,800℃で熱処理し
    たものである、請求項1に記載の金属材料。
  4. 【請求項4】前記黒鉛系材料は、粒子状および繊維状の
    うちの少なくとも一つである、請求項1、2または3に
    記載の金属材料。
  5. 【請求項5】熱伝導率の異方比が1.0以上1.5未満
    である、請求項1、2、3または4に記載の金属材料。
  6. 【請求項6】熱伝導率の異方比が少なくとも1.5であ
    る、請求項1、2、3または4に記載の金属材料。
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