JP2003238555A - 細胞死抑制剤 - Google Patents

細胞死抑制剤

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JP2003238555A
JP2003238555A JP2002043251A JP2002043251A JP2003238555A JP 2003238555 A JP2003238555 A JP 2003238555A JP 2002043251 A JP2002043251 A JP 2002043251A JP 2002043251 A JP2002043251 A JP 2002043251A JP 2003238555 A JP2003238555 A JP 2003238555A
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cell death
compound
disease
death inhibitor
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Application number
JP2002043251A
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Inventor
Takuro Shimatani
卓朗 嶋谷
Kazuo Kumagai
和夫 熊谷
Yoshio Hosoya
宜生 細谷
Yasuhiro Natsume
康弘 夏目
Takeo Ishiyama
健夫 石山
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Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Pharmaceuticals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 神経変性疾患などの治療剤として有用な細胞
死抑制剤を提供する。 【解決手段】 式(1)もしくは(2)で表される化合
物またはそれらの塩を含有する細胞死抑制剤: 【化1】 (Rは水素原子又はアルカノイル基を表わす。) 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、細胞死抑制活性を
有し、神経変性疾患、虚血障害、炎症性疾患から選択さ
れる少なくとも1つの疾病に対する予防もしくは治療剤
として有用な医薬に関する。
【0002】
【従来技術】細胞死には、外傷などの物理的な要因によ
る壊死性細胞死と、発生過程や生殖器官系、免疫系など
で観察される制御されたアポトーシス性細胞死の2種が
あり、いずれの細胞死も神経変性疾患、虚血障害、炎症
性疾患など様々な疾患と深く関わっている。細胞死抑制
を示す化合物の発明としては、特開平7−206700
にぺプチドが、特開平10−87485にクロモン誘導
体が、特開平11−279066にリチウム塩が、特開
2000−63287に1,4−ベンゾチアゼピン誘導
体などが、神経細胞死抑制剤もしくは神経細胞保護剤と
して記載されている。また、特開2000−11918
4にプロスタン酸誘導体が血管周皮細胞保護剤として記
載されているが、医薬として実用化されているものはな
い。更に、特開平7−188232にフリーラジカルに
よる細胞障害を抑制するプテリン誘導体が細胞障害抑制
剤として記載されているが、細胞障害を抑制するには高
濃度を要する。
【0003】
【発明が解決すべき課題】このような状況において、新
たな低分子細胞死抑制剤の開発が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
背景のもと、神経細胞の細胞死を抑制する非ペプチド性
の低分子化合物を探索した結果、式(1)
【化5】 (式中、Rは水素原子又はアルカノイル基を表わす。)
もしくは式(2)
【化6】 で表される化合物またはそれらの塩が神経細胞の細胞死
を抑制することを見いだし、さらに研究を重ねて本発明
を完成するに至った。
【0005】前記式(1)のうちRが水素原子又はアセ
チル基である化合物はCanad. J. Chem. 44, 2873-2879,
1966に、式(2)で表される化合物は特開平2−05
6423号公報に記載された公知化合物である。式
(2)で表される化合物は、天然からはこれまでに単離
されてない。
【0006】式(1)においてRが水素原子である化合
物および式(2)の化合物は、本発明者らが奈良県内土
壌より分離したカビSPF−25411株を培養するこ
とにより、効果的に得ることができる。SPF−254
11株は次のような菌学的性質を有する。
【0007】麦芽エキス寒天培地上で、コロニーの生育
は早く、25℃、10日で直径6.5cm、盛り上がり
は少なく、ビロード状を呈する。コロニー表面の色は中
央が薄い赤色、周縁に向かってクリーム色、薄い黄色と
なり、コロニー裏面の色は黄土色である。子嚢果の形成
が認められるが、可溶性色素の産生および分生子果の形
成は認められない。ツアペック寒天培地上では、コロニ
ーの生育はやや早く、25℃、10日で直径4.5c
m、盛り上がりは少なく、綿毛状を呈する。コロニー表
面の色は白、コロニー裏面の色も白である。可溶性色素
の産生、分生子果の形成および子嚢果の形成は認められ
ない。コーンミール寒天培地上では、コロニーの生育は
比較的早く、25℃、10日で直径5.7cm、盛り上が
りは少なく、ビロード状を呈する。コロニーの表面はほ
ぼ無色で、コロニー裏面もほぼ無色である。子嚢果とと
もに分生子果の形成が認められるが、可溶性色素の産生
は認められない。オートミール寒天培地(日本製薬社製
放線菌培地No.3「ダイゴ」)上では、コロニーの生育は
比較的早く、25℃、10日で直径5.3cm、盛り上
がりは少なく、ビロード状を呈する。コロニー表面は周
縁部が薄黄色で中央部にいくにつれ赤色を帯び、コロニ
ー裏面も同様の色調を呈する。子嚢果の形成が認めら
れ、わずかに分生子果の形成も認められるが、可溶性色
素の産生は認められない。オートミール寒天培地(日本
製薬製放線菌培地No.3「ダイゴ」)上で37℃、10日
間培養した時の形態は次の通りである。分生子柄は平
滑、長さ10〜30μmであり、分生子柄の先端に3〜
5個のフィアライドを単輪生する。フィアライドは長さ
5.0〜8.0μmであり、その先端から分生子が5〜
30個の連鎖を形成する。分生子は楕円形で、短径1.
5〜2.0μm、長径2.0〜2.5μm、表面はしわ
状である。テレオモルフとして、直径80〜120μm
の、膜で覆われた閉子嚢殻を生じる。子嚢中に含まれる
子嚢胞子は8胞子性で、子嚢胞子の形は多数の突起をも
つ円盤状で、赤道面は不明瞭である。直径2.5〜3.
0μm、厚みは2.0〜2.5μmである。
【0008】以上の菌学的性質より、本菌株は子嚢菌亜
門の不整子嚢菌綱に分類され、ユーペニシリウム属に属
する菌株であると同定し、ユーペニシリウム・エスピー
Eupenicillium sp.)SPF−25411と命名し、
独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター
に寄託した(受託番号FERM P−18646)。
【0009】上記カビの培養に使用される培地は液状で
も固体でもよいが、固体培地による静置培養が好適であ
る。使用する培地は、特に限定されるものではないが、
固形物として、例えば小麦ふすま,米,寒天,ゼラチン
などが用いられる。これらの固形物は単独で用いてもよ
いが、以下に述べる栄養源を添加してもよい。すなわ
ち、炭素源としては例えばグルコース、ショ糖、グリセ
リン、デンプン、デキストリン、糖蜜等が用いられ、ま
た窒素源としては、例えばペプトン、カザミノ酸等の蛋
白質加水分解物、肉エキス、酵母エキス、大豆粉、綿実
粉、コーンスティープリカー、アミノ酸類等の有機窒素
源や、アンモニウム塩や硝酸塩等の無機窒素源が用いら
れる。その他、浸透圧調整、pH調整、微量成分の補給
等のために、各種リン酸塩、硫酸マグネシウム、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム等の無機塩類
を添加することも可能である。さらに菌の生育を促進す
る目的で、各種ビタミン類、核酸関連化合物等を添加し
てもよい。液体培養の場合は上記のような成分を含む液
体培地が用いられる。培養は静置培養、振とう培養、通
気攪拌培養のいずれも可能である。なお、液体培養の場
合には培養期間中に、シリコン油、ポリプロピレングリ
コール誘導体、大豆油等の消泡剤を添加することも可能
である。
【0010】培養温度としては、好ましくは20〜35
℃の範囲、さらに好ましくは25〜30℃の範囲の温度
が挙げられる。培養期間としては例えば、7〜14日間
の範囲が挙げられる。培地のpHとして例えば、中性付
近の範囲が挙げられる。培養物から式(1)[ただし、
Rは水素原子]または式(2)で表される化合物を単離
するには、微生物の生産する二次代謝物の培養物から、
通常使用される単離手段が使用できる。固体培養物から
目的物を単離する場合は、メタノールやアセトン等の水
溶性有機溶媒を用いて、菌体と固形物が混合した状態で
抽出することができる。液体培養の場合は、好ましくは
濾過もしくは遠心分離等により菌体画分と上清画分とを
分離後、菌体画分はアセトン等の水溶性有機溶媒を用い
て直接抽出することができる。上清画分は、1−ブタノ
ールや酢酸エチル等の水と非混和の有機溶剤媒を用いて
抽出することができる。また、活性炭や吸着性の樹脂に
吸着させ、これをメタノールやアセトン等の有機溶媒を
用いて溶出させることで目的物を回収することができ
る。これら抽出液あるいは溶出液からは、例えば溶媒抽
出法、イオン交換樹脂法または吸着もしくは分配クロマ
トグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィー等の方
法で精製し目的物を得ることができる。これらの単離法
は単独または組み合わせて行うことができる。また高速
液体クロマトグラフィー(HPLC)や薄層クロマトグ
ラフィーなどによっても単離精製できる。
【0011】式(1)においてRが水素原子である化合
物からRがアルカノイル基である化合物を得るには、R
が水素原子である化合物を対応するアシル化剤と接触さ
せることによって行われる。
【0012】アルカノイル基としては、例えばホルミ
ル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリ
ル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイ
ル等の炭素原子数1〜6個の分枝状又は直鎖状アルカノ
イル基等が挙げられ、より好ましくは炭素原子数1〜4
のアルカノイル基が、特に好ましくはアセチル基が挙げ
られる。使用されるアシル化剤としては、例えばアセチ
ルクロリド、n−プロピオニルクロリドなど酸ハロゲン
化物、無水酢酸、無水プロピオン酸などの酸無水物など
が好適に使用される。反応は塩基の存在化で行なわれ
る。使用される塩基としては、例えばピリジン、モルホ
リン、ピペリジン、ピロリジンなどのアミン類、酢酸ナ
トリウム、酢酸カリウムなどの有機酸アルカリ金属塩、
炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属炭酸
塩が好適である。反応は溶剤の存在下で好適に行なわれ
る。使用される溶剤としては、例えばベンゼン、トルエ
ンのような芳香族炭化水素類、エチルエ−テル、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサンのようなエ−テル類、メチレ
ンクロリド、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素
類を挙げることが出来る。または前述した塩基のうち、
ピリジンのようなアミン類を溶剤を兼ねて過剰に使用し
てもよい。反応温度は0℃から100℃の範囲で、好ま
しくは0℃から40℃の範囲で行うことができる。反応
時間は反応条件によって異なるが通常は数時間ないし2
4時間である。
【0013】細胞死の測定法としては、例えば海馬ある
いは大脳皮質神経細胞初代培養系へのFe2+の添加で
誘導される細胞死の実験系を用いることができる。すな
わち、Fe2+添加によりFenton反応がおこり、
過酸化水素(H)からヒドロキシラジカル(・O
H)が生じる。これが酸化ストレスとなって、細胞死を
誘導する(Mattoson M. P.ら: J. Neurosci. Res. 49,
681-697, 1977、Yu ZFら: Exp. Neurol. 155, 302-314,
1999)。
【0014】ヒドロキシラジカル(・OH)のような活
性酸素は、老化、アポトーシス、シグナル伝達機構にも
レドックス制御(酸化還元制御)を介して関わっている
ことが知られており、神経変性疾患、虚血障害,各種炎
症性疾患,動脈硬化などの主要な要因の一つである(谷
口直之ら:細胞工学 Vol.15,No.10,1996)。よって、本
発明の化合物は、例えばアルツハイマー病、トリプレッ
トリピート病、パーキンソン病、Creutzfeldt-Jakob
病、筋萎縮性側索硬化症、網膜変性疾患(例えば網膜色
素変性症、加齢黄斑変性症など)などの神経変性疾患、
例えば脳卒中、脳出血、脳梗塞などの虚血障害疾患、例
えば脳挫傷、頭部外傷、脊椎損傷などの外傷性脳疾患、
例えば肝炎などの炎症性疾患に対する有効な予防または
治療剤として有用である。
【0015】本発明医薬は、経口的または非経口的に投
与することができる。すなわち通常用いられる投与形
態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁
液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、
例えば、その溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを
注射の型で非経口投与することができる。スプレー剤の
型で鼻孔内投与することもできる。前記の適当な投与剤
型は、例えば、許容される通常の担体、賦型剤、結合
剤、安定剤、希釈剤等に有効成分を配合することにより
製造することができる。また、薬学的に許容される緩衝
剤、溶解補助剤、等張剤等を添加することもできる。投
与量および投与回数は、投与法と患者の年齢、体重、病
状等によって異なるが、経口投与の場合は、通常、成人
の一日当たり投与量は0.1〜1000mg、好ましく
は1〜500mgの範囲で選択すればよい。
【0016】
【実施例】実施例により本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例1 式(1)においてRが水素原子である化合物および式
(2)で表される化合物の取得 グルコース1%、ショ糖2.5%、ファーマメディア1
%、硝酸ナトリウム0.05%、L−ヒスチジン0.1
%、リン酸2カリウム0.05%、塩化カリウム0.0
7%および硫酸マグネシウム7水和物0.0014%を
含み、pH7.0に調整した培地7mlずつを大型試験
管100本に分注しオートクレーブで滅菌した。これに
斜面培養したユーペニシリウム・エスピーSPF−25
411株(独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄
託センター受託番号FERM P−18646)を1白
金耳ずつ接種し、27℃、230rpmにて1日間振盪
培養して前培養液とした。50mL容量遠心チューブ
(住友ベークライト社製)100本に小麦ふすまを3.
5gずつ分注し、通気性キャップで蓋をして、オートク
レーブで滅菌した後、上記の前培養液を7mlずつ注い
だ。滅菌した竹ひごで混合して薄く広げた後、27℃に
て12日間静置培養した。
【0017】培養終了後、各チューブ内に20mLのア
セトンを加え、薬さじでほぐし、30分間振とう抽出
後、3000rpmで10分間遠心分離して上清液と沈
殿物に分離した。上清液を集め、減圧濃縮後、水溶液と
なったところで蒸留水1.5Lと1−ブタノール2Lを
加え、振とう抽出した。1−ブタノール層を回収し、減
圧濃縮後、200mLのメタノールに懸濁し、3000
rpmで10分間遠心分離して可溶性画分と不溶性画分
に分けた。不溶性画分300mgをクロロホルム10m
Lに溶解して、シリカゲル(メルク社製キーゼルゲル6
0、70〜230メッシュ、2.4φ×10cm)を用
いるカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム
70mL、クロロホルムとメタノールの99:1混合液
50mL、クロロホルムとメタノールの98:2混合液
50mL、クロロホルムとメタノールの95:5混合液
50mL、クロロホルムとメタノールの90:10混合
液50mL、クロロホルムとメタノールの80:20混
合液50mL、クロロホルムとメタノールの70:30
混合液50mL、クロロホルムとメタノールと酢酸の7
0:30:1混合液100mLを用いて順次溶出した。
クロロホルムとメタノールと酢酸の70:30:1混合
液による溶出画分を減圧濃縮し、粗精製物90mgを得
た。これをジメチルスルホキシド3mLに溶解し、60
0μLずつ逆相HPLCに付した。逆相HPLCの条件
は、カラム:WakopakTM WakosilTM
−II5C18RS(20φ×50mmと20φ×250
mmを連結、和光純薬工業製)、溶出液A:1%蟻酸水
溶液、溶出液B:メタノール、グラジエント:B液割合
50%から90%へ60分間の直線的グラジエントの後
77分まで90%で一定に保つ、流速:5mL/分、検
出:260nmにおける吸光度、とした。保持時間70
分から77分の溶出画分を集め、減圧下に溶媒を留去す
ることによって、化合物SPF−25411−1(1
3.3mg)を得た。
【0018】一方、可溶性画分は減圧濃縮し、茶褐色の
粉末1.07gを得た。これをクロロホルム50mLに
溶解して、シリカゲル(メルク社製キーゼルゲル60、
70〜230メッシュ、6.0φ×22cm)を用いる
カラムクロマトグラフィーに付し、クロロホルム500
mL、クロロホルムとメタノールの99:1混合液50
0mL、クロロホルムとメタノールの98:2混合液5
00mL、クロロホルムとメタノールの95:5混合液
500mL、クロロホルムとメタノールの90:10混
合液500mL、クロロホルムとメタノールの80:2
0混合液500mL、クロロホルムとメタノールの7
0:30混合液500mL、クロロホルムとメタノール
と酢酸の70:30:1混合液500mLを用いて順次
溶出した。クロロホルムとメタノールの70:30混合
液による溶出画分とクロロホルムとメタノールと酢酸の
70:30:1混合液による溶出画分を減圧留去し、粗
精製物550mgを得た。これをメタノール60mLに
溶解した。不溶物を遠心分離で除き、可溶物のみをSe
phadexTM LH−20(アマシャムファルマシ
アバイオテク社)(2.8φ×47cm)を用いるカラ
ムクロマトグラフィーに付し、メタノールで溶出した。
活性画分を集め、溶媒を減圧留去し赤褐色の粗精製物1
10mgを得た。これをジメチルスルホキシドとメタノ
ールの等量混合液1mLに溶解し、逆相HPLCに付し
た。逆相HPLCの条件は、カラム:Wakopak
TM WakosilTM−II5C18RS(20φ×
50mmと20φ×250mmを連結、和光純薬工業
製)、溶出液A:1%蟻酸水溶液、溶出液B:メタノー
ル、グラジエント:B液割合40%から55%へ75分
間の直線的グラジエント、流速:5mL/分、検出:2
60nmにおける吸光度、とした。保持時間54分から
62分の溶出画分を集め、減圧下に溶媒を留去すること
によって赤褐色の粗精製物を15.9mg得た。次に、
これをクロロホルムとメタノールの等量混合液1mLに
溶解し、逆相HPLCに付した。逆相HPLCの条件
は、カラム:LiChroprepTM Si60(4
0−63μm、カラムサイズC(440−37)メルク社
製)、溶出液:クロロホルムとメタノールと酢酸の10
0:10:1混合液、流速:5mL/分、検出:260
nmにおける吸光度、とした。保持時間89分の溶出画
分を減圧留去して10.0mgの粗精製物を得た。これ
をジメチルスルホキシドとメタノールの等量混合液1m
Lに溶解し、逆相HPLCに付した。逆相HPLCの条
件は、カラム:Wakopak TM Wakosil
TM−II5C18RS(20φ×50mmと20φ×2
50mmを連結、和光純薬工業製)、溶出液A:1%蟻
酸水溶液、溶出液B:メタノール、グラジエント:B液
割合40%から55%へ75分間の直線的グラジエン
ト、流速:5mL/分、検出:260nmにおける吸光
度、とした。保持時間57分の溶出画分を集め、減圧留
去することによって、化合物SPF−25411−2
(9.1mg)を得た。
【0019】上記で得られた化合物SPF−25411
−1の物理化学的性状は、下記の式で示されるviopurpu
rin〔Canad. J. Chem. 44, 2873-2879, 1966〕と同一で
あった。
【化7】
【0020】一方、化合物SPF−25411−2の物
理化学的性状は以下のようであった。
【表1】 ――――――――――――――――――――――――――――――――――― 性状:赤色粉末 高分解能高速電子衝撃質量スペクトル(HRFAB−MS)m/z(M-): 実測値:544.1169 計算値:544.1118 分子式:C282010 紫外可視吸収スペクトルλmax(メタノール中)nm(ε): 217(19700)、237(12700)、277(15200)、403(4100)、479sh(2100) 赤外吸収スペクトルνmax(KBr)cm−1: 3422、1715、1597、1470、1427 H−NMR(DMSO−d)δppm: 1.38(6H,d,5.7)、2.96(2H,m)、3.16(2H,m)、4.63(2H,m)、 7.42(2H,brs)、7.44(2H,s)、7.63(2H,brs)、14.66(1H,brs)、 14.67(1H,brs) 13C−NMR(DMSO−d)δppm: 20.16(2C)、35.19、35.21、73.71、73.78、104.19、104.21、114.53、 114.55、115.55、115.59、118.13、118.19、133.28、133.31、147.37、 147.40、149.04、149.08、160.20、160.29、162.07、162.09、180.72、 180.77、185.93(2C) ――――――――――――――――――――――――――――――――――― これらから化合物SPF−25411−2の構造式を
【化8】 と決定した。
【0021】実施例2 SPF−25411−1のトリアセチル誘導体の製造 SPF−25411−1(5mg)をピリジン1mlに
溶解し、無水酢酸0.5mlを加えて室温で6時間攪拌
した。反応終了後、氷冷下にて水10mlを添加し、室
温にて10分間攪拌した。これに酢酸エチル10mlを添
加して抽出し、飽和食塩水10mlで洗浄した。有機層
を硫酸ナトリウムにて乾燥後、濾過し、濾液を減圧濃縮
した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(メ
ルク社製キーゼルゲル60、70〜230メッシュ、
1.0φ×10cm)に付しクロロホルムとメタノール
の19:1混合液で溶出して、SPF−25411−1
のトリアセチル誘導体を5mg得た。得られたSPF−
25411−1のトリアセチル誘導体の物理化学的性状
は、下記の式で示されるviopurpurinトリアセチル体〔C
anad. J. Chem. 44, 2873-2879, 1966〕と同一であっ
た。
【化9】
【0022】実施例3 大脳皮質神経細胞を用いた細胞死抑制作用の測定 ハンク平衡塩緩衝液500mL(HBSS(−)、ギブ
コ社製)にヘペス緩衝液(HEPES、ギブコ社製)を
10mM、ピルビン酸ナトリウム(ギブコ社製)を1m
M、グルコース/ダルベッコリン酸塩緩衝液(D−PB
S,ギブコ社製)を0.5%となるように加えて調製さ
れたcHBSSに、パパイン(シグマ社製)を0.3m
g/mlの濃度となるように溶解し、37℃に温めフィ
ルター滅菌し、細胞分散用パパイン溶液とした。妊娠S
Dラット(チャールズリバー社製)をエーテル麻酔後、
断頭し、胎児(17日齢)10匹を摘出した。胎児の頭
部をシャーレに移し、cHBSS中で解剖し、大脳皮質
を取り出した。大脳皮質片に上記のように調製したパパ
イン溶液を5mL加え、37℃で10分間インキュベー
トした。上澄のパパイン溶液を除去後、10%牛胎児血
清を添加したNGPS−glu−BSA培地を5mL与
えることにより残存するパパインを失活させた。NGP
S−glu−BSA培地とは、ニューロベーサル培地
(ギブコ社製、カタログ番号21103−049) 5
00mL、200mM L−グルタミン(ギブコ社製)
1.25mL、25mM L−グルタミン酸/D−P
BS 500μL、10%ウシ血清アルブミン(BS
A、ナカライテスク社製)/D−PBS 5mL、10
0xペニシリン/ストレプトマイシン(ギブコ社製)5
mLを混合して調製した培地である。上澄を除去し、c
HBSS 5mlにて3回大脳皮質片を洗浄した後、c
HBSS 2mL中にて穏やかなピペッティングを10
回繰り返すことにより細胞を分散させた。ポアサイズ7
0μmのセルストレナーに分散細胞を通し、さらに6m
LのcHBSSを通して細胞を集めた後、800〜10
00rpmにて2分遠心した。上澄をデカントにて捨
て、1.5mLのcHBSSを与えてピペッティングを
おこない、細胞を再分散した。トリパンブルー染色によ
り、細胞生存率が95%以上であることを確認後、この
細胞分散液をNGPS−glu−BSA培地で1x10
細胞/mLとなるように希釈し、ポリリジンコート9
6穴プレート(住友ベークライト社製)に80μLずつ
播きこみ、37℃,5%CO2濃度で3日間培養した
後、NGPS−glu−BSA培地に溶解希釈したサン
プルを10μL添加した。直後に10mM FeSO
/超純水を10μL添加し、更に37℃,5%CO
度で培養した。24時間後にAlamarBlueTM(岩城硝子社
製)を1穴あたり10μL添加した。37℃で3〜4時
間保持後、励起波長530nm,検出波長590nmに
おける蛍光強度を測定し、細胞生存率を求めた。化合物
SPF−25411−1およびSPF−25411−2
の、初代培養大脳皮質神経細胞に対する細胞死抑制率は
次のとおりであった。SPF−25411−1は0.0
1〜0.1μg/mLにおいて、SPF−25411−
2は0.01μg/mLにおいて、細胞死抑制効果が認
められた。
【表2】 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 化合物 濃度(μg/mL) 抑制率(%) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― SPF−25411−1 0.1 80.6 0.01 27.4 SPF−25411−2 0.01 54.1 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 17/02 A61P 17/02 25/00 25/00 25/16 25/16 25/28 25/28 29/00 29/00 31/18 31/18 43/00 105 43/00 105 C07D 493/14 C07D 493/14 C12N 1/14 C12N 1/14 A C12P 17/18 C12P 17/18 D //(C12N 1/14 C12R 1:645 C12R 1:645) (C12P 17/18 C12R 1:645) (72)発明者 細谷 宜生 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内 (72)発明者 夏目 康弘 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友製 薬株式会社内 (72)発明者 石山 健夫 大阪市此花区春日出中3丁目1番98号 住 友製薬株式会社内 Fターム(参考) 4B064 AE59 CA05 CD02 CD09 CD13 CE08 CE10 DA01 4B065 AA58X BA22 BB02 BB15 BB16 BD14 BD16 CA18 CA44 4C062 HH01 4C071 AA01 AA08 BB02 BB08 CC13 EE05 FF17 GG01 HH05 HH08 HH09 LL01 4C086 AA02 AA03 BA08 CA01 MA01 MA04 NA14 ZA01 ZA16 ZA36 ZA53 ZA54 ZA75 ZA89 ZB11 ZB21 ZC55

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 (式中、Rは水素原子又はアルカノイル基を表わす。)
    もしくは式(2) 【化2】 で表される化合物またはそれらの塩を含有する細胞死抑
    制剤。
  2. 【請求項2】 細胞が神経細胞である請求項1記載の細
    胞死抑制剤。
  3. 【請求項3】 神経変性疾患、虚血障害、炎症性疾患か
    ら選択される少なくとも1つの疾病に対する予防もしく
    は治療剤である請求項1または2記載の細胞死抑制剤。
  4. 【請求項4】 アルツハイマー病、トリプレットリピー
    ト病、パーキンソン病、Creutzfeldt-Jakob 病、エイズ
    痴呆症候群、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、加
    齢黄斑変性症、脳卒中、脳出血、脳梗塞、脳挫傷、頭部
    外傷、脊椎損傷または肝炎の予防もしくは治療剤である
    請求項1または2記載の細胞死抑制剤。
  5. 【請求項5】 ユーペニシリウム属に属し式(1a) 【化3】 または式(2) 【化4】 で表される化合物生産菌を培養して、その培養物から式
    (1a)または式(2)で表される化合物を採取するこ
    とを特徴とする式(1a)または式(2)で表される化
    合物の製造方法。
  6. 【請求項6】 ユーペニシリウム属に属し式(1a)ま
    たは式(2)で表される化合物の生産菌がユーペニシリ
    ウム・エスピー(Eupenicillium sp.)SPF−254
    11株である請求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 ユーペニシリウム・エスピー(Eupenici
    llium sp.)SPF−25411株。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010514838A (ja) * 2007-01-03 2010-05-06 コルテックス・ファーマシューティカルズ・インコーポレーテッド グルタミン酸作動性シナプス応答を増強する3−置換−[1,2,3]−ベンゾトリアジノン化合物

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