JP2003238279A - 有機質物の環境保全型高速コンポスト製造施設 - Google Patents

有機質物の環境保全型高速コンポスト製造施設

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JP2003238279A
JP2003238279A JP2002037512A JP2002037512A JP2003238279A JP 2003238279 A JP2003238279 A JP 2003238279A JP 2002037512 A JP2002037512 A JP 2002037512A JP 2002037512 A JP2002037512 A JP 2002037512A JP 2003238279 A JP2003238279 A JP 2003238279A
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fermentation
organic matter
organic
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清 北川
Fumio Yamauchi
文男 山内
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】多様で複雑な成分を含む有機質物原料の発する
悪臭を防止・抑制しながら短期間に効率良く有機質物を
コンポストに製造する環境保全型高速コンポストの製造
施設を提供する。 【解決手段】原料受入れ装置1と発酵分解処理装置4と
の中間部に、有機質物の発酵分解促進資材を貯蔵し調整
供給する酵素分解促進資材準備装置2と、有機質物原料
に有機質物の発酵分解促進資材と必要に応じて調整補助
資材を加えて混合して複合有機質物になすとともに、当
該複合有機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理して、
発酵分解し易い半分解処理状態となす酵素分解処理装置
3とを配設したことを特徴とする有機質物の環境保全型
高速コンポスト製造施設である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農業から排出される植
物残渣や水産業から排出される魚介類残渣、畜産業から
排出される家畜排泄物、食品工場や飲食業や家庭等から
排出される食品残渣や生ごみ、屠殺場等から排出する畜
産性残渣、下水道終末処理場から排出される汚泥などの
多様で複雑な成分を含む有機質物原料の発する悪臭を防
止・抑制しながら迅速に分解させる発酵分解促進資材、
または植物性有機質物、動物性有機質物(魚介類有機質
物を含む。)など処理対象となる有機性素材の種類別に
その発酵分解活性を高めるようにした適合型発酵分解促
進資材を用いて、酵素分解処理をし、その後微生物によ
る発酵分解処理して、臭気を可及的に抑制しながら短期
間に効率良く有機質物をコンポストに製造する有機質物
の環境保全型高速コンポストの製造施設である。
【0002】
【従来の技術】近年多方面においてこれまで廃棄物とさ
れてきた有機質物を微生物の発酵処理によって無害化し
たり、農地や土壌へ有機肥料として利用するために堆肥
化したり、家畜の餌として飼料化するなど、再利用する
技術の開発が盛んに行われるようになった。しかし、こ
れまでの堆肥化技術は、有機質物を急速に発酵分解する
ための微生物や菌類を開発したり、対象有機質物の分解
に適合した微生物や菌類の組み合わせを開発したり、発
酵作用を促進させるための温度や空気などの発酵条件を
調整できる発酵施設を開発するなどが研究目標の主流で
あった。
【0003】しかるに、このように成分が多様で複雑な
有機質物を菌類などの微生物の活動によってのみ発酵処
理する方式には、完熟するまでに一定以上の時間がかか
るうえ、発酵過程で悪臭が発生することが避けられず、
近隣社会から環境問題としてクレームが起ることがしば
しばであった。
【0004】また、有機質物を微生物により発酵処理す
る際に起こる環境問題に関する技術的課題の第1は、発
酵処理に要する期間が長すぎることである。有機質物を
菌類などの微生物の分解活動によって発酵処理しようと
すると、人間は強力な菌類を加えるか、それらの微生物
が活動し易い環境条件を整備するしかできず、所定の時
間でどの程度まで発酵分解するかは微生物の働き次第で
ある。したがって、有機質物原料と発酵菌類を発酵槽内
に入れて、空気と温度条件を最善と思えるものに整えて
も一次発酵に10日〜12日間、2次発酵に7日〜14
日間ほどかかるのが一般的である。即ち有機質物原料を
分解処理して熟成有機肥料にするには、急いでも20日
〜25日程かかるのが普通である。そこで、どのように
すればそれより短期間に有機質物を発酵処理することが
できるかが各方面の研究目標にされているのである。
【0005】また前記技術的課題の第2は、微生物によ
る発酵方式を採用した場合に、その発酵が嫌気性発酵で
あれば、強い悪臭が発生するし、発酵が好気性発酵の場
合でも発酵開始から完全な好気性発酵に移行するまでの
間は、悪臭の発生を防ぐことができない。このため、ど
のようにすれば有機質物原料の分解処理過程において発
生する悪臭を回収し、脱臭又は消臭するかが、環境保全
の立場から重要な技術的課題となっている。
【0006】そこで本発明者らは、多様で複雑な有機質
物の分解処理を微生物による発酵処理にだけまかせるの
ではなく、酵素による分解処理と併用することにより、
今まで以上に短期間に効率良くすることと、当該分解処
理過程における悪臭を可及的に抑えることの二大目標を
同時に実現できないかとの発想と方針のもとで鋭意研究
に努めることにした。
【0007】第1目標である短期間分解処理の方式は、
酵素分解処理と微生物による発酵処理を組合せて両者の
相乗効果により、有機質物の短期間分解を実現する技術
を確立することとした。
【0008】第2目標である悪臭防止・抑制の方式は、
悪臭が発生した後で当該悪臭を回収し脱臭又は消臭する
方法ではなく、悪臭の主成分を研究し、前処理をするこ
とにより当該主成分を中和、吸着、溶解するなどして、
悪臭が可及的に発生しない方法を開発することとした。
【0009】上記発想に関して先行技術の調査をしたと
ころ、農産廃棄物や生ごみの分解性向上のため、または
発酵性促進のために酵素を用いる発想をした発明が特許
2655960号、特許2920259号として存在す
ることを確認した。
【0010】前者の特許2655960号は、繊維性固
形有機廃棄物の集塊に、水存在下でセルラーゼとへミセ
ルラーゼの混合物である繊維分解酵素を混合し、加水分
解しておき、その後に好気発酵を行うようにしたことを
特徴とする繊維性固形有機廃棄物のコンポスト化方法で
ある。当該先行発明の本旨は、繊維性固形有機廃棄物に
ついて前処理として繊維分解酵素により加水分解した
後、好気発酵を行うようにした点にある。しかし、コン
ポストの原料となる生ごみ、糞尿、汚泥、畜産性残渣、
植物性残渣などの有機性廃棄物は、繊維性固形有機物だ
けでなく、澱粉、蛋白質、脂肪など複雑で多様な成分が
混在していることが普通であり、それが特徴である。そ
のような一般廃棄物から繊維性固形有機物だけを成分別
に仕分けることは、事実上ほとんど不可能に近い。その
ため、先行技術のように繊維分解酵素をいれただけで
は、多様な成分の有機性廃棄物や有機質物を効率的に分
解させることは出来ないし、必ずしも発酵促進させるこ
とができない。
【0011】また、後者の特許2920259号は、嫌
気性菌、好気性菌、活性根粒菌が混合されている未熟堆
肥に有機繊維質を主体とする混入物を混合し、少量の発
酵酵素を加えて、30〜70℃で発酵させた後、乾燥させ
て堆肥素材発酵促進料とする発明である。当該技術は、
各種の微生物を含んだ未熟堆肥と有機繊維質を主体とす
る混入物を混合し、少量の発酵酵素を加えて発酵させ完
熟有機肥料にしたことと、それを乾燥させた点に特徴が
ある。当該発明には、堆肥素材発酵促進料を作製する際
に発酵酵素を加えて発酵するが、発酵が始まり温度が上
昇すれば酵素はすぐ失効してしまうので、その作用は当
初発酵するまでの間で実質的にはほとんど効果が期待で
きない。しかもこの技術は、完熟有機肥料を発酵種材と
したもので、昔から堆肥製造法として、出来あがってい
る完熟堆肥を戻し堆肥として堆肥要素材に加えて発酵を
促進するのと同じ発想である。その特徴は、有用微生物
の確保された完熟有機肥料を用いることにより、堆肥素
材に有用微生物を積極的に持ち込む効果、硫化水素や地
中有毒ガスの発生を防止する効果、リン酸の固定化防止
効果、窒素の固定菌増殖効果を発揮させる点にある。更
に完熟有機肥料を乾燥させておくことにより、保管、管
理に際して都合の良いものにした点にある。即ちこの発
明は、熟成有機肥料を乾燥させて安定化させ、必要に応
じてこれを有機性素材に加えて活性化することにより、
有機性素材を微生物によって発酵を開始させ促進させる
方式のものである。しかし当該先行発明は、自ら酵素を
生成したり、微生物が好む栄養素を生成したり、各種の
微生物を集めたりする発想ではなく、また、堆肥素材が
発する臭気を好気性発酵以外で抑制する発想もなく、後
で投入される有機性素材を酵素分解する発想も無い。従
って、有機性素材を発酵させることはできても、堆肥素
材を無臭状態で従来より短期間に分解処理させる本件発
明の目的を達成することは出来ないものである。
【0012】次いで発明者らは、農業から排出される植
物残渣や水産業から排出される魚介類残渣、畜産業から
排出される家畜排泄物、食品工場や飲食業や家庭等から
排出される食品残渣や生ごみ、屠殺場等から排出する畜
産性残渣、下水道終末処理場から排出される汚泥などの
多様で複雑な成分を含む有機質物の廃棄物が発する悪臭
の主成分を研究した。その結果、これら有機質物の廃棄
物が発する悪臭の主成分は、大別すると次の4種あるこ
とが解った。アンモニア、メチルアミン等の含窒素化合
物。硫化水素、メチルメルカプタン等の含硫化物。アセ
トアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド
類。酪酸、吉草酸などの脂肪酸類。
【0013】これらの有機質物原料が発する多様な悪臭
が空気中に揮発拡散した後で、そのすべての悪臭を回収
し、消臭するには、大掛かりな装置と高度な技術力が必
要であり、そのための経費も莫大なものとなる。そこで
本発明では、『臭いは源から絶つ必要がある』との発想
により、前記悪臭の主成分を化学的、生物学的に消失さ
せる方法とそのための設備を開発することに努めること
とした。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者の一部は、先
に複雑で多様な成分が混在している有機質物に接触して
酵素活性を発現することができる発酵酵素を多量に生成
することと、微生物の好む栄養源を自ら生成することが
連動して起こり、これらの発酵酵素と栄養源の継続的生
成作用により多量に含有する状態を維持して、発酵促進
効果を相乗的に増幅することのできる有機質物の発酵分
解促進資材を開発することに成功した。このような、有
機質物の発酵分解促進資材を分析検討した結果、次のよ
うな作用効果を発現する特性があることが解った。
【0015】先ず第1に、当該有機質物の発酵分解促進
資材は、発酵酵素を多量に含んでいるので、これを有機
質物に混入すると前処理として酵素が働いて、有機質物
の構成成分の一部または全部を短時間に分解した状態に
するとともに、栄養源を生成し、これらが引き続き行わ
れる微生物による発酵分解作用を助け促進させる特性が
ある。
【0016】第2に、当該有機質物の発酵分解促進資材
は、生成された乳酸その他の有機酸によって酸性溶液と
なっているので、アンモニアやアミン類などのアルカリ
性臭気を中和、吸着して瞬時に消臭するだけでなく、溶
解力のある水やアルコールなどを含む発酵酵素液となっ
ているので、含硫化物の臭気やアルデヒド類および脂肪
酸類の臭気についても溶解して消臭する特性がある。こ
のような特性を有する発酵分解促進資材は、前記有機質
物の悪臭を発する主成分を迅速に且つ継続的に消失させ
ることができるのである。
【0017】第3に、当該有機質物の発酵分解促進資材
は、複雑で多様な成分が混在している有機質物を発酵酵
素により分解したり、自己消化により微生物の好む栄養
源を自ら次々と生成するので、微生物の増殖と活動を活
性化して発酵促進効果を相乗的に増幅する能力がある。
【0018】従って、当該有機質物の発酵分解促進資材
を利用して、その保有する上記特性を上手に発現するよ
うにすれば、有機質物原料を分解して無害化し、堆肥化
するのを、原料の悪臭を防止しながら短期間に効率良く
実現できるとの技術的知見を得ることができた。
【0019】本発明は、上記技術的知見に基づいて、多
様で複雑な有機質物の分解し腐熟化する処理を可及的に
短期間で行うことと、当該分解処理過程における悪臭を
可及的に防止・抑制しながら行うことを、同時に且つ効
率的に実現することができる環境保全型の有機質物をコ
ンポストに製造施設を提供せんとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、原料受入れ装置と発酵分解処理装置との中間
部に、有機質物の発酵分解促進資材を貯蔵し調整供給す
る酵素分解促進資材準備装置と、有機質物原料に有機質
物の発酵分解促進資材と必要に応じて調整補助資材を加
えて混合して複合有機質物になすとともに、当該複合有
機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理して、発酵分解
し易い半分解処理状態となす酵素分解処理装置とを配設
したことを特徴とする有機質物の環境保全型高速コンポ
ストに製造施設である。
【0021】当該第1発明は、発酵分解促進資材又は適
合型発酵分解促進資材を用いて、酵素分解処理をし、そ
の後微生物による発酵分解処理をして、臭気を可及的に
抑制しながら短期間に効率良く有機質物をコンポストに
製造するために必要な有機質物の発酵分解促進資材を貯
蔵し調整供給する酵素分解促進資材準備装置と、複合有
機質物を酵素分解処理により半分解処理状態となす酵素
分解処理装置とを配設した点に特徴がある基本発明であ
る。
【0022】特許を受けようとする第2発明は、原料受
入れ装置と発酵分解処理装置との中間部に、有機質発酵
基材に水と酵素と微生物を含ませて発酵させ、酵素にア
ルコールや乳酸菌や有機酸を含む酸性溶液に生成したこ
とを特徴とする有機質物の発酵分解促進資材、又は当該
発酵分解促進資材に有機質物原料若しくはその搾り汁を
混入して発酵分解させてなる有機質物原料分解活性をも
った適合型発酵分解促進資材を貯蔵し調整供給する酵素
分解促進資材準備装置と、有機質物原料に有機質物の発
酵分解促進資材と必要に応じて調整補助資材を加えて混
合して複合有機質物になすとともに、当該複合有機質物
を攪拌混合しながら酵素分解処理して、発酵分解し易い
半分解処理状態となす酵素分解処理装置とを設置し、原
料受入れ装置に受入れ貯留した有機質物原料を、酵素分
解処理装置に移送して臭気の抑制された状態の複合有機
質物となすとともに、酵素分解処理装置にて当該複合有
機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理をして、臭気の
抑制された状態を維持しながら、原料が均一に混合さ
れ、半分解し、水分が調整された発酵分解され易い状態
に調製された一次分解複合有機質物となし、その後、当
該臭気の抑制された一次分解複合有機質物を発酵分解処
理装置に移送投入して好気性発酵分解処理を行い、臭気
を抑制しながら短期間に有機質物をコンポストに製造す
るようにしたことを特徴とする有機質物の環境保全型高
速コンポストの製造施設である。
【0023】当該第2発明は、基本発明を利用し第1段
階では、酵素分解処理装置において臭気の抑制された状
態のまま発酵分解され易い一次分解複合有機質物とな
し、第2段階では、発酵分解処理装置にて好気性発酵分
解処理を行い、臭気を可及的に抑制しながら短期間に有
機質物をコンポストに製造する有機質物の環境保全型高
速コンポストの製造施設を具体化したものである。
【0024】特許を受けようとする第3発明は、原料受
入れ装置と発酵分解処理装置との中間部に、有機質物の
発酵分解促進資材を貯蔵し調整供給する酵素分解促進資
材準備装置と、有機質物原料に有機質物の発酵分解促進
資材と必要に応じて調整補助資材を加えて混合して複合
有機質物になすとともに、当該複合有機質物を攪拌混合
しながら酵素分解処理して発酵分解され易い一次分解処
理状態となす酵素分解処理装置とを配設したことを特徴
とする有機質物の環境保全型高速コンポストの製造施設
において、前記酵素分解促進資材準備装置を、有機質物
の発酵分解促進資材原液を製造し得る発酵分解促進資材
調製槽と出来た発酵分解促進資材原液を貯蔵しておく貯
蔵槽と、貯蔵され発酵分解促進資材原液を必要量取出
し、使用対象や用途に応じて適切に調整するとともにこ
れを送り出し供給できるようにした調整供給槽とから構
成されており、前記酵素分解処理装置は、粘性固体状の
複合有機質物を収納し得る縦型の反応槽と、その中心部
には、その底部から同心円状の円筒体を立ち上げるとと
もに当該円筒体内を貫通する原動機付きスクリューコン
ベアを植立し、その螺旋形状羽根部の外周面が前記円筒
体の内面を摺動しながら回転自在なるように組み立て構
成してなる原料上昇移送機構部を設け、前記反応槽内の
底面上位置には、粘性固体物を中心部にかき寄せること
のできるかき寄せ羽根をスクリューコンベアの軸部に固
着してスクリューコンベアの回転に伴って回転し粘性固
体状の複合有機質物を上昇移送機構部のスクリューコン
ベアの羽根部分にまでにかき寄せ誘導する原料誘導部を
設け、更に、植立する円筒体の上端部のすぐ上位置に
は、拡散羽根をスクリューコンベアの軸部に固着してス
クリューコンベアの回転に伴って回転し、原料上昇移送
機構部により上昇移送されてきて上端より溢出する複合
有機質物を縦型反応槽全体に拡散する原料拡散部を設け
ておき、反応槽内に投入された粘性固体状の複合有機質
物が、蓄積した自重により下に沈降し、その蓄積した複
合有機質物の下端部を、原料誘導部の回転動作により所
定量づつ切出し、上昇移送機構部のスクリューコンベア
の下部にまでかき寄せスクリューコンベアの羽根部分に
供給誘導して、植立する円筒体内を徐々に上昇移送し、
上端より溢出する複合有機質物を原料拡散部の拡散羽根
により縦型反応槽全体に拡散するようにして、複合有機
質物は、反応槽内を攪拌混合しながら一巡したことにな
り、このような循回を繰り返しての攪拌混合をしながら
酵素分解処理をし、これによって臭気の抑制された状態
を維持しながら、原料が均一に混合され、半分解し、水
分が調整された状態に調製された一次分解複合有機質物
となし、その後、当該臭気の抑制された一次分解複合有
機質物を発酵分解処理装置に移送投入して好気性発酵分
解処理を行い、臭気を抑制しながら短期間に有機質物を
コンポストに製造するようにしたことを特徴とする有機
質物の環境保全型高速コンポストの製造施設である。
【0025】当該第3発明は、発酵分解促進資材又は適
合型発酵分解促進資材を用いて、酵素分解処理をし、そ
の後微生物による発酵分解処理をして、臭気を可及的に
抑制しながら短期間に効率良く有機質物をコンポストに
製造する構成を具体的に特定した実施態様の有機質物の
環境保全型高速コンポストの製造施設である。
【0026】特許を受けようとする第4発明は、 前記
有機質物の発酵分解促進資材、又は適合型発酵分解促進
資材が、有機質発酵基材に水と酵素と微生物を含ませて
発酵させ、酵素にアルコールや乳酸菌や有機酸を含む酸
性溶液に生成したことを特徴とする有機質物の発酵分解
促進資材、若しくは当該発酵分解促進資材に有機質物原
料若しくはその搾り汁を混入して発酵分解させてなる有
機質物原料分解活性をもった適合型発酵分解促進資材、
若しくは、米糠または麩と水を加熱処理したものに、麹
とミネラル成分の含有した水を混合し、主に麹の酵素で
自己消化させて酵素消化液となし、これに当該酵母を加
えて発酵させ、前記酵素消化液にアルコールや乳酸菌や
有機酸を含む酸性溶液に生成したことを特徴とする有機
質物の発酵分解促進資材、若しくは米糠または麩7±5
%と水60±10%をほぼ70〜80℃前後に加熱処理
して55〜60℃にしたものに麹21±9%とミネラル成分
の含有した鉱泉水および/またはミネラル水7±5%を
混合して、主に麹の酵素により55〜60℃で1〜3時
間自己消化させて糖化生成した酵素消化液となし、これ
を30℃以下の常温に冷ましたうえ、この酵素消化液に
酵母0.2〜0.5%を加えて30〜35℃前後で1〜
3日間発酵させて、生成されたアルコールや乳酸菌や有
機酸を含むpH4.0±0.5前後の酸性溶液にしたこ
とを特徴とする有機質物の発酵分解促進資材、若しく
は、前記有機質物の発酵分解促進資材に、有機質物原料
の搾り汁を混入して、発酵分解させてなる有機質物原料
分解活性をもった適合型発酵分解促進資材、若しくは、
前記有機質物の発酵分解促進資材に植物性蛋白質を主体
とする有機質物を混入して発酵分解させてなる植物性有
機質物分解活性をもった適合型発酵分解促進資材、若し
くは、前記植物性有機質物分解活性をもった適合型発酵
分解促進資材に動物性蛋白質を主体とする有機質物を混
入して発酵分解させてなる動物性有機質物の発酵分解活
性をもった適合型発酵分解促進資材の何れか単独および
/又はこれらの組合せであることを特徴とする、請求項
1、若しくは請求項2、若しくは請求項3に記載する有
機質物の環境保全型高速コンポストの製造施設である。
【0027】第4発明は、本発明に係る適合型発酵分解
促進資材とは、特に植物性有機質物や畜産性有機質物や
魚介類有機質物のいずれかに強い発酵分解活性を発揮す
る発酵分解促進資材である。当該適合型発酵分解促進資
材は、粒状、顆粒状、小片状の固形状資材で、微生物
が、本格的に発酵分解させる対象物の有機質成分と遭遇
すると、その有機質物の構成成分を分解するのに適合し
た酵素を多量に出す性質に着目して、植物性有機質物に
ついて特に強い発酵分解活性を発揮する性質をもったも
のとなるのである。
【0028】本発明に係る適合型発酵分解促進資材を用
いて対象となる有機質物を分解、発酵させたとき、瞬時
に原料となる有機質物が発する臭いを脱臭するうえ、そ
の後に発酵段階に入っても臭気が抑制されたままで発酵
分解作用が促進し、悪臭を発しないまま熟成した有機肥
料にすることができる点が大きな特徴である。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。図1は、本発明にかかる有機質物の環境保全型高
速コンポストの製造施設の全体の構成とその作業工程を
示すフローシートであり、図2は、本発明にかかる有機
質物の環境保全型高速コンポストの製造施設の実施例を
示す配置図であり、図3は、酵素分解処理装置を示す縦
断側面図であり、図4は、同酵素分解処理装置の平面図
であり、図5は、酵素分解処理装置の反応槽の内部を示
す平面図であり、図6は、酵素分解処理装置の円筒体を
示すもので、その(イ)は、円筒体の正面図、(ロ)
は、同円筒体の縦断正面図である。本発明に係る有機質
物の環境保全型高速コンポストの製造施設は、図1、図
2に示すように原料受入れ装置1と、酵素分解促進資材
準備装置2と、酵素分解処理装置3と、発酵分解処理装
置4とを組合せた施設からなる。その配置構成は、図2
に示すように、原料受入れ装置1と発酵分解処理装置4
との中間部に、有機質物の発酵分解促進資材を貯蔵し調
整供給する酵素分解促進資材準備装置2と、有機質物原
料に有機質物の発酵分解促進資材と必要に応じて調整補
助資材を加えて混合して複合有機質物になすとともに、
当該複合有機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理して
発酵分解され易い一次分解処理状態となす酵素分解処理
装置3とを配設したものである。前記原料受入れ装置1
は、原料受入れホッパ5と原料定量切出しコンベア6と
原料移送コンベア7とから構成されている。次に、前記
酵素分解促進資材準備装置2は、有機質物の発酵分解促
進資材原液を製造し得る発酵分解促進資材調製槽8と、
出来た発酵分解促進資材原液を貯蔵しておく貯蔵槽9
と、貯蔵され発酵分解促進資材原液を必要量取出し、使
用対象や用途に応じて適切に調整するとともにこれを送
り出し供給できるようにした調整供給槽10とから構成
されている。前記酵素分解処理装置3は、図3に示すよ
うに粘性固体状の複合有機質物を収納し得る縦型の反応
槽11と、その中心部には、その底部から同心円状の円筒
体12を立ち上げたものである。当該円筒体12の側面
には、切り溝12a,12aを多数穿設しておく。当該円筒
体12内を貫通する原動機13付きスクリューコンベア
14を植立し、その螺旋形状羽根部14aの外周面が前
記円筒体12の内面を摺動しながら回転自在なるように
組み立て構成してなる原料上昇移送機構部15を配設し
てある。また、前記反応槽10内の底面上位置には、粘
性固体物を中心部にかき寄せることのできるかき寄せ羽
根16をスクリューコンベア14の軸部16aに固着し
てスクリューコンベア14の回転に伴って回転し、粘性
固体状の複合有機質物を上昇移送機構部15のスクリュ
ーコンベア14の羽根部分14aにまでにかき寄せ誘導
する原料誘導部17を設けてある。更に、植立する円筒
体12の上端部のすぐ上位置には、拡散羽根18をスクリ
ューコンベア14の軸部16aに固着してスクリューコン
ベア14の回転に伴って回転し、原料上昇移送機構部1
5により上昇移送されてきて上端より溢出する複合有機
質物を縦型反応槽11全体に拡散する原料拡散部19を
設けておく。尚、図中31は、予備の空気注入装置であ
り、図中32は、切り込み溝る。当該反応槽11内に投
入された粘性固体状の複合有機質物が、蓄積した自重に
より下に沈降し、その蓄積した複合有機質物の下端部
を、原料誘導部17の回転動作により所定量づつ切出し、
上昇移送機構部15のスクリューコンベア14の下部に
までかき寄せ、スクリューコンベア14の羽根部分14
aに供給誘導して、植立する円筒体12内を徐々に上昇
移送し、上端より溢出する複合有機質物を原料拡散部1
9の拡散羽根18により縦型反応槽11全体に拡散する
ようにして、複合有機質物は、反応槽11内を攪拌混合
しながら一巡したことになる。このような循回を繰り返
しての攪拌混合をしながら酵素分解処理をし、これによ
って臭気の抑制された状態を維持しながら、原料が均一
に混合され、半分解し、水分が調整された状態に調製さ
れた一次分解複合有機質物となる。その後、当該臭気の
抑制された一次分解複合有機質物を発酵分解処理装置4
に移送投入して好気性発酵分解処理を行う。本発明は、
上記のような処理工程の間、臭気を可及的に抑制しなが
ら短期間に有機質物をコンポストに製造するようにして
なる有機質物の環境保全型高速コンポストの製造施設で
ある。尚、本実施例では、発酵分解処理装置に移送する
ために、充分に攪拌混合され調製された一次分解複合有
機質物を縦型反応槽11から切出し移送する取出しコン
ベア20と、調製された一次分解複合有機質物を寝かせ
て充分に酵素分解作用をさせる酵素分解処理場21と、
複合有機質物原料移送コンベア22とから構成されてい
る。更に、発酵分解処理装置4は、温風送風機14を備
え底部より温風を噴出すようにした発酵槽23であっ
て、投入された一次分解複合有機質物を発酵処理する設
備と、当該分解処理原料を攪拌しながら移送する攪拌移
送機24と、充分に分解処理され出来上がった熟成コン
ポストを置いておく熟成堆肥置場25と、製造工程で排
出された水分を貯留し放流する排水槽26と、前記発酵
槽23の前半部上方に設けられた排気装置27とで構成
されている。尚、当該排気装置27は、フード28と排
気管29で集められた排気が熟成堆肥置場25の底部か
ら熟成コンポスト中に放出され、前記排気中に含まれる
蒸発水は液化して排水槽26に導かれるように構成され
ている。
【0030】次に本発明者は、上述したような構成の有
機質物の環境保全型高速コンポストの製造施設を設け、
且つ発明者らが先に発明した発酵分解促進資材を用意し
たうえ、、前記環境保全型高速コンポストの製造施設と
前記発酵分解促進資材とを利用して有機質物を原料とし
てコンポストの製造実験をするとともに、その際の悪臭
発生状況を測定し、この製造方法の悪臭防止又は脱臭効
果を確認した。
【0031】前記発酵分解促進資材は、具体的に次のよ
うにして製造したものを用意した。まず米糠60リット
ルを水540リットルに混合したものを80℃で加熱処
理する。次ぎにこれを60℃に低下した後、米麹180
リットルとミネラル成分の含有した水60リットルを混
合し、その上でこれらの混合物をほぼ60℃に保ちなが
ら1〜3時間置いて米麹を自己消化させる。この米麹の
自己消化とは、米麹中の澱粉をα‐アミラーゼによって
デキストリンとなし、β‐アミラーゼやグルコアミラー
ゼでブドウ糖まで分解されるとともに、米麹中の蛋白質
は、プロティナーゼによりペプチドに分解され、さらに
ペプチターゼによってアミノ酸まで分解されることであ
る。これら米麹の酵素分解によって得られた生成物を含
んだ酵素消化液となした。次ぎに、この酵素消化液を3
0℃以下の常温になるまで放冷したうえ、この酵素消化
液に酵母1.5リットルを混入してほぼ30〜35℃前
後で1〜3日間発酵させる。すると、酵母はブドウ糖を
発酵してアルコールと炭酸ガスに分解する。また、米糠
に含まれる乳酸菌がブドウ糖を発酵して乳酸を生成す
る。この乳酸などの有機酸によってその混合液は、pH
4±0.5の酸性溶液となる。これを、本発明の実施の
ために用意した有機質物の発酵分解促進資材830リッ
トルとした。
【0032】本発明は、上記の方法で製造した液体状の
有機質物の発酵分解促進資材を使用して、コンポストを
製造する本発明の実施をし、その製造過程における悪臭
を検出するとともに、そうして製造されたコンポストの
成分を分析した。
【0033】<実施例1> 第1工程: 米糠または麩7%と水60±10%をほぼ
80℃前後に加熱処理して55〜60℃にしたものに麹
21%とミネラル成分の含有した鉱泉水および/または
ミネラル水7%を混合して、主に麹の酵素により60℃
で3時間自己消化させて糖化生成した酵素消化液とな
し、これを30℃以下の常温に冷ましたうえ、この酵素
消化液に酵母0.2〜0.5%を加えて30〜35℃前
後で3日間発酵させて、生成されたアルコールや乳酸菌
や有機酸を含むpH4.0±0.5前後の酸性溶液にし
たことを特徴とする有機質物の発酵分解促進資材を攪拌
機付貯留槽7に貯留しておき、使用時に必要な量の発酵
分解促進資材を攪拌機付調整槽8に移送し成分等を調整
してから供給出来るように構成した。
【0034】第2工程:原料となる有機質物として、豚
糞40:牛糞60の混合比率の有機質物原料1000k
gに前記用意した有機質物の発酵分解促進資材3リット
ルと、ミネラル水9リットル、米糠1リットル、麩1リ
ットル等の養分補助材と、熟成状態のもどしコンポスト
300kgを水分調整材用の補助資材として加えて全体
を50〜70%程度の水分含量に調整した複合有機質物
原料になす。
【0035】第3工程:上記有機質物原料、有機質物の
発酵分解促進資材、養分補助材、水分調整材用の補助資
材を原料混合コンベアで混合しながら攪拌混合型酵素反
応槽に投入し、これを30〜45℃に温度調整しなが
ら、1時間〜3時間攪拌して複合有機質物原料全体が均
一になるよう混合調製する。この際、30〜45℃に温
度調整することが大切である。なぜなら好気性発酵や気
温の上昇や攪拌摩擦などが原因となって50℃以上の温
度になると、熱に弱い酵素が失活してしまうからであ
る。なお、第2工程の複合有機質物原料の調製と水分含
量の調整を攪拌混合型酵素反応槽にて行う場合には、不
用意な好気性発酵による部分的な温度上昇が起こらない
ように養分補助材、水分調整材用の補助資材の一部(約
1/3)を先に投入しておき、攪拌混合型酵素反応槽の
攪拌混合機構を駆動しながら、後から有機質物原料に有
機質物の発酵分解促進資材を噴霧しながら徐々に投入し
て、全体が均一になるまで、約2時間程攪拌混合調製を
する。尚、有機質物の発酵分解促進資材中の酵素は、こ
の攪拌混合調製の間にもその分解作用を開始し有機質物
原料の一部を酵素分解し始めている。
【0036】第4工程:次に、当該均一に混合調製され
た複合有機質物原料を取り出し酵素分解処理場に貯留堆
積したままにして、30〜45℃に温度調整しながら約
24時間寝かせて充分に酵素分解処理させる。当該均一
に混合調製された複合有機質物原料を寝かせる場所は、
攪拌混合型酵素反応槽内に収納したままでも良いが、前
記のように取出して日陰で温度の上昇しない酵素分解処
理場に貯留堆積しておいても良いこと勿論である。
【0037】第5工程:その後、当該酵素分解処理され
た複合有機質物原料を発酵槽内に投入し、温風送風機を
作動して発酵槽の底部から温風を吹き入れながら発酵さ
せるようにすると、原料が微生物の繁殖し易い半分解状
態になっているうえ、栄養成分と微生物が豊富に含まれ
ており、更に水分含量も好適に調整されているので、複
合有機質物原料の全体に急速な好気性発酵が安定して起
こり、たちまち60〜80℃に発熱して盛んな発酵分解
処理が効率良くおこなわれる。その結果、約10日程度
の発酵処理で熟成状態のコンポストに製造することが出
来る。即ち、本発明は、有機質物原料を分解処理して熟
成コンポスト(有機肥料)に製造するのに、約12〜1
3日あれば充分である。これは従来の熟成コンポスト
(有機肥料)の製造に、従来急いでも20日〜25日程
かかるのと比較すると、大幅にその処理期間が短縮され
たことになる。
【0038】このようにして製造されたコンポストの成
分を分析すると、次のようになった。 水分 23.0 % 全窒素 2.1 % 有機態窒素 1.9 % アンモニア性窒素 0.2 % 全カリウム(K2O) 2.5 % 全リン(P) 5.3 %
【0039】本発明に係るコンポストの製造方法は、完
熟状態に分解処理されており、上記のように窒素、リン
酸、カリ成分ともに含量が多いので、肥料として高品質
であった。この熟成した有機肥料に直接小松菜種子を植
えても発芽は100%となり、しかもその小松菜は発育
障害のない状態で、大きく成長した。
【0040】<実施例2>発明者は、本発明の実施例用
に用意した前記図1に示したようなコンポスト製造施設
と、前記発酵分解促進資材とを利用して、上記実施例1
により有機質物を原料としてコンポストの製造した際の
悪臭発生状況を測定し、このコンポスト製造方法の悪臭
防止又は脱臭効果実証試験を確認した。試験計画は次の
通りである。
【0041】(1)パイロットプラント 前記図1に示したようなコンポスト製造施設をパイロッ
トプラントとして利用する。詳細なコンポスト製造施設
の説明は、前述したので、ここでは記載を省略する。
【0042】(2)脱臭方法 原料に発明者らが開発した脱臭資材である発酵分解促進
資材を混入して、悪臭の原因となる成分の発生を阻止す
る。発生した悪臭を回収し脱臭するのではなく、悪臭を
可及的に発生させないように抑制する方法である。
【0043】(3)脱臭資材 発明者らが開発した発酵分解促進資材を使用する。前記
実施例用に用意した発酵分解促進資材の具体的な製造方
法は前述したので、ここでは記載を省略するが、その特
徴は、米糠と米麹を主原料として混合して、麹菌、酵
母、乳酸菌を使用して発酵させた発酵液である。発酵液
中にはエタノール、有機酸として酢酸、乳酸を主な成分
とし含むpH4.0±0.5前後の酸性溶液である。こ
れには上述の微生物及びその生産する菌体外酵素(糖化
酵素、蛋白質分解酵素等)を含有し、コンポストの発酵
工程を改善する効果を有していると同時に、脱臭効果も
有するものである。
【0044】(4)脱臭のメカニズム コンポスト製造施設に搬入された有機質物原料に発酵分
解促進資材を混入すると、有機質物原料中に含まれるア
ンモニアは、発酵分解促進資材に含まれる有機酸が反応
してアンモニウム塩となり、一次的にアンモニアの揮発
が抑制される。
【0045】更に、好気性状態で維持することにより、
このアンモニウム塩は、発酵分解促進資材に含まれる微
生物の窒素源として、菌体内に直ちに取り込まれ、菌体
成分(蛋白質)の合成に利用される。すなわち、発酵分
解促進資材は、上述の微生物及びその生産する菌体外酵
素(糖化酵素、蛋白質分解酵素等)を含有し、有機質物
原料の分解を促進し、微生物の増殖を速めると同時に、
微生物が増殖するために有機酸アンモニウム塩を窒素源
として速やかに利用するため、脱臭効果を発揮するので
ある。
【0046】従来法では、原料中に含まれる微生物の濃
度が低いため、微生物の濃度が低いため、微生物の増殖
を待つ必要があり、初期に発生したアンモニア等は揮発
し悪臭となるが、発酵分解促進資材と混合されることに
より、まずアンモニアは有機酸塩となり、揮発しにくく
なり、ついで酵素により炭素源の糖化・分解が促進さ
れ、高濃度に含有される微生物の増殖に利用される。こ
のときアンモニウム塩が窒素源として速やかに利用され
るため、アンモニアの揮発を防止し、臭気発生を抑制す
るとともに、窒素源の有効活用を図ることができます。
次の反応式では、生物細胞をC2H7NO2と表した場合の酢
酸アンモニウムの例を示します。
【0047】(5)脱臭試験の方法 実施例1の有機質物を原料としたコンポストの製造方法
の過程で定期的に臭い成分を測定する。当該臭い成分の
測定、分析、脱臭効果の評価は、第三者の環境計量事業
資格者に依頼する。詳細なコンポスト製造方法について
は、前述したので、ここでは記載を省略する。本実施例
2の具体的な試料である有機質物原料は、豚糞40:牛
糞60の混合比率の混合物である。尚、臭いの測定方法
は、悪臭防止法工程方法による。
【0048】(6)脱臭効果 悪臭防止法公定方法による臭気濃度測定結果にもとず
き、脱臭効果を考察すると、次のようになる。
【0049】<A.有機質物原料投入時の臭気>有機質物
原料である家畜糞尿に養分補助材と水分調整材用の補助
資材とを加えて複合有機質物原料になした直後は、原料
の臭いがそのまま揮発発散するので、強烈な臭いがあ
る。その際の悪臭の主な成分は、図7に示す通り、アン
モニアや硫化水素やメチルメルカプタン硫化メチル等で
ある。これをいかに早く脱臭するかが、環境保護を重視
するコンポスト化処理技術においては、重要な技術課題
である
【0050】<B.発酵分解促進資材投入後2時間の臭気
>有機質物原料、有機質物の発酵分解促進資材、養分補
助材、水分調整材用の補助資材を原料混合コンベアで混
合しながら攪拌混合型酵素反応槽10に投入し、これを
30〜45℃に温度調整しながら、2時間攪拌して複合
有機質物原料全体が均一になるよう混合調製すると、図
8に示したように臭気が大幅に抑制されるようになっ
た。悪臭の主成分のうちでも多量にあるアンモニアやア
ミン類は弱アルカリ性であるのに対し、発酵分解促進資
材は酸性溶液になっているので、これに中和され臭気が
消えた。又、硫化水素や、メチルメルカプタンなどの含
硫化合物や、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類は、
発酵分解促進資材に含まれるアルコールなどによって溶
解力のある溶液が含まれているので、臭気がこれらに可
溶化して脱臭したのである。
【0051】<C.発酵分解促進資材投入後24時間の臭
気>均一に混合調製された複合有機質物原料を取り出し
酵素分解処理場12に貯留堆積したままにして、30〜
45℃に温度調整しながら24時間寝かせて充分に酵素
分解処理させた時の臭気は、図9であった。既にほとん
どの臭気が消えた状態になっている。
【0052】<D.発酵槽内の攪拌前/攪拌後の臭気>当
該酵素分解処理された複合有機質物原料を発酵槽内に投
入し、温風送風機を作動して発酵槽の底部から温風を吹
き入れながら発酵させるようにした直後で攪拌前の臭気
を計測したのが図10であり、複合有機質物原料を発酵
槽内で攪拌機により攪拌した直後の臭気を計測したのが
図11である。複合有機質物原料の全体に急速な好気性
発酵が安定して起こり、温度が62℃に上昇している
が、もう悪臭が発せられることがない。
【0053】<E.発酵槽建家内中央部の臭気>発酵槽を
設置した建家内のほぼ中央部における臭気を計測した結
果が、図12である。この計測時には発酵槽内で盛んに
好気性発酵が行われている状態であったが、検出できる
臭気は殆ど発生していない。
【0054】<F.敷地境界における臭気>発酵槽を設置
した建家の建ててある敷地境界の風下における臭気を計
測した結果が図13であり、同敷地境界のコンポスト出
口側における臭気を計測した結果が図14である。既に
風下でもコンポスト出口側でも、ほとんどの臭気が検地
できないほどの無臭状態にある。このような状態では、
近隣から悪臭でクレームが起こることはない。
【0055】
【効果】本発明にかかる有機質物の環境保全型高速コン
ポストの製造施設を用いて、有機質物の発酵分解促進資
材又は適合型発酵分解促進資材と補助資材等を混合して
水分含量の調製された複合有機質物原料となし、それを
45℃以下の温度に調整しながら均一になるまで攪拌混
合し、これによって酵素を確実に前記複合有機質物原料
全体に接触させるとともに当該酵素の活性化を図り、効
率的に且つ充分に酵素分解処理をなす。その後に充分に
酵素分解処理をした複合有機質物原料に温風を吹き入れ
て微生物を活性化し、これによって効率的に発酵分解処
理をすることとする。このように酵素分解処理と発酵分
解処理を段階的に順次行い、その両処理方式の相乗効果
によって、悪臭を防止しながらより短期間に熟成状態と
なるようにした有機質物をコンポストに製造することが
できた。
【0056】当該有機質物の発酵分解促進資材は、微生
物が生成した発酵酵素を多量に含んでいるので、これを
有機質物に混入すると前処理として酵素が働いて、有機
質物の構成成分の一部または全部を短時間に分解した状
態にするとともに、栄養源を生成し、これらが引き続き
行われる微生物による発酵分解作用を助け促進させる能
力がある。
【0057】また、当該有機質物の発酵分解促進資材
は、生成された乳酸その他の有機酸によって酸性溶液と
なっているので、アンモニアやアミン類などのアルカリ
性臭気を中和、吸着して瞬時に消臭するだけでなく、溶
解力のある水やアルコールなどを含む発酵酵素液となっ
ているので、含硫化物の臭気やアルデヒド類および脂肪
酸類の臭気についても溶解吸着して消臭する能力があ
る。このような能力を有する発酵分解促進資材を有機質
物原料と混合すれば、前記有機質物の悪臭を発する主成
分を迅速に且つ継続的に消失させることができる効果が
ある。
【0058】当該有機質物の発酵分解促進資材は、複雑
で多様な成分が混在している有機質物を発酵酵素により
分解したり、自己消化により微生物の好む栄養源を自ら
次々と生成するので、微生物の増殖と活動を活性化して
発酵促進効果を相乗的に増幅する。従って、当該有機質
物の発酵分解促進資材を利用して、その保有する能力を
上手に発現するような方法で有機質物を分解して無害化
し、コンポストを製造すればその悪臭を防止しながら短
期間に効率良く実現できる。
【0059】本発明にかかる有機質物の環境保全型高速
コンポストの製造施設を用いて、コンポストを製造すれ
ば、このような有機質物の発酵分解促進資材又は適合型
発酵分解促進資材を用いているので、多様で複雑な有機
質物原料であっても、これを分解しコンポスト化する処
理を可及的に短期間で行うことと、当該分解処理過程に
おける悪臭を可及的に防止・抑制しながら行うことを、
同時に且つ効率的に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる有機質物の環境保全型高速コ
ンポストの製造施設の全体の構成とその作業工程を示す
フローシートの説明図である。
【図2】 本発明にかかる有機質物の環境保全型高速コ
ンポストの製造施設の実施例を示す配置図である。
【図3】 本発明に係る酵素分解処理装置を示す縦断側
面図である。
【図4】 本発明にかかる同酵素分解処理装置の平面図
である。
【図5】 本発明にかかる酵素分解処理装置の反応槽の
内部を示す平面図である。
【図6】 本発明にかかる酵素分解処理装置の円筒体を
示すもので、その(イ)は、円筒体の正面図、(ロ)
は、同円筒体の縦断正面図である。ある。
【図7】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
有機質物原料投入時の臭気を計測した計測した結果を示
す表である。
【図8】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
発酵分解促進資材投入後2時間の臭気を計測した結果を
示す表である。
【図9】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
発酵分解促進資材投入後24時間の臭気を計測した結果
を示す表である。
【図10】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
発酵槽内の攪拌前の臭気を計測した結果を示す表であ
る。
【図11】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
発酵槽内の攪拌後の臭気を計測した結果を示す表であ
る。
【図12】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
発酵槽建家内中央部の臭気を計測した結果を示す表であ
る。
【図13】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
敷地境界の風下における臭気を計測した結果を示す表で
ある。
【図14】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
敷地境界のコンポスト出口側における臭気を計測した結
果を示す表である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年2月28日(2002.2.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の詳細な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、農業から排出される
植物残渣や水産業から排出される魚介類残渣、畜産業か
ら排出される家畜排泄物、食品工場や飲食業や家庭等か
ら排出される食品残渣や生ごみ、屠殺場等から排出する
畜産性残渣、下水道終末処理場から排出される汚泥など
の多様で複雑な成分を含む有機質物原料の発する悪臭を
防止・抑制しながら迅速に分解させる発酵分解促進資
材、または植物性有機質物、動物性有機質物(魚介類有
機質物を含む。)など処理対象となる有機性素材の種類
別にその発酵分解活性を高めるようにした適合型発酵分
解促進資材を用いて、酵素分解処理をし、その後微生物
による発酵分解処理して、臭気を可及的に抑制しながら
短期間に効率良く有機質物をコンポストに製造する有機
質物の環境保全型高速コンポストの製造施設である。
【0002】
【従来の技術】 近年多方面においてこれまで廃棄物と
されてきた有機質物を微生物の発酵処理によって無害化
したり、農地や土壌へ有機肥料として利用するために堆
肥化したり、家畜の餌として飼料化するなど、再利用す
る技術の開発が盛んに行われるようになった。しかし、
これまでの堆肥化技術は、有機質物を急速に発酵分解す
るための微生物や菌類を開発したり、対象有機質物の分
解に適合した微生物や菌類の組み合わせを開発したり、
発酵作用を促進させるための温度や空気などの発酵条件
を調整できる発酵施設を開発するなどが研究目標の主流
であった。
【0003】 しかるに、このように成分が多様で複雑
な有機質物を菌類などの微生物の活動によってのみ発酵
処理する方式には、完熟するまでに一定以上の時間がか
かるうえ、発酵過程で悪臭が発生することが避けられ
ず、近隣社会から環境問題としてクレームが起ることが
しばしばであった。
【0004】また、有機質物を微生物により発酵処理す
る際に起こる環境問題に関する技術的課題の第1は、発
酵処理に要する期間が長すぎることである。有機質物を
菌類などの微生物の分解活動によって発酵処理しようと
すると、人間は強力な菌類を加えるか、それらの微生物
が活動し易い環境条件を整備するしかできず、所定の時
間でどの程度まで発酵分解するかは微生物の働き次第で
ある。したがって、有機質物原料と発酵菌類を発酵槽内
に入れて、空気と温度条件を最善と思えるものに整えて
も一次発酵に10日〜12日間、2次発酵に7日〜14
日間ほどかかるのが一般的である。即ち有機質物原料を
分解処理して熟成有機肥料にするには、急いでも20日
〜25日程かかるのが普通である。そこで、どのように
すればそれより短期間に有機質物を発酵処理することが
できるかが各方面の研究目標にされているのである。
【0005】また前記技術的課題の第2は、微生物によ
る発酵方式を採用した場合に、その発酵が嫌気性発酵で
あれば、強い悪臭が発生するし、発酵が好気性発酵の場
合でも発酵開始から完全な好気性発酵に移行するまでの
間は、悪臭の発生を防ぐことができない。このため、ど
のようにすれば有機質物原料の分解処理過程において発
生する悪臭を回収し、脱臭又は消臭するかが、環境保全
の立場から重要な技術的課題となっている。
【0006】そこで本発明者らは、多様で複雑な有機質
物の分解処理を微生物による発酵処理にだけまかせるの
ではなく、酵素による分解処理と併用することにより、
今まで以上に短期間に効率良くすることと、当該分解処
理過程における悪臭を可及的に抑えることの二大目標を
同時に実現できないかとの発想と方針のもとで鋭意研究
に努めることにした。
【0007】第1目標である短期間分解処理の方式は、
酵素分解処理と微生物による発酵処理を組合せて両者の
相乗効果により、有機質物の短期間分解を実現する技術
を確立することとした。
【0008】第2目標である悪臭防止・抑制の方式は、
悪臭が発生した後で当該悪臭を回収し脱臭又は消臭する
方法ではなく、悪臭の主成分を研究し、前処理をするこ
とにより当該主成分を中和、吸着、溶解するなどして、
悪臭が可及的に発生しない方法を開発することとした。
【0009】上記発想に関して先行技術の調査をしたと
ころ、農産廃棄物や生ごみの分解性向上のため、または
発酵性促進のために酵素を用いる発想をした発明が特許
2655960号、特許2920259号として存在す
ることを確認した。
【0010】前者の特許2655960号は、繊維性固
形有機廃棄物の集塊に、水存在下でセルラーゼとへミセ
ルラーゼの混合物である繊維分解酵素を混合し、加水分
解しておき、その後に好気発酵を行うようにしたことを
特徴とする繊維性固形有機廃棄物のコンポスト化方法で
ある。当該先行発明の本旨は、繊維性固形有機廃棄物に
ついて前処理として繊維分解酵素により加水分解した
後、好気発酵を行うようにした点にある。しかし、コン
ポストの原料となる生ごみ、糞尿、汚泥、畜産性残渣、
植物性残渣などの有機性廃棄物は、繊維性固形有機物だ
けでなく、澱粉、蛋白質、脂肪など複雑で多様な成分が
混在していることが普通であり、それが特徴である。そ
のような一般廃棄物から繊維性固形有機物だけを成分別
に仕分けることは、事実上ほとんど不可能に近い。その
ため、先行技術のように繊維分解酵素をいれただけで
は、多様な成分の有機性廃棄物や有機質物を効率的に分
解させることは出来ないし、必ずしも発酵促進させるこ
とができない。
【0011】また、後者の特許2920259号は、嫌
気性菌、好気性菌、活性根粒菌が混合されている未熟堆
肥に有機繊維質を主体とする混入物を混合し、少量の発
酵酵素を加えて、30〜70℃で発酵させた後、乾燥さ
せて堆肥素材発酵促進料とする発明である。当該技術
は、各種の微生物を含んだ未熟堆肥と有機繊維質を主体
とする混入物を混合し、少量の発酵酵素を加えて発酵さ
せ完熟有機肥料にしたことと、それを乾燥させた点に特
徴がある。当該発明には、堆肥素材発酵促進料を作製す
る際に発酵酵素を加えて発酵するが、発酵が始まり温度
が上昇すれば酵素はすぐ失効してしまうので、その作用
は当初発酵するまでの間で実質的にはほとんど効果が期
待できない。しかもこの技術は、完熟有機肥料を発酵種
材としたもので、昔から堆肥製造法として、出来あがっ
ている完熟堆肥を戻し堆肥として堆肥要素材に加えて発
酵を促進するのと同じ発想である。その特徴は、有用微
生物の確保された完熟有機肥料を用いることにより、堆
肥素材に有用微生物を積極的に持ち込む効果、硫化水素
や地中有毒ガスの発生を防止する効果、リン酸の固定化
防止効果、窒素の固定菌増殖効果を発揮させる点にあ
る。更に完熟有機肥料を乾燥させておくことにより、保
管、管理に際して都合の良いものにした点にある。即ち
この発明は、熟成有機肥料を乾燥させて安定化させ、必
要に応じてこれを有機性素材に加えて活性化することに
より、有機性素材を微生物によって発酵を開始させ促進
させる方式のものである。しかし当該先行発明は、自ら
酵素を生成したり、微生物が好む栄養素を生成したり、
各種の微生物を集めたりする発想ではなく、また、堆肥
素材が発する臭気を好気性発酵以外で抑制する発想もな
く、後で投入される有機性素材を酵素分解する発想も無
い。従って、有機性素材を発酵させることはできても、
堆肥素材を無臭状態で従来より短期間に分解処理させる
本件発明の目的を達成することは出来ないものである。
【0012】次いで発明者らは、農業から排出される植
物残渣や水産業から排出される魚介類残渣、畜産業から
排出される家畜排泄物、食品工場や飲食業や家庭等から
排出される食品残渣や生ごみ、屠殺場等から排出する畜
産性残渣、下水道終末処理場から排出される汚泥などの
多様で複雑な成分を含む有機質物の廃棄物が発する悪臭
の主成分を研究した。その結果、これら有機質物の廃棄
物が発する悪臭の主成分は、大別すると次の4種あるこ
とが解った。アンモニア、メチルアミン等の含窒素化合
物。硫化水素、メチルメルカプタン等の含硫化物。アセ
トアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド
類。酪酸、吉草酸などの脂肪酸類。
【0013】これらの有機質物原料が発する多様な悪臭
が空気中に揮発拡散した後で、そのすべての悪臭を回収
し、消臭するには、大掛かりな装置と高度な技術力が必
要であり、そのための経費も莫大なものとなる。そこで
本発明では、『臭いは源から絶つ必要がある』との発想
により、前記悪臭の主成分を化学的、生物学的に消失さ
せる方法とそのための設備を開発することに努めること
とした。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明者の一部は、先
に複雑で多様な成分が混在している有機質物に接触して
酵素活性を発現することができる発酵酵素を多量に生成
することと、微生物の好む栄養源を自ら生成することが
連動して起こり、これらの発酵酵素と栄養源の継続的生
成作用により多量に含有する状態を維持して、発酵促進
効果を相乗的に増幅することのできる有機質物の発酵分
解促進資材を開発することに成功した。このような、有
機質物の発酵分解促進資材を分析検討した結果、次のよ
うな作用効果を発現する特性があることが解った。
【0015】先ず第1に、当該有機質物の発酵分解促進
資材は、発酵酵素を多量に含んでいるので、これを有機
質物に混入すると前処理として酵素が働いて、有機質物
の構成成分の一部または全部を短時間に分解した状態に
するとともに、栄養源を生成し、これらが引き続き行わ
れる微生物による発酵分解作用を助け促進させる特性が
ある。
【0016】第2に、当該有機質物の発酵分解促進資材
は、生成された乳酸その他の有機酸によって酸性溶液と
なっているので、アンモニアやアミン類などのアルカリ
性臭気を中和、吸着して瞬時に消臭するだけでなく、溶
解力のある水やアルコールなどを含む発酵酵素液となっ
ているので、含硫化物の臭気やアルデヒド類および脂肪
酸類の臭気についても溶解して消臭する特性がある。こ
のような特性を有する発酵分解促進資材は、前記有機質
物の悪臭を発する主成分を迅速に且つ継続的に消失させ
ることができるのである。
【0017】第3に、当該有機質物の発酵分解促進資材
は、複雑で多様な成分が混在している有機質物を発酵酵
素により分解したり、自己消化により微生物の好む栄養
源を自ら次々と生成するので、微生物の増殖と活動を活
性化して発酵促進効果を相乗的に増幅する能力がある。
【0018】従って、当該有機質物の発酵分解促進資材
を利用して、その保有する上記特性を上手に発現するよ
うにすれば、有機質物原料を分解して無害化し、堆肥化
するのを、原料の悪臭を防止しながら短期間に効率良く
実現できるとの技術的知見を得ることができた。
【0019】本発明は、上記技術的知見に基づいて、多
様で複雑な有機質物の分解し腐熟化する処理を可及的に
短期間で行うことと、当該分解処理過程における悪臭を
可及的に防止・抑制しながら行うことを、同時に且つ効
率的に実現することができる環境保全型の有機質物をコ
ンポストの製造施設を提供せんとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】特許を受けようとする第
1発明は、原料受入れ装置と発酵分解処理装置との中間
部に、有機質物の発酵分解促進資材を貯蔵し調整供給す
る酵素分解促進資材準備装置と、有機質物原料に有機質
物の発酵分解促進資材と必要に応じて調整補助資材を加
えて混合して複合有機質物になすとともに、当該複合有
機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理して、発酵分解
し易い半分解処理状態となす酵素分解処理装置とを配設
したことを特徴とする有機質物の環境保全型高速コンポ
ストの製造施設である。
【0021】当該第1発明は、発酵分解促進資材又は適
合型発酵分解促進資材を用いて、酵素分解処理をし、そ
の後微生物による発酵分解処理をして、臭気を可及的に
抑制しながら短期間に効率良く有機質物をコンポストに
製造するために必要な有機質物の発酵分解促進資材を貯
蔵し調整供給する酵素分解促進資材準備装置と、複合有
機質物を酵素分解処理により半分解処理状態となす酵素
分解処理装置とを配設した点に特徴がある基本発明であ
る。
【0022】特許を受けようとする第2発明は、原料受
入れ装置と発酵分解処理装置との中間部に、有機質発酵
基材に水と酵素と微生物を含ませて発酵させ、酵素にア
ルコールや乳酸菌や有機酸を含む酸性溶液に生成したこ
とを特徴とする有機質物の発酵分解促進資材、又は当該
発酵分解促進資材に有機質物原料若しくはその搾り汁を
混入して発酵分解させてなる有機質物原料分解活性をも
った適合型発酵分解促進資材を貯蔵し調整供給する酵素
分解促進資材準備装置と、有機質物原料に有機質物の発
酵分解促進資材と必要に応じて調整補助資材を加えて混
合して複合有機質物になすとともに、当該複合有機質物
を攪拌混合しながら酵素分解処理して、発酵分解し易い
半分解処理状態となす酵素分解処理装置とを設置し、原
料受入れ装置に受入れ貯留した有機質物原料を、酵素分
解処理装置に移送して臭気の抑制された状態の複合有機
質物となすとともに、酵素分解処理装置にて当該複合有
機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理をして、臭気の
抑制された状態を維持しながら、原料が均一に混合さ
れ、半分解し、水分が調整された発酵分解され易い状態
に調製された一次分解複合有機質物となし、その後、当
該臭気の抑制された一次分解複合有機質物を発酵分解処
理装置に移送投入して好気性発酵分解処理を行い、臭気
を抑制しながら短期間に有機質物をコンポストに製造す
るようにしたことを特徴とする有機質物の環境保全型高
速コンポストの製造施設である。
【0023】当該第2発明は、基本発明を利用し第1段
階では、酵素分解処理装置において臭気の抑制された状
態のまま発酵分解され易い一次分解複合有機質物とな
し、第2段階では、発酵分解処理装置にて好気性発酵分
解処理を行い、臭気を可及的に抑制しながら短期間に有
機質物をコンポストに製造する有機質物の環境保全型高
速コンポストの製造施設を具体化したものである。
【0024】特許を受けようとする第3発明は、原料受
入れ装置と発酵分解処理装置との中間部に、有機質物の
発酵分解促進資材を貯蔵し調整供給する酵素分解促進資
材準備装置と、有機質物原料に有機質物の発酵分解促進
資材と必要に応じて調整補助資材を加えて混合して複合
有機質物になすとともに、当該複合有機質物を攪拌混合
しながら酵素分解処理して発酵分解され易い一次分解処
理状態となす酵素分解処理装置とを配設したことを特徴
とする有機質物の環境保全型高速コンポストの製造施設
において、前記酵素分解促進資材準備装置を、有機質物
の発酵分解促進資材原液を製造し得る発酵分解促進資材
調製槽と出来た発酵分解促進資材原液を貯蔵しておく貯
蔵槽と、貯蔵され発酵分解促進資材原液を必要量取出
し、使用対象や用途に応じて適切に調整するとともにこ
れを送り出し供給できるようにした調整供給槽とから構
成されており、前記酵素分解処理装置は、粘性固体状の
複合有機質物を収納し得る縦型の反応槽と、その中心部
には、その底部から同心円状の円筒体を立ち上げるとと
もに当該円筒体内を貫通する原動機付きスクリューコン
ベアを植立し、その螺旋形状羽根部の外周面が前記円筒
体の内面を摺動しながら回転自在なるように組み立て構
成してなる原料上昇移送機構部を設け、前記反応槽内の
底面上位置には、粘性固体物を中心部にかき寄せること
のできるかき寄せ羽根をスクリューコンベアの軸部に固
着してスクリューコンベアの回転に伴って回転し粘性固
体状の複合有機質物を上昇移送機構部のスクリューコン
ベアの羽根部分にまでにかき寄せ誘導する原料誘導部を
設け、更に、植立する円筒体の上端部のすぐ上位置に
は、拡散羽根をスクリューコンベアの軸部に固着してス
クリューコンベアの回転に伴って回転し、原料上昇移送
機構部により上昇移送されてきて上端より溢出する複合
有機質物を縦型反応槽全体に拡散する原料拡散部を設け
ておき、反応槽内に投入された粘性固体状の複合有機質
物が、蓄積した自重により下に沈降し、その蓄積した複
合有機質物の下端部を、原料誘導部の回転動作により所
定量づつ切出し、上昇移送機構部のスクリューコンベア
の下部にまでかき寄せスクリューコンベアの羽根部分に
供給誘導して、植立する円筒体内を徐々に上昇移送し、
上端より溢出する複合有機質物を原料拡散部の拡散羽根
により縦型反応槽全体に拡散するようにして、複合有機
質物は、反応槽内を攪拌混合しながら一巡したことにな
り、このような循回を繰り返しての攪拌混合をしながら
酵素分解処理をし、これによって臭気の抑制された状態
を維持しながら、原料が均一に混合され、半分解し、水
分が調整された状態に調製された一次分解複合有機質物
となし、その後、当該臭気の抑制された一次分解複合有
機質物を発酵分解処理装置に移送投入して好気性発酵分
解処理を行い、臭気を抑制しながら短期間に有機質物を
コンポストに製造するようにしたことを特徴とする有機
質物の環境保全型高速コンポストの製造施設である。
【0025】当該第3発明は、発酵分解促進資材又は適
合型発酵分解促進資材を用いて、酵素分解処理をし、そ
の後微生物による発酵分解処理をして、臭気を可及的に
抑制しながら短期間に効率良く有機質物をコンポストに
製造する構成を具体的に特定した実施態様の有機質物の
環境保全型高速コンポストの製造施設である。
【0026】特許を受けようとする第4発明は、 前記
有機質物の発酵分解促進資材、又は適合型発酵分解促進
資材が、有機質発酵基材に水と酵素と微生物を含ませて
発酵させ、酵素にアルコールや乳酸菌や有機酸を含む酸
性溶液に生成したことを特徴とする有機質物の発酵分解
促進資材、若しくは当該発酵分解促進資材に有機質物原
料若しくはその搾り汁を混入して発酵分解させてなる有
機質物原料分解活性をもった適合型発酵分解促進資材、
若しくは、米糠または麩と水を加熱処理したものに、麹
とミネラル成分の含有した水を混合し、主に麹の酵素で
自己消化させて酵素消化液となし、これに当該酵母を加
えて発酵させ、前記酵素消化液にアルコールや乳酸菌や
有機酸を含む酸性溶液に生成したことを特徴とする有機
質物の発酵分解促進資材、若しくは米糠または麩7±5
%と水60±10%をほぼ70〜80℃前後に加熱処理
して55〜60℃にしたものに麹21±9%とミネラル
成分の含有した鉱泉水および/またはミネラル水7±5
%を混合して、主に麹の酵素により55〜60℃で1〜
3時間自己消化させて糖化生成した酵素消化液となし、
これを30℃以下の常温に冷ましたうえ、この酵素消化
液に酵母0.2〜0.5%を加えて30〜35℃前後で
1〜3日間発酵させて、生成されたアルコールや乳酸菌
や有機酸を含むpH4.0±0.5前後の酸性溶液にし
たことを特徴とする有機質物の発酵分解促進資材、若し
くは、前記有機質物の発酵分解促進資材に、有機質物原
料の搾り汁を混入して、発酵分解させてなる有機質物原
料分解活性をもった適合型発酵分解促進資材、若しく
は、前記有機質物の発酵分解促進資材に植物性蛋白質を
主体とする有機質物を混入して発酵分解させてなる植物
性有機質物分解活性をもった適合型発酵分解促進資材、
若しくは、前記植物性有機質物分解活性をもった適合型
発酵分解促進資材に動物性蛋白質を主体とする有機質物
を混入して発酵分解させてなる動物性有機質物の発酵分
解活性をもった適合型発酵分解促進資材の何れか単独お
よび/又はこれらの組合せであることを特徴とする、請
求項1、若しくは請求項2、若しくは請求項3に記載す
る有機質物の環境保全型高速コンポストの製造施設であ
る。
【0027】第4発明は、本発明に係る適合型発酵分解
促進資材とは、特に植物性有機質物や畜産性有機質物や
魚介類有機質物のいずれかに強い発酵分解活性を発揮す
る発酵分解促進資材である。当該適合型発酵分解促進資
材は、粒状、顆粒状、小片状の固形状資材で、微生物
が、本格的に発酵分解させる対象物の有機質成分と遭遇
すると、その有機質物の構成成分を分解するのに適合し
た酵素を多量に出す性質に着目して、植物性有機質物に
ついて特に強い発酵分解活性を発揮する性質をもったも
のとなるのである。
【0028】本発明に係る適合型発酵分解促進資材を用
いて対象となる有機質物を分解、発酵させたとき、瞬時
に原料となる有機質物が発する臭いを脱臭するうえ、そ
の後に発酵段階に入っても臭気が抑制されたままで発酵
分解作用が促進し、悪臭を発しないまま熟成した有機肥
料にすることができる点が大きな特徴である。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明
する。図1は、本発明にかかる有機質物の環境保全型高
速コンポストの製造施設の全体の構成とその作業工程を
示すフローシートであり、図2は、本発明にかかる有機
質物の環境保全型高速コンポストの製造施設の実施例を
示す配置図であり、図3は、酵素分解処理装置を示す縦
断側面図であり、図4は、同酵素分解処理装置の平面図
であり、図5は、酵素分解処理装置の反応槽の内部を示
す平面図であり、図6は、酵素分解処理装置の円筒体を
示すもので、その(イ)は、円筒体の正面図、(ロ)
は、同円筒体の縦断正面図である。
【0030】本発明に係る有機質物の環境保全型高速コ
ンポストの製造施設は、図1、図2に示すように原料受
入れ装置1と、酵素分解促進資材準備装置2と、酵素分
解処理装置3と、発酵分解処理装置4とを組合せた施設
からなる。その配置構成は、図2に示すように、原料受
入れ装置1と発酵分解処理装置4との中間部に、有機質
物の発酵分解促進資材を貯蔵し調整供給する酵素分解促
進資材準備装置2と、有機質物原料に有機質物の発酵分
解促進資材と必要に応じて調整補助資材を加えて混合し
て複合有機質物になすとともに、当該複合有機質物を攪
拌混合しながら酵素分解処理して発酵分解され易い一次
分解処理状態となす酵素分解処理装置3とを配設したも
のである。
【0031】前記原料受入れ装置1は、原料受入れホッ
パ5と原料定量切出しコンベア6と原料移送コンベア7
とから構成されている。
【0032】次に、前記酵素分解促進資材準備装置2
は、有機質物の発酵分解促進資材原液を製造し得る発酵
分解促進資材調製槽8と、出来た発酵分解促進資材原液
を貯蔵しておく貯蔵槽9と、貯蔵され発酵分解促進資材
原液を必要量取出し、使用対象や用途に応じて適切に調
整するとともにこれを送り出し供給できるようにした調
整供給槽10とから構成されている。
【0033】前記酵素分解処理装置3は、図3に示すよ
うに粘性固体状の複合有機質物を収納し得る縦型の反応
槽11と、その中心部には、その底部から同心円状の円
筒体12を立ち上げたものである。図6に示すように当
該円筒体12の側面には、切り溝12a,12aを多数
穿設しておく。当該円筒体12内を貫通する原動機13
付きスクリューコンベア14を植立し、その螺旋形状羽
根部14aの外周面が前記円筒体12の内面を摺動しな
がら回転自在なるように組み立て構成してなる原料上昇
移送機構部15を配設してある。
【0034】また、前記反応槽11内の底面上位置に
は、粘性固体物を中心部にかき寄せることのできるかき
寄せ羽根16をスクリューコンベア14の軸部16aに
固着してスクリューコンベア14の回転に伴って回転
し、粘性固体状の複合有機質物を上昇移送機構部15の
スクリューコンベア14の羽根部分14aにまでにかき
寄せ誘導する原料誘導部17を設けてある。
【0035】更に、植立する円筒体12の上端部のすぐ
上位置には、拡散羽根18をスクリューコンベア14の
軸部16aに固着してスクリューコンベア14の回転に
伴って回転し、原料上昇移送機構部15により上昇移送
されてきて上端より溢出する複合有機質物を縦型反応槽
11全体に拡散する原料拡散部19を設けておく。尚、
図中31は、予備の空気注入装置であり、反応槽11内
の温度が上昇しないように調整するための、予備の装置
である。図中12a,12aは、回転方向とは逆向きに
穿かれた切り溝である。
【0036】当該反応槽11内に投入された粘性固体状
の複合有機質物が、蓄積した自重により下に沈降し、そ
の蓄積した複合有機質物の下端部を、原料誘導部17の
回転動作により所定量づつ切出し、上昇移送機構部15
のスクリューコンベア14の下部にまでかき寄せ、スク
リューコンベア14の羽根部分14aに供給誘導して、
植立する円筒体12内を徐々に上昇移送し、上端より溢
出する複合有機質物を原料拡散部19の拡散羽根18に
より縦型反応槽11全体に拡散するようにして、複合有
機質物は、反応槽11内を攪拌混合しながら一巡したこ
とになる。
【0037】このような循回を繰り返しての攪拌混合を
しながら酵素分解処理をし、これによって臭気の抑制さ
れた状態を維持しながら、原料が均一に混合され、半分
解し、水分が調整された状態に調製された一次分解複合
有機質物となる。
【0038】その後、当該臭気の抑制された一次分解複
合有機質物を発酵分解処理装置4に移送投入して好気性
発酵分解処理を行う。
【0039】本発明は、上記のような処理工程の間、臭
気を可及的に抑制しながら短期間に有機質物をコンポス
トに製造するようにしてなる有機質物の環境保全型高速
コンポストの製造施設である。
【0040】尚、本実施例では、発酵分解処理装置に移
送するために、充分に攪拌混合され調製された一次分解
複合有機質物を縦型反応槽11から切出し移送する取出
しコンベア20と、調製された一次分解複合有機質物を
寝かせて充分に酵素分解作用をさせる酵素分解処理場2
1と、一次分解複合有機質物原料移送コンベア22とか
ら構成されている。更に、発酵分解処理装置4は、温風
送風機30を備え底部より温風を噴出すようにした発酵
槽23であって、投入された一次分解複合有機質物を発
酵処理する設備と、当該分解処理原料を攪拌しながら移
送する攪拌移送機25と、充分に分解処理され出来上が
った熟成コンポストを置いておく熟成堆肥置場25と、
製造工程で排出された水分を貯留し放流する排水槽26
と、前記発酵槽23の前半部上方に設けられた排気装置
27とで構成されている。尚、当該排気装置27は、フ
ード28と排気管29で集められた排気が熟成堆肥置場
25の底部から熟成コンポスト中に放出され、前記排気
中に含まれる蒸発水は液化して排水槽26に導かれるよ
うに構成されている。
【0041】次に本発明者は、上述したような構成の有
機質物の環境保全型高速コンポストの製造施設を設け、
且つ発明者らが先に発明した発酵分解促進資材を用意し
たうえ、、前記環境保全型高速コンポストの製造施設と
前記発酵分解促進資材とを利用して有機質物を原料とし
てコンポストの製造実験をするとともに、その際の悪臭
発生状況を測定し、この製造方法の悪臭防止又は脱臭効
果を確認した。
【0042】前記発酵分解促進資材は、具体的に次のよ
うにして製造したものを用意した。まず米糠60リット
ルを水540リットルに混合したものを80℃で加熱処
理する。次ぎにこれを60℃に低下した後、米麹180
リットルとミネラル成分の含有した水60リットルを混
合し、その上でこれらの混合物をほぼ60℃に保ちなが
ら1〜3時間置いて米麹を自己消化させる。この米麹の
自己消化とは、米麹中の澱粉をα‐アミラーゼによって
デキストリンとなし、β‐アミラーゼやグルコアミラー
ゼでブドウ糖まで分解されるとともに、米麹中の蛋白質
は、プロティナーゼによりペプチドに分解され、さらに
ペプチターゼによってアミノ酸まで分解されることであ
る。これら米麹の酵素分解によって得られた生成物を含
んだ酵素消化液となした。次ぎに、この酵素消化液を3
0℃以下の常温になるまで放冷したうえ、この酵素消化
液に酵母1.5リットルを混入してほぼ30〜35℃前
後で1〜3日間発酵させる。すると、酵母はブドウ糖を
発酵してアルコールと炭酸ガスに分解する。また、米糠
に含まれる乳酸菌がブドウ糖を発酵して乳酸を生成す
る。この乳酸などの有機酸によってその混合液は、pH
4±0.5の酸性溶液となる。これを、本発明の実施の
ために用意した有機質物の発酵分解促進資材830リッ
トルとした。
【0043】本発明は、上記の方法で製造した液体状の
有機質物の発酵分解促進資材を使用して、コンポストを
製造する本発明の実施をし、その製造過程における悪臭
を検出するとともに、そうして製造されたコンポストの
成分を分析した。
【0044】<実施例1> 第1工程: 米糠または麩7%と水60±10%をほぼ
80℃前後に加熱処理して55〜60℃にしたものに麹
21%とミネラル成分の含有した鉱泉水および/または
ミネラル水7%を混合して、主に麹の酵素により60℃
で3時間自己消化させて糖化生成した酵素消化液とな
し、これを30℃以下の常温に冷ましたうえ、この酵素
消化液に酵母0.2〜0.5%を加えて30〜35℃前
後で3日間発酵させて、生成されたアルコールや乳酸菌
や有機酸を含むpH4.0±0.5前後の酸性溶液にし
たことを特徴とする有機質物の発酵分解促進資材を攪拌
機の付いた貯蔵槽9に貯留しておき、使用時に必要な量
の発酵分解促進資材を攪拌機の付いた調整供給槽10に
移送し成分等を調整してから供給出来るように構成し
た。
【0045】第2工程:酵素分解処理装置3の反応槽1
1の投入口部では、原料となる有機質物として、豚糞4
0:牛糞60の混合比率の有機質物原料1000kgに
前記用意した有機質物の発酵分解促進資材3リットル
と、ミネラル水9リットル、米糠1リットル、麩1リッ
トル等の養分補助材と、熟成状態のもどしコンポスト3
00kgを水分調整材用の補助資材として加えて全体を
50〜70%程度の水分含量に調整した複合有機質物原
料になす。
【0046】第3工程:上記有機質物原料、有機質物の
発酵分解促進資材、養分補助材、水分調整材用の補助資
材を原料混合コンベアで混合して複合有機質物原料とな
しながら反応槽に投入し、これを30〜45℃に温度調
整しながら、1時間〜3時間攪拌して複合有機質物原料
全体が均一になるよう混合調製する。この際、30〜4
5℃に温度調整することが大切である。なぜなら好気性
発酵や気温の上昇や攪拌摩擦などが原因となって50℃
以上の温度になると、熱に弱い酵素が失活してしまうか
らである。なお、第2工程の複合有機質物原料の調製と
水分含量の調整を攪拌混合型酵素反応槽にて行う場合に
は、不用意な好気性発酵による部分的な温度上昇が起こ
らないように養分補助材、水分調整材用の補助資材の一
部(約1/3)を先に投入しておき、攪拌混合型酵素反
応槽の攪拌混合機構を駆動しながら、後から有機質物原
料に有機質物の発酵分解促進資材を噴霧しながら徐々に
投入して、全体が均一になるまで、約2時間程攪拌混合
調製をする。尚、有機質物の発酵分解促進資材中の酵素
は、この攪拌混合調製の間にもその分解作用を開始し有
機質物原料の一部を酵素分解し始め、このように攪拌混
合をしながら酵素分解処理をし、これによって臭気の抑
制された状態を維持しながら、原料が均一に混合され、
半分解し、水分が調整された状態に調製された一次分解
複合有機質物となる。
【0047】第4工程:次に、当該均一に混合され分解
し、水分調整された状態に調製された一次分解複合有機
質物原料を反応槽11から取り出し酵素分解処理場に貯
留堆積したままにして、30〜45℃に温度調整しなが
ら約24時間寝かせて充分に酵素分解処理させる。当該
均一に混合調製された複合有機質物原料を寝かせる場所
は、反応槽内に収納したままでも良いが、前記のように
取出して日陰で温度の上昇しない酵素分解処理場に貯留
堆積しておいても良いこと勿論である。
【0048】第5工程:その後、当該一次分解複合有機
質物原料を発酵分解処理装置4の発酵槽23内に投入
し、温風送風機14を作動して発酵槽23の底部から温
風を吹き入れながら発酵させるようにすると、原料が微
生物の繁殖し易い半分解状態になっているうえ、栄養成
分と微生物が豊富に含まれており、更に水分含量も好適
に調整されているので、複合有機質物原料の全体に急速
な好気性発酵が安定して起こり、たちまち60〜80℃
に発熱して盛んな発酵分解処理が効率良くおこなわれ
る。その結果、約10日程度の発酵処理で熟成状態のコ
ンポストに製造することが出来る。即ち、本発明は、有
機質物原料を分解処理して熟成コンポスト(有機肥料)
に製造するのに、約12〜13日あれば充分である。こ
れは従来の熟成コンポスト(有機肥料)の製造に、従来
急いでも20日〜25日程かかるのと比較すると、大幅
にその処理期間が短縮されたことになる。
【0049】このようにして製造されたコンポストの成
分を分析すると、次のようになった。 水分 23.0 % 全窒素 2.1 % 有機態窒素 1.9 % アンモニア性窒素 0.2 % 全カリウム(K2O) 2.5 % 全リン(P) 5.3 %
【0050】本発明に係る有機質物の環境保全型高速コ
ンポストの製造施設により、コンポストの製造方法は、
完熟状態に分解処理されており、上記のように窒素、リ
ン酸、カリ成分ともに含量が多いので、肥料として高品
質であった。この熟成した有機肥料に直接小松菜種子を
植えても発芽は100%となり、しかもその小松菜は発
育障害のない状態で、大きく成長した。
【0051】<実施例2>発明者は、本発明の実施例用
に用意した前記図1に示したような環境保全型高速コン
ポスト製造施設と、前記発酵分解促進資材とを利用し
て、上記実施例1により有機質物を原料としてコンポス
トの製造した際の悪臭発生状況を測定し、このコンポス
ト製造方法の悪臭防止又は脱臭効果実証試験を確認し
た。試験計画は次の通りである。
【0052】(1)パイロットプラント 前記図1に示したようなコンポスト製造施設をパイロッ
トプラントとして利用する。詳細なコンポスト製造施設
の説明は、前述したので、ここでは記載を省略する。
【0053】(2)脱臭方法 原料に発明者らが開発した脱臭資材である発酵分解促進
資材を混入して、悪臭の原因となる成分の発生を阻止す
る。発生した悪臭を回収し脱臭するのではなく、悪臭を
可及的に発生させないように抑制する方法である。
【0054】(3)脱臭資材 発明者らが開発した発酵分解促進資材を使用する。前記
実施例用に用意した発酵分解促進資材の具体的な製造方
法は前述したので、ここでは記載を省略するが、その特
徴は、米糠と米麹を主原料として混合して、麹菌、酵
母、乳酸菌を使用して発酵させた発酵液である。発酵液
中にはエタノール、有機酸として酢酸、乳酸を主な成分
とし含むpH4.0±0.5前後の酸性溶液である。こ
れには上述の微生物及びその生産する菌体外酵素(糖化
酵素、蛋白質分解酵素等)を含有し、コンポストの発酵
工程を改善する効果を有していると同時に、脱臭効果も
有するものである。
【0055】(4)脱臭のメカニズム コンポスト製造施設に搬入された有機質物原料に発酵分
解促進資材を混入すると、有機質物原料中に含まれるア
ンモニアは、発酵分解促進資材に含まれる有機酸が反応
してアンモニウム塩となり、一次的にアンモニアの揮発
が抑制される。
【0056】更に、好気性状態で維持することにより、
このアンモニウム塩は、発酵分解促進資材に含まれる微
生物の窒素源として、菌体内に直ちに取り込まれ、菌体
成分(蛋白質)の合成に利用される。すなわち、発酵分
解促進資材は、上述の微生物及びその生産する菌体外酵
素(糖化酵素、蛋白質分解酵素等)を含有し、有機質物
原料の分解を促進し、微生物の増殖を速めると同時に、
微生物が増殖するために有機酸アンモニウム塩を窒素源
として速やかに利用するため、脱臭効果を発揮するので
ある。
【0057】従来法では、原料中に含まれる微生物の濃
度が低いため、微生物の濃度が低いため、微生物の増殖
を待つ必要があり、初期に発生したアンモニア等は揮発
し悪臭となるが、発酵分解促進資材と混合されることに
より、まずアンモニアは有機酸塩となり、揮発しにくく
なり、ついで酵素により炭素源の糖化・分解が促進さ
れ、高濃度に含有される微生物の増殖に利用される。こ
のときアンモニウム塩が窒素源として速やかに利用され
るため、アンモニアの揮発を防止し、臭気発生を抑制す
るとともに、窒素源の有効活用を図ることができます。
次の反応式では、生物細胞をC2H7NO2と表した場
合の酢酸アンモニウムの例を示します。
【0058】(5)脱臭試験の方法 実施例1の有機質物を原料としたコンポストの製造方法
の過程で定期的に臭い成分を測定する。当該臭い成分の
測定、分析、脱臭効果の評価は、第三者の環境計量事業
資格者に依頼する。詳細なコンポスト製造方法について
は、前述したので、ここでは記載を省略する。本実施例
2の具体的な試料である有機質物原料は、豚糞40:牛
糞60の混合比率の混合物である。尚、臭いの測定方法
は、悪臭防止法工程方法による。
【0059】(6)脱臭効果 悪臭防止法公定方法による臭気濃度測定結果にもとづ
き、脱臭効果を考察すると、次のようになる。
【0060】<A.有機質物原料投入時の臭気>有機質
物原料である家畜糞尿に養分補助材と水分調整材用の補
助資材とを加えて複合有機質物原料になした直後は、原
料の臭いがそのまま揮発発散するので、強烈な臭いがあ
る。その際の悪臭の主な成分は、図7に示す通り、アン
モニアや硫化水素やメチルメルカプタン硫化メチル等で
ある。これをいかに早く脱臭するかが、環境保護を重視
するコンポスト化処理技術においては、重要な技術課題
である
【0061】<B.発酵分解促進資材投入後2時間の臭
気>有機質物原料、有機質物の発酵分解促進資材、養分
補助材、水分調整材用の補助資材を原料混合コンベアで
混合しながら反応槽11に投入し、これを30〜45℃
に温度調整しながら、2時間攪拌して複合有機質物原料
全体が均一になるよう混合調製すると、図8に示したよ
うに臭気が大幅に抑制されるようになった。悪臭の主成
分のうちでも多量にあるアンモニアやアミン類は弱アル
カリ性であるのに対し、発酵分解促進資材は酸性溶液に
なっているので、これに中和され臭気が消えた。又、硫
化水素や、メチルメルカプタンなどの含硫化合物や、ア
セトアルデヒドなどのアルデヒド類は、発酵分解促進資
材に含まれるアルコールなどによって溶解力のある溶液
が含まれているので、臭気がこれらに可溶化して脱臭し
たのである。
【0062】<C.発酵分解促進資材投入後24時間の
臭気>均一に混合調製された複合有機質物原料を取り出
し酵素分解処理場12に貯留堆積したままにして、30
〜45℃に温度調整しながら24時間寝かせて充分に酵
素分解処理させた時の臭気は、図9であった。既にほと
んどの臭気が消えた状態になっている。
【0063】<D.発酵槽内の攪拌前/攪拌後の臭気>
当該酵素分解処理された複合有機質物原料を発酵槽内に
投入し、温風送風機を作動して発酵槽の底部から温風を
吹き入れながら発酵させるようにした直後で攪拌前の臭
気を計測したのが図10であり、複合有機質物原料を発
酵槽内で攪拌機により攪拌した直後の臭気を計測したの
が図11である。複合有機質物原料の全体に急速な好気
性発酵が安定して起こり、温度が62℃に上昇している
が、もう悪臭が発せられることがない。
【0064】<E.発酵槽建家内中央部の臭気>発酵槽
を設置した建家内のほぼ中央部における臭気を計測した
結果が、図12である。この計測時には発酵槽内で盛ん
に好気性発酵が行われている状態であったが、検出でき
る臭気は殆ど発生していない。
【0065】<F.敷地境界における臭気>発酵槽を設
置した建家の建ててある敷地境界の風下における臭気を
計測した結果が図13であり、同敷地境界のコンポスト
出口側における臭気を計測した結果が図14である。既
に風下でもコンポスト出口側でも、ほとんどの臭気が検
地できないほどの無臭状態にある。このような状態で
は、近隣から悪臭でクレームが起こることはない。
【0066】
【効果】本発明にかかる有機質物の環境保全型高速コン
ポストの製造施設を用いて、有機質物の発酵分解促進資
材又は適合型発酵分解促進資材と補助資材等を混合して
水分含量の調製された複合有機質物原料となし、それを
45℃以下の温度に調整しながら均一になるまで攪拌混
合し、これによって酵素を確実に前記複合有機質物原料
全体に接触させるとともに当該酵素の活性化を図り、効
率的に且つ充分に酵素分解処理をなす。その後に充分に
酵素分解処理をした複合有機質物原料に温風を吹き入れ
て微生物を活性化し、これによって効率的に発酵分解処
理をすることとする。このように酵素分解処理と発酵分
解処理を段階的に順次行い、その両処理方式の相乗効果
によって、悪臭を防止しながらより短期間に熟成状態と
なるようにした有機質物をコンポストに製造することが
できた。
【0067】当該有機質物の発酵分解促進資材は、微生
物が生成した発酵酵素を多量に含んでいるので、これを
有機質物に混入すると前処理として酵素が働いて、有機
質物の構成成分の一部または全部を短時間に分解した状
態にするとともに、栄養源を生成し、これらが引き続き
行われる微生物による発酵分解作用を助け促進させる能
力がある。
【0068】また、当該有機質物の発酵分解促進資材
は、生成された乳酸その他の有機酸によって酸性溶液と
なっているので、アンモニアやアミン類などのアルカリ
性臭気を中和、吸着して瞬時に消臭するだけでなく、溶
解力のある水やアルコールなどを含む発酵酵素液となっ
ているので、含硫化物の臭気やアルデヒド類および脂肪
酸類の臭気についても溶解吸着して消臭する能力があ
る。このような能力を有する発酵分解促進資材を有機質
物原料と混合すれば、前記有機質物の悪臭を発する主成
分を迅速に且つ継続的に消失させることができる効果が
ある。
【0069】当該有機質物の発酵分解促進資材は、複雑
で多様な成分が混在している有機質物を発酵酵素により
分解したり、自己消化により微生物の好む栄養源を自ら
次々と生成するので、微生物の増殖と活動を活性化して
発酵促進効果を相乗的に増幅する。従って、当該有機質
物の発酵分解促進資材を利用して、その保有する能力を
上手に発現するような方法で有機質物を分解して無害化
し、コンポストを製造すればその悪臭を防止しながら短
期間に効率良く実現できる。
【0070】本発明にかかる有機質物の環境保全型高速
コンポストの製造施設を用いて、コンポストを製造すれ
ば、このような有機質物の発酵分解促進資材又は適合型
発酵分解促進資材を用いているので、多様で複雑な有機
質物原料であっても、これを分解しコンポスト化する処
理を可及的に短期間で行うことと、当該分解処理過程に
おける悪臭を可及的に防止・抑制しながら行うことを、
同時に且つ効率的に実現することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる有機質物の環境保全型高速コ
ンポストの製造施設の全体の構成とその作業工程を示す
フローシートの説明図である。
【図2】 本発明にかかる有機質物の環境保全型高速コ
ンポストの製造施設の実施例を示す配置図である。
【図3】 本発明に係る酵素分解処理装置を示す縦断側
面図である。
【図4】 本発明にかかる同酵素分解処理装置の平面図
である。
【図5】 本発明にかかる酵素分解処理装置の反応槽の
内部を示す平面図である。
【図6】 本発明にかかる酵素分解処理装置の円筒体を
示すもので、その(イ)は、円筒体の正面図、(ロ)
は、同円筒体の縦断正面図である。
【図7】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
有機質物原料投入時の臭気を計測した計測した結果を示
す表である。
【図8】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
発酵分解促進資材投入後2時間の臭気を計測した結果を
示す表である。
【図9】 本発明に係るコンポスト製造方法において、
発酵分解促進資材投入後24時間の臭気を計測した結果
を示す表である。
【図10】 本発明に係るコンポスト製造方法におい
て、発酵槽内の攪拌前の臭気を計測した結果を示す表で
ある。
【図11】 本発明に係るコンポスト製造方法におい
て、発酵槽内の攪拌後の臭気を計測した結果を示す表で
ある。
【図12】 本発明に係るコンポスト製造方法におい
て、発酵槽建家内中央部の臭気を計測した結果を示す表
である。
【図13】 本発明に係るコンポスト製造方法におい
て、敷地境界の風下における臭気を計測した結果を示す
表である。
【図14】 本発明に係るコンポスト製造方法におい
て、敷地境界のコンポスト出口側における臭気を計測し
た結果を示す表である。
【符号の説明】 1…原料受入れ装置 2…酵素分解促進資材準備装置 3…酵素分解処理装置 4…発酵分解処理装置 5…原料受入れホッパ 6…原料定量切出しコンベア 8…発酵分解促進資材調製槽 9…貯蔵槽 10…調製供給槽 11…反応槽 12…円筒体 12a…切り溝 13…原動機 14…スクリューコンベア 14a…羽根部分 15…上昇移送機溝部 16…かき寄せ羽根 16a…軸部 17…原料誘導部 18…拡散羽根 19…原料拡散部 20…取出しコンベア 21…酵素分解処理場 22…一次分解複合有機質物原料移送コンベア 23…発酵槽 24…撹拌移送機 25…熟成推肥置場 26…排水槽 27…排気装置 28…フード 29…排気管 30…温風送風機 31…空気注入装置
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12M 1/00 B09B 3/00 D Fターム(参考) 4B029 AA03 BB01 CC07 EA09 EA16 4D004 AA01 AA02 AA03 AA04 BA04 CA15 CA19 CA20 CA48 CB02 CB03 CB04 CB24 CC03 CC07 CC15 4D059 AA01 AA03 AA07 AA08 BA02 BA03 BA23 BA26 BA29 BA42 BA44 BA45 BA48 BJ02 BK01 CA15 CA27 CB06 CB18 CC01 4G078 AA02 AB20 BA05 CA06 DA01 DA09 DA28 4H061 AA03 CC32 CC36 CC42 CC51 CC55 EE66 EE68 GG02 GG12 GG48 HH42

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料受入れ装置と発酵分解処理装置との
    中間部に、有機質物の発酵分解促進資材を貯蔵し調整供
    給する酵素分解促進資材準備装置と、有機質物原料に有
    機質物の発酵分解促進資材と必要に応じて調整補助資材
    を加えて混合して複合有機質物になすとともに、当該複
    合有機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理して、発酵
    分解し易い半分解処理状態となす酵素分解処理装置とを
    配設したことを特徴とする有機質物の環境保全型高速コ
    ンポストに製造施設。
  2. 【請求項2】 原料受入れ装置と発酵分解処理装置との
    中間部に、有機質発酵基材に水と酵素と微生物を含ませ
    て発酵させ、酵素にアルコールや乳酸菌や有機酸を含む
    酸性溶液に生成したことを特徴とする有機質物の発酵分
    解促進資材、又は当該発酵分解促進資材に有機質物原料
    若しくはその搾り汁を混入して発酵分解させてなる有機
    質物原料分解活性をもった適合型発酵分解促進資材を貯
    蔵し調整供給する酵素分解促進資材準備装置と、有機質
    物原料に有機質物の発酵分解促進資材と必要に応じて調
    整補助資材を加えて混合して複合有機質物になすととも
    に、当該複合有機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理
    して、発酵分解し易い半分解処理状態となす酵素分解処
    理装置とを設置し、原料受入れ装置に受入れ貯留した有
    機質物原料を、酵素分解処理装置に移送して臭気の抑制
    された状態の複合有機質物となすとともに、酵素分解処
    理装置にて当該複合有機質物を攪拌混合しながら酵素分
    解処理をして、臭気の抑制された状態を維持しながら、
    原料が均一に混合され、半分解し、水分が調整された発
    酵分解され易い状態に調製された一次分解複合有機質物
    となし、その後、当該臭気の抑制された一次分解複合有
    機質物を発酵分解処理装置に移送投入して好気性発酵分
    解処理を行い、臭気を抑制しながら短期間に有機質物を
    コンポストに製造するようにしたことを特徴とする有機
    質物の環境保全型高速コンポストに製造施設。
  3. 【請求項3】 原料受入れ装置と発酵分解処理装置との
    中間部に、有機質物の発酵分解促進資材を貯蔵し調整供
    給する酵素分解促進資材準備装置と、有機質物原料に有
    機質物の発酵分解促進資材と必要に応じて調整補助資材
    を加えて混合して複合有機質物になすとともに、当該複
    合有機質物を攪拌混合しながら酵素分解処理して発酵分
    解され易い一次分解処理状態となす酵素分解処理装置と
    を配設したことを特徴とする有機質物の環境保全型高速
    コンポストの製造施設において、前記酵素分解促進資材
    準備装置を、有機質物の発酵分解促進資材原液を製造し
    得る発酵分解促進資材調製槽と出来た発酵分解促進資材
    原液を貯蔵しておく貯蔵槽と、貯蔵され発酵分解促進資
    材原液を必要量取出し、使用対象や用途に応じて適切に
    調整するとともにこれを送り出し供給できるようにした
    調整供給槽とから構成されており、前記酵素分解処理装
    置は、粘性固体状の複合有機質物を収納し得る縦型の反
    応槽と、その中心部には、その底部から同心円状の円筒
    体を立ち上げるとともに当該円筒体内を貫通する原動機
    付きスクリューコンベアを植立し、その螺旋形状羽根部
    の外周面が前記円筒体の内面を摺動しながら回転自在な
    るように組み立て構成してなる原料上昇移送機構部を設
    け、前記反応槽内の底面上位置には、粘性固体物を中心
    部にかき寄せることのできるかき寄せ羽根をスクリュー
    コンベアの軸部に固着してスクリューコンベアの回転に
    伴って回転し粘性固体状の複合有機質物を上昇移送機構
    部のスクリューコンベアの羽根部分にまでにかき寄せ誘
    導する原料誘導部を設け、更に、植立する円筒体の上端
    部のすぐ上位置には、拡散羽根をスクリューコンベアの
    軸部に固着してスクリューコンベアの回転に伴って回転
    し、原料上昇移送機構部により上昇移送されてきて上端
    より溢出する複合有機質物を縦型反応槽全体に拡散する
    原料拡散部を設けておき、反応槽内に投入された粘性固
    体状の複合有機質物が、蓄積した自重により下に沈降
    し、その蓄積した複合有機質物の下端部を、原料誘導部
    の回転動作により所定量づつ切出し、上昇移送機構部の
    スクリューコンベアの下部にまでかき寄せスクリューコ
    ンベアの羽根部分に供給誘導して、植立する円筒体内を
    徐々に上昇移送し、上端より溢出する複合有機質物を原
    料拡散部の拡散羽根により縦型反応槽全体に拡散するよ
    うにして、複合有機質物は、反応槽内を攪拌混合しなが
    ら一巡したことになり、このような循回を繰り返しての
    攪拌混合をしながら酵素分解処理をし、これによって臭
    気の抑制された状態を維持しながら、原料が均一に混合
    され、半分解し、水分が調整された状態に調製された一
    次分解複合有機質物となし、その後、当該臭気の抑制さ
    れた一次分解複合有機質物を発酵分解処理装置に移送投
    入して好気性発酵分解処理を行い、臭気を抑制しながら
    短期間に有機質物をコンポストに製造するようにしたこ
    とを特徴とする有機質物の環境保全型高速コンポストの
    製造施設。
  4. 【請求項4】 前記有機質物の発酵分解促進資材、又は
    適合型発酵分解促進資材が、有機質発酵基材に水と酵素
    と微生物を含ませて発酵させ、酵素にアルコールや乳酸
    菌や有機酸を含む酸性溶液に生成したことを特徴とする
    有機質物の発酵分解促進資材、若しくは当該発酵分解促
    進資材に有機質物原料若しくはその搾り汁を混入して発
    酵分解させてなる有機質物原料分解活性をもった適合型
    発酵分解促進資材、若しくは、米糠または麩と水を加熱
    処理したものに、麹とミネラル成分の含有した水を混合
    し、主に麹の酵素で自己消化させて酵素消化液となし、
    これに当該酵母を加えて発酵させ、前記酵素消化液にア
    ルコールや乳酸菌や有機酸を含む酸性溶液に生成したこ
    とを特徴とする有機質物の発酵分解促進資材、若しくは
    米糠または麩7±5%と水60±10%をほぼ70〜8
    0℃前後に加熱処理して55〜60℃にしたものに麹21±
    9%とミネラル成分の含有した鉱泉水および/またはミ
    ネラル水7±5%を混合して、主に麹の酵素により55
    〜60℃で1〜3時間自己消化させて糖化生成した酵素
    消化液となし、これを30℃以下の常温に冷ましたう
    え、この酵素消化液に酵母0.2〜0.5%を加えて3
    0〜35℃前後で1〜3日間発酵させて、生成されたア
    ルコールや乳酸菌や有機酸を含むpH4.0±0.5前
    後の酸性溶液にしたことを特徴とする有機質物の発酵分
    解促進資材、若しくは、前記有機質物の発酵分解促進資
    材に、有機質物原料の搾り汁を混入して、発酵分解させ
    てなる有機質物原料分解活性をもった適合型発酵分解促
    進資材、若しくは、前記有機質物の発酵分解促進資材に
    植物性蛋白質を主体とする有機質物を混入して発酵分解
    させてなる植物性有機質物分解活性をもった適合型発酵
    分解促進資材、若しくは、前記植物性有機質物分解活性
    をもった適合型発酵分解促進資材に動物性蛋白質を主体
    とする有機質物を混入して発酵分解させてなる動物性有
    機質物の発酵分解活性をもった適合型発酵分解促進資材
    の何れか単独および/又はこれらの組合せであることを
    特徴とする、請求項1、若しくは請求項2、若しくは請
    求項3に記載する有機質物の環境保全型高速コンポスト
    の製造施設。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114425557A (zh) * 2022-04-06 2022-05-03 深圳市合威电器有限公司 一种基于互联网的厨余垃圾处理的搅拌器控制系统及方法
CN118308194A (zh) * 2024-05-11 2024-07-09 江苏奕农生物股份有限公司 一种复合生物酶混料控制系统

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