JP2003236564A - 金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法 - Google Patents
金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法Info
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Abstract
を資源として回収し、産業廃棄物の量を削減すると同時
に、金属回収に用いる薬剤を再利用することが可能な金
属フッ化物を含む水溶液の処理方法の提供。 【解決手段】下記工程A〜Cを備える金属フッ化物を含
有する水溶液の処理方法: (工程A)水酸化アンモニウムおよび/またはアンモニ
アを前記水溶液に添加する工程; (工程B)前記工程Aにより生じた沈殿物を分離する工
程;および (工程C)前記工程Bにより沈殿物を分離した水溶液を
電気透析する工程。
Description
む水溶液の処理方法に係り、より詳しくは、当該水溶液
を処理する際に用いた薬剤の再利用も考慮した金属フッ
化物を含む水溶液の処理方法に関する。
などの製造では、焼鈍などの加熱工程において、表面に
酸化スケールが生成する。この酸化スケールは、通常は
酸洗により除去される。
とフッ化水素酸を適切な割合で混合した硝フッ酸水溶液
が慣用されるが、チタンを脱スケールする場合には、酸
洗液としてフッ化水素酸を単独で用いた水溶液が使用さ
れることもある。また、半導体材料の金属シリコンは、
その製造中に硝フッ酸水溶液で酸洗される。
洗によって液中の遊離酸が消費されると同時に、液中に
チタン、鉄、クロム、シリコン等のイオンが溶け出して
フッ化物が生成するため、処理量が増すにつれて酸洗液
としての能力が低下する。
定の回復が期待できるが、金属の溶解量が多くなるにつ
れて回復の程度が小さくなるので、一定の使用限度を超
えた酸洗液は廃液として処分される。
くの遊離酸や金属のフッ化物を含有するため、そのまま
一般の下水などに放出することはできない。したがっ
て、通常は水酸化カルシウムなどのアルカリを用いて中
和処理し、含有する金属を水酸化物等の沈殿物として分
離した後、排水として放出している。また、金属の水酸
化物の沈殿物には、フッ化カルシウムなどのフッ化物が
多量に含まれているため、公害を出さないように処理を
した後、産業廃棄物として処分する必要がある。
の研究が行われている。例えば、特公昭45−7647
号公報には、ステンレス鋼の酸洗に用いた硝フッ酸等の
廃液を水酸化カルシウムを用いて中和処理し、中和処理
時のpHを調節することによって廃液中に含まれるFe、
Cr、Ni等の金属をそれぞれに分離して水酸化物の形で回
収する方法が開示されている。
ついて適用したところ、中和処理により得られる水酸化
チタンの沈殿物は、多量のカルシウムやフッ素を含有し
ているため、純度が低くそのまま資源として再利用する
ことが困難であることを知得した。
た特公昭45−7647号公報に開示された発明に対
し、再利用性を改善した発明を開示した。すなわち、特
開2000−265223号公報において、チタンのフ
ッ化物を含む水溶液に水酸化アンモニウムまたはアンモ
ニアを添加することによって、水酸化チタンとして沈殿
・分離する方法である。
量の少ない水酸化チタンの沈殿物を得ることができる
が、沈殿物を分離した後の水溶液には多量のアンモニウ
ムイオンやフッ素イオンが含まれるため、この水溶液を
そのまま排出すると環境を著しく汚染するという問題が
ある。
とにより、酸洗で生じた廃液中に含まれる高価な金属を
資源として回収し、産業廃棄物の量を削減すると同時
に、金属回収に用いる薬剤を再利用することが可能な金
属フッ化物を含む水溶液の処理方法を提供することにあ
る。
水溶液に限らず、金属フッ化物を含む水溶液にアルカリ
性薬品を添加することによって、金属を水酸化物として
沈殿させる場合には、水酸化物の沈殿物にフッ素が含ま
れる。特に、金属がチタン、鉄、クロムまたはシリコン
の場合には、これらの金属はフッ化物を作りやすいた
め、水酸化物の沈殿物中にフッ素が多く含有される。
を少なくするために、添加するアルカリ性薬品の種類や
添加量(すなわち、添加後の水溶液のpH)を種々に変
えた試験を行った結果、アルカリ性薬品として水酸化ア
ンモニウムまたはアンモニアが最も優れており、アルカ
リ性薬品を溶解した水溶液のpHは9〜11程度とする
のがよいことを見い出した。
より分離した後の水溶液には、多量のアンモニウムイオ
ン、フッ素イオンまたは硝酸イオンが含有されるため、
そのまま下水道などに排水として放出することはできな
い。
ニウムイオン、フッ素イオンおよび硝酸イオンの処理方
法について検討した。
有する水溶液に電気透析処理を施し、水酸化アンモニウ
ム、フッ化水素水および硝酸として回収する。このよう
にすれば、フッ化水素水および硝酸は、酸化スケールの
酸洗液として再利用でき、さらに水酸化アンモニウム
も、上記のアルカリ性薬品として再利用できる。
有する水溶液にイオン交換処理を施し、陽イオンである
アンモニウムイオンをトラップすることで、フッ化水素
水および硝酸を生成・分離する。こうして得られたフッ
化水素水および硝酸は、金属材料の酸洗用溶液として再
利用できる。一方、アンモニウムイオンは、イオン交換
体から取りさせば、上記のアルカリ性薬品として再利用
できる。
有する水溶液にイオン交換処理を施し、陰イオンである
フッ素イオンや硝酸イオンをトラップすることで、水酸
化アンモニウムを生成・分離する。こうして得られた水
酸化アンモニウムは、上記のアルカリ性薬品として再利
用できる。一方、フッ素イオンおよび硝酸イオンは、イ
オン交換体から取りさせば、金属材料の酸洗用溶液とし
て再利用できる。
発明であって、下記(1)〜(8)の金属フッ化物を含
有する水溶液の処理方法を要旨としている。
とする金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程A)水酸化アンモニウムおよび/またはアンモニ
アを前記水溶液に添加する工程; (工程B)前記工程Aにより生じた沈殿物を分離する工
程;および (工程C)前記工程Bにより沈殿物を分離した水溶液を
電気透析する工程。
とする金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程a)水酸化アンモニウムおよび/またはアンモニ
アを前記水溶液に添加する工程; (工程b)前記工程aにより生じた沈殿物を分離する工
程;および (工程c)前記工程bにより沈殿物を分離した水溶液を
陽イオン交換体でイオン交換する工程。
(2)の金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程d)前記工程cでイオン交換を行った陽イオン交
換体に酸溶液を作用させる工程;および (工程e)前記工程dにより陽イオン交換体に酸溶液を
作用させることにより得られた溶液にアルカリを添加す
る工程。
とする金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程f)水酸化アンモニウムおよび/またはアンモニ
アを前記水溶液に添加する工程; (工程g)前記工程fにより生じた沈殿物を分離する工
程;および (工程h)前記工程gにより沈殿物を分離した水溶液を
陰イオン交換体でイオン交換する工程。
金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程i)前記工程hでイオン交換を行った陰イオン交
換体に水を作用させる工程。
おいて、沈殿物を分離した後の水溶液を蒸留する(1)
〜(5)の何れかの金属フッ化物を含有する水溶液の処
理方法。
が、Ti、Fe、CrおよびSiの一種または二種以上である
(1)〜(6)の何れかの金属フッ化物を含有する水溶
液の処理方法。
が、フッ化水素酸を含有する水溶液で、金属を酸洗する
ことにより生じた廃液である(1)〜(7)の何れかの
金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法。
る水溶液の処理方法に関するものである。以下、金属フ
ッ化物を含有する水溶液およびこれを処理する過程で生
じる溶液を単に「溶液」ともいう。本発明は、特に、フ
ッ化水素酸を含有する水溶液でチタン、ステンレス鋼、
金属シリコンなどの金属を酸洗することによって生じた
廃液を有効に処理できる。ここで酸洗に用いる水溶液
は、フッ化水素酸を含有するものであるが、フッ化水素
酸以外にも、硝酸、塩酸、硫酸などを含有していてもよ
い。廃液中の金属イオン濃度が高いと、水酸化物の生成
量が多くなり、廃液の撹拌が不十分になる等の不都合が
生じる。この場合には、あらかじめ廃液に水を加えて、
適当な濃度に調節することもできる。
したときに、廃液中に溶出される金属イオンと廃液に残
留する酸洗液の陰イオンについて示したものである。同
表に示すように、酸洗液と被酸洗金属の組み合わせによ
り、金属イオンと陰イオンは異なる。厳密に言えば、金
属イオンは、金属とフッ素が結合した種々の錯イオン
(例えば、TiF6 2−、FeF2+、FeF2 +、SiF6
2−等)として廃液中に含有されると言われるが、以下
では、便宜上これらの金属のフッ化物(例えば、Ti
F3、TiF4、FeF3、CrF3、SiF4)の形で含有さ
れているものとして化学反応を説明する。
溶液を処理する工程の一例を示した図である。なお、同
図下方には、処理に伴う化学反応式も示した。
処理方法は、下記工程A〜Cの3工程からなる。
はアンモニアを前記水溶液に添加する工程; 工程B:前記工程Aにより生じた沈殿物を分離する工程 工程C:前記工程Bにより沈殿物を分離した水溶液を電
気透析する工程 まず、工程Aでは、水酸化アンモニウムおよび/または
アンモニアの添加により中和処理を行う(図1、
)。このとき、市販の水酸化アンモニウム水溶液(ア
ンモニア濃度約28%;通常、濃アンモニア水と呼ばれ
る)を使用する場合には、適当な濃度(10〜20%程度)
に水で薄めて用いればよい。また、アンモニアを使用す
る場合には、純アンモニアガスと空気や水蒸気などとの
混合ガスを溶液に吹き込めばよい(図1)。なお、ア
ンモニアは、一般に水と反応して水酸化アンモニウムを
生成する。よって、アンモニアを添加することは、実質
的に水酸化アンモニウムを添加することと同一であり、
以下では、水酸化アンモニウムを添加する場合について
説明する。
すると同時に溶液のpHを測定しながら行う。pHの測
定にはpHメータを使用することが好ましいが、pH試
験紙を用いてもよい。
すると、まず、最初に溶液に残留している遊離酸、すな
わち、フッ化水素酸(HF)および硝酸(HNO3)が
水酸化アンモニウムと図1(1)式および(2)式のよ
うに反応して、フッ化アンモニウム(NH4F)、硝酸
アンモニウム(NH4NO3)および水(H2O)が生
成する(図1)。
て、溶液のpHが2〜3に上昇すると、チタンや鉄のイ
オンと水酸化アンモニウムが、図1(3)式、(4)式
および(5)式のように反応し始め、これらの水酸化物
が生成する(図1)。
酸水溶液を使用し、被酸洗金属にチタンを用いた場合
(前記表1No.1)には、チタンは3価の化合物(図1の
反応式では便宜上、3価のフッ化物であるTiF3で示
す)として溶け込んでいるので、pHを5以上にするこ
とにより図1(3)式の反応が進行し、水酸化物(Ti
(OH)3)として完全に沈殿し、同時にフッ化アンモ
ニウム(NH4F)が生成する。
用し、被酸洗金属にチタンを用いた場合(同表1No.2)
には、チタンは4価のイオン(TiF4)として溶け込ん
でいるので、pH3以上にすることにより図1(4)式
反応が進行し、Ti(OH)4とフッ化アンモニウムが生
成する。
用し、被酸洗金属にステンレス鋼を用いた場合(同表1
No.3)には、鉄は3価のイオン(FeF3)として溶け込
んでいるので、pH3以上にすることにより図1(5)
式の反応が進行し、Fe(OH)3とフッ化アンモニウム
が生成する。
以上にすることにより図1(6)式の反応が進行し、4
価のシリコン(SiF4)はpH6以上にすることにより
図1(7)式の反応が進行し、それぞれの水酸化物(Cr
(OH)3、Si(OH)4)とフッ化アンモニウムが生
成する(図1)。
イオンを水酸化物(Ti(OH)3、Ti(OH)4、Fe
(OH)3、Cr(OH)3、Si(OH)4)として沈殿
させることができる。
るのが好ましい。これにより、得られる水酸化物の純度
を高くすることができる。pHが9未満であると、生成
した沈殿中に金属フッ化物が多く残留し、またpHが1
1超であると必要以上の水酸化アンモニウムを添加する
ことになるので、経済上好ましくない。
とにより、水酸化物の沈殿を早くすることが可能であ
る。しかし、この場合には、添加した水酸化アンモニウ
ムの一部がアンモニアガスとして揮散するので、環境保
全の観点から、捕集のための装置などを取り付けること
が好ましい。
殿物を分離する(図1)。溶液から沈殿物を分離する
には、例えば、遠心分離法やろ過法により行えばよく、
市販の装置が利用できる。
や水酸化アンモニウムなどが含まれる。これらを除去
し、沈殿物の純度を高めるためには、必要に応じて2〜
5回程度沈殿物を水洗すればよい。このようにして得ら
れた水酸化物は、高純度であるため、乾燥後にステンレ
ス鋼製造の原料などとして利用することができる(図1
)。
は、フッ化アンモニウム(および硝酸アンモニウム)が
含有する。
溶液を電気透析し、溶液中のフッ化アンモニウム(およ
び硝酸アンモニウム)をフッ化水素酸(および硝酸)と
水酸化アンモニウムに分解する(図1)。
した断面図である。同図に示すように、電気透析装置の
電解槽は、陽イオン交換膜1、1'と陰イオン交換膜2、2'
で区切られたセル5〜9からなり、両端のセル8、9には、
電極(陽極3および陰極4)が配置される。溶液を電解槽
の中央のセル5に装入し、その隣の陽極側のセル6には、
希釈した硝フッ酸水溶液(0.2〜1mol/dm3程度)を、陰
極側のセル7には希釈した水酸化アンモニウム溶液(0.2
〜1mol/dm3程度)を装入する。
ば、硫酸(H2SO4)のような強酸の水溶液(濃度:
1〜4mol/dm3程度)を、陰極を挿入するセル9には水酸
化ナトリウム(NaOH)のような強アルカリの水溶液
(濃度:1〜4mol/dm3程度)を装入する。
フッ化アンモニウム(NH4F)、硝酸アンモニウム
(NH4NO3)および中和処理時に過剰に添加した水
酸化アンモニウム(NH4OH)が含有し、これらはほ
ぼ完全に陽イオン(NH4 +)と陰イオン(F−、NO
3 −、OH−)に解離する。また、セル8の硫酸および
セル9の水酸化ナトリウムもそれぞれ陽イオン(H+、N
a+)と陰イオン(SO 4 2−、OH−)に解離する。
始すると、溶液中の陽イオン(NH 4 +)は陰極方向へ
引き寄せられ、陽イオン交換膜1を通過してセル7に移動
し、陰イオン(F−、NO3 −、OH−)は陽極方向へ
引き寄せられ、陰イオン交換膜2を通過してセル6に移動
する。一方、セル8中の水素イオン(H+)は陰極方向
へ引き寄せられ、陽イオン交換膜1'を通過してセル6へ
移動し、セル9中の水酸基イオン(OH−)は陽極方向
へ引き寄せられ、陰イオン交換膜2'を通過してセル7へ
移動する。
(F−、NO3 −およびOH−)が流入し、セル8から
水素イオンが流入するため、セル6では、酸(HF、H
NO3)および水(H2O)が生成する。また、セル7
にはセル5からNH4 +イオンが流入し、セル9から水酸
基イオンが流入するため、セル7では、水酸化アンモニ
ウム(NH4OH)が生成する。
れる電気化学反応により水素イオン(H+)と酸素ガス
(O2)が生成し、水素イオンがセル8中に補充され、
陰極4の表面では、(B)式で表される電気化学反応に
より水酸基イオン(OH−)が生成し、セル9に水酸基
イオンが補充される。
セル7中の水酸化アンモニウム濃度は上昇する。このと
き、所望の濃度に達したら一部を抽出し、水を補充す
る。こうして抽出した水溶液は、チタンやステンレス鋼
の酸洗用の酸洗液として(図1)、または工程Aでの
水酸化アンモニウムとして(図1)再利用することが
できる。一方、セル5中の溶液の濃度は、電解時間の経
過につれて低下する。したがって、適宜一部または全部
を抽出して、電解処理がされていない溶液を補充する。
被覆したチタンなどの板、網またはガス拡散電極が利用
でき、陰極には、ニッケルまたは白金製の板、網または
ガス拡散電極が利用できる。
は、酸素ガスが必要であるので、ガス拡散電極以外の電
極を使用した場合には、セル9の水溶液中に空気や酸素
を吹き込んで撹拌することが好ましい。例えば、セル8
での陽極反応で発生した酸素ガスをセル9に導くなどし
てもよい。
極の材質、溶液の温度や濃度等によっても異なるが、通
常1.5〜3V程度とすることが好ましい。
た後に沈殿物を分離した溶液は、中和処理した際に過剰
に添加した水酸化アンモニウムを含有するので、これを
そのまま電解槽のセル5に入れて電気透析処理を行う
と、水酸化アンモニウムが解離して生じた水酸基イオン
はセル6へ移動し、水素イオン(H+)と反応して水が
生成する。一方、アンモニウムイオンはセル7へ移動し
て水酸基イオンと反応して水酸化アンモニウムとなる。
この結果、セル6で生成する酸の濃度が低下する。
ンモニウムの含有量が多いほど、電解に必要な電気量は
多くなる。したがって、電気透析処理を行う前の溶液中
の水酸化アンモニウムの含有量は少ないほどよい。
蒸留する、すなわち溶液中の過剰の水酸化アンモニウム
を蒸留して分離した後、電気透析処理を行うことが好ま
しい。溶液からアンモニアを分離するには適当なキャリ
アガスを吹き込めばよく(図1)、キャリアガス吹き
込みの際、溶液を加熱すればより分離が促進される。
気を用いることが好ましく、例えば、窒素ガスや水蒸気
なども用いることができる。分離速度を高めるためには
溶液を60〜100℃程度に加熱すればよいが、温度が
高いほど水蒸気の蒸発量が多くなるので、得られるアン
モニアの濃度は薄くなる。一方、温度が低いほどアンモ
ニア濃度は高くなるが、反応が完結するのに要する時間
は長くなるので、操業上の事情等を勘案して適当な温度
で実施すればよい。
アと水(水蒸気)が含まれる。このため、キャリアガス
中のアンモニアを水に吸収させることによってアンモニ
ア水を得ることができる(図1)。アンモニアを水に
吸収させるためには、種々の方法が適用でき、従来から
ガス吸収のために慣用されている充填塔、スプレー塔、
スクラバー、気泡撹拌槽等の吸収装置を用いればよい。
めには、吸収液である水の温度を低温にするのが好まし
く、必要に応じて冷却機を併用すればよい。また、吸収
液中のアンモニア濃度が高まるにつれて吸収効率が低下
するので、2機以上の吸収装置を直列に設置してキャリ
アガスを通過させ、最初の吸収装置の吸収液のアンモニ
ア濃度が10〜20%程度に高まったら、次の吸収装置
を最初の吸収装置としてキャリアガスを通過させるなど
してもよい。
収させたアンモニア(水酸化アンモニウム)は、工程A
における添加剤として用いる水酸化アンモニウムまたは
アンモニアの原料として再利用することができる(図1
A、A')。これにより、設備費が節約されると同時に
工程が簡略化されて、処理費の大幅な節約が可能とな
る。 (ii)陽イオン交換体によるイオン交換法を用いた溶
液の処理方法 図3は、陽イオン交換体によるイオン交換法を用いて金
属フッ化物を含有する溶液を処理する工程の一例を示し
た図である。この場合も図1の下方に示した、溶液の中
和処理に伴う反応式(1)〜(7)の反応が起こる。
ン交換法を用いた溶液の処理方法は、下記工程a〜cの
3工程からなる。これらの工程のうち、工程aおよび工
程bについては、上述した電気透析法を用いた溶液の処
理方法の工程Aおよび工程Bと同様に行うことができる
ので、以下では説明を省略する。
はアンモニアを前記水溶液に添加する工程; 工程b:前記工程aにより生じた沈殿物を分離する工
程;および 工程c:前記工程bにより沈殿物を分離した水溶液を陽
イオン交換体でイオン交換する工程。
たイオン交換法を施し、溶液からアンモニウムイオンを
トラップする。こうすることで、溶液中のフッ化アンモ
ニウム(および硝酸アンモニウム)をフッ化水素酸(お
よび硝酸)として取り出すことができる(図3)。
に示した断面図である。陽イオン交換体によるイオン交
換法を用いた処理では、同図に示すように、溶液はカラ
ム上方から注入され、陽イオン交換体11を通過し、イオ
ン交換された溶液がカラム下方より流出する。
オン交換樹脂または強酸性陽イオン交換繊維であり、注
入された溶液中に含有する陽イオン、すなわちアンモニ
ウムイオン(NH4 +)がイオン交換樹脂の官能基の水
素イオン(H+)と入れ替わり、(C)〜(E)式に示
すように、ふっ化水素酸(HF)、硝酸(HNO3)お
よび水(H2O)が生成する。なお、(C)〜(E)式
において、R−は陽イオン交換樹脂の陰イオン基を示
す。このようにイオン交換された溶液は、チタンやステ
ンレス鋼の酸洗用の酸洗液として再利用することができ
る(図3)。
を分離した溶液には中和処理した際に過剰に添加した水
酸化アンモニウムが含有するので、そのままイオン交換
すると、上記(E)式に示す反応によって水が生成し、
同時に(C)式および(D)式によって生成するフッ化
水素酸と硝酸の濃度が低下する。また、陽イオン交換体
11の交換容量には限度があるので、溶液中の水酸化アン
モニウムの量が多いほど陽イオン交換体11のイオン交換
能力が速く低下する。
ウムを蒸留して分離(図3)した後、溶液をイオン交
換することが好ましい。過剰の水酸化アンモニウムの蒸
留方法は、上記(i)電気透析法を用いた溶液の処理方
法の欄で述べた蒸留方法と同じである。
オン交換体には、酸溶液を作用させる(図3)。酸溶
液としては、塩酸や硫酸が好ましく、このときの濃度は
3mol/dm3程度で十分である。陽イオン交換体に酸溶液
が接触すると、(F)式に示す反応が進行し、アンモニ
ウムイオンが水素イオンと置換する。
により塩化アンモニウム(NH4Cl)が生成する。水
素イオンで置換して再生した陽イオン交換体は、水洗
し、陽イオン交換体の間隙に含まれる塩酸を除去するこ
とで、再びイオン交換処理に使用することができる(図
3)。
アンモニウムを含有する溶液には、アルカリを添加する
(図3)。アルカリは、水酸化ナトリウム(NaOH)
が好ましく、他には、水酸化カリウム(KOH)や水酸
化カルシウム(Ca(OH)2)を使用してもよい。この
とき、アルカリとして、水酸化ナトリウムを使用すれ
ば、図3(8)式のように反応しアンモニアが生成す
る。ここで、溶液からアンモニアを分離するには適当な
キャリアガスを吹き込めばよく(図3)、キャリアガ
ス吹き込みの際、溶液を加熱すればより分離が促進され
る。
ルカリの添加量は、少なくとも溶液中の塩化アンモニウ
ムが全てアンモニアに変化するために必要な量以上とす
ることが必要であるが、実際には溶液を撹拌しながらア
ルカリを添加し、同時に測定したpHが12〜14程度
になったところを終点とすればよい。また、あらかじめ
溶液中のアンモニウムイオン濃度を分析しておき、これ
に見合うアルカリの添加量を計算によって求めても良
い。
ニア、またはこれを水に吸収させたアンモニア水(水酸
化アンモニウム)は、工程aにおける添加剤として用い
ることができる。(図3)。また、アンモニアを分離
した後のアルカリ化合物を含有する溶液は化学薬品等の
用途に使用することができる(図3A)。
上記(i)電気透析法を用いた溶液の処理方法の欄で述
べた蒸留方法と同じである。 (iii)陰イオン交換体によるイオン交換法を用いた
溶液の処理方法 図5は、陰イオン交換体によるイオン交換法を用いて金
属フッ化物を含有する溶液を処理する工程の一例を示し
た図である。この場合も図1の下方に示した、溶液の中
和処理に伴う反応式(1)〜(7)の反応が起こる。
ン交換法を用いた溶液の処理方法は、下記工程f〜hの
3工程からなる。これらの工程のうち、工程fおよび工
程gについては、上述した電気透析法を用いた溶液の処
理方法の工程Aおよび工程Bと同様に行うことができる
ので、以下では説明を省略する。
はアンモニアを前記水溶液に添加する工程; 工程g:前記工程fにより生じた沈殿物を分離する工
程;および 工程h:前記工程gにより沈殿物を分離した水溶液を陰
イオン交換体でイオン交換する工程。
たイオン交換法を施し、溶液からフッ素イオンおよび硝
酸イオンをトラップする。こうすることで、溶液中のフ
ッ化アンモニウム(および硝酸アンモニウム)を水酸化
アンモニウムとして取り出すことができる(図5)。
を用いることができる。ただし、陰イオン交換体による
イオン交換法を用いた処理では、前述の陽イオン交換体
によるイオン交換法を用いた処理とは異なり、陽イオン
交換体11の代わりに陰イオン交換体11'が用いられる。
溶液はカラム上方から注入され、陰イオン交換体11'を
通過し、イオン交換された溶液がカラム下方より流出す
る。
イオン交換樹脂または強酸性陰イオン交換繊維であり、
注入された溶液中に含有する陰イオン、すなわちフッ素
イオン(F−)や硝酸イオン(NO3 −)がイオン交換
樹脂の官能基の水酸化物イオン(OH−)と入れ替わ
り、(G)および(H)式に示すように、水酸化アンモ
ニウム(NH4OH)が生成する。なお、(G)および
(H)式において、R+は陰イオン交換樹脂の陽イオン
基を示す。このようにイオン交換された溶液は、中和処
理用のアルカリ性薬品として再利用することができる
(図5)。
を分離した溶液には中和処理した際に過剰に添加した水
酸化アンモニウムが含有するので、上記(G)式および
(H)式で示す反応が進行しにくくなる。
ウムを蒸留して分離(図5)した後、溶液をイオン交
換することが好ましい。過剰の水酸化アンモニウムの蒸
留方法は、上記(i)電気透析法を用いた溶液の処理方
法の欄で述べた蒸留方法と同じである。
換した陰イオン交換体には、水を作用させる(図5
)。陰イオン交換体に水が接触すると、(I)式およ
び(J)式に示す反応が進行し、フッ酸イオン、硝酸イ
オンが水酸化物イオンと置換する。
ステンレス鋼の酸洗用の酸洗液として再利用することが
できる(図5)。
酸洗液を選択し、種々の金属を酸洗した。このとき生じ
た廃液を化学分析し、本発明の処理方法に基づいて処理
した。
組成成分を示す表である。なお、同表には、その廃液が
生じる原因となった被酸洗金属および酸洗液についても
示した。同表記号Aはチタンをフッ化水素酸で酸洗する
ことで生じた廃液、同表記号Bはチタンを硝フッ酸で酸
洗することで生じた廃液、同表記号Cはチタンおよびス
テンレス鋼を硝フッ酸で酸洗することで生じた廃液、同
表記号Dは金属シリコンを硝フッ酸で酸洗することで生
じた廃液である。以下では、各廃液に本発明を適用した
実施例についてそれぞれ示す。
1000cm3ずつ中和槽に入れ、純水1000cm3
を加えて撹拌しながら15%水酸化アンモニウム水溶
液を少しずつ添加し、pHを6、8または10に調節し
た。
面図である。中和槽で廃液中のフッ化物と水酸化アンモ
ニウムを十分に反応させて中和させた後、生成した沈殿
物と溶液をドレーン25から遠心分離器に移し、沈殿物と
溶液に分離した。沈殿物を分離した溶液のうち500cm3
を図2に模式的に示す電気透析装置のセル5に装入し、
さらにセル6には濃度が0.5mol/dm3の硝フッ酸溶液を、
セル7には濃度が0.5mol/dm3の水酸化アンモニウム溶液
を、セル8には濃度が2mol/dm3の硫酸溶液を、セル9に
は濃度が2mol/dm3の水酸化ナトリウム溶液を各500cm3
ずつを装入した。ここで、陽極3として酸化イリジウム
を被覆したチタン板(表面積:100cm2)、陰極4として
純ニッケル板(表面積:100cm2)を用い、陽イオン交
換膜1、1'として(株)トクヤマ製「ネオセプタCM
H」、陰イオン交換膜2、2'として「ネオセプタAM
H」を使用した。
し、1時間電解した後一旦電解を止め、セル5の溶液の
みを未処理の溶液に入れ替え、1時間電解する操作を4
回繰り返した。このとき、電解時にはセル9の底部から
空気を吹き込みながら溶液を撹拌した。
液から予め過剰に添加された水酸化アンモニウムを蒸留
により除去し、電気透析装置のセル5に装入して上記と
同様の電解操作を行った。なお、水酸化アンモニウムの
除去は、以下のように行った。
反応槽の構造を模式的に示した断面図である。沈殿物を
分離した溶液1000cm3を反応槽31に装入し、撹拌しなが
ら電気ヒーター36で液温を90〜95℃に上昇させた後、空
気を毎分2000cm3の速度で30分間送り込むことにより、
アンモニアを蒸留させた。
収させる気泡撹拌槽の構造を模式的に示した断面図であ
る。反応槽31からキャリアガス出口34を介し、アンモニ
アガスおよび水蒸気を含有する空気を気泡撹拌槽41の下
方のキャリアガス導入口42から容量1000cm3の吸収液
(水)48の中に導入し、吸収液48を撹拌すると同時に5
〜8℃に冷却しながら30分間アンモニアを吸収させた。
した沈殿物を水で5回洗浄し、洗浄水を遠心分離した
後、沈殿物中のチタン、鉄、クロム、ニッケル、シリコ
ンおよびフッ素の濃度を分析するとともに、セル6の溶
液の酸濃度、セル7の溶液のアルカリ濃度、およびアン
モニア吸収器の吸収液のアンモニア濃度を中和滴定法で
分析した。
水溶液の代わりに15%水酸化ナトリウム水溶液を用い
て同様の処理を行った場合についてもチタンなどの金属
および溶液の濃度を分析した。
果を示す表である。同表に示すように、本発明にしたが
って処理して得られた水酸化物の沈殿物中のフッ素濃度
は、全金属に対して0.2〜11.7%であり、特にp
Hを10に調節して水酸化アンモニウム水溶液を添加し
たときの沈殿物中のフッ素濃度は、極めて小さいものと
なった。
の代わりに15%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合
には、沈殿物中のフッ素濃度は、全金属に対して48.
4〜98.7%と高く、このままでは資源として再利用
できないものであった。
の硝フッ酸濃度は、蒸留を行わなかった場合が2.73
〜5.73mol/dm3であり、蒸留を行った場合が3.3
0〜6.55mol/dm3であった。いずれの場合も、硝フ
ッ酸は酸化スケールの酸洗液として再利用するのに十分
高い濃度のものであった。
の溶液の水酸化アンモニウムの濃度は、蒸留を行わなか
った場合が2.76〜5.72mol/dm3(濃度約4.9
〜10.1%)であり、蒸留を行った場合が2.04〜
6.00mol/dm3(濃度約3.5〜10.6%)であっ
た。これらの溶液の水酸化アンモニウムの濃度は、中和
処理に使用する15%溶液に比べ、希薄であるが、市販
のアンモニア水(濃度約28%)を15%程度に希釈す
る際に水の代わりに使用するなどすれば、アンモニア源
として再利用できる。
吸収した吸収液のアンモニア濃度は0.11〜0.35
mol/dm3(約0.2〜0.6%)であった。これらの水
酸化アンモニウム溶液についても、濃度は希薄である
が、市販のアンモニア水や溶液の希釈用のアンモニア源
として無駄無く再利用することができる。
1000cm3ずつ中和槽21に入れ、純水1000cm
3 を加えて撹拌しながら15%水酸化アンモニウム水
溶液を少しずつ添加し、pHを10に調節した。
十分に反応させて中和させた後、生成した沈殿物と溶液
をドレーン25から排出して遠心分離器に移し、沈殿物と
溶液に分離した。沈殿物を分離した溶液のうち500cm3
を図4に模式的に示すイオン交換カラムに上方から装入
し、カラムの下方から流出する溶液(以下、流出液Aと
する)をプラスチック製容器に採取した。なお、イオン
交換カラムには、陽イオン交換体11として、ローム・ア
ンド・ハース社製「アンバーライト200CT」300cm
3を用いた。
をイオン交換カラムに装入し、流出する塩化アンモニウ
ムを含有する溶液(以下、流出液Bとする)をプラスチ
ック製容器に採取した。さらに、水500cm3をイオン交
換カラムに装入し、陽イオン交換体11を洗浄して再利用
できる状態にした。
交換せず、前処理として過剰に添加された水酸化アンモ
ニウムを蒸留により除去した後、イオン交換カラムに装
入して上記と同様のイオン交換操作を行い流出液Aおよ
び流出液Bを採取した。なお、水酸化アンモニウムの除
去は、前記実施例1で示した除去方法と同一であるが、
発生したアンモニアガスを水に吸収させず、図7に模式
的に示す反応槽31からキャリアガス出口34を介し、図6
に模式的に示す中和槽21にアンモニアガス導入口24から
直接導入した。
イオン交換して採取した流出液B、および水酸化アンモ
ニウムを除去した後にイオン交換して採取した流出液B
を混合し、図7に模式的に示す反応槽31に装入してアン
モニアを蒸留した。このとき、20%水酸化ナトリウム
溶液をpHが約13になるまで添加し、撹拌しながら電
気ヒーター36で液温を90〜95℃に上昇させた後、空気を
毎分2000cm3の速度で30分間送り込んだ。この場合も、
発生したアンモニアガスを水に吸収させず、中和槽21に
直接導入した。
5回洗浄し、洗浄水を遠心分離した後、沈殿物中のチタ
ン、鉄、クロム、ニッケル、シリコンおよびフッ素の濃
度を分析した。また、流出液Aの酸濃度を中和滴定法で
分析した。
水溶液の代わりに15%水酸化ナトリウム水溶液を用い
て同様の処理を行った場合についても同様の分析を行っ
た。
換法により溶液を処理した結果を示す表である。同表に
示すように、本発明にしたがって処理して得られた水酸
化物の沈殿物中のフッ素濃度は、全金属に対して0.2
〜1.3%であり、極めて小さいものとなった。
て15%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合には、水
酸化物の沈殿物中のフッ素濃度は、全金属に対して4
9.7〜105.2%と高く、このままでは資源として
利用できないものであった。
Aの濃度は、蒸留を行わなかった場合が0.91〜1.
83mol/dm3であり、蒸留を行った場合が1.10〜
2.22mol/dm3であった。いずれの場合も、酸化スケ
ールの酸洗液として再利用するには、希薄であるが、濃
フッ化水素酸や濃硝酸を追加するなどすれば十分に再利
用することができる。
て15%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合には、沈
殿物を分離した後の溶液から水酸化ナトリウムを再生で
きないので、省資源の観点から好ましくない。
1000cm3ずつ中和槽21に入れ、純水1000cm
3 を加えて撹拌しながら15%水酸化アンモニウム水
溶液を少しずつ添加し、pHを10に調節した。
十分に反応させて中和させた後、生成した沈殿物と溶液
をドレーン25から排出して遠心分離器に移し、沈殿物と
溶液に分離した。沈殿物を分離した溶液のうち500cm3
を図4に模式的に示すイオン交換カラムに上方から装入
し、カラムの下方から流出する溶液(以下、流出液A'
とする)をプラスチック製容器に採取した。なお、イオ
ン交換カラムには、陰イオン交換体11'として、ローム
・アンド・ハース社製「アンバーライトIRA400」
300cm3を用いた。
装入し、流出するフッ酸および硝酸を含有する溶液(以
下、流出液B'とする)をプラスチック製容器に採取し
た。
交換せず、前処理として過剰に添加された水酸化アンモ
ニウムを蒸留により除去した後、イオン交換カラムに装
入して上記と同様のイオン交換操作を行い流出液A'お
よび流出液B'を採取した。なお、水酸化アンモニウム
の除去は、前記実施例1で示した除去方法と同一である
が、この場合も前記実施例2と同様に、発生したアンモ
ニアガスを水に吸収させず、図7に模式的に示す反応槽
31からキャリアガス出口34を介し、図6に模式的に示す
中和槽21にアンモニアガス導入口24から直接導入した。
5回洗浄し、洗浄水を遠心分離した後、沈殿物中のチタ
ン、鉄、クロム、ニッケル、シリコンおよびフッ素の濃
度を分析した。また、流出液A'のアルカリ濃度および
流出液B'の酸濃度を中和滴定法で分析した。
水溶液の代わりに15%水酸化ナトリウム水溶液を用い
て同様の処理を行った場合についても同様の分析を行っ
た。
換法により溶液を処理した結果を示す表である。同表に
示すように、本発明にしたがって処理して得られた水酸
化物の沈殿物中のフッ素濃度は、全金属に対して0.2
〜1.1%であり、極めて小さいものとなった。
て15%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合には、水
酸化物の沈殿物中のフッ素濃度は、全金属に対して5
1.1〜101.3%と高く、このままでは資源として
利用できないものであった。
A'の水酸化アンモニウムの濃度は、蒸留を行わなかっ
た場合が0.98〜2.11mol/dm3であり、蒸留を行
った場合が0.88〜2.05mol/dm3であった。いず
れの場合も、中和処理に使用する15%溶液に比べ、希
薄であるが、市販のアンモニア水(濃度約28%)を1
5%程度に希釈する際に水の代わりに使用するなどすれ
ば、アンモニア源として再利用できる。
て15%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合には、沈
殿物を分離した後の溶液から水酸化ナトリウムを再生で
きないので、省資源の観点から好ましくない。
られた流出液B'の酸濃度は、蒸留を行わなかった場合
が0.87〜2.03mol/dm3であり、蒸留を行った場
合が1.25〜2.73mol/dm3であった。この場合
も、酸化スケールの酸洗液として再利用するには、希薄
であるが、濃フッ化水素酸や濃硝酸を追加するなどすれ
ば十分に再利用することができる。
のために生じる金属フッ化物を含有する溶液から高純度
のチタンなどの金属水酸化物を回収でき、有用な金属資
源として活用できるばかりでなく、金属回収に用いる薬
剤も再利用することができる。したがって、産業廃棄物
の発生量を大幅に削減することができ、いわゆるゼロエ
ミッションの操業が可能となり、環境に対する負荷が軽
減されるなど、工業的あるいは社会的に大きな効果が得
られる。
溶液を処理する工程の一例を示した図である。
ある。
属フッ化物を含有する溶液を処理する工程の一例を示し
た図である。
図である。
属フッ化物を含有する溶液を処理する工程の一例を示し
た図である
を模式的に示した断面図である。
撹拌槽の構造を模式的に示した断面図である。
Claims (8)
- 【請求項1】下記工程A〜Cを備えることを特徴とする
金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程A)水酸化アンモニウムおよび/またはアンモニ
アを前記水溶液に添加する工程; (工程B)前記工程Aにより生じた沈殿物を分離する工
程;および (工程C)前記工程Bにより沈殿物を分離した水溶液を
電気透析する工程。 - 【請求項2】下記工程a〜cを備えることを特徴とする
金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程a)水酸化アンモニウムおよび/またはアンモニ
アを前記水溶液に添加する工程; (工程b)前記工程aにより生じた沈殿物を分離する工
程;および (工程c)前記工程bにより沈殿物を分離した水溶液を
陽イオン交換体でイオン交換する工程。 - 【請求項3】さらに下記工程dおよびeを備えることを
特徴とする請求項2に記載の金属フッ化物を含有する水
溶液の処理方法: (工程d)前記工程cでイオン交換を行った陽イオン交
換体に酸溶液を作用させる工程;および (工程e)前記工程dにより陽イオン交換体に酸溶液を
作用させることにより得られた溶液にアルカリを添加す
る工程。 - 【請求項4】下記工程f〜hを備えることを特徴とする
金属フッ化物を含有する水溶液の処理方法: (工程f)水酸化アンモニウムおよび/またはアンモニ
アを前記水溶液に添加する工程; (工程g)前記工程fにより生じた沈殿物を分離する工
程;および (工程h)前記工程gにより沈殿物を分離した水溶液を
陰イオン交換体でイオン交換する工程。 - 【請求項5】さらに下記工程iを備えることを特徴とす
る請求項4に記載の金属フッ化物を含有する水溶液の処
理方法: (工程i)前記工程hでイオン交換を行った陰イオン交
換体に水を作用させる工程。 - 【請求項6】前記工程B、工程bまたは工程gにおい
て、沈殿物を分離した後の水溶液を蒸留することを特徴
とする請求項1〜5の何れかに記載の金属フッ化物を含
有する水溶液の処理方法。 - 【請求項7】前記金属フッ化物を構成する金属が、Ti、
Fe、CrおよびSiの一種または二種以上であることを特徴
とする請求項1〜6の何れかに記載の金属フッ化物を含
有する水溶液の処理方法。 - 【請求項8】前記金属フッ化物を含有する水溶液が、フ
ッ化水素酸を含有する水溶液で、金属を酸洗することに
より生じた廃液であることを特徴とする請求項1〜7の
何れかに記載の金属フッ化物を含有する水溶液の処理方
法。
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-
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