JP2003234180A - 有機エレクトロルミネッセンス素子用カバー膜、並びにそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子用カバー膜、並びにそれを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

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JP2003234180A
JP2003234180A JP2002032346A JP2002032346A JP2003234180A JP 2003234180 A JP2003234180 A JP 2003234180A JP 2002032346 A JP2002032346 A JP 2002032346A JP 2002032346 A JP2002032346 A JP 2002032346A JP 2003234180 A JP2003234180 A JP 2003234180A
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organic
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light emitting
electrode layer
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JP2002032346A
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Motofumi Kashiwagi
幹文 柏木
Kimiaki Tanaka
公章 田中
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Zeon Corp
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Nippon Zeon Co Ltd
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    • Y10T428/31544Addition polymer is perhalogenated

Abstract

(57)【要約】 【課題】酸素や水分による有機EL素子の劣化を抑制し
て、該素子の発光機能を効果的に発揮させ得ると共に、
陰極側からの発光の取出し、及び素子の小型化や薄型化
にも対応できる有機EL素子用カバー膜、それを設けた
有機EL素子及び有機EL素子の製造方法を提供する。 【解決手段】パーフルオロオレフィンの分解重合物から
なる、400〜800nmの波長域における光の平均透
過率が70%以上である有機EL素子用カバー膜、基板
上に少なくとも電極層(陽極)、発光体層、透明電極層
(陰極)及び前記カバー膜が順次積層されてなる有機E
L素子、並びに該カバー膜を、パーフルオロオレフィン
を主体とする原料ガスを用い、プラズマCVD法により
形成させる有機EL素子の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機エレクトロル
ミネッセンス素子(以下、エレクトロルミネッセンスを
「EL」と略記する)用カバー膜、それを用いた有機E
L素子及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本
発明は、パーフルオロオレフィンの分解重合物からなる
透明性に優れた有機EL素子用カバー膜、このカバー膜
を表面に設けて封止されると共に、発光を主として陰極
側から取り出す有機EL素子、及びこの有機EL素子を
効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電界発光を利用したEL素子は、自己発
光のため視認性が高く、かつ完全固体素子であるため、
耐衝撃性に優れるなどの特徴を有することから、各種表
示装置における発光素子としての利用が注目されてい
る。このEL素子には、発光材料に無機化合物を用いて
なる無機EL素子と有機化合物を用いてなる有機EL素
子とがある。このうち、有機EL素子は、印加電圧を大
幅に低くしうる上、小型化が容易であって、消費電力が
小さく、面発光が可能であり、かつ三原色発光も容易で
あることから、次世代の発光素子としてその実用化研究
が積極的になされている。この有機EL素子の発光体部
の構成としては、一般に、透明基板上に順次設けられた
透明電極層(陽極)/有機発光体薄膜層(有機発光層)
/金属電極層(陰極)の構成を基本とし、これに正孔注
入輸送層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば陽極/
正孔注入輸送層/有機発光層/陰極や、陽極/正孔注入
輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極などの構成のも
のが知られている。正孔注入輸送層は、陽極より注入さ
れた正孔を発光層に伝達する機能を有し、また、電子注
入層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能
を有している。そして、正孔注入輸送層を発光層と陽極
との間に介在させることによって、より低い電界で多く
の正孔が発光層に注入され、さらに、発光層に陰極又は
電子注入層より注入された電子は、正孔注入輸送層が電
子を輸送しないので、正孔注入輸送層と発光層との界面
に蓄積され発光効率が上がることが知られている。
【0003】図1は、有機EL素子の1例の原理図であ
って、有機EL素子は、この図で示すように、一般に透
明基板1上に設けられた透明電極層(陽極)2の上に、
正孔注入輸送層7、有機発光層8及び電子注入層9から
なる有機EL材料層5が積層され、さらにその上に金属
電極層(陰極)6が積層された構成を有している。そし
て、陽極と陰極との間に電流を流すことにより、有機発
光層8において発光が生じ、この場合は、透明基板1側
から発光が取り出される。ところで、近年、陰極に透明
電極層を用い、発光を陰極側から取り出すことが試みら
れている。これは、発光を陰極側から取り出すことによ
り、(1)陰極と共に陽極も透明にすれば、全体として
透明な発光素子となるので、該発光素子の背景色として
任意な色が採用でき、発光時以外もカラフルなディスプ
レイとすることが可能となり、装飾性が改良され、ま
た、背景色として黒を採用した場合には、発光時のコン
トラストが向上する、(2)カラーフィルタや色変換層
を用いる場合には、発光素子の上にこれらを置くことが
できるので、これらの層を考慮することなく、素子を製
造することができる、などの利点を有するからである。
一方、有機EL素子は電流駆動型の発光素子であり、発
光させるためには陽極と陰極との間に高電流を流さなけ
ればならない。その結果、発光時において素子が発熱
し、素子の周囲に酸素や水分があった場合にはこれらの
酸素や水分による素子構成材料の酸化が促進されて素子
が劣化する。酸化や水による有機EL素子の劣化の代表
的なものはダークスポットの発生及びその成長である。
ダークスポットとは発光欠陥点のことである。そして、
有機EL素子の駆動に伴って当該素子の構成材料の酸化
が進むと、既存のダークスポットの成長が起こり、つい
には発光面全体にダークスポットが拡がるという好まし
くない事態を招来する。
【0004】このような事態に対処するために、これま
で様々な方法が試みられている。例えばガラス製、プラ
スチック製や金属製の封止缶を、有機EL素子の基板に
接着剤により接着し、該封止缶の内部に吸湿効果のある
酸化バリウムを含む窒素ガスなどの気体や、有機EL素
子に対する影響の少ない不活性液体を充填することによ
り、封止層を形成させる方法などが用いられている。し
かしながら、このような封止層において、封止缶内部に
気体を充填したものは、環境温度により、該気体の体積
が変化し、その結果、封止缶と基板との間に亀裂が入り
やすく、封止効果が十分に発揮されないおそれが生じる
などの問題があった。また、このような封止缶を用いて
封止層を形成する技術においては、封止缶を接着剤を用
いて基板上に保持するため、該接着剤が素子内部に進入
したり、接着剤よりガスが発生したりすることで有機E
L素子の発光機能を損傷するおそれがある上、近年のさ
らなる小型化や薄型化の要求に対して対応が容易ではな
いなどの問題を有している。そこで、封止缶を用いる代
わりに、フッ素フィルムなどの防湿性の高い熱融着性プ
ラスチックフィルムで、有機EL素子の発光体部を封止
する方法も試みられている。しかしながら、この方法に
おいては、フッ素フィルムが高価である上、防湿性を有
効に発揮させるには、膜厚を厚くする必要があり、その
結果、フィルム自体の透明性(光線透過性)が低下し、
有機EL素子の発光体の発光能力が十分に発揮されにく
いなどの欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
有機EL素子の封止に関する従来技術が有する欠点を克
服し、周囲の酸素や水分による有機EL素子の劣化を抑
制して、該素子の発光機能を効果的に発揮させ得ると共
に、素子の陰極側からの発光の取出し、及び小型化や薄
型化にも対応できる有機EL素子用カバー膜、それを設
けた有機EL素子及びこの有機EL素子を効率よく製造
する方法を提供することを目的としてなされたものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、有機EL素子
の陰極として透明電極層を設け、そしてパーフルオロオ
レフィンを主体とする原料ガスを用い、特定の放電解離
条件下で化学的気相蒸着(CVD)法を施すことによ
り、有機EL素子の該透明電極層上にパーフルオロオレ
フィンの分解重合物からなる透明性に優れる膜を容易に
形成し得ること、そして、この膜は有機EL素子用カバ
ー膜として有用であることを見出し、この知見に基づい
て本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)パーフルオロオレフィンの分解重合物からなる、
400〜800nmの波長域における光の平均透過率が
70%以上である有機EL素子用カバー膜、(2)パー
フルオロオレフィンがパーフルオロシクロオレフィンで
ある(1)記載の有機EL素子用カバー膜、(3)基板上
に、少なくとも電極層(陽極)、発光体層、透明電極層
(陰極)及び(1)又は(2)記載の有機EL素子用カバー
膜が順次積層されてなる有機EL素子、(4)発光が主
として陰極(透明電極層)側から放出される(3)記載の
有機EL素子、及び(5)基板上に少なくとも電極層、
発光体層及び透明電極層が順次積層されてなる積層体上
に、パーフルオロオレフィンを主体とする原料ガスを用
い、出力10〜300W、ガス圧力30Pa以下の条件
で、化学的気相蒸着(CVD)法により、パーフルオロ
オレフィンの分解重合物を蒸着してカバー膜を形成する
ことを特徴とする有機EL素子の製造方法、を提供する
ものである。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の有機EL素子用カバー膜
は、パーフルオロオレフィンの分解重合物からなるもの
であって、400〜800nmの波長域の光(全可視光
線)の平均透過率が70%以上、好ましくは80%以
上、より好ましくは90%以上の優れた透明性を有して
いる。したがって、有機EL素子の透明電極層(陰極)
上に設けることにより、発光を主として陰極側から効率
的に取り出し得ると共に、周囲の酸素や水分による該素
子の劣化を抑制し、ダークスポットの発生及びその成長
を抑え、発光機能を効果的に発揮させることができる。
このカバー膜の製造については、後述の有機EL素子の
製造方法において詳細に説明するが、パーフルオロオレ
フィンを主体とする原料ガスを用い、特定の放電解離条
件下でのCVD法により、有機EL素子の透明電極層
(陰極)上に、該カバー膜を形成することができる。本
発明の有機EL素子用カバー膜の厚さとしては特に制限
はないが、膜強度の確保、防湿性などの観点から、通常
0.01〜10μm、好ましくは0.05〜8μm、より
好ましくは0.1〜5μmの範囲で選定される。
【0008】次に、本発明の有機EL素子は、基板上に
少なくとも電極層(陽極)、発光体層(有機発光層)、
透明電極層(陰極)及び前記カバー膜が順次積層された
構造を有している。上記基板は、透明、不透明のいずれ
であってもよいが、通常400〜800nmの可視領域
の光の透過率が50%以上であり、透明性が良好で、か
つ平滑な基板が用いられる。このような基板としては、
例えばガラス板、ポリマー板等が挙げられる。ガラス板
としては、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウ
ム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ
ケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等が好
ましく挙げられる。またポリマー板としては、ポリカー
ボネート、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙
げることができる。これらの中で、通常、ガラス板が好
ましく用いられる。本発明の有機EL素子の発光体部
は、前記の基板上に形成された陽極、有機EL材料層
(正孔注入輸送層、有機発光層、電子注入層など)及び
陰極とからなるものであって、その構成としては、陽極
/有機発光層/陰極の構成を基本とし、これに正孔注入
輸送層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば陽極/正
孔注入輸送層/有機発光層/陰極や、陽極/正孔注入輸
送層/有機発光層/電子注入層/陰極などの構成を挙げ
ることができる。
【0009】次に、発光体部が陽極/正孔注入輸送層/
有機発光層/電子注入層/陰極の構成の有機EL素子に
ついて説明する。上記陽極としては、仕事関数の大きい
(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物又はこれ
らの混合物を電極物質とする電極が好ましく用いられ
る。またこの電極物質は必ずしも透明である必要がな
く、反射率の高いものであってもよいし、黒色のカーボ
ン層などをコーティングしたものであってもよい。当該
電極物質としては、例えば反射率が40%以上であるク
ロム、モリブデン、タングステン、タンタル及びニオブ
などの高融点金属又はその合金、あるいは透明導電性材
料のITO(インジウムチンオキシド)、SnO2、Z
nO、In−Zn−Oなどの中から、素子の用途に応じ
て適宜選択することができる。陰極側から、効率的に発
光を取り出す場合には、当該電極物質としては、前記反
射率が40%以上の高融点金属が好ましく、また、全体
を透明な発光素子とし、背景色に任意な色を採用して、
発光時以外にもカラフルなディスプレイとする場合に
は、当該電極物質として、ITOなどの透明導電性材料
を用いるのがよい。この場合は、前記基板としては、透
明なものが用いられる。また、コントラストを向上させ
る場合には、黒色のカーボン層をコーティングした電極
物質を用いるのが有利である。
【0010】この陽極のシート抵抗は、数百Ω/□以下
のものが好ましい。該陽極を形成するには、これらの電
極物質を、蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を
形成させればよい。陽極の膜厚は、材料にもよるが通常
10nm〜1μm、好ましくは10〜200nmの範囲
で選択される。有機発光層は(1)電界印加時に、陽極
又は正孔注入輸送層により正孔を注入することができ、
かつ陰極又は電子注入層より電子を注入することができ
る注入機能、(2)注入した電荷(電子と正孔)を電界
の力で移動させる輸送機能、(3)電子と正孔の再結合
の場を発光層内部に提供し、これを発光につなげる発光
機能などを有している。この発光層に用いられる発光材
料の種類については特に制限はなく、従来有機EL素子
における発光材料として公知のものを用いることができ
る。このような発光材料の具体例としては、ベンゾチア
ゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール
系などの蛍光増白剤や、金属キレート化オキシノイド化
合物、スチリルベンゼン系化合物、ジスチリルピラジン
誘導体、芳香族ジメチリジン化合物などが挙げられる。
【0011】正孔注入輸送層は、正孔伝達化合物からな
る層であって、陽極より注入された正孔を発光層に伝達
する機能を有し、この正孔注入輸送層を陽極と発光層と
の間に介在させることにより、より低い電界で多くの正
孔が発光層に注入される。その上、発光層に陰極又は電
子注入層により注入された電子は、発光層と正孔注入輸
送層の界面に存在する電子の障壁により、この発光層内
の界面付近に蓄積されEL素子の発光効率を向上させ、
発光性能の優れたEL素子とすることができる。この正
孔注入輸送層に用いられる正孔伝達化合物については特
に制限はなく、従来有機EL素子における正孔伝達化合
物として公知のものを使用することができる。この正孔
伝達化合物の具体例としては、トリアゾール誘導体、オ
キサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリ
ールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘
導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導
体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、
スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒ
ドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、
ポリシラン系化合物、アニリン系共重合体、チオフェン
オリゴマーなどの特定の導電性高分子オリゴマーなどが
挙げられる。
【0012】電子注入層は、陰極により注入される電子
を有機発光層に伝達する機能を有している。この電子注
入層に用いられる電子伝達化合物については特に制限は
なく、従来有機EL素子における電子伝達化合物として
公知のものを使用することができる。このような電子伝
達化合物の具体例としては、ニトロ置換フルオレノン誘
導体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン
誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリ
レンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイ
ミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントロン誘導
体、オキサジアゾール誘導体、さらには8−キノリノー
ル又はその誘導体の金属錯体、例えばトリス(8−キノ
リノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)マ
グネシウム、ビス(ベンゾ−8−キノリノール)亜鉛、
ビス(2−メチル−8−キノリラート)アルミニウムオ
キシド、トリス(8−キノリノール)インジウム、トリ
ス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、8
−キノリノールリチウム、トリス(5−クロロ−8−キ
ノリノール)カリウム、ビス(5−クロロ−8−キノリ
ノール)カルシウム、トリス(5,7−ジクロロ−8−
キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロ
モ−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノ
リノール)ベリリウム、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノール)ベリリウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛、
ビス(2−メチル−8−キノリノール)亜鉛、ビス(8
−キノリノール)スズ、トリス(7−プロピル−8−キ
ノリノール)アルミニウムなどが挙げられる。
【0013】なお、上記有機発光層、正孔注入輸送層及
び電子注入層は、それぞれの材料の一種又は二種以上か
らなる一層で構成されていてもよく、あるいは異なる材
料からなる層を二層以上積層したものであってもよい。
また、上記の正孔注入輸送層、有機発光層及び電子注入
層は、それらを構成する材料の薄膜を形成させることに
より、作製される。その方法としては、例えばスピンコ
ート法、キャスト法、蒸着法などがあるが、均質な膜が
得られやすく、かつピンホールが生成しにくいなどの点
から、真空蒸着法が好ましい。この薄膜化に、この蒸着
法を採用する場合、その蒸着条件は、使用する化合物の
種類、分子堆積膜の目的とする結晶構造、会合構造など
により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450
℃、真空度10-5〜10-1Pa、蒸着速度0.01〜5
0nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚5nm〜
1μmの範囲で適宜選ぶことが望ましい。陰極として
は、金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物
などを電極物質とする透明電極層が用いられる。このよ
うな透明電極層としては、前記電子注入層に接している
電子注入金属層と非晶質透明導電層とから構成されたも
のを好ましく挙げることができる。
【0014】上記非晶質透明導電層は、非晶質であっ
て、透明性及び導電性を有するものであればよく、特に
制限はないが、比抵抗値が5×10-4Ω・cm以下である
ものが好ましい。また、その材料としては、例えばIn
−Zn−O系の酸化物膜を好ましく挙げることができ
る。その膜厚としては、通常10nm〜1μm、特に5
0〜200nmの範囲が好ましい。一方、電子注入金属
層は、前記電子注入層を介して、有機発光層に良好に電
子が注入できる金属の層であり、陰極側から、発光を効
率的に取り出すためには、400〜800nmの波長域
における光の平均透過率が50%以上、特に60%以上
であることが好ましい。そのためには、該電子注入金属
層の膜厚を0.5〜20nm程度、好ましくは1〜20
nmの超薄膜とすることが望ましい。この電子注入金属
層としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、例
えばMg、Mg−Ag合金、Ca、Ba、Sr、Li、
Yb、Eu、Y、Scなどを挙げることができる。当該
陰極は、前記電極物質を用い、蒸着やスパッタリングな
どにより、まず前記電子注入層上に、電子注入金属層を
設けたのち、その上に非晶質透明導電層を積層すること
により、作製することができる。また陰極としてのシー
ト抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。
【0015】本発明の有機EL素子は、このように基板
上に形成された電極層(陽極)、有機EL材料層及び透
明電極層(陰極)からなる発光体部上に、前述のパーフ
ルオロオレフィンの分解重合物からなる透明カバー膜を
形成させたものであって、まず、上記発光体部の製造方
法の1例について説明する。ガラス板などの基板上に、
蒸着法やスパッタリング法などの方法でパターニングさ
れた電極層(陽極)を形成したのち、その上に厚さが、
通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜5μm、より
好ましくは0.5〜2μmの絶縁膜を、従来公知の方法
で設ける。この絶縁膜としては、通常用いられているポ
リイミド樹脂膜を設けてもよいし、あるいは遮光膜を兼
ねる目的で、(1)黒色有機顔料及び/又は赤、青、
緑、紫、黄、シアン、マゼンタの中から選ばれる少なく
とも2種の有機顔料を混合して擬似黒色化した混色有機
顔料からなる有機系顔料と、カーボンブラック、酸化ク
ロム、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラックから
選ばれる少なくとも1種の遮光材と、感光性樹脂とを溶
剤中に含有させてなる遮光膜形成用レジストや、(2)
アルカリ可溶性樹脂、キノンジアジド化合物、黒色顔料
及び溶剤を含む遮光膜形成用レジストなどを用い、フォ
トリソグラフィー法により設けてもよい。
【0016】次いで、このようにして基板上に設けられ
た絶縁膜を介して、従来公知の方法によりレジストパタ
ーン層を形成させる。このレジストパターン層の断面形
状としては、矩形型及び逆テーパ型のいずれであっても
よい。断面形状が矩形型のレジストパターン層を形成さ
せる場合、使用するフォトレジストは、非化学増幅型、
化学増幅型のいずれであってもよいし、ポジ型、ネガ型
のいずれであってもよい。このようなフォトレジストと
しては、例えば(1)アルカリ可溶性ノボラック型樹脂
とキノンジアシド基含有化合物とを必須成分として含む
非化学増幅型のポジ型フォトレジスト、(2)酸の作用
によりアルカリに対する溶解性が変化する樹脂と放射線
の照射により酸を発生する化合物とを必須成分として含
む化学増幅型のポジ型フォトレジスト及び(3)アルカ
リ可溶性樹脂と酸架橋性物質と放射線の照射により酸を
発生する化合物とを必須成分として含む化学増幅型のネ
ガ型フォトレジストなどを挙げることができる。 一
方、断面形状が逆テーパ型のレジストパターン層を形成
させる場合、使用するフォトレジストとしては、例えば
特許第2989064号記載のもの、具体的には(A)
光線による露光によって又は露光と引き続く熱処理によ
って、架橋する成分、(B)アルカリ可溶性樹脂及び
(C)露光する光線を吸収する化合物を少なくとも1種
含有し、かつ、アルカリ性水溶液を現像液とするネガ型
フォトレジストなどを挙げることができる。
【0017】これらのフォトレジストを用いて、レジス
トパターン層を設ける方法としては特に制限はなく、従
来慣用されているフォトリソグラフィー法によって、断
面形状が矩形型又は逆テーパ型のレジストパターン層を
形成することができる。このレジストパターン層の厚さ
は、通常0.5〜数μm程度である。次に、このように
して、パターニングされた電極層を有する基板上に、絶
縁膜を介してレジストパターン層を形成したのち、ま
ず、真空蒸着法により正孔注入輸送層を設ける。この場
合、蒸着条件は使用する化合物(正孔注入輸送層の材
料)、目的とする正孔注入輸送層の結晶構造や再結合構
造等により異なるが、一般に蒸着源温度50〜450
℃、真空度1×10-5〜1×10-1Pa、蒸着速度0.
01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、膜厚
5nm〜1μmの範囲で適宜選択することが好ましい。
次いで、この正孔注入輸送層上に有機発光層を真空蒸着
法により形成する。この場合、その蒸着条件は使用する
化合物により異なるが、一般的に正孔注入輸送層の形成
と同様な条件範囲の中から選択することができる。膜厚
は10〜40nmの範囲が好ましい。
【0018】次に、この有機発光層上に、真空蒸着法に
より電子注入層を設ける。この場合、蒸着条件は正孔注
入輸送層、有機発光層と同様の条件範囲から選択するこ
とができる。膜厚は5nm〜1μmの範囲で適宜選択す
ることが好ましい。そして、最後に、この電子注入層上
に、真空蒸着法により、膜厚1〜20nm程度の電子注
入金属層及びスパッタリング法により膜厚50〜200
nm程度の非晶質透明導電層を積層することにより、透
明電極層(陰極)を作製する。このようにして、基板上
に、電極層(陽極)、有機EL材料層(正孔注入輸送
層、有機発光層、電子注入層)及び透明電極層(陰極)
からなる積層体(発光体部)が形成される。図2は、本
発明の有機EL素子における発光体部の1例の構成を示
す部分断面図である。すなわち、パターニングされた電
極層2'が設けられた基板1'上に、絶縁膜3を介して断
面形状が逆テーパ型のレジストパターン層(樹脂隔壁
層)4が設けられている。そして、このレジストパター
ン層とレジストパターン層との間に、表面に透明電極層
6'を有する有機EL材料層(電極層側から、順次正孔
注入輸送層、有機発光層及び電子注入層が設けられた構
成のもの)5が設けられ、発光体部がレジストパターン
層4とは非接触に独立の状態で形成されている。また、
レジストパターン層4上も、機能上必要ではないが、製
造上の都合から、表面に透明電極層6'aを有する有機
EL材料層5aが形成されている。
【0019】本発明においては、このようにして基板上
に、電極層、有機EL材料層及び透明電極層が順次積層
されてなる積層体上に、パーフルオロオレフィンを主体
とする原料ガスを用い、出力10〜300W、ガス圧力
30Pa以下の放電解離条件下で、CVD法(以下、プ
ラズマCVD法と称す)により、パーフルオロオレフィ
ンの分解重合物からなるカバー膜を形成し、封止された
有機EL素子を作製する。ここで「パーフルオロオレフ
ィンを主体とする原料ガス(以下、単に「原料ガス」と
略すことがある)」とは、原料ガス中の反応性成分(分
解及び重合に寄与する成分)が実質的にパーフルオロオ
レフィンのみからなるガスを意味する。パーフルオロオ
レフィンとしては、直鎖又は分岐状パーフルオロオレフ
ィンや、パーフルオロシクロオレフィンが挙げられる。
また、この原料ガスには、所望によりアルゴン、ヘリウ
ム、キセノンなどの希ガス及びメタン、エチレン、アセ
チレンなどの炭化水素ガス等の希釈ガスを混入すること
ができるが、蒸着時の温度制御の容易さなどの点で、パ
ーフルオロオレフィンを単独で用いるのが好ましい。パ
ーフルオロオレフィンの炭素数に格別限定はないが、炭
素数が通常3〜8、好ましくは4〜6、より好ましくは
5である。また、パーフルオロオレフィンは、直鎖状、
分岐状、環状のいずれでもよいが、安全性や膜の透明性
の観点から、環状のものが好ましい。パーフルオロオレ
フィンは、1種を単独でまたは2種以上を組合せて用い
ることができ、特に1種以上のパーフルオロシクロオレ
フィンを用いるのが好ましい。
【0020】パーフルオロシクロオレフィンと直鎖又は
分岐状のパーフルオロオレフィンを併用した場合、直鎖
又は分岐状のパーフルオロオレフィンの量が、通常全フ
ルオロオレフィン量の30重量%以下、好ましくは20
重量%以下であると、特に高い防湿効果が得られる。直
鎖又は分岐状パーフルオロオレフィンとしては、例え
ば、パーフルオロプロペン、パーフルオロブテン、パー
フルオロペンテン、パーフルオロ−2−メチルブテンな
どが挙げられ、パーフルオロシクロオレフィンとして
は、例えばパーフルオロシクロプロペン、パーフルオロ
シクロブテン、パーフルオロシクロペンテン、パーフル
オロシクロヘキセン、パーフルオロシクロヘプテン、パ
ーフルオロシクロオクテン、パーフルオロ(1−メチル
シクロブテン)、パーフルオロ(3−メチルシクロブテ
ン)、パーフルオロ(1−メチルシクロペンテン)、パ
ーフルオロ(3−メチルシクロペンテン)などが挙げら
れる。これらの中でも、パーフルオロシクロブテン、パ
ーフルオロシクロペンテンおよびパーフルオロシクロヘ
キセンなどのパーフルオロシクロオレフィンが好まし
く、パーフルオロシクロペンテンが最も好ましい。プラ
ズマCVD法の手法としては、従来から知られている、
例えば特開平9−237783号公報に記載されている
手法を採ることができる。本発明においては、この際、
400〜800nmの波長域における光の平均透過率が
70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは9
0%以上の透明性に優れた、パーフルオロオレフィンの
分解重合物からなるカバー膜を得るために、高周波(R
F)出力が10〜300W、好ましくは50〜250
W、ガス圧力が30Pa以下、好ましくは1×10-2
30Pa、より好ましくは1〜25Pa、さらに好まし
くは1〜20Paの条件が採用される。
【0021】また、CVD時におけるパーフルオロオレ
フィンの流量としては特に制限はないが、通常標準状態
で1〜100cm3/min、好ましくは1〜50cm3/min、
より好ましくは5〜30cm3/minの範囲である。流量が
多すぎるとガスによる陰極のエッチングが生じる場合が
あり、逆に流量が少なすぎると生産性に劣る。このよう
にして作製されるパーフルオロオレフィンの分解重合物
からなるカバー膜の厚さは、前述したように、通常0.
01〜10μm、好ましくは0.05〜8μm、より好
ましくは0.1〜5μmの範囲であり、パーフルオロオ
レフィンの流量及び/又は蒸着時間を変化させることに
より、所望の厚さのカバー膜を作製することができる。
このCVDにおける被処理物温度としては特に制限はな
く、通常0〜500℃の範囲で選定されるが、パーフル
オロオレフィンを用いることで、被処理物温度が100
℃以下、好ましくは50℃以下でも成膜できるため、生
産効率の向上や、基板へのダメージの抑制に有効であ
る。プラズマCVDに用いる装置としては、平行平板型
CVD装置が一般的であるが、マイクロ波CVD装置、
ECR−CVD装置、および高密度プラズマCVD装置
(ヘリコン波プラズマ、誘導結合プラズマなど)を用い
ることができる。また、原料ガスの解離促進および被処
理物の損傷低滅を目的として低圧水銀ランプなどによる
紫外線照射を行ったり、また、原料ガスの解離促進およ
びパーフルオロオレフィンのマイグレーション促進のた
め被処理物および反応空間に超音波を照射することがで
きる。このようにして、有機EL素子における透明電極
層(陰極)上に、パーフルオロオレフィンの分解重合物
からなる透明性に優れるカバー膜が形成され、本発明の
封止された有機EL素子が得られる。
【0022】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。 実施例1 全可視光線透過率92.5%、ヘイズ値0.75%、厚さ
100μmの樹脂基板を平行平板型プラズマCVD装置
に装着し、下記の条件でプラズマCVDを6分間行い、
前記樹脂基板上に、厚さが2μmの透明カバー膜を形成
した。 パーフルオロシクロペンテン流量 15cm3/min(標準
状態) ガス圧力 13Pa RF出力(周波数13.53MHz) 200W 基板温度 25±3℃ 得られたカバー膜にはクラックやボイドの発生はみられ
なかった。また、カバー膜が形成された樹脂基板につい
て、全可視光線(波長400〜800nmの光)透過率
を、UV/VIS/NIRスペクトロメーター[JAS
CO社製「V−570」]で測定したところ、400〜
800nmのいずれの波長においても85%以上の透過
率を示し、平均透過率で92.1%であった。さらに、
濁度計[日本電色工業社製]により測定した濁度(ヘイ
ズ値)は0.77%であった。 比較例1 実施例1において、プラズマCVDの条件を、ガス圧力
を1.3Pa、RF出力(周波数13.53MHz)を4
00Wに変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂
基板上に厚さ2μmのカバー膜を形成した。その結果、
全可視光線での透過率は8〜30%の範囲であり、平均
透過率は23.28%、ヘイズ値は76.10%であっ
た。
【0023】実施例2 (1)有機EL素子の発光体部の形成 図3は、本実施例で用いた有機EL素子用基板の部分断
面図であって、該基板は、表面にパターニングされたク
ロム電極層12を有する25×75×1.1mmサイズの
ガラス板11上に、厚さ1.0μmの遮光膜13を介し
て、膜厚3.5μmの逆テーパ型樹脂隔壁層14が設け
られた構造を有している。この有機EL素子用基板を用
い、市販の蒸着装置[日本真空技術(株)製]の基板ホル
ダーに固定すると共に、モリブデン製抵抗加熱ボートに
N,N'−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェ
ニル−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン(以
下、TPDと略記する)200mgを入れ、また別のモリ
ブデン製抵抗加熱ボートに4,4'−ビス(2,2'−ジフ
ェニルビニル)ビフェニル(以下、DPVBiと略記す
る)200mgを入れたのち、真空槽を1×10-4Paま
で減圧した。
【0024】次いで、TPD入りのボートを215〜2
20℃まで加熱し、TPDを蒸発速度0.1〜0.3nm
/秒で蒸着させて、膜厚60nmの正孔注入輸送層を形
成した。この際の基板温度は室温であった。これを真空
槽より取り出すことなく、DPVBi入りのボートを2
40℃まで加熱し、DPVBiを蒸着速度0.1〜0.3
nm/秒で上記正孔注入輸送層上に蒸着させ、膜厚40
nmの発光層を形成した。この際の基板温度も室温であ
った。これを真空槽より取り出し、上記発光層の上にス
テンレススチール製のマスクを設置し、再び基板ホルダ
ーに固定したのち、モリブデン製ボートにトリス(8−
キノリノール)アルミニウム(以下、Alq3と略記す
る)200mgを入れ、また別のモリブデン製ボートにマ
グネシウムリボン1gを入れ、さらにタングステン製バ
スケットに銀ワイヤー500mgを入れて、これらのボー
トを真空槽に装着した。次に、真空槽を1×10-4Pa
まで減圧してから、Alq3入りのボートを230℃ま
で加熱し、Alq3を蒸着速度0.01〜0.03nm/
秒で上記発光層上に蒸着させて、膜厚20nmの電子注
入層を形成した。さらに、銀を蒸着速度0.01nm/
秒で上記電子注入層上に蒸着させると同時に、マグネシ
ウムを蒸着速度0.14nm/秒で上記電子注入層上に
蒸着させ、マグネシウムと銀との混合金属からなる膜厚
10nmの電子注入金属層を形成した。最後に、これを
別の真空槽に移し、同じマスクを通して、DCスパッタ
リングにより、電子注入金属層上に、膜厚200nmの
In−Zn−O系の非晶質透明導電層を形成した。な
お、DCスパッタリング条件は、スパッタガスとしてア
ルゴンと酸素の混合ガス(体積比1000:5)を用
い、圧力0.3Pa、DC出力40Wであった。このよ
うにして、電子注入金属層及び非晶質透明導電層から構
成された透明電極層(陰極)を形成することにより、有
機EL素子の発光体部を形成した。
【0025】(2)有機EL素子の作製 基板として、上記(1)で得られた表面に有機EL素子
の発光体部を有するガラス板を用い、実施例1と同様に
して、透明電極層(陰極)上に、厚さ2μmのカバー膜
を形成した。このカバー膜はクラックやボイドの発生が
なく、極めてち密で均質なものであった。このようにし
て、封止された有機EL素子を作製した。 (3)有機EL素子の評価 上記(2)で得られた封止された有機EL素子を、40
℃、90%RHの環境下で10,000時間放置する試
験を行った。放置試験前及び放置試験後の素子それぞれ
に、クロム電極層を陽極、透明電極層を陰極として直流
電圧を印加したところ、放置試験後も、放置試験前と同
様に、明所にて5Vから陰極側より青色発光が確認で
き、視認性が極めて良好であり、また、発光面にはダー
クスポットは見られず、均一発光であった。すなわち、
上記放置試験により、該有機EL素子はほとんど損傷を
受けていないことが分かった。
【0026】比較例2 (1)有機EL素子の発光体部の形成 実施例2(1)と全く同様にして有機EL素子の発光体
部を形成させた。 (2)有機EL素子の作製 基板として、上記(1)で得られた表面に有機EL素子
の発光体部を有するガラス板を用い、比較例1と同様に
して、透明電極層(陰極)上に、厚さ2μmのカバー膜
を形成し、封止された有機EL素子を作製した。 (3)有機EL素子の評価 上記(2)で得られた封止された有機EL素子に、クロ
ム電極層を陽極、透明電極層を陰極として、実施例2と
同様に直流電圧を印加したところ、陰極側からぼんやり
と青色発光が確認できる程度で、視認性は実施例2に比
べて著しく悪かった。
【0027】
【発明の効果】本発明の有機EL素子用カバー膜は、パ
ーフルオロオレフィンの分解重合物からなる透明性に優
れるものであって、周囲の酸素や水分による有機EL素
子の劣化を抑制して、該素子の発光機能を効果的に発揮
させ得ると共に、陰極側からの発光の取出し、及び素子
の小型化や薄型化にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、有機EL素子の1例の原理図である。
【図2】図2は、本発明の有機EL素子における発光体
部の1例の構成を示す部分断面図である。
【図3】図3は、実施例2及び比較例2で用いた有機E
L素子用基板の部分断面図である。
【符号の説明】
1 透明基板 1' 基板 2 透明電極層 2' 電極層 3 絶縁膜 4 逆テーパ型のレジストパターン層 5、5a 有機EL材料層 6 金属電極層 6'、6'a 透明電極層 7 正孔注入輸送層 8 有機発光層 9 電子注入層 11 ガラス板 12 クロム電極層 13 遮光膜 14 逆テーパ型樹脂隔壁層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パーフルオロオレフィンの分解重合物から
    なる、400〜800nmの波長域における光の平均透
    過率が70%以上である有機エレクトロルミネッセンス
    素子用カバー膜。
  2. 【請求項2】パーフルオロオレフィンがパーフルオロシ
    クロオレフィンである請求項1記載の有機エレクトロル
    ミネッセンス素子用カバー膜。
  3. 【請求項3】基板上に、少なくとも電極層(陽極)、発
    光体層、透明電極層(陰極)及び請求項1又は2記載の
    有機エレクトロルミネッセンス素子用カバー膜が順次積
    層されてなる有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 【請求項4】発光が主として陰極(透明電極層)側から
    放出される請求項3記載の有機エレクトロルミネッセン
    ス素子。
  5. 【請求項5】基板上に少なくとも電極層、発光体層及び
    透明電極層が順次積層されてなる積層体上に、パーフル
    オロオレフィンを主体とする原料ガスを用い、出力10
    〜300W、ガス圧力30Pa以下の条件で、化学的気
    相蒸着(CVD)法により、パーフルオロオレフィンの
    分解重合物を蒸着してカバー膜を形成することを特徴と
    する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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