JP2003225751A - ダイカスト金型 - Google Patents
ダイカスト金型Info
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- JP2003225751A JP2003225751A JP2002022545A JP2002022545A JP2003225751A JP 2003225751 A JP2003225751 A JP 2003225751A JP 2002022545 A JP2002022545 A JP 2002022545A JP 2002022545 A JP2002022545 A JP 2002022545A JP 2003225751 A JP2003225751 A JP 2003225751A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 中子と入子との間に離型剤が浸入するのを防
止できるダイカスト金型を提供する。 【解決手段】 可動側中子21に形成された嵌合部22
にエアー供給路25を連通し、キャビティ10表面に離
型剤を塗布する際に、嵌合部22に離型剤が浸入するこ
とをエアーによって防止するようにした。
止できるダイカスト金型を提供する。 【解決手段】 可動側中子21に形成された嵌合部22
にエアー供給路25を連通し、キャビティ10表面に離
型剤を塗布する際に、嵌合部22に離型剤が浸入するこ
とをエアーによって防止するようにした。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はダイカスト金型に関
する。 【0002】 【従来の技術】従来からダイカスト成形において、成形
品のダイカスト金型からの離型性の向上、及び前ショッ
トの溶湯によって熱せられたダイカスト金型の冷却を目
的として、ダイカスト金型に対して離型剤塗布を行って
いる。離型剤塗布後にはダイカスト金型のキャビティ面
に残る余剰な離型剤をエアーブロー等によって除去し、
さらにキャビティ面を乾燥させている。ここで、ダイカ
スト金型内に離型剤の水分が残った場合には、次ショッ
トにおいて溶湯の熱によって水分が蒸発し、その蒸気が
溶湯に巻き込まれることにより成形品に鋳巣を生じ、製
品品質を悪化させる原因となる。そのため、ダイカスト
金型を十分に乾燥させることは、成形品の品質安定化の
点から見て重要な点の一つである。 【0003】また、ダイカスト成形品の形状が複雑な場
合には、ダイカスト金型が、中子と、中子に形成された
嵌合部に摺動可能に配設される入子とを備えている構成
となる。このような場合には、入子が嵌合部に対して摺
動可能にするために、中子と入子とは嵌合部に一定のク
リアランスを持って嵌め合わされている。ここで、この
嵌合部は、キャビティには含まれないので溶湯金属が入
ることはないが、水分が入ることがある程度の大きさで
ある。そのため、離型剤を塗布した際などには、離型剤
の水分が嵌合部に入り込むことがある。この嵌合部に入
り込んだ水分は、成形時にキャビティ内に浸出すると共
に溶湯の持つ熱により蒸発する。そして、溶湯がそのガ
スを巻き込むことによって、成形後の製品に鋳巣を生じ
るため、ダイカスト製品の品質を悪化させる原因となっ
ていた。 【0004】そこで、従来では、嵌合部に入り込んだ水
分を考慮して、ダイカスト金型の乾燥に十分な時間をと
る必要があった。 【0005】あるいは、嵌合部にグリスを塗り隙間を埋
めることによって、離型剤の水分の浸入を防止すること
も試みられたが、グリスの耐久性が乏しく、鋳造を繰り
返すとグリスが徐々に流失してしまうために、鋳造ショ
ット数が増すに従ってグリスによる水分浸入防止効果は
失われ、ダイカスト製品の品質を悪化させていた。その
ため製品品質を維持するために、嵌合部に頻繁にグリス
を塗布しなければならないため、改善が要望されてい
た。 【0006】また、特に真空ダイカストにおいては、型
締め後にキャビティ内を減圧するために、嵌合部に浸入
した離型剤がキャビティ内に浸出しやすく、ダイカスト
製品の品質を悪化させる問題点となっていた。 【0007】本発明は上記課題を解決したもので、鋳造
時に製品品質悪化の原因となる離型剤の嵌合部への浸入
を防止し、ダイカスト製品の品質を安定できるダイカス
ト金型を提供する。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、本発明の請求項1において講じた技術的手段
は、固定側中子と、前記固定側中子と対面して配置され
た可動側中子と、前記固定側中子と前記可動側中子との
どちらか一方または両方に形成された嵌合部と、該嵌合
部に摺動可能に配設された入子とを備え、前記固定側中
子と前記可動側中子と前記入子とでキャビティが構成さ
れ、鋳造前に該キャビティに離型剤を塗布するダイカス
ト金型において、前記ダイカスト金型は、前記嵌合部に
連通されたエアー供給路を備えることを特徴とするダイ
カスト金型である。 【0009】上記請求項1の発明によれば、ダイカスト
金型の固定側中子と可動側中子とのどちらか一方または
両方に形成された嵌合部に連通するエアー供給路を設け
ることにより、キャビティ面に離型剤を塗布する際に、
嵌合部に離型剤が浸入することをエアーによって防止す
ることができる。これによって、嵌合部に浸入した離型
剤が、鋳造時にキャビティ内に染み出すことによりダイ
カスト製品の品質が悪化することを防止し、ダイカスト
製品の品質を安定できる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
図面に基づいて説明する。 【0011】本発明の一実施例のダイカスト金型の型締
め時における断面図を図1に示す。尚、図2は図1の部
分拡大図である。 【0012】本例によるダイカスト金型100は、固定
側型板1と、固定側型板1と対面して配置された可動側
型板2とを備えている。ここで、固定側型板1は、固定
側中子11を備えており、固定側中子11にはキャビテ
ィ10を形成する凹部を内面に備えられている。また、
可動側型板2は、可動側中子21と、可動側中子21に
形成された嵌合部22と、嵌合部22に摺動可能に配設
された入子31とを備えており、可動側中子21には入
子31と嵌合してキャビティ10を形成する凹部を内面
に備えられている。 【0013】型締め状態において、固定側中子11と、
可動側中子21および入子31とによって囲まれた空間
がキャビティ10を形成するようになっている。このキ
ャビティ10には、スリーブ42が連通されており、ス
リーブ42内の溶湯金属をプランジャ41によって高速
高圧で押し出すことにより、キャビティ10内に溶湯金
属を充填し製品を成形することができる。 【0014】ここで、図2に示すように、可動側型板2
の可動中子21と入子31とは、お互いに摺動可能に嵌
合されているため、可動中子21と入子31とが嵌合さ
れる嵌合部22には一定のクリアランスが存在する。こ
の嵌合部22にはキャビティ10には含まれないので、
溶湯が入り込むことはないが、前述したように離型剤な
どの水分が入り込んでしまうことがあり、その結果ダイ
カスト成形品の品質を悪化することとなる。 【0015】また、嵌合部22には、可動側型板2に形
成されたエアー供給路25の一端が連通されている。こ
のエアー供給路25は、他端にエアー源が接続されてお
り、エアー供給路25を通して嵌合部22にエアーを供
給することが可能となっている。 【0016】したがって、型開き状態において、エアー
源から供給されたエアーは、エアー供給路25および嵌
合部22を経て、可動側型板2の外部に放出される。ま
た、型締め時には、キャビティ10内部にエアーを供給
することができる。 【0017】この様な構成とすることによって、金型を
冷却するとともに次ショットの製品の離型性を向上する
ために、図示しない離型剤噴射ノズルを用いて離型剤を
キャビティ10表面に塗布するとともに、嵌合部22へ
エアー供給を行うことにより、嵌合部22へ離型剤の水
分が浸入するのを防止しつつ離型剤の塗布を行うことが
可能となる。 【0018】離型剤塗布後、キャビティ10表面をエア
ーブローによって乾燥する。また、エアーブローするこ
とによって、キャビティ10表面の余剰な離型剤の除去
も行っている。 【0019】ここで、乾燥が不十分な場合には、溶湯充
填時にキャビティ10内に残った水分が溶湯の持つ熱に
よって蒸発してキャビティ10内に拡がり、その水蒸気
によって成形品に鋳巣を生じる原因となるので、十分に
乾燥することが必要である。 【0020】以上のように、離型剤を塗布する際に、エ
アー供給路25から嵌合部22にエアーを送り込むこと
によって、離型剤および水分が嵌合部22に浸入するこ
とを防止できる。そしてキャビティ10内を乾燥させる
ことによりキャビティ10内の水分を除去し、鋳巣の発
生を低減する。したがって成形品の品質の低下を防ぎ、
成形品の品質を安定化することができる。 【0021】製品成形時においてキャビティ10には溶
湯が充填されるため、溶湯充填前のキャビティ10内に
存在するエアーは、溶湯充填時において、溶湯中に巻き
込まれることにより鋳巣を生じる原因となりうる。よっ
て、キャビティ10内のエアーは、溶湯が充填されると
ともにキャビティ10外に排出されるとよい。 【0022】そこで、離型剤塗布時に嵌合部22とエア
ー源とを連通するための連通状態と、溶湯充填時にキャ
ビティ10内のエアーを解放するための解放状態とを備
え、任意の状態に切り換え可能な切り換えバルブ51
を、エアー供給路25とエアー源との間に介挿する。こ
のことにより、溶湯充填時にキャビティ10内のエアー
を解放することで、キャビティ10内のエアーによる鋳
巣の発生を防止することができる。また、真空ダイカス
トにおいては、切り換えバルブの解放側に減圧装置を取
り付けることも可能である。 【0023】ここで、嵌合部22において、図2に示す
ように、可動側中子21と入子31との当接し、かつエ
アーの流れを妨げない位置にOリング24を設置するこ
とにより、エア供給路25からキャビティ10内部側へ
流れるエアーが外部に漏れることを防止できる。これに
より離型剤塗布時の離型剤浸入防止効率を向上すること
ができる。 【0024】また、固定側中子11および可動側中子2
1には図示しない押し出しピンが設けられており、成形
された製品は、型開き状態において、押し出しピンによ
って押し出すことにより金型100から分離することが
できる。 【0025】ここで、本実施例のダイカスト金型の作動
について説明する。 【0026】図1は、本実施例におけるダイカスト金型
100の型締め時の状態を示す。図2は、図1の嵌合部
22周辺の部分拡大図である。 【0027】まず型開き状態において、金型を冷却する
とともに次ショットの製品の離型性を向上するために、
キャビティ10内に離型剤が塗布される。この際、嵌合
部22には、連通状態の切り換えバルブ51およびエア
ー供給路25を経てエアー源からエアーが供給される。
これにより、離型剤が、可動側中子21と入子31との
嵌合部22へ浸入するのを防止できる。離型剤塗布後、
キャビティ10表面の乾燥を行う。ここで、従来の様
に、嵌合部22に浸入した離型剤を乾燥させるための時
間は必要ないので、キャビティ10全体の乾燥に要する
時間は短縮されている。したがって鋳造に要するサイク
ルタイムが短縮される。 【0028】キャビティ10表面の乾燥終了後、エアー
源からのエアーの供給を停止すると共に、固定側型板1
と可動側型板2とを合わせてダイカスト金型100を型
締め状態とする。ここで、キャビティ10内の乾燥は終
了しているため、嵌合部22に離型剤および水分が入り
込むことはない。 【0029】ダイカスト金型100を型締め状態とした
後、鋳造を開始する。プランジャ41によりスリーブ4
2内の溶湯金属が高速高圧でキャビティ10内に射出さ
れ、スリーブ42から射出された溶湯金属は、キャビテ
ィ10内に高速高圧で充填される。この時、切り換えバ
ルブ51は解放状態であり、キャビティ10内に溶湯が
充填されることに伴ってキャビティ10内の空気は、嵌
合部22およびエアー供給路25を経て、切り換えバル
ブ51から外部に放出される。 【0030】溶湯充填後は、所定時間の保圧、冷却を経
て溶湯が凝固した後、型開き動作に移る。 【0031】そして、型開き状態において、押し出しピ
ンによって成形品をダイカスト金型100から分離し、
取り出すことによって鋳造完了となる。 【0032】したがって以上のように、本実施例による
ダイカスト金型100を用いることによって、嵌合部2
2に浸入した離型剤の水分が鋳造時にキャビティ10内
にしみ出すことによって引き起こされる鋳巣の発生を防
止し、ダイカスト成形品の品質を安定したものにするこ
とが可能となる。 【0033】また、従来のように、嵌合部22に浸入し
た離型剤を乾燥させるための時間を必要としなくなるた
め、離型剤塗布後、キャビティ10内を乾燥するための
時間を短縮することが可能となる。したがって、鋳造に
要する時間を短縮することが可能となる。 【0034】本実施例においては、型開き状態におい
て、嵌合部22に連通したエアー供給路25からエアー
を供給することにより、嵌合部22に離型剤の水分が浸
入するのを防止する構成としたが、これに限らず、型締
め状態において、霧状の離型剤を散布してキャビティ1
0に塗布するような場合においても、本実施例と同様
に、嵌合部22にエアーを送り込むことにより、離型剤
の浸入を防止することも可能である。また、この場合に
は、キャビティ10中に供給したエアーは、鋳造時にお
いて溶湯金属に巻き込まれ鋳巣を生じる原因となるた
め、可動側中子21と入子31との間のエアー供給路2
5および嵌合部22を経由して排出する必要がある。そ
こで、この場合においても、鋳造時に切り換えバルブ5
1を解放状態とすることにより、キャビティ10内に溶
湯が充填されることに伴ってキャビティ10内の空気
は、嵌合部22およびエアー供給路25を経て、切り換
えバルブ51から外部に放出される。 【0035】また、本実施例においては、鋳造時のエア
ーの排出はエア供給路25および嵌合部22を経由して
行ったが、これに限らず、エア供給路25および嵌合部
22以外(例えば、固定側中子11と可動側中子21の
合わせ面にエア排出口を別途設ける等)から排出するよ
うにすることも可能である。 【0036】また、本実施例においては、可動側中子2
1に形成された嵌合部22に入子31が摺動可能に配設
されたダイカスト金型について述べたが、これに限ら
ず、固定側中子11に形成された嵌合部に入子が摺動可
能に配設されたダイカスト金型や、固定側中子11およ
び可動側中子21に形成された嵌合部に入子が摺動可能
に配設されたダイカスト金型においても適用可能であ
る。 【0037】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、嵌合部
に離型剤が浸入することを防止することによって、嵌合
部に浸入した離型剤が鋳造時にキャビティ内へ染み出す
ことによるダイカスト製品の品質悪化を防止して、ダイ
カスト製品の品質を安定したものにすることができる。
する。 【0002】 【従来の技術】従来からダイカスト成形において、成形
品のダイカスト金型からの離型性の向上、及び前ショッ
トの溶湯によって熱せられたダイカスト金型の冷却を目
的として、ダイカスト金型に対して離型剤塗布を行って
いる。離型剤塗布後にはダイカスト金型のキャビティ面
に残る余剰な離型剤をエアーブロー等によって除去し、
さらにキャビティ面を乾燥させている。ここで、ダイカ
スト金型内に離型剤の水分が残った場合には、次ショッ
トにおいて溶湯の熱によって水分が蒸発し、その蒸気が
溶湯に巻き込まれることにより成形品に鋳巣を生じ、製
品品質を悪化させる原因となる。そのため、ダイカスト
金型を十分に乾燥させることは、成形品の品質安定化の
点から見て重要な点の一つである。 【0003】また、ダイカスト成形品の形状が複雑な場
合には、ダイカスト金型が、中子と、中子に形成された
嵌合部に摺動可能に配設される入子とを備えている構成
となる。このような場合には、入子が嵌合部に対して摺
動可能にするために、中子と入子とは嵌合部に一定のク
リアランスを持って嵌め合わされている。ここで、この
嵌合部は、キャビティには含まれないので溶湯金属が入
ることはないが、水分が入ることがある程度の大きさで
ある。そのため、離型剤を塗布した際などには、離型剤
の水分が嵌合部に入り込むことがある。この嵌合部に入
り込んだ水分は、成形時にキャビティ内に浸出すると共
に溶湯の持つ熱により蒸発する。そして、溶湯がそのガ
スを巻き込むことによって、成形後の製品に鋳巣を生じ
るため、ダイカスト製品の品質を悪化させる原因となっ
ていた。 【0004】そこで、従来では、嵌合部に入り込んだ水
分を考慮して、ダイカスト金型の乾燥に十分な時間をと
る必要があった。 【0005】あるいは、嵌合部にグリスを塗り隙間を埋
めることによって、離型剤の水分の浸入を防止すること
も試みられたが、グリスの耐久性が乏しく、鋳造を繰り
返すとグリスが徐々に流失してしまうために、鋳造ショ
ット数が増すに従ってグリスによる水分浸入防止効果は
失われ、ダイカスト製品の品質を悪化させていた。その
ため製品品質を維持するために、嵌合部に頻繁にグリス
を塗布しなければならないため、改善が要望されてい
た。 【0006】また、特に真空ダイカストにおいては、型
締め後にキャビティ内を減圧するために、嵌合部に浸入
した離型剤がキャビティ内に浸出しやすく、ダイカスト
製品の品質を悪化させる問題点となっていた。 【0007】本発明は上記課題を解決したもので、鋳造
時に製品品質悪化の原因となる離型剤の嵌合部への浸入
を防止し、ダイカスト製品の品質を安定できるダイカス
ト金型を提供する。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
るために、本発明の請求項1において講じた技術的手段
は、固定側中子と、前記固定側中子と対面して配置され
た可動側中子と、前記固定側中子と前記可動側中子との
どちらか一方または両方に形成された嵌合部と、該嵌合
部に摺動可能に配設された入子とを備え、前記固定側中
子と前記可動側中子と前記入子とでキャビティが構成さ
れ、鋳造前に該キャビティに離型剤を塗布するダイカス
ト金型において、前記ダイカスト金型は、前記嵌合部に
連通されたエアー供給路を備えることを特徴とするダイ
カスト金型である。 【0009】上記請求項1の発明によれば、ダイカスト
金型の固定側中子と可動側中子とのどちらか一方または
両方に形成された嵌合部に連通するエアー供給路を設け
ることにより、キャビティ面に離型剤を塗布する際に、
嵌合部に離型剤が浸入することをエアーによって防止す
ることができる。これによって、嵌合部に浸入した離型
剤が、鋳造時にキャビティ内に染み出すことによりダイ
カスト製品の品質が悪化することを防止し、ダイカスト
製品の品質を安定できる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
図面に基づいて説明する。 【0011】本発明の一実施例のダイカスト金型の型締
め時における断面図を図1に示す。尚、図2は図1の部
分拡大図である。 【0012】本例によるダイカスト金型100は、固定
側型板1と、固定側型板1と対面して配置された可動側
型板2とを備えている。ここで、固定側型板1は、固定
側中子11を備えており、固定側中子11にはキャビテ
ィ10を形成する凹部を内面に備えられている。また、
可動側型板2は、可動側中子21と、可動側中子21に
形成された嵌合部22と、嵌合部22に摺動可能に配設
された入子31とを備えており、可動側中子21には入
子31と嵌合してキャビティ10を形成する凹部を内面
に備えられている。 【0013】型締め状態において、固定側中子11と、
可動側中子21および入子31とによって囲まれた空間
がキャビティ10を形成するようになっている。このキ
ャビティ10には、スリーブ42が連通されており、ス
リーブ42内の溶湯金属をプランジャ41によって高速
高圧で押し出すことにより、キャビティ10内に溶湯金
属を充填し製品を成形することができる。 【0014】ここで、図2に示すように、可動側型板2
の可動中子21と入子31とは、お互いに摺動可能に嵌
合されているため、可動中子21と入子31とが嵌合さ
れる嵌合部22には一定のクリアランスが存在する。こ
の嵌合部22にはキャビティ10には含まれないので、
溶湯が入り込むことはないが、前述したように離型剤な
どの水分が入り込んでしまうことがあり、その結果ダイ
カスト成形品の品質を悪化することとなる。 【0015】また、嵌合部22には、可動側型板2に形
成されたエアー供給路25の一端が連通されている。こ
のエアー供給路25は、他端にエアー源が接続されてお
り、エアー供給路25を通して嵌合部22にエアーを供
給することが可能となっている。 【0016】したがって、型開き状態において、エアー
源から供給されたエアーは、エアー供給路25および嵌
合部22を経て、可動側型板2の外部に放出される。ま
た、型締め時には、キャビティ10内部にエアーを供給
することができる。 【0017】この様な構成とすることによって、金型を
冷却するとともに次ショットの製品の離型性を向上する
ために、図示しない離型剤噴射ノズルを用いて離型剤を
キャビティ10表面に塗布するとともに、嵌合部22へ
エアー供給を行うことにより、嵌合部22へ離型剤の水
分が浸入するのを防止しつつ離型剤の塗布を行うことが
可能となる。 【0018】離型剤塗布後、キャビティ10表面をエア
ーブローによって乾燥する。また、エアーブローするこ
とによって、キャビティ10表面の余剰な離型剤の除去
も行っている。 【0019】ここで、乾燥が不十分な場合には、溶湯充
填時にキャビティ10内に残った水分が溶湯の持つ熱に
よって蒸発してキャビティ10内に拡がり、その水蒸気
によって成形品に鋳巣を生じる原因となるので、十分に
乾燥することが必要である。 【0020】以上のように、離型剤を塗布する際に、エ
アー供給路25から嵌合部22にエアーを送り込むこと
によって、離型剤および水分が嵌合部22に浸入するこ
とを防止できる。そしてキャビティ10内を乾燥させる
ことによりキャビティ10内の水分を除去し、鋳巣の発
生を低減する。したがって成形品の品質の低下を防ぎ、
成形品の品質を安定化することができる。 【0021】製品成形時においてキャビティ10には溶
湯が充填されるため、溶湯充填前のキャビティ10内に
存在するエアーは、溶湯充填時において、溶湯中に巻き
込まれることにより鋳巣を生じる原因となりうる。よっ
て、キャビティ10内のエアーは、溶湯が充填されると
ともにキャビティ10外に排出されるとよい。 【0022】そこで、離型剤塗布時に嵌合部22とエア
ー源とを連通するための連通状態と、溶湯充填時にキャ
ビティ10内のエアーを解放するための解放状態とを備
え、任意の状態に切り換え可能な切り換えバルブ51
を、エアー供給路25とエアー源との間に介挿する。こ
のことにより、溶湯充填時にキャビティ10内のエアー
を解放することで、キャビティ10内のエアーによる鋳
巣の発生を防止することができる。また、真空ダイカス
トにおいては、切り換えバルブの解放側に減圧装置を取
り付けることも可能である。 【0023】ここで、嵌合部22において、図2に示す
ように、可動側中子21と入子31との当接し、かつエ
アーの流れを妨げない位置にOリング24を設置するこ
とにより、エア供給路25からキャビティ10内部側へ
流れるエアーが外部に漏れることを防止できる。これに
より離型剤塗布時の離型剤浸入防止効率を向上すること
ができる。 【0024】また、固定側中子11および可動側中子2
1には図示しない押し出しピンが設けられており、成形
された製品は、型開き状態において、押し出しピンによ
って押し出すことにより金型100から分離することが
できる。 【0025】ここで、本実施例のダイカスト金型の作動
について説明する。 【0026】図1は、本実施例におけるダイカスト金型
100の型締め時の状態を示す。図2は、図1の嵌合部
22周辺の部分拡大図である。 【0027】まず型開き状態において、金型を冷却する
とともに次ショットの製品の離型性を向上するために、
キャビティ10内に離型剤が塗布される。この際、嵌合
部22には、連通状態の切り換えバルブ51およびエア
ー供給路25を経てエアー源からエアーが供給される。
これにより、離型剤が、可動側中子21と入子31との
嵌合部22へ浸入するのを防止できる。離型剤塗布後、
キャビティ10表面の乾燥を行う。ここで、従来の様
に、嵌合部22に浸入した離型剤を乾燥させるための時
間は必要ないので、キャビティ10全体の乾燥に要する
時間は短縮されている。したがって鋳造に要するサイク
ルタイムが短縮される。 【0028】キャビティ10表面の乾燥終了後、エアー
源からのエアーの供給を停止すると共に、固定側型板1
と可動側型板2とを合わせてダイカスト金型100を型
締め状態とする。ここで、キャビティ10内の乾燥は終
了しているため、嵌合部22に離型剤および水分が入り
込むことはない。 【0029】ダイカスト金型100を型締め状態とした
後、鋳造を開始する。プランジャ41によりスリーブ4
2内の溶湯金属が高速高圧でキャビティ10内に射出さ
れ、スリーブ42から射出された溶湯金属は、キャビテ
ィ10内に高速高圧で充填される。この時、切り換えバ
ルブ51は解放状態であり、キャビティ10内に溶湯が
充填されることに伴ってキャビティ10内の空気は、嵌
合部22およびエアー供給路25を経て、切り換えバル
ブ51から外部に放出される。 【0030】溶湯充填後は、所定時間の保圧、冷却を経
て溶湯が凝固した後、型開き動作に移る。 【0031】そして、型開き状態において、押し出しピ
ンによって成形品をダイカスト金型100から分離し、
取り出すことによって鋳造完了となる。 【0032】したがって以上のように、本実施例による
ダイカスト金型100を用いることによって、嵌合部2
2に浸入した離型剤の水分が鋳造時にキャビティ10内
にしみ出すことによって引き起こされる鋳巣の発生を防
止し、ダイカスト成形品の品質を安定したものにするこ
とが可能となる。 【0033】また、従来のように、嵌合部22に浸入し
た離型剤を乾燥させるための時間を必要としなくなるた
め、離型剤塗布後、キャビティ10内を乾燥するための
時間を短縮することが可能となる。したがって、鋳造に
要する時間を短縮することが可能となる。 【0034】本実施例においては、型開き状態におい
て、嵌合部22に連通したエアー供給路25からエアー
を供給することにより、嵌合部22に離型剤の水分が浸
入するのを防止する構成としたが、これに限らず、型締
め状態において、霧状の離型剤を散布してキャビティ1
0に塗布するような場合においても、本実施例と同様
に、嵌合部22にエアーを送り込むことにより、離型剤
の浸入を防止することも可能である。また、この場合に
は、キャビティ10中に供給したエアーは、鋳造時にお
いて溶湯金属に巻き込まれ鋳巣を生じる原因となるた
め、可動側中子21と入子31との間のエアー供給路2
5および嵌合部22を経由して排出する必要がある。そ
こで、この場合においても、鋳造時に切り換えバルブ5
1を解放状態とすることにより、キャビティ10内に溶
湯が充填されることに伴ってキャビティ10内の空気
は、嵌合部22およびエアー供給路25を経て、切り換
えバルブ51から外部に放出される。 【0035】また、本実施例においては、鋳造時のエア
ーの排出はエア供給路25および嵌合部22を経由して
行ったが、これに限らず、エア供給路25および嵌合部
22以外(例えば、固定側中子11と可動側中子21の
合わせ面にエア排出口を別途設ける等)から排出するよ
うにすることも可能である。 【0036】また、本実施例においては、可動側中子2
1に形成された嵌合部22に入子31が摺動可能に配設
されたダイカスト金型について述べたが、これに限ら
ず、固定側中子11に形成された嵌合部に入子が摺動可
能に配設されたダイカスト金型や、固定側中子11およ
び可動側中子21に形成された嵌合部に入子が摺動可能
に配設されたダイカスト金型においても適用可能であ
る。 【0037】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、嵌合部
に離型剤が浸入することを防止することによって、嵌合
部に浸入した離型剤が鋳造時にキャビティ内へ染み出す
ことによるダイカスト製品の品質悪化を防止して、ダイ
カスト製品の品質を安定したものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかるダイカスト金型の型締
め時における断面図である。 【図2】図1における可動側中子の嵌合部周辺の拡大図
である。 【符号の説明】 1・・・固定側型板 11・・・固定側中子 2・・・可動側型板 21・・・可動側中子 22・・・嵌合部 25・・・エアー供給路 31・・・入子 41・・・プランジャ 42・・・スリーブ 51・・・切り換えバルブ 100・・・ダイカスト金型
め時における断面図である。 【図2】図1における可動側中子の嵌合部周辺の拡大図
である。 【符号の説明】 1・・・固定側型板 11・・・固定側中子 2・・・可動側型板 21・・・可動側中子 22・・・嵌合部 25・・・エアー供給路 31・・・入子 41・・・プランジャ 42・・・スリーブ 51・・・切り換えバルブ 100・・・ダイカスト金型
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 固定側中子と、該固定側中子と対面して
配置された可動側中子と、前記固定側中子と前記可動側
中子とのどちらか一方または両方に形成された嵌合部
と、該嵌合部に摺動可能に配設された入子とを備え、前
記固定側中子と前記可動側中子と前記入子とでキャビテ
ィが構成され、鋳造前に該キャビティに離型剤を塗布す
るダイカスト金型において、前記ダイカスト金型は、前
記嵌合部に連通されたエアー供給路を備えることを特徴
とするダイカスト金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002022545A JP2003225751A (ja) | 2002-01-30 | 2002-01-30 | ダイカスト金型 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002022545A JP2003225751A (ja) | 2002-01-30 | 2002-01-30 | ダイカスト金型 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003225751A true JP2003225751A (ja) | 2003-08-12 |
Family
ID=27745509
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002022545A Pending JP2003225751A (ja) | 2002-01-30 | 2002-01-30 | ダイカスト金型 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003225751A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005334938A (ja) * | 2004-05-27 | 2005-12-08 | Aisin Seiki Co Ltd | ダイカスト金型 |
-
2002
- 2002-01-30 JP JP2002022545A patent/JP2003225751A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005334938A (ja) * | 2004-05-27 | 2005-12-08 | Aisin Seiki Co Ltd | ダイカスト金型 |
JP4507703B2 (ja) * | 2004-05-27 | 2010-07-21 | アイシン精機株式会社 | ダイカスト金型 |
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