JP2004174812A - 多層成形用金型、多層成形品の成形方法、および多層成形品 - Google Patents

多層成形用金型、多層成形品の成形方法、および多層成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単な構成で、確実且つ容易に成形材料から発生したガスを排出することができる多層成形用金型を提供する。
【解決手段】多層成形用金型は、互いに対向して相対的に近接・遠退可能に配置されて、近接して衝合されたときに内部にキャビティ3を形成する固定型1と可動型2により構成されており、キャビティ3の端部には、成形品Pの型開閉方向の肉厚が厚くなる肉厚部Paを成形する肉厚部成形部分30が形成されている。そして、多層成形用金型は、一方がキャビティ3の肉厚部成形部分30に開口し他方が金型外に開口するように形成されてキャビティ3内で成形材料から発生するガスGを逃すための通路4と、成形品の肉厚部Paを冷却する冷却手段5と、成形品の肉厚部Pa以外の部分を所定の適切な温度に調整する温調手段6と、を備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層成形用金型、多層成形品の成形方法、および多層成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多層成型品の成形方法に関する従来の技術として、たとえば、合成樹脂成形品の表面に被覆剤を被覆するために、合成樹脂成形のための成形型内に、合成樹脂成形後、上記合成樹脂の表面が、上記被覆剤に対して、その注入・流動圧力に耐え得る適正硬化または固化の時点で、上記成形型をそのままの状態に保持しながら、成形型内表面と上記合成樹脂成形品との境界に上記被覆剤を注入し、上記被覆剤で、上記合成樹脂成形品の表面を被覆する工程と、上記被覆剤を硬化させる工程とを有する型内被覆方法において、被覆剤の注入工程で、所要の注入速度パターンで、多段の可変速度による注入を実施することを特徴とする型内被覆方法が知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
一方、溶融樹脂から発生するガスを金型外部へと排気するための従来の技術として、a.固定型と、b.移動型(可動型)と、c.前記固定型の一部を構成し、ランナを備えた主板と、d.同じく固定型の一部を構成し、前記ランナーに接続するゲートスプルーを備えた入子と、e.前記主板と前記入子の合わせ面に、且つ前記ゲートスプルーの周囲に形成されたガス抜き溝と、f.前記ガス抜き溝に連通されたガス抜き穴と、g.前記ガス抜き穴に連通されたガス吸引機と、を備えたガス抜き機構を備えた射出成形金型が知られている(特許文献2を参照)。
【0004】
当該特許文献2には、その作用において、「射出された溶融樹脂は、ランナーとゲートスプルーを経てゲートに至り、ゲート付近で溶融樹脂の流れが制限され、高圧でキャビティ内に充填される。この時、ゲート以前の溶融樹脂から発生するガスは、ゲート付近で塞き止められ、主板と入子の合わせ目などに逃げ場を求めることになるが、ゲートスプルーの周囲に形成されたガス抜き溝から、ガス抜き穴を経て、ガス吸引機により金型外部へと排気される。」などと記載されている(段落番号0005など)。
【0005】
また、溶融樹脂から発生するガスを金型外部へと排気するための別の従来の技術として、多点薄肉部圧縮成形方法及びこの方法に用いる多点薄肉部圧縮成形金型が知られている(特許文献3を参照)。当該特許文献3の多点薄肉部圧縮成形金型は、お互いに開閉して型閉め時の相互間に成形品形状のキャビティを形成した一対の金型装置を有し、この金型装置の開閉する一方の可動金型に前記キャビティ内部で他の固定金型方向に金型自体の機構または個別の機構によって突出する少なくとも1つ以上の可動入子を設け、この可動入子の周囲または一部を囲む前記可動金型にリブ用の凹部を形成したことを特徴とするもので、前記可動金型及び可動入子には、前記可動入子の中心及び周囲の両方または一方のいずれかにガスを排出する15μ〜20μの隙間を有したガス抜け部を形成している。そして、特許文献3には、溶融樹脂がキャビティ空間に充填すると、複数の可動入子を駆動させて圧縮を開始する。これにより溶融樹脂は、複数の可動入子の圧縮圧力により凹部及びエアポケット部に充填し、キャビティの内部全てに充填される。この際、可動入子には、ガス抜き部が形成されているため、エアポケット部のガスを外部に排出することができる、などと記載されている(段落番号0027)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6‐328504号公報
【特許文献2】
登録実用新案公報第3005255号
【特許文献3】
特開2000−190347号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1にあっては、被覆剤からガスが発生した場合には、かかるガスをキャビティ外に排気させることができないという問題があった。
【0008】
一方、上記特許文献2にあっては、ゲート以前の溶融樹脂から発生するガスを排気するためのものであり、上記特許文献1と同様に、キャビティ内射出充填された溶融樹脂から発生するガスをキャビティ外へ排気することができないという問題があった。
【0009】
さらに、上記特許文献3にあっては、溶融樹脂をキャビティ空間に充填した際に凹部にエアポケット部が形成されることになり、このエアポケット部のガスをガス抜け部から外部に排出するものであり、キャビティ空間内の凹部以外の箇所で溶融樹脂から発生したガスについては凹部へ確実に移動するとは限らず、外部へ排出することができないために表面の成形性が良くない場合があるという問題があった。そして、かかる問題は、上記特許文献3を上記特許文献1に適用したとしても、同様にキャビティ内の被覆剤(成形材料)から発生するガスを外部に排気することができないために、解決することはできなかった。
【0010】
本発明は、上述した問題を優位に解決するためになされたもので、簡単な構成で、確実且つ容易に成形材料から発生したガスを排出することができる多層成形用金型、および多層成形品の成形方法を提供することを目的としたものである。また、本発明は、精度良く、しかも表面形状の成形性を向上させることができる構成の多層成形品を提供することを目的としたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の多層成形用金型に係る発明は、上記目的を達成するため、複数の層をキャビティ内で順次積層成形する多層成形用金型であって、成形材料から発生するガスを逃す通路と、第1層の、通路の開口と対応する周囲部分を通路の開口から離間させるように収縮させるべく部分的に冷却する冷却手段と、を備え、キャビティの通路が開口する部分に肉厚部成形部分を形成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の多層成形品の成形方法に係る発明は、上記目的を達成するため、成形時に発生するガスをキャビティー外に逃がす通路を有すると共に、キャビティの通路が開口する部分の周囲の肉厚が他の部分と比べて厚く形成された金型を型閉じし、キャビティ内に成形材料を供給して、通路と対応する部分の周囲の肉厚が他の部分と比較して厚く形成された肉厚部を有する第1層を成形し、第1層の肉厚部を冷却して該部分を通路の開口から離間させるように収縮させ、前記第1層とキャビティーとの間に第2層の成形材料を供給し、第2層の成形材料を通路の開口に向かって流動させて、第1層に第2層が積層された所定形状の多層成形品を成形することを特徴とするものである。
さらに、請求項3の多層成形品に係る発明は、上記目的を達成するため、成形時に発生するガスをキャビティー外に逃がす通路を有する金型により複数の層が順次積層成形されてなる多層成形品であって、第1層の通路の開口と対応する部分の周囲の肉厚が他の部分と比較して厚く成形された肉厚部を有しており、第2層は、その成形材料が供給された箇所から反対側の第1層の肉厚部に向かって流動するように積層成形されてなることを特徴とするものである。
【0012】
請求項1の発明では、金型を型閉じしてキャビティを形成し、このキャビティ内に成形材料を供給して第1層を成形する。キャビティの、成形材料から発生するガスを逃すために設けられた通路が開口する部分の周囲の肉厚が他の部分と比べて厚くなった肉厚部成形部分が形成されているため、第1層の通路が開口する部分の周囲と対応する部分は、その肉厚が他の部分の肉厚よりも厚くなった肉厚部が成形されることとなる。そして、第1層の肉厚部は、冷却手段によって部分的に冷却されることにより、他の部分と比較して確実に且つ短時間で大きく収縮して、キャビティの通路の開口から大きく離間される。第1層とキャビティとの間であって、通路の反対側から第2層の成形材料を供給して成形すると、第2層の成形材料が通路に向かって全体に流動して第1層に第2層が積層成形され、しかも、第2層の成形材料の流動に伴って、そこから発生したガスが通路からキャビティー外へと逃がされて、第2層の表面の成形性が良好な状態で多層成形品が成形されることとなる。
請求項2の発明では、成形材料から発生するガスを逃すために設けられた通路が開口する部分の周囲の肉厚が他の部分と比べて厚くなった肉厚部成形部分が形成されたキャビティが形成される。このキャビティ内に成形材料を供給して第1層を成形すると、第1層の通路が開口する部分の周囲と対応する部分は、その肉厚が他の部分の肉厚よりも厚くなった肉厚部が成形されることとなる。そして、第1層の肉厚部を部分的に冷却すると、この肉厚部は、他の部分と比較して確実に且つ短時間で大きく収縮されて、キャビティの通路の開口から大きく離間される。その後、第1層とキャビティとの間であって、通路の反対側から第2層の成形材料を供給して成形すると、第2層の成形材料が通路に向かって全体に流動して第1層に第2層が積層成形され、しかも、第2層の成形材料の流動に伴って、そこから発生したガスが通路からキャビティー外へと逃がされて、第2層の表面の成形性が良好な状態で多層成形品が成形されることとなる。
請求項3の発明では、第1層の通路の開口と対応する部分の周囲の肉厚が他の部分と比較して厚く成形された肉厚部を有していることにより、かかる肉厚部分はその収縮量が大きくなるように構成されている。そのため、第2層を積層成形するときには、その成形材料が供給された箇所から反対側の第1層の肉厚部に向かって流動するように積層成形されてなるため、第2層の表面の成形性が良好な状態となるように成形される多層成形品が構成されることとなる。
なお、本発明の第1層および第2層とは、単一の層に限定されることはなく、たとえば合計で三つの層を積層成形する場合に、第1層として一つ目の層に第2層として二つ目の層を積層成形し、この一つ目の層と二つ目の層とを積層成形したものを第1層として、第2層としての三つ目の層を積層成形するような場合も含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】
最初に、本発明の多層成形用金型の実施の一形態を図1〜図4に基づいて詳細に説明する。なお、同一符号は、同様または相当する部分を示すものとする。
本発明の多層成形用金型は、概略、互いに対向して相対的に近接・遠退可能に配置されて、近接して衝合されたときに内部にキャビティ3を形成する少なくとも一対からなるもので、この実施の形態では、固定型1と可動型2により構成されており、キャビティ3の端部には、成形品Pの型開閉方向の肉厚t(図4)が厚くなる肉厚部Paを成形する肉厚部成形部分30が形成されている。そして、多層成形用金型は、一方がキャビティ3の肉厚部成形部分30に開口し他方が金型外に開口するように形成されてキャビティ3内で成形材料から発生するガスGを逃すための通路4と、成形品Pの肉厚部Paを冷却する冷却手段5と、成形品Pの肉厚部Pa以外の部分を所定の適切な温度に調整する温調手段6と、を備えている。
【0014】
この実施の形態においては、固定型1は図の下方に固設された固定盤10に取り付けられ、可動型2は固定盤10と対向するように図の上方に配設された可動盤20に取り付けられており、可動盤20は型締手段(図示を省略する)に連結されている。すなわち、この実施の形態では、型開閉方向が図の上下方向となるように配置されている。しかしながら、本発明は、この実施の形態に限定されることなく、型開閉方向がたとえば図の左右方向となるように配置することもできる。また固定型1を図の上方に、可動型2を図の下方に配置することもできる。
【0015】
この実施の形態の場合、図の右方端にキャビティ3の肉厚部成形部分30が形成されており、これに伴って、ガスGを逃すための通路4および冷却手段を構成する冷却媒体流通管路5が配置されている。一方、図の中央から右方端にかけては、温調手段を構成する温調媒体流通管路6が配置されており、略中央には第1層P1の成形材料を供給するための導入経路となるスプル7(後述する)が配設され、キャビティ3の肉厚部成形部分30が形成された図の右方端と反対側である左方端には、第2層の成形材料を供給するためのインジェクタ8(後述する)が配設される。
【0016】
固定型1は、冷却手段の冷却媒体流通管路5が配設された冷却ブロック11と、
温調手段の温調媒体流通管路6が配設された温調ブロック12と、両ブロック11、12の間に介装された断熱材13とにより構成されている。固定型1には、第1層P1を成形するためのたとえば熱可塑性樹脂からなる成形材料を混練・溶融して計量し射出する射出機構のノズル9が接合されてその成形材料をキャビティ3内に導入させるためのスプル7が設けられている。なお、成形材料がシートモールディングコンパウンドやバルクモールディングコンパウンドなどである場合には、スプル7に替えてこのような成形材料を型開きされた状態の固定型1と可動型2との間に搬送する搬送手段を設けることもできる(図示は省略する)。
【0017】
可動型2は、冷却手段の冷却媒体流通管路5が配設された冷却ブロック21と、温調手段の温調媒体流通管路6が配設された温調ブロック22と、両ブロック21、22の間に介装された断熱材23とにより構成されている。可動型2には、ガスGを逃すための通路4と、第2層P2を成形するための成形材料を供給するためのインジェクタ8とが設けられている。インジェクタ8は、第2層P2を成形するためのたとえば熱硬化性樹脂からなる溶融化された成形材料を計量してキャビティ3と第1層P1との間に注入するよう構成されている。この実施の形態は、インジェクタ8は、キャビティ3の肉厚部成形部分30とは反対側である図の左方端から第2層P2の成形材料を注入するよう配置されている。なお、インジェクタ8は、この実施の形態の場合には第1層P1の上面に第2層P2を成形するために、上方に位置する可動型2に設けられているが、第1層P1の下面に第2層P2を成形する場合などには固定型1に設けることもでき、さらには、インジェクタ8に替えて、第1層P1の成形材料を供給するための射出機構とは別に、第2層P2の成形材料を供給するための射出機構を用意し、各射出機構のノズル9を切換可能に固定型1のスプル7に対して接合させることができるように構成することもできる。また、インジェクタ8がキャビティ3の中央に第2層P2の成形材を供給するように配置構成された場合には、肉厚部成形部分30と通路4および冷却媒体流通管路5は、キャビティ3の図における両端に設けられることとなる。
【0018】
固定型1および可動型2の温調ブロック12、22に配設された温調媒体流通管路6には、図示しない温調媒体供給手段が接続されて、水や蒸気、あるいは油などの温調媒体が供給循環されて、温調ブロック12、22をたとえば80〜120度Cに調整する。一方、固定型1および可動型2の冷却ブロック11、21の肉厚部形成部分近傍に配設された冷却媒体流通管路5には、図示しない冷却媒体供給手段が接続されて、冷水などの温調媒体が適当なタイミングで供給循環されて、冷却ブロック11、21をたとえば0〜20度Cに調整する。
【0019】
ガスGを逃すための通路4は、複数が型開閉方向に延在して肉厚部成形部分30の型開閉方向と直交する面に開口するように形成されている。
【0020】
次に、本発明の多層成形品の成形方法の実施の一形態を、上述したように構成された多層成形用金型を用いる場合により、その作動と共に詳細に説明する。
本発明の多層成形品の成形方法は、概略、肉厚部形成部分30が形成されたキャビティ3と、成形時に発生するガスGをキャビティー3外に逃がす通路4と、を有する金型1、2を型閉じし、キャビティ3内に成形材料を供給して肉厚部Paを有する第1層P1を成形し、第1層P1の肉厚部Paを部分的に冷却して通路4の開口から離間させるように収縮させ、前記第1層P1とキャビティー3との間であって通路4の開口と反対側から第2層P2の成形材料を供給し、第2層P2の成形材料を供給箇所から通路4の開口に向かって全体的に流動させて第1層P1に第2層P2が積層された所定形状の多層成形品Pを成形するものである。
【0021】
多層成形品Pを成形するにあたっては、最初に、固定型1に対して可動型2を近接させて型閉じしてキャビティ3を形成する。このキャビティ3の一端側には肉厚部整形部分30が設けられており、肉厚部整形部分30の型開閉方向と直交する面には通路4が開口している。また、キャビティ3の他端側には、第2層P2の成形材料を供給するためのインジェクタ8が設けられている。
【0022】
続いて、第1層P1を成形する所定量の成形材料を、射出機構のノズル9からスプル7を介してキャビティ3内に導入する。成形された第1層P1の端部には、肉厚部Paが形成されることとなる。そして、成形された第1層P1の肉厚部Pa以外の部分は、温調ブロック12、22の温調媒体流通管路6に所定温度の温調媒体が供給循環されることによって所定の温度(たとえば80〜120度C)に保持される。なお、温調媒体流通管路6に循環供給される温調媒体の温度が第1層P1の成形材料の溶融温度よりも低い場合には、係る部分の固化が始まり、僅かな収縮量th(図2)で板厚が収縮することとなる。
【0023】
一方、成形された第1層P1の肉厚部Paは、冷却ブロック11、21の冷却媒体流通管路5に所定温度の冷却媒体が供給循環されることによって所定の温度(たとえば0〜20度C)に部分的に冷却されて、温調ブロック12、22と対応する部分の収縮量thよりも大きな収縮量tc(図2)で板厚が収縮することとなる。そして、この収縮により第1層P1の肉厚部Paの上面は、可動型2が構成するキャビティ3の肉厚部成形部分30の、通路4の開口周囲の面から短時間で確実に大きく離間することとなる。
【0024】
その後、肉厚部形成部分30と反対側に設けられたインジェクタ8から第2層P2の成形材料を注入する。このとき、第1層P1の、特に肉厚部Paの板厚Tcが大きく収縮してキャビティ3面から大きく離間していることにより、第2層P2の成形材料が第1層P1とキャビティ3の間であって、インジェクタ8が設けられた図の左方から右方の肉厚部成形部分30に向かって全体的に流動し、この流動に伴って、第2層P2の成形材料から発生したガスGは、肉厚部成形部分30に開口する通路4を介して外部へ強制的に逃がされることとなる。そのため、第2層P2の表面がガスGによる影響を受けることなく良好な状態で第1層P1に積層成形されることとなる。そして、ガスGが通路4から第2層P2の成形材料自体の流動によって強制的に排気されるため、通路4からガスGを吸引させるための吸引手段などを設ける必要がなく、したがって、簡単な構成であるために設備コストを低減させることができる。
【0025】
なお、第1層P1の肉厚部以外の部分の板厚thの収縮量が小さく第2層P2の成形材料を注入するのが困難な場合、あるいは、成形品Pの設定された板厚が完全に型閉じした状態で成形される板厚よりも大きい場合など、必要ある場合には、第2層P2の成形材料を注入するに先だって、図3に示すように、可動型2を固定型1から所定量開かせておき、第2層P2の成形材料を所定量注入した後に、図4に示すように、成形品Pが設定された所定の板厚寸法となるように所定の型締力で型閉じさせる。
【0026】
このように成形された多層成形品Pは、図4に示したように、肉厚部Paを有する第1層P1に対して、第2層P2の成形材料が供給された箇所(図の左方)から反対側の第1層P1の肉厚部Pa(図の右方)に向かって全体的に流動してガスGを逃しながら積層成形されるため、第2層P2の表面がガスGによる影響を受けることなく第1層P1に精度良く積層成形された良好な状態のものとなる。
【0027】
なお、本発明の第1層P1および第2層P2は、単一の層に限定されることはなく、たとえば合計で三つの層を積層成形する場合に、第1層P1として一つ目の層に第2層P2として二つ目の層を積層成形し、この一つ目の層と二つ目の層とを積層成形したものを第1層P1として、三つ目の層を第2層P2として積層成形するような場合も含まれる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、成形材料から発生するガスを逃す通路と、第1層の、通路の開口と対応する周囲部分を通路の開口から離間させるように収縮させるべく部分的に冷却する冷却手段と、を備え、キャビティの通路が開口する部分の周囲の肉厚を他の部分と比較して厚く形成したことにより、簡単な構成で、確実且つ容易に成形材料から発生したガスを排出することができる多層成形用金型を提供することができる。
請求項2の発明によれば、成形時に発生するガスをキャビティー外に逃がす通路を有すると共に、キャビティの通路が開口する部分の周囲の肉厚が他の部分と比べて厚く形成された金型を型閉じし、キャビティ内に成形材料を供給して、通路と対応する部分の周囲の肉厚が他の部分と比較して厚く形成された第1層を成形し、第1層の肉厚が他の部分と比較して厚く形成された部分を冷却して該部分を通路の開口から離間させるように収縮させ、前記第1層とキャビティーとの間に第2層の成形材料を供給し、第2層の成形材料を通路の開口に向かって流動させて、第1層に第2層が積層された所定形状の多層成形品を成形することとしたことにより、簡単な構成で、確実且つ容易に成形材料から発生したガスを排出することができる多層成形品の成形方法を提供することができる。
請求項3の発明では、第1層の通路の開口と対応する部分の周囲の肉厚が他の部分と比較して厚く成形されており、第2層は、その成形材料が第1層の肉厚が他の部分と比較して厚く形成された部分に向かって流動するように積層成形されてなることにより、精度良く、しかも表面形状の成形性を向上させることができる構成の多層成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層成形用金型の実施の一形態を示す断面図である。
【図2】第1層の肉厚部が冷却されて収縮した状態を説明するための拡大断面図である。
【図3】第2層の成形材料をキャビティと第1層との間に注入した状態を説明するための断面図である。
【図4】第2層の成形材料が第1層の表面全体に流動して多層成形品が成形され、ガスが通路から金型外に排気された状態を説明するための断面図である。
【符号の説明】
P 多層成形品
P1 第1層
P2 第2層
Pa 肉厚部
G ガス
1 固定型
2 可動型
3 キャビティ
30 肉厚部成形部分
4 通路
5 冷却媒体流通管路(冷却手段)
6 温調媒体流通管路(温調手段)

Claims (3)

  1. 複数の層をキャビティ内で順次積層成形する多層成形用金型であって、
    成形材料から発生するガスを逃す通路と、
    第1層の、通路の開口と対応する周囲部分を通路の開口から離間させるように収縮させるべく部分的に冷却する冷却手段と、を備え、
    キャビティの通路が開口する部分に肉厚部成形部分を形成したことを特徴とする多層成形用金型。
  2. 成形時に発生するガスをキャビティー外に逃がす通路を有すると共に、キャビティの通路が開口する部分の周囲の肉厚が他の部分と比べて厚く形成された金型を型閉じし、
    キャビティ内に成形材料を供給して、通路と対応する部分の周囲の肉厚が他の部分と比較して厚く形成された肉厚部を有する第1層を成形し、
    第1層の肉厚部を冷却して該部分を通路の開口から離間させるように収縮させ、
    前記第1層とキャビティーとの間に第2層の成形材料を供給し、
    第2層の成形材料を通路の開口に向かって流動させて、第1層に第2層が積層された所定形状の多層成形品を成形することを特徴とする多層成形品の成形方法。
  3. 成形時に発生するガスをキャビティー外に逃がす通路を有する金型により複数の層が順次積層成形されてなる多層成形品であって、
    第1層の通路の開口と対応する部分の周囲の肉厚が他の部分と比較して厚く成形された肉厚部を有しており、
    第2層は、その成形材料が供給された箇所から反対側の第1層の肉厚部に向かって流動するように積層成形されてなることを特徴とする多層成形品。
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