JP5370812B2 - 成形用金型 - Google Patents

Description

本発明は樹脂のガスカウンタープレッシャー成形方法に用いられる金型に関し、キャビティ内に樹脂を充填した後キャビティ容積を縮小及び拡大、又は拡大して成形品を得る成形用金型に関する。

発泡剤を溶かし込んだ溶融樹脂を金型のキャビティ内に射出充填し、内部に気泡構造を有し、且つ表面が平滑な樹脂成形品を得る成形方法としてガスカウンタープレッシャー成形方法が知られている。この成形方法によれば、樹脂の発泡を抑制するに必要な圧力に加圧されたキャビティ内に溶融樹脂を充填するため、樹脂中の発泡剤が脱圧して発泡することがなく成形品の表面にスワルマーク（発泡模様）が形成されない。
ガスカウンタープレッシャー成形方法による発泡成形では、金型のキャビティ容積よりも少ない量を射出充填し、充填後にキャビティ容積を縮小してキャビティ内に充満させて表面層を固化、次いでキャビティ容積を拡大して樹脂を発泡させるショートショット法（ロープレッシャー法）と、金型のキャビティ容積と同量を射出充填し、表面層が固化した後にキャビティ容積を拡大して樹脂を発泡させるフルショット法（ハイプレッシャー法）が知られている。

前述した金型のキャビティ内に発泡剤を溶かし込んだ溶融樹脂を射出充填した後にキャビティ容積を変化させる成形方法に用いる成形用金型は、キャビティ内のカウンター圧力を維持するために金型の機密性を高める必要があり、シールなどを用いてキャビティと金型外部との通気が制限されている。そして、成形用金型はキャビ型とコア型とが嵌合自在に所謂半押し込み構造で構成され、キャビ型とコア型とでキャビティが形成される。さらに、コア型は機密状態で型開閉方向に移動する構成となっている。（特許文献１参照）

特開２００４−１７２８５号公報

しかし、前述した従来の成形用金型は機密性を高めた構造で、キャビティを形成する金型のキャビティ面の周囲にはキャビティを加熱するヒータや温度調整する温調用の流路、温度を検出するための温度センサなどが設けられ、キャビ型にはキャビティ内を加圧、脱圧するためのガス通路を有している。
このため、キャビティを充満して溶融樹脂が合流する全ての最終充填部に、キャビティ内を加圧、脱圧するためのガス通路を設けることは困難であり、樹脂の最終充填部では脱圧を行うことができず、樹脂の充填が完了してキャビティを充満するまで樹脂表面にカウンター圧力を均等に作用させることができないという問題があった。

本発明は、従来技術の問題点に着目し、成形用金型の金型構成に制約されることなく、樹脂の充填完了まで樹脂表面にカウンター圧力を均等に作用させることのできる成形用金型を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するために、本発明による成形用金型は、
コア型とキャビ型とが嵌合自在に構成され、型閉じして形成されるキャビティと金型外部との通気が制限されたガスカウンタープレッシャー成形方法に用いる半押し込み構造の成形用金型であって、前記コア型の前記キャビ型と嵌合する樹脂の最終充填部にキャビティに開口した浅溝を型開閉方向に、給排溝を型開閉方向と交差方向にそれぞれが連通するように設け、前記キャビ型の前記コア型と嵌合する所定位置に前記浅溝及び給排溝を介して前記キャビティ内にガスを給排する通路が設けられるとともに、金型外表面に設けた前記通路の接続口がガスを供給する圧力源に接続されて、金型の型閉じ状態において前記キャビティ内を加圧自在とした。

本発明の成形用金型によれば、コア型のキャビ型と嵌合する所定の位置にキャビ型に設けたカウンターガスを給排する通路に連通する給排溝及び浅溝を設けたので、型閉じ状態でキャビティの機密性を高めた金型構成であってもキャビティ内にカウンター圧力を作用させることができる。
また、カウンターガスを給排するために機構を有する手段を用いない前記構成としたので、金型の製作や保守に要する費用を低減することができる。
そして、キャビティに開口した浅溝を樹脂の最終充填部に設ける構成としたので、樹脂の充填完了まで樹脂表面にカウンター圧力を均等に作用させることができる。従って、カウンターガスがキャビティ内に残留することに起因する成形品の成形不良、例えば、ガス焼け等が発生することがなく、高い品質の成形品を得られる。

以下、図面に基づいて本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
図１は本発明の実施の形態に係り、実施形態の好ましい一例を示す成形用金型の縦断面図である。図２は図１を型閉じ方向に切断した縦断面図である。
図１に示すようにこの成形用金型は、接離自在なキャビ型１０とコア型１１とからなり、キャビ型１０とコア型１１とが型閉じして合わさることによりキャビティ１２が形成される。コア型１１はキャビ型１０の内周部と嵌合わされる構成となっており、コア型１１のキャビ型１０との嵌合部には浅溝１３と給排溝１４が、コア型１１のキャビ型１０との嵌合部には浅溝１３及び給排溝１４と連通するカウンターガスの通路１５が設けられている。
キャビ型１０及びコア型１１のキャビティ面の周囲には、キャビティ１２の温度を正確に制御するための媒体が供給される通路１７、１８がキャビティ面に略均等に分布するように配されている。符号２０はキャビティ１２に射出充填された発泡剤を溶かし込んだ溶融樹脂である。

カウンターガスの供給手段は、圧力源３１、逆止め弁３２、電磁弁３３、リリーフ弁３４、サイレンサ３５、圧力計３６、配管３７で要部が構成される。通路１５の金型外表面には配管３７が接続される接続口１６が設けられ、金型を閉じた状態でカウンターガスをガス源３１からキャビティ１２に供給する。
ガス圧力源３１はガスボンベ及び圧力調整手段で略構成され、逆止め弁３２はキャビティ１２内に溶融樹脂が充填された際にガスがガス圧力源３１側に流入することを防止する。電磁弁３３を励磁することで、ガス圧力源３１とキャビティ１２が連通しカウンターガスが供給される。キャビティ１２内に作用する所定圧力をリリーフ弁３５で設定し、その圧力は圧力計３６により確認する。符号３４はサイレンサであり、リリーフ弁３５から排出されるガスの排出音を消音し低減させる。

図２に示すように、溶融樹脂の最終充填部となるコア型１１の嵌合部にキャビティ１２に開口した浅溝１３が金型の開閉方向に、浅溝１３に接続して給排溝１４が金型の開閉方向と交差方向に延設可能に設けられている。キャビティ１２内へのカウンターガスの給排は、配管３１及び通路１５を介して行われる。
キャビ型１０に設けた通路１５は、金型の温度調節用の媒体が供給される通路１７を避けた位置に配される。給排溝１４を延設することにより通路１５は浅溝１３の位置に拘束されることなく配置が可能で、媒体の通路１７の配置にも影響されることがない。
そして、本実施の形態において浅溝１３は、樹脂の最終充填部となる成形品（正方形の形状）の四隅に配置される。

キャビ型１０は図示しない成形装置の固定盤に、コア型１１は成形装置の可動盤にそれぞれ取り付けられる構成とした。図１は、キャビ型１０とコア型１１がパーティング面で当接することなく隙間の開いた状態で、成形品の容積よりも所定の容積分だけ拡大したキャビティ１２に溶融樹脂を充填する射出工程を示している。キャビティ１２内に溶融樹脂２０が充填される途中又は充填の完了の後に、コア型１１を前進させて両型を当接させるプレス工程により一次成形を得る。
キャビティ１２内のカウンターガスは射出工程及びプレス工程のいずれの工程においても、溶融樹脂２０が浅溝１３に到達するまで作用するので、キャビティ１２内にカウンターガスが残留することはない。

前記プレス工程の完了後に型閉じ状態を保持することでスキン層が形成され、スキン層の形成後にコア型１１を所定量型開きして保持することで一次成形品の内部が発泡し、外表面がスキン層で内部が発泡層の三層構造を有する発泡成形品が得られる。
前述した射出工程及びプレス工程においてキャビティ内は予め所定のカウンター圧力で維持されており、樹脂の充填に伴って容積が減少するキャビティ内のガスは、リリーフ弁３４から排出される。そして、プレス工程の完了とともにカウンターガスの供給は停止される。
本発明における浅溝が設けられる樹脂の最終充填部とは、成形品において成形品が最後に充填される特定の一箇所を含み、キャビティ内に充填された溶融樹脂が異なる方向から流動して合流する箇所であり、成形品の形状、樹脂成形材料や充填速度等の成形条件により発生する複数の箇所をいう。

発明の実施の形態として、金型のキャビティ容積より少ない量の溶融樹脂を射出充填し、その後キャビティ容積を縮小してキャビティ内に溶融樹脂を充満させてスキン層を形成、次いでキャビティ容積を拡大して内部を発泡させる成形方法としたが、金型のキャビティ容積と同量の溶融樹脂を射出充填し、表面層が固化した後にキャビティ容積を拡大して内部の樹脂を発泡させる成形方法（所謂ハイプレッシャー法）のも用いることができる。
金型の型閉じ状態において機密性を高くする金型の構造は、製品押出機構のエジェクタピンにはシール部材を用い、金型の嵌合部には所定の隙間と嵌合長さを設定する等公知の手段により実施が可能となる。

以上説明したように、キャビティの機密性が確保されキャビティ内のカウンター圧力を維持するようにした半押し込み構造のガスカウンター成形用金型であって、金型の嵌合部（食い切り又はシャーエッジ）の溶融樹脂最終充填位置にカウンターガスの給排口を設けた構成とした。このため、キャビティに樹脂が充満完了するまで樹脂表面にカウンター圧力を作用させることができ、樹脂の充填途中にガスの給排口が充填する樹脂により塞がれることにより発生するガスの滞留や滞留したガスが断熱圧縮されることがない。また、残留するガスに起因する成形不良も防止することができる。
本発明による成形用金型を用いてロープレッシャー法で発泡成形を行い、スワルマークやガス焼けなど成形品の表面欠陥がなく表面性に優れた発泡成形品を得ることができた。

本発明の一実施例を示す成形用金型の縦断面図である。 図１を型閉じ方向に切断した縦断面図である。

符号の説明

１０ キャビ型
１１ コア型
１２ キャビティ
１３ 浅溝
１４ 給排溝
１５ 通路
１６ 接続口
３１ 圧力源

Claims (1)

1. コア型とキャビ型とが嵌合自在に構成され、型閉じして形成されるキャビティと金型外部との通気が制限されたガスカウンタープレッシャー成形方法に用いる半押し込み構造の成形用金型であって、
   前記コア型の前記キャビ型と嵌合する樹脂の最終充填部にキャビティに開口した浅溝を型開閉方向に、給排溝を型開閉方向と交差方向にそれぞれが連通するように設け、
   前記キャビ型の前記コア型と嵌合する所定位置に前記浅溝及び給排溝を介して前記キャビティ内にガスを給排する通路が設けられるとともに、
   金型外表面に設けた前記通路の接続口がガスを供給する圧力源に接続されて、金型の型閉じ状態において前記キャビティ内を加圧自在としたことを特徴とする成形用金型。

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