JP2003225098A - 土壌微生物数の測定方法およびその試薬 - Google Patents

土壌微生物数の測定方法およびその試薬

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JP2003225098A
JP2003225098A JP2002026871A JP2002026871A JP2003225098A JP 2003225098 A JP2003225098 A JP 2003225098A JP 2002026871 A JP2002026871 A JP 2002026871A JP 2002026871 A JP2002026871 A JP 2002026871A JP 2003225098 A JP2003225098 A JP 2003225098A
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phosphate
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atp
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Ken Iwata
建 岩田
Tadao Suzuki
直生 鈴木
Munenori Yamada
宗紀 山田
Izumi Sakamoto
泉 阪本
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Unitika Ltd
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  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 判定操作が容易で測定感度も良好な簡易型の
目視判定可能な土壌中の微生物数測定用試薬を提供す
る。 【解決手段】 試料中に含まれる微生物に由来するAT
Pと、試薬中に含まれるアセチルリン酸に、試薬中に含
まれるグルコキナーゼとアセテートキナーゼを併用し
て、グルコースからグルコース−6−リン酸の生成する
反応を増幅し、さらにグルコース−6−リン酸デヒドロ
ゲナーゼ、およびジアホラーゼを組み合わせて目視可能
な呈色反応へと導き、目視判定を可能とした土壌中の微
生物数測定用試薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌微生物数の測
定方法およびその試薬に関するものであり、さらに詳し
くは、判定操作が容易で測定感度も良好な簡易型の目視
判定可能な土壌微生物数の測定方法および測定用試薬に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、微生物数を測定する方法は幾つか
知られている。一般的な方法は、微生物を含む試料を液
体培地や平板培地などに塗布し24時間程度の培養を行
った後、微生物に由来する液体培地の濁度の増加より測
定するか、平板培地に生じたコロニーの数を数える方法
である。これ以外にも微生物に由来する、例えばカタラ
ーゼやβ−ガラクトシダーゼなどの酵素活性量を測定し
て微生物数とする方法や、微生物中に含まれるリン酸や
ATPなどの内容物量を測定して微生物数とする方法が
知られている。
【0003】微生物に由来する酵素などを測定する場
合、例えばカタラーゼを測定する場合(特開平4−58
897号など)、微生物中に含まれる酵素活性には限り
があることから、やはり実際の使用においては2〜6時
間の培養により微生物量を増加させて、これに比例して
酵素活性を増加させる必要があることが記載されてい
る。またβ−ガラクトシダーゼを測定する場合(特開昭
56−64797号など)も測定原理が少し異なる程度
で大きな違いは無く、やはり4〜7時間の培養が必要で
ある。これらの方法は一般的な方法のように24時間程
度の培養が必要な方法と比べればかなり迅速ではある
が、やはり、その場で数分以内に結果のわかる測定方法
の要求を満たすものではない。
【0004】さらに微生物中に含まれるリン酸を測定す
る方法(特開平9−262095号など)でも、微生物
中の含量が少ないと考えられ、数日間の培養後の培養液
についての測定方法として記載されている。このよう
に、微生物に由来する酵素や内容物を指標にして微生物
数を測定する方法は幾つか知られているものの、その含
量が小さいことから、少なくとも数時間の培養が必要で
あり迅速測定とは言いがたいものであった。
【0005】しかし培養が必要のない迅速な微生物の測
定方法も知られている。これは微生物中に含まれるAT
Pをホタル由来のルシフェラーゼの存在下で発光基質で
あるルシフェリンと反応させて発する光をルミノメータ
ーなどで測定する生物発光法(特開昭64−63396
号など)であり、発光測定であるため、ATPと1対1
で発光反応が起こるにもかかわらず感度が非常に高く培
養が必要の無いものである。
【0006】これ以外にも、ATPの測定を考えた場
合、ヘキソキナーゼとピルベートキナーゼを併用して反
応を増幅し、最終的にイソルミノールを使用した化学発
光によりATPを定量する方法(特開昭64−2390
0号など)、ATP関連化合物を含む溶液にヌクレオシ
ドホスホリラーゼとキサンチンオキシダーゼを加え、反
応で生じる過酸化水素を定量する方法(特開昭63−1
1848号など)などが知られている。しかし、これら
の方法の場合、ルミノメーターや過酸化水素定量装置な
どの測定装置が必要であり簡易測定とは言いがたいもの
であった。
【0007】また、ATPを目視判定の可能性のある呈
色反応により測定する方法としては、ATPに、ATP
分解酵素を作用させ、生じたリン酸とモリブデンとの反
応により生じるモリブデン青を測定する方法(特開平4
−360700号など)、ATPを含む溶液に、ニコチ
ン酸アミドモノヌクレオチドとアデニリルトランスフェ
ラーゼを作用させ、生じたNADを、NADを補酵素と
する酸化還元反応系と、還元型NADを補酵素とする補
酵素サイクリング反応を行い定量に結びつける方法(特
開昭59−166099号など)、ATPに、AMP、
グルコース−6−リン酸と、アデニレートキナーゼ、グ
ルコキナーゼによる増幅反応を行い、生じたグルコース
を呈色反応へと導く方法(USP6043047など)
などが知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】目視判定の可能性のあ
る呈色反応によるATPの測定方法のうち、モリブデン
青を測定する方法では、ATPを直接測定せず、ATP
を分解して生じるリン酸を測定している。リン酸は土壌
などであれば植物の肥料のひとつとして大量に添加され
るため、微生物に由来するATPとは関係ないリン酸等
を測定してしまう可能性が非常に高い。このため土壌中
の微生物は測定できないと考えられ、この方法が土壌中
の微生物数の測定を容易に示唆する可能性はない。
【0009】同様にニコチン酸アミドモノヌクレオチド
とアデニリルトランスフェラーゼを作用させ、生じたN
ADを補酵素とする酸化還元反応系と、還元型NADを
補酵素とする補酵素サイクリング反応を行い定量に結び
つける方法では、NADが存在しない系に添加されたA
TPをNADに変換し、NADと還元型NADとのサイ
クリング反応により増幅を行っている。この場合、被測
定試料は主に生物由来であるため、その試料中に含まれ
るNADや還元型NADのコンタミネーションが避けら
れず、これがサイクリング反応を引き起こして大きなノ
イズとなり、ATPの測定に多大な支障をきたす可能性
が非常に高い。
【0010】また、土壌という試料を考えた場合、予想
できないような多くの微生物が共存しているため、これ
らの微生物には、その遺伝物質である核酸中にニコチン
酸アミドモノヌクレオチドと類似物質が大量に含まれ、
また核酸類縁物質の分解酵素大量に含まれるため、反応
阻害や副次反応が生じる可能性が非常に高く、充分な測
定ができるとは考えにくいものであった。
【0011】ATPに、AMP、グルコース−6−リン
酸と、アデニレートキナーゼ、グルコキナーゼによる増
幅反応を行い、生じたグルコースを呈色反応へと導く方
法では、グルコキナーゼの本来の触媒反応の方向ではな
い逆方向のグルコース−6−リン酸からグルコースへの
脱リン反応を応用している。この逆反応は順反応に比べ
て小さなものである。一般的にADPからATPへの反
応は非常に起こりにくいと考えられているため、この反
応系を実施するためには、グルコキナーゼの使用量が莫
大になることが予想される。
【0012】グルコキナーゼのようなATPと反応する
酵素には、微量のATPが混在することが一般に知られ
ており、本発明のようなATPを測定することが目的の
場合、混在するATPが微量であるといえども測定に重
大な影響を与えることが容易に考えられる。加えて、土
壌に含まれる多くの微生物の影響も充分予想されるた
め、充分な測定ができるとは考えにくいものであった。
【0013】このように、特に土壌のような予想できな
い様々なものが含まれる、ある意味で非常に汚い試料を
被測定物質として用いる場合、ATPをルシフェラーゼ
の存在下ルシフェリンと反応させる系では、酵素がルシ
フェラーゼのみと非常にシンプルな系であるため測定も
可能であろうが、目視判定可能な酵素を組み合わせて呈
色反応へと導く方法では、上述の例のように多くの酵素
反応を連鎖的に結びつける必要があるため個々の反応が
充分進行するとは思えず、土壌中の微生物数の測定への
応用など思いつく由も無かった。
【0014】本発明は、土壌中の微生物数を測定するた
めにルミノメーターなどの高価な測定装置を必要とせず
に目視判定ができ、かつATPを直接取り込み、グルコ
キナーゼの順反応を利用して微生物に含有されるATP
を測定することで簡便な土壌微生物数測定方法および試
薬を提供することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、アセテートキナー
ゼおよびグルコキナーゼ(またはヘキソキナーゼ)の二
つの酵素からなる共役酵素反応系と、グルコース−6−
リン酸デヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼの二つの酵
素からなる共役酵素反応系とを組合わせることにより、
土壌試料を用いた場合でも目視可能な呈色反応へと導く
ことができることを見出し本発明に到達した。
【0016】すなわち、本発明の第一は、採取した土壌
に存在する微生物からATPを遊離させ、そのATP量
に応じて、可視光領域で呈色する色素量を変化させ、そ
の変化を測定することを特徴とする土壌微生物数の測定
方法を要旨とするものであり、好ましくは、土壌に存在
する微生物から遊離させたATP量に応じて、アセチル
リン酸およびグルコースの存在下、アセテートキナーゼ
およびグルコキナーゼまたはヘキソキナーゼの二つの酵
素からなる共役酵素反応系が作用することによりグルコ
ース−6−リン酸を生じせしめ、引き続いて、生成した
グルコース−6−リン酸に応じて、ニコチンアミドアデ
ニンジヌクレオチドまたはニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチドリン酸および色原体の存在下、グルコース−
6−リン酸デヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼの二つ
の酵素からなる共役酵素反応系が作用することにより可
視光領域で呈色する色素を生じせしめ、または減少せし
め、その色素量の変化を測定することを特徴とするもの
である。
【0017】また、本発明の第二は、アセチルリン酸お
よびグルコースならびにアセテートキナーゼおよびグル
コキナーゼまたはヘキソキナーゼの二つの共役酵素から
なり、試料中のATP量に応じてグルコース−6−リン
酸を生じせしめる試薬と、ニコチンアミドアデニンジヌ
クレオチドまたはニコチンアミドアデニンジヌクレオチ
ドリン酸および色原体ならびにグルコース−6−リン酸
デヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼの二つの共役酵素
からなり、グルコース−6−リン酸に応じて色素を生じ
せしめる、または減少せしめる試薬とからなることを特
徴とする土壌微生物数の測定用試薬を要旨とするもので
ある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の測定方法は、採取した土壌に存在する微生物か
らATPを遊離させ、そのATP量に応じて、可視光領
域で呈色する色素量を変化させ、その変化を測定するも
のである。土壌に存在する微生物を含む試料としては、
土壌そのものを微生物試料として用いても良く、また、
土壌を例えば生理食塩水などで洗浄し、この液体中に微
生物を懸濁捕獲したものを用いても良い。本発明の測定
方法では、液体中で呈色反応を実施するために、土壌そ
のものを微生物試料として用いた場合、土壌自体が不透
明の粒子から成り立っていることから、測定試薬の呈色
反応に妨害をきたさない程度の量を用いる必要がある。
しかし、土壌の量や状態によっては呈色に妨害をきたす
可能性も否定できないため、やはり、微生物試料には、
一定量の生理食塩水や水その他の液体などで一定量の土
壌を洗浄し、その上澄み液などの一部を用いることがよ
り好ましい。この場合、適用する試料の量は測定試薬の
呈色反応が実施できる量であれば特に限定はない。
【0019】さらに、採取した土壌に存在する微生物か
らATPを遊離させることが必要である。そのために
は、物理的または化学的手段があり、物理的手段として
は、例えば、微生物を含む液体試料などにセラミックな
どの硬い粒子を混在したもの、この場合、硬い粒子は土
壌そのものの粒子でも良いが、これを物理的に振動さ
せ、その摩擦により微生物を破砕して微生物中に含まれ
るATPを遊離させる方法などが用いられる。また、化
学的手段としては、例えば、微生物を懸濁する液体の塩
濃度を非常に高い状態にしておき、その浸透圧で微生物
を破砕して微生物中に含まれるATPを遊離させる方法
や、例えば界面活性剤を含む液体で微生物を懸濁して微
生物の細胞膜を破砕したり、または微生物の細胞膜を破
砕するリゾチーム[EC3.2.1.17]などの酵素
を含む液体で微生物を懸濁し、それらの作用で微生物を
破砕して微生物中に含まれるATPを遊離させる方法な
どが用いられる。これらの中で、操作を簡便にするとい
う観点から化学的手段を用いることが好ましく、なかで
も界面活性剤により微生物を破砕して微生物中に含まれ
るATPを遊離させる方法が、安価でかつ操作が最も簡
便と考えられるためより好ましく、さらには、特に限定
されるわけではないが、例えばTriton−X100
やTween20などの名称で市販されている一般に非
極性界面活性剤に分類されている界面活性剤を用いるこ
とが、本発明における呈色反応の実施に影響を及ぼす可
能性が最も低く特に好ましい。
【0020】界面活性剤を添加する方法としては、本発
明における測定試薬による呈色反応が終了するまでに微
生物からATPの遊離が完了するものであれば特に限定
されるものではなく、例えば、土壌を懸濁するために用
いる液体に添加しておいても良く、また測定試薬そのも
のにあらかじめ含まれていても良い。また、界面活性剤
を添加する量としては、微生物からATPの遊離するた
めに十分な量であり、かつ本発明における測定試薬によ
る呈色反応を妨害する量でなければ特に限定はない。例
えば、0.0001質量%から75質量%の範囲が、実
用的には0.01質量%から50質量%の範囲が用いら
れる。
【0021】ATPは微生物に広く含有されるものであ
り、この量は微生物においてほぼ一定である。このた
め、ATP量を測定することで微生物数に変換すること
が可能である。また、土壌中には細菌、放線菌、真菌な
ど種々の微生物が存在しており、上記のATPを遊離さ
せる手段を適宜選択することにより微生物の種類を区別
して測定することも可能となる。本発明では、このよう
にして得られたATPについて、次に可視光領域での呈
色反応に導くことを行う。その呈色反応として図1に示
した以下の二つのサイクリング反応が起こる共役酵素反
応系の組み合わせに基づくものが挙げられる。
【0022】微生物から遊離したATPは、まず、試薬
中のグルコキナーゼの反応で、グルコースをリン酸化し
てグルコース−6−リン酸を生じせしめ、ADPへと変
化する。さらに、このATPより生じたADPはアセチ
ルリン酸の共存下で、アセテートキナーゼの反応により
ATPへと再生される。このように、グルコース、グル
コキナーゼ、アセチルリン酸、アセテートキナーゼが共
存する系に、微量でもATPもしくはATPの分解物で
あるADPが添加されることで、添加されたATPもし
くはADPの量に依存した速度で、グルコースまたはア
セチルリン酸が全て消費され尽くすまで連続的にグルコ
ース−6−リン酸が生成し続ける。
【0023】さらに、生じたグルコース−6−リン酸
を、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(以下、N
ADと略記する)またはニコチンアミドアデニンジヌク
レオチドリン酸(以下、NADPと略記する)の共存
下、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼの反応で
酸化してグルコン酸−6−リン酸に変換し、NADまた
はNADPを還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チド(以下、NADHと略記する)または還元型ニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(以下、NAD
PHと略記する)へと還元せしめる。生じたNADHま
たはNADPHは、ジアホラーゼの反応で、色原体を還
元して呈色へと導き、NADまたはNADPに再生され
る。このように、NADまたはNADP、グルコース−
6−リン酸デヒドロゲナーゼ、色原体、ジアホラーゼが
共存する系により、生じたグルコース−6−リン酸は色
素を生ぜしめ呈色を導く。
【0024】このように、本発明において用いられる反
応原理は、グルコース、グルコキナーゼ、アセチルリン
酸、アセテートキナーゼが共存する系にATPが添加さ
れることで、サイクリング反応がおこり、添加されたA
TPの量に応じた速度でグルコース−6−リン酸が生成
し、次いで生成したグルコース−6−リン酸は、NAD
またはNADP、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナ
ーゼ、色原体、ジアホラーゼが共存するサイクリング反
応系へ供給され色素を生じせしめて呈色を導くことによ
るものである。
【0025】この呈色の速度は、結局のところ添加され
たATPの量に依存することから、この呈色を一定時間
で観察することで、添加されたATPを定量的に測定で
きることになる。また、呈色反応であるため、この呈色
を既知の微生物数の試料よりあらかじめ作成しておいた
検量線や比色表と比較して微生物数を求めることにより
微生物数を求めることができ、さらに目視判定も実施で
きるものである。
【0026】なお、この反応原理に類似した反応系とし
て、グルコースの定量を目的としたものが知られている
(特開平10−33196号、特開平11−25319
3号)。これらは、グルコースを、ATP、NADP、
テトラゾリウムと、ヘキソキナーゼ、グルコース−6−
リン酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼを含む反応系に
よる呈色反応で測定している。この反応系においてグル
コースとATPとを単純に置き換えただけでは、マイク
ロモル量からミリモル量のATPが存在してかろうじて
呈色が観察されるようなものである。本発明が測定しよ
うとするATPは微生物に含有される極微量のATPで
あり、求められる測定方法には、ATPの量として少な
くとも数ナノモル量が充分測定できる感度が必要であ
る。これは、用いられている酵素のミカエリス定数Km
などのパラメーターから予想される、反応を実施し得る
に必要な量の1千分の1以下の量でしかなく、したがっ
て、これより呈色に導くためには、少なくとも1千倍以
上のATPの増幅が必要と考えられる。
【0027】また、バイオリアクターを用いて、ATP
をサイクリング反応により再生産して、グルコースより
グルコース−6−リン酸を生成させる方法は、1991
年の成書「エンザイム・イン・カーボハイドレート・シ
ンセシス」第9章111頁―120頁(米国化学会、A
CSシンポジウム・シリーズNo.466の再掲載)や
1986年の澱粉科学誌33巻218頁などに記載され
ている。しかし、これらの方法は、ミリモル量からモル
量のレベルでのATPの増幅反応であり、本発明のよう
なナノモル量のレベルの増幅とはまったく異なるもので
ある。また、ATPのサイクリングについても、数時間
かけて100回程度のサイクリングを実施しているもの
であり、本発明のように数分間で1千倍以上の増幅が求
められるものとは、まったく異質のものである。
【0028】本発明の測定方法の使用に際しては、上記
した二つのサイクリング反応が同時に進行し色素の呈色
を判定できる状態であればいかなる形態でも構わない。
例えば、アセチルリン酸、グルコース、NADまたはN
ADP、アセテートキナーゼ、グルコキナーゼ(または
ヘキソキナーゼ)、グルコース−6−リン酸デヒドロゲ
ナーゼ、ジアホラーゼ、色原体を含む緩衝液とすること
が挙げられる。この緩衝液に、ATPを含む試料を滴下
し、呈色を観測することで試料中のATPを測定するこ
とが出来る。緩衝液の種類や濃度に関しては反応を阻害
しない限り特に限定は無い。
【0029】また、好ましくは、アセチルリン酸、グル
コース、NADまたはNADH、アセテートキナーゼ、
グルコキナーゼ(またはヘキソキナーゼ)、グルコース
−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ジアホラーゼ、色原体
並びにATPは、反応時に同時に同一の溶液中に存在す
ればよく、反応まではその形体に特に限定は無く、それ
ぞれ個別に、または同一に、または幾つか組み合わされ
て溶液状態、粉末状態、試験紙や不織布などに含浸され
た状態、さらには試験紙や不織布上で乾燥された状態等
でも良い。
【0030】さらに、本発明は土壌の懸濁液を主に試料
として用いるが、例えば、グルコース、NAD、各種酵
素などは、比較的高濃度でこの試料中に含まれることが
多く、見かけ上、このような構成成分を含まない測定試
薬の構築も可能である。しかし、発明の本質は、ATP
の測定時に全ての構成成分が存在することであり、これ
らの各成分が、人為的に加えられたものか、試料に由来
するものかは問題ではない。
【0031】次に本発明の測定用試薬について説明す
る。本発明の試薬で用いられるアセチルリン酸は、反応
をならしめるものであれば、その塩の形態に特に限定さ
れない。また、アセチルリン酸の使用量は、反応を充分
ならしめる範囲であれば特に限定されるものではない
が、コストや製造などを考慮した場合の実用的な使用量
の範囲は、反応時の反応液ミリリットルあたり0.01
マイクロモル〜10ミリモルであり、さらに好ましくは
1マイクロモル〜500マイクロモルの量が含まれる濃
度である。
【0032】本発明の試薬において用いられるグルコー
スは、反応をならしめるものであれば、その形状に特に
限定されない。また、グルコースの使用量は、反応を充
分ならしめる範囲であれば特に限定されるものではない
が、コストや製造などを考慮した場合の実用的な使用量
の範囲は、反応時の反応液ミリリットルあたり0.01
マイクロモル〜10ミリモルであり、さらに好ましくは
1マイクロモル〜500マイクロモルの量が含まれる濃
度である。
【0033】本発明において、NADまたはNADP
は、反応をならしめるものであれば、その塩の形態に特
に限定されない。
【0034】本発明においては、反応の性質上、NAD
またはNADPの代わりにNADHまたはNADPHを
用いても構わない。用いられたNADHまたはNADP
Hは第2のサイクリング系の構成要素である、色原体と
ジアホラーゼにより酸化され、NADまたはNADPへ
と変換される。このようにNADまたはNADPの代わ
りにNADHまたはNADPHを用いても同じことにな
る。この際、色原体も還元されて呈色するが、これは試
薬のブランクに相当する初期の呈色となる。しかし、実
使用においては、ブランクの上昇は好ましくないため、
NADまたはNADPを用いるのが良い。さらに、本発
明においては、NADは、しばしその分解産物であるA
DPの含有が観察されるため、実使用においては、NA
DPを用いるのがより好ましい。
【0035】NADまたはNADP等の使用量は、反応
を充分ならしめる範囲であれば、特に限定されるもので
はないが、コストや製造などを考慮した場合の実用的な
使用量の範囲は、反応時の反応液ミリリットルあたり
0.1ナノモル〜1000マイクロモルであり、さらに
好ましくは1ナノ〜100マイクロモルの量が含まれる
濃度である。
【0036】本発明に用いられるアセテートキナーゼ
[EC2.7.2.1]は、その供給源となる生物種等
は特に限定されるものではなく、例えば、バチルス・ス
テアロサーモフィルス、大腸菌等の微生物由来のもの等
が挙げられる。なかでも、バチルス・ステアロサーモフ
ィルス由来のアセテートキナーゼは保存安定性に優れて
いることから特に好ましい。アセテートキナーゼの使用
量は、反応を充分ならしめる範囲であれば、特に限定さ
れるものではないが、コストや製造などを考慮した場合
の実用的な使用量の範囲は、反応時の反応液ミリリット
ルあたり0.001〜10000ユニットであり、さら
に好ましくは0.01〜1000ユニット、最も適する
範囲は0.1〜500ユニットである。
【0037】本発明に用いられるグルコキナーゼ[EC
2.7.2.2]またはヘキソキナーゼ[EC.2.
7.1.1]は、その供給源となる生物種等は特に限定
されるものではなく、例えば、バチルス・ステアロサー
モフィルス、ザイモモナス・モビリス、酵母等の微生物
由来のもの等が挙げられる。
【0038】また、グルコキナーゼとヘキソキナーゼの
違いについては、それぞれの酵素の性質において、グル
コースへの反応や、反応の特異性などに若干の違いはあ
るものの、どちらの酵素も、その反応の本質において、
ATPの共存下でグルコースをグルコース−6−リン酸
に返還し、ADPを生じる点は同じであるため、本発明
の用途においては、反応の観点からは両酵素に差は認め
られない。しかし、保存安定性に優れていることから、
バチルス・ステアロサーモフィルス由来やザイモモナス
・モビリス由来のグルコキナーゼが特に好ましい。
【0039】グルコキナーゼまたはヘキソキナーゼの使
用量は、反応を充分ならしめる範囲であれば、特に限定
されるものではないが、コストや製造などを考慮した場
合の実用的な使用量の範囲は、反応時の反応液ミリリッ
トルあたり0.001〜10000ユニットであり、さ
らに好ましくは0.01〜1000ユニット、最も適す
る範囲は0.1〜500ユニットである。
【0040】本発明に用いられるグルコース−6−リン
酸デヒドロゲナーゼ[EC1.1.1.49]は、その
供給源となる生物種等は特に限定されるものではなく、
例えば、バチルス・ステアロサーモフィルス、ザイモモ
ナス・モビリス、ロイコノストック・メゼンテロイデ
ス、酵母等の微生物由来のもの等が挙げられる。なかで
も、微生物由来の酵素は生産性が良く入手も容易である
ことから好ましく、さらに、保存安定性に優れているこ
とから、バチルス・ステアロサーモフィルス由来やザイ
モモナス・モビリス由来やロイコノストック・メゼンテ
ロイデス由来のグルコース−6−リン酸デヒドロゲナー
ゼが特に好ましい。
【0041】グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
の使用量は、反応を充分ならしめる範囲であれば、特に
限定されるものではないが、コストや製造などを考慮し
た場合の実用的な使用量の範囲は、反応時の反応液ミリ
リットルあたり0.001〜10000ユニットであ
り、さらに好ましくは0.01〜1000ユニット、最
も適する範囲は0.01〜50ユニットである。
【0042】さらに、グルコース−6−リン酸デヒドロ
ゲナーゼの反応を促進するために、6−ホスホグルコノ
ラクトナーゼ[EC3.1.1.31]を添加しても良
い。この酵素は、グルコース−6−リン酸が、グルコー
ス−6−リン酸デヒドロゲナーゼにより酸化され、6−
ホスホグルコノラクトンを生じ、この6−ホスホグルコ
ノラクトンが自然に加水分解されて6−ホスホグルコン
酸を生じる過程において、6−ホスホグルコノラクトン
から6−ホスホグルコン酸への加水分解を触媒する酵素
である。この添加により、より効率的な反応が可能にな
る。
【0043】これに加えて、さらに反応感度を上げるた
めに、6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ[EC
1.1.1.41]を添加しても良い。この酵素は、N
ADまたはNADPの存在下で、6−ホスホグルコン酸
をリブロース−5−リン酸へと酸化し、NADHまたは
NADPHを生ずる。この添加により、本発明におい
て、グルコース−6−リン酸が生じた後の色素を生成す
るサイクリング系の反応において、色原体を還元するの
に要するNADHまたはNADPHの生成がグルコース
−6−リン酸1分子に対して2分子となるため、サイク
リング効率が約2倍となり、より高感度なATPの測定
が可能となる。
【0044】6−ホスホグルコノラクトナーゼや6−ホ
スホグルコン酸デヒドロゲナーゼの使用量は、反応を充
分ならしめる範囲であれば、特に限定されるものではな
いが、コストや製造などを考慮した場合の実用的な使用
量の範囲は、それぞれ、反応時の反応液ミリリットルあ
たり0.001〜10000ユニットであり、さらに好
ましくは0.01〜1000ユニット、最も適する範囲
は0.01〜50ユニットである。
【0045】本発明に用いられるにジアホラーゼとして
は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(またはニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)の共存下
で色原体の還元反応を触媒するものであれば、その供給
源となる生物種等は特に限定されるものではなく、例え
ば、バチルス・ステアロサーモフィルス、クロストリジ
ウム・クルイベリ等の微生物由来のものや、ブタ心臓由
来のもの等が挙げられる。なかでも、微生物由来の酵素
は生産性が良く入手も容易であることから好ましく、さ
らに、保存安定性に優れていることから、バチルス・ス
テアロサーモフィルス由来のジアホラーゼI[EC1.
6.4.3]またはジアホラーゼII[EC1.6.9
9.−]が特に好ましい。
【0046】ジアホラーゼの使用量は、反応を充分なら
しめる範囲であれば、特に限定されるものではないが、
コストや製造などを考慮した場合の実用的な使用量の範
囲は、反応時の反応液ミリリットルあたり0.001〜
10000ユニットであり、さらに好ましくは0.01
〜1000ユニット、最も適する範囲は0.1〜100
ユニットである。
【0047】本発明に用いられる色原体は、目視可能な
色調で呈色、つまり300nmから800nmの範囲の
波長領域の一部または全部で光吸収を有する変色をおこ
なうものである。この色原体は、当該反応により可視領
域に吸収が無いものが有るように変化するか、吸収領域
が有るものが無いように変化するか、または吸収スペク
トルが異なるように変化するかのいずれかでも良く、よ
り具体的には、NAD(またはNADP)の存在下、ジ
アホラーゼの作用により、還元されて呈色するものであ
る。例えば、以下の例に限定されるわけではないが、
2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(以下、
DCPIPと略す。)[ケミカルアブストラクト登録番
号620−45−1]、メチレン・ブルー[ケミカルア
ブストラクト登録番号61−73−4]、レザズリン
[ケミカルアブストラクト登録番号62758−13−
8]などの色素やテトラゾリウム類等が用いられる。
【0048】なかでも、テトラゾリウム類は特に好まし
く、具体的な例としてp−ヨードニトロテトラゾリウム
・バイオレット[ケミカルアブストラクト登録番号14
6−68−9]、MTT[ケミカルアブストラクト登録
番号298−93−1]、ネオテトラゾリウム[ケミカ
ルアブストラクト登録番号298−95−3]、ニトロ
・ブルー・テトラゾリウム[ケミカルアブストラクト登
録番号298−83−9]、テトラニトロ・ブルー・テ
トラゾリウム[ケミカルアブストラクト登録番号427
98−98−1]、テトラゾリウム・ブルー[ケミカル
アブストラクト登録番号1871−22−3]、テトラ
ゾリウム・レッド(トリフェニル・テトラゾリウム)
[ケミカルアブストラクト登録番号298−96−
4]、テトラゾリウム・バイオレット[ケミカルアブス
トラクト登録番号1719−71−7]、チオカルバミ
ル・ニトロ・ブルー・テトラゾリウム[ケミカルアブス
トラクト登録番号36889−43−7]、XTT[ケ
ミカルアブストラクト登録番号111072−31−
2]、WST−1[ケミカルアブストラクト登録番号1
50849−52−8]、WST−3[ケミカルアブス
トラクト未登録]等、または、それらの塩等が挙げられ
る。
【0049】色原体の使用量は、反応を充分ならしめる
範囲であれば、特に限定されるものではないが、コスト
や製造などを考慮した場合の実用的な使用量の範囲は、
反応時の反応液ミリリットルあたり0.1ナノモル〜1
000マイクロモルであり、さらに好ましくは1ナノ〜
100マイクロモルの量が含まれる濃度である。
【0050】
【実施例】以下に、実施例により本発明をより具体的に
示す。反応の測定には日立製の分光光度計U−3210
を用いた。目視判定用の色見本には、分光光度計での結
果を参考にし、財団法人日本規格協会発行のJISZ8
721準拠の標準色表光沢版30頁の5PB−V3N1
0、V5N8、V7N4、V9N2および白色を、それ
ぞれ判定強度+4、+3、+2、+1、0として用い
た。微生物数はキッコーマン製ルミテスターPD−10
を持ちいて得られた数字を基に月間HACCP誌平成1
1年7月号の56頁−62頁の図2と図3に記載されて
いる回帰直線式より算出した。標準微生物試料はバチル
ス菌(バチルス・ズブチルス、IFO3309)を培養
したものを用いた。アセテートキナーゼ(バチルス・ス
テアロサーモフィルス由来)、グルコキナーゼ(バチル
ス・ステアロサーモフィルス由来)、ジアホラーゼ(バ
チルス・ステアロサーモフィルス由来のジアホラーゼ
I)はユニチカ製のものを入手して用いた。またヘキソ
キナーゼ(酵母由来)、グルコース−6−リン酸デヒド
ロゲナーゼ(ロイコノストック・メゼンテロイデス由
来)はロッシュ製のものを用いた。それぞれの酵素のユ
ニットは入手時のラベルに記載してある表示のユニット
数をそのまま用いた。
【0051】実施例1 アセチルリン酸を5ミリモル、グルコースを5ミリモ
ル、NADを1ミリモル、およびテトラゾリウム・ブル
ーを1ミリモルの濃度で含む25ミリモルの濃度のリン
酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を2.7ミリリット
ルと、ミリリットルあたりアセテートキナーゼを100
ユニットの濃度で含む10ミリモルの濃度のリン酸ナト
リウム緩衝液(pH7.0)、ヘキソキナーゼを100
0ユニットの濃度で含む10ミリモルの濃度のリン酸ナ
トリウム緩衝液(pH7.0)、グルコース−6−リン
酸デヒドロゲナーゼを1000ユニットの濃度で含む1
0ミリモルの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)、ジアホラーゼを1000ユニットの濃度で含む1
0ミリモルの濃度のリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)を、それぞれ10マイクロリットルづつとを37℃
で保温した分光光度計用の標準セルに滴下し、これに既
知濃度の標準微生物試料であるバチルス菌を含む懸濁液
に0.1質量%の非極性界面活性剤(Triton−X
100)を添加してよく撹拌した後、この試料溶液50
マイクロリットルを添加してよく撹拌した。この5分後
に分光光度計にて600nmの吸光度を測定した。結果
を図2に示した。この結果、色原体にテトラゾリウム・
ブルーを用いた場合、微生物数が良好に測定できること
が分かった。
【0052】実施例2 アセチルリン酸を10ミリモル、グルコースを10ミリ
モル、NADを1ミリモル、およびDCPIPを50マ
イクロモルの濃度で含む50ミリモルの濃度のトリス塩
酸緩衝液(pH7.5)を4.5ミリリットルと、ミリ
リットルあたりアセテートキナーゼを1ユニット、ヘキ
ソキナーゼを1ユニット、グルコース−6−リン酸デヒ
ドロゲナーゼを1ユニット、およびジアホラーゼを1ユ
ニットの濃度で含む50ミリモルの濃度のトリス塩酸緩
衝液(pH8.0)を0.5ミリリットルを15mL用
の試験管に滴下し混合した。これに既知濃度の標準微生
物試料であるバチルス菌を含む懸濁液に0.1質量%の
非極性界面活性剤(Triton−X100)を添加し
てよく撹拌した後、この試料溶液1.0ミリリットルを
添加して充分撹拌した後、室温で10分間放置した。そ
の後、判定用の色見本を用いて色の強度を判定した。
【0053】結果を表1に示した。試薬はもともと青く
着色しており、ATPが反応溶液中にない場合、青いま
まであり、色強度は+4となる。また、ATPが試薬の
測定限界を超えて大量に存在する場合、試薬の青色はす
べて脱色して、反応溶液は透明になり色強度は0とな
る。この結果より、バチルス菌濃度がミリリットルあた
り10の6乗個から10の9乗個の範囲でバチルス菌数
のおおよその濃度が判定できた。
【0054】
【表1】
【0055】実施例3 適当に採取した幾つかの土壌1グラムを5ミリリットル
の非極性界面活性剤を0.1質量%で含む水道水で懸濁
した。この試料を実施例2の微生物数測定試薬を用いて
微生物数をおおよそ判定した。同じ試料についてルミテ
スターPD−10を用いて微生物数を求め、それぞれの
結果を図3に相関として示した。図3に示した結果よ
り、本発明の微生物測定試薬による微生物数の判定結果
と従来法を用いて求めた微生物数は良く相関しているこ
とがわかった。
【0056】以上、実施例1から3に示した結果より、
本発明に記載の測定方法より微生物数が良好に測定でき
ることが分かった。また微生物数の目視によるおおよそ
の濃度の判定も可能であることがわかった。
【0057】
【発明の効果】本発明により、操作が容易で測定感度も
良好な目視判定可能な微生物数測定用試薬の提供が可能
となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の測定方法の反応原理を示す図である。
【図2】テトラゾリウムを色原体に用いた本発明の微生
物数測定用試薬により既知濃度のバチルス菌懸濁液を用
いて測定したときの検量線を示す図である。
【図3】DCPIPを色原体に用いた本発明の微生物数
測定用試薬と従来品を用いて同じ土壌試料を測定した相
関の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/52 G01N 33/52 A (72)発明者 阪本 泉 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1番3 号 ユニチカ株式会社大阪本社内 Fターム(参考) 2G045 AA28 BA13 BB03 BB14 BB16 BB29 BB51 CB21 CB30 FA18 FB01 FB18 GC10 GC12 GC22 2G054 AA04 BA01 BB01 BB02 BB13 CA20 CA21 CE02 CE08 EA01 EA04 GA03 GB01 GB04 JA06 4B063 QA01 QQ19 QQ68 QR04 QR07 QR65 QR66 QS28 QX01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 採取した土壌に存在する微生物からAT
    Pを遊離させ、そのATP量に応じて、可視光領域で呈
    色する色素量を変化させ、その変化を測定することを特
    徴とする土壌微生物数の測定方法。
  2. 【請求項2】 採取した土壌に存在する微生物からAT
    Pを遊離させ、そのATP量に応じて、アセチルリン酸
    およびグルコースの存在下、アセテートキナーゼおよび
    グルコキナーゼまたはヘキソキナーゼの二つの酵素から
    なる共役酵素反応系が作用することによりグルコース−
    6−リン酸を生じせしめ、引き続いて、生成したグルコ
    ース−6−リン酸に応じて、ニコチンアミドアデニンジ
    ヌクレオチドまたはニコチンアミドアデニンジヌクレオ
    チドリン酸および色原体の存在下、グルコース−6−リ
    ン酸デヒドロゲナーゼおよびジアホラーゼの二つの酵素
    からなる共役酵素反応系が作用することにより可視光領
    域で呈色する色素を生じせしめ、または減少せしめ、そ
    の色素量の変化を測定することを特徴とする土壌微生物
    数の測定方法。
  3. 【請求項3】 アセチルリン酸およびグルコースならび
    にアセテートキナーゼおよびグルコキナーゼまたはヘキ
    ソキナーゼの二つの共役酵素からなり、試料中のATP
    量に応じてグルコース−6−リン酸を生じせしめる試薬
    と、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドまたはニコ
    チンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸および色原体
    ならびにグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼおよ
    びジアホラーゼの二つの共役酵素からなり、グルコース
    −6−リン酸に応じて色素を生じせしめる、または減少
    せしめる試薬とからなることを特徴とする土壌微生物数
    の測定用試薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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