JP2003222763A - 光レセプタクルとその製造方法及びそれを用いた光モジュール - Google Patents

光レセプタクルとその製造方法及びそれを用いた光モジュール

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JP2003222763A JP2002019539A JP2002019539A JP2003222763A JP 2003222763 A JP2003222763 A JP 2003222763A JP 2002019539 A JP2002019539 A JP 2002019539A JP 2002019539 A JP2002019539 A JP 2002019539A JP 2003222763 A JP2003222763 A JP 2003222763A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い信頼性を有する光レセプタクルを得ること
ができる。 【解決手段】中空筒状でフェルール挿入用の内孔6aを
有し、径方向に弾性変形可能な割スリーブ6と、該割ス
リーブ6の内孔6aの一端側から挿入した光ファイバ内
蔵フェルール7と、それらを内装するスリーブケース4
からなる光レセプタクル1であって、上記割スリーブ6
もしくは光ファイバ内蔵フェルール7のいずれかの一端
部外周に形状記憶材質からなる把持リング5を装着す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、光ファイバコネク
タを受光素子もしくは発光素子に光学的に接続する等の
用途に用いられる光レセプタクル及びその製造方法及び
それを用いた光モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、光レセプタクルは光ファイバ
コネクタを受光素子もしくは発光素子に光学的に接続す
る際に用いられ、図5に示す割スリーブを使ったタイプ
が用いられている。
【0003】図5(a)に示す光レセプタクル21で
は、光ファイバ内蔵フェルール27は、割スリーブ26
の内孔26aの一端部に挿入されており、さらに割スリ
ーブ26の一端部には把持リング25が挿入されてい
る。これらの割スリーブ26、光ファイバ内蔵フェルー
ル27及び把持リング25は、圧入または接着により一
体化されている。割スリーブ26の外側は、スリーブケ
ース24で覆われている。ここで、割スリーブ26は金
属又は樹脂製であり、軸方向に延びる割りスリット(不
図示)が入っており、その内孔26aは弾性的に変形可
能となっている。把持リング25は、スリーブケース2
4内で光ファイバ内蔵フェルール27や割スリーブ26
を保持するためのものである。
【0004】さらに、図5(b)に示す光レセプタクル
31では、径方向に弾性変形可能な内孔36aを有する
割スリーブ36と、該割スリーブ36の内孔36aの一
端部に挿入された光ファイバ内蔵フェルール37を備え
てなり、割スリーブ36の一端部外周に把持リング35
を圧入して、割スリーブ36の自由な変形を一部拘束し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5に
示す従来の光レセプタクル21、31のいずれにおいて
も、把持リング25、35を接着もしくは圧入により固
定している。
【0006】把持リング25、35を接着する場合は、
手軽で安価ではあるが、高温高湿条件下において接着剤
の劣化が生じ、強度低下により接着剤剥離が生じるとい
う欠点を有していた。
【0007】また、この接着剤の強度劣化により固定し
た各部材の位置ずれが生じ、光モジュールに組んだあ
と、レーザダイオードから出射された光の結合効率が悪
化しやすいという欠点を有していた。
【0008】さらに、圧入により固定した場合は、各部
品の圧入部の寸法精度を高くする必要があり、それによ
って製造原価を高める要因となっていた。また、寸法精
度にばらつきがあるために、各製品の圧入力がばらつい
てしまい、圧入力が小さすぎると各部材の膨張係数が異
なるために使用温度環境の変化により圧入力が更に小さ
くなり、抜け出てしまうという問題を生じている。一
方、圧入力がある値以上になってしまうと圧入部分の変
形が生じたり、各部の組み合わせ寸法が規格値からはず
れてしまい、レーザダイオードから出射された光の結合
効率が悪くなるという欠点を有している。加えて圧入す
る部分に割れや欠けが生じやすく、特に、セラミック部
品の場合はマイクロクラックが発生して長期間の使用に
ともなってセラミックスの破壊につながるという欠点を
有している。
【0009】本発明は、上述の欠点に鑑みて案出された
ものであり、その目的は信頼性の高い光レセプタクル及
びそれを用いた光モジュールを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記従来の問題点に鑑み
て本発明の光レセプタクルは、中空筒状でフェルール挿
入用の内孔を有し、径方向に弾性変形可能な割スリーブ
と、該割スリーブの内孔の一端側から挿入した光ファイ
バ内蔵フェルールと、それらを内装するスリーブケース
とからなる光レセプタクルであって、上記割スリーブも
しくは光ファイバ内蔵フェルールのいずれかの一端部外
周に形状記憶材料からなる把持リングを装着したことを
特徴とするものである。
【0011】また、本発明の光レセプタクルは、上記把
持リングがスリットを有するとともに、厚みが0.3〜
1.5mmであることを特徴とするものである。
【0012】さらに、本発明の光レセプタクルは、上記
形状記憶材料の変態温度以上の使用環境下における把持
リングの内径が、装着する割スリーブもしくは光ファイ
バ内蔵フェルールの外径に対して10〜200μm小さ
いことを特徴とするものである。
【0013】またさらに、本発明の光レセプタクルは、
上記把持リングがTi−Ni系形状記憶合金からなるこ
とを特徴とするものである。
【0014】さらにまた、本発明の光レセプタクルの製
造方法は、上記割スリーブの内孔の一端部に光ファイバ
内蔵フェルールを挿入し、それらをスリーブケースに内
装した後、上記把持リングを形成する形状記憶材料の変
態温度未満の環境下にて、上記割スリーブもしくは光フ
ァイバ内蔵フェルールのいずれかの一端部外周に把持リ
ングを装着し、上記形状記憶材料の変態温度以上に昇温
することによって、割スリーブもしくは光ファイバ内蔵
フェルールを強固に固定保持したことを特徴とするもの
である。
【0015】本発明の光レセプタクルによれば、上記割
スリーブもしくは光ファイバ内蔵フェルールのいずれか
の一端部外周に形状記憶材料からなる把持リングを装着
したことから、形状記憶材質の変態温度以上において把
持リングの内径が縮径する働きを利用して、割スリーブ
もしくは光ファイバ内臓フェルールを強固に固定するこ
とができる。
【0016】また、本発明の光レセプタクルによれば、
上記把持リングがスリットを有するとともに、厚みが
0.3〜1.5mmであることから、割スリーブもしく
は光ファイバ内蔵フェルールを強固に固定することがで
きる。
【0017】さらに、本発明の光レセプタクルによれ
ば、中空筒状でフェルール挿入用の内孔を有し、径方向
に弾性変形可能な割スリーブと、該割スリーブの内孔の
一端部に挿入した光ファイバ内蔵フェルールとからなる
光レセプタクルであって、上記割スリーブもしくは光フ
ァイバ内蔵フェルールのいずれかの一端部外周に形状記
憶材質からなる把持リング装着したあと、該把持リング
の温度を遷移温度以上に上昇させることにより、上記割
スリーブと光ファイバ内蔵フェルールとスリーブケース
とを強固に固定保持させることができ、寸法精度のゆる
い部品を用いて、しかも加熱するだけで固定できるた
め、作業に熟練が不要であり、容易で、且つ短時間で固
定することができ、安価に光レセプタクルを得ることが
できる。
【0018】またさらに、本発明の光モジュールによれ
ば、上記光レセプタクルの一端部に光素子を収納したケ
ーシングを取り付けてなる、安価でしかも信頼性の安定
した光モジュールを得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0020】図1は本発明の光レセプタクルの一実施形
態を示す断面図である。
【0021】本発明の光レセプタクル1は、中空筒状で
フェルール挿入用の内孔6aを有し、径方向に弾性変形
可能な割スリーブ6と、該割スリーブ6の内孔6aの一
端部に挿入した光ファイバ内蔵フェルール7と、それら
を内装するスリーブケース4とからなり、上記割スリー
ブ6の一端部外周に形状記憶材質からなる把持リング5
を装着されている。
【0022】なお、ここでは上記割スリーブ6及び光フ
ァイバ内蔵フェルール7の端部のうち、光ファイバが挿
入保持された一端部を基端部とし、他端を先端部として
説明する。
【0023】また、上記光レセプタクル1における割ス
リーブ6の内孔6aの先端部にはプラグフェルール2が
保持され、プラグフェルール2の光ファイバ3と光ファ
イバ内蔵フェルール7の光ファイバ8とが、各々の端面
において接触し光学的に接続され、光ファイバ内蔵フェ
ルール7の光ファイバ8には、不図示の発光素子や受光
素子が配置され、光ファイバ8を介してプラグフェルー
ル2の光ファイバ3に光信号を伝送する仕組みである。
【0024】上記光レセプタクル1の割スリーブ6及び
光ファイバ内蔵フェルール7は、ステンレス、りん青銅
等の金属、エポキシ、液晶ポリマー等のプラスチック
ス、アルミナ、ジルコニア等のセラミックスからなり、
特に、ジルコニアセラミックスで形成することが好まし
い。具体的には、ZrO2を主成分とし、Y23、Ca
O、MgO、CeO2、Dy23等の少なくとも一種を
安定化剤として含み、正方晶の結晶を主体とする部分安
定化ジルコニアセラミックスを用いることが好ましく、
このような部分安定化ジルコニアセラミックスは、優れ
た耐摩耗性を有するとともに、適度に弾性変形すること
から、耐湿性、耐温性、耐薬品性等が優れ、ヤング率が
小さいため弾性変形しやすく、光ファイバ内蔵フェルー
ル7の光ファイバ8及びプラグフェルール2の光ファイ
バ3との各端面の結合面が弾性変形して割スリーブ6が
PC結合でき、接続損失を小さくすることができる。
【0025】上記割スリーブ6の内孔6aには、光ファ
イバ内蔵フェルール7がエポキシ樹脂等の接着剤を介し
て固定されており、割スリーブ6と光ファイバ内蔵フェ
ルール7との接着力を高めることによって、先端部に挿
入されるプラグフェルール3の荷重によって光ファイバ
内蔵フェルール7に位置ずれが生じるのを有効に防止す
ることができる。
【0026】また、上記割スリーブ6には、スリットが
形成されていることから、光ファイバ内蔵フェルール7
を挿入する際に、割スリーブ6の内径を広げ、挿入を容
易に行うことができる。スリット近傍の端部は、曲率半
径0.02〜0.2mm程度の曲面状としておくことに
よって欠け等を防止することができる。
【0027】さらに、上記割スリーブ6もしくは光ファ
イバ内蔵フェルール7の基端部外周には、把持リング5
が装着されており、光ファイバ内蔵フェルール7を強固
に固定する作用をなす。
【0028】上記把持リング5は、形状記憶材質からな
り、例えばTi−Ni系合金やCu−Zn−Al系、C
u−Au−Ni系等のCu系合金等によって形成されて
おり、特に、Ti−Ni系の形状記憶合金が好適に使用
でき、長期間の使用にともなって把持リング5が錆びる
ことによって、その錆びた部分が振動等により光レセプ
タクルから外れてレーザの表面もしくは光ファイバの先
端に付着して光の伝達を低下させることを防止すること
ができる。
【0029】また、上記把持リング5は、図2に示すよ
うにスリットを有した円筒形状とすることが好ましく、
把持リング5を形成する形状記憶材質の変態温度未満で
その内径を治具を用いて大きく広げる際、加工を容易と
することができる。例えば、上記形状記憶材質の変態温
度は−20℃程度であるため、そのような環境下で加工
作業を容易にするためである。
【0030】さらに、上記把持リング5の厚みt((外
径D−内径d)/2)は、0.3〜1.5mmの範囲内
であることが好ましく、光ファイバ内蔵フェルール7を
強固に固定することができる。上記厚みtが0.3mm
未満となると把持力が不十分となり、1.5mmを超え
ると光レセプタクル1に使用するには全体の寸法が大き
くなり、小型化を達成できない。
【0031】上記把持リング5は、変態温度以上でその
内径が縮径する働きを利用したものであり、変態温度未
満では把持リング5の内径を固定する光ファイバ内臓フ
ェルール7の外径よりも僅かに大きくしておき、把持リ
ング5が光ファイバ内蔵フェルール7を強固に固定する
ものである。
【0032】また、上記把持リング5を形成する形状記
憶材質の変態温度は、−10〜−50℃程度の低いもの
であり、使用する温度である変態温度以上の環境化では
把持リング5の内径dが固定すべき光ファイバ内蔵フェ
ルール7の外径に対して10〜200μmの範囲で小さ
くなるように、予めその形状を調整する必要がある。1
0μm未満となると把持力が小さすぎるため、光ファイ
バ内蔵フェルール7を強固に固定することができず、一
方100μmを超えると把持力が大きくなりすぎるた
め、光ファイバ内臓フェルール7に挿通された光ファイ
バ8に必要以上の力がかかってしまい、光ファイバ8が
破断する恐れがある。
【0033】また、図1に示すように割スリーブ6内に
挿入された光ファイバ内蔵フェルール7の長さL1は、
上記把持リング5の端面から光ファイバ内蔵フェルール
7の端面までの長さL2の半分程度であることが好まし
く、光ファイバ内蔵フェルール7の外径よりも、割スリ
ーブ6の先端部に挿入されるプラグフェルール3の外径
が大きい場合においても、プラグフェルール3が光ファ
イバ内蔵フェルール7の端面と接触する位置に確実に挿
入でき、プラグフェルール2の光ファイバ3と光ファイ
バ内蔵フェルール7の光ファイバ8の端面をPC接続可
能とすることができる。
【0034】さらに、上記光ファイバ内蔵フェルール7
の長さを短くすることによって、光レセプタクル1自体
の小型化を満たすことができ、高密度な実装が可能とな
る。
【0035】上記把持リング5を固定した後、全体をス
リーブケース4の中に挿入して、把持リング5の外周部
とスリーブケース4の内周面部を低融点ガラスもしくは
YAGレーザ溶接にて固定することによって、把持リン
グ5とスリーブケース4との間の保持力を強固なものと
する。
【0036】このようにして得られた光レセプタクル1
の割スリーブ6の内孔6aにおける先端部よりプラグフ
ェルール2が挿入保持され、プラグフェルール2の光フ
ァイバ3と光ファイバ内蔵フェルール7側の光ファイバ
8との各端面を接触させることのいよって光学的に接続
される。
【0037】上記プラグフェルール2の割スリーブ6へ
の挿入長さは、光ファイバ内蔵フェルール7の挿入長さ
よりも長くしておくことから、プラグフェルール2の光
ファイバ3の軸方向の傾きを小さくして、プラグフェル
ール2の光ファイバ3と光ファイバ内蔵フェルール7に
おける光ファイバ8の各端面同士の接触を強固に維持す
ることができ、安定した光信号の伝達を行うことができ
る。
【0038】また、上記プラグフェルール2の外径は、
光ファイバ内蔵フェルール7の外径よりも0.5〜1.
0μm小さくすることが好ましく、例えば、割スリーブ
6の外径が2.492mmの場合、プラグフェルール2
の外径は2.499±0.0005mm、光ファイバ内
蔵フェルール7の外径は2.4995±0.0005m
mとする。これによって、把持リング5によって光ファ
イバ内蔵フェルール7を保持した割スリーブ6の先端部
にプラグフェルール3を挿入する際、スムーズに挿入す
ることが可能となる。
【0039】さらに、上記プラグフェルール2の光ファ
イバ内蔵フェルール7と当接する端面は、当接時の接続
損失を小さくするため、曲率半径20mm程度の曲面状
となっており、基端側の端面は反射光が光素子に戻るこ
とを防止するために4〜10°程度の角度の斜面として
ある。
【0040】上述の光レセプタクル1を用いて光モジュ
ールを構成する場合は、光レセプタクル1の光ファイバ
内蔵フェルール7を備えた端面側に、光素子とレンズを
備えたケーシングを接合し、光レセプタクル1の割スリ
ーブ6内にプラグフェルール3を挿入し、光ファイバ3
の端面と光ファイバ8の端面とを当接させ、光信号のや
りとりを行うことができる。
【0041】このような光モジュールによれば、光ファ
イバ内蔵フェルール7を短くすることにより、光レセプ
タクルが短く、全体として小型の光モジュールとするこ
とができる。
【0042】また、本発明の光レセプタクルは、図3に
示す断面図のように、その一端にストッパ9を備えた形
状とすることが好ましい。
【0043】上記ストッパ9を有する把持リング5によ
って、割スリーブ6もしくは光ファイバ内蔵フェルール
7の軸方向の位置ずれを防止することができ、割スリー
ブ6の基端部の弾性変形を防止するとともに、ストッパ
9によって光ファイバ内蔵フェルール7の基端部の端面
を保持することから、割スリーブ6の先端部よりプラグ
フェルール3を挿入しても、上記ストッパ9によって光
ファイバ内蔵フェルール7の軸方向の位置ずれを有効に
防止することができる。
【0044】また、上記把持リング5のストッパ9の内
径は、光ファイバ内蔵フェルール7における光ファイバ
8の直径より大きく開口していることが好ましく、光レ
セプタクル1の一方の端面側に取着される光素子からの
光を効率よく受光することができる。
【0045】上記プラグフェルール2を挿入する際は、
該プラグフェルール2を備えた光コネクタがバネ力によ
って6〜10N程度の大きな荷重を印加しながら挿入さ
れる。そのため、光ファイバ内蔵フェルール7には、そ
の軸方向に大きな荷重が印加されるが、上記ストッパ9
によって位置ずれを有効に防止して、プラグフェルール
2の光ファイバ3及び光ファイバ内蔵フェルール7の光
ファイバ8の各端面を接続損失の少ない結合を行うこと
ができる。
【0046】なお、上記把持リング5のストッパ9は、
図3に示すように把持リング5と一体構造となっている
ことが好ましく、部品点数を削減することができ、組み
立て工程を容易にすることができる。
【0047】また、上述の図1、3に示す実施形態で
は、把持リング5を光ファイバ内蔵フェルール7の外周
に嵌合したが、図4に示すように割スリーブ6の外周に
設けてもよく、図1、3では割スリーブ6全体をスリー
ブケース4にて覆ったが、図4に示すように、スリーブ
ケース4の基端部にホルダ10を形成してもよく、この
場合、ホルダ10を肉厚の部品で形成することによっ
て、スリーブケース4を肉薄のものにでき、半導体部品
やレンズ等との溶接、接着、ロウ付等の固定方法を考慮
することなく安価な材料を選ぶことができる。
【0048】次に、本発明の光レプタクル1の製造方法
について説明する。
【0049】先ず、割スリーブ6の内孔の一端部に光フ
ァイバ内蔵フェルール7を挿入し、それらをスリーブケ
ース4に内装する。
【0050】把持リング5は、例えば形状記憶材料を常
温で円筒状に成形し、常温より低く、形状記憶材料の変
態温度未満の下で内径寸法を変形させて、把持リング5
を装着する光ファイバ内蔵フェルール7もしくは割スリ
ーブ6の外径より僅かに大きくなるような形状にした
後、再び変態温度以上の常温に戻すことにより、縮径す
ることによって保持するものである。
【0051】先ず、把持リング5を形成するため、例え
ばTi−Ni系合金からなる薄板を常温において、外径
がスリーブケース4もしくはホルダ10のが内径より僅
かに大きく、且つ内径が把持リング5を装着する光ファ
イバ内蔵フェルール7もしくは割スリーブ6の外径より
僅かに小さくなるような形状に棒状材に巻きつけてスリ
ットを有する円筒状に形状を記憶させておく。
【0052】次いで、上記把持リング5を形状記憶材質
の変態温度未満となるよう、例えばドライアイスもしく
は液体窒素等の冷媒あるいは冷凍装置等によって−20
℃程度まで冷却する。
【0053】そして、冷却された状態の把持リング5内
径を把持リング5を装着する光ファイバ内臓フェルール
7もしくは割スリーブ6の外径より僅かに大きくなるよ
うに、内周面加工用金型、外周面加工用金型を用いてプ
レス加工を行う。把持リング5の径を変形させる加工処
理は上記形状記憶材質がその変態温度以下に冷却された
状態において容易に実施することができる。
【0054】上記把持リング5を光ファイバ内蔵フェル
ール7もしくは割スリーブ6に挿入して、組み立て治具
を用いて各部材の位置ずれが生じないように固定してお
く。
【0055】しかる後、上記光レセプタクル1を把持リ
ング5を形成する形状記憶材料の変態温度以上に加熱す
る。
【0056】この形状記憶材質は常温では形状記憶効果
が発生するが、上記加熱することにより短時間で形状記
憶効果を生じさせることができる。加熱方法としては、
光レセプタクル1全体を高温相に入れて全体加熱する方
法、半田ごてもしくはバーナを把持リング5に直接接触
させる方法、もしくはレーザ光や赤外線加熱をする方法
等を用いることができる。
【0057】かくして、上記把持リング5が縮径するこ
とによって成形時の小さな径に戻ることから、光ファイ
バ内臓フェルール7もしくは割スリーブ6に締まりばめ
が生じ、強固に固定されることとなる。
【0058】このように、割スリーブ6、光ファイバ内
臓フェルール7を固定した把持リング5をスリーブケー
ス4に挿入して、スリーブケース4の内周面と把持リン
グ5の外周面とを低融点ガラスもしくはYAGレーザに
て溶接することによって光レセプタクルを得ることがで
きる。
【0059】なお、把持リング5を形成する形状記憶材
料は、変態温度以上に加熱して変形した後、変態温度よ
り低い温度に冷却した際に変形が元に戻る可逆的に熱回
復機能を有した形状記憶材質でも、冷却後元に戻らない
不可逆的な熱回復機能を有した形状記憶材質であっても
同様の効果を得ることができる。
【0060】ただし、可逆的に熱回復機能を有した形状
記憶材質を用いた場合では、光レセプタクル1を変態温
度未満の環境で用いることはできないため注意が必要で
ある。
【0061】上述のようにして得られた光レセプタクル
1を用いて光モジュールを構成する場合は、光レセプタ
クル1の光ファイバ内蔵フェルール7を備えた端面側
に、光素子とレンズを備えたケースを接合し、光レセプ
タクル1の割スリーブ6内にプラグフェルール2を挿入
し、光ファイバ3の端面と光ファイバ8の端面とを当接
させ、光信号のやりとりを行うことができる。
【0062】このような光モジュールによれば、光ファ
イバ内蔵フェルール7を短くすることにより、光レセプ
タクルが短く、全体として小型の光モジュールとするこ
とができる。
【0063】なお、本発明の光レセプタクルは上述の実
施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱
しない範囲内であれば種々の変更は可能である。
【0064】
【実施例】次いで、本発明の実施例を説明する。
【0065】先ず、図1に示す本発明の光レセプタクル
試料と、従来例として図5に示す光レセプタクル試料を
作製した。
【0066】なお、本発明の光レセプタクル試料及び従
来例の光レセプタクル試料は、全て寸法を同様に製作
し、スリーブホルダの内径を把持リングの外径に合わせ
ることと、把持リングの材質、厚さ、内径とフェルール
との外径との差を様々にかえて比較試験を行った。
【0067】本発明の光レセプタクル試料では材質をT
i−Ni合金、Cu−Zn−Al合金、Cu−Al−N
i合金の3種類として、厚み0.2〜1.6mmの範囲
とし、薄板を棒状体に巻きつけて形状を記憶させ、−2
0℃でその内径を拡大させて光ファイバ内蔵フェルール
を治具を用いて組み立て、常温に戻し、その後把持リン
グを低融点ガラスによってスリーブホルダに固定した。
そして、内外径差を8〜210μmの範囲とした。
【0068】また、従来例ではステンレス鋼のSUS3
04を用いて圧入にて組み込んだ。
【0069】そして、各試料の割スリーブの先端部から
プラグフェルールより径の細いピンを挿入して、光ファ
イバ内蔵フェルールに荷重をかけて、押し出し試験を行
い、光ファイバ内臓フェルールが光レセプタクルから抜
け出たときの荷重をプッシュプルゲージにて測定した。
【0070】また、各試料の把持リングを塩水噴霧試験
を行い、外観を確認した。この塩水噴霧試験は、5%の
塩溶液をPH値に調整しておき、試験層内に試料を投入
し、25℃で2時間上記塩水を噴霧した後、温度40℃
湿度93%にて48時間放置した後、外観を10倍の実
態顕微鏡で確認し、錆びの発生がなければ○とし、発生
が確認できれば×とした。
【0071】また、加工性難易度については、部品の加
工及び組み立て性の双方が良好であれば○とし、いずれ
か一方の加工性が難しければ△、双方ともに加工性が難
しければ×とした。
【0072】その結果を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】表1から明らかなように、従来例である光
レセプタクル試料(No.34〜37)は、押し出し荷
重が7.8N以下と小さく、プラグフェルールのバネ力
により把持リングが抜け出る可能性が十分生じているこ
とがわかる。
【0075】これに対し、本発明の形状記憶効果を有す
る光レセプタクル試料(No.1〜33)は、押し出し
荷重が全て13.8N以上となり、プラグフェルールの
バネ力により把持リングが抜け出ることがなく、強固に
固定できることがわかった。
【0076】特に、把持リングがTi−Ni合金からな
り、厚みが0.3〜1.5mm、内外径差が10〜20
0μmの試料(No.7〜9、12〜14)は、押し出
し荷重が18N以上とさらに大きく、耐食性、加工性と
も優れていることがわかる。
【0077】
【発明の効果】本発明の光レセプタクルによれば、上記
割スリーブもしくは光ファイバ内蔵フェルールのいずれ
かの一端部外周に形状記憶材料からなる把持リングを装
着したことから、形状記憶材質の変態温度以上において
把持リングの内径が縮径する働きを利用して、割スリー
ブもしくは光ファイバ内臓フェルールを強固に固定する
ことができる。
【0078】また、本発明の光レセプタクルによれば、
上記把持リングがスリットを有するとともに、厚みが
0.3〜1.5mmであることから、割スリーブもしく
は光ファイバ内蔵フェルールを強固に固定することがで
きる。
【0079】さらに、本発明の光レセプタクルによれ
ば、中空筒状でフェルール挿入用の内孔を有し、径方向
に弾性変形可能な割スリーブと、該割スリーブの内孔の
一端部に挿入した光ファイバ内蔵フェルールとからなる
光レセプタクルであって、上記割スリーブもしくは光フ
ァイバ内蔵フェルールのいずれかの一端部外周に形状記
憶材質からなる把持リング装着したあと、該把持リング
の温度を遷移温度以上に上昇させることにより、上記割
スリーブと光ファイバ内蔵フェルールとスリーブケース
とを強固に固定保持させることができ、寸法精度のゆる
い部品を用いて、しかも加熱するだけで固定できるた
め、作業に熟練が不要であり、容易で、且つ短時間で固
定することができ、安価に光レセプタクルを得ることが
できる。
【0080】またさらに、本発明の光モジュールによれ
ば、上記光レセプタクルの一端部に光素子を収納したケ
ーシングを取り付けてなる、安価でしかも信頼性の安定
した光モジュールを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光レセプタクルの一実施形態を示す断
面図である。
【図2】本発明の光レセプタクルに用いる把持リングの
拡大斜視図である。
【図3】本発明の光レセプタクルを示す断面図である。
【図4】本発明の光レセプタクルを示す断面図である。
【図5】(a)、(b)は従来の光レセプタクルを示す
断面図である。
【符号の説明】
1:光レセプタクル 2:プラグフェルール 3:光ファイバ 4:スリーブケース 5:把持リング 6:割スリーブ 6a:内孔 7:光ファイバ内蔵フェルール 8:光ファイバ 9:ストッパ 10:ホルダ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中空筒状でフェルール挿入用の内孔を有
    し、径方向に弾性変形可能な割スリーブと、該割スリー
    ブの内孔の一端側から挿入した光ファイバ内蔵フェルー
    ルと、それらを内装するスリーブケースとからなる光レ
    セプタクルであって、上記割スリーブもしくは光ファイ
    バ内蔵フェルールのいずれかの一端部外周に形状記憶材
    料からなる把持リングを装着したことを特徴とする光レ
    セプタクル。
  2. 【請求項2】上記把持リングは、スリットを有し、厚み
    が0.3〜1.5mmであることを特徴とする請求項1
    に記載の光レセプタクル。
  3. 【請求項3】上記形状記憶材料の変態温度以上の使用環
    境下における把持リングの内径が、装着する割スリーブ
    もしくは光ファイバ内蔵フェルールの外径に対して10
    〜200μm小さいことを特徴とする請求項1又は2に
    記載の光レセプタクル。
  4. 【請求項4】上記把持リングがTi−Ni系形状記憶合
    金からなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに
    記載の光レセプタクル。
  5. 【請求項5】上記割スリーブの内孔の一端部に光ファイ
    バ内蔵フェルールを挿入し、それらをスリーブケースに
    内装した後、上記把持リングを形成する形状記憶材料の
    変態温度未満の環境下にて、上記割スリーブもしくは光
    ファイバ内蔵フェルールのいずれかの一端部外周に把持
    リングを装着し、上記形状記憶材料の変態温度以上に昇
    温することによって、割スリーブもしくは光ファイバ内
    蔵フェルールを強固に固定保持したことを特徴とする請
    求項1乃至4の何れかに記載の光レセプタクルの製造方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至4のいずれかに記載の光レセ
    プタクルの一端部に光素子を収納したケースを取り付け
    てなることを特徴とする光モジュール。
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