JP2003222608A - ガスセンサの製造方法 - Google Patents

ガスセンサの製造方法

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JP2003222608A
JP2003222608A JP2002021431A JP2002021431A JP2003222608A JP 2003222608 A JP2003222608 A JP 2003222608A JP 2002021431 A JP2002021431 A JP 2002021431A JP 2002021431 A JP2002021431 A JP 2002021431A JP 2003222608 A JP2003222608 A JP 2003222608A
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JP
Japan
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gas sensor
silicon substrate
manufacturing
sensor according
silicon
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Application number
JP2002021431A
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English (en)
Inventor
Takahiro Umeda
孝裕 梅田
Masao Maki
正雄 牧
Katsuhiko Uno
克彦 宇野
Takashi Niwa
孝 丹羽
Kunihiro Tsuruta
邦弘 鶴田
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板からの放熱を抑制し、固体電解質を効率
よく加熱することができ、低消費電力で電池などの電源
を用いることができ、検出性能の安定したガスセンサの
製造方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 n型の(1 0 0)面の単結晶のシリ
コン基板1にイオン注入してヒーター2を形成した後、
フォトリソグラフィにより異方性エッチングする部分の
酸化珪素から成る酸化膜1aを除去し、シリコン基板1
を異方性エッチングして空洞18を形成し、酸化膜1b
の上に固体電解質3を形成し、固体電解質3の上に一対
の電極21および22を形成するものであり、シリコン
基板1からの放熱を抑制し、固体電解質3を効率よく加
熱するので、低消費電力となり、電池などの電源を用い
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大気中あるいは燃
焼機器や内燃機関の排ガス中に含まれる可燃性ガス、特
に人体に有害な物質である一酸化炭素を検出するガスセ
ンサの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のガスセンサの製造方法と
しては、例えば、特開平10−31003号公報に記載
されているようなものがあった。図15(1)ないし
(6)は、前記公報などに記載された従来のガスセンサ
の製造方法を示すものである。
【0003】まず、図15(1)において1は電気的に
絶縁性を有するアルミナなどから成る絶縁基板であり、
図15(2)に示したように絶縁基板1の一方の表面に
白金などから成るヒーター2を形成していた。そして、
図15(3)に示した酸素イオン導電性を有する平板状
のイットリア安定化ジルコニアなどから成る固体電解質
3に図15(4)に示したように白金などから成る一対
の電極4aおよび4bを形成し、さらに一方の電極4a
の上に多孔質な酸化触媒5を図15(5)に示したよう
に積層して形成していた。そして、ヒーター2を形成し
た絶縁基板1と、一対の電極4aおよび4bと酸化触媒
5を形成した固体電解質3を、図15(6)に示したよ
うに接着剤などにより貼り合わせていた。
【0004】上記構成のガスセンサからのセンサ出力を
取り出すために、一対の電極4aおよび4b間に電位差
検出手段を接続し、被検出ガスの濃度に応じた電位差を
検出していた。
【0005】次に、従来の構成のガスセンサの原理を簡
単に説明する。
【0006】まず、従来の構成のガスセンサを一酸化炭
素などの可燃性ガスを含まない被検出ガス中に保持し、
ヒーター2により固体電解質3を所定の動作温度まで加
熱したとき、一対の電極4aおよび4bに到達する酸素
の量はそれぞれ等しいので、一対の電極4a−4b間に
電位差は発生しない。このとき一対の電極4aおよび4
b上ではそれぞれ式(1)で示した電極反応が生じ、平
衡を保っている。
【0007】Oad+2e−←→O2−・・・(1) ここでOadは一対の電極4aおよび4bの表面に吸着
した酸素原子を示す。
【0008】次に、被検出ガス中に可燃性ガスである一
酸化炭素を導入すると、多孔質な酸化触媒5の形成され
ていない電極4b上では式(1)で示した電極反応に加
え、式(2)で示した電極反応が生じる。
【0009】CO+Oad→CO2・・・(2) 一方、多孔質な酸化触媒5の形成された電極4a上で
は、酸化触媒5で一酸化炭素が二酸化炭素に酸化され、
一酸化炭素が電極4aの表面まで到達することができ
ず、式(1)で示した電極反応のみが生じる。
【0010】したがって一対の電極4aおよび4bの間
で吸着する酸素量のバランスが崩れ、酸素濃度に濃淡差
が生じ、酸素濃度の高い電極4aから酸素濃度の低い電
極4bへ吸着酸素が酸素イオンとなり酸素イオン導電体
である固体電解質3中を移動し、一対の電極4a−4b
間に電位差が発生する。この電位差と一酸化炭素の濃度
の関係はネルンストの式に従い、濃度が増加すれば電位
差も増加するので、電位差検出手段でこの電位差を検出
することにより、一酸化炭素などの可燃性ガスの濃度を
求めていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の構成では、絶縁基板1の熱伝導率がアルミナの場
合、約20W/m・Kと大きいので、絶縁基板1からの放熱
が大きくなり、効率よく固体電解質3を加熱することが
できず、消費電力が大きくなるという課題を有してい
た。
【0012】本発明は、前記従来の課題を解決するもの
で、基板からの放熱を抑制し、固体電解質を効率よく加
熱することができ、低消費電力で電池などの電源を用い
ることができ、検出性能の安定したガスセンサの製造方
法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記従来の課題を解決す
るために、本発明のガスセンサの製造方法は、n型の
(1 0 0)面の単結晶のシリコン基板にイオン注入
してヒーターを形成した後、フォトリソグラフィにより
異方性エッチングする部分の酸化膜を除去し、前記シリ
コン基板を異方性エッチングして空洞を形成し、絶縁膜
の上に固体電解質を形成し、前記固体電解質の上に一対
の電極を形成するものであり、基板からの放熱を抑制
し、固体電解質を効率よく加熱するので、低消費電力と
なり、電池などの電源を用いることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、n型の
(1 0 0)面の単結晶のシリコン基板を熱酸化さ
せ、酸化珪素から成る酸化膜を形成し、イオン注入する
部分の前記酸化膜をフォトリソグラフィにより除去し、
III族の元素をイオン注入してヒーターを形成した後、
酸素中で熱酸化させ、酸化珪素からなる絶縁膜を形成
し、前記絶縁膜にヒーター電極用のコンタクトホールを
フォトリソグラフィにより形成し、前記コンタクトホー
ルの上にヒーター電極を形成し、異方性エッチングする
部分の前記酸化膜をフォトリソグラフィにより除去し、
前記シリコン基板を異方性エッチングして空洞を形成
し、前記絶縁膜の上に固体電解質を形成し、前記固体電
解質の上に一対の電極を形成するものであり、基板から
の放熱を抑制し、固体電解質を効率よく加熱するので、
低消費電力となり、電池などの電源を用いることができ
る。
【0015】また、シリコン基板にIII族の元素を添加
し、p型シリコンから成るヒーターを形成することによ
り、従来のように白金などの高価な材質を用いず、基板
と同一の素材でヒーターを構成でき、経済的であるばか
りでなく、熱膨張率がほぼ等しいため、剥離や浮きとい
った物理的破壊が発生せず、ヒーターとしての耐久性が
向上する。
【0016】また、価電子制御のされていないシリコン
は熱エネルギーによってわずかな電気伝導性を示すが、
価電子制御を行ったシリコン半導体を用いるので、p型
からn型へは電流を流すがその逆には電流を流さないと
いう整流作用により、p型シリコンであるヒーターは基
板のn型シリコンと十分に絶縁されており、基板とヒー
ターの間に絶縁物を形成する必要がない。
【0017】また、異方性エッチング液を用いた異方性
エッチングにおいて、n型シリコンはよくエッチングさ
れるが、p型シリコンはほとんどエッチングされないの
で、ヒーター部分のみを異方性エッチングすることが可
能であり、熱伝導のよいn型シリコンを除去することに
より、基板の熱容量を大きく減少させることができ、低
消費電力となり、電池などの電源を用いることができ
る。
【0018】また、絶縁膜が、シリコン基板を熱処理し
て得た酸化珪素であり、基板を酸化させるだけで、ほぼ
理想的な絶縁性の酸化膜を形成することができ、蒸着な
どにより新たに絶縁膜を成膜させる必要がないので、経
済的である。
【0019】請求項2に記載の発明は、特に請求項1に
記載のシリコン基板を水蒸気を用いて熱酸化させ、酸化
珪素から成る酸化膜を形成した後、硫酸と過酸化水素水
を用い、50〜70℃で洗浄し、水洗して乾燥すること
により、酸化珪素から成る酸化膜を酸素中よりも成膜速
度の速い水蒸気中で形成するので、生産性を向上させる
ことができ、シリコン基板を硫酸と過酸化水素水を用い
て洗浄し、表面に存在する汚れや不純物を完全に除去す
るので、成膜状態が良好となり、歩留まりを向上させる
ことができる。
【0020】請求項3に記載の発明は、特に請求項1に
記載のパターンを形成する前に、表面に酸化珪素から成
る酸化膜が形成されたシリコン基板の任意の箇所に傷を
つけ、前記傷部分を異方性エッチングすることにより、
シリコン基板の正確な<11 0>方向を知ることがで
き、パターンを正確に配置させることができるので、歩
留まりが向上し、生産性が良好となる。
【0021】請求項4に記載の発明は、特に請求項1に
記載のヒーターになる部分をシリコン基板の<1 1
0>方向に対して45度傾くように配置することによ
り、シリコン基板に異方性エッチングにより形成する空
洞の上に位置するブリッジ状のヒーターが正確に配置さ
れ、歩留まりが向上し、生産性が良好となる。
【0022】請求項5に記載の発明は、特に請求項1に
記載のシリコン基板の表面のイオン注入しない部分だけ
でなく、前記シリコン基板の裏面にもレジスト膜を形成
し、裏面の酸化珪素から成る酸化膜を保護することによ
り、シリコン基板の裏面からの異方性エッチングを防ぐ
ことができ、生産性が良好となる。
【0023】請求項6に記載の発明は、特に請求項1に
記載のイオン注入した後、酸素中で熱酸化させる前に、
1,000℃〜1,200℃の窒素中で熱処理すること
により、イオン注入により損なわれたシリコンの結晶性
が回復すると同時に、III族の元素の原子がシリコン中
に拡散し、安定した構造のp型シリコンから成るヒータ
ーを形成することができる。
【0024】請求項7に記載の発明は、特に請求項1に
記載のシリコン基板のヒーター電極用のコンタクトホー
ルを形成する以外の部分だけでなく、前記シリコン基板
の裏面にもレジスト膜を形成し、裏面の酸化珪素から成
る酸化膜を保護することにより、シリコン基板の裏面か
らの異方性エッチングを防ぐことができ、生産性が良好
となる。
【0025】請求項8に記載の発明は、特に請求項1に
記載のクロムおよび金をそれぞれ真空中で連続して成膜
してヒーター電極を形成することにより、クロムが酸化
されることなく金を積層して形成するので、シリコン基
板とクロムおよび金の密着性が向上し、剥離などのない
耐久性に優れたガスセンサを得ることができる。
【0026】請求項9に記載の発明は、特に請求項1に
記載のヒーター電極を成膜後、300〜600℃の窒素
中で熱処理することにより、シリコン基板とクロムおよ
び金の緻密性や密着性がさらに向上し、耐久性に優れた
ガスセンサを得ることができる。
【0027】請求項10に記載の発明は、特に請求項1
に記載のシリコン基板の表面の異方性エッチングしない
部分だけでなく、前記シリコン基板の裏面にもレジスト
膜を形成し、裏面の酸化珪素から成る酸化膜を保護する
ことにより、シリコン基板の裏面からの異方性エッチン
グを防ぐことができ、生産性が良好となる。
【0028】請求項11に記載の発明は、特に請求項1
に記載の異方性エッチングは、エチレンジアミンと、ピ
ロカテコールと、水の混合溶液を用い、105℃〜12
5℃で行い、異方性エッチング終了後、すぐに水洗して
乾燥することにより、特性のばらつき要因と考えられる
アルカリ金属の水酸化物溶液を用いずに、異方性エッチ
ングをすることができ、歩留まりが向上し、生産性が良
好となる。
【0029】請求項12に記載の発明は、特に請求項1
に記載の異方性エッチングは、水酸化テトラメチルアン
モニウムの15%〜25%水溶液を用い、70℃〜90
℃で行い、異方性エッチング終了後、すぐに水洗して乾
燥することにより、発ガン性物質を用いずに、異方性エ
ッチングすることができ、安全性を向上することができ
る。
【0030】請求項13に記載の発明は、特に請求項1
に記載の固体電解質を、メタルマスクを用いてスパッタ
リングにより形成することにより、異方性エッチングに
より形成した空洞の上のp型シリコンから成るブリッジ
状のヒーターに、負荷や衝撃を与えることなく、固体電
解質を形成できるので、歩留まりが向上し、生産性が良
好となる。
【0031】請求項14に記載の発明は、特に請求項1
3に記載の固体電解質を、10〜50%の酸素中でスパ
ッタリングすることにより、固体電解質の原料を含むス
パッタリングのターゲットが還元により黒化するといっ
たことがなく、安定した組成の固体電解質の膜を形成す
ることができ、センサ出力の安定したガスセンサを得る
ことができる。
【0032】請求項15に記載の発明は、特に請求項1
3に記載の固体電解質を、500〜900℃の基板温度
でスパッタリングすることにより、シリコン基板上に形
成される固体電解質膜の結晶が成長し、良好な酸素イオ
ン導電性を示す結晶構造となり、高出力なガスセンサを
得ることができる。
【0033】請求項16に記載の発明は、特に請求項1
に記載の固体電解質の上に白金を用いて一対の電極を形
成した後、前記一対の電極のうち一方の電極の上に多孔
性の酸化触媒を形成することにより、酸化触媒で一酸化
炭素が二酸化炭素に酸化され、一酸化炭素が酸化触媒の
形成された白金からなる電極の表面まで到達することが
できないので、一対の電極間で酸素濃度に濃淡差が生
じ、電位差が発生し、この電位差を検出することによ
り、一酸化炭素などの可燃性ガスの濃度を求めることが
できる。
【0034】請求項17に記載の発明は、特に請求項1
に記載の固体電解質の上にクロムおよび金をそれぞれ真
空中で連続して成膜し、一対の電極を形成した後、前記
一対の電極の上に互いに異なる複合金属酸化物を形成す
ることにより、クロムが酸化されることなく積層して金
を形成するので、シリコン基板とクロムおよび金の密着
性が向上し、剥離などのない耐久性に優れたガスセンサ
を得ることができ、また、互いに異なる複合金属酸化物
を電極とするので、固体電解質の動作温度を低温化させ
ることができ、低消費電力のガスセンサを得ることがで
きる。
【0035】請求項18に記載の発明は、特に請求項1
に記載の一対の電極のクロム、金および二種類の複合金
属酸化物を、メタルマスクを用いてスパッタリングによ
り形成することにより、異方性エッチングにより形成し
た空洞の上のp型シリコンから成るブリッジ状のヒータ
ーに、負荷や衝撃を与えることなく、一対の電極および
二種類の複合酸化物を形成できるので、歩留まりが向上
し、生産性が良好となる。
【0036】請求項19に記載の発明は、特に請求項1
に記載のシリコン基板を<1 10>方向に沿ってダイ
シングすることにより、<1 1 0>方向の結晶粒界
で良好に切削できるので、素子を分割しやすくなり生産
性が向上する。
【0037】請求項20に記載の発明は、特に請求項1
に記載のシリコン基板に異方性エッチングによりブレー
ク溝を形成することにより、ダイシング装置などを用い
ずに、異方性エッチングにより形成した空洞の上のp型
シリコンから成るブリッジ状のヒーターに、負荷や衝撃
を与えることなく、シリコン基板を分割することができ
るので、歩留まりが向上し、生産性が良好となる。
【0038】請求項21に記載の発明は、特に請求項1
に記載のシリコン基板を分割する前に、複数のプローブ
をヒーター電極および一対の電極に接触させ、ガスセン
サの特性を測定した後、ガスセンサを選別することによ
り、ガスセンサを実装する前に不良品を除去するので、
歩留まりが向上し、生産性が良好となる。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
しながら説明する。
【0040】図1ないし7は、本発明の実施例における
ガスセンサの製造方法のフロー図を示すものである。本
発明では、シリコンのバルクマイクロマシニング技術を
用いて、クリーンルームでブリッジ状のマイクロヒータ
ーの作製を行い、前記マイクロヒーターの上に固体電解
質式のガス検知部を形成した。本発明の構成によれば、
基板からの放熱を抑制し、固体電解質を効率よく加熱す
るので、低消費電力となり、電池などの電源を用いるこ
とができる。
【0041】まず、図1(1)において、1はn型で
(1 0 0)面の板厚約500μmの単結晶のシリコ
ン基板である。このシリコン基板1を構成するシリコン
原子は共有結合しており、電子はシリコン原子に強く束
縛されているが、熱エネルギーによって、わずかな数の
電子が原子の束縛を離れて動き回っており、室温におい
て、わずかに電気伝導性を示す。n型シリコンは、シリ
コン中にV族の元素であるリンや砒素、アンチモンなど
の原子をイオン注入などにより添加したものであり、V
族の原子は結合の手を五本持つため、結合の手が一本余
り、原子に束縛されない電子が生じ、n型シリコンは電
子による電気伝導性を示す。
【0042】次に、図1(2)に示したように、シリコ
ン基板1を石英管中で水蒸気を用いて熱酸化させ、膜厚
約8,000Åの酸化珪素から成る酸化膜1aを形成し
た。成膜速度の速い水蒸気中で酸化膜1aを形成するの
で、大気中あるいは酸素中よりも早く形成することがで
き、生産性が向上する。
【0043】そして、硫酸と過酸化水素水の混合溶液を
用い、50〜70℃で洗浄し、水洗後、乾燥し、表面に
存在する汚れや不純物を完全に除去した。表面に存在す
る汚れや不純物を完全に除去するので、成膜状態が良好
となり、歩留まりを向上させることができる。
【0044】次に、図1(3)に示したように、パター
ンを形成する前に、シリコン基板1の関係のない任意の
端部にピンセットのような先端の鋭いもので酸化膜1a
に小さいヒゲ状の傷6をつけ、異方性エッチング液に浸
漬して異方性エッチングを行った。図1(4)に示した
ように、傷6の下に存在するn型シリコンは傷6に外接
する<1 1 0>方向で逆ピラミッド状に異方性エッ
チングされ、空洞7が形成され、ヒーターとなる部分を
シリコン基板1の<1 1 0>方向に対して正確に4
5度傾くように配置することができるので、シリコン基
板1に異方性エッチングにより形成する空洞の上のブリ
ッジ状のヒーターが正確に配置され、歩留まりが向上
し、生産性が良好となる。
【0045】なお、あらかじめ<1 1 0>方向のオ
リエンテーション・フラットを有するシリコンウェハー
を用いた場合はこの工程を省略することができる。
【0046】次に、図2(5)に示したように、シリコ
ン基板1をスピナーにセットし、プライマーを数滴たら
し、スピンコートした。プライマーは、酸化膜1aの表
面に付着した水分などを除去し、レジスト膜8と基板1
の密着性を高めることができる。そして、ポジ型のレジ
スト液を数滴たらし、スピンコートした後、90℃で5
分間プリベークを行い、レジスト液中の溶剤を乾燥し、
膜厚約0.5μmのレジスト膜8を形成した。
【0047】次に、図2(6)に示したように、シリコ
ン基板1をマスクアライナ(露光装置)にセットし、フ
ォトマスク9とシリコン基板1を密着させ、超高圧水銀
灯の光を照射した。
【0048】その後、図2(7)に示したように、シリ
コン基板1を現像液に浸漬し、1〜3分現像し、純水で
十分に洗浄を行い、レジスト膜8の密着性と耐薬品性を
向上させるため、120℃で10分間ポストベークを行
った。さらに、シリコン基板1の表面のイオン注入しな
い部分だけでなく、シリコン基板1の裏面の酸化膜1a
にもレジスト液を塗布し、酸化膜1aがエッチングされ
ないようにレジスト膜8を形成して、保護した。裏面の
酸化膜1aを保護することにより、シリコン基板1の裏
面からの異方性エッチングを防ぐことができ、生産性が
良好となる。ここで、酸化膜1aがエッチングされて除
去されると、異方性エッチングの時に、裏面からも異方
性エッチングされ、ヒーターをうまく形成することがで
きなくなる。
【0049】次に、図2(8)に示したように、シリコ
ン基板1をテフロン(登録商標)ビーカーの弗化水素酸
と弗化アンモニウム水溶液の混合液(1:6)に浸漬し
て、ヒーターとなるイオン注入する部分の酸化珪素から
成る酸化膜1aをエッチングした。
【0050】そして、図2(9)に示したように、アセ
トンでレジスト膜8を剥離した後、2−プロパノールで
洗浄し、さらに純水で洗浄し、エアーガンで乾燥した。
剥離剤は硫酸過水などでもよい。また、レジスト膜8が
固化して除去しにくい場合などは、酸素プラズマによる
アッシングにより除去することができる。
【0051】次に、図3(10)に示したように、イオ
ン注入装置を用いて、酸化膜1aを除去した部分にIII
族の元素であるボロン(ホウ素)を50keVの加速電圧
で5×1016/cm2注入し、p型シリコンから成るヒータ
ー2を形成した。
【0052】さらに、図3(11)に示したように、ボ
ロンをイオン注入した後、1,000℃〜1,200℃
の窒素中で1〜2時間熱処理して、イオン注入により損
なわれたシリコンの結晶性を回復させ、同時にボロン原
子をn型シリコン中に拡散させ、p型シリコンの安定し
た構造のヒーター2を形成した。熱処理することによ
り、p型シリコンから成るヒーター2の膜厚は厚くな
る。p型シリコンは、シリコン中にIII族の元素である
ボロン(ホウ素)やインジウムなどの原子をイオン注入
などにより添加したものであり、III族の原子は結合の
手を三本しか持たないため、結合の手が一本足りず、電
子の抜けた孔(正孔、ホール)が生じ、この正孔に隣接
する電子が入ることにより電子が移動できるので、電気
導電性を示す。また、シリコン基板1にIII族の元素を
添加し、p型シリコンから成るヒーター2を形成するこ
とにより、従来のように白金などの高価な材質を用い
ず、シリコン基板1と同一の素材でヒーター2を構成で
き、経済的であるばかりでなく、熱膨張率がほぼ等しい
ため、剥離や浮きといった物理的破壊が発生せず、ヒー
ター2としての耐久性が向上する。
【0053】さらに続けて、図3(12)に示したよう
に、1,000℃〜1,200℃の酸素中で30分〜1
時間熱処理して、シリコン基板1表面に約1,500Å
の酸化膜1bを形成した。この酸化膜1bは、ヒーター
2とその上に形成する固体電解質の絶縁に用いられる。
n型シリコンの上に形成したp型シリコンの間には、p
型からn型へは電流を流すが、その逆には電流を流さな
いという整流作用があり、p型シリコンから成るヒータ
ー2はn型シリコンから成るシリコン基板1と十分に絶
縁されており、シリコン基板1とヒーター2の間に絶縁
物を形成する必要がない。
【0054】また、固体電解質との絶縁物が、シリコン
基板1を熱処理して得た酸化珪素から成る酸化膜1bで
あり、シリコン基板1を酸化させるだけで、ほぼ理想的
な絶縁性の酸化膜1bを形成することができ、蒸着など
により新たに絶縁膜を成膜させる必要がないので、経済
的である。
【0055】次に、図3(13)に示したように、熱酸
化により形成された酸化膜1bにヒーター電極用のコン
タクトホールを形成するために、再度、シリコン基板1
をスピナーにセットし、プライマーを数滴たらし、スピ
ンコートした。そして、ポジ型のレジスト液を数滴たら
し、スピンコートした後、90℃で5分間プリベークを
行い、膜厚約0.5μmのレジスト膜10を形成した。
【0056】次に、図3(14)に示したように、シリ
コン基板1をマスクアライナにセットし、フォトマスク
11上のパターンとシリコン基板1のパターンを顕微鏡
を用いて合わせ、フォトマスク11と基板1を密着さ
せ、超高圧水銀灯の光を照射した。
【0057】その後、図4(15)に示したように、シ
リコン基板1を現像液に浸漬し、1〜3分現像し、純水
で十分に洗浄を行い、120℃で10分間ポストベーク
を行った。さらに、シリコン基板1の裏面の酸化膜1a
にもレジスト液を塗布し、酸化膜1aがエッチングされ
ないよう、レジスト膜10を形成し、保護した。酸化膜
1aを保護することにより、シリコン基板1の裏面から
の異方性エッチングを防ぐことができ、生産性が良好と
なる。
【0058】次に、図4(16)に示したように、シリ
コン基板1を弗化水素酸と弗化アンモニウム水溶液の混
合液に浸漬して、コンタクトホール1cとなる部分の酸
化珪素から成る酸化膜1bをエッチングした。
【0059】そして、図4(17)に示したように、硫
酸過水やアセトンでレジスト膜10を剥離した後、2−
プロパノールで洗浄し、さらに純水で洗浄し、エアーガ
ンで乾燥した。
【0060】次に、図4(18)および(19)に示し
たように、ヒーター2用の電極として真空蒸着によりク
ロム12と金13の多層膜を連続して形成した。クロム
は真空中で加熱すると溶融せずに昇華するので、タング
ステンのバスケットを用い、200〜300Å形成し
た。一方、金にはタングステンのボートを用い、2,0
00〜3,000Å形成した。後の工程で用いる異方性
エッチング液は強アルカリであるので、ヒーター2用の
電極に異方性エッチングに耐え得る金を用いた。また、
金13はシリコン基板1の酸化膜1aとの密着性が非常
に弱いので、密着性のよいクロム12を下地として用い
た。また、金13の膜厚が薄すぎると、下地のパターン
の段差部分で段切れを起こす可能性があり、また、逆に
厚すぎてもパターンの分解能の劣化や、ヒーター2の熱
容量と熱拡散の増加を引き起こす。また、クロム12の
成膜後、一旦大気にさらすと、クロム12が酸化した
り、表面に水蒸気が吸着したりして、密着性が悪くな
り、金13とクロム12の間で剥離することがあるの
で、クロム12と金13は真空を破ることなく連続して
成膜しなければならない。
【0061】そして、クロム12と金13の多層膜の緻
密性や密着性を向上するために、窒素中で300℃、3
0分間熱処理を行った。
【0062】次に、図5(20)に示したように、クロ
ム12と金13の多層膜をエッチングするため、シリコ
ン基板1をスピナーにセットし、プライマーを数滴たら
し、スピンコートした。そして、ポジ型のレジスト液を
数滴たらし、スピンコートした後、90℃で5分間プリ
ベークを行い、膜厚約0.5μmのレジスト膜14を形
成した。
【0063】次に、図5(21)に示したように、シリ
コン基板1をマスクアライナにセットし、フォトマスク
15上のパターンとシリコン基板1のパターンを顕微鏡
を用いて合わせ、フォトマスク15とシリコン基板1を
密着させ、超高圧水銀灯の光を照射した。
【0064】その後、図5(22)に示したように、シ
リコン基板1を現像液に浸漬し、1〜3分現像し、純水
で十分に洗浄を行い、レジスト膜14の密着性と耐薬品
性を向上させるため、120℃で10分間ポストベーク
を行った。
【0065】次に、図5(23)に示したように、ヨウ
素100gと、ヨウ化カリウム100gと、純水400
ccの混合水溶液を用いて、オーバーエッチングになら
ないよう注意しながら金13をエッチングし、ヒーター
2用の金電極13aを形成した。
【0066】さらに、図5(24)に示したように、硝
酸二セリウムアンモニウム水溶液を用いて、同様にクロ
ム12をエッチングし、ヒーター2用のクロム電極12
aを形成した。
【0067】そして、図6(25)に示したように、硫
酸過水やアセトンでレジスト膜14を剥離した後、2−
プロパノールで洗浄し、さらに純水で洗浄し、エアーガ
ンで乾燥した。
【0068】次に、図6(26)に示したように、異方
性エッチングする部分の開口のパターンを形成するた
め、シリコン基板1をスピナーにセットし、プライマー
を数滴たらし、スピンコートした。そして、ポジ型のレ
ジスト液を数滴たらし、スピンコートした後、90℃で
5分間プリベークを行い、膜厚約0.5μmのレジスト
膜16を形成した。
【0069】次に、図6(27)に示したように、シリ
コン基板1をマスクアライナにセットし、フォトマスク
17上のパターンとシリコン基板1のパターンを顕微鏡
を用いて合わせ、フォトマスク17とシリコン基板1を
密着させ、超高圧水銀灯の光を照射した。
【0070】その後、図6(28)に示したように、シ
リコン基板1を現像液に浸漬し、1〜3分現像し、純水
で十分に洗浄を行い、レジスト膜16の密着性と耐薬品
性を向上させるため、120℃で10分間ポストベーク
を行った。さらに、シリコン基板1の裏面の酸化膜1a
にもレジスト液を塗布し、酸化膜1aがエッチングされ
ないようにレジスト膜16を形成して、保護した。裏面
の酸化膜1aを保護することにより、シリコン基板1の
裏面からの異方性エッチングを防ぐことができ、生産性
が良好となる。
【0071】次に、図6(29)に示したように、シリ
コン基板1を弗化水素酸と弗化アンモニウム水溶液の混
合液に浸漬して、開口部1dとなる部分の酸化膜1aを
エッチングにより除去した。
【0072】次に、図7(30)に示したように、エチ
レンジアミン75ccと、ピロカテコール12gと、純
水24ccの混合水溶液を用いて、ホットプレートで1
16℃に加熱しながらドラフト内で2時間異方性エッチ
ングを行った。混合水溶液の沸点は約116℃であり、
105〜125℃で加熱する必要がある。この異方性エ
ッチング液を用いることにより、特性のばらつき要因と
考えられるアルカリ金属の水酸化物水溶液を用いないの
で、歩留まりが向上し、生産性が良好となる。また、ヒ
ーター2であるp型シリコンは基板1のn型シリコンに
比べてほとんど異方性エッチングされないので、ブリッ
ジ状のマイクロヒーター2を形成することができ、熱伝
導のよいn型シリコンを除去することにより、シリコン
基板1の熱容量を大きく減少させることができ、低消費
電力となり、電池などの電源を用いることができる。
【0073】また、開口部1dの酸化膜1aを除去した
後、時間が経過してから異方性エッチングを行うと、シ
リコン基板1の表面に自然酸化膜ができて異方性エッチ
ングができなくなるので、開口部1dの酸化膜1aを除
去したら直ちに異方性エッチングを行わなければならな
い。異方性エッチングと同時に形成していたレジスト膜
16は剥離される。異方性エッチングをしたら直ちに、
純水で洗浄し、さらに2−プロパノールで洗浄し、乾燥
した。エアーガンなどで水分を飛ばすと、ブリッジなど
が壊れることがあるので、オーブンで乾燥した。また、
水の表面張力によるブリッジの破壊を避けるため、水洗
後、2−プロパノールで置換し、乾燥した。
【0074】また、異方性エッチング液にエチレンジア
ミンとピロカテコールの混合水溶液でなく、水酸化テト
ラメチルアンモニウムの15%〜25%水溶液を用い、
70℃〜90℃で異方性エッチングを行った場合、発ガ
ン性物質を用いずに、異方性エッチングすることがで
き、安全性が向上する。
【0075】このようにして、シリコン基板1のヒータ
ー2の下に異方性エッチングにより空洞18を形成し、
熱伝導率のよいシリコンを除去し、マイクロブリッジ構
造のヒーター2を形成することにより、熱容量と熱拡散
を大きく減少させることができる。そして、p型シリコ
ンから成るヒーター2はn型シリコンから成るシリコン
基板1とpn接合を形成しているので、ブリッジ部のみ
に電流を流すことが可能であり、低消費電力で高速応答
性に優れたマイクロヒーター2が得られる。
【0076】また、(1 0 0)面の異方性エッチン
グは、エッチング液にさらされる面が全て(1 1
1)面になったときに停止する。したがって、パターン
の開口サイズによって正確に深さが決まるエッチング溝
が得られ、深さはエッチング時間により制御することが
できる。図7(30)に示した開口部1dのパターンの
場合、ピラミッド状にエッチングされた空洞18が形成
される。
【0077】次に、図7(31)に示したように、酸化
膜1bの上に固体電解質3を形成するため、メタルマス
クを用いて、スパッタリングによりイットリア安定化ジ
ルコニアを約2μm形成した。メタルマスクを用いてス
パッタリングにより形成することにより、異方性エッチ
ングにより形成した空洞18の上のp型シリコンから成
るブリッジ状のヒーター2に、負荷や衝撃を与えること
なく、固体電解質3を形成できるので、歩留まりが向上
し、生産性が良好となる。
【0078】また、スパッタリングは10〜50%の酸
素中で行い、スパッタリング時のシリコン基板1の基板
温度を500〜900℃で行った。スパッタリング時
に、酸素を入れることにより、スパッタリングのターゲ
ットが黒化することなく、組成の安定した固体電解質3
の薄膜を形成することができる。また、基板温度を上げ
ることにより、固体電解質1の結晶性が向上し、酸素イ
オン導電率を増加させることができる。
【0079】次に、図7(32)および(33)に示し
たように、固体電解質3の上に一対の電極としてメタル
マスクを用いて、真空蒸着によりクロム電極19および
金電極20を連続して形成した。クロム電極19および
金電極20の膜厚はそれぞれ200〜300Åおよび
2,000〜3,000Åであった。また、クロム電極
19の成膜後、一旦大気にさらすと、クロム電極19が
酸化したり、表面に水蒸気が吸着したりして、密着性が
悪くなり、金電極20とクロム電極19の間で剥離する
ことがあるので、クロム電極19と金電極20は真空を
破ることなく連続して成膜しなければならない。
【0080】そして、クロム電極19と金電極20の多
層膜の緻密性や密着性を向上するために、窒素中で30
0℃、30分間熱処理を行った。
【0081】さらに、図7(34)に示したように、金
電極20の上に互いに異なる二種類の複合金属酸化物2
1および22をメタルマスクを用いてスパッタリングに
より形成した。
【0082】メタルマスクを用いることにより、異方性
エッチングにより形成した空洞18の上のp型シリコン
から成るブリッジ状のヒーター2に、負荷や衝撃を与え
ることなく、一対の電極および二種類の複合酸化物21
および22を形成できるので、歩留まりが向上し、生産
性が良好となる。
【0083】また、複合金属酸化物21および22はい
ずれもABO3-δで表される酸素欠損ペロブスカイト型
酸化物であり、複合金属酸化物21のAサイトには、ラ
ンタノイドのうち少なくとも一種が含まれ、Bサイトに
は、マンガンが含まれ、一方の複合金属酸化物22のA
サイトには、ランタノイドのうち少なくとも一種が含ま
れ、Bサイトには、コバルトが含まれている。Bサイト
には、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅
のうち少なくとも一種が含まれている。一対の電極に互
いに種類の異なる二つの複合金属酸化物21および22
を用いることにより、ペロブスカイト型構造の酸素欠損
が気相の酸素を取り込み、固体電解質3まで効率よく供
給するので、固体電解質3の動作温度を200℃〜40
0℃まで低下させることができる。
【0084】また、互いに組み合わせの異なる複合金属
酸化物21および22を一対の電極として用いるので、
互いに有する可燃性ガスの酸化能力の違いにより、電極
間に可燃性ガスの濃度に応じた起電力が生じ、濃度を検
出することができる。
【0085】次に、図8に示したように、シリコン基板
を<1 1 0>方向23に沿ってダイシングした。シ
リコン基板を<1 1 0>方向23に沿ってダイシン
グすることにより、<1 1 0>方向23の結晶粒界
で切削できるので、加工しやすくなり生産性が向上す
る。
【0086】また、図9に示したように、シリコン基板
を異方性エッチングすると同時に、異方性エッチングに
よりブレーク溝24を形成した場合、ダイシング装置な
どを用いずに、異方性エッチングにより形成した空洞の
上のp型シリコンから成るブリッジ状のヒーターに、負
荷や衝撃を与えることなく、シリコン基板を分割するこ
とができるので、歩留まりが向上し、生産性が良好とな
る。
【0087】さらに、図10に示したように、シリコン
基板を分割する前に、複数のプローブ25および26を
それぞれヒーター電極13aおよび一対の電極20に接
触させ、ガスセンサの主要な特性を検査した後、ガスセ
ンサを選別することにより、ガスセンサを実装する前に
不良品を除去するので、歩留まりが向上し、生産性が良
好となる。
【0088】上記のようにして得られたガスセンサの特
性を調べるため、シリコン基板1を分割して、各電極1
3aおよび20にリード線をボンディングし、ヒーター
用電極13a間に電池などの直流電源を接続し、ヒータ
ー2に直流電圧をパルス的に印加して、固体電解質3の
動作温度が約250℃になるように保持した。さらに、
各種濃度の一酸化炭素(CO)を毎分5リットルで供給
したときのガスセンサのセンサ出力を一対の電極20間
に接続した電位差検出手段を用いて測定した。測定結果
を図11に示す。図11より、センサ出力とCO濃度の
関係はネルンストの式に従い、濃度の増加にともない出
力も増加していることが判り、本発明の第一の実施例の
ガスセンサを用いれば一酸化炭素の正確な濃度を求める
ことができる。
【0089】さらに、本発明のガスセンサについてCO
ガス選択性を確認するため、500ppmのCOあるい
は水素を含む雰囲気中の各温度におけるセンサ出力を測
定したところ、図12に示すように、いずれの動作温度
においても水素に対する感度はほとんどないことが判っ
た。したがって、本発明のガスセンサはCOを選択的に
検出し、発生した一酸化炭素のみに対して警報を促すこ
とができる。
【0090】また、同様にして図13に示したような一
対の電極4aおよび4bに白金を用い、一方の電極4a
の上に酸化触媒5を形成した従来タイプのガスセンサを
形成した。この構成によれば、酸化触媒5で一酸化炭素
が二酸化炭素に酸化され、一酸化炭素が酸化触媒5の形
成された白金からなる電極4aの表面まで到達すること
ができないので、一対の電極4aおよび4b間で酸素濃
度に濃淡差が生じ、電位差が発生し、この電位差を検出
することにより、一酸化炭素などの可燃性ガスの濃度を
求めることができる。
【0091】次に、一対の電極4aおよび4bが白金か
ら成る従来タイプのガスセンサと、本発明の異なる二種
類の複合酸化物21および22がら成るガスセンサにつ
いて、500ppmCO中の各温度におけるセンサ出力
特性を調べたところ、図14に示したように、明らかに
複合金属酸化物21および22を用いた本発明のガスセ
ンサの動作温度が低温化していることが判った。したが
って、本発明の一対の電極として異なる二種類の複合酸
化物21および23を備えたガスセンサによれば、消費
電力を大幅に減少させることができる。
【0092】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、基板か
らの放熱を抑制し、固体電解質を効率よく加熱するの
で、低消費電力となり、電池などの電源を用いることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスセンサの製造方法の行程図
【図2】同ガスセンサの製造方法の行程図
【図3】同ガスセンサの製造方法の行程図
【図4】同ガスセンサの製造方法の行程図
【図5】同ガスセンサの製造方法の行程図
【図6】同ガスセンサの製造方法の行程図
【図7】同ガスセンサの製造方法の行程図
【図8】同ガスセンサの分割方法を示す図
【図9】同ガスセンサの別の分割方法を示す図
【図10】同ガスセンサの検査方法を示す構成図
【図11】同ガスセンサの一酸化炭素濃度特性図
【図12】同ガスセンサの一酸化炭素選択性を示す特性
【図13】本発明の別の構成のガスセンサの断面構成図
【図14】同ガスセンサの温度特性図
【図15】従来のガスセンサの製造方法の行程図
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 ヒーター 3 固体電解質 4a、4b 一対の電極 6 傷 8、10、14、16 レジスト膜 12 クロム 13 金 18 空洞 21、22 複合酸化物 23 <1 1 0>方向 24 ブレーク溝 25、26 プローブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇野 克彦 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 丹羽 孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 鶴田 邦弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2G004 BB04 BD04 BE12 BE22 BE24 BE27 BF07 BJ03 BL19 BM04 BM07

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 n型の(1 0 0)面の単結晶のシリ
    コン基板を熱酸化させ、酸化珪素から成る酸化膜を形成
    し、イオン注入する部分の前記酸化膜をフォトリソグラ
    フィにより除去し、III族の元素をイオン注入してヒー
    ターを形成した後、酸素中で熱酸化させ、酸化珪素から
    なる絶縁膜を形成し、前記絶縁膜にヒーター電極用のコ
    ンタクトホールをフォトリソグラフィにより形成し、前
    記コンタクトホールの上にヒーター電極を形成し、異方
    性エッチングする部分の前記酸化膜をフォトリソグラフ
    ィにより除去し、前記シリコン基板を異方性エッチング
    して空洞を形成し、前記絶縁膜の上に固体電解質を形成
    し、前記固体電解質の上に一対の電極を形成するガスセ
    ンサの製造方法。
  2. 【請求項2】 シリコン基板を水蒸気を用いて熱酸化さ
    せ、酸化珪素から成る酸化膜を形成した後、硫酸と過酸
    化水素水を用い、50〜70℃で洗浄し、水洗して乾燥
    する請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
  3. 【請求項3】 パターンを形成する前に、表面に酸化珪
    素から成る酸化膜が形成されたシリコン基板の任意の箇
    所に傷をつけ、前記傷部分を異方性エッチングする請求
    項1に記載のガスセンサ。
  4. 【請求項4】 ヒーターになる部分をシリコン基板の<
    1 1 0>方向に対して45度傾くように配置する請
    求項1に記載のガスセンサの製造方法。
  5. 【請求項5】 シリコン基板の表面のイオン注入しない
    部分だけでなく、前記シリコン基板の裏面にもレジスト
    膜を形成し、裏面の酸化珪素から成る酸化膜を保護する
    請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
  6. 【請求項6】 イオン注入した後、酸素中で熱酸化させ
    る前に、1,000℃〜1,200℃の窒素中で熱処理
    する請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
  7. 【請求項7】 シリコン基板のヒーター電極用のコンタ
    クトホールを形成する以外の部分だけでなく、前記シリ
    コン基板の裏面にもレジスト膜を形成し、裏面の酸化珪
    素から成る酸化膜を保護する請求項1に記載のガスセン
    サの製造方法。
  8. 【請求項8】 クロムおよび金をそれぞれ真空中で連続
    して成膜してヒーター電極を形成する請求項1に記載の
    ガスセンサの製造方法。
  9. 【請求項9】 ヒーター電極を成膜後、300〜600
    ℃の窒素中で熱処理する請求項1に記載のガスセンサの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 シリコン基板の表面の異方性エッチン
    グしない部分だけでなく、前記シリコン基板の裏面にも
    レジスト膜を形成し、裏面の酸化珪素から成る酸化膜を
    保護する請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
  11. 【請求項11】 異方性エッチングは、エチレンジアミ
    ンと、ピロカテコールと、水の混合溶液を用い、105
    ℃〜125℃で行い、異方性エッチング終了後、すぐに
    水洗して乾燥する請求項1に記載のガスセンサの製造方
    法。
  12. 【請求項12】 異方性エッチングは、水酸化テトラメ
    チルアンモニウムの15%〜25%水溶液を用い、70
    ℃〜90℃で行い、異方性エッチング終了後、すぐに水
    洗して乾燥する請求項1に記載のガスセンサの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 固体電解質を、メタルマスクを用いて
    スパッタリングにより形成する請求項1に記載のガスセ
    ンサの製造方法。
  14. 【請求項14】 固体電解質を、10〜50%の酸素中
    でスパッタリングする請求項13に記載のガスセンサの
    製造方法。
  15. 【請求項15】 固体電解質を、500〜900℃の基
    板温度でスパッタリングする請求項13に記載のガスセ
    ンサの製造方法。
  16. 【請求項16】 固体電解質の上に白金を用いて一対の
    電極を形成した後、前記一対の電極のうち一方の電極の
    上に多孔性の酸化触媒を形成する請求項1に記載のガス
    センサの製造方法。
  17. 【請求項17】 固体電解質の上にクロムおよび金をそ
    れぞれ真空中で連続して成膜し、一対の電極を形成した
    後、前記一対の電極の上に互いに異なる複合金属酸化物
    を形成する請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
  18. 【請求項18】 一対の電極のクロム、金および二種類
    の複合金属酸化物を、メタルマスクを用いてスパッタリ
    ングにより形成する請求項17に記載のガスセンサの製
    造方法。
  19. 【請求項19】 シリコン基板を<1 1 0>方向に
    沿ってダイシングする請求項1に記載のガスセンサの製
    造方法。
  20. 【請求項20】 シリコン基板に異方性エッチングによ
    りブレーク溝を形成する請求項1に記載のガスセンサの
    製造方法。
  21. 【請求項21】 シリコン基板を分割する前に、複数の
    プローブをヒーター電極および一対の電極に接触させ、
    ガスセンサの特性を測定した後、ガスセンサを選別する
    請求項1に記載のガスセンサの製造方法。
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