JP2003222245A - ポンプの軸封装置 - Google Patents

ポンプの軸封装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い圧力が一時的に作用した場合でも、外部
への被送流体の漏洩を防止でき、被送流体側の圧力の変
動が大きい条件下での長寿命化を図る。 【解決手段】 ポンプの軸封部のシャフトスリーブ9に
ストップリング4、8を軸方向へ多段に装着し、スタフ
ィンボックス6にはストップリング4、8のリップ2
4、28が摺接するライナ7を多段に設け、ライナ7の
大気側に軸封部へ加圧流体を供給するランタンリング1
1を設け、ランタンリング11の大気側にオイルシール
13を装着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スラリーポンプや
サンドポンプ等の、微粒懸濁物や、土砂、砂、小石等の
固形物粒子を含む流体を輸送するポンプの軸封装置、特
に直列運転や被送流体の状態変化によって高い圧力が一
時的、間欠的に発生するような圧力変動の大きい条件下
で有効なポンプの軸封装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ポンプの軸封装置では、ケーシン
グ内でインペラによって昇圧された被送流体が軸の周囲
から外部に漏れるのを防止するため、軸封部にグランド
パッキン、メカニカルシール、オイルシール等のシール
部材が使用されている。高圧、高濃度スラリー輸送用の
軸封装置としては、被送流体側に弾性シール、大気側に
メカニカルシールを設け、メカニカルシール側からシー
ル用流体を加圧供給し、被送流体の侵入を防ぐものがあ
る。
【0003】また、シール部材として、ストップリング
とオイルシールとを組み合わせて使用する軸封装置も提
案されている(実公昭62−20715号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、軸封部
にグランドパッキン、メカニカルシール、オイルシール
等を使用する場合、固形物粒子を含む磨耗性の被送流体
の影響を避けるために、別系統のシール水の供給が必要
である。また、弾性シールとメカニカルシールとを設け
た軸封装置は、シール性は良いが高価であり、メカニカ
ルシールの摺動面の精度が非常に高いため、現地での交
換作業に熟練を要するという問題がある。
【0005】ストップリングとオイルシールとを組み合
わせた軸封装置は、耐圧的に0.5MPa程度が限界で
あり、特に大きな圧力を瞬間的に受けると、軸封部内に
被送流体の固形物粒子が侵入してくると共に、後段のオ
イルシールの耐圧力が低いため、場合によってはストッ
プリングが破損してしまうことがある。本発明は、ポン
プの軸封装置における上記問題を解決するものであっ
て、高い圧力が一時的に作用した場合でも、外部への被
送流体の漏洩を防止でき、被送流体側の圧力の変動が大
きい条件下でも耐久性に優れたポンプの軸封装置を提供
することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のポンプの軸封装
置は、ポンプの軸封部のシャフトスリーブにストップリ
ングを軸方向へ多段に装着し、スタフィンボックスには
ストップリングのリップが摺接するライナを多段に設
け、ライナの大気側に軸封部へ加圧流体を供給するラン
タンリングを設け、ランタンリングの大気側にオイルシ
ールを装着することにより上記課題を解決している。
【0007】ポンプは、運転時には軸が回転し、インペ
ラで被送流体を昇圧して輸送する。軸封部には外部から
ランタンリングを介して加圧流体が供給され、オイルシ
ールが加圧流体の外部への漏洩を防止する。低圧負荷時
には、多段に装着されたストップリングのうち、接液側
のストップリングのリップがライナに摺接して被送流体
のスタフィングボックス内部への侵入を防止する。大気
側のストップリングには僅かな圧力しか作用せず、リッ
プがライナに強く押し付けられず、殆ど非接触状態とな
るので、摺動熱の発生は小さく、外部からの加圧流体の
供給が円滑に行われ、長寿命化が可能となる。
【0008】高圧負荷時には、接液側のストップリング
の耐圧限界を超えると、後段の大気側のストップリング
にも圧力が伝達されてリップがライナに強く押し付けら
れ、全てのストップリングで被送流体の漏洩を防止す
る。このとき、外部からの加圧流体が被送流体の圧力に
抗するように作用するので、強い耐圧力性能を発揮す
る。高圧負荷が解除されると、大気側のストップリング
は、リップがライナに強く押し付けられなくなって元の
状態に戻り、摺動熱の発生を低下させる。加圧流体は高
圧負荷時にスタフィングボックス内に侵入した被送流体
を接液側に押し流して内部を清浄に保つ。
【0009】ばね定数の小さいストップリングを接液側
に、ばね定数の大きいストップリングを大気側に装着す
ると、上記の作用がより効果的に行われる。即ち、低圧
負荷時、接液側のばね定数の小さいストップリングはラ
イナに摺接するリップの押し代が大であり、確実なシー
ルを行うことができる。一方、大気側のばね定数の大き
いストップリングは、ライナに摺接するリップの押し代
が小さく摺動熱の発生が小さくなる。
【0010】高圧負荷時、後段の大気側のストップリン
グはばね定数が大きいので、より強い耐圧力性能を発揮
でき、高圧負荷が解除されると速やかに元の状態に戻る
ことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態を示
すポンプの軸封装置の構成を示す縦断面図、図2はスト
ップリングのリップの作用の説明図、図3は軸封部内の
圧力状況を示す図である。このポンプの軸封装置では、
インペラ1の軸14の軸封部に設けられたシャフトスリ
ーブ9の外周上に、インペラ1側からカラー3に続いて
ストップリング4、8が軸方向へ多段に装着されてお
り、スタフィンボックス6の内周上にはストップリング
4、8のリップ24、28が摺接するライナ7が多段に
設けられている。
【0012】このライナ7の大気側にはランタンリング
11が設けられ、スタフィンボックス6に穿設された加
圧供給孔10から油脂または水等の加圧流体が連続的ま
たは間欠的に供給される。ランタンリング11の大気側
にはオイルシール12が装着され、ランタンリング11
に供給される加圧流体が大気側に漏洩しないように保持
する。このランタンリング11とオイルシール12は、
スタフィンボックス6の大気側に固定されたオイルシー
ルカバー13で保持されている。
【0013】ここで、接液側のストップリング4と大気
側のストップリング8とは、共に補強のための芯金15
が設けられているが形状を異にしている。すなわち、接
液側のストップリング4としては、硬度が低くリップ2
4が肉薄でばね定数の小さいものが装着され、大気側の
ストップリング8としては、硬度が高くリップ28が肉
厚でばね定数の大きいものが装着されている。シャフト
スリーブ9の外周上の各ストップリング4、8の間に
は、シム5が設けられ、ストップリング4、8の押し代
(ライナ7へのリップ24、28の押付量)が接液側の
ストップリング4では大きく、大気側のストップリング
8では小さくなるように調整されている。
【0014】ポンプの運転時には軸14が回転し、イン
ペラ1で被送流体を昇圧して輸送する。このとき軸封部
には外部から加圧供給孔10、ランタンリング11を介
して油脂類または水等の加圧流体が供給され、ストップ
リング8、4のリップ28、24とライナ7の間から微
量ずつ接液側へ押し出され、被送流体内の固形物粒子等
がスタフィンボックス6内へ侵入するのを防ぐと共に、
侵入した固形物粒子等を被送流体側へ排出する。
【0015】通常時より被送流体が昇圧され低圧負荷が
作用する状態では、接液側のストップリング4のリップ
24が、図2(a)に破線で示すように、ライナ7に摺
接して被送流体のスタフィングボックス6内部への侵入
を防止する。接液側のストップリング4は、ばね定数が
小さく、押し代が大きいため、低圧負荷時に高い軸封性
能を発揮する。大気側のストップリング8には僅かな圧
力しか作用せず、図2(b)に破線で示すように、リッ
プ28はライナ7に強く押し付けられず、殆ど非接触状
態となるので、摺動熱の発生は小さく、外部からの加圧
流体の供給が円滑に行われ、長寿命化が可能となる。
【0016】直列運転や被送流体の状態変化によって高
い圧力が一時的、間欠的に発生するような圧力変動の大
きい条件下でポンプが使用される場合、被送流体がさら
に高くなり、高圧負荷が作用して接液側のストップリン
グ4の耐圧限界を超える状態が発生する。この状態で
は、接液側のストップリング4のみでは圧力を保持でき
なくなる。このときには、後段の大気側のストップリン
グ8にも圧力が伝達されて、図2(b)に実線で示すよ
うに、リップ28がライナ7に強く押し付けられ、全て
のストップリング4、8で被送流体の漏洩を防止するよ
うになる。大気側のストップリング8は、硬度が高くば
ね定数が大きいため、高圧負荷に耐え軸封部内の圧力を
保持して、軸封部内と被送流体との圧力差を小さくする
ことにより、接液側のストップリング4の機能を維持す
ると共に高圧力により破損するのを防止し、被送流体お
よび軸封部に供給される加圧流体が軸封部より大気側に
漏洩するのを防ぐ。従って、高圧負荷時にも高い軸封性
能が発揮される。
【0017】高圧負荷が解除されると、大気側のストッ
プリング8は、ばね定数が大きいため速やかに元の状態
に戻り、リップ28がライナ7に強く押し付けられなく
なって摺動熱の発生を低下させる。加圧流体は高圧負荷
時にスタフィングボックス6内に侵入した被送流体を接
液側に押し流して内部を清浄に保つ。上記の運転時の軸
封部内の圧力状況を図3に示す。通常時は実線Aに示す
ように、加圧供給孔10から供給される供給流体によ
り、軸封部内は被送流体とほぼ同じ圧力となる。
【0018】通常時より被送流体が昇圧された低圧負荷
時には、破線Bに示すように接液側のストップリング4
が機能して軸封部内を低い圧力に維持する。高圧付加時
は一点鎖線Cに示すように、大気側のストップリング8
が機能することにより、圧力負荷を受け被送流体が外部
へ漏洩するのを防止する。上記の通り、このポンプの軸
封装置は、直列運転や被送流体の状態変化によって高い
圧力が一時的、間欠的に発生するような圧力変動の大き
い条件下でも確実に被送流体の漏洩を防止することがで
きる。また、摺動熱の発生が小さく、外部からの加圧流
体の供給が円滑に行われ、長寿命化が可能となる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、この発明のポンプ
の軸封装置は、高い圧力が一時的に作用した場合でも、
外部への被送流体の漏洩を確実に防止できる。また、被
送流体側の圧力の変動が大きい条件下でも耐久性に優れ
長寿命化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態であるポンプの軸封装置
の構成を示す縦断面図である。
【図2】ストップリングのリップの作用の説明図であ
る。
【図3】軸封部内の圧力状況を示す図である。
【符号の説明】
1 インペラ 2 バックカバー 3 カラー 4 ストップリング 5 シム 6 スタフィングボックス 7 ライナ 8 ストップリング 9 シャフトスリーブ 10 加圧供給孔 11 ランタンリング 12 オイルシール 13 オイルシールカバー 14 軸 15 芯金 24 リップ 28 リップ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプの軸封部のシャフトスリーブにス
    トップリングを軸方向へ多段に装着し、スタフィンボッ
    クスにはストップリングのリップが摺接するライナを多
    段に設け、ライナの大気側に軸封部へ加圧流体を供給す
    るランタンリングを設け、ランタンリングの大気側にオ
    イルシールを装着したポンプの軸封装置。
  2. 【請求項2】 ばね定数の小さいストップリングを接液
    側に、ばね定数の大きいストップリングを大気側に装着
    したことを特徴とする請求項1記載のポンプの軸封装
    置。
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