JP2014025411A - 遠心ポンプの軸封装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】メンテナンス性が良く、軸封装置内部に空気だまりが形成されることを防止でき、シール性能を安定させることができ、十分なシール面圧を確保する。
【解決手段】軸封装置10は、シャフト3を囲繞するようにケーシング1の背面側に設けられたスタフィングボックス11と、スタフィングボックス11の端面に装着されて、ポンプ停止時に加わる押込圧力によってケーシング背面側に向けて変形するエラストマー製のシール部材12と、シール部材12に対向してシャフト3に取り付けられてシール部材が押込圧力によってケーシング背面側に向けて変形したときに密着するセットリング13と、スタフィングボックス11の内部の空気だまりに連通するように形成された連通路14と、連通路14に接続するようにスタフィングボックス11の上部に取り付けられたフロート弁15とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】軸封装置10は、シャフト3を囲繞するようにケーシング1の背面側に設けられたスタフィングボックス11と、スタフィングボックス11の端面に装着されて、ポンプ停止時に加わる押込圧力によってケーシング背面側に向けて変形するエラストマー製のシール部材12と、シール部材12に対向してシャフト3に取り付けられてシール部材が押込圧力によってケーシング背面側に向けて変形したときに密着するセットリング13と、スタフィングボックス11の内部の空気だまりに連通するように形成された連通路14と、連通路14に接続するようにスタフィングボックス11の上部に取り付けられたフロート弁15とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、清水、汚泥液、パルプ液、微細な粒子を含むスラリー液、サンド等といった種々の液体(被送流体)を移送する遠心ポンプに係り、特に、エキスペラの背面側に設けられる軸封装置からの液漏れを防止する構造に関する。
この種の遠心ポンプの軸封装置の従来構造を図5および図6に示す。なお、各図において、シャフト(駆動軸)の中心線から上側はポンプ停止時の状態を表し、下側は運転時の状態を表す。
図5および図6に示すように、この種の遠心ポンプは、前面が吸込み側とされたケーシング1と、このケーシング1内に設けられたインペラ(羽根車)2と、このインペラ2を回転させるシャフト3と、このシャフト3にインペラ2の背面側の位置に装着されたエキスペラ(補助羽根車)4とを備えている。インペラ2は自身の前面に複数枚の羽根5が設けられるとともに、背面に複数枚の裏羽根6が設けられている。エキスペラ4は自身の前面に平滑な面を有するとともに、背面に複数枚の羽根を有している。ここで、本明細書では、インペラ2およびエキスペラ4の各々において、ケーシング1の吸込み側を「前面」、駆動側を「背面」と呼ぶ。
図5および図6に示すように、この種の遠心ポンプは、前面が吸込み側とされたケーシング1と、このケーシング1内に設けられたインペラ(羽根車)2と、このインペラ2を回転させるシャフト3と、このシャフト3にインペラ2の背面側の位置に装着されたエキスペラ(補助羽根車)4とを備えている。インペラ2は自身の前面に複数枚の羽根5が設けられるとともに、背面に複数枚の裏羽根6が設けられている。エキスペラ4は自身の前面に平滑な面を有するとともに、背面に複数枚の羽根を有している。ここで、本明細書では、インペラ2およびエキスペラ4の各々において、ケーシング1の吸込み側を「前面」、駆動側を「背面」と呼ぶ。
ケーシング1には、エキスペラの背面側に軸封装置100が設けられている。この軸封装置100は、ケーシング1の背面側にシャフト3を囲繞するスタフィングボックス101を有する。図5に示す例では、シャフト3には、軸封装置100の対向位置にスリーブ110が取り付けられている。スタフィングボックス101の内周面には、エラストマー等を材料とする複数のシールパッキン102が配設されている。各シールパッキン102のリップ部102aは、スリーブ110の外周面と摺接するよう配置されている。シャフト3が回転すると、スリーブ110、インペラ2およびエキスペラ4が回転する。ケーシング1、スタフィングボックス101および各シールパッキン102は静止状態のままである。
ここで、この種の軸封装置は、図5に示すように、ポンプ運転中において、ケーシング1の吸込み側では吸込圧力Psが作用し、インペラ2の外周部では、インペラ2前面の羽根5が回転することによるポンプ圧力Piが作用する。また、インペラ2の背面に裏羽根6がある場合、その周囲の液体には裏羽根6の回転によって遠心力が加わる。そのため、ポンプ圧力Piに対する減圧Pbが生じる。
一方、エキスペラ4は、エキスペラ背面では自身の羽根の回転によって液体に遠心力が加わり、エキスペラ前面の圧力に対する減圧Peを生じる。エキスペラ背面の軸中心付近において、大気圧をPaとすると、ポンプ運転中のこれらの圧力の関係は、以下の(式1)で表わされる。
式(1)が成り立つとき、エキスペラ4の背面では、図5に示すように、液体と空気との境界面が形成されている。ポンプの使用条件や回転速度の変動によって吸込圧力Ps、ポンプ圧力Pi、裏羽根6による減圧Pbの大きさが変わると、その境界面は径方向に移動すると共に、エキスペラ4による減圧Peは変動し、境界面がエキスペラ4の羽根の外縁から内縁の間にある範囲で式(1)は成り立つ。
(Ps+Pi)−(Pb+Pe)=Pa………(式1)
式(1)が成り立つとき、エキスペラ4の背面では、図5に示すように、液体と空気との境界面が形成されている。ポンプの使用条件や回転速度の変動によって吸込圧力Ps、ポンプ圧力Pi、裏羽根6による減圧Pbの大きさが変わると、その境界面は径方向に移動すると共に、エキスペラ4による減圧Peは変動し、境界面がエキスペラ4の羽根の外縁から内縁の間にある範囲で式(1)は成り立つ。
(Ps+Pi)−(Pb+Pe)=Pa………(式1)
これに対し、ポンプ停止時にはインペラ2もエキスペラ4も回転しない。そのため、上記(式1)は成り立たず、Pi=0、Pb=0、Pe=0であり、ポンプの吸込み側から軸封装置にかけて吸込圧力Psが均一に加わっている。
ポンプの吸込み側の水位がポンプ中心高さよりも下にある場合、吸込み側から軸封装置にかけて液体が存在しないため、吸込圧力Ps=0となる。一方、吸込み側の水位がポンプ中心高さよりも上にある場合、その水位に相当する押込圧力Poが吸込み側から軸封装置にかけて均一に作用する。このため、本原理の軸封装置においては、この押込圧力Poによるポンプ停止時の液漏れを防止することを目的として、図5や図6に示すような構造の軸封装置が従来から用いられてきた。
ポンプの吸込み側の水位がポンプ中心高さよりも下にある場合、吸込み側から軸封装置にかけて液体が存在しないため、吸込圧力Ps=0となる。一方、吸込み側の水位がポンプ中心高さよりも上にある場合、その水位に相当する押込圧力Poが吸込み側から軸封装置にかけて均一に作用する。このため、本原理の軸封装置においては、この押込圧力Poによるポンプ停止時の液漏れを防止することを目的として、図5や図6に示すような構造の軸封装置が従来から用いられてきた。
ところで、図5に示す軸封装置100では、エラストマー等を材料とするシールパッキン102を用いているため、その先端の柔軟なリップ部102aがスリーブ110に対して必要十分な締め代で接していれば、ポンプ運転中、停止時に関わらず、液体をシールすることができる。しかし、ポンプ運転中は、リップ部102aは静止しているのに対してスリーブ110はシャフト3と共に高速で回転している。そのため、リップ部102aやスリーブ110には摩耗が進行し、やがてはシール性能が損なわれてポンプ停止時に液漏れが生じるという問題がある。
一方、図6に示す軸封装置200おいては、スタフィングボックス201の背面側の端面に、円環板状をなすエラストマー製のシール部材202を設けるとともに、このシール部材202に対向してシャフト3に円筒状のセットリング210を設けている。シール部材202は、セットリング210に対して適正に管理された対向方向隙間を有して装着されている(例えば特許文献1参照)。そのため、シール部材202は、ポンプ運転中、上記の式(1)が成り立つ状況においては上述の押込圧力Poが作用しないのでセットリング210と接触しないが、ポンプ停止時に押込圧力Poが加わるとシール部材202が背面側に向けて弾性変形し、これにより、セットリング210との対向面に密着して液漏れを防ぐようになっている。この原理に基づく軸封装置のシールは、運転中においてセットリング210とシール部材202が非接触であるため、図5の例と比較して長寿命が期待される。
しかしながら、図6に示す軸封装置200においては、(1)円環板状のシール部材202と円筒状のセットリング210との対向方向隙間を適正に管理する必要がある。また、その適正値に対する許容範囲が小さいため、メンテナンスに手間を要するという問題がある。また、(2)シール部材202がセットリング210と密着した際に、軸封装置200のスタフィングボックス201内部に空気だまりが形成されると密着状態が周方向で均一な状態とならずシール性能が安定しない場合がある。さらに、(3)ポンプ停止時の押込圧力Poが小さい場合、シール部材202が背面側に向けて十分に弾性変形せず、十分なシール面圧が確保されず、そのため、液漏れが生じるといった問題があった。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、軸封装置の内部に空気だまりが形成されることを防止でき、シール性能を安定させることができ、十分なシール面圧を確保し得る遠心ポンプの軸封装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る遠心ポンプの軸封装置は、前面が吸込み側とされたケーシングと、該ケーシング内に設けられたインペラと、該インペラを回転させるシャフトと、該シャフトに前記インペラの背面側の位置に装着されたエキスペラとを備える遠心ポンプにおいて、前記エキスペラの背面側に設けられる軸封装置であって、当該軸封装置は、前記シャフトを囲繞するように前記ケーシング背面側に設けられたスタフィングボックスと、該スタフィングボックスの背面側端面に装着されて、ポンプ停止時に加わる押込圧力によって背面側に向けて弾性変形するエラストマー製のシール部材と、該シール部材に対し前記シャフト軸方向で対向方向に隙間を隔てて前記シャフトに取り付けられて前記シール部材が前記押込圧力によって背面側に向けて弾性変形したときに密着するセットリングと、前記スタフィングボックス内部の空気だまりに連通するように形成された連通路と、該連通路に接続するように前記スタフィングボックスの上部に取り付けられたフロート弁とを有することを特徴とする。
本発明に係る遠心ポンプの軸封装置によれば、スタフィングボックス内部に形成される空気だまりを、連通路を介してフロート弁から排除することができる。そのため、軸封装置内部に空気だまりが形成されることを防止できる。そのため、セットリングとシール部材とが円周に亘って均一に密着するので、シール性能を安定化させ、十分なシール面圧を確保することができる。
ここで、本発明に係る遠心ポンプの軸封装置において、前記シール部材が、前記シャフトの軸方向に蛇腹状に形成されていれば、シャフトの軸方向に大きな変形量を確保することができる。そのため、シール部材とセットリングとの対向方向隙間の適正値に対する許容範囲を大きくすることができる。したがって、メンテナンスの手間を簡素化する上で好ましい。
また、前記シール部材は、前記蛇腹状の形状が、当該蛇腹状部分の内面側にも更に形成された二重構造となっていれば、シール性能をより向上させつつ、スラリー液に含まれる粒子や固形物がエラストマー製のシール部材に堆積するのを防ぐ上でより好ましい。ここで、二重構造の蛇腹内部に空気が閉じ込められたままだとシール部材の伸縮が阻害されるため、二重構造の蛇腹の外面側に空気の逃がし穴を設ければ、シール部材が伸縮性を確保する上で一層好適である。
また、本発明に係る遠心ポンプの軸封装置において、前記シール部材および前記セットリングは、相互の対向面の少なくとも一方の面に、円周に沿って設けられた複数の凸条部からなる円環状のシール面を有することは好ましい。このような構成であれば、シール面の凸条部により接触面積を小さくして単位面積当たりの面圧を高められるので、低い押込み圧に対してもシール部材とセットリングとの間に十分なシール面圧を確保する上で好適である。さらに、シール面の複数の凸条部同士の間には凹部が設けられることになるが、この凹部によりシール部材とセットリングが密着した際に、それらの接触面に液体や空気が残らないように逃がす効果が得られるので安定したシール性能に貢献する。
上述のように、本発明によれば、軸封装置の内部に空気だまりが形成されることを防止でき、シール性能を安定させることができ、十分なシール面圧を確保することができる。
以下、本発明の一態様に係る軸封装置を備える遠心ポンプの一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。なお、上述した遠心ポンプと同様の構成については同一の符号を付して説明する。なお、微細な粒子を含むスラリー液やサンドを被送流体として移送する遠心ポンプでは、流体中の固形物が軸封装置内に浸入し、シールパッキンを早期に摩耗させたり、または発熱を生じさせたりすることを防止する必要があるため、微細な粒子を含む被送流体を移送する遠心ポンプでは、ポンプ運転中は常時、軸封装置内に外部から注水しているものがある。しかし、外部からの注水が揚液中に混じることが許されない薬液等の製造ラインも多い。また、連続運転操業をしているような現場では、外部注水の使用量が運転コストを高める要因ともなる。そこで、本実施形態は、外部からの注水を行わない、いわゆる無注水エラストマーパッキンシールを備える軸封装置に好適な遠心ポンプの軸封装置に本発明を適用した例について説明する。
図1に示すように、この遠心ポンプは、前面が吸込み側とされたケーシング1と、このケーシング1内に設けられたインペラ2と、このインペラ2を回転させるシャフト3と、このシャフト3にインペラ2の背面側の位置に装着されたエキスペラ4とを備えている。インペラ2は自身の前面に複数枚の羽根5が設けられるとともに背面に複数枚の裏羽根6が設けられている。エキスペラ4は自身の前面に平滑な面を有するとともに、背面に複数枚の羽根を有している。
ケーシング1には、エキスペラの背面側に軸封装置10が設けられている。この軸封装置10は、ケーシング1の背面側にシャフト3を囲繞するように形成されたスタフィングボックス11を有する。スタフィングボックス11の背面側の端面には、エラストマー等を材料とする円環板状のシール部材12が配設されている。シール部材12の内周端は、シャフト3の外周面に対して隙間を隔てて対向している。また、シャフト4には、シール部材12に対向する位置に円筒状のセットリング13が装着されている。シール部材12は、上述の押込圧力が作用していない状態において、自身のシール面12Sとセットリング13の前面側端面とが軸方向に所定の隙間を空けた状態で装着される。一方、上述の押込圧力が作用した状態においては、自身のシール面12Sとセットリング13の前面側端面とが密着するように、背面側に向けて弾性変形するようになっている。
さらに、この遠心ポンプは、スタフィングボックス11の上部の周壁面に、自身内部に形成される空気だまりに連通する連通路14が形成されている。また、スタフィングボックス11の上部には、連通路14に接続するようにフロート弁15が取り付けられている。
この遠心ポンプは、シャフト3が回転すると、インペラ2、エキスペラ4およびセットリング12が回転する。このとき、ケーシング1、スタフィングボックス11およびシール部材12はポンプ運転時、停止時に関わらず静止状態のままである。インペラ3を回転させることにより被送流体を昇圧し移送可能になっている。また、エキスペラ4は、シャフト3の回転によって回転し、インペラ2の背面側圧力を低減して被送流体が軸封装置10を通って外部へ漏れるのを防止するようになっている。
この遠心ポンプは、シャフト3が回転すると、インペラ2、エキスペラ4およびセットリング12が回転する。このとき、ケーシング1、スタフィングボックス11およびシール部材12はポンプ運転時、停止時に関わらず静止状態のままである。インペラ3を回転させることにより被送流体を昇圧し移送可能になっている。また、エキスペラ4は、シャフト3の回転によって回転し、インペラ2の背面側圧力を低減して被送流体が軸封装置10を通って外部へ漏れるのを防止するようになっている。
次に、この遠心ポンプの軸封装置の作用・効果について説明する。
この遠心ポンプは、ポンプの運転時には、シャフト3が回転し、インペラ2で被送流体を昇圧し移送する。このとき軸封部である軸封装置10では、軸封装置10の前面側のエキスペラ4の回転により、その作用で背面圧力が低減されるので、被送流体が軸封装置10を通って外部へ漏れることは防止されている。また、ポンプの運転時には、エキスペラ4の作用で背面圧力が低減され、シール部材12が背面側に弾性変形していない元の状態に復帰しており、シール面12Sがセットリング13の前面側端面と離間状態にあるので、シール部材12の摩耗も防止されている。
この遠心ポンプは、ポンプの運転時には、シャフト3が回転し、インペラ2で被送流体を昇圧し移送する。このとき軸封部である軸封装置10では、軸封装置10の前面側のエキスペラ4の回転により、その作用で背面圧力が低減されるので、被送流体が軸封装置10を通って外部へ漏れることは防止されている。また、ポンプの運転時には、エキスペラ4の作用で背面圧力が低減され、シール部材12が背面側に弾性変形していない元の状態に復帰しており、シール面12Sがセットリング13の前面側端面と離間状態にあるので、シール部材12の摩耗も防止されている。
一方、シャフト3の回転が停止すると、エキスペラ4による漏れ防止作用はなくなるが、シール部材12は、上述の押込圧力により背面側(図上右方向)への弾性変形を生じ、セットリング13の前面側端面と自動的に密着するので、被送流体が軸封装置10を通って外部へ漏れることはない。また、このときはポンプが停止しているので、シール部材12の摩耗も生じない。
そして、この遠心ポンプは、軸封装置10が、スタフィングボックス11の内部に形成される空気だまりに連通する連通路14と、この連通路14に接続するようにスタフィングボックス11の上部に取り付けられたフロート弁と15を有するので、スタフィングボックス11内部に形成される空気だまりを、連通路14を介してフロート弁15から排除することができる。
つまり、このフロート弁15を用いた機構によれば、シール部材12がセットリング13に接触した際に、スタフィングボックス11内部に形成される空気だまりを外部へ速やかに排気し、均一なシール面圧を確保する効果がある。そのため、セットリング13とシール部材12とを円周に亘って均一に密着させることができるので、シール性能を安定化させることができ、十分なシール面圧が確保される。また、空気と触れると固化を起こすような液質の場合、空気だまりを排気することでシール面12Sの固着を防止し、シール寿命の長期化にも寄与する。
なお、本発明に係る遠心ポンプの軸封装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば上記実施形態では、シール部材12が、円環板状に形成された例で説明したが、これに限定されず、シール部材12の形態を種々変形可能である。
例えば、図2に第一変形例を示すように、シール部材12を、シャフト3の軸方向に蛇腹状に形成してもよい。同図では、二段の蛇腹部12jを形成した例である。シール部材を蛇腹状にすることで、シール部材12を円環板状とした場合には押込圧力による背面側への弾性変形量が小さかったのに対し、シール部材12が蛇腹状であれば、シール部材12の軸方向の変位量を大きくすることができる。そのため、シール部材12とセットリング13との隙間の適正値に対する許容範囲を広げることができ、メンテナンスの簡易化が図れると共に、シール部材12とセットリング13との密着性も高まるためシール性能の一層の安定化につながる。
例えば上記実施形態では、シール部材12が、円環板状に形成された例で説明したが、これに限定されず、シール部材12の形態を種々変形可能である。
例えば、図2に第一変形例を示すように、シール部材12を、シャフト3の軸方向に蛇腹状に形成してもよい。同図では、二段の蛇腹部12jを形成した例である。シール部材を蛇腹状にすることで、シール部材12を円環板状とした場合には押込圧力による背面側への弾性変形量が小さかったのに対し、シール部材12が蛇腹状であれば、シール部材12の軸方向の変位量を大きくすることができる。そのため、シール部材12とセットリング13との隙間の適正値に対する許容範囲を広げることができ、メンテナンスの簡易化が図れると共に、シール部材12とセットリング13との密着性も高まるためシール性能の一層の安定化につながる。
また、液体がスラリー液(固形粒子を含んで泥状になった液体)であり、蛇腹の内面に堆積した粒子や固形物がエラストマー製のシール部材の伸縮を阻害する恐れがあるような場合、例えば、図3に示す第二変形例のように、蛇腹状の形状が、当該蛇腹状部分の内面側にも更に形成された二重構造にするとよい。同図では、上記二段の蛇腹部12jそれぞれの内面側に、更に二段目の蛇腹部12mを設け、二段目の蛇腹部12mにより内面側を覆っている。このような構成とすれば、特に、スラリー液に含まれる粒子や固形物がエラストマー製のシール部材に堆積するのを防ぐ上で好ましい。
ここで、二段の蛇腹部12j、12mを設けることで、蛇腹内部に空気が閉じ込められたままだとシール部材12の伸縮が阻害されるため、同図に示すように、蛇腹の外面に空気の逃がし穴12hを設ければ、シール部材12の伸縮性を確保する上で一層好適である。
ここで、二段の蛇腹部12j、12mを設けることで、蛇腹内部に空気が閉じ込められたままだとシール部材12の伸縮が阻害されるため、同図に示すように、蛇腹の外面に空気の逃がし穴12hを設ければ、シール部材12の伸縮性を確保する上で一層好適である。
また、図4に第三変形例を示すように、低い押込み圧に対してもシール部材12とセットリング13との間に十分なシール面圧を確保することを目的として、シール部材12およびセットリング13が、相互の対向面の少なくとも一方の面に、円周に沿って設けられた複数の凸条部からなる円環状シール面を有することは好ましい。同図では、シール部材12のシール面に対し複数の凸条部12S(この例では凸条部12Sを二条)を円環状に設けている。
このような構成であれば、凸条部12Sをシール面とすることにより接触面積を小さくして単位面積当たりの面圧を高められる。そのため、低い押込み圧に対してもシール部材12とセットリング13との間に十分なシール面圧を確保する上で好適である。さらに、シール面となる複数の凸条部シール面12S同士の間には円環状の凹部12dが設けられることになるが、この凹部12dによりシール部材12とセットリング13が密着した際に、それらの接触面に液体や空気が残らないように逃がす効果が得られるので安定したシール性能に貢献する。
1 ケーシング
2 インペラ
3 シャフト
4 エキスペラ
5 (インペラ前面の)羽根
6 (インペラの)裏羽根
10 軸封装置
11 スタフィングボックス
12 シール部材
13 セットリング
14 連通路
15 フロート弁
2 インペラ
3 シャフト
4 エキスペラ
5 (インペラ前面の)羽根
6 (インペラの)裏羽根
10 軸封装置
11 スタフィングボックス
12 シール部材
13 セットリング
14 連通路
15 フロート弁
Claims (4)
- 前面が吸込み側とされたケーシングと、該ケーシング内に設けられたインペラと、該インペラを回転させるシャフトと、該シャフトに前記インペラの背面側の位置に装着されたエキスペラとを備える遠心ポンプにおいて、前記エキスペラの背面側に設けられる軸封装置であって、
当該軸封装置は、前記シャフトを囲繞するように前記ケーシング背面側に設けられたスタフィングボックスと、該スタフィングボックスの背面側端面に装着されて、ポンプ停止時に加わる押込圧力によってケーシング背面側に向けて弾性変形するエラストマー製のシール部材と、該シール部材に対し前記シャフト軸方向で対向方向に隙間を隔てて前記シャフトに取り付けられて前記シール部材が前記押込圧力によって背面側に向けて変形したときに密着するセットリングと、前記スタフィングボックス内部の空気だまりに連通するように形成された連通路と、該連通路に接続するように前記スタフィングボックスの上部に取り付けられたフロート弁とを有することを特徴とする遠心ポンプの軸封装置。 - 前記シール部材は、前記シャフトの軸方向に蛇腹状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の遠心ポンプの軸封装置。
- 前記シール部材は、前記蛇腹状の形状が、当該蛇腹状部分の内面側にも更に形成された二重構造となっていることを特徴とする請求項2に記載の遠心ポンプの軸封装置。
- 前記シール部材および前記セットリングは、相互の対向面の少なくとも一方の面に、円周に沿って設けられた複数の凸条部からなる円環状シール面を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の遠心ポンプの軸封装置。
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