JP2003221823A - オイルフェンス - Google Patents

オイルフェンス

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JP2003221823A JP2002369642A JP2002369642A JP2003221823A JP 2003221823 A JP2003221823 A JP 2003221823A JP 2002369642 A JP2002369642 A JP 2002369642A JP 2002369642 A JP2002369642 A JP 2002369642A JP 2003221823 A JP2003221823 A JP 2003221823A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 波や潮流の激しい動きに対しても確実に流出
油の拡散を防止する障壁としての機能を果たすことがで
きるオイルフェンスを提供する。 【解決手段】 多数のフロートユニットが連結されたオ
イルフェンスにおいて、フロートユニットが海面に対し
て直立すべきオイル遮蔽面と、浮力をもつフロート部
と、フロート部の下に位置する錘部とを設けた筐体を有
し、オイル遮蔽面の上下方向長さのほぼ中間位置が喫水
線となるべくフロート部と錘部が調整され、かつ、連結
部が、隣接するフロートユニット同士の相対的位置を変
動可能とするフレキシブル連結部である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海面流出油の拡散
を防止するオイルフェンスに関する。
【0002】
【従来の技術】海上において油流出事故が発生した際
に、油の拡散を防止するために、流出した油を囲周すべ
くオイルフェンスを張り巡らせる手法が採られる。従来
のオイルフェンスは、特許文献1〜5に開示されるよう
に、いずれも円筒形のフロートを多数連結してなる構造
である。これらの従来技術では、円筒形のフロートの各
々からシート体や袋体等及び錘体を海中に垂下させるこ
とにより、海中に巻き込まれた油がフロートの下側を通
り抜けることを防止する。
【0003】
【特許文献1】特開平11−100833号公報
【特許文献2】特開平11−043925号公報
【特許文献3】特開平10−292357号公報
【特許文献4】特開平10−018273号公報
【特許文献5】特開平09−151445号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技
術における円筒形のフロートは、波や潮流の動きに完全
に追随して動くことが困難であるため、海面とフロート
の間にしばしば間隙が生じたり、フロートの上を波が乗
り越えたりして、油が外部へ漏れ出すことがある。ま
た、海面下に垂下させたシート体は、錘によって鉛直方
向に引っ張られているとはいえ、フレキシブルな素材で
あるので波や潮流の激しい動きによって変形したりめく
れ上がったりして、海中からの油漏れが起きる。
【0005】上記の現状に鑑み、本発明は、波や潮流の
瞬間的な激しい動きに対しても確実に流出油の拡散を防
止する障壁としての機能を果たすことができるオイルフ
ェンスを提供することを目的とする。さらに、本発明
は、コンパクトに格納でき、かつ迅速に張り巡らせるこ
とができるオイルフェンスを提供することを目的とす
る。またさらに、本発明は、張り巡らした後に必要に応
じて移動可能なオイルフェンスを提供することを目的と
する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべ
く、本発明は以下の構成を提供する。 (1)請求項1に係るオイルフェンスは、多数のフロー
トユニットの各々が隣接するフロートユニットと連結部
により連結されたオイルフェンスにおいて、前記フロー
トユニットが、海面に対して直立すべきオイル遮蔽面
と、浮力をもつフロート部と、該フロート部の下に位置
する錘部とを設けた筐体を有し、該オイル遮蔽面の調整
されており、かつ、前記連結部が、隣接する前記フロー
トユニット同士の相対的位置を変動可能とするフレキシ
ブル連結部であることを特徴とする。
【0007】(2)請求項2に係るオイルフェンスは、
請求項1において、前記連結部が上下方向に設けた1又
は複数の襞を具備することを特徴とする。
【0008】(3)請求項3に係るオイルフェンスは、
請求項1において、前記連結部が、レール部材を具備す
ることを特徴とする。
【0009】(4)請求項4に係るオイルフェンスは、
請求項3において、前記レール部材による前記フロート
ユニット同士の上下方向の相対的位置の変動を復帰させ
る位置安定部材を有することを特徴とする。
【0010】(5)請求項5に係るオイルフェンスは、
請求項1〜4のいずれかにおいて、前記多数のフロート
ユニットのうち選択された1又は複数のフロートユニッ
トに対し、該フロートユニットから吊り下げられる下垂
錘と、該下垂錘の吊り下げ長さを調整する調整部と、該
調整部を遠隔操作する手段とを設けることを特徴とす
る。
【0011】(6)請求項6に係るオイルフェンスは、
請求項1〜5のいずれかにおいて、前記多数のフロート
ユニットのうち選択された1又は複数のフロートユニッ
トに対し、該フロートユニットと海面との相対的位置を
検知するセンサと、該センサの検知信号に応じて該フロ
ートユニットを下方向へ移動させるべく作動するスクリ
ューとを設けることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の
実施の形態を説明する。図1は、本発明によるオイルフ
ェンス10の一実施例を概略的に示した外観斜視図であ
る。海面上に展開し張り巡らした状態を示しており、2
点破線Hは、オイルフェンス10の喫水線を示す。本発
明によるオイルフェンスは、多数のフロートユニット1
2の各々が隣接するフロートユニット12と連結部13
により連結されている。
【0013】特徴の1つは、個々のフロートユニット1
2の本体が、海面に対して直立すべきオイル遮蔽面(図
1において正面を向いている面)と、浮力をもつフロー
ト部12aと、該フロート部12aの下に位置する錘部
12bとを設けた筐体から構成されている点である。好
適例では、図示の通り、平たい箱形の筐体である。1個
のフロートユニット12の上下方向長さは、例えば数十
cm〜2m程度、幅は、例えば1〜10m程度が適当であ
るが、この範囲に限定されない。そして、オイル遮蔽面
の上下方向長さのほぼ中間位置が喫水線Hとなるべくフ
ロート部12aと錘部12bが調整される。すなわち、
フロート部12aによる浮力と錘部12bの重さのバラ
ンスを適宜調整する。よって、フロートユニット12
は、正常な状態で上半分が海面上に、下半分が海面下に
あることになる。これにより、海面に対して直立するオ
イル遮蔽面が、海面の上側と下側に亘って延在する壁面
の如く、海面下からのオイルのくぐり抜けを防止すると
共に、フロートユニット12上をオイルが乗り越えるこ
とも防止する。フロートユニット12は、波や潮流によ
る海面の上下動に対して良好に追随することができる。
仮に、悪条件下において、多少その追随に遅れが生じた
場合であっても、広い面積をもつオイル遮蔽面の効果に
より、オイルの漏れ出しのおそれがない。この点で、従
来の円筒形フロートに比べて遥かに優れている。
【0014】フロート部12aの浮力と、錘部12bの
重さを適宜設定することにより喫水線Hの位置を調整す
ることができる。
【0015】本発明のオイルフェンスの更なる特徴は、
連結部13が、隣接するフロートユニット12同士の相
対的位置を変動可能とするフレキシブル連結部であるこ
とである。図示の例では、連結部13が上下方向に設け
た1又は複数の襞を具備する。連結部13は、フロート
ユニット12の上下方向長さ全体に亘って設けられる。
連結部13の部分もまたオイルを遮蔽する壁面として役
割を果たす必要があるからである。
【0016】図2(A)は図1のX−X断面、そして図
2(B)は図1のY−Y断面の概略図である。図2
(A)のX−X断面は、フロートユニット12のフロー
ト部12aにおける隣接ユニット間の連結部13の近傍
を示している。フロート部12aは、図示の例のように
中空とすることにより浮力を付与してもよく、別の例で
は合成樹脂発泡体等により形成して浮力を付与してもよ
い。連結部13は、1又は複数の襞を具備する蛇腹状で
あり、屈曲自在である。この連結部13により、隣接す
るフロートユニット12同士が、矢印R1、R2のよう
にユニット12の上下方向を軸として相対的に回転する
ことができ、また、矢印M1、M2のように前後方向に
も相対的に移動することができる。さらに、図1を参照
して説明すると、連結部13の襞の上側が開き下側が閉
じる(又はその逆)ような扇子の如き動きも可能であ
る。図2(B)のY−Y断面は、フロートユニット12
の錘部12bにおける隣接ユニット間の連結部13の近
傍を示している。錘部12bは、図示の例のように、中
空筐体の底部に比重の重い材料を充填してもよく、別の
例では、別々に形成したフロート部12aと錘部12b
とを接合してもよい。錘部12bの材料としては、金属
がある。
【0017】本発明のフロートユニット及び連結部に用
いる材料は、海洋での使用を考慮した耐久性と、屈曲、
引っ張り、圧縮、ねじれ等の機械的負荷に対する強度を
もつものであればよく、錘部を除いて軽量であることが
好適である。例えば、合成樹脂、金属等を利用できる。
【0018】再び図1を参照すると、本発明の一実施例
では、多数のフロートユニット12のうち選択された1
又は複数のフロートユニット12に対し、フロートユニ
ット12から吊り下げられる下垂錘16と、この下垂錘
16の吊り下げ長さを調整する調整部17と、調整部1
7を遠隔操作する手段18とを設けることが好適であ
る。吊り下げ長さを調整する調整部17は、例えば、下
垂錘16に取り付けたロープの繰り出し及び巻き取り機
構である。また、調整部17を遠隔操作する手段18
は、例えば、調整部17によるロープの繰り出し及び巻
き取りを起動させたり停止させたりする制御信号を受信
するアンテナである。遠隔操作は、船上や地上に設置さ
れた制御装置から制御信号を送信して行う。下垂錘16
の制御は、下垂錘16を繰り出してオイルフェンスを一
定の場所に固定したり、必要に応じて下垂錘16を巻き
上げて別の場所に移動したりするために行われる。
【0019】さらに、本発明の一実施例では、多数のフ
ロートユニット12のうち選択された1又は複数のフロ
ートユニット12に対し、フロートユニット12と海面
との相対的位置を検知するセンサ22と、このセンサ2
2の発生する検知信号に応じてフロートユニット12を
下方向へ移動させるべく作動するスクリュー20とを設
けることが好適である。例えば、センサ22を最初に設
定した喫水線Hの位置(又は喫水線Hのやや下)に取り
付けておくと、フロートユニット12が正常位置より浮
き上がったときセンサ22は完全に海面より上に露出さ
れたことを検知して異常信号をスクリュー20の駆動装
置へ送信する。スクリュー20の駆動装置はこの異常信
号に応答してスクリューを作動させる。これにより、異
常に浮き上がったフロートユニット12は、正常位置と
なるまで強制的に沈められる。
【0020】図3は、本発明のオイルフェンス10の連
結部13についての別の実施例を示す図である。図3
(A)は、オイルフェンス10の正面図を表す。フロー
トユニット12は、図1に示した実施例と同様である
が、連結部13の構造が異なる。図3(B)は、図3
(A)のオイルフェンスの上面図である。連結部13は
レール部材を具備し、具体的には、フロートユニット1
2の一方の側面に沿って設けたレール受容体13aと、
他方の側面に設けたレール受容体13aとが、隣接フロ
ートユニット間で嵌合することにより形成される。斯か
る連結部13により、隣接するフロートユニット12同
士が、矢印R1、R2のようにユニット12の上下方向
を軸として相対的に回転することができる。
【0021】また、斯かる連結部13により、図3
(A)の矢印M3、M4に示すように、上下方向に相対
的に移動することもできる。但し、矢印M3、M4に示
す上下方向の移動が過度に生じることを防止するため
に、隣接するフロートユニット12の側面同士を弾性材
から形成される位置安定部材15により接続している。
位置安定部材15は、フロートユニット12同士の上下
方向の相対的位置の変動を復帰させるべく機能する。図
3(C)は、図3(A)のZ−Z断面の概略図であり、
位置安定部材15の取り付け例を示している。図示の例
では、フロートユニット12の側面中央付近に空室14
を穿設し、弾性材からなる位置安定部材15の両端が各
空室14の壁面へ固定されている。図示の例のように空
室14を設けて位置安定部材15を比較的長くすること
で、隣接するフロートユニット12同士の上下方向の相
対的位置変動を許容度が大きくなる。位置安定部材15
を形成する弾性材としては、コイルバネ、ゴム等があ
る。
【0022】図4は、本発明のオイルフェンス10の変
形例を示す。図4(A)は、正面図であり、図4(B)
は上面図である。フロートユニット12は、図1の場合
と同様にオイル遮蔽面、フロート部12a及び錘部12
bを具備するが、図1の場合より比較的厚みの薄い筐体
を有している。薄い筐体の場合は、連結部13において
図1のような上下方向の襞を設けずに単一の膜材で連結
してもよい。例えば、製造方法として、いくつかの連続
するフロートユニット12を一体成形する場合、各フロ
ートユニット12の形状の間にくびれ部分を形成し、こ
れを連結部13としてもよい。図4(B)に示すように
連結部13を軸として、矢印R1、R2のように隣接す
るフロートユニット12同士が相対的に回転することが
できる。
【0023】図5は、本発明のオイルフェンス10の格
納方法の例を示す図である。図5(A)は、例えば図1
に示したオイルフェンス10を交互に折り畳んだ状態を
示す上面図である。図5(B)、例えば図3に示したオ
イルフェンス10を渦巻き状に巻いた状態を示す上面図
である。本発明によるオイルフェンス10は、このよう
にコンパクトに積み重ねて格納することができ、かつ、
海上に展開する場合には即座に放出することができる。
【0024】
【発明の効果】本発明のオイルフェンスは、多数のフロ
ートユニットの各々が隣接するフロートユニットと連結
部により連結されており、個々のフロートユニットが、
海面に対して直立すべきオイル遮蔽面と、浮力をもつフ
ロート部と、該フロート部の下に位置する錘部とを設け
た筐体を有する。そして、フロート部と錘部は、オイル
遮蔽面の上下方向長さのほぼ中間位置が喫水線となるべ
く設定されている。さらに、連結部は、隣接するフロー
トユニット同士の相対位置を変動可能とするフレキシブ
ル連結部である。
【0025】このように構成したことにより、波や潮流
の瞬間的な激しい動きに対してもフロートユニットが追
随し、オイル遮蔽面が確実に流出油の拡散を防止する障
壁としての機能を果たすことができる。さらに、コンパ
クトに格納でき、かつ速やかに投下して張り巡らせるこ
とができる。また、フロートユニットが異常に浮き上が
ったことをセンサが検知し、スクリューにより強制的に
沈めて正常位置に戻すことによっても、オイルの漏れ出
しを防ぐ。
【0026】またさらに、海上に投下して張り巡らした
後に、遠隔操作にて下垂錘を繰り出してオイルフェンス
を固定したり、必要に応じて下垂錘を巻き上げてオイル
フェンスを移動させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるオイルフェンス10の一実施例を
概略的に示した外観斜視図である。
【図2】(A)は図1のX−X断面、(B)は図1のY
−Y断面の概略図である。
【図3】本発明のオイルフェンスの連結部についての別
の実施例を示す図である。(A)は、オイルフェンスの
正面図を表す。(B)は、(A)のオイルフェンスの上
面図である。(C)は、(A)のZ−Z断面の概略図で
【図4】本発明のオイルフェンスの変形例を示す。
(A)は、正面図であり、(B)は上面図である。
【図5】(A)及び(B)はそれぞれ、本発明のオイル
フェンスの格納方法の例を示す図である。
【符号の説明】
10 オイルフェンス 12 フロートユニット 12a フロート部 12b 錘部 13 フレキシブル連結部 13a レール受容体 13b レール体 14 空室 15 位置安定部材 16 下垂錘 17 吊り下げ長さ調整部 18 アンテナ 20 スクリュー 22 海面センサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数のフロートユニットの各々が隣接す
    るフロートユニットと連結部により連結されたオイルフ
    ェンスにおいて、 前記フロートユニットが、海面に対して直立すべきオイ
    ル遮蔽面と、浮力をもつフロート部と、該フロート部の
    下に位置する錘部とを設けた筐体を有し、該オイル遮蔽
    面の上下方向長さのほぼ中間位置が喫水線となるべく前
    記フロート部と前記錘部が調整されており、かつ、 前記連結部が、隣接する前記フロートユニット同士の相
    対的位置を変動可能とするフレキシブル連結部であるこ
    とを特徴とするオイルフェンス。
  2. 【請求項2】 前記連結部が上下方向に設けた1又は複
    数の襞を具備することを特徴とする請求項1記載のオイ
    ルフェンス。
  3. 【請求項3】 前記連結部が、レール部材を具備するこ
    とを特徴とする請求項1記載のオイルフェンス。
  4. 【請求項4】 前記レール部材による前記フロートユニ
    ット同士の上下方向の相対的位置の変動を復帰させる位
    置安定部材を有することを特徴とする請求項3に記載の
    オイルフェンス。
  5. 【請求項5】 前記多数のフロートユニットのうち選択
    された1又は複数のフロートユニットに対し、該フロー
    トユニットから吊り下げられる下垂錘と、該下垂錘の吊
    り下げ長さを調整する調整部と、該調整部を遠隔操作す
    る手段とを設けることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか記載のオイルフェンス。
  6. 【請求項6】 前記多数のフロートユニットのうち選択
    された1又は複数のフロートユニットに対し、該フロー
    トユニットと海面との相対的位置を検知するセンサと、
    該センサの検知信号に応じて該フロートユニットを下方
    向へ移動させるべく作動するスクリューとを設けること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のオイルフェ
    ンス。
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