JP2003221680A - 加工性および耐食性に優れた表面処理鋼板 - Google Patents

加工性および耐食性に優れた表面処理鋼板

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JP2003221680A
JP2003221680A JP2002024539A JP2002024539A JP2003221680A JP 2003221680 A JP2003221680 A JP 2003221680A JP 2002024539 A JP2002024539 A JP 2002024539A JP 2002024539 A JP2002024539 A JP 2002024539A JP 2003221680 A JP2003221680 A JP 2003221680A
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chromium
mass
steel sheet
meth
corrosion resistance
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JP2002024539A
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Takafumi Yamaji
隆文 山地
Akira Matsuzaki
晃 松崎
Keiji Yoshida
啓二 吉田
Masaaki Yamashita
正明 山下
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JFE Engineering Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた耐食性、耐黒変性、耐結露性、耐クロム
溶出性、粘着テープ密着性、ロールフォーミング性を得
る。 【解決手段】Al−Zn系合金めっき鋼板の表面に、
(A)特定の共重合樹脂と、(B)クロム化合物と、
(C)リン酸を主成分とする皮膜を形成し、(A)は、
スチレンの割合が30〜60質量%、(メタ)アクリル
酸の割合が0.5〜5質量%、炭素数3〜6のアルキル
鎖を持つ(メタ)アクリル酸エステルの割合が20〜6
0質量%、(B)は6価クロムの比率〔Cr6+/(C
3++Cr )〕が金属クロム換算で0.3〜0.
9の範囲で、前記(A)の固形分質量と前記(B)の金
属クロム換算の質量比率が10〜200の範囲で、皮膜
中に1〜100mg/m2 のCrが含まれ、(C)に含
まれるPO4 と(B)に含まれる金属クロム換算のクロ
ムに対する質量比PO4 /Crが0.1〜3の範囲であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、建材や家電などの
用途に主として無塗装で用いられるAl−Zn系合金メ
ッキ鋼板に優れた加工性および耐食性を付与させた表面
処理鋼板に関する。 【0002】 【従来の技術】55%Al−Zn系合金メッキ鋼板は、
建家の屋根材や外壁材などの建材製品、ガードレール、
防音壁、排水溝などの土木製品、家電製品、産業機器な
どに使用されている。これらの用途では、無塗装で用い
られるため、メッキ鋼板の表面が変色することなく綺麗
な表面外観が長期間維持されることが必要である。ま
た、建材用途の場合には、メッキ鋼板がロールフォーミ
ングにより成形させるため、ロールフォーミング性(メ
ッキかロールにビルドアップしない)が要求される。ま
た、ロールフォーミング後の外観も重要であり、皮膜損
傷が無く、腐食性に優れていることが好ましい。また、
家電用途の場合には、粘着テープによりメッキ鋼板表面
と部品とを接着する方法が汎用的であり、メッキ鋼板表
面から粘着テープが容易に剥離しないような粘着テープ
密着性が必要とされる。 【0003】前記問題を改善する従来技術としては、特
許2048167号、特許2097278号、特許25
54401号に記載されている方法がある。 【0004】特許2048167号は、アクリル樹脂エ
マルジョン100質量部に対して、0.1〜2質量部の
6価クロムと、0.5〜5質量部のワックス固形分と、
5〜50質量部の親水性溶剤とを配合し、pHを6〜8
に調整してなる被覆組成物を用いて塗膜を形成したこと
を特徴とする被覆表面処理金属板に関する技術である。
アクリル樹脂エマルジョンは、α、β−エチレン性不飽
和モノマーにラジカル重合可能なアニオン性および/ま
たはノニオン性の反応性乳化剤を樹脂固形分あたり0.
5〜5質量%配合し、乳化重合することにより得られ、
0〜9の酸価を有する。この技術により得られた皮膜
は、加工性は良好であるが、クロムの溶出が多いため長
期の耐食性に問題がある。 【0005】特許2097278号は、ロールフォーミ
ング性および耐食性向上を目的として、特定の水溶性ま
たは水分散性樹脂に6価クロムを特定の割合で配合し、
かつ、pHを3〜10に調整した処理液をAl−Zn系
合金メッキ鋼板表面に塗布する処理方法に関する技術で
ある。この技術により得られた皮膜のクロムは6価クロ
ムであり、かつ、処理液のpHが3以上であるため、樹
脂皮膜と6価クロムとの反応性が十分に進行していない
か、若しくは反応速度が非常に遅いために樹脂皮膜から
クロムが溶出しやすく、例えば、結露などが生じた場合
にはクロムが著しく溶出して外観ムラを生じやすい。こ
の外観ムラの発生を軽減するには、クロム付着量を少な
くしてクロムの溶出量を低減することが有効であるが、
耐食性はクロム付着量に依存するため、クロム付着量を
低減したのでは十分な耐食性が得られない。また、クロ
ム付着量を多くしても、樹脂皮膜からクロムが溶出する
ため、耐食性の大幅な改善は見込めない。 【0006】特許2554401号は、(a)(イ)β
−ケトエステル基を有するα、β−エチレン性不飽和モ
ノマー1〜20質量部と、(ロ)2個以上のラジカル重
合性基を有する加工性のα、β−エチレン性不飽和モノ
マー0.05〜5質量部と、(ハ)上記以外のα、β−
エチレン性不飽和モノマー残部とを含むモノマー混合物
100質量部に対して、(b)ラジカル重合可能な反応
性乳化剤0.2から10質量部を配合し、乳化重合する
ことにより得られた、0〜15の酸価を有する水性樹脂
分散体、およびこの水性樹脂分散体に1/1000〜1
/10の質量比でクロム(VI)イオンを配合してなる亜
鉛−アルミニウム合金メッキ鋼板被覆用樹脂組成物に関
する技術である。しかしながら、この被覆用樹脂組成物
は、クロムとの共存下では安定性はよいが、クロムの溶
出が多いため長期の耐食性に問題がある。 【0007】この様に、従来の技術では、加工性、耐食
性、粘着テープ密着性ロールフォーミング性、耐黒変性
などの諸性能をすべて満足できるAl−Zn系合金メッ
キ鋼板の表面処理材は得られていないのが現状である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術が
抱える問題点を解決するためのものであり、加工性、耐
食性、粘着テープ密着性ロールフォーミング性に優れ、
しかも、黒変や結露による外観ムラが生じにくく、美麗
なメッキ外観を長期に渡って維持することができるAl
−Zn系合金メッキ鋼板の表面処理鋼板を提供すること
にある。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術が抱える課題を解決するための手段について鋭意検
討を重ねた結果、Al−Zn系メッキ鋼板の表面に対し
て、特定の共重合樹脂、クロム化合物を含む皮膜を形成
させることにより、前記課題を解決できることを見出し
た。 【0010】即ち、本発明は、Al−Zn系合金めっき
鋼板の表面に、(A)(i)スチレンと、(ii)(メ
タ)アクリル酸と、(iii)炭素数3〜6のアルキル鎖
を持つ(メタ)アクリル酸エステルと、(iv)これらと
共重合可能なビニルモノマーとから得られる共重合樹脂
と、(B)クロム化合物と、(C)リン酸を主成分とす
る皮膜を形成させた表面処理鋼板において、前記(A)
共重合樹脂の固形分100質量%に対する(i)スチレ
ンの質量割合が30〜60質量%、(ii)(メタ)アク
リル酸の質量割合が0.5〜5質量%、(iii)炭素数
3〜6のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリル酸エステル
の質量割合が20〜60質量%であり、(B)クロム化
合物が6価クロムと3価クロムを含有し、クロム化合物
に含まれる6価クロムの比率〔6価クロム/(3価クロ
ム+6価クロム)〕が金属クロム換算で0.3〜0.9
の範囲のものであり、前記(A)共重合樹脂の固形分質
量と前記(B)クロム化合物の金属クロム換算の質量比
率〔樹脂/Cr〕が10〜200の範囲で、皮膜中に1
〜100mg/m2 のCrが含まれ、かつ(C)リン酸
に含まれるPO4 と(B)クロム化合物に含まれる金属
クロム換算のクロムに対する質量比PO4 /Crが0.
1〜3の範囲、であることを特徴とする耐食性、加工性
に優れた表面処理鋼板に関するものである。 【0011】 【発明の実施の形態】以下に本発明の構成を詳細に説明
する。 【0012】本発明のAl−Zn系合金メッキ鋼板のベ
ースとなるメッキ鋼板は、亜鉛メッキ皮膜中のAlの含
有量が25〜75質量%のAl−Zn系合金メッキ鋼板
である。以下に述べるように、本発明による特性改善効
果はメッキ皮膜中のAl量が25〜75質量%のAl−
Zn系合金メッキ鋼板において顕著に得られるものであ
るが、その中でも50〜60質量%程度、特に55%A
l−Zn系合金メッキ鋼板において特に顕著な特性改善
効果が得られる。本発明のAl−Zn系合金メッキ鋼板
には、メッキ皮膜中にSiがAl量の0.5質量%以
上、特に1〜3質量%前後含まれているものも包含され
る。 【0013】本発明は、Al−Zn系合金めっき鋼板の
表面に、(A)(i)スチレンと、(ii)(メタ)アク
リル酸と、(iii)炭素数3〜6のアルキル鎖を持つ
(メタ)アクリル酸エステルと、(iv)これらと共重合
可能なビニルモノマーとから得られる共重合樹脂と、
(B)クロム化合物と、を主成分とする皮膜を形成させ
た表面処理鋼板において、前記(A)共重合樹脂の固形
分100質量%に対する(i)スチレンの質量割合が3
0〜60質量%、(ii)(メタ)アクリル酸の質量割合
が0.5〜5質量%、(iii)炭素数3〜6のアルキル
鎖を持つ(メタ)アクリル酸エステルの質量割合が20
〜60質量%であることである。 【0014】本発明の成分(A)は、(i)スチレン
と、(ii)(メタ)アクリル酸と、(iii)炭素数3〜
6のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリル酸エステルと、
(iv)これらと共重合可能なビニルモノマーとから得ら
れる共重合樹脂である。共重合樹脂の固形分に対する
(i)スチレンの質量割合は30〜60質量%、好まし
くは35〜60質量%、より好ましくは40〜60質量
%の範囲である。(i)スチレンは疎水性モノマーであ
り、スチレン量を増やすことにより耐食性向上が期待で
きる。共重合樹脂中のスチレン量が30質量%未満の場
合は、耐食性向上効果が不十分であり、一方、60質量
%を超える場合は樹脂自体の造膜性が極めて悪くなるた
め好ましくない。 【0015】成分(A)共重合樹脂は(ii)(メタ)ア
クリル酸を必須成分とし、(ii)(メタ)アクリル酸
は、エマルジョンの分散安定性および金属表面との密着
性を付与させる効果がある。共重合樹脂中の(ii)(メ
タ)アクリル酸の重合割合は0.5〜5質量%、好まし
くは0.5〜4質量%、より好ましくは1〜4質量%の
範囲である。共重合樹脂中の(メタ)アクリル酸の質量
割合が0.5質量%未満の場合は、エマルジョンの安定
性および金属表面との密着性が低下するので好ましくな
く、一方、5質量%を超える場合は得られる皮膜の親水
性が強くなり耐水性が低下するので好ましくない。 【0016】成分(A)共重合樹脂に使用される(ii
i)炭素数3〜6のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリル
酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸−n−プロピ
ルおよびその異性体、(メタ)アクリル酸−n−ブチル
およびその異性体、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル
およびその異性体、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル
およびその異性体などが挙げられる。(メタ)アクリル
酸エステルは皮膜の加工性向上に寄与しているが、(メ
タ)アクリル酸エステルのアルキル鎖が2以下の場合に
は皮膜自体の親水性が強いため、加工性および耐水性が
低下するので好ましくない。一方、(メタ)アクリル酸
エステルのアルキル鎖が7以上の場合は得られる皮膜の
ガラス転移温度が低くなるため、ブロッキング性が低下
するので好ましくない。共重合樹脂中の(iii)炭素数
3〜6のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリル酸エステル
の重合割合は20〜60質量%、好ましくは20〜55
質量%、より好ましくは25〜55質量%である。共重
合樹脂中の(iii)炭素数3〜6のアルキル鎖を持つ
(メタ)アクリル酸エステルの重合割合が20質量%未
満の場合は、皮膜の加工性向上効果が乏しく、一方、6
0質量%を超える場合は皮膜の耐食性向上に効果のある
スチレンの絶対量が少なくなるので好ましくない。尚、
メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの比率につ
いては特に限定はなく、共重合樹脂に含まれる(メタ)
アクリル酸エステルがすべてメタクリル酸エステルもし
くはアクリル酸エステルでも構わない。 【0017】成分(A)に使用される(iv)これらと共
重合可能なビニルモノマーとしては、特に限定されるも
のではないが、例えば、(メタ)アクリル酸−2−ヒド
ロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピ
ル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、
ジアセトンアクリルアミド、グリシジルメタクリレー
ト、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アルリロニトリル、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、炭素数7以上のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリル
酸エステルなどが挙げられる。尚、共重合樹脂中の(i
v)これらと共重合可能なビニルモノマーの重合割合
は、特に限定はないが共重合樹脂のガラス転移温度を調
整する役目があり、ガラス転移温度を10〜70℃、好
ましくは15〜60℃の範囲に調整するのが好ましい。 【0018】本発明の(A)共重合樹脂の重合方法とし
ては特に限定するものではないが、例えば、乳化重合
法、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法などが挙げら
れるが、汎用性のある乳化重合法が好ましい。この乳化
重合法に使用される界面活性剤としては特に限定される
ものではないが、ノニオン系活性剤、アニオン系活性
剤、ノニオン−アニオン系界面活性剤、不飽和二重結合
を有するノニオン系界面活性剤、不飽和二重結合を有す
るアニオン系界面活性剤、不飽和二重結合を有するノニ
オン−アニオン系界面活性剤、などが挙げられる。乳化
重合の際に使用する界面活性剤の量としては、特に限定
するものではないが、アクリル−スチレン樹脂の全モノ
マー100質量%に対して、1〜10質量%が好まし
い。アクリル−スチレン樹脂の全モノマー100質量%
に対する界面活性剤量が1質量%未満の場合は、クロム
混和安定性が低下するので好ましくなく、一方10質量
%を超える場合は皮膜形成時に界面活性剤が皮膜表面に
ブリードするため粘着テープ等の利用上鋼板表面に貼り
合せが必要な材料等の密着性が低下するので好ましくな
い。 【0019】本発明の特徴としては、成分(B)クロム
化合物を必須成分とすることであり、好ましくは6価ク
ロムと3価クロムを含有するクロム化合物である。6価
クロムは防食性に優れているが水に対する溶解性が高い
ため、長期の防食性を求められる用途には6価クロム単
独では不十分である。そのため、本発明では3価クロム
を併用している。成分(B)中の6価クロムと3価クロ
ムの比率〔6価クロム/(3価クロム+6価クロム)〕
は、特に限定するものではないが、金属クロム換算で
0.3〜0.9の範囲であることが好ましく、より好ま
しくは0.5〜0.8である。成分(B)中の6価クロ
ムと3価クロムの比率〔6価クロム/(3価クロム+6
価クロム)〕が金属クロム換算で0.3未満の場合は、
防食性に効果のある6価クロムの絶対量が少なくなるた
め長期の耐食性が劣る可能性があり、0.9を超える場
合はクロムが溶出し易くなるため長期の耐食性が低下す
るので好ましくない。 【0020】また、本発明の皮膜は、(C)リン酸を含
む。リン酸の種類としては特に限定するものではない
が、メタリン酸、ピロリン酸、オルトリン酸、三リン
酸、四リン酸およびそれらの塩などが挙げられる。
(C)リン酸に含まれるPO4 と(B)クロム化合物に
含まれる金属クロム換算のクロムに対する質量比PO4
/Crが0.1〜3の範囲である。Al−Zn系合金メ
ッキ鋼板の場合は、リン酸を添加することにより耐黒変
性、粘着テープ密着性が向上する傾向にある(Al25
%未満含有する亜鉛系のメッキ鋼板の場合は、リン酸を
添加することにより耐黒変性は劣化する)。また、クロ
ム付着量が多い場合には6価クロム自体の色調が現れる
が、リン酸を一定量配合することにより6価クロムによ
る着色を抑制することができる。(C)リン酸に含まれ
るPO4 と(B)クロム化合物に含まれる金属クロム換
算のクロムに対する質量比PO4 /Crが、0.1未満
の場合は耐黒変性および粘着テープ密着性の向上効果が
乏しく、一方、3を超える場合は水に可溶性のリン酸が
増えるため耐水性が低下するので好ましくない。 【0021】(A)共重合樹脂の固形分質量と(B)ク
ロム化合物の金属クロム換算の質量比〔樹脂/Cr〕は
10〜200、好ましくは20〜150、より好ましく
は50〜150の範囲である。(A)共重合樹脂の固形
分質量と(B)クロム化合物の金属クロム換算の質量比
〔樹脂/Cr〕が10未満の場合は、クロムの絶対量が
多くなるため、相対的にクロム溶出量が多くなるので好
ましくない。一方、(A)共重合樹脂の固形分質量と
(B)クロム化合物の金属クロム換算の質量比〔樹脂/
Cr〕が200を超える場合は、防食効果のあるクロム
化合物が少ないために耐食性が低下するので好ましくな
い。 【0022】本発明のAl−Zn系合金メッキ鋼板の表
面に形成された皮膜の付着量としては、1〜3g/m2
の範囲であるのが好ましく、より好ましくは1.2〜
2.0g/m2 である。Al−Zn系合金メッキ皮膜の
表面に形成された皮膜の付着量が1g/m2 未満の場合
は、本発明の特徴である加工性と耐食性が不十分である
ので好ましくなく、一方、3g/m2 を超える場合はそ
の効果が飽和するため経済的でない。 【0023】本発明のAl−Zn系合金メッキ鋼板の表
面に形成する皮膜の処理方法としては、特に限定するも
のではなく、例えば、ロールコータ等をはじめとする任
意の方法を用いて塗布することが可能であり、電気炉、
熱風炉、誘導加熱炉などを用いて、到達板温度で60〜
150℃、乾燥時間60秒以内で乾燥させるのが好まし
い。 【0024】 【実施例】以下に本発明を実施例および比較例を用いて
具体的に説明する。尚、これらの実施例は本発明の説明
のために記載するものであり、本発明を何ら限定するも
のではない。 【0025】[試験板の作製] (1)供試材 5%Al−Zn系合金めっき鋼板(GF) 55%Al−Zn系合金めっき鋼板(GL) (2)脱脂処理 シリケート系アルカリ脱脂剤のファインクリーナー43
36(登録商標:日本パーカライジング(株)製)で脱
脂処理(濃度20g/L、温度60℃、20秒間スプレ
ー)した後、水道水で洗浄した。 (3)表面処理薬剤の調整方法 室温にて、表1の共重合樹脂、表2のクロム化合物、表
3のリン酸をこの順に蒸留水に投入し、プロペラ撹拌機
を用いて撹拌しながら混合し、表4の表面処理薬剤を調
整した。 (4)表面処理鋼板の作製方法 上記にて調整した表面処理薬剤をバーコーターにて供試
材の表面に塗布し、240℃の雰囲気温度で乾燥した。
尚、皮膜量(g/m2 )の調整は表面処理薬剤の固形分
濃度を適宜調整することにより行った。 【0026】[皮膜性能評価] (1)耐食性 曲げ加工(3T)を行ったサンプルについてJIS−Z
−2371による塩水噴霧試験を240時間実施し、曲
げ部の白錆発生状況を観察し、下記基準により評価を行
った。 <評価基準> ◎:白錆発生が全面積の10%未満 ○:白錆発生面積率が全面積の10%以上25%未満 △:白錆発生面積率が全面積の25%以上50%未満 ×:白錆発生面積率が全面積の50%以上 (2)耐黒変性 温度50℃、湿度98%以上湿潤試験器に150cm×
150cmの試験板を鋼板表面が濡れた状態になるよう
にスタック状態で4週間放置し、黒変による変色の程度
を下記基準により評価を行った。 <評価基準> ◎:外観変化なし ○:変色面積が全面積の10%未満 △:変色面積が全面積の10%以上30%未満 ×:変色面積が全面積の30%以上 (3)耐結露性 温度50℃、湿度98%以上湿潤試験器に150cm×
150cmの試験板を鋼板表面が濡れた状態になるよう
にスタック状態で4週間放置し、下記基準により評価を
行った。 <評価基準> ◎:試験板表面の結露水に黄色い着色無し △:試験板表面の結露水に若干黄色い着色有り(乾くと
殆どムラ無し) ×:試験板表面の結露水に黄色い着色有り(乾くと黄色
いムラ発生) (4)クロム溶出性 試験板を沸騰水中に30分間浸漬し、浸漬前後のクロム
付着量を測定して、下記基準により評価を行った。 <評価基準> ◎:クロム付着量変化なし ○:クロム付着量が浸漬前後で減少。減少率5%未満 △:クロム付着量が浸漬前後で減少。減少率5%以上1
0%未満 ×:クロム付着量が浸漬前後で減少。減少率10%以上 (5)粘着テープ密着性 試験片表面に粘着テープ(Scotch Brand
Tape CoreSeries 2−0300)を貼
り付け、50℃95%RHの環境下に24h放置後、延
着テープを剥がす。その剥離状況から下記基準により評
価を行った。 ◎:強固に付着 △:付着しているが比較的簡易に剥がれる ×:付着せず (6)ロールフォーミング性 平板ビード(1mm×10mm)を幅30mmの試験板
に対して200kgfの荷重で押し付けた状態でビード
引き抜き試験を行い、その外観を目視で下記基準により
評価を行った。 ◎:皮膜損傷無し ○:極僅かに皮膜損傷あり(実用上問題なし) △:皮膜損傷少ない(実用上問題有り) ×:皮膜損傷大(実用上問題有り) 本発明の実施例および比較例の試験結果を表5に示す。
本発明のAl−Zn系合金メッキ鋼板の表面処理板を用
いた実施例1〜4、8〜11では、耐食性、耐黒変性、
耐結露性、耐クロム溶出性、粘着テープ密着性、ロール
フォーミング性は何れも良好であった。一方、本発明の
範囲外である表面処理鋼板の比較例5〜7(表面処理剤
がD5〜D7)、比較例13〜19(表面処理剤がE1
〜E7)では、耐食性、耐黒変性、耐結露性、耐クロム
溶出性、粘着テープ密着性、ロールフォーミング性のう
ち2つ以上の性能が劣る、あるいは或る特性が著しく劣
っていた。また、比較例12(5%Al−Zn系合金め
っき鋼板)は、めっき中のAl濃度が低いために耐食性
に劣り、かつリン酸の添加により耐黒変性が劣ってい
た。 【0027】 【発明の効果】以上説明したとおり、Al−Zn系合金
メッキ鋼板の表面に本発明の処理を施した表面処理鋼板
を用いることにより、優れた耐食性、耐黒変性、耐結露
性、耐クロム溶出性、粘着テープ密着性、ロールフォー
ミング性を得ることができることから、産業上の利用価
値は非常に大きいことがわかる。 【0028】 【表1】 【0029】 【表2】 【0030】 【表3】 【0031】 【表4】【0032】 【表5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 啓二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K026 AA07 AA09 AA13 AA22 BA07 BB06 BB08 CA16 CA19 CA20 CA26 CA39 DA02 DA11

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 Alを25〜75質量%含有するAl−
    Zn系合金めっき鋼板の表面に、(A)(i)スチレン
    と、(ii)(メタ)アクリル酸と、(iii)炭素数3〜
    6のアルキル鎖を持つ(メタ)アクリル酸エステルと、
    (iv)これらと共重合可能なビニルモノマーとから得ら
    れる共重合樹脂と、(B)クロム化合物と、(C)リン
    酸を主成分とする皮膜を形成させた表面処理鋼板におい
    て、前記(A)共重合樹脂の固形分100質量%に対す
    る(i)スチレンの質量割合が30〜60質量%、(i
    i)(メタ)アクリル酸の質量割合が0.5〜5質量
    %、(iii)炭素数3〜6のアルキル鎖を持つ(メタ)
    アクリル酸エステルの質量割合が20〜60質量%であ
    り、(B)クロム化合物が6価クロムと3価クロムを含
    有し、クロム化合物に含まれる6価クロムの比率〔6価
    クロム/(3価クロム+6価クロム)〕が金属クロム換
    算で0.3〜0.9の範囲のものであり、前記(A)共
    重合樹脂の固形分質量と前記(B)クロム化合物の金属
    クロム換算の質量比率〔樹脂/Cr〕が10〜200の
    範囲で、皮膜中に1〜100mg/m2 のCrが含ま
    れ、かつ(C)リン酸に含まれるPO4 と(B)クロム
    化合物に含まれる金属クロム換算のクロムに対する質量
    比PO4 /Crが0.1〜3の範囲、であることを特徴
    とする耐食性及び加工性に優れた表面処理鋼板。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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