JP2003221512A - 熱可塑性樹脂成形物品 - Google Patents

熱可塑性樹脂成形物品

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JP2003221512A
JP2003221512A JP2002021570A JP2002021570A JP2003221512A JP 2003221512 A JP2003221512 A JP 2003221512A JP 2002021570 A JP2002021570 A JP 2002021570A JP 2002021570 A JP2002021570 A JP 2002021570A JP 2003221512 A JP2003221512 A JP 2003221512A
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thermoplastic resin
molded article
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resin molded
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JP2002021570A
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Inventor
Yasuyuki Yoshino
泰之 芳野
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面実装時の加熱炉(リフロー炉)内の高温
条件下でも優れた耐熱性を有する熱可塑性樹脂成形物品
を提供する。 【解決手段】 少なくとも成分(A)と成分(B)から
なる組成物を用いてなり、成分(A)が融点又はガラス
転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑性
樹脂であり、成分(B)がケイ酸金属塩であり、該組成
物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃以上と
なる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂の融
点或いはガラス転移点以上という高温条件下において、
はんだ付けされた優れた耐熱性を有する熱可塑性樹脂成
形物品に関する。更に詳しくは、コネクター、スイッ
チ、コンデンサー、集積回路(IC)、リレー、抵抗
器、発光ダイオード(LED)などの電気・電子部品、
自動車エンジン回りのアンダーフード部品、自動車用コ
ネクターなどの各種自動車部品、精密機械部品、ポンプ
部品などの熱可塑性樹脂成形物品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子工業の分野では、製品
の小型化や生産性の向上に伴い、コネクター、スイッ
チ、リレー、コイルボビン等の樹脂系電子部品を、表面
実装方式(サーフェスマウント方式或いはSMT方式と
云う)により、プリント基板上にはんだ付けする方法が
採用されるようになっている。ここで、表面実装方式と
は、一般にはプリント印刷された配線基板上に、クリー
ム状のはんだを介して電子部品を載せた後、配線基板を
加熱炉(リフロー炉)内に通過させることによって、は
んだを溶かして、電子部品を配線基板上に固定する方法
をいう。この表面実装方式は、配線基板上のスルーホー
ルから電子部品のリード線を通し、電子部品を装着した
面とは反対側の面に直接はんだ付け(フリーソルダリン
グまたはウェーブソルダリング)を行なう従来の挿入実
装方式(リードスルー方式)とは異なる。
【0003】表面実装方式は、実装密度を大きくする
ことができること、表裏両面の実装が可能であるこ
と、効率化によって製造コストを低減させることがで
きること、等の利点があり、はんだ付け方式の主流とな
りつつある。この表面実装技術において使用されるはん
だは、従来錫−鉛共晶はんだ(融点184℃)が一般的
であったが、近年では環境汚染の問題から鉛の使用量の
削減、更には全廃が推進されている。その代替材料とし
て、錫をベースに数種類の金属を添加した所謂鉛フリー
はんだが提案されているが、何れも錫−鉛共晶はんだよ
りも融点が高いため(例えば錫−銀共晶はんだの場合は
融点220℃)、表面実装時には加熱炉(リフロー炉)
の温度を更に上昇させなければならない。この結果、表
面実装方式を用いてはんだ付けを行なう場合、コネクタ
ー等の熱可塑性樹脂成形物品をはんだ付け加熱炉(リフ
ロー炉)内に通過させる際に、当該成形物品が融解また
は変形を生じる可能性があり、更に耐熱性の高い熱可塑
性樹脂成形物品がこの分野において強く求められてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、表面
実装時の加熱炉(リフロー炉)内の高温条件下で、優れ
た耐熱性を有する熱可塑性樹脂成形物品を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、融点又はガ
ラス転移点が220℃以上からなる群から選ばれる少な
くとも1種の熱可塑性樹脂とケイ酸金属塩からなる組成
物であり、該組成物を用いてはんだ付けされる基体の表
面温度が220℃以上となる高温条件下においてはんだ
付けされた熱可塑性樹脂成形物品が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、少なくとも成分(A)と
成分(B)からなる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成
形物品であり、成分(A)が融点又はガラス転移点が2
20℃以上である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であ
り、成分(B)がケイ酸金属塩であり、該組成物がはん
だ付けされる基体の表面温度が220℃以上となる条件
下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴とする熱可
塑性樹脂成形物品である。また、本発明は、少なくとも
成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてなる熱
可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又はガラ
ス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱可塑
性樹脂であり、成分(B)がケイ酸金属塩であり、該組
成物がはんだ付けされる基体の表面温度が240℃以上
となる条件下で、該基体にはんだ付けされたことを特徴
とする熱可塑性樹脂成形物品である。また、本発明は、
少なくとも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用
いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融
点又はガラス転移点が220℃以上である少なくとも1
種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がケイ酸金属塩で
あり、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が2
60℃以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされた
ことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品である。また、
本発明は、少なくとも成分(A)と成分(B)からなる
組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、成分
(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上である少
なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)がケイ
酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体の表
面温度が280℃以上となる条件下で、該基体にはんだ
付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物品であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】次いで、本発明を実施するにあた
り、必要な事項を具体的に以下に述べる。
【0008】本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、少なく
とも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてな
る熱可塑性樹脂成形物品であり、成分(A)が融点又は
ガラス転移点が220℃以上である少なくとも1種の熱
可塑性樹脂であり、成分(B)がケイ酸金属塩であり、
該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度が220℃
以上となる条件下で、該基体にはんだ付けされたもので
ある。
【0009】本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)は、
融点又はガラス転移点が220℃以上の熱可塑性樹脂で
ある。熱可塑性樹脂(A)の融点又はガラス転移点が2
20℃以上であれば、はんだ付け工程における高温条件
下でも融解又は変形を生じることなく、熱可塑性樹脂成
形物品を得ることができ、好ましい。
【0010】該熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、
ポリアリーレンサルファイド樹脂、サーモトロピック液
晶ポリエステル樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹
脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリサルホン樹脂などが好
ましく、より好ましくは、ポリアリーレンサルファイド
樹脂である。これらの樹脂は、1種単独又は2種以上を
混合して使用することができる。
【0011】本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の一
つであるポリアリーレンサルファイド(以下、PASと
記す)樹脂とは、一般式−Ar−S−(Arはアリーレ
ン基)で表されるPAS系樹脂である。ここでアリーレ
ン基のArは、p−フェニレン基、m−フェニレン基、
o−フェニレン基、及び以下に示す構造式〔1〕〜
〔4〕からなる群から選ばれる2価の芳香族残基であ
り、更に各芳香族環にはF、Cl、Br等のハロゲン、
CH3基等の置換基を有すか有さないアルキル基(直鎖
でも分岐でもよい)などの置換基が導入されていてもよ
い。これはホモポリマーであっても、ランダム共重合
体、ブロック共重合体であってもよく、線状、分岐状、
あるいは架橋型及びこれらの混合物が用いられる。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】本発明で使用するPAS樹脂は、ポリフェ
ニレンサルファイド(以後、PPSと記す)系樹脂であ
ることが好ましい。
【0017】本発明で用いるPPS系樹脂は、下記一般
式〔5〕で示される構造単位を70モル%以上含むもの
が優れた特性の成形物品をもたらすので好ましい。
【0018】
【化5】
【0019】PPS樹脂の重合方法としては、例えば、
p−ジクロルベンゼンを硫黄と炭酸ソーダの存在下で
重合させる方法、極性溶媒中で硫化ナトリウムあるい
は水硫化ナトリウムと水酸化ナトリウム又は硫化水素と
水酸化ナトリウムの存在下で重合させる方法、p−ク
ロルチオフェノールの自己縮合などが挙げられるが、N
−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどのアミ
ド系溶剤やスルホラン等のスルホン系溶媒中で硫化ナト
リウムとp−ジクロルベンゼンを反応させる方法が適当
である。この際に重合度を調節するためにカルボン酸の
アルカリ金属塩やスルホン酸のアルカリ金属塩を添加し
たり、水酸化アルカリを添加したりすることは好ましい
方法である。
【0020】共重合成分として30モル%未満であれば
以下に示すメタ結合構造単位〔6〕、エーテル結合構造
単位〔7〕、スルホン結合構造単位〔8〕、ケトン結合
構造単位
〔9〕、ビフェニル結合構造単位〔10〕、置
換フェニルスルフィド結合構造単位〔11〕、3官能フ
ェニルスルフィド結合構造単位〔12〕、ナフチル結合
構造単位〔13〕などを含有していてもポリマーの結晶
性に大きく影響しない範囲で構わないが、共重合成分
は、好ましくは10モル%以下がよい。特に3官能基以
上のフェニル、ビフェニル、ナフチルスルフィド結合な
どを共重合に選ぶ場合は、好ましくは3モル%以下、よ
り好ましくは1モル%以下である。
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】式中、Rはアルキル基、ニトロ基、フェニ
ル基又はアルコキシ基を示す。
【0028】
【化12】
【0029】
【化13】
【0030】かかるPPS系樹脂は一般的な製造法、例
えば(1)ハロゲン置換芳香族化合物と硫化アルカリと
の反応(米国特許第2513188号、特公昭44−2
7671号、特公昭45−3368号)、(2)チオフ
ェノール類のアルカリ触媒又は銅塩などの共存下におけ
る縮合反応(米国特許第3274165号、英国特許第
1160660号)、(3)芳香族化合物と塩化硫黄と
のルイス酸触媒共存下における縮合反応(特公昭46−
27255号、ベルギー特許第29437号)等により
合成されるものであり、目的に応じて任意に選択し得
る。
【0031】本発明の熱可塑性樹脂成形物品に使用する
PPS樹脂としては、架橋型のPPS樹脂でもあるいは
非架橋型(リニアー型)PPS樹脂でもよい。これらの
PPS樹脂の中でも特にASTM D1238−86に
よる316℃/5000g荷重下(オリフィス:0.0
825±0.002インチ径×0.315±0.001
インチ長さ)でのメルトフローレートが、好ましくは3
000g/10分以下、更に好ましくは1500g/1
0分以下である。更に、使用するPPS樹脂の形態とし
ては特に制限はなく、ペレットのような粒状でもあるい
は粉状でもよい。
【0032】熱可塑性樹脂(A)の一つのサーモトロピ
ック液晶ポリエステル樹脂としては、公知のものを使用
でき、例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジ
オール及び芳香族ジカルボン酸を主構成単位とするも
の、芳香族ヒドロキシカルボン酸、ポリアルキレンジオ
ール及び芳香族ジカルボン酸を主構成単位とするもの、
異種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を主構成単位とする
もの、芳香族ジカルボン酸と核置換芳香族ジオールを主
構成単位とするもの、芳香族ヒドロキシカルボン酸とヒ
ドロキシナフトエ酸を主構成単位とするもの、芳香族ヒ
ドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸およびジヒド
ロキシビフェニルを主構成単位とするもの、ポリホスフ
ァゼンを主鎖としポリアルキレンジオールと芳香族カル
ボン酸とを側鎖とするもの等を挙げることができる。
尚、これらの芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、及
び芳香族ヒドロキシカルボン酸の代わりに、それらのエ
ステル形成性誘導体を使用することができる。
【0033】これらの中でも、p−ヒドロキシ安息香酸
とポリエチレンテレフタレートを主構成単位とするも
の、p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナ
フトエ酸を主構成単位とするもの、これらにジヒドロキ
シ化合物及び/又はジカルボキシ化合物を重縮合させた
もの等が好ましい。ジヒドロキシ化合物としては、例え
ば、エチレングリコール、ハイドロキノン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシビフェ
ニル、ビスフェノール−A等を挙げることができる。こ
れらの中でも、エチレングリコール、ハイドロキノン、
4,4’−ジヒドロキシビフェニル等が好ましく、エチ
レングリコール、ハイドロキノン等がより好ましい。ジ
カルボキシ化合物の例としては、例えば、テレフタル
酸、イソフタル酸、2,6−ジカルボキシナフタレン等
を挙げることができる。これらの中でも、テレフタル酸
及びイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ま
しい。ジヒドロキシ化合物及びジカルボキシ化合物は、
それぞれ1種を単独で使用でき、または2種以上を併用
できる。
【0034】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂
(A)の一つのポリアルキレンテレフタレート樹脂とし
ては、芳香環を連鎖単位に有するポリエステル樹脂で芳
香族ジカルボン酸あるいはそのエステル誘導体とジオ−
ルあるいはそのエステル誘導体とを主成分とする縮合反
応により得られる重合体ないしは共重合体である。
【0035】前記芳香族ジカルボン酸としては、例え
ば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボ
ン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アント
ラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン
酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,
2−ビス(p−カルボキシフェノキシ)エタンあるいは
これらのエステル誘導体等が挙げられる。尚、酸成分と
して30モル%以下であれば、例えば、アジピン酸、セ
バシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族
ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカル
ボン酸及びそれらのエステル誘導体等の芳香族ジカルボ
ン酸以外のジカルボン酸で置換してもよい。
【0036】また、ジオ−ル成分としては、炭素数2〜
10の脂肪族ジオ−ルが好ましく、例えば、エチレング
リコ−ル、プロピレングリコ−ル、1,4−ブタンジオ
−ル、3−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、ネオペ
ンチルグリコ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、1,6
−ヘキサンジオ−ル、デカメチレングリコ−ル、シクロ
ヘキサンジオ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等が挙
げられ、少量であれば分子量400〜6000の長鎖グ
リコ−ル、即ち、ポリエチレングリコ−ル、ポリ−1,
3−プロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ
−ル等を共重合してもよい。
【0037】本発明で使用するポリアルキレンテレフタ
レート樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレ
−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト、ポリヘキサメチレ
ンテレフタレ−ト、ポリシクロヘキシンジメチレンテレ
フタレ−ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレ−ト 、
ポリブチレン−2,6−ナフタレ−ト等が挙げられ、中
でもポリブチレンテレフタレ−トが好ましい。
【0038】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂
(A)の一つのポリアミド樹脂は、アミド結合(−NH
CO−)を有するポリマーであって、例えば、ジアミ
ンとジカルボン酸の重縮合から得られるポリマー、ア
ミノカルボン酸の重縮合から得られるポリマー、ラク
タム類の開環重合から得られるポリマー等が挙げられ
る。ポリアミド樹脂は、単独使用でも2種以上を併用し
てもよい。
【0039】ここで、ジアミンの例としては、脂肪族系
ジアミン類、芳香族系ジアミン類、脂環族系ジアミン類
が挙げられる。脂肪族系ジアミン類としては、好ましく
は、炭素数3〜18の直鎖状又は側鎖を有するジアミン
が挙げられ、例えば、1,3−トリメチレンジアミン、
1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチ
レンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,
7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレン
ジアミン、2−メチル−1,8−オクタンジアミン、
1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレ
ンジアミン、1,11−ウンデカンメチレンジアミン、
1,12−ドデカメチレンジアミン、1,13−トリデ
カメチレンジアミン、1,14−テトラデカメチレンジ
アミン、1,15−ペンタデカメチレンジアミン、1,
16−ヘキサデカメチレンジアミン、1,17−ヘプタ
デカメチレンジアミン、1,18−オクタデカメチレン
ジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン
等が挙げられ、これらは単独で用いても2種以上を併用
してもよい。
【0040】芳香族系ジアミン類としては、好ましく
は、分子中に少なくとも1つのフェニレン基を有する炭
素数6〜27のジアミンが挙げられ、例えば、o−フェ
ニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニ
レンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレ
ンジアミン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、
4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジア
ミノジフェニルメタン、3,3'−ジアミノジフェニル
スルフォン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフォ
ン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'
−ジ(m−アミノフェノキシ)ジフェニルスルフォン、
4,4'−ジ(p−アミノフェノキシ)ジフェニルスル
フォン、ベンジジン、3,3'−ジアミノベンゾフェノ
ン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス
(4−アミノフェニル)プロパン、1,5−ジアミノナ
フタレン、1,8−ジアミノナフタレン、4,4'−ビ
ス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス
[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフル
オロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、
4,4'−ジアミノ−3,3'−ジエチル−5,5'−ジ
メチルジフェニルメタン、4,4'−ジアミノ−3,
3',5,5'−テトラメチルジフェニルメタン、2,4
−ジアミノトルエン、2,2'−ジメチルベンジジン等
が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用して
もよい。
【0041】脂環族系ジアミン類としては、好ましく
は、分子中に少なくとも1つのシクロヘキシレン基を有
する炭素数4〜15のジアミンが挙げられ、例えば、
4,4'−ジアミノ−ジシクロヘキシレンメタン、4,
4'−ジアミノ−ジシクロヘキシレンプロパン、4,4'
−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジシクロヘキシレン
メタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン
等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用し
てもよい。
【0042】ジカルボン酸としては、脂肪族系ジカルボ
ン酸類、芳香族系ジカルボン酸類、脂環族系ジカルボン
酸類を挙げることができる。
【0043】脂肪族系ジカルボン酸類としては、好まし
くは、炭素数2〜18の飽和又は不飽和のジカルボン酸
が挙げられ、例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、
プラシリン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、
オクタデカン二酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げら
れ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよい。
【0044】芳香族系ジカルボン酸類としては、好まし
くは、分子中に少なくとも1つのフェニレン基を有する
炭素数8〜15のジカルボン酸が挙げられ、例えば、イ
ソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ビフ
ェニル−2,2'−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4'
−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−4,4'−ジカル
ボン酸、ジフェニルエーテル−4,4'−ジカルボン
酸、ジフェニルスルフォン−4,4'−ジカルボン酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレン
ジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が挙
げられ、これらは単独使用でも2種以上を併用してもよ
い。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリッ
ト酸等の多価カルボン酸を溶融成形可能な範囲内で用い
ることもできる。
【0045】アミノカルボン酸としては、好ましくは、
炭素数4〜18のアミノカルボン酸であり、例えば、4
−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプ
タン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、
10−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、1
2−アミノドデカン酸、14−アミノテトラデカン酸、
16−アミノヘキサデカン酸、18−アミノオクタデカ
ン酸等が挙げられ、これらは単独使用でも2種以上を併
用してもよい。
【0046】ラクタム類としては、例えば、ε−カプロ
ラクタム、ω−ラウロラクタム、ζ−エナントラクタ
ム、η−カプリルラクタム等が挙げられ、これらは単独
使用でも2種以上を併用してもよい。
【0047】好ましいポリアミド樹脂の原料としては、
ε−カプロラクタム(ナイロン6)、1,6−ヘキサメ
チレンジアミン/アジピン酸(ナイロン6,6)、1,
4−テトラメチレンジアミン/アジピン酸(ナイロン
4,6)、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタ
ル酸、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸
/ε−カプロラクタム、1,6−ヘキサメチレンジアミ
ン/テレフタル酸/アジピン酸、1,9−ノナメチレン
ジアミン/テレフタル酸、1,9−ノナメチレンジアミ
ン/テレフタル酸/ε−カプロラクタム、1,9−ノナ
メチレンジアミン/1,6−ヘキサメチレンジアミン/
テレフタル酸/アジピン酸、m−キシリレンジアミン/
アジピン酸が挙げられ、更に好ましくは、1,4−テト
ラメチレンジアミン/アジピン酸(ナイロン4,6)、
1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/ε−
カプロラクタム、1,6−ヘキサメチレンジアミン/テ
レフタル酸/アジピン酸、1,9−ノナメチレンジアミ
ン/テレフタル酸、1,9−ノナメチレンジアミン/テ
レフタル酸/ε−カプロラクタム、1,9−ノナメチレ
ンジアミン/1,6−ヘキサメチレンジアミン/テレフ
タル酸/アジピン酸からなるポリアミド樹脂が挙げられ
る。
【0048】次いで、本発明で使用する熱可塑性樹脂
(A)の一つの芳香族ポリサルホン樹脂は、通常、下記
構造単位〔14〕を有する。
【0049】
【化14】
【0050】(式〔14〕中、R1は炭素数1〜6のア
ルキル基、炭素数3〜10のアルケニル基、フェニル基
又はハロゲン原子を表し、pはそれぞれ独立に0〜4の
数を表す。同一又は異なる核上の各R1は相互に異なっ
ていてもよい。)
【0051】上記構造単位〔14〕の全構造単位に対す
る割合は、耐熱性、機械物性等の観点から、通常、好ま
しくは30モル%以上、より好ましくは50モル%以
上、特に好ましくは80モル%以上であり、実質的に全
構造単位が上記構造単位〔14〕であることが更に好ま
しい。
【0052】また、上記構造単位〔14〕は、耐熱性、
機械物性等の観点から、pが0であること、即ち、下記
構造単位〔14a〕が好ましい。
【0053】
【化15】
【0054】本発明で使用する芳香族ポリサルホン樹脂
は、下記構造単位〔15〕又は〔16〕を有してもよ
い。
【0055】
【化16】
【0056】(式〔15〕中R1とpの定義は、式〔1
4〕における定義と同じであり、Xは炭素数1〜20の
有機基、カルボニル基、2価の硫黄原子又は酸素原子を
表す)
【0057】
【化17】
【0058】(式〔16〕中、R1とpの定義は、式
〔14〕における定義と同じであり、qは1〜3の数を
表す。)
【0059】芳香族ポリサルホン樹脂が上記構造単位
〔14〕及び〔15〕を有する場合、〔14〕/〔1
5〕のモル比率は、通常0.5〜50モル%の範囲が好
ましい。
【0060】また、上記構造単位〔14〕及び〔16〕
を有する場合、〔14〕/〔16〕のモル比率は、通常
1.0〜20モル%の範囲が好ましい。
【0061】上記構造単位〔15〕の例としては、下記
構造単位〔15a〕〜〔15d〕が挙げられる。
【0062】
【化18】
【0063】上記構造単位〔16〕の例としては、下記
構造単位〔16a〕、〔16b〕が挙げられる。
【0064】
【化19】
【0065】本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)の一
つである芳香族ポリサルホン樹脂の分子末端構造として
は、例えば、−Clなどのハロゲンや、−OH、−OM
(Mはアルカリ金属等の金属原子)、−OR(Rはアル
キル基)等が挙げられる。分子末端構造の種類、比率に
ついては、芳香族ポリサルホン樹脂の製造条件等によっ
て適宜調整することができる。
【0066】また、本発明で使用するケイ酸金属塩
(B)としては、その形状が粉体状や粒状、或いは針
状、板状でも構わないが、好ましくは板状である。板状
のケイ酸金属塩を用いることにより、成形物品の耐熱性
が更に向上し、本発明の熱可塑性樹脂成形物品をより容
易にはんだ付け工程によって形成することが可能とな
る。
【0067】ケイ酸金属塩(B)としては、例えば、ケ
イ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシ
ウム、タルク、マイカ、ワラステナイト、カオリン、ケ
イ藻土、スメクタイトなどが挙げられ、天然物であって
も合成物であってもよい。これらの中でもタルク、マイ
カ、カオリンが好ましく、更に好ましくはタルクであ
る。
【0068】また、本発明で使用するケイ酸金属塩
(B)は、シランカップリング剤あるいはチタンカップ
リング剤等の表面処理剤で表面処理したものを使用する
ことができる。
【0069】本発明でのケイ酸金属塩(B)の配合割合
は、本発明の熱可塑性樹脂成形物品の性能を損なわない
範囲で使用することができ、熱可塑性樹脂(A)30〜
99重量部に対し、上記ケイ酸金属塩(B)を好ましく
は70〜1重量部の範囲である。
【0070】更に、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、
組成物として繊維状強化材(C−1)及び/又は無機質
フィラー(C−2)を含有してもよい。本発明で使用す
る繊維状強化材(C−1)としては、例えば、ガラス繊
維、PAN系又はピッチ系の炭素繊維、シリカ繊維、シ
リカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊
維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリウム繊
維、ホウ酸アルミニウム繊維、更にステンレス、アルミ
ニウム、チタン、銅、真ちゅう等の金属の繊維状物の無
機質繊維状物質、及びアラミド繊維等の有機質繊維状物
質等が挙げられ、これらの中でも、ガラス繊維が特に好
ましい。また、無機質フィラー(C−2)としては、例
えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト
などの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫
酸塩、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ、ジルコニ
ア、チタニア、酸化鉄などの金属酸化物、ガラスビー
ズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カ
ルシウムなどが挙げられる。これらの繊維状強化材(C
−1)及び/又は無機質フィラー(C−2)は、単独使
用でも2種以上を併用してもよい。
【0071】本発明で使用できる繊維状強化材(C−
1)及び/又は無機質フィラー(C−2)の配合量は、
本発明の熱可塑性樹脂成形物品の性能を損なわない範囲
で使用することができ、前記した熱可塑性樹脂(A)と
ケイ酸金属塩(B)との合計量100重量部に対し、上
記繊維状強化材(C−1)及び/又は無機質フィラー
(C−2)を好ましくは1〜200重量部の範囲であ
る。また、繊維用強化材(C−1)及び/又は無機質フ
ィラー(C−2)は、本発明の熱可塑性樹脂成形物品の
性能を損なわない範囲で、シランカップリング剤あるい
はチタンカップリング剤等の表面処理剤で表面処理を施
したものであってもよい。
【0072】また、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、
組成物としてシラン化合物(D)を含有してもよい。該
シラン化合物(D)としては、例えば、アミノアルコキ
シシラン、エポキシアルコキシシラン、ビニルアルコキ
シシランなどの1種又は2種以上である。
【0073】上記アミノアルコキシシランとしては、1
分子中にアミノ基を1個以上有し、アルコキシ基を2個
以上有するシラン化合物であれば何れのものでも有効で
あり、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、 N−β(アミノエチル)
−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(ア
ミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチ
ルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル
−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げら
れる。
【0074】また、エポキシアルコキシシランとして
は、1分子中にエポキシ基を1個以上有し、アルコキシ
基を2個以上有するシラン化合物であれば何れのもので
も有効であり、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0075】更に、ビニルアルコキシシランとしては、
1分子中にビニル基を1個以上有し、アルコキシ基を2
個以上有するシラン化合物であればいずれのものでも有
効であり、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエト
キシ)シランなどが挙げられる。
【0076】本発明で使用できるシラン化合物(D)の
配合量は、前記した熱可塑性樹脂(A)とケイ酸金属塩
(B)との合計量100重量部に対し、好ましくは0.
01〜5重量部であり、より好ましくは0.1〜2重量
部である。
【0077】また、本発明で云うはんだ付けされる基体
の表面温度とは、表面実装方式におけるはんだ付け工程
において、実際に測定した基体の表面上の温度を意味す
る。該基体の具体例としては、表面実装方式におけるプ
リント印刷された配線基板や回路基板等が挙げられる。
【0078】本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、少なく
とも成分(A)と成分(B)からなる組成物を用いてな
り、成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上
である少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分
(B)がケイ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けさ
れる基体の表面温度が220℃以上となる条件下で、該
基体にはんだ付けされたことを特徴とする。また、本発
明の熱可塑性樹脂成形物品は、該組成物がはんだ付けさ
れる基体の表面温度が240℃以上となる条件下で該基
体にはんだ付けされた成形物品であってもよい。また、
本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、該組成物がはんだ付
けされる基体の表面温度が260℃以上となる条件下で
該基体にはんだ付けされた成形物品であってもよい。ま
た、本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、該組成物がはん
だ付けされる基体の表面温度が280℃以上となる条件
下で該基体にはんだ付けされた成形物品であってもよ
い。ここで該組成物がはんだ付けされる基体の表面温度
が220℃以上となる条件では、該組成物が融解又は変
形を生じることなく、該基体にはんだ付けすることがで
きる。一方、該組成物がはんだ付けされる基体の表面温
度が240℃以上となる条件でも、また、該組成物がは
んだ付けされる基体の表面温度が260℃以上となる条
件でも、更には該組成物がはんだ付けされる基体の表面
温度が280℃以上となる条件でも、該組成物が融解又
は変形を生じることなく、該基体にはんだ付けすること
は可能である。
【0079】本発明の熱可塑性樹脂成形物品を得るため
のはんだ付け工程としては、例えば、表面実装方式が挙
げられ、この表面実装方式での加熱炉(リフロー炉)中
での加熱方式には、ヒーター上を移動する耐熱ベルト
の上に基板を載せて加熱する熱伝導方式、約220℃
の沸点を有するフッ素系液体の凝集時の潜熱を利用する
ベーパーフェイズソルダリング(VPS)方式、熱風
を強制的に循環させているところを通す熱風対流熱伝達
方式、赤外線により基板の上部又は上下両面から加熱
する赤外線方式、熱風による加熱と赤外線による加熱
を組み合わせて用いる方式等があり、本発明では何れの
加熱方式を用いてもよい。特に好ましくは、はんだ付け
工程で赤外線による加熱方式により得られる熱可塑性樹
脂成形物品である。はんだ付け工程で赤外線による加熱
方式を用いる利点としては、ランニングコスト、メン
テナンス性が優れている、はんだ付け処理時間が短い
ことなどが挙げられる。
【0080】また、本発明で使用する熱可塑性樹脂
(A)に、ポリフェニレンエーテルを添加することによ
り成形物品の耐熱性が更に向上し、本発明の熱可塑性樹
脂成形物品をより容易にはんだ付け工程によって形成す
ることが可能となる。
【0081】本発明で使用するポリフェニレンエーテル
(以後、PPEと記す)は、下記一般式〔17〕で示さ
れる単環式フェノールの1種類以上を重縮合して得るこ
とができる。
【0082】
【化20】
【0083】(但し、R1は炭素数1〜3のアルキル
基、R2及びR3は水素又は炭素数1〜3のアルキル基で
ある。) 尚、上記PPEは、単独重合体であっても共重合体であ
っても構わない。
【0084】前記一般式〔17〕で示される単環式フェ
ノールとしては、例えば、2,6−ジメチルフェノー
ル、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジプロピル
フェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−
メチル−6−プロピルフェノール、2−エチル−6−プ
ロピルフェノール、m−クレゾール、2,3−ジメチル
フェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,3−ジ
プロピルフェノール、2−メチル−3−エチルフェノー
ル、2−メチル−3−プロピルフェノール、2−エチル
−3−メチルフェノール、2−エチル−3−プロピルフ
ェノール、2−プロピル−3−メチルフェノール、2−
プロピル−3−エチルフェノール、2,3,6−トリメ
チルフェノール、2,3,6−トリエチルフェノール、
2,3,6−トリプロピルフェノール、2,6−ジメチ
ル−3−エチルフェノール、2,6−ジメチル−3−プ
ロピルフェノール等が挙げられる。
【0085】本発明で使用するPPEとしては、例え
ば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エ
ーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレ
ン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フ
ェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6
−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2
−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメ
チルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール
/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6
−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノ
ール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,
3,6−トリメチルフェノール共重合体などや、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルや
2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチル
フェノール共重合体などにスチレンをグラフト重合した
共重合体等が挙げられる。特に好ましいPPEは、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルや
2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチル
フェノール共重合体である。
【0086】本発明で必要に応じて加えられるPPEの
配合量は、熱可塑性樹脂(A)100重量部に対し、好
ましくは0.5〜50重量部であり、より好ましくは1
〜30重量部である。
【0087】また、本発明で使用するPPEを変性する
不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物として
は、全炭素数が3〜10のものが挙げられる。尚、ここ
で全炭素数とは、カルボン酸由来の炭素も含めて数えた
ものを云う。かかる化合物としては、例えば、マレイン
酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シトラコン酸、イタ
コン酸等で例示されるα、β−不飽和ジカルボン酸;ア
クリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペ
ンテン酸、アンゲリカ酸等で例示される不飽和モノカル
ボン酸;これらのα、β−不飽和ジカルボン酸及び不飽
和モノカルボン酸の無水物等を挙げることができる。こ
れらの中で好ましいものは、マレイン酸、フマル酸、ア
クリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸であり、最も
好ましいものは無水マレイン酸である。変性したPPE
は、例えば、予めPPEに変性剤を添加して溶融混練す
ることによって製造することができる。
【0088】本発明でPPEの変性に使用する不飽和カ
ルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物の配合量は、PP
E100重量部に対し、好ましくは0.01〜5重量部
である。
【0089】また、本発明の成形物品に使用する前記組
成物には、可塑剤、離型剤、着色剤、滑剤、耐熱安定
剤、耐候性安定剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、ワックス
等を本発明の目的を阻害しない範囲で適量添加してもよ
い。
【0090】本発明の成形物品は、電気・電子、車輌、
家電、建築、サニタリー、スポーツ、雑貨等の幅広い分
野で使用することができる。具体的な用途としては、コ
ネクター、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサ
ー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビ
ン、抵抗器、ICやLEDのハウジング、ギア、ベアリ
ングリテーナー、スプリングホルダー、チェインテンシ
ョナー、ワッシャー、ウォームホイール、ベルト、フィ
ルター、各種ハウジング、オートテンショナー及びウェ
イトローラー、ブレーカーパーツ、クラッチパーツ等が
挙げられる。これらの中でも、表面実装方式対応用のコ
ネクター、スイッチ、センサー、抵抗器、リレー、コン
デンサー、ソケット、ジャック、ヒューズホルダー、コ
イルボビン、ICやLEDのハウジング等に有用であ
る。
【0091】
【実施例】以下に、本発明を実施例により、一層具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に限定さ
れるものではない。
【0092】[参考例1]サーモトロピック液晶ポリエ
ステル樹脂の合成 ハイドロキノン55.1g(0.5モル)、4,4’−
ジヒドロキシビフェニル93.1g(0.5モル)、テ
レフタル酸116.3g(0.7モル)、2,6−ジカ
ルボキシナフタレン64.9g(0.3モル)、p−ヒ
ドロキシ安息香酸621.5g(4.5モル)、無水酢
酸612.5g(6モル)を冷却器及び撹拌機を備えた
反応容器中に仕込み窒素ガス雰囲気下で撹拌しながら昇
温し、170℃で60分環流した。次いで、副生成物の
酢酸を除去しながら4時間かけて反応容器を370℃に
徐々に上昇させ、更に、370℃で反応系を25kPa
に減圧した。更にその温度で副生成物の酢酸を除去しな
がら圧力を2時間にわたって0.5〜1kPaまで減圧
し重合を行った。次いで、370℃で1時間重合を行っ
た。この間に副生する酢酸を除去しながら、強力な撹拌
下で重合を行い、その後、系を徐々に冷却し、200℃
で得られたポリマーを系外へ取出した。示差走査熱量計
(パーキンエルマー社製DSC7)を用いて融点を測定
(JIS K 7121に準拠)した結果、融点は350
℃であった。
【0093】[参考例2]無水マレイン酸変性PPEの
合成 PPE97重量部と無水マレイン酸3重量部をタンブラ
ーで均一に混合し、次いで東芝機械(株)製のベント付き
2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、無
水マレイン酸変性PPEのペレットを得た。尚、PPE
はポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エー
テルを用い、使用したPPEの固有粘度(30℃、クロ
ロホルム中での測定値)は0.45dl/gであった。
【0094】[実施例1]及び[実施例15] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP
LR−03G)60重量部と、カオリン(エンゲルハー
ド社製、品名:ASP 600)40重量部をタンブラ
ーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付
き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、
該組成物のペレットを得た。
【0095】[実施例2]及び[実施例16] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP
LR−03G)60重量部と、マイカ((株)クラレ製、
品名:スゾライトマイカ 325HK)40重量部をタ
ンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベ
ント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混
練し、該組成物のペレットを得た。
【0096】[実施例3]及び[実施例17] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP
LR−03G)60重量部と、タルク(富士タルク工業
(株)製、品名:PKP−81)40重量部をタンブラー
で均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き
2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該
組成物のペレットを得た。
【0097】[実施例4]PPS(大日本インキ化学工
業(株)製、品名:DSP LR−03G)60重量部
と、タルク(富士タルク工業(株)製、品名:PKP−8
1)20重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで
東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35
B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、
長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを20重
量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得
た。
【0098】[実施例5]PPS(大日本インキ化学工
業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、
タルク(富士タルク工業(株)製、品名:SP−44)4
0重量部、及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変
性PPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次
いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−
35B」を用いて溶融混練し、該組成物のペレットを得
た。
【0099】[実施例6]PPS(大日本インキ化学工
業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、
タルク(富士タルク工業(株)製、品名:SP−44)3
0重量部、及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変
性PPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次
いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−
35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μ
m、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを1
0重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレット
を得た。
【0100】[実施例7]PPS(大日本インキ化学工
業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、
タルク(富士タルク工業(株)製、品名:SP−44)2
0重量部、及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変
性PPE10重量部をタンブラーで均一に混合した。次
いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−
35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μ
m、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを2
0重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレット
を得た。
【0101】[実施例8]PPS(大日本インキ化学工
業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、
タルク(富士タルク工業(株)製、品名:SP−44)2
0重量部、及びPPE10重量部をタンブラーで均一に
混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出
機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから
繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドス
トランドを20重量部供給しながら溶融混練し、該組成
物のペレットを得た。
【0102】[実施例9]PPS(大日本インキ化学工
業(株)製、品名:DSP LR−03G)35重量部、
タルク(富士タルク工業(株)製、品名:SP−44)2
0重量部、参考例2で押し出した無水マレイン酸変性P
PE5重量部、及び炭酸カルシウム粉末(丸尾カルシウ
ム(株)製)20重量部をタンブラーで均一に混合した。
次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM
−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10
μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを
20重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレッ
トを得た。
【0103】[実施例10]PPS(大日本インキ化学
工業(株)製、品名:DSP LR−03G)40重量
部、タルク(富士タルク工業(株)製、品名:SP−4
4)20重量部、参考例2で押し出した無水マレイン酸
変性PPE20重量部をタンブラーで均一に混合した。
次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM
−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10
μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを
20重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレッ
トを得た。
【0104】[実施例11]及び[実施例18] 参考例1で合成したサーモトロピック液晶ポリエステル
樹脂60重量部、タルク(林化成(株)製、品名:UPN
HS−T 0.8)40重量部をタンブラーで均一に
混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出
機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組成物の
ペレットを得た。
【0105】[実施例12]及び[実施例19] 相対粘度が0.9であるポリブチレンテレフタレート樹
脂(合成品)60重量部、タルク(林化成(株)製、品
名:UPN HS−T 0.8)40重量部をタンブラ
ーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付
き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、
該組成物のペレットを得た。
【0106】[実施例13]テレフタル酸、ヘキサメチ
レンジアミン、及びアジピン酸を重合して得た、相対粘
度が2.6(測定溶媒:96%硫酸、試料濃度1g/d
l、測定温度25℃)であり、融点が325℃であるポ
リアミド樹脂(合成品)60重量部、タルク(林化成
(株)製、品名:UPN HS−T 0.8)40重量部
をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機械(株)製
のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて溶
融混練し、該組成物のペレットを得た。
【0107】[実施例14]芳香族ポリサルホン樹脂
(住友化学工業(株)製、品名:スミカエクセルPES4
100P)60重量部、タルク(林化成(株)製、品名:
UPN HS−T0.8)40重量部をタンブラーで均
一に混合した。次いで東芝機械(株)製のベント付き2
軸押出機「TEM−35B」を用いて溶融混練し、該組
成物のペレットを得た。
【0108】[比較例1]及び[比較例7] PPS(大日本インキ化学工業(株)製、品名:DSP
LR−03G)60重量部をタンブラーで均一に混合し
た。次いで東芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「T
EM−35B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径
10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストラン
ドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペ
レットを得た。
【0109】[比較例2]PPS(大日本インキ化学工
業(株)製、品名:DSP LR−03G)50重量部、
及び参考例2で押し出した無水マレイン酸変性PPE1
0重量部をタンブラーで均一に混合した。次いで東芝機
械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35B」を
用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、長さ3
mmのガラス繊維チョップドストランドを40重量部供
給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得た。
【0110】[比較例3]及び[比較例8] 参考例1で合成したサーモトロピック液晶ポリエステル
樹脂60重量部を東芝機械(株)製のベント付き2軸押出
機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダーから
繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドス
トランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該組成
物のペレットを得た。
【0111】[比較例4]相対粘度が0.9であるポリ
ブチレンテレフタレート樹脂(合成品)60重量部を東
芝機械(株)製のベント付き2軸押出機「TEM−35
B」を用いて、サイドフィーダーから繊維径10μm、
長さ3mmのガラス繊維チョップドストランドを40重
量部供給しながら溶融混練し、該組成物のペレットを得
た。
【0112】[比較例5]テレフタル酸、ヘキサメチレ
ンジアミン、及びアジピン酸を重合して得た、相対粘度
が2.6(測定溶媒:96%硫酸、試料濃度1g/d
l、測定温度25℃)であり、融点が325℃であるポ
リアミド樹脂(合成品)60重量部を東芝機械(株)製の
ベント付き2軸押出機「TEM−35B」を用いて、サ
イドフィーダーから繊維径10μm、長さ3mmのガラ
ス繊維チョップドストランドを40重量部供給しながら
溶融混練し、該組成物のペレットを得た。
【0113】[比較例6]芳香族ポリサルホン樹脂(住
友化学工業(株)製、品名:スミカエクセル PES41
00P)60重量部を東芝機械(株)製のベント付き2軸
押出機「TEM−35B」を用いて、サイドフィーダー
から繊維径10μm、長さ3mmのガラス繊維チョップ
ドストランドを40重量部供給しながら溶融混練し、該
組成物のペレットを得た。
【0114】実施例、比較例中の各種特性の測定は以下
の方法により行った。 (1)〔はんだリフロー加熱後の曲げ強度の測定方法〕 該組成物より得られたペレットを用いて射出成形機によ
り、厚さ1.6mmの試験片を成形し、ASTM D7
90に準じて加熱後の曲げ強度を測定した。加熱は実施
例1〜14及び比較例1〜6については赤外線リフロー
装置で行い、実施例15〜19、比較例7及び比較例8
については熱風対流熱伝達リフロー装置で行った。加熱
条件としては、それぞれ180℃で100秒間予備加熱
した後、基体表面が目的温度に到達するまで表1に示す
条件で加熱保持を行った。例えば、基体表面を280℃
まで到達させるためには、200℃以上の領域で100
秒間、220℃以上の領域で90秒間、240℃以上の
領域で80秒間、260℃以上の領域で60秒間となる
ように温度プロファイル(温度曲線)をリフロー装置に
て設定を行い、加熱保持を行う。
【0115】(2)〔はんだ付け時の成形物品の外観評
価方法〕 該組成物より得られたペレットを用いて射出成形機によ
り、形状が縦70mm×横10mm×高さ8mm、0.
8mm厚さの箱形コネクターを成形し、この成形物品を
基板の上に載せて、前述の(1)と同条件で加熱した。
外観評価は加熱後に箱形コネクターを目視観察し、下記
の3段階の基準で評価した。 A;外観に変化は見られない。 B;表面荒れが観測される。 C;融解及び/又は変形が観測される。
【0116】実施例1〜19、比較例1〜8で得た該組
成物のペレットを上記の方法により評価した結果を表2
に示す。
【0117】実施例1は、赤外線加熱方式により、且つ
熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ケイ酸金
属塩(B)としてカオリンを使用した例であるが、基体
の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下は
なく、外観上の変化も認められなかった。
【0118】実施例2は、赤外線加熱方式により、且つ
熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ケイ酸金
属塩(B)としてマイカを使用した例であるが、基体の
表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下はな
く、外観上の変化も認められなかった。
【0119】実施例3〜10は、赤外線加熱方式によ
り、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、
ケイ酸金属塩(B)としてタルクを使用した例である
が、基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度
の低下はなく、外観上の変化も認められなかった。
【0120】実施例11は、赤外線加熱方式により、且
つ熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂を用い、ケイ酸金属塩(B)としてタルク
を使用した例であるが、基体の表面温度が280℃まで
上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認め
られなかった。
【0121】実施例12は、赤外線加熱方式により、且
つ熱可塑性樹脂(A)としてポリブチレンテレフタレー
ト樹脂を用い、ケイ酸金属塩(B)としてタルクを使用
した例であるが、基体の表面温度が260℃においても
溶融しなかった。
【0122】実施例13は、赤外線加熱方式により、且
つ熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド樹脂を用い、ケ
イ酸金属塩(B)としてタルクを使用した例であるが、
基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低
下はなく、外観上の変化も認められなかった。
【0123】実施例14は、赤外線加熱方式により、且
つ熱可塑性樹脂(A)として芳香族ポリサルホン樹脂を
用い、ケイ酸金属塩(B)としてタルクを使用した例で
あるが、基体の表面温度が260℃においても軟化する
現象は認められなかった。
【0124】実施例15は、熱風対流加熱方式により、
且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ケイ
酸金属塩(B)としてカオリンを使用した例であるが、
基体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低
下はなく、外観上の変化も認められなかった。
【0125】実施例16は、熱風対流加熱方式により、
且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ケイ
酸金属塩(B)としてマイカを使用した例であるが、基
体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下
はなく、外観上の変化も認められなかった。
【0126】実施例17は、熱風対流加熱方式により、
且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ケイ
酸金属塩(B)としてタルクを使用した例であるが、基
体の表面温度が280℃まで上昇しても曲げ強度の低下
はなく、外観上の変化も認められなかった。
【0127】実施例18は、熱風対流加熱方式により、
且つ熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポ
リエステル樹脂を用い、ケイ酸金属塩(B)としてタル
クを使用した例であるが、基体の表面温度が280℃ま
で上昇しても曲げ強度の低下はなく、外観上の変化も認
められなかった。
【0128】実施例19は、熱風対流加熱方式により、
且つ熱可塑性樹脂(A)としてポリブチレンテレフタレ
ート樹脂を用い、ケイ酸金属塩(B)としてタルクを使
用した例であるが、基体の表面温度が260℃において
も溶融しなかった。
【0129】比較例1及び比較例2は、赤外線加熱方式
により、且つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用
い、ケイ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体
の表面温度が特に220℃以上において曲げ強度が低下
し、外観でも特に260℃以上において表面荒れが観察
された。
【0130】比較例3は、赤外線加熱方式により、且つ
熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポリエ
ステル樹脂を用い、ケイ酸金属塩(B)を使用しない例
であるが、基体の表面温度が特に220℃以上において
曲げ強度が低下し、外観でも特に280℃下において表
面荒れが観察された。
【0131】比較例4は、赤外線加熱方式により、且つ
熱可塑性樹脂(A)としてポリブチレンテレフタレート
樹脂を用い、ケイ酸金属塩(B)を使用しない例である
が、基体の表面温度が220℃下で大幅に曲げ強度が低
下し、基体の表面温度が220℃で溶融する現象が見ら
れた。
【0132】比較例5は、赤外線加熱方式により、且つ
熱可塑性樹脂(A)としてポリアミド樹脂を用い、ケイ
酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温
度が特に220℃以上において曲げ強度が低下し、外観
でも特に280℃下において表面荒れが観察された。
【0133】比較例6は、赤外線加熱方式により、且つ
熱可塑性樹脂(A)として芳香族ポリサルホン樹脂を用
い、ケイ酸金属塩(B)を使用しない例であるが、基体
の表面温度が220℃で軟化流動化する現象が認められ
た。
【0134】比較例7は、熱風対流加熱方式により、且
つ熱可塑性樹脂(A)としてPPS樹脂を用い、ケイ酸
金属塩(B)を使用しない例であるが、基体の表面温度
が特に220℃以上において曲げ強度が低下し、外観で
も特に260℃以上で表面荒れが観察された。
【0135】比較例8は、熱風対流加熱方式により、且
つ熱可塑性樹脂(A)としてサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂を用い、ケイ酸金属塩(B)を使用しない
例であるが、基体の表面温度が特に220℃以上におい
て曲げ強度が低下し、外観でも280℃下で表面荒れが
観察された。
【0136】
【表1】
【0137】
【表2】
【0138】
【表3】
【0139】
【表4】
【0140】
【表5】
【0141】
【発明の効果】本発明の熱可塑性樹脂成形物品は、優れ
た耐熱性を有し、はんだ付けされる基体が高温下に曝さ
れても、はんだ付け行程後の基体上の成形物品の強度変
化、及び外観変化が非常に小さく、特に電気・電子分野
におけるコネクター、スイッチ、リレー、コイルボビン
等の電子部品の表面実装方式(サーフェスマウント方
式;SMT方式)におけるプリント基板上へのはんだ付
け方法に有効である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA45 AA48 AA51 AA54 AA62 AA64 AB03 AB06 AB07 AB09 AB12 AB18 AB19 AB21 AB24 AB27 AB30 AC16 AD01 AD02 AD05 AH12 BA01 BB05 BC03 4J002 AA011 CF051 CF061 CF071 CF081 CF161 CH073 CL001 CL011 CL031 CL082 CN011 CN031 DA017 DA077 DA097 DA117 DE078 DE097 DE098 DE118 DE138 DE147 DE148 DE187 DE238 DE268 DG048 DG058 DH048 DJ006 DJ008 DJ017 DJ018 DJ036 DJ046 DJ056 DK007 DK008 DL007 DL008 EX019 EX069 EX079 FA042 FA047 FD012 FD017 GQ01

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも成分(A)と成分(B)から
    なる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、
    成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上であ
    る少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)が
    ケイ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体
    の表面温度が220℃以上となる条件下で、該基体には
    んだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物
    品。
  2. 【請求項2】 少なくとも成分(A)と成分(B)から
    なる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、
    成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上であ
    る少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)が
    ケイ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体
    の表面温度が240℃以上となる条件下で、該基体には
    んだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物
    品。
  3. 【請求項3】 少なくとも成分(A)と成分(B)から
    なる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、
    成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上であ
    る少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)が
    ケイ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体
    の表面温度が260℃以上となる条件下で、該基体には
    んだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物
    品。
  4. 【請求項4】 少なくとも成分(A)と成分(B)から
    なる組成物を用いてなる熱可塑性樹脂成形物品であり、
    成分(A)が融点又はガラス転移点が220℃以上であ
    る少なくとも1種の熱可塑性樹脂であり、成分(B)が
    ケイ酸金属塩であり、該組成物がはんだ付けされる基体
    の表面温度が280℃以上となる条件下で、該基体には
    んだ付けされたことを特徴とする熱可塑性樹脂成形物
    品。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリアリーレン
    サルファイド樹脂、サーモトロピック液晶ポリエステル
    樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリアミド
    樹脂、芳香族ポリサルホン樹脂からなる群より選ばれる
    少なくとも1種である請求項1〜4の何れか一項に記載
    の熱可塑性樹脂成形物品。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂(A)が、ポリフェニレン
    サルファイド樹脂である請求項1〜4の何れか一項に記
    載の熱可塑性樹脂成形物品。
  7. 【請求項7】 ケイ酸金属塩(B)の形状が板状である
    請求項1〜6の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物
    品。
  8. 【請求項8】 ケイ酸金属塩(B)が、タルクである請
    求項1〜6の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物
    品。
  9. 【請求項9】 少なくとも成分(A)と成分(B)を含
    有する組成物に、更に繊維状強化材(C−1)及び/又
    は無機質フィラー(C−2)を含んでなる請求項1〜8
    の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。
  10. 【請求項10】 少なくとも成分(A)と成分(B)を
    含有する組成物に、更にシラン化合物(D)を含んでな
    る請求項1〜9の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形
    物品。
  11. 【請求項11】 はんだ付け工程での加熱方式が、赤外
    線方式、熱風方式、熱伝導方式、ベーパーフェイズソル
    ダリング(VPS)方式からなる群より選ばれる少なく
    とも1種による加熱方式を用いる請求項1〜10の何れ
    か一項に記載の熱可塑性樹脂成形物品。
  12. 【請求項12】 はんだ付け工程で、加熱方式として赤
    外線方式を用いる請求項1〜10の何れか一項に記載の
    熱可塑性樹脂成形物品。
  13. 【請求項13】 ポリフェニレンエーテルを含んでなる
    請求項1〜12の何れか一項に記載の熱可塑性樹脂成形
    物品。
  14. 【請求項14】 ポリフェニレンエーテルが、全炭素数
    3〜10(全炭素数とはカルボン酸由来の炭素数を含め
    る)の不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物で
    変性されたポリフェニレンエーテルである請求項13記
    載の熱可塑性樹脂成形物品。
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