JP2003221405A - 呈色性化合物を含有する乳化重合体並びにこれを利用したインキ及びトナー - Google Patents
呈色性化合物を含有する乳化重合体並びにこれを利用したインキ及びトナーInfo
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Abstract
し、消色手段として加熱のみでなく有機溶剤をも利用す
ることができ、耐水性・耐光性に優れている上に、比較
的粒子径が小さく、均一であり、粒子形が球状で均一で
ある乳化重合体を提供する。 【解決手段】 一種又は二種以上のビニル系単量体を少
なくとも原料とする乳化重合体であって、呈色性化合物
と顕色剤とを含有することにより発色していることを特
徴とする乳化重合体。
Description
される呈色性化合物を含有することにより、消色或いは
変色することができる乳化重合体及び該乳化重合体を含
有する筆記具用等のインキ並びに印刷用トナーに関する
ものである。
性化合物を利用したインキが、消色又は変色可能なイン
キとして広く知られている。例えば、特開平7−812
36号公報には、有機溶剤中でいずれも無色のロイコ染
料と顕色剤とを化学反応させることにより生成する有色
化合物を用いたインキが記載されている。該インキ中に
は減感剤も含まれるため、このインキを用いて印字され
た字は、加熱による減感剤の作用により消色される。ま
た、特開平10−287081号公報には、ロイコ染料
と顕色剤を加熱溶融し、放冷後粉砕した粉体を着色剤と
したインキを利用した水性ボールペンの発明について記
載されている。この水性ボールペンにより描かれた筆記
線は、減感剤を含む水を主成分とする剥離液に浸した
後、加熱されることにより消色する。しかし、これらの
インキは、加熱のみによって消色されるものであるた
め、消色手段が限定される。また、ロイコ染料や顕色剤
が溶剤である水に直接接触するため、経時的に褪色して
しまう上、直接日光に晒されるため耐光性も低い、とい
う欠点があった。
載されたロイコ染料は、顕色剤、消色剤と共に樹脂と混
練するので、樹脂のコーティング効果により比較的高い
耐光性を有する。更に、この混練物を含んだインキは、
有機溶剤を用いて樹脂を溶解すると、消色剤が顕色剤と
優先的に化学結合するため、加熱のみでなく有機溶剤に
よっても消色可能であった。しかし、前記インキは、該
混練物をジェットミルで微粉砕して着色剤とするもので
あるため、得られた着色剤の粒子径が比較的大きくて均
一でなく、特に筆記具用のインキに用いた場合、筆感が
悪くなり、トナーに用いた場合は、印刷された画質が粗
くなってしまう。また、該着色剤の粒子形、粒子径が均
一とならないため、インキに用いた場合は、インキの粘
度を注意深く調整しない限り液体のインキ中における分
散性に劣り、トナーに用いた場合は、トナー粒子の帯電
量にムラが生じ、画質が悪くなる等の問題点があった。
目的は、上記課題を解決すべく、呈色性化合物を用いた
場合に、消色手段として加熱のみでなく有機溶剤をも利
用することができ、耐光性に優れている上に、比較的粒
子径が小さくて均一であり、粒子形が球状で均一である
乳化重合体を提供することである。また、本発明の別の
目的は、前記乳化重合体を含む筆記具用等のインキ並び
に印刷用トナーを提供することである。
達成する乳化重合体は、一種又は二種以上のビニル系単
量体を少なくとも原料とする乳化重合体であって、呈色
性化合物と顕色剤とを含有することにより発色している
ことを特徴とする。この際、前記ビニル系単量体が、シ
アノ基含有ビニル系単量体Aと、ヒドロキシル基、カル
ボキシル基、アミノ基、カルバモイル基、スルホン酸
基、リン酸基、並びにこれらの官能基から誘導される基
から選択される一種又は二種以上の基を有するビニル系
単量体Bと、前記ビニル系単量体A,B以外のビニル系
単量体Cとを混合したものであることがよい。更には、
前記呈色性化合物はロイコ染料であることが好ましい。
単量体混合物中における前記シアノ基含有ビニル系単量
体Aの混合割合は、1〜80質量%であって、好ましく
は10〜60質量%混合することがよい。また、単量体
混合物中における前記ビニル系単量体Bの混合割合は、
0.5〜20質量%であって、好ましくは2〜12質量
%混合することがよい。更に、単量体混合物中における
前記ビニル系単量体Cの混合割合は、10〜80質量%
であって、好ましくは35〜70質量%混合することが
よい。また、本発明に係るインキ並びにトナーは、前記
乳化重合体を含有することを特徴とする。この際、上記
インキは、窒素原子を含む重合体である塩基性化合物を
含有してもよい。これにより容易に有機溶剤又は加熱に
よる消色或いは変色することができる。
様を詳細に説明する。まず初めに、本発明の乳化重合体
の原料として使用可能な単量体について詳細に説明す
る。本発明の乳化重合体の原料としては、シアノ基含有
ビニル系単量体(以下ビニル系単量体Aと称す。)と、
シアノ基以外の特定の官能基を有するビニル系単量体
(以下ビニル系単量体Bと称す。)と、前記ビニル系単
量体A,B以外のビニル系単量体(以下ビニル系単量体
Cと称す。)とを混合して使用する。ビニル系単量体A
としては、ビニル系単量体のうち、シアノ基を有するも
のであればよく、例えばアクリロニトリリル、メタクリ
ロニトリル等を使用することができる。ビニル系単量体
Aの混合割合は、単量体混合物中1〜80質量%であ
り、10〜60質量%が好ましい。ビニル系単量体Aの
混合割合が、単量体混合物中80質量%を越えると乳化
重合が困難となり、貯蔵安定性も悪くなる。
の染色性向上機能及び染料受容性(吸着性)を有するも
のであり、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ
基、カルバモイル基、スルホン酸基、リン酸基等の各官
能基、並びに前記官能基から誘導される基、から選ばれ
た一種以上の基を有するビニル系単量体を使用すること
ができる。前記官能基から選ばれた一種以上の基を有す
るビニル系単量体Bとして、具体的には、例えば、アク
リル酸又はメタクリル酸(以下アクリル基又はメタクリ
ル基を総称して(メタ)アクリルと、アクリル酸エステ
ル又はメタクリル酸エステルを総称して(メタ)アクリ
レートと、それぞれ称す。)、β−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレート、ω−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−ブトキシ(メタ)アクリルアミド、ジ
メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリ
ジン、スチレンスルホネート、(メタ)アクリルスルホ
ネート、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホネート、2−ヒドロキシエチルアクリロイル
ホスフェート、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプ
ロピル(メタ)アクリレート等を使用することができ
る。また前記官能基から誘導される基から選ばれた一種
以上の基を有するビニル系単量体Bとしては、例えば、
カルボキシル基又はアミノ基を有する酸又は塩基性の単
量体を中和して得られる塩等が挙げられる。ビニル系単
量体Bは、一種又は二種以上を使用することができ、そ
の混合割合は、単量体混合物中0.5〜20質量%であ
り、2〜12質量%が好ましい。ビニル系単量体Bの混
合割合が0.5質量%未満では、鮮明で且つ高濃度の乳
化重合体が得られず、20質量%を越えると乳化重合が
困難となり、残存単量体が多くなり、強い刺激臭が発生
する。
ル系単量体A及びB以外のビニル系単量体であって、二
重結合以外に反応性基を有せず共重合可能なビニル系単
量体、及び該ビニル系単量体と重合性の不飽和基を二つ
以上有する単量体との混合物である。その中で、二重結
合以外に反応性基を有せず、共重合可能なビニル系単量
体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、プ
ロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチル
アクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアク
リレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアク
リレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルメタク
リレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、デシル
メタクリレート、ドデシルメタクリレート、ベンジルメ
タクリレート、フルフリルメタクリレート等が挙げられ
る。また、上記したビニル系単量体と混合物を形成する
重合性の不飽和基を二つ以上有する単量体としては、例
えば、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパ
ントリ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。ビニル
系単量体Cの混合割合は、単量体混合物中10〜80質
量%が好ましく、更には40〜70質量%が好ましい。
混合割合が10質量%未満の場合は乳化重合が困難とな
り、貯蔵安定性の良好なインキを得難い。また混合割合
が80質量%を越えると、鮮明な乳化重合体が得られ
ず、耐光性にも劣る。以上、本発明の乳化重合体の原料
として使用可能な単量体について詳細に説明した。
から得られる乳化重合体に含有される、本発明に係る呈
色性化合物及び顕色剤について詳細に説明する。本発明
で使用する呈色性化合物は、酸化還元反応や酸塩基反応
等の呈色反応を起こし、特に無色から有色へ可逆的に変
化する化合物であり、具体例としてフェノールフタレイ
ン等も挙げられるが、代表的にはロイコ染料である。こ
のロイコ染料は、例えば、トリフェニルメタン系、ジフ
ェニルメタン系、スピロピラン系、フルオラン系、ロー
ダミンラクタム系等の分子内にラクトン環を有する化合
物であり、それらのうち一種又は二種以上を混合して使
用することができる。これらの化合物としては、例え
ば、「CVL」、「Green DCF」、「Verm
ilion DCF」、「Red DCF」、「Ora
nge DCF」、「TH−106」、「TH−10
7」、「TH−108」、「TH−109」、「CF−
51」、「D.L.M.B.」(以上、保土ヶ谷化学工
業株式会社製、商品名)、「DEBN」、「RED 5
00」、「RED 520」、「S−205」、「Bl
ack 100」、「Black 202」、「Bla
ck305」、「ETAC」、「Blue 220」、
「NIR Black 78」、「Green 30
0」、「PINK 535」(以上、山田化学工業株式
会社製、商品名)、「ODB」、「ODB−2」、「O
DB−7」、「Black−15」、「Black−1
73」、「Blue−63」、「Blue−502」、
「Green−40」、「Red−3」、「Red−4
0」、「MNSP」、「LCV」、「GN−2」、「G
N−169」、「GN−118」(以上、山本化成株式
会社製、商品名)、「PERGASCRIPT RED
I−6B」、「PERGASCRIPT GREEN
I−2GN」(以上、チバ・スペシャリティー・ケミ
カルズ株式会社製、商品名)等を使用することができ
る。
化合物の対となり、呈色性化合物を発色させるものであ
る。この顕色剤として、ロイコ染料に対するものとして
は、例えば、ヒドロキシアセトフェノン系,ヒドロキシ
ベンゾフェノン系,没食子酸エステル系,ベンゼントリ
オール系,ビスフェノール系,トリフェノール系,クレ
ゾール系等の分子内にフェノール性水酸基を有する化合
物か、又はリン酸,リン酸モノエステル,リン酸ジエス
テル等の分子内にリン酸基を有する化合物であり、それ
らのうち一種又は二種以上を混合して使用することがで
きる。これらの化合物のうち、フェノール性水酸基を有
する化合物としては、例えば、ジヒドロキシアセトフェ
ノン、トリヒドロキシアセトフェノン、ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラ
ヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロ安息香酸、ビスフ
ェノール、ヒドロキシフェニルアルキル−ベンゾトリア
ゾール、メチレントリス−p−クレゾール、没食子酸ア
ルキルエステル等を使用することができる。また、リン
酸基を有する化合物としては、モノアルキルリン酸エス
テル、ジアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレン
モノアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンジア
ルキルリン酸エステル等を使用することができる。ここ
で、上記フェノール性水酸基又はリン酸基を有する化合
物は、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ノニル基、ラウリル基、オレイル基、
ステアリル基等を有する。上記リン酸基を有する化合物
の具体例としては、例えば、フォスファノールシリーズ
(東邦化学工業株式会社製、商品名)、プライサーフシ
リーズ(第一工業製薬株式会社製、商品名)、ニューコ
ール 565−PS(日本乳化剤株式会社製、商品名)
等を挙げることができる。
説明する。上述した本発明に係る呈色性化合物及び顕色
剤は、筆記面又は印刷面が紙の場合、多くの紙には消色
能を有するデンプンが含まれるため、該呈色性化合物等
を含む着色剤系(例えば、インキやトナー)が特に消色
剤を含有しなくても、有機溶剤並びに加熱による消色が
可能である。しかし、筆記面等が、デンプンを含まない
紙だったり、ガラスやプラスチック等の場合では、有機
溶剤並びに加熱によっては充分に消色されない。このよ
うな場合には、着色剤系中に別途消色剤を添加すること
によって消色が可能となる。消色剤としては、塩基性化
合物が挙げられる。該消色剤を着色剤系に含有させる方
法としては、乳化重合法等の着色微粒子を作成する方法
と同様の方法による微粒子化や従来公知のマイクロカプ
セル化により、閉鎖系の粒子として着色微粒子と隔離し
て用いる方法がある。また、該着色剤系が液状組成物で
ある場合は、液中に直接消色剤を加える方法も可能であ
る。このうち、着色微粒子と隔離して用いる方法では、
消色剤として、水酸化アルカリ金属塩、水酸化アルカリ
土類金属塩、アルカリ金属アルコキシド等の塩基性水酸
基を有する化合物、尿素及びヒダントイン並びにそれら
の誘導体等の窒素原子を有するルイス塩基化合物が使用
できる。また、液中に直接消色剤を加える方法では、液
中に消色剤が存在することとなるため、消色時とほぼ同
様の状態となり、上記した塩基性水酸基を有する化合物
では塩基度が強いために、着色微粒子が消色されてしま
う。また、ルイス塩基化合物のうち、上記した尿素及び
ヒダントイン並びにそれらの誘導体はインキの色を消さ
ないものの、筆記又は印刷した描線を加熱しても消色効
果が極めて低い。これに対して、窒素原子を含む重合体
を消色剤として用いると、通常の状態ではインキの色を
消さないが、有機溶剤並びに加熱により消色させること
が可能となる。この消色作用を有する窒素原子を含む重
合体である塩基性化合物としては、特に一般式(1)で
示される化合物を挙げることができる。
ルキレン基、フェニレン基、又は−COO−L−,−C
ONH−L−,−CONR−L−で表される基を示す。
ここで、L及びRは炭化水素により構成される基であ
り、R1,R2,R3は水素、炭素、窒素、酸素、硫黄
より選択される原子により構成される基である。ここ
で、L,R,R1,R2,R3は互いに同じであっても
よく、異なっていてもよく、置換基を有するものであっ
てもよい。また、l,m,nは一般式(1)で表される
構成単位を構成する各最小構成単位のモル百分率を示
し、l,mは夫々0〜90までの整数、nは0〜100
までの整数を表し、l+m+n=100となる。〕
部位は、窒素原子を中心とする基である。またX,Y
は、任意の官能基であるが、親水性基及び/又は疎水性
基を導入し、その割合を変えることによって、溶解性を
制御することも可能である。消色剤に使用できる化合物
の具体例としては、例えば、以下にA〜Gの構造式で示
す窒素原子含有重合体を挙げることができる。
リドンであり、GはPUVAシリーズ(大塚化学株式会
社製、商品名)である。また、PUVAシリーズは、紫
外線吸収効果を有するため、水性インキに使用すると紫
外線を吸収し、着色剤の褪色を抑制するので、筆記線の
耐光性を向上させることができる。
従来公知の染料及び/又は顔料が、上述した呈色性化合
物及び顕色剤に加えて使用されてもよい。これらの染料
及び/又は顔料をも含有した乳化重合体は、加熱によ
り、若しくは有機溶剤を用いることで呈色性化合物の色
のみが消色されて、前記通常の染料及び/又は顔料の色
のみが残り、変色されることとなる。染料としては、酸
性染料、塩基性染料及び直接染料を用いることができ
る。そして顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、
キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系等
の有機顔料、カーボンブラック、合成マイカ、酸化チタ
ン、金属微粉末等の無機顔料、乳化重合で得られる球状
微粒子を通常の染料で着色した従来公知の樹脂顔料を用
いることができる。
について詳細に説明する。本発明が適用される乳化重合
体の製造方法としては通常の乳化重合法を採用すること
ができ、界面活性剤の種類やその量等を目的に応じて適
宜選択することによって行われるが、重合温度は50〜
90℃が好ましい。前記界面活性剤としては、例えば、
アルキルベンゼンスルホン酸塩,アルキルフェノールス
ルホン酸塩,アルキルジフェニール環を有するスルホン
酸塩,アルキルアリルスルホン酸のホルマリン縮合物,
アルキルアリルスルホン酸塩のケトン化合物,スルホコ
ハク酸エステル塩,或いはポリオキシエチレンアルキル
スルホネート塩等の陰イオン界面活性剤、並びに、脂肪
酸と、グリセリン,グリコール,ペンタエリスリトー
ル,或いはソルビタン若しくはマンニタン等のエステル
類との縮合化合物、又は、ポリエチレンオキシドと、高
級脂肪酸,高級アルコール,高級アルキルアミン,或い
はアルキルフェノールリン酸との縮合化合物、又は、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンノニルフェノール等の非イオン界面活性剤を
使用することができる。
硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素等を使
用することができ、或いは必要に応じて還元剤を併用す
ることも可能である。
単量体に混合されていてもよいし、乳化重合後に乳化重
合体に着色させてもよい。乳化重合前に混合する場合、
ロイコ染料及び顕色剤は単量体中に分散させることがで
き、界面活性剤を利用すれば水中にも分散させることが
できる。又、その条件に関しては窒素気流中大気圧下若
しくは加圧下で50〜100℃、1〜5時間撹拌状態に
置くのが好ましく、染料の使用量は不揮発分の乳化重合
体100質量部に対して0.01〜10質量部が好まし
く、更には0.1〜5質量部が更に好ましい。また、通
常使用される従来公知の染料及び/又は顔料が、上述の
ロイコ染料及び顕色剤と同様の方法で、ロイコ染料及び
顕色剤と共に或いは単独で、乳化重合前に単量体に混合
されていてもよいし、乳化重合後に乳化重合体に着色さ
せてもよい。以上、本発明に係る乳化重合体の製造方法
について詳細に説明した。
説明する。本発明に係るインキは、上述した乳化重合法
により得られた微粒子分散液(乳化重合体分散液)を、
そのまま使用することができる。また、インキの原料と
して通常用いられる界面活性剤、防腐剤、防錆剤、乾燥
抑制剤、潤滑剤、分散樹脂等の添加剤が、必要に応じ
て、得られた微粒子分散液に添加されてもよい。但し、
本発明の目的に鑑み、呈色性化合物、顕色剤、並びに乳
化重合体と反応したり、発色や消色を妨げるものであっ
てはならない。
消色させる消色用溶剤について詳細に説明する。消色用
溶剤組成物に使用する有機溶剤としては、例えば、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、エ
チルブチルケトン、ジブチルケトン、アセチルアセト
ン、アセトフェノン、2−ペンタノン、3−ペンタノ
ン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−メチル−2
−ブタノン、3,3−ジメチル−2−ブタノン、2,4
−ジメチル−3−ペンタノン、2,6−ジメチル−4−
ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジメ
チルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテ
ル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−
ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ピラ
ン、フラン、メチルフラン、テトラヒドロフラン、エチ
レンオキサイド、プロピレンオキサイド、ジオキサン等
のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソ
アミル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタク
リル酸メチル、メタクリル酸エチル等のエステル系溶
剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール等のア
ルコール系溶剤、2−メトキシエタノール、2−エトキ
シエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のグ
リコールエーテル系溶剤、メチルグリコールアセテー
ト、エチルグリコールアセテート等のグリコールエーテ
ルエステル系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、塩
化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタ
ン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、パークロ
ロエタン、パークロロエチレン、クロロベンゼン等のハ
ロゲン化炭化水素系溶剤、アニリン、トルイジン、ピリ
ジン、ビピリジン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチ
ルスルフォキシド等の含ヘテロ炭化水素系溶剤であり、
このうち一種又は二種以上を混合して使用することがで
きる。その中でも、消色能、人体に対する安全性及び溶
剤の乾燥性等の点から、アセトン、シクロヘキサノン、
1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン
が特に好ましい。
として、揮発性液状アミン又はアミドを使用することが
できる。消色用溶剤組成物に添加する揮発性液状アミン
としては、例えば、モノエチルアミン、ジエチルアミ
ン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミ
ン、アリルアミン、エチレンジアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、
プロパノールアミン、アニリン、ピリジン、ビピリジン
等のアミンを使用することができ、これらのうち一種又
は二種以上を混合して使用することができる。その中で
も、消色能、人体に対する安全性及び溶剤の乾燥性など
の点から、トリエタノールアミンが特に好ましい。更
に、消色用溶剤組成物に添加する揮発性液状アミドとし
ては、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド
を使用することができる。これらの揮発性液状アミン又
はアミドは、一種又は二種以上を混合して使用すること
ができ、消色用溶剤組成物中に、0.1〜10質量%添
加され、好ましくは1〜5質量%添加される。以上、本
発明に係る発色したロイコ染料を消色させる消色用溶剤
について詳細に説明した。
する。 (実施例1)2リットルの四つ口フラスコに冷却管、温
度計、単量体投入用500cc分液ロート、撹拌装置を
取り付け、温水槽中にセットし、イオン交換水400g
を仕込んで内温を80℃まで昇温した。一方、メタクリ
ロニトリル(シアノ基含有ビニル系単量体A)50g、
メタクリル酸(ビニル系単量体B)10g、スチレン
(ビニル系単量体C)150g、FUJI yello
w 3(富士写真フイルム株式会社製、ロイコ染料、商
品名)0.4g、フォスファノールRB410(東邦化
学工業株式会社製、顕色剤、商品名)0.6gからなる
混合物をイオン交換水150g、ドデシルベンゼンスル
ホン酸ソーダ(界面活性剤)4g、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル硫酸ナトリウム(界面活性剤)12g
の混合溶液中に混合撹拌して乳化させ、更に過硫酸アン
モニウム(重合開始剤)1gを溶解させ、これを上記分
液ロートからフラスコ内に撹拌下で3時間に亘って添加
し、5時間で重合を終了した。このようにして、平均粒
子径0.12μm、粘度3.5mPa・s(25℃、1
50s−1)の鮮明な黄色の乳化重合体の微粒子分散液
が得られた。得られた分散液のうち28gは、PVP
K−15(アイエスピー・ジャパン株式会社製、ポリビ
ニルピロリドン、消色剤、商品名)2gを撹拌混合さ
れ、水性黄色インキが得られた。得られた水性黄色イン
キは、市販されている直液マーカー(蛍光スパーキー
1、ゼブラ株式会社製、商品名)と同様の方法でインキ
タンクに充填した後、バルブ組込済み先端カバーを装填
し、ポリエステルペン先及びキャップを嵌着し、水性黄
色マーカーを作成した。作成したマーカーを用いて乾式
PPC用紙(王子製紙株式会社製、商品名)に手書きで
筆記を行った。
に冷却管、温度計、単量体投入用500cc分液ロー
ト、撹拌装置を取り付け、温水槽中にセットし、イオン
交換水500g、ナフタレンスルホン酸ソーダホルマリ
ン縮合物(界面活性剤)5g、ステアリン酸ナトリウム
(界面活性剤)10g、過硫酸カリウム(重合開始剤)
1gを溶解させ内温を80℃まで昇温した。一方、アク
リロニトリル(シアノ基含有ビニル系単量体A)100
g、アクリル酸(ビニル系単量体B)10g、グリシジ
ルメタクリレート(ビニル系単量体B)10g、スチレ
ン(ビニル系単量体C)100g、H−2114(山田
化学株式会社製、ロイコ染料、商品名)0.3g、没食
子酸プロピル(顕色剤)0.6gからなる混合物を混合
撹拌分散させ、これを上記分液ロートからフラスコ内に
撹拌下で3時間に亘って添加し、5時間で重合を終了し
た。このようにして、平均粒子径0.17μm、粘度
3.9mPa・s(25℃、150s−1)の鮮明な緑
色の乳化重合体の微粒子分散液が得られた。得られた分
散液のうち50gは、PVP K−15を2g、キサン
タンガム0.25g加え撹拌混合され、ジェルインキボ
ールペン用インキが得られた。得られたジェルインキボ
ールペン用インキは、市販されているジェルインキボー
ルペン(BW−100、ゼブラ株式会社製、商品名、ス
テンレスボール径0.7mm)と同様の方法で、ポリプ
ロピレン製リフィールに充填した後、ペン先を嵌着し、
尾部よりインキ追従体を適量注入し、遠心機により19
60m・s−2(200G)にて脱泡し、ジェルインキ
ボールペンを作成した。作成したジェルインキボールペ
ンを用いて乾式PPC用紙に手書きで筆記を行った。
に冷却管、温度計、単量体投入用500cc分液ロー
ト、撹拌装置を取り付け、温水槽中にセットし、イオン
交換水400g、スルホコハク酸ソーダ(界面活性剤)
3g、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.5gを溶
解させた。リン酸ジ−n−ブチル(顕色剤)5gに、P
ink535(山田化学株式会社製、ロイコ染料、商品
名)0.4gを加えて加熱溶解させ、フラスコ内に撹拌
混入させ、内温を80℃まで昇温した。一方、アクリロ
ニトリル(シアノ基含有ビニル系単量体A)140g、
2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート(ビニ
ル系単量体B)10g、スチレン(ビニル系単量体C)
50g、ジビニルベンゼン(ビニル単量体C)10gか
らなる単量体の混合溶液を、分液ロートからフラスコ内
に撹拌下で3時間に亘って添加し、5時間で重合を終了
した。このようにして、平均粒子径0.15μm、粘度
3.7mPa・s(25℃、150s−1)の鮮明な桃
色の乳化重合体の微粒子分散液が得られた。得られた分
散液をエバポレーターを用いて蒸発乾固し、桃色微粉体
を得た。2リットルの四つ口フラスコに冷却管、温度
計、単量体投入用500cc分液ロート、撹拌装置を取
り付け、温水槽中にセットし、イオン交換水400g、
スルホコハク酸ソーダ(界面活性剤)3g、過硫酸アン
モニウム(重合開始剤)0.5g、PVP K−15
(ポリビニルピロリドン)20gを加え、内温を80℃
まで昇温した。一方、アクリロニトリル(シアノ基含有
ビニル系単量体A)140g、2−ヒドロキシエチルア
クリロイルホスフェート(ビニル系単量体B)10g、
スチレン(ビニル系単量体C)50g、ジビニルベンゼ
ン(ビニル単量体C)10gからなる単量体の混合溶液
を、分液ロートからフラスコ内に撹拌下で3時間に亘っ
て添加し、5時間で重合を終了した。このようにして、
平均粒子径0.15μm、粘度4.2mPa・s(25
℃、150s−1)の乳白色の乳化重合体の微粒子分散
液が得られた。得られた分散液をエバポレーターを用い
て蒸発乾固し、白色微粉体を得た。上記桃色微粉体60
gと白色微粉体40gは、比表面積200m2/g(B
ET法)の疎水性シリカ0.5gを外添し、乾式トナー
とした。このトナー10gとフェライトキャリアー90
gを混合し、非磁性二成分現像剤とした。この現像剤を
用いて、レーザープリンター(京セラ株式会社製、FS
−600、商品名)で乾式PPC用紙に印刷を行った。
した配合の各原料から、実施例1の方法に従って、乳化
重合体の微粒子分散液を調整した。
式会社製、ロイコ染料、商品名)5g、3,5−ジヒド
ロアセトフェノン 3g、GPPS−673(エーアン
ドエムスチレン株式会社製、ポリスチレン、商品名)2
0gを加熱ニーダーを用いて、加熱混合し、発色した塊
状の顔料を得た。この顔料をジェットミルで粉砕し、分
級により分けられた粒子径5〜10μmの黒色微粉体顔
料を得た。この微粉体顔料15g、PVP K−15
8g、デルトップ(武田製薬株式会社製、防腐剤、商品
名)0.3g、エマルゲン707(花王株式会社製、非
イオン系界面活性剤、商品名)0.8g、キサンタンガ
ム0.6g、イオン交換水75.3gを攪拌器を用いて
撹拌混合し、粘度131mPa・s(25℃、150s
−1)のジェルインキボールペン用インキを得た。この
インキを用いて実施例2と同様にしてジェルインキボー
ルペンを作成し、これを用いて乾式PPC用紙に手書き
で筆記を行った。
した配合の各原料から、実施例1の方法に従って、乳化
重合体の微粒子分散液の調整を試みた。
実施例4〜9及び比較例2〜7の結果、単量体混合物中
の各単量体の配合割合を本願発明の範囲内にした実施例
4〜9では、所望の乳化重合体が得られ、しかもその発
色の状態(表1中、「微粒子分散液の色相」を参照のこ
と。)は鮮明なものであった。対して、単量体混合物中
の各単量体の配合割合を本願発明の範囲外にした比較例
2〜7では、乳化重合体を調整することができず、微粒
子分散液が得られなかった(単量体Aの配合割合が下限
未満であった比較例2,単量体Cの配合割合が下限未満
であった比較例4,単量体Aの配合割合が上限を超えた
比較例5,単量体Bの配合割合が上限を超えた比較例
6)。或いは、乳化重合体を得ることができても、その
発色の状態(表2中、「微粒子分散液の色相」を参照の
こと。)は鮮明なものではなかった(単量体Bの配合割
合が下限未満であった比較例3,単量体Cの配合割合が
上限を超えた比較例7)。
比較例1により得られたインキ及びトナーは、その粒子
径を、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−21
00(株式会社島津製作所製)を使用して測定した。そ
の後、該インキ及びトナーを約半年間、静置した後、再
び粒子径を測定した。静置前後の粒子径を比較し、これ
をもって分散安定性を評価した。
〜2及び比較例1により得られたインキで筆記された描
線及び上記実施例3により得られたトナーで印刷された
描線は、有機溶剤としてアセトンを直接数滴滴下され、
乾燥した後のそれらの線の色が、目視により確認され
た。 (加熱による消色試験)上記描線は、約200℃に加熱
したアイロンを直接押し当てられ、冷却後のそれらの線
の色が、目視により確認された。
施例1〜3により作成されたインキ、トナーによる描線
はいずれも、良好に消色された。その上、該インキ、ト
ナーは分散安定性が高く、微粒子である乳化重合体の粒
子径は約半年間変化がなかった。一方、比較例は、消色
性は良かったものの、分散安定性に劣り、約半年間の静
置により微粒子が凝集したため、粒子径が大きくなった
という結果になった。
重合体はロイコ染料を含有するため、これを利用したイ
ンキ等は、加熱により消色することができる。更に、ロ
イコ染料が乳化重合体の樹脂によりコーティングされて
いるため、本発明の乳化重合体を含有するインキ等に消
色剤を共存させても、直接ロイコ染料に接触しないため
消色することはない。そして、加熱のみでなく有機溶剤
によっても、該乳化重合体を溶解させることで、消色剤
が顕色剤と優先的に結合し、消色することが可能とな
る。更に、該ロイコ染料は、乳化重合体の樹脂によるコ
ーティングにより、直接日光に晒されないため、高い耐
光性を有することとなる。また、ロイコ染料を含有する
微粒子は、粉砕法ではなく、乳化重合により生成される
ため、粒子径が小さく比較的均一である上に、粒子形が
球状で均一なものとなる。これは、該微粒子を液体イン
キに使用した場合、分散性が向上するため、インキの粘
度等にそれほど注意を払わなくても沈殿しないという効
果をもたらす。また、粒子径が小さくなることで筆記面
に強く浸み込むこととなり、筆記線の耐水性が向上する
上、筆感も良くなるという効果も得られる。更に、該微
粒子をトナーに使用した場合も、粒子径が小さく、粒子
形も球状で均一なものが得られ、トナーが潜像に強く且
つ均一に付着されるため、高品質な画像を得ることがで
きる。以上の効果により、これまで、その取扱いが比較
的困難であったロイコ染料の利用範囲が広がることが期
待される。
Claims (7)
- 【請求項1】 一種又は二種以上のビニル系単量体を少
なくとも原料とする乳化重合体であって、呈色性化合物
と顕色剤とを含有することにより発色していることを特
徴とする乳化重合体。 - 【請求項2】 前記ビニル系単量体が、シアノ基含有ビ
ニル系単量体Aと、 ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモ
イル基、スルホン酸基、リン酸基、並びにこれらの官能
基から誘導される基から選択される一種又は二種以上の
基を有するビニル系単量体Bと、 前記ビニル系単量体A,B以外のビニル系単量体Cと、
を混合したビニル系単量体であり、前記呈色性化合物が
ロイコ染料であることを特徴とする請求項1記載の乳化
重合体。 - 【請求項3】 単量体混合物中の前記シアノ基含有ビニ
ル系単量体Aの混合割合が1〜80質量%であって、前
記ビニル系単量体Bの混合割合が0.5〜20質量%で
あって、前記ビニル系単量体Cの混合割合が10〜80
質量%であることを特徴とする請求項2記載の乳化重合
体。 - 【請求項4】 請求項1乃至3の乳化重合体を含有する
ことを特徴とするインキ。 - 【請求項5】 窒素原子を含む重合体である塩基性化合
物を含有し、有機溶剤或いは加熱により容易に消色或い
は変色できることを特徴とする請求項4記載のインキ。 - 【請求項6】 請求項1乃至3の乳化重合体を含有する
ことを特徴とするトナー。 - 【請求項7】 窒素原子を含む重合体である塩基性化合
物を含有し、有機溶剤或いは加熱により容易に消色或い
は変色できることを特徴とする請求項6記載のトナー。
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- 2002-01-31 JP JP2002024207A patent/JP3786193B2/ja not_active Expired - Lifetime
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