JP2003220695A - インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録装置

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JP2003220695A
JP2003220695A JP2002023494A JP2002023494A JP2003220695A JP 2003220695 A JP2003220695 A JP 2003220695A JP 2002023494 A JP2002023494 A JP 2002023494A JP 2002023494 A JP2002023494 A JP 2002023494A JP 2003220695 A JP2003220695 A JP 2003220695A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙を含めた多種用紙に高速記録を行う場
合において、紙粉やゴミ付着によるヘッドのノズルつま
りの発生を防止し、高信頼な印刷を行うことの可能なイ
ンクジェット式記録装置を提供することにある。 【解決手段】 記録媒体搬送機構部を格納する筐体と記
録ヘッドを設置する筐体との間で空気の流れを形成する
ことにより、記録ヘッドを配置した筐体内に紙粉やゴミ
が浸入するのを低減するとともに、記録ヘッドと対向し
て、それぞれ、記録媒体3の裏面と接触する搬送用金属
ガイドを設ける。記録ヘッド4のノズルプレート20を
アース電位、搬送用金属ガイド18には、紙粉の帯電電
荷の極性(プラス)と逆極性(マイナス)の直流電圧を
印加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、印刷データに対応して
インク滴を記録媒体上に吐出するインクジェット式記録
装置に係わり、特に、紙粉やゴミ等によるノズルの目詰
まりのない高信頼なライン記録方式のインクジェット式
記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】印刷データに対応してインク滴を記録媒
体上に吐出することによって記録を行うインクジェット
式記録装置では、記録ヘッドの信頼性を低下させる主要
因として、記録媒体から生じる紙粉やゴミ等の付着を原
因とするノズル詰まりがある。
【0003】記録媒体として用紙を用いた場合の課題
を、図8、図9を用いて説明する。
【0004】図8は、4色分のライン方式のインクジェ
ットヘッド4a,4b,4c,4dを用いた連続紙対応
のインクジェット式記録装置の構造を示す。図8(a)
は、スプロケット(送り穴)を両側に設けた用紙3をト
ラクタ機構40a,40bを用いて搬送する方式を採用
した記録装置の構造を示す。13はインクジェットヘッ
ド4により、用紙3に吐出されたインクの乾燥手段であ
る。8,11は排気装置で、それぞれ、紙粉用のフィル
タ8b,11bと、ファン11a,11bからなる。
【0005】用紙搬送時におけるトラクタピンと、用紙
のスプロケットとの衝撃により、多くの紙粉27が発生
する。紙粉27は、搬送部材との摩擦によって帯電(一
般にはプラス帯電)する。帯電した紙粉を以下、紙粉2
2と称することにする。
【0006】また、用紙としてミシン目を設けたボック
ス紙の場合には、ミシン目と搬送部材との接触によって
も紙粉が発生する。排気パイプ9b,10bを用い、排
気装置8,11に導いたとしても、搬送機構用筐体1内
での紙粉の浮遊を避けることが難しく、数μm長さの紙
粉やゴミが用紙と共にインクジェットヘッド4の近傍に
至る。
【0007】図8(b)は、用紙3の搬送方式として、
ロール紙を2組の搬送ロール6,7によって行うピンレ
ス搬送方式を採用した記録装置の構造を示す。搬送ロー
ル6,7は、それぞれ一対のローラからなり、6b,7
bが押しつけローラであり、ローラ7aの回転速度をロ
ーラ6aの回転速度よりも、わずかに速くすることによ
り用紙にテンションを加えることが出来、ヘッドによる
記録を行うローラ5a,5b間で用紙のたるみ発生を防
止する。
【0008】また、ロール紙3に搬送駆動力を与える2
組の搬送ロール6,7において、用紙と押しつけロール
との摺擦により紙粉が発生する。図8(a)のトラクタ
搬送方式に比べると、紙粉の発生量は約1/5と少ない
ものの、搬送機構用筐体1内での紙粉の浮遊を避けるこ
とが難しく、数μm長さの紙粉やゴミが、用紙と共にヘ
ッド近傍に至る。紙粉の発生位置は搬送ロール6,7が
多く、また、紙粉は帯電(プラス)しているものが多い
のが特徴である。しかしながら、いずれにしても、用紙
を搬送する以上、紙粉の発生は防止出来ない。
【0009】図9は、インクジェットヘッド4の近傍で
の状態を示したものである。インク滴25は、駆動回路
26からの信号がヘッド4に加わることによって、ノズ
ルプレート20に設けられたノズル21から吐出する。
このインクによる文字や画像が、記録ヘッド4の下を微
小間隙(通常1〜3mm)で通過する用紙3に形成され
るわけであるが、図8で説明したように、用紙搬送機構
部にて発生した紙粉22,27やごみ、ほこり等は、用
紙上に付着したり、空気流にのって浮遊して、表面がイ
ンクで濡れたノズルプレート20の表面に付着する。紙
粉やゴミがノズル21の近傍に付着すると、インク滴2
5の吐出方向が変わったり、場合によっては、完全にノ
ズル21が塞がれる現象が生じる。
【0010】表面にコート処理を行った用紙を用い、か
つ、記録ヘッドのシリアル走査ごとに、記録位置の外側
に設けた清掃部材により、ノズルプレート20の表面を
清掃して紙粉やゴミを除去できるシリアル走査記録方式
の場合に比べて、インクジェットヘッドが固定されたラ
イン方式により高速記録を行う場合には、清掃周期が長
くなるため、どうしてもノズル詰まりが生じやすい。
【0011】また、シリアル走査記録方式であっても、
記録媒体として紙粉の出やすい普通紙を用いて記録する
場合には、紙粉量が多くなるため、清掃による除去操作
では間に合わない場合が生じる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
した従来の欠点に鑑み、用紙として普通紙を用いて記録
する場合において、紙粉やゴミ付着によるノズルつまり
の発生を防止し、高信頼なライン記録方式の印刷を行う
ことのできるインクジェット式記録装置を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】基本的に紙粉の出にくい
用紙の選定や紙粉の発生の少ない搬送方式を選んだとし
ても、インクジェットヘッドのノズル詰まりの主要因で
ある紙粉発生そのものを無くすことはできない。
【0014】従って、課題を解決するためには、印刷デ
ータに対応してインク滴を記録媒体上に吐出するインク
ジェット式記録装置が、記録ヘッドが格納された記録ヘ
ッド用筐体と、該記録ヘッドによる記録位置に記録媒体
を搬送し排出するための記録媒体搬送機構部が格納され
た搬送機構用筐体と、前記搬送機構用筐体と前記記録ヘ
ッド用筐体間における記録媒体の搬送路とから構成さ
れ、前記搬送路において、前記記録ヘッド用筐体から前
記搬送機構用筐体へ空気が流れるように、前記搬送機構
用筐体に排気装置を設けることを特徴とする。
【0015】また、印刷データに対応してインク滴を記
録媒体上に吐出するインクジェット式記録装置が、記録
ヘッドが格納された記録ヘッド用筐体と、該記録ヘッド
による記録位置に記録媒体を搬送し排出するための記録
媒体搬送機構部が格納された搬送機構用筐体と、前記搬
送機構用筐体と前記記録ヘッド用筐体間における記録媒
体の搬送路とから構成され、前記搬送路において、前記
記録ヘッド用筐体から前記搬送機構用筐体へ空気が流れ
るように、前記搬送機構用筐体に排気装置、及び前記記
録ヘッド用筐体に吸気装置を設けることを特徴とする。
【0016】また、前記記録ヘッドと前記吸気装置との
間に風向ガイドを設けることにより、前記記録ヘッド用
筐体外部から前記吸気装置により取り込んだ空気が記録
ヘッドに直接当ることを防止することを特徴とする。
【0017】また、印刷データに対応してインク滴を記
録媒体上に吐出するインクジェット式記録装置が、記録
ヘッドが格納された記録ヘッド用筐体と、該記録ヘッド
による記録位置に記録媒体を搬送し排出するための記録
媒体搬送機構部が格納された搬送機構用筐体と、前記搬
送機構用筐体と前記記録ヘッド用筐体間における記録媒
体の搬送路とから構成され、前記搬送機構用筐体に、前
記搬送機構用筐体内の気圧を前記記録ヘッド用筐体内の
気圧よりも低くする減圧手段を設けることを特徴とする
インクジェット式記録装置。
【0018】また、前記記録ヘッド用筐体内での記録媒
体の搬送に従動ロールを用いることを特徴とする。
【0019】また、記録媒体が連続媒体であって、記録
媒体搬送機構部がピンレス搬送方式であることを特徴と
する。
【0020】また、インクジェット式記録装置におい
て、記録ヘッドのノズルプレートと対向して、記録媒体
の搬送用金属ガイドを設け、該搬送用金属ガイドと記録
ヘッドのノズルプレート間に電圧を印加することによ
り、前記記録ヘッドを格納する筐体内に浮遊する、帯電
電荷を有する紙粉やゴミ等に静電気力を生じさせ、用紙
に引きつけられるようにしたことを特徴とする。
【0021】また、前記記録ヘッド用筐体内に浮遊する
紙粉やゴミ等の有する帯電電荷の極性と、逆極性の電圧
を、上記搬送用金属ガイドに印加することを特徴とす
る。
【0022】また、記録ヘッドの上流側で、記録媒体の
表面に付着する紙粉やゴミ等に、上記搬送用金属ガイド
に印加された電圧と逆極性の帯電電荷を付与する電荷付
与手段を設けたことを特徴とする。
【0023】また、電荷付与手段が一対のローラであっ
て、記録媒体が上記一対のローラ間を通過することによ
り、インクが吐出される側の記録媒体表面は上記搬送用
金属ガイドに印加される電圧と逆極性に帯電され、搬送
用金属ガイドと接触する側の記録媒体表面は、上記搬送
用金属ガイドに印加される電圧と同極性に帯電されるよ
うに、上記ローラの表面に形成する材質を選択すること
を特徴とする。
【0024】また、電荷付与手段が一対のコロナ帯電器
から構成され、インクが吐出される側の記録媒体の面と
対向するコロナ帯電器のワイヤには、搬送用金属ガイド
に印加される電圧と逆極性の電圧を印加し、搬送用金属
ガイドと接触する側の記録媒体の面と対向するコロナ帯
電器のワイヤには、搬送用金属ガイドに印加される電圧
と同極性の電圧を印加することを特徴とする。
【0025】また、電荷付与手段が帯電ローラであっ
て、インクが吐出される側の記録媒体の面と接触する側
には、導電性ゴム層が表面に形成された帯電ローラを配
置、記録媒体を挟んで帯電ローラと対面する側には金属
ローラあるいは金属プレートを配置し、帯電ロールに
は、搬送用金属ガイドに印加される電圧と逆極性の直流
電圧を印加するとともに、金属ローラあるいは金属プレ
ートには、アース電位あるいは、上記搬送用金属ガイド
に印加される電圧と同極性の直流電圧を印加することを
特徴とする。
【0026】また、前記記録ヘッド用筐体内において、
記録ヘッドのノズルプレートと対向して記録媒体の搬送
用金属ガイドを設け、該搬送用金属ガイドと記録ヘッド
のノズルプレート間に電圧を印加することにより、前記
記録ヘッド用筐体内に浮遊する帯電電荷を有する紙粉や
ゴミ等に、用紙に引きつけられる静電気力を生じさせる
ようにすることを特徴とする。
【0027】また、記録ヘッド用筐体内に浮遊する紙粉
やゴミ等の有する帯電電荷の極性と逆極性の電圧を、上
記搬送用金属ガイドに印加することを特徴とする。
【0028】更に、搬送機構用筐体から記録ヘッド用筐
体への記録媒体の搬入口の近傍において、記録媒体や記
録媒体の表面に付着する記録媒体構成物の微粉やゴミ等
に所定の帯電極性の電荷を付与する電荷付与手段を設け
たことを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】(実施例1)図1は、本発明の実
施例を説明する図である。
【0030】インクジェット式記録装置は、ロール用紙
3を2組の駆動搬送ロール6,7から構成されるピンレ
スの記録媒体搬送機構部が設置された搬送機構用筐体1
と記録ヘッド4が設置された記録ヘッド用筐体2から構
成される。用紙3は搬送機構部が設置された搬送機構用
筐体1に設けられた開口部12aから、記録ヘッド4
a,4b,4c,4dが配置された記録ヘッド用筐体2
に搬入され、開口部12bから搬出される。14,15
は、記録ヘッド用筐体2に設けられた空気取り入れ口で
ある。ファン14a,14bとフィルタ15a,15b
からなり、フィルタによってゴミ等が除去された清浄空
気が装置内に取り込まれる。また、直接記録ヘッドに清
浄空気が流れ込まないように、風向ガイド41をファン
と記録ヘッドの間に設ける。
【0031】一方、記録媒体搬送機構部が設置された搬
送機構用筐体1には、空気排出口8,11を設ける。9
a,10aは開口部12aから空気を引き込むためのパ
イプであり、9b,10bは、それぞれ、駆動搬送ロー
ル6,7で生じた紙粉を集めて空気排出口8,11に送
るためのパイプである。また、記録ヘッド用筐体部2の
搬送ロール5は、用紙の移動に従動して回転する従動ロ
ーラである。
【0032】以上の構成とすることにより、空気の流れ
は、矢印16a,16bで示すように、記録ヘッド用筐
体2から搬送機構用筐体1に向かう流れとなり、記録媒
体搬送機構部にて生じた紙粉22,27、ゴミ32等は
記録ヘッド用筐体2に入りにくい構造となる。空気の流
れ16a,16bは一種のエアカーテンの作用を示す。
【0033】また、記録ヘッド用筐体2内では用紙と送
りローラ間で摺擦が生じないため、新たな紙粉、ゴミの
発生はない。この結果、記録ヘッド用筐体2内での紙粉
やゴミの量を大幅に低減することができるため、記録ヘ
ッド4a,4b,4c,4dへの紙粉やゴミの付着が要
因となって生じるノズル詰まり現象を防止することが出
来る。
【0034】図1では、用紙搬送方式としてピンレス搬
送方式を採用したが、トラクタ搬送方式であっても同じ
ような効果が得られることは言うまでもない。
【0035】また、本実施例では、搬送機構用筐体1と
記録ヘッド用筐体2の両方にファンを設けた構成にて説
明したが、搬送機構用筐体1と記録ヘッド用筐体2のど
ちらか一方のみにファンを設ける構成としても良い。
【0036】尚、本実施例ではファンを設け、気流を生
じさせる構成としたが、搬送機構用筐体1内と記録ヘッ
ド用筐体2内とに気圧差を設け、これを利用する構成で
も良い。この場合、搬送機構用筐体1内の気圧を相対的
に記録ヘッド用筐体2内よりも低くすれば良く、搬送機
構用筐体1に減圧装置を設けることで、記録ヘッド用筐
体2から搬送機構用筐体1へ空気の流れが生じ、記録ヘ
ッド用筐体2内での紙粉やゴミの量を大幅に低減するこ
とを可能とする。
【0037】(実施例2)別の実施例を図2、図3を用
いて説明する。
【0038】使用する用紙が、LBP等で用いている普
通紙や再生紙の場合、インクジェット用の表面コート紙
に比べて紙粉が多く、実施例1で説明した図1の装置構
成では、わずかに、記録ヘッド用筐体2に紙粉が浸入す
る可能性がある。本実施例では、このような場合の解決
策を示す。
【0039】図2は、実施例2の装置の構成図を示す。
図1との違いは、記録ヘッド4a,4b,4c,4dと
対向して、それぞれ、記録媒体3の裏面と接触する搬送
用金属ガイド18a,18b,18c,18dを設け、
これに電源19が接続されている点である。
【0040】図3を用いて詳細に説明する。一般に、用
紙は搬送系の搬送ローラとの摩擦により帯電される。搬
送ローラは表面がゴム層であったり、金属ロールである
が、いずれも、摩擦帯電系列からすると、用紙はプラス
帯電する(紙粉は用紙を構成する繊維が切断されて出来
る短繊維であり、一般にプラスに帯電する)。
【0041】ノズルプレート20を金属としてアース電
位とし、一方、記録媒体3の裏面と接触する搬送用金属
ガイド18には、電源19(直流電源23とスイッチ2
4)により、−1〜−1.5kVの負極性の直流電圧を
印加する。
【0042】この結果、記録ヘッド4と搬送用金属ガイ
ド18の間には、図3に示すような矢印方向に電界Eが
働く。用紙上あるいは、用紙の近傍に浮遊するプラス帯
電した紙粉22はヘッド近傍に至ると、電界Eとの相互
作用により、紙粉22には用紙面に付着するような静電
力Fが働くため、用紙面に付着して記録ヘッド4の下を
通過するため、紙粉22がヘッドのノズル方向に移動す
ることがなく、従って、ノズル詰まりの発生が無い高信
頼な記録が行われる。
【0043】尚、常時直流電圧23を印加する必要は無
く、印刷時にスイッチ24により印加すれば良い。ま
た、電圧23は定電圧である必要が無く、パルス電圧で
もよく、更に、平均的に負極性であれば、プラス極性の
パルス波形が入って交番電流でも紙粉を用紙上に付着さ
せる効果をもたらす。
【0044】なお、図2では電荷付与手段16を搬送機
構用筐体1内に設けたが、記録ヘッド用筐体2であっ
て、ヘッド4の設置位置の上流側に設けても良いことは
言うまでもない。 (実施例3)別の実施例を、図2〜図4を用いて説明す
る。
【0045】実施例2で述べたように、紙粉は搬送系の
搬送ローラとの摩擦により一般に、プラスに帯電されて
いる。しかし、梅雨時等、記録装置内の湿度が高い場合
や記録装置が比較的湿度の低い状態であっても、休止状
態で長時間放置されると、帯電電荷がリークして電荷を
失った紙粉も混在するようになる。
【0046】図2に示すように、用紙搬送方向から見
て、記録ヘッドの上流側に紙粉をプラスに帯電するため
の電荷付与手段17を設ける。帯電付与手段の構造を図
4に示す。プラス電荷を有する紙粉22、電荷を持たな
い紙粉27が表面に付いた用紙を一対のローラ28,2
9間を通過させる。いずれも金属ローラ上に表面被覆層
を設けたもので、上側のロール28の被覆材料28aの
仕事関数を下側ロール29の被覆材料29aの仕事関数
よりも小さくすることにより、ローラの表面材質と用紙
との摩擦帯電系列から、用紙のヘッド側の面の摩擦帯電
極性をプラス、反対側の面の摩擦帯電極性をマイナスに
することができる。具体的には28aをネオプレンゴ
ム、29aをカーボンファイバ入りポリアセタール樹脂
とする。
【0047】この結果、用紙のヘッド側の面はプラス、
反対側の面はマイナスに帯電し、結果として電荷を持た
ない(リークにより電荷を失った紙粉も含む)紙粉27
も、ローラ28,29間を通過後はプラス帯電された紙
粉22となる。
【0048】この結果、紙粉の発生しやすい用紙を用い
た場合や、湿度の高い環境条件下でも、紙粉はプラス極
性に帯電された状態で、図2の記録ヘッド用筐体2に送
り込むことが出来る。この電荷付与手段は新たな電源を
必要としない簡便な方法である。図3と同じ構成にして
おけば、搬送用金属ガイド18には、電源19により、
−1〜−1.5kVの負極性の直流電圧が印加されてい
るが、用紙の裏面はマイナスに帯電しているので用紙3
自身が搬送用金属ガイド18に吸着することがないた
め、用紙の走行に悪影響を及ぼすこともない。用紙上あ
るいは、用紙の近傍に浮遊するプラス帯電した紙粉22
はヘッド近傍に至ると、電界Eとの相互作用により、紙
粉22には用紙面に付着するような静電力Fが働くた
め、用紙面に付着して記録ヘッド4の下を通過し、紙粉
22がヘッドのノズル方向に移動することがなく、従っ
て、ノズル詰まりの発生が無い高信頼な記録が行われ
る。
【0049】以上の結果、実施例2に比べて、用紙種や
環境変化に左右されない高信頼な記録が安定に行うこと
が出来る。 (実施例4)別の実施例を図5を用いて説明する。
【0050】ヘッドのノズル詰まりの要因となるもの
に、紙粉以外に、ゴミやほこり等、電荷を持たないもの
やマイナスに帯電しているものも予想される。このた
め、電荷付与手段17として、コロナ放電により生じる
電荷を付与する方法がある。
【0051】図5(a)はプラスのコロナ帯電器30を
配置したもので、コロナ帯電器30と対向電極31間で
コロナ放電を生じさせ、用紙3上にプラス電荷を付与す
る。この結果、用紙上や近傍に浮遊する紙粉22,27
あるいは、ゴミ等の異物32はプラス電荷を得て用紙3
上に付着し、記録ヘッド用筐体2に送られる。33はプ
ラス帯電されたゴミ等の異物を示す。図5(b)は対向
電極31の替わりにマイナスのコロナ帯電器34を配置
したものであり、図5(a)と同様の効果を得ることが
できる。
【0052】実施例3に比べて、新たな電源(±5〜±
6kV)が必要となるが、コロナ帯電器に印加する電圧
あるいは電流を制御することにより、電荷付与量を用紙
種や環境条件によって変えることが出来、また、用紙に
対して非接触で行えるメリットもある。 (実施例5)別の実施例を図6を用いて説明する。電荷
付与手段17として、ローラ帯電器を用いる方法であ
る。導電性ゴム層35aを金属ローラ35bの表面に形
成した帯電ローラ35と金属ローラ36の一対のローラ
間に用紙3を通過させる。帯電ローラ35には直流電源
37により、+1.5kVの直流電圧を印加する。実施
例4に比べて電圧が低く、オゾンの発生量が少ないとい
うメリットがある。一方、定期的に帯電ローラの清掃が
必要になる。 (実施例6)別の実施例を図7を用いて説明する。実施
例2との違いは、記録ヘッド4の上流側に、アース電位
の金属プレート38を配置すると共に、用紙3の裏面と
接触する搬送用金属ガイド18を金属プレート38と対
向する位置まで延長したことである。これにより、用紙
3が記録ヘッド4の下に至る手前の段階で、用紙3には
図7に示すような矢印方向に電界Eが働く期間を確保で
きるため、記録速度が速くなっても、充分、用紙上ある
いは、用紙の近傍に浮遊する紙粉22を電界により用紙
面に付着させることができる。このため、高速印刷機に
おいても紙粉22やゴミ等の異物33がヘッドのノズル
方向に移動するのを防ぎ、ノズル詰まりの発生がなく、
記録を行うことができる。 (実施例7)別の実施例を図2を用いて説明する。記録
ヘッド4により記録媒体3上にインク画像が形成された
後、記録媒体3は通路用開口部12bを通って搬送機構
用筐体に入る。記録媒体3が搬送機構用筐体に入った位
置に除電手段(図示しない)を設け、記録媒体3上の電
荷を除去する。これにより、静電気力が原因となる高速
用紙搬送の不具合を低減する効果がある。
【0053】
【発明の効果】記録媒体の搬送路において、記録ヘッド
用筐体から搬送機構用筐体に向かって空気の流れが存在
することにより、搬送機構用筐体内にて生じた紙粉やゴ
ミ等が、記録ヘッド用筐体内へ入り込むことを大幅に低
減することが出来、また、記録ヘッド用筐体の用紙搬送
手段を従動ローラ駆動とすることで、用紙と送りローラ
間で摺擦が生じず、新たな紙粉やゴミの発生を防止す
る。
【0054】また、完全に除去できずに用紙上に付着し
て紙粉やゴミが、搬送機構用筐体内から記録ヘッド用筐
体内へ持ち込まれても、搬送用金属ガイドにより紙粉や
ゴミが帯電され、かつ、この電荷とヘッドと搬送用金属
ガイド間に働く静電気力の作用により、紙粉やゴミは用
紙の表面に付着する。従って、紙粉の舞い上がりがな
く、用紙表面に付着した状態で記録ヘッドの下を通過
し、紙粉やゴミがノズルプレートに付着すること無く、
ノズル詰まりの発生を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例であるインクジェット式記録
装置の構造を示す図である。
【図2】 本発明の別の実施例であるインクジェット式
記録装置の構造を示す図である。
【図3】 本発明のヘッド取り付け部周辺の構成を説明
する図である。
【図4】 本発明で用いる電荷付与手段として、摩擦帯
電を利用する方法を示す図である。
【図5】 本発明で用いる電荷付与手段として、コロナ
帯電を利用する方法を示す図である。
【図6】 本発明で用いる電荷付与手段として、ローラ
帯電を利用する方法を示す図である。
【図7】 本発明のヘッド取り付け部周辺の別の構成を
説明する図である。
【図8】 従来のインクジェット式記録装置の構造を示
す図である。
【図9】 ヘッドのノズル詰まりを説明する図である。
【符号の説明】
1は搬送機構用筐体、2は記録ヘッド用筐体、3は記録
媒体(用紙)、4はインクジェットヘッド、6,7は駆
動搬送ロール、12は記録媒体の通過用開口部、16は
開口部における空気の流れ方向、17は電荷付与手段、
18は搬送用金属ガイド、19は搬送用金属ガイドへの
電圧印加用電源、20はノズルプレート、21はノズ
ル、22は帯電電荷を持つ紙粉、25はインク滴、27
は帯電電荷を持たない紙粉、28,29は摩擦帯電手
段、30,34はコロナ帯電器、32は帯電電荷を持た
ないゴミやホコリ、33は帯電電荷を持つゴミやホコ
リ、38は金属プレート、40はトラクタ搬送手段、4
1は風向ガイドである。
フロントページの続き (72)発明者 町田 治 茨城県ひたちなか市武田1060番地 日立工 機株式会社内 Fターム(参考) 2C056 EA16 EC12 EC28 HA29 HA33 KD10

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】印刷データに対応してインク滴を記録媒体
    上に吐出するインクジェット式記録装置が、記録ヘッド
    が格納された記録ヘッド用筐体と、該記録ヘッドによる
    記録位置に記録媒体を搬送し排出するための記録媒体搬
    送機構部が格納された搬送機構用筐体と、前記搬送機構
    用筐体と前記記録ヘッド用筐体間における記録媒体の搬
    送路とから構成され、前記搬送路において、前記記録ヘ
    ッド用筐体から前記搬送機構用筐体へ空気が流れるよう
    に、前記搬送機構用筐体に排気装置を設けることを特徴
    とするインクジェット式記録装置。
  2. 【請求項2】印刷データに対応してインク滴を記録媒体
    上に吐出するインクジェット式記録装置が、記録ヘッド
    が格納された記録ヘッド用筐体と、該記録ヘッドによる
    記録位置に記録媒体を搬送し排出するための記録媒体搬
    送機構部が格納された搬送機構用筐体と、前記搬送機構
    用筐体と前記記録ヘッド用筐体間における記録媒体の搬
    送路とから構成され、前記搬送路において、前記記録ヘ
    ッド用筐体から前記搬送機構用筐体へ空気が流れるよう
    に、前記搬送機構用筐体に排気装置、及び前記記録ヘッ
    ド用筐体に吸気装置を設けることを特徴とするインクジ
    ェット式記録装置。
  3. 【請求項3】前記記録ヘッドと前記吸気装置との間に風
    向ガイドを設けることにより、前記記録ヘッド用筐体外
    部から前記吸気装置により取り込んだ空気が記録ヘッド
    に直接当ることを防止することを特徴とする請求項2記
    載のインクジェット式記録装置。
  4. 【請求項4】印刷データに対応してインク滴を記録媒体
    上に吐出するインクジェット式記録装置が、記録ヘッド
    が格納された記録ヘッド用筐体と、該記録ヘッドによる
    記録位置に記録媒体を搬送し排出するための記録媒体搬
    送機構部が格納された搬送機構用筐体と、前記搬送機構
    用筐体と前記記録ヘッド用筐体間における記録媒体の搬
    送路とから構成され、前記搬送機構用筐体に、前記搬送
    機構用筐体内の気圧を前記記録ヘッド用筐体内の気圧よ
    りも低くする減圧手段を設けることを特徴とするインク
    ジェット式記録装置。
  5. 【請求項5】前記記録ヘッド用筐体内での記録媒体の搬
    送に従動ロールを用いることを特徴とする請求項1乃至
    4記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】記録媒体が連続媒体であって、記録媒体搬
    送機構部がピンレス搬送方式であることを特徴とする請
    求項1乃至5記載のインクジェット記録装置。
  7. 【請求項7】インクジェット式記録装置において、記録
    ヘッドのノズルプレートと対向して、記録媒体の搬送用
    金属ガイドを設け、該搬送用金属ガイドと記録ヘッドの
    ノズルプレート間に電圧を印加することにより、前記記
    録ヘッドを格納する筐体内に浮遊する、帯電電荷を有す
    る紙粉やゴミ等に静電気力を生じさせ、用紙に引きつけ
    られるようにしたことを特徴とするインクジェット式記
    録装置。
  8. 【請求項8】前記記録ヘッド用筐体内に浮遊する紙粉や
    ゴミ等の有する帯電電荷の極性と、逆極性の電圧を、上
    記搬送用金属ガイドに印加することを特徴とする請求項
    7記載のインクジェット式記録装置。
  9. 【請求項9】記録ヘッドの上流側で、記録媒体の表面に
    付着する紙粉やゴミ等に、上記搬送用金属ガイドに印加
    された電圧と逆極性の帯電電荷を付与する電荷付与手段
    を設けたことを特徴とする請求項8項載のインクジェッ
    ト式記録装置。
  10. 【請求項10】電荷付与手段が一対のローラであって、
    記録媒体が上記一対のローラ間を通過することにより、
    インクが吐出される側の記録媒体表面は上記搬送用金属
    ガイドに印加される電圧と逆極性に帯電され、搬送用金
    属ガイドと接触する側の記録媒体表面は、上記搬送用金
    属ガイドに印加される電圧と同極性に帯電されるよう
    に、上記ローラの表面に形成する材質を選択することを
    特徴とする請求項9記載のインクジェット式記録装置。
  11. 【請求項11】電荷付与手段が一対のコロナ帯電器から
    構成され、インクが吐出される側の記録媒体の面と対向
    するコロナ帯電器のワイヤには、搬送用金属ガイドに印
    加される電圧と逆極性の電圧を印加し、搬送用金属ガイ
    ドと接触する側の記録媒体の面と対向するコロナ帯電器
    のワイヤには、搬送用金属ガイドに印加される電圧と同
    極性の電圧を印加することを特徴とする請求項9記載の
    インクジェット式記録装置。
  12. 【請求項12】電荷付与手段が帯電ローラであって、イ
    ンクが吐出される側の記録媒体の面と接触する側には、
    導電性ゴム層が表面に形成された帯電ローラを配置、記
    録媒体を挟んで帯電ローラと対面する側には金属ローラ
    あるいは金属プレートを配置し、帯電ロールには、搬送
    用金属ガイドに印加される電圧と逆極性の直流電圧を印
    加するとともに、金属ローラあるいは金属プレートに
    は、アース電位あるいは、上記搬送用金属ガイドに印加
    される電圧と同極性の直流電圧を印加することを特徴と
    する請求項9記載のインクジェット式記録装置。
  13. 【請求項13】前記記録ヘッド用筐体内において、記録
    ヘッドのノズルプレートと対向して記録媒体の搬送用金
    属ガイドを設け、該搬送用金属ガイドと記録ヘッドのノ
    ズルプレート間に電圧を印加することにより、前記記録
    ヘッド用筐体内に浮遊する帯電電荷を有する紙粉やゴミ
    等に、用紙に引きつけられる静電気力を生じさせるよう
    にすることを特徴とする請求項1乃至6記載のインクジ
    ェット式記録装置。
  14. 【請求項14】記録ヘッド用筐体内に浮遊する紙粉やゴ
    ミ等の有する帯電電荷の極性と逆極性の電圧を、上記搬
    送用金属ガイドに印加することを特徴とする請求項1乃
    至6記載のインクジェット式記録装置。
  15. 【請求項15】搬送機構用筐体から記録ヘッド用筐体へ
    の記録媒体の搬入口の近傍において、記録媒体や記録媒
    体の表面に付着する記録媒体構成物の微粉やゴミ等に所
    定の帯電極性の電荷を付与する電荷付与手段を設けたこ
    とを特徴とする請求項1乃至6記載のインクジェット式
    記録装置。
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