JP2003214745A - 冷蔵庫 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 三方弁など冷媒流路切換装置での流路切り換
え時における異音の発生を抑制した冷蔵庫を提供する。 【解決手段】 能力可変型の圧縮機14および流路切換装
置16に接続された冷蔵側回路21と、冷蔵側回路と並列に
接続された冷凍側回路22で形成した冷凍サイクル20と、
流路切換装置により冷蔵側回路と冷凍側回路とに交互に
流路を切り換えて各々独立して冷却制御するとともに、
冷凍側回路冷却後の冷蔵回路冷却運転の前に双方への冷
媒の流れを遮断して所定時間圧縮機を運転する制御をお
こない、前記冷媒流を遮断しておこなう運転およびこれ
に続く冷蔵側冷却運転の一定時間までは圧縮機を低回転
数で運転したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵室と冷凍室の
冷却を流路切換装置によりそれぞれ交互におこなう冷蔵
庫に係り、特に冷凍回路側から冷蔵回路側運転への冷媒
流路切り換え時にポンプダウン運転をおこなうものに関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来の冷蔵庫は、図３にその冷凍サイク
ルを示すように、冷媒を圧縮し吐出する圧縮機（14）と
して能力可変型のものを用い、これに凝縮器（15）、三
方弁（16）からなる冷媒流路切換装置、および第１の絞
り装置（17）と冷蔵用蒸発器（12）を接続し、前記第１
の絞り装置（17）および冷蔵用蒸発器（12）と並列に第
２の絞り装置（18）と冷凍用蒸発器（10）、アキュムレ
ータ、および逆止弁（19）を接続して冷凍サイクル（2
0）を構成している。

【０００３】そして、冷蔵室、冷凍室に設けられた図示
しない庫内温度センサーの検知温度により、前記流路切
換装置（16）によって第１の絞り装置（17）と冷蔵用蒸
発器（12）の冷蔵側回路（21）と、第２の絞り装置（1
8）と冷凍用蒸発器（10）、アキュムレータ、および逆
止弁（19）からなる冷凍側回路（22）とに交互に冷媒流
路を切り換えて運転するとともに、前記冷蔵用蒸発器
（12）および冷凍用蒸発器（10）にそれぞれ配設された
庫内冷却ファン（13）（11）の回転によって、冷蔵室空
間および冷凍室空間の各々を独立して冷却制御してい
る。

【０００４】前記冷却制御は、図５に示すように、前記
各庫内温度センサーの検知温度と、冷蔵および冷凍それ
ぞれの庫内設定温度と、現在の圧縮機やファンの回転数
などの運転状態とから補正計算をおこない、庫内の熱負
荷により冷凍能力を可変させて冷蔵冷却と冷凍冷却交互
の冷却運転をおこなうとともに、冷凍側回路（22）の冷
却運転から冷蔵側回路（21）への運転切り換え時には、
一定時間、例えば９０秒間三方弁（16）を遮断し冷蔵側
回路（21）にも冷凍側回路（22）にも冷媒を流さない状
態にして圧縮機（14）を運転するいわゆるポンプダウン
運転を実施し、その後冷蔵側回路（21）へ冷媒を流して
冷蔵空間の冷却をおこなうようにしている。

【０００５】ポンプダウン運転により、三方弁（16）か
ら低圧側の蒸発器（10）（12）などに滞留している冷媒
を吸引して強制的に高圧側である凝縮器（15）に移動さ
せることで、ポンプダウン後はすみやかに冷蔵用蒸発器
（12）に冷媒が供給されるため、冷媒循環量が保持され
冷蔵空間の冷却効率を向上できる利点がある。

【０００６】このポンプダウン運転を実施している間、
およびその後の圧縮機の運転回転数はそのときの庫内温
度センサーによる補正計算のままでおこなっている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この運
転制御では、冷蔵庫の周囲温度が高温の場合や庫内に高
温の食品を投入したときなど、圧縮機（14）の回転数が
高いときにその回転数のまま前記ポンプダウン運転をお
こなうと、ポンプダウン運転後に冷蔵側の冷却運転をお
こなうべく三方弁（16）を冷蔵側回路（21）に切り換え
た場合には、ポンプダウン運転によって凝縮器（15）に
溜められていた冷媒が、滞留冷媒が吸引されて空隙状態
になった蒸発器（12）内に、高回転の圧縮機（14）によ
って大量に押し込まれることになる。

【０００８】この結果、図４に破線で示すように、冷蔵
運転を開始して約３０秒後の時点から３０秒〜１分間程
度は冷媒流による騒音値が急激に大きくなり、また間欠
的な冷媒流異音の発生により使用者に聴感上の不快感を
与えていた。

【０００９】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
であり、三方弁など冷媒流路切換装置での流路切り換え
時における異音の発生を抑制した冷蔵庫を提供すること
を目的とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、請求項１記載の冷蔵庫は、能力可変型の圧縮機、凝
縮器および流路切換装置に接続された第１の絞り装置お
よび冷蔵用蒸発器からなる冷蔵側回路と、前記流路切換
装置から第１の絞り装置および冷蔵用蒸発器と並列に接
続された第２の絞り装置と冷凍用蒸発器およびアキュム
レータ、逆止弁からなる冷凍側回路で形成した冷凍サイ
クルと、前記流路切換装置により冷蔵側回路と冷凍側回
路とに交互に流路を切り換えて各々独立して冷却制御す
るとともに、冷凍側回路冷却後の冷蔵回路冷却運転の前
に双方への冷媒の流れを遮断して所定時間圧縮機を運転
する制御をおこない、前記冷媒流を遮断しておこなう運
転およびこれに続く冷蔵側冷却運転の一定時間までは圧
縮機を低回転数で運転したことを特徴とするものであ
る。

【００１１】この構成により、冷蔵側冷却運転の前に
は、いわゆるポンプダウン運転により蒸発器に滞留して
いる冷媒を高圧側である凝縮器に強制的に移動させ、冷
却運転開始時にはすみやかに冷蔵用蒸発器に冷媒が供給
されるため、冷媒循環量を保持し冷却効率を向上できる
利点が得られるとともに、ポンプダウン運転前に比較し
て、冷蔵運転の開始後における冷媒流による高い騒音を
ほとんど発生させず間欠音も低くすることができ、発生
異音に対する使用者の不快感を大幅に低減して引き続き
すみやかに通常の冷却運転に移行することができる。

【００１２】請求項２の発明は、低回転数運転時におけ
る圧縮機の通常運転時に対する回転数の下げ幅を所定値
以内としたことを特徴とするものであり、使用者は違和
感を受けることなく、異音をほとんど抑えることができ
る。

【００１３】請求項３記載の発明は、回転数を下げたと
きの圧縮機の回転数により圧縮機の低回転数運転時間を
可変することを特徴とするものであり、低回転数での運
転を短時間にすることができ、すみやかに本来の通常回
転数に戻して適正な冷却力を得ることができる。

【００１４】請求項４記載の発明は、圧縮機の低回転数
運転時には、庫内冷却ファンの回転数を高くしたことを
特徴とするものであり、ファンの回転音により間欠発生
する冷媒流異音をマスキングすることにより使用者にお
ける聴感を低くし不快感を抑制することができる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の一実
施形態について説明する。図２は、冷蔵庫の縦断面図で
あり、断熱箱体で形成された冷蔵庫本体（１）の内部を
貯蔵空間として最上部に冷蔵室（２）、その下方に野菜
室（３）、最下部には冷凍室（４）をそれぞれ独立して
配置し、この冷凍室（４）と野菜室（３）との間には断
熱仕切壁（５）を介して自動製氷室（６）と、図示しな
い多温度切替室とを左右に併置しており、各貯蔵室の前
面開口には各々専用の扉（７）を設けて開閉自在に閉塞
している。

【００１６】冷凍室（４）の後部には、冷却器室（８）
を設けて冷凍室や製氷室用の蒸発器（10）および冷却フ
ァン（11）を配置し、野菜室（３）の背面には冷蔵室
（２）と野菜室（３）とを冷却する冷蔵温度用の蒸発器
（12）および冷却ファン（13）を設け、本体下部の機械
室（９）に設置した冷媒圧縮機（14）の駆動により、前
記蒸発器（10）（12）で冷却された冷気を冷却ファン
（11）（13）の回転で各室に送風してそれぞれの貯蔵室
を所定温度に冷却制御するものである。

【００１７】前記各貯蔵室は、図３に示すように、高温
高圧の冷媒ガスを吐出する圧縮機（14）、冷媒ガスを放
熱液化する凝縮器（15）、冷媒流路の切換装置である三
方弁（16）から、第１の絞り装置（17）と高温側である
冷蔵用蒸発器（12）とを直列に接続して前記圧縮機（1
4）に戻す回路を形成するとともに、前記三方弁（16）
から前記第１の絞り装置（17）と高温側蒸発器（12）か
らなる冷蔵側回路（21）と並列に、第２の絞り装置（1
8）と低温側の冷凍用蒸発器（10）、アキュムレータお
よび逆止弁（19）を順に連結した冷凍側回路（22）を接
続した冷凍サイクル（20）により冷却されるものであ
る。

【００１８】この冷凍サイクル（20）の各配管は、前記
機械室（９）内においてそれぞれを接続してサイクルを
形成するとともに、冷媒としてはオゾン層の破壊がなく
地球温暖化係数も低いが可燃性であるイソブタンなどの
炭化水素系のＨＣ冷媒を封入している。

【００１９】そして、冷蔵室（２）や冷凍室（４）など
に設けられた図示しない庫内温度センサーの検知温度に
より、前記三方弁（16）によって第１の絞り装置（17）
と冷蔵用蒸発器（12）からなる冷蔵側回路（21）、ある
いは、第２の絞り装置（18）と冷凍用蒸発器（10）、ア
キュムレータ、および逆止弁（19）からなる冷凍側回路
（22）とに交互に流路を切り換えて冷媒を供給し冷却運
転するとともに、前記冷蔵用蒸発器（12）および冷凍用
蒸発器（10）にそれぞれ配設された庫内冷却ファン（1
3）（11）の回転によって、高温側である冷蔵室（２）
や野菜室（３）などの冷蔵室空間、および低温側である
冷凍室（４）や自動製氷室（６）など冷凍室空間の各々
を独立して所定温度に冷却制御している。

【００２０】交互冷却運転により、冷蔵温度帯と冷凍温
度帯の双方の貯蔵空間がともに所定温度まで冷却された
場合には、圧縮機（14）を停止し、その後貯蔵室内温度
の上昇により、いずれかの貯蔵室温が設定温度より高く
なった場合は、ふたたび圧縮機（14）および冷気循環フ
ァン（11）（13）を起動させて、該当する貯蔵空間を冷
却する。

【００２１】前記冷却制御は、図１の運転制御タイミン
グチャートで示すように、前記各庫内温度センサーの検
知温度と、冷蔵および冷凍それぞれの庫内設定温度と、
その時点の圧縮機（14）や冷却ファン（11）（13）の回
転数などの運転状態とから補正計算をおこない、庫内の
熱負荷により冷凍能力を可変させて冷蔵と冷凍の交互の
冷却運転をおこなうとともに、冷凍側回路（22）の冷却
運転から冷蔵側回路（21）への運転切り換え時には、三
方弁（16）を一定時間、例えば９０秒間遮断し、冷蔵側
回路（21）にも冷凍側回路（22）にも冷媒を流さない状
態にして圧縮機（14）を運転するいわゆるポンプダウン
運転を実施し、その後冷蔵側回路（21）へ冷媒を流して
冷蔵空間の冷却をおこなうようにしている。

【００２２】三方弁（16）を全閉してポンプダウン運転
を実施している間、およびその後冷媒流路を冷蔵側回路
（21）へ切り換えた後の一定時間、例えば１分半から２
分間は、通常７６Ｈｚ〜５０Ｈｚで駆動している圧縮機
（14）の回転数を４０Ｈｚ程度に低下させて運転する。

【００２３】そして、冷蔵用冷却ファン（13）の回転数
は冷凍側空間の冷却時よりも高回転数にして冷蔵空間冷
却中これを継続するとともに、前記一定時間の経過後は
圧縮機を通常の所定の回転数に戻して冷却運転を継続す
る。

【００２４】その結果、冷蔵庫の扉（７）前における騒
音値の経過を、縦軸に騒音値、横軸を時間とした図４の
比較グラフで示すように、破線で示す従来制御による騒
音値（Ｂ）では、ポンプダウン運転時は圧縮機（14）の
仕事量が小さいため騒音は低くなる。

【００２５】しかし、その後の冷蔵運転の開始時には、
ポンプダウン運転の間に蒸発器（10）（12）により吸引
され凝縮器（15）に溜められていた冷媒が、冷媒が吸引
されて空隙状態になった冷蔵用蒸発器（12）内に、高回
転の圧縮機によって大量に押し込まれることになり、冷
蔵運転を開始して約３０秒経過以降の所定時間、実験値
では３０秒〜１分間は冷媒流による騒音値が急激に大き
くなる傾向にあり、また間欠的な冷媒流音の発生により
聴感上不快感を生じていたのに対し、実線で示す本発明
の値（Ａ）によれば、ポンプダウン運転前に比較して高
い騒音はほとんど発生せず、また間欠音も低くなるた
め、発生異音に対する不快感は大幅に低減することにな
る。

【００２６】異音は、空隙状態の蒸発器（12）内に最初
の冷媒が吐出する冷却運転の初期に発生する現象であ
り、前記所定時間を経過すると蒸発器（12）管内の湿潤
により異音は消勢するため、一定時間経過後は圧縮機
（14）の回転数を所定値に高めて通常の冷却運転に復帰
させる。

【００２７】また、圧縮機（14）の回転数を通常運転時
に比較して極端に低くすると、それに伴って騒音値の変
化幅も大きくなり、結果として使用者は違和感を受ける
ことになるため、ポンプダウン時の圧縮機の回転数の変
化幅を一定値以内に抑えてこれを防止する。実験の結
果、圧縮機（14）の回転数は、４０Ｈｚ程度であれば異
音をほとんど抑えることができ聴感上問題はないことを
確認した。

【００２８】前記構成において、ポンプダウン運転から
冷蔵空間冷却運転の初期時に亙る圧縮機（14）の回転数
を、例えば４０Ｈｚの場合に対して２７Ｈｚに低くした
ような場合は、冷蔵用蒸発器（12）内に冷媒を送り出す
圧力が低いことから、異音も発生しにくくその消勢も早
いため、低回転数での運転時間を短い時間にすることが
できる。このように、圧縮機（14）の回転数の高低レベ
ルにより、低回転数による運転時間を可変させ、すみや
かに本来の通常回転数に戻して適正な冷却力が得られる
ようにする。

【００２９】そしてまた、冷蔵空間の冷却運転時の初期
における低回転数の圧縮機運転時には、冷凍空間の冷却
時には１７００回転／分程度としていた冷蔵空間用の冷
却ファン（13）を１９００回転／分の高回転数で駆動さ
せれば、全体としての騒音値は０．５〜１ｄＢＡ高くな
るが、ファン（13）の回転音により間欠発生する冷媒流
異音をマスキングすることにより使用者における聴感を
低くし不快感を抑制することができる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明の冷蔵庫によ
れば、冷蔵側冷却運転の前には、いわゆるポンプダウン
運転により、蒸発器に滞留している冷媒を高圧側である
凝縮器に強制的に移動させることで、冷却運転開始時に
はすみやかに冷蔵用蒸発器に冷媒が供給されるため、冷
媒循環量を保持し冷却効率を向上できる利点が得られる
とともに、冷蔵運転の開始後における冷媒流による騒音
をほとんど発生させず間欠音も低くすることができ、発
生異音に対する使用者の不快感を大幅に低減して引き続
きすみやかに通常の冷却運転に移行することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施形態の制御を示すタイミングチ
ャートである。

【図２】一般の冷蔵庫を示す縦断面図である。

【図３】図２に示す冷蔵庫の冷凍サイクル概略図であ
る。

【図４】本発明と従来の騒音値を示す比較グラフであ
る。

【図５】従来の制御を示すタイミングチャートである。

【符号の説明】

１…冷蔵庫本体 ２…冷蔵室 ３…野
菜室 ４…冷凍室 ７…扉 ８…冷
却器室 ９…機械室 10…冷凍用蒸発器 11、13
…冷却ファン 12…冷蔵用蒸発器 14…圧縮機 15…凝
縮器 16…三方弁 17…第１の絞り装置 18…第２
の絞り装置 19…逆止弁 20…冷凍サイクル 21…冷
蔵側回路 22…冷凍側回路

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 能力可変型の圧縮機、凝縮器および流路
   切換装置に接続された第１の絞り装置および冷蔵用蒸発
   器からなる冷蔵側回路と、前記流路切換装置から第１の
   絞り装置および冷蔵用蒸発器と並列に接続された第２の
   絞り装置と冷凍用蒸発器およびアキュムレータ、逆止弁
   からなる冷凍側回路で形成した冷凍サイクルと、前記流
   路切換装置により冷蔵側回路と冷凍側回路とに交互に流
   路を切り換えて各々独立して冷却制御するとともに、冷
   凍側回路冷却後の冷蔵回路冷却運転の前に双方への冷媒
   の流れを遮断して所定時間圧縮機を運転する制御をおこ
   ない、前記冷媒流を遮断しておこなう運転およびこれに
   続く冷蔵側冷却運転の一定時間までは圧縮機を低回転数
   で運転したことを特徴とする冷蔵庫。
2. 【請求項２】 低回転数運転時における圧縮機の通常運
   転時に対する回転数の下げ幅を所定値以内としたことを
   特徴とする請求項１記載の冷蔵庫。
3. 【請求項３】 回転数を下げたときの圧縮機の回転数に
   より圧縮機の低回転数運転時間を可変することを特徴と
   する請求項２記載の冷蔵庫。
4. 【請求項４】 圧縮機の低回転数運転時には、庫内冷却
   ファンの回転数を高くしたことを特徴とする請求項１乃
   至３のいずれかに記載の冷蔵庫。