JP2003213598A - 剥離性を有した紙又は不織布 - Google Patents

剥離性を有した紙又は不織布

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JP2003213598A
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陽子 岩宮
Osamu Yagi
修 八木
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OZU SANGYO KK
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OZU SANGYO KK
TOKYO TAPE KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】安価な上質紙やクラフト紙などに、ポリエチレ
ンなどのラミネート処理をせず、直接原紙にアルコキシ
シラン系塗工液を塗布することにより、安価で、耐熱性
が良く、かつ吸湿・脱湿時の寸法安定性が良い剥離紙を
提供することを目的とする。 【解決手段】紙又は不織布に、アルコキシシラン系塗工
液を塗布し、触媒の作用で硬化・固化させて、表面に塗
工膜を形成したことを特徴とする、剥離性を有した紙又
は不織布。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙又は不織布に塗布
し、触媒の作用で硬化・固化させることによる、適度な
剥離性を有する紙又は不織布(以下、便宜上剥離紙と言
う)、その製造方法、そしてそれに使用する塗工液に関
する。
【0002】
【従来の技術】剥離紙は、粘着ラベル、両面テープその
他の粘着・接着テープの裏打ち材料として、また包装用
クラフト粘着テープの基材として多量に使用され、他に
も、クッキングシート・ベーキング紙トレイ等の食品分
野、液晶偏光板用・ファインセラミックシート用・液晶
板用の保護シート等の新素材分野、医療用バンソウコウ
等、多くの分野で使用され欠かせない材料となってい
る。
【0003】剥離紙としては、大別して紙をベースとす
るものと、フィルムをベースとするものが使用されてい
る。紙をベースとする剥離紙は、例えば、ベース紙の表
面に、ラベルなどが容易に剥がれるように剥離剤を塗布
したものであり、フィルムをベースとする剥離紙は、例
えば、ポリエチレン(PE)、ポリテレフタル酸エチレ
ン(PET)、ポリプロピレン(OPP)などの樹脂の
フィルムに、剥離剤を塗布したものである。剥離紙に塗
布される剥離剤としては、シリコーン単独系剥離剤、付
加反応型シリコーン剥離剤が使用されるが、現在では付
加反応型シリコーン剥離剤が主として使用されている。
ところで、ベースとなる紙、例えば上質紙やクラフト紙
に、直接剥離剤を塗布すると、剥離剤が紙の内部に含浸
してしまい、表面に均一な塗工膜が形成しにくい。そこ
で、この剥離剤が剥離紙内部に浸透しないようにPEで
ラミネート加工するケースが多い。PEラミネート加工
していない紙をベースとして剥離紙を製造する場合は、
ベースとなる紙に上質紙やクラフト紙に比べ、密度が高
く緻密な構造を有しているグラシン紙を用いることによ
り、剥離剤の染込みを少なくすることができる。これに
より、ベースとなる紙に直接剥離剤を塗布することがで
きる。これらの他にも、紙をベースとする剥離紙として
は、いわゆるスーパーカレンダードタイプと呼ばれるも
のが知られている。一方、フィルムをベースとする剥離
紙では、直接剥離剤を塗布しても剥離剤がベースである
フィルム内部に浸透することはないため、直接、フィル
ムに剥離剤を塗布している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】グラシン紙は直接剥離
剤を塗布できるが、高価であるため、大量に消費される
剥離紙の大半は、安価な紙をPEラミネート加工したも
のである。ところが、PEラミネート加工した剥離紙
は、PEを使用しているため耐熱性が良くない、という
課題がある。またPEラミネート加工した剥離紙は、そ
の使用後に古紙として再利用しようとしても、PEと紙
の分離が困難であるため、古紙として再利用しづらいと
いう課題がある。また焼却などによる処分によって廃棄
しようとすると、環境汚染の原因となるという課題もあ
る。PEを使用せず直接原紙に剥離剤を塗布する場合
は、グラシン紙などの高価な原紙を使用せねばならな
い。ところがグラシン紙を使用した剥離紙には、紙の密
度が高いため、吸湿・脱湿による寸法安定性が悪く、カ
ールし易いという課題がある。そしてスーパーカレンダ
ードタイプの剥離紙もまた、吸湿・脱湿による寸法安定
性が悪く、カールし易いという課題がある。紙をベース
とした剥離紙に対して、樹脂フィルムをベースとする剥
離紙では、原材料費が安く、前記したような吸湿・脱湿
による寸法安定性の悪化という課題も生じない。しかし
ながら、かかる剥離紙では、前記したPEラミネート加
工した剥離紙と同様の課題を有している。すなわち、P
Eなどを使用しているために耐熱性が良くなく、かつ、
その使用後には古紙として再利用することができず、そ
して、焼却などによる処分によって廃棄すると環境汚染
の原因となるという課題がある。むろん環境汚染の原因
とならないように廃棄処理することも不可能ではない
が、このような処理には膨大な処理コストを要するた
め、実際的な処理とは言えないのが現状である。上記に
加えて、使用する剥離剤に起因する課題もある。例え
ば、シリコーン単独系の剥離剤では、剥離剤が粘着ラベ
ルや両面テープなどの粘着・接着テープ等に移行してし
まい、その粘着力や接着力に影響するという課題があ
る。またこの剥離剤では「はじき」が発生するため、粘
着剤や接着剤の塗工性が劣るという課題もある。上記以
外の剥離剤である付加反応型シリコーン剥離剤にして
も、暴露放置するとホコリが吸着してしまい、剥離性が
低下するという課題がある。
【0005】本発明の目的は、安価な上質紙やクラフト
紙などに、PEなどのラミネート処理をせず、直接原紙
にアルコキシシラン系塗工液を塗布することにより、耐
熱性に優れ、古紙として容易に再利用可能で、焼却等に
よる処分を行っても環境汚染の原因となり難い、紙をベ
ースとする剥離紙であって、グラシン紙等の高価な原紙
を使用する必要がなく、しかも吸湿・脱湿時の寸法安定
性が良い剥離紙を提供することにある。また本願発明
は、直接原紙にアルコキシシラン系塗工液を塗布するこ
とにより、前記目的を達成するのと同時に、従来の剥離
紙において剥離剤に起因していた課題、すなわち、剥離
剤の粘着ラベルや両面テープなどの粘着・接着テープ等
への移行や暴露放置の際のホコリの吸着等を解決するこ
とをも目的とするものである。
【0006】
【課題を解決する手段】前記目的を達成するために成さ
れた本願請求項1の発明は、紙又は不織布に、式1で示
される化合物を主成分とするアルコキシシラン系塗工液
を塗布し、触媒の作用で硬化・固化させて、表面に塗工
膜を形成したことを特徴とする剥離紙に係わる。
【式1】 (式1において、R、R、R及びRは、それぞ
れ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4の
アルキル基であり、RO、RO、RO及びR
とSiとの結合はシロキサン結合である。) 本願請求項2の発明は、前記請求項1の発明に係り、前
記アルコキシシラン系塗工液を硬化・固化させる触媒と
して、加水分解可能な有機金属化合物を使用したことを
特徴とする。本願請求項3の発明は、前記請求項2の発
明に係り、前記加水分解可能な有機金属化合物として、
チタン、ジルコン、アルミ及びスズから成る群から選ば
れる、一種以上の有機金属化合物を使用したことを特徴
とする。
【0007】本願請求項4の発明は、前記請求項1の発
明に係り、前記アルコキシシラン系塗工液として、3個
の加水分解可能な置換基と1個は加水分解不可能な置換
基を有する、式2で示される化合物を含む塗工液を使用
したことを特徴とする。
【式2】 (式2において、R、R及びRは、それぞれ同一
又は異なっていても良い、水素、アルキル基又はアルケ
ニル基であり、RO、RO及びROとSiとの結
合はシロキサン結合であり、Rは、その分子内にエポ
キシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルケニ
ル基又はフェニル基である) 本願請求項5の発明は、前記請求項1の発明に係り、前
記アルコキシシラン系塗工液として、2個の加水分解可
能な置換基と2個の加水分解不可能な置換基を有する、
式3で示される化合物を含む塗工液を使用したことを特
徴とする。
【式3】 (式3において、R及びR11は、それぞれ同一又は
異なっていても良い、水素、アルキル基又はアルケニル
基であり、RO及びR11OとSiとの結合はシロキ
サン結合であり、R10及びR12は、その分子内にエ
ポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキ
ル基、アルケニル基又はフェニル基である)
【0008】そして、本願請求項6の発明は、前記請求
項1の発明に係り、前記アルコキシシラン系塗工液とし
て、前記式1、式2及び式3で示される化合物を、2種
又はそれ以上を含む塗工液を使用したことを特徴とす
る。
【式1】
【式2】
【式3】 (式1において、R、R、R及びRは、それぞ
れ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4の
アルキル基であり、RO、RO、RO及びR
とSiとの結合はシロキサン結合である。式2におい
て、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって
いても良い、水素、アルキル基又はアルケニル基であ
り、RO、RO及びROとSiとの結合はシロキ
サン結合であり、Rは、その分子内にエポキシ基又は
グリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケ
ニル基又はフェニル基である。式3において、R及び
11は、それぞれ同一又は異なっていても良い、水
素、アルキル基又はアルケニル基であり、RO及びR
11OとSiとの結合はシロキサン結合であり、R10
及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル
基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基又は
フェニル基である)。
【0009】以下、本願発明を詳細に説明する。剥離紙
に塗布する剥離剤は、一般にはジメチルポリシロキサン
である。このものは分子間力が小さく、表面張力が低い
ため、粘着剤を容易に剥離させることが可能であるが、
粘着力やタック性などの物性を損なわないためには、基
盤上に薄く塗布されたジメチルポリシロキサンを硬化・
固化する必要がある。
【0010】その一つの方法として、有機スズを触媒と
する結合反応型がある(反応式1)(特公昭35−13
709)が、この反応は高温・長時間の加熱を必要と
し、 反応式(1) また、両面塗布性にも問題があった。また、反応時水素
ガスが副生するため、安全管理上の問題もあった。最近
主流となっている方法は、白金系触媒を用いた付加反応
型である(反応式2)(特公昭52−40918)。 反応式(2) この反応は、硬化が速く、剥離力のコントロールも容易
で、両面塗布も可能である。しかし、白金系触媒は高価
であるばかりでなく、リン、スズ、イオウなどの化合物
により被毒され活性が低下するため、原紙を含め不純物
の管理の必要がある。
【0011】しかしこれらの方法はどれも、原料である
ジメチルポリシロキサンと触媒を混合した時点で反応が
始まるため、塗工液の安定性という意味では問題がある
方法である。また、ジメチルポリシロキサンを硬化・固
化するために、ジメチルポリシロキサン内部に反応基を
導入しているが、導入された反応基は、全体のわずかな
部分であるため、いわゆる造膜性という点で見ると不完
全な方法であった。
【0012】本願発明は、これらの従来技術の欠点を補
い、安価で、低温・短時間の熱処理により十分な造膜性
を有し、塗工液の長期安定性に優れ、水素ガスなどの発
生が無い剥離紙用の新たな塗工液、及びそれを用いた剥
離紙を提供するものである。本願発明では、塗工液の主
成分として、従来のジメチルポリシロキサンの代わり
に、アルコキシシランを用いることを特徴としている。
本願発明で用いられるアルコキシシランは、具体的には
式1、式2及び式3で表され、加水分解可能な置換基を
その分子内に(単量体として見た場合)4個、3個もし
くは2個含有している構造を有している。
【0013】本アルコキシシランを紙又は不織布に塗布
し、硬化させる方法は、いわゆるゾルーゲルを応用して
なすものである。具体的には紙又は不織布に、式1、式
2及び式3で示される化合物を主成分とする塗工液を塗
布し、触媒の作用でこれを硬化・固化させるものであ
る。ここで、式1におけるR、R、R及びR
は、それぞれ同一又は異なっても良い、水素又は炭素
数が1〜4のアルキル基である。このものは単量体で使
用しても良いし、また縮合体で使用しても良いが、低温
・短時間の熱処理により十分な造膜性を有するには、縮
合体を使用することがより好ましい。
【0014】かかる縮合体は、単量体(例えば、テトラ
メトキシシラン)を縮合することにより得ることが出来
る。主鎖の繰り返しはn=2〜10が好ましい。この理
由は、n=1、即ち単量体を用いると、ポリマー化に時
間が掛かかり、短時間で十分な強度を持った塗工膜を製
造することが困難となるからである。しかしながら、n
が11以上となると、逆に、紙又は不織布に塗布した時
に、紙又は不織布上でのポリマー化のためのアルコキシ
基等の数が不足して、十分な強度を持った塗工膜を製造
することが困難になる。したがって、本願発明において
は好ましいのは、n=2〜10、中でもn=2〜8の縮
合体である。
【0015】なお、一般に単量体から式1のような縮合
体を合成する場合、その重合度を正確に制御すること
は、技術的にいって、事実上不可能である。したがっ
て、本願発明でn=2〜10、好ましくはn=2〜8の
ものを使用するとの意味は、重合度の分布から見て、主
としてnが2〜10、好ましくは主として2〜8のもの
が含まれているような塗工液を使用することに他なら
ず、例えばnが11以上である化合物が含まれていたと
しても、差し支えない。
【0016】式1で示される化合物としてはテトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシ
シラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシ
シラン、ジメトキシジプロポキシシラン、ジメトキシジ
ブトキシシラン、ジエトキシジプロポキシシラン、ジエ
トキシジブトキシシラン、ジプロポキシジブトキシシラ
ン、メトキシトリエトキシシラン、メトキシトリプロポ
キシシラン、メトキシトリブトキシシラン、エトキシト
リメトキシシラン、エトキシトリプロポキシシラン、エ
トキシトリブトキシシラン、プロポキシトリメトキシシ
ラン、プロポキシトリエトキシシラン、プロポキシトリ
ブトキシシラン等の単量体または、それらより合成され
る縮合体を例示でき、このものは単独で使用しても良い
し、2種類以上混ぜて使用しても良い。またその縮合体
は、1種類のアルコキシシランから成り立っていても良
く、また2種類以上のアルコキシシランから成り立って
いても良い。
【0017】また同様な塗工膜を得るための原料とし
て、式2で示される化合物をあげることもできる。式2
に示される化合物は、ケイ素原子の4個の置換基のう
ち、1個が加水分解不可能な置換基で置換されたもので
ある。
【0018】式2で示される化合物としては、メチルト
リメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロ
ピル)トリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、β-(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルト
リエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
-(メタクリロキシプロピル)トリエトキシシラン、γ-
グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエ
トキシ)シラン等や、これらの2〜10分子程度の縮合
体を例示できる。なお縮合体は、かかる単量体の1種類
のみを縮合したものであっても、また上記例示した単量
体の2種類以上を縮合したものであっても良い。
【0019】式2中のRは、式2の化合物がその後の
加水分解・重縮合反応を受けても、加水分解されないた
め、隣接するケイ素原子との間で、強固なシロキサン結
合の数が1つ足りなくなるが、その分未反応な結合が、
いわば「宙ぶらりん」の形で残るため、塗工膜の柔軟性
を維持でき、そして結果的には剥離紙の柔軟性を維持で
きるのである。
【0020】また、この加水分解されない結合は、有機
性置換基のため、生成する塗工膜に有機性を与え、そし
て結果的には塗工膜に更なる剥離性を与える役割も担
う。なお、式2の化合物における加水分解不可能な置換
基(R)の第一義的な役割は、塗工膜に柔軟性を与
え、同時に剥離性を付与するのであれば、Rはアルキ
ル基とする。ただし、炭素数があまり大きくなると、立
体障害により塗工膜内に歪が生じて膜の強度低下の原因
となる。
【0021】したがって、アルキル基の炭素数や式2の
化合物の種類・量は、本願明細書の実施例などを参照し
つつ、予備的な製造試験を行う等して決定することが好
ましい。もっとも、塗工膜への柔軟性や剥離性の付与
は、後述する式3の化合物を添加することによっても達
成可能であるため、式2の化合物におけるRをアルキ
ル基とすることが必須というわけではない。
【0022】式3の化合物は、4個の置換基のうち、2
個が加水分解可能な置換基であり、他の2個が加水分解
不可能な置換基から成り立つ化合物である。式3におい
て、R及びR11は、それぞれ同一又は異なっていて
も良い、水素、アルキル基又はアルケニル基であり、ま
たは、RO及びR11OとSiとの結合はシロキサン
結合であり、R10及びR12は、その分子内にエポキ
シ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキル
基、アルケニル基又はフェニル基である)
【0023】式3で示される化合物としては、具体的
に、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシ
ラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシ
シラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエ
トキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチル
ビニルジエトキシシラン等や、これらの2〜10分子程
度の縮合体を例示できる。なお、式3の化合物は、かか
る単量体の2種以上であっても良く、また更に2分子以
上の縮合体を使用する場合にも、かかる単量体の2種以
上の縮合体であっても良い。
【0024】式1、式2及び式3で示される化合物(ア
ルコキシシラン)を硬化・固化させる触媒としては、一
般に用いられている触媒が特別の制限なしに使用可能で
ある。例えば酸触媒であれば、塩酸、硝酸、硫酸、リン
酸、ギ酸又は酢酸等を例示できる。塩基触媒であれば、
アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化
2―ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、エタノ
ールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールア
ミン等が例示できる。これらの触媒の中で、酸性触媒、
特に塩酸や硝酸が好ましい。これら通常の触媒を用いる
場合は、アルコキシシラン化合物を硬化・固化させるた
め、反応水を共存させる。
【0025】本願発明が提供する塗工液は、このよう
に、アルコキシシラン化合物、触媒及び反応水を含むも
のであり、これらの原料を相互に溶解させるため、一般
にはアルコールなどの有機溶剤が必要となる。しかし、
予めアルコキシシラン化合物、触媒及び反応水を共存さ
せて塗工液を調合し、紙又は不織布に塗布した場合、余
分な反応水の存在が、紙又は不織布にしわを発生させる
原因となる不都合が生じ易い。また酸性触媒を用いる
と、塗布後に紙又は不織布の中性化が生じ、剥離紙の長
期保存が不可能となる恐れが有り、この場合も不都合が
生じ易い。さらに、これを長期保存する場合、反応水に
よって塗工液がゲル化し易い、という課題を生じる。
【0026】このような問題を解決するためには、上記
したような通常の触媒ではなく、触媒として加水分解可
能な有機金属化合物を用いると良い。加水分解可能な有
機金属化合物を使用すれば、反応水や酸性触媒を共存さ
せる必要はなくなり、原紙のしわや中性化の防止、ある
いは長期保存安定性のため好ましい。
【0027】有機金属化合物をアルコキシシラン化合物
と混合して塗工液とし、これを原紙に塗布すると、原紙
内あるいは原紙上の水分又は空気中の水分(湿気)と反
応し、有機金属化合物が自ら加水分解するが、この時、
アルコキシシラン化合物とネットワークを形成し、アル
コキシシラン化合物を硬化・固化する。本願発明におい
て好ましく用いられる有機金属化合物としては、例えば
チタン、ジルコン、アルミ又はスズを含むものを例示で
きる。より具体的には、テトラプロポキシチタネート、
テトラブトキシチタネート、テトラプロポキシジルコネ
ート、テトラブトキシジルコネート、トリプロポキシア
ルミネート、アルミニウムアセチルアセトナート、ジブ
チルスズジアセテート又はジブチルスズジラウレート等
を例示できる。
【0028】また本願発明の塗工液には、アルコキシシ
ラン化合物、触媒、そして場合により必要となる反応水
を均一に混合させるため、有機溶剤を添加することが出
来る。この目的で使用される有機溶剤としては、アルコ
ール類を例示できる。より具体的には、メタノール、エ
タノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノー
ル、ペンタノール又はヘキサノール等を例示できる。ま
た、その添加量を制御することによって、塗工液の粘度
や乾燥速度の調整も可能である。
【0029】このような調整の目的では、特に、例えば
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、ポリプロピレングリコールなどのグリコー
ル類、メトキシエタノール、プロポキシエタノール、ブ
トキシエタノール、メトキシプロパノール、エトキシプ
ロパノール、プロポキシプロパノール又はブトキシプロ
パノール等のセルソルブ類等の粘度や沸点の高い有機溶
剤を単独又は二種以上混合して使用することが好まし
い。
【0030】むろん、上記粘度や沸点の高い有機溶媒の
1種以上と共に、上記アルコール類を同時に添加しても
良い。なお塗工液の粘度や乾燥速度の調整を目的とする
場合は、前記有機溶媒のみならず、界面活性剤によって
も同様の効果を達成することができる。
【0031】特に、前記したグリコール類やセルソルブ
類は、その分子内に水酸基を有しているため、アルコキ
シシラン化合物の縮合反応によって形成されるシロキサ
ン結合のネットワーク内に導入される事がある。グリコ
ール類やセルソルブ類は有機性を有しているため、これ
が導入される事により、得られる塗工膜の有機性が増す
ことになり、紙又は不織布の柔軟性や剥離性の向上に寄
与することがある。
【0032】以上より本発明の特徴は、例えば式1、式
2、式3などで示されるアルコキシシランと、加水分解
可能な有機金属化合物を、紙又は不織布上に塗工するこ
とにある。この時、紙又は不織布内もしくは紙又は不織
布上、あるいは空気中の水分(湿気)を吸い、ただちに
ポリマー化する。このためあえて高温での処理は必要な
くなる。従来行われている剥離紙用塗工液は、反応式1
や反応式2に示されるように、塗布後高温処理が必要で
あるがゆえに作業性が悪く、製造コストの上昇につなが
っていた。
【0033】また、本願発明の塗工液により得られる塗
工膜は、従来行われている塗工液により得られる塗工膜
と比較して、反応基が多い分造膜性が良く、紙又は不織
布との結合力が強いことになる。その結果として、吸湿
・脱湿時の寸法安定性が良い剥離紙が容易に得られ、そ
の上、紙粉の発生も押さえられる。
【0034】紙又は不織布に、塗工液を塗布すると、ア
ルコキシシラン化合物が加水分解し、下記反応式3の
(1)〜(3)に示した反応を経て、シロキサン結合
(≡Si-O-Si≡)が生成する。 反応式3; このようにして生成したシロキサン結合(≡Si-O-S
i≡)内のSi-Oの結合エネルギーは106kcal
/molである。一方、有機化合物の典型的な結合であ
るC-C結合の結合エネルギーは82.6kcal/m
olである。したがって、アルコキシシラン化合物が加
水分解することによって生成する、シロキサン結合を有
するガラス質の塗工膜は、有機化合物に比べ、はるかに
熱的安定な結合を有していることが分かる。この熱的安
定な結合により、本願発明により形成される塗工膜は耐
熱性・耐摩耗性に優れたものとなる。その結果、得られ
た剥離紙は造膜性が良く、剥離剤が移行せず、安価で、
耐熱性が良く、かつ吸湿・脱湿時の寸法安定性が良いも
のとなる。また、粘着物性を変化させず、紙粉の発生の
少ない優れたものとなる。
【0035】また、本願発明の塗工液が、触媒として前
記した有機金属化合物(例えばテトラブトキシチタニウ
ム等)を含む場合は、塗工液中に反応水が含まれなくと
も、上記の反応式3における(1)〜(3)の反応が進
行するのであるが、この場合の反応は、詳しくは下記反
応式4における(4)及び(5)のようになる。 反応式4; 上記のように、≡Ti-O結合が塗布膜内に導入される
ことにより、シロキサン結合のみの塗工膜に比べ、更に
耐熱性及び耐摩耗性を向上することができる。このよう
に、触媒として有機金属化合物を使用すると、反応水を
共存させる必要が無いばかりでなく、塗工膜の耐熱性・
耐摩耗性を更に向上させ、これにより、更に造膜性が良
く、剥離剤の移動が無く、かつ、紙粉の発生の少ない剥
離剤が得られることになる。
【0036】本願発明では、式1の化合物に加え、式2
あるいは式3の化合物を含む塗工液を使用することによ
り、これを使用せずに製造した剥離紙に比べて、式2、
式3の化合物が有する柔軟性や剥離性等の性質を新たに
付与したり、又は、柔軟性や剥離性等の性質を増加する
ことが可能である。
【0037】式1、式2及び式3の化合物は、それぞれ
単独で用いても良いし、2種もしくは3種以上混合して
使用しても良い。それは、得られる剥離紙の柔軟性や剥
離性により、決めることができる。ただし、式3の化合
物は造膜性が悪いため、単独で用いるより式1あるいは
式2の化合物と合わせて使用することが好ましい。この
場合、塗工液の主成分である式1あるいは式2の化合物
に対し、一般的には総量が50%を超えない範囲にて塗
工液に添加することが好ましい。添加量がこの範囲を越
えると、塗工液を紙又は不織布に塗布した時に、主成分
である式1あるいは式2の化合物との間でうまく結合せ
ず、塗工膜の強度が不十分となる可能性があるからであ
る。
【0038】したがって、実際に式3の化合物を添加す
る場合には、添加量に依存して塗工膜の強度が低下する
ことを想定し、本願明細書の実施例を参照しつつ、予備
的な製造試験を行う等し、目的を達成し得る添加量の範
囲を明らかにしたうえで、添加を最小限に抑えるように
することが好ましい。
【0039】なお、式2の化合物及び式3の化合物にお
ける加水分解不可能な置換基(R、R10、R12
の第一義的な役割は、塗工膜に柔軟性や剥離性を与える
ことにある。これらはアルキル基等の有機性置換である
ため、一般に有機性置換基は、炭素数が増える程、柔軟
性や剥離性が増加するが、炭素数があまり大きくなる
と、立体障害により塗工膜内に歪が生じて膜の強度低下
の原因となる。したがって、有機性置換基の炭素数や式
2及び/又は式3の化合物の種類・量は、本願明細書の
実施例などを参照しつつ、予備的な製造試験を行う等し
て決定することが好ましい。
【0040】本願発明による剥離紙の製造方法では、ま
ず、任意の紙又は不織布を、任意の寸法・形状に切断、
加工し、これに前記した本願発明の塗工液を塗布する。
特に微粘着性が要求される剥離紙の場合、平滑性が要求
されるため、紙の選択が重要になる。
【0041】本願発明では、例えば和紙等を剥離紙原紙
として、剥離紙を製造することができる。その他には、
上質紙、書籍用紙、中質紙、上更紙、更紙、帳薄用紙、
ケント紙、色上質紙、キャストコート紙、Aアート
紙、Aアート紙、Aコート紙、Aコート紙、軽量
コート紙、中質コート紙、グラビア紙、純白ロール紙、
片艶晒クラフト紙、純白包装紙、両更クラフト紙、晒ク
ラフト紙、色クラフト紙、筋入クラフト紙、片艶クラフ
ト紙、薄模造紙、模造紙、インディア紙、複写紙、タイ
プ紙、トレーシング紙、コピー紙、グラシン紙、その他
加工紙や工業用雑種紙が剥離紙原紙として使用できる。
また、不織布も同様に使用できる。
【0042】なお、紙又は不織布に対しては、塗工液の
塗布に先立ち、所定の前処理を施しておくことで、塗工
液のいわゆる裏抜けを防ぐことも可能である。この前処
理の一例として、例えば、ヤンキー処理やタルクを用い
た目止め処理が例示できる。特に本願発明が最も有効に
作用するのは、いわゆる微粘着用剥離紙においてであ
る。微粘着ラベルやテープは弱い糊を使用するため、そ
れを用いる剥離紙も弱い剥離剤を使用し、シール加工に
適した剥離力を有したものにせねばならない。弱い糊と
弱い剥離剤の組み合わせを可能にするには、剥離紙表面
が「鏡」状に平らであり、かつ剥離剤のラベルやテープ
への移行が無い必要がある。表面の粗い剥離紙原紙でこ
れらを実現するのは難しく、実際にはフィルムを使用し
ているのが実状である。
【0043】本願発明はこれらの問題に最も有効であ
る。すなわち、表面造膜性の良いアルコキシシラン系塗
工液を塗布するため、剥離紙表面に多少凸凹があって
も、その凸凹が覆い隠され、かつ剥離剤の移行も無いた
め、微粘着ラベルやテープにおける剥離フィルムの代わ
りに、紙を剥離紙原紙として使用可能ならしめるもので
ある。
【0044】いわゆる微粘着用剥離紙原紙としては、上
記剥離紙原紙のなかで特に、キャストコート紙、A
ート紙、Aアート紙、Aコート紙、Aコート紙、
軽量コート紙、中質コート紙、グラビア紙、純白ロール
紙、片艶晒クラフト紙、片艶クラフト紙、薄模造紙、模
造紙、グラシン紙が例示できる。この場合、スパーカレ
ンダー加工が施されていれば尚更良い。また本願発明の
特徴の一つは、紙繊維一本一本にまでポリシロキサンの
塗布がなされている事であるが、これにより、紙繊維の
剥離すなわち紙粉の発生が著しく少なくなる。このこと
も本願発明品が、微粘着用剥離紙として有効である理由
である。
【0045】近年産業廃棄物の処理が、大きな問題とな
ってきている。微粘着ラベルやテープにおける剥離フィ
ルムの処理も例外ではない。本願発明は、このような剥
離フィルムの処理の必要がないため、環境に優しい剥離
紙といえる。本塗工液の紙又は不織布に対する塗布量
は、紙又は不織布の種類・密度や粘着剤の種類・量によ
り、必ずしも一定ではないので、実施例を参考にしてそ
の都度決定することが好ましい。
【0046】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を実施例に基づい
て更に詳細に説明するが、実施例はあくまで一例であっ
て、本願発明を限定するものではない。
【0047】
【実施例】
【塗布液調合】下記実施例1〜5に示す液剤を調合し、
剥離紙原紙に塗布した。なお塗布量は、剥離紙原紙の表
面状態や紙の密度などにより、液剤の濃度調整を行って
塗布した。 実施例1 アルコキシシランとしてテトラエトキシシランオリゴー
マー体(通称、ES−40(n=4〜5)コルコート社
製)3200gをイソプロピルアルコール1800gに
溶解し、触媒としてジブチルスズジアセテート180g
を加え、十分に撹拌・混合し、塗布液を調合した。
【0048】実施例2 500ml三つ口フラスコに、メチルトリメトキシシラ
ン181g、メタノール50g及び純水18gを加え十
分に攪拌する。さらに61%硝酸2gを加え攪拌しなが
ら3時間加熱・環流させる。反応終了後、加熱しながら
反応容器内を減圧にしメタノールを除去する。このよう
にして得られたメチルトリメトキシシランオリゴーマー
体(MTM)は、ガスクロマトグラフィー分析により3
〜4量体が中心であった。次に、MTM2320gをイ
ソプロピルアルコール2500gに溶解し、触媒として
ジブチルスズジアセテート180gを加え、十分に撹拌
・混合し、塗布液を調合した。
【0049】実施例3 アルコキシシランとしてテトラエトキシシランオリゴー
マー体2000g及び実施例2で合成したMTM700
gをイソプロピルアルコール2300gに溶解し、触媒
としてジブチルスズジアセテート180gを加え、十分
に撹拌・混合し、塗布液を調合した。
【0050】実施例4 アルコキシシランとしてMTM2320gをイソプロピ
ルアルコール2500gに溶解し、触媒としてテトラブ
トキシチタネート180gを加え、十分に撹拌・混合
し、塗布液を調合した。
【0051】実施例5 アルコキシシランとしてMTM2000g及びジメチル
ジエトキシシラン320gをイソプロピルアルコール2
500gに溶解し、触媒としてジブチルスズジアセテー
ト180gを加え、十分に撹拌・混合し、塗布液を調合
した。
【0052】
【比較例】比較例1 剥離紙として、上質紙をポリラミネート加工し、シリコ
ーン処理したものを用いた。 比較例2 剥離紙として、グラシン紙にシリコーン処理したものを
用いた。
【0053】
【塗布方法及び剥離テスト】上記実施例に基づいて合成
した液剤を、下記方法で剥離紙原紙に塗布した。剥離紙
原紙として純白ロール紙、薄模造紙、書籍用紙をA4サ
イズに切断した。各剥離紙原紙に実施例1〜5の塗布液
を、バーコータを用いて、塗布量を変えて塗布した。塗
布後、室温で10分乾燥した後、120℃で10分加熱
し製膜した。このようにして作成した剥離紙、及び比較
として、比較例1〜2の剥離紙の剥離テストを行った。
粘着テープは、粘着力0.29N(30gf)/幅25
mmを用いた。剥離テストは、粘着テープを貼り付けた
後、1日後と1ヶ月後に行った。
【0054】結果を表1に示す。表1で、「◎」:剥離
時、重くも軽くも無く、最適な剥離性。「○」:重くも
軽くも無く、良好な剥離性。「□」:良好な剥離性を示
すが、剥離時やや重い(もしくは軽い)。「△」:剥離
性は良好とは言えないが、使用上問題がない範囲。
「X」:剥離性に問題が有る、をそれぞれ示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本願発明は、剥離紙原紙をアルコキシシ
ランを主成分とする塗工液で処理するため、従来品と比
較して造膜性に優れている塗工膜を得ることができる。
この塗工液を紙に直接塗布することにより、ガラス質の
塗工膜を形成し、該膜によって粘着・接着テープ等に対
する剥離作用を発揮させるものである。
【0058】すなわち、従来の剥離剤で使用されていた
剥離剤を使用することなく、粘着・接着テープ等の剥離
効果を達成するのであるから、例えば、シリコーン単独
系の剥離剤で課題であった剥離剤の粘着・接着テープ等
への移行という課題を解決し得ることはもとより、その
移行によって粘着力や接着力に影響することもない。ま
たガラス質の塗工膜ではシリコーン単独系剥離剤の課題
である「はじき」は発生しないから、粘着剤や接着剤の
塗工性に優れているという効果もある。そして更には、
本願発明の剥離紙は原紙の表面にガラス質の塗工膜を形
成したものであるから静電気が発生し難く、この結果、
暴露放置してもホコリの吸着が少なく、結果的に剥離性
が低下という課題も発生し難い。
【0059】また本願発明の剥離紙は、原紙の表面にガ
ラス質の塗工膜を形成するために原紙としてグラシン紙
のような密度が高く、そのため高価な原紙を使用する必
要がないから、安価に提供でき、しかもグラシン紙を使
用した剥離紙やスーパーカレンダードタイプの剥離紙が
有する、吸湿・脱湿による寸法安定性が悪くカールし易
いという課題も解決することができる。本願発明の剥離
紙は、更に、PEラミネート加工した剥離紙やPET等
をベースとする剥離紙とは違い、合成樹脂を含まないか
ら、耐熱性に優れており、しかも使用後に再利用するこ
とが容易で、焼却等によって廃棄処分とする場合にも、
環境汚染の原因となる恐れが少ないため、該処分に要す
るコストが低いという効果もある。
【0060】上記した各効果に加えて、本願発明の剥離
紙では、原紙表面に形成されるガラス質塗工膜が均一で
あることから、両面テープ等の接着剤をムラなく均一に
塗布することが可能で、しかも残留接着性が良好である
という効果も発揮する。なお原紙の表面にガラス質の塗
工膜を形成した本願発明の剥離紙は、柔軟性が不足する
かのような印象を与えるかも知れないが、特に使用する
アルコキシシラン化合物を適宜選択することにより、折
り曲げても割れないほどの柔軟性を付与することも可能
である。その一方で、原紙にガラス質の塗工膜を形成し
ているため引張り強度、引裂き強度、層間強度は著しく
強化されており、この結果、前記柔軟性とも相まって、
その製造に際しては、塗工液を塗工しつつ、原紙を高速
で回転するローラーで巻き取ることが可能であるし、実
際の使用に際しては、同様に高速で回転するローラーで
巻き取りながら接着剤等を塗布することも可能である。
【0061】また更に、本願発明の剥離紙は、原紙の繊
維にガラス質の塗工膜が強固に造膜形成するため、形状
寸法を目的に合わせて裁断する場合にも紙粉の発生が極
めて少なく、クリーンルーム内で使用する剥離紙として
特に好適である。しかも本願発明の剥離紙は、原紙の表
面に形成されたガラス質の塗工膜が撥水性を発揮するた
め、水周りで使用する剥離紙としても特に好適であり、
かかる塗工膜の膜厚を調節し、あるいは、アルコキシシ
ラン化合物を選択することにより、一定の耐油性も発揮
し得るから、耐油性が要求される剥離紙としても特に好
適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩宮 陽子 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央5丁目7番 2号 株式会社飾一内 (72)発明者 八木 修 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央5丁目7番 2号 株式会社飾一内 Fターム(参考) 4L055 AG34 AG86 AG87 AH38 AH49 AH50 AJ02 BE08 EA30 FA11 FA18 FA20 GA43

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紙又は不織布に、式1で示される化合物を
    主成分とするアルコキシシラン系塗工液を塗布し、触媒
    の作用で硬化・固化させて、表面に塗工膜を形成したこ
    とを特徴とする、剥離性を有した紙又は不織布。 【式1】 (式1において、R、R、R及びRは、それぞ
    れ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4の
    アルキル基であり、RO、RO、RO及びR
    とSiとの結合はシロキサン結合である)
  2. 【請求項2】前記アルコキシシラン系塗工液を硬化・固
    化させる触媒として、加水分解可能な有機金属化合物を
    使用したことを特徴とする、請求項1に記載の剥離性を
    有した紙又は不織布。
  3. 【請求項3】前記加水分解可能な有機金属化合物とし
    て、チタン、ジルコン、アルミ及びスズから成る群から
    選ばれる、一種以上の有機金属化合物を使用したことを
    特徴とする、請求項2に記載の剥離性を有した紙又は不
    織布。
  4. 【請求項4】前記アルコキシシラン系塗工液として、3
    個の加水分解可能な置換基と、1個は加水分解不可能な
    置換基を有する、式2で示される化合物を含む塗工液を
    使用したことを特徴とする、請求項1に記載の剥離性を
    有した紙又は不織布。 【式2】 (式2において、R、R及びRは、それぞれ同一
    又は異なっていても良い、水素、アルキル基又はアルケ
    ニル基であり、RO、RO及びROとSiとの結
    合はシロキサン結合であり、Rは、その分子内にエポ
    キシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルケニ
    ル基又はフェニル基である)
  5. 【請求項5】前記アルコキシシラン系塗工液として2個
    の加水分解可能な置換基と、2個の加水分解不可能な置
    換基を有する、式3で示される化合物を含む塗工液を使
    用したことを特徴とする、請求項1に記載の剥離性を有
    した紙又は不織布。 【式3】 (式3において、R及びR11は、それぞれ同一又は
    異なっていても良い、水素、アルキル基又はアルケニル
    基であり、RO及びR11OとSiとの結合はシロキ
    サン結合であり、R10及びR12は、その分子内にエ
    ポキシ基又はグリシジル基を含んでいても良い、アルキ
    ル基、アルケニル基又はフェニル基である)
  6. 【請求項6】前記アルコキシシラン系塗工液として式
    1、式2及び式3で示される化合物を、2種又はそれ以
    上を含む塗工液を使用したことを特徴とする、請求項1
    に記載の剥離性を有した紙又は不織布。 【式1】 【式2】 【式3】 (式1において、R、R、R及びRは、それぞ
    れ同一又は異なっても良い、水素又は炭素数が1〜4の
    アルキル基であり、RO、RO、RO及びR
    とSiとの結合はシロキサン結合である。式2におい
    て、R、R及びRは、それぞれ同一又は異なって
    いても良い、水素、アルキル基又はアルケニル基であ
    り、RO、RO及びROとSiとの結合はシロキ
    サン結合であり、Rは、その分子内にエポキシ基又は
    グリシジル基を含んでいても良い、アルキル基、アルケ
    ニル基又はフェニル基である。式3において、R及び
    11は、それぞれ同一又は異なっていても良い、水
    素、アルキル基又はアルケニル基であり、RO及びR
    11OとSiとの結合はシロキサン結合であり、R10
    及びR12は、その分子内にエポキシ基又はグリシジル
    基を含んでいても良い、アルキル基、アルケニル基又は
    フェニル基である)。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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