JP2003213397A - 溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の製造方法 - Google Patents
溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の製造方法Info
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Abstract
た溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 鋼板を、Al:20〜95重量%を含む
溶融亜鉛メッキ浴に接して一定量のメッキ付着量とする
溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の製造方法であって、
メッキ後の冷却過程であるいは、冷却したAlを含む溶
融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を鋼帯状で加熱し、Al
を含む該メッキ鋼板の温度が235℃から80℃間の任
意の温度をt℃とし、235℃からt℃までの間に存在
する時間をhとするとき、保温箱及び/又は保温室を用
い、下記(1)式を少なくとも1回は満足する状態とす
る。 【数6】
Description
合金メッキ鋼板に関し、加工性、耐蝕性さらには加工部
耐蝕性に優れた溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の製造
方法に関する。
ているように、溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板は、メ
ッキ被膜中に含まれるAlが20重量%以上となると、
通常の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板(メッキ被膜中
のAlが20重量%未満のもの)と比較して、耐蝕性に
優れたものとなる。このような性質に着目して、メッキ
被膜中のAlが20重量%以上の溶融亜鉛−アルミ合金
メッキ鋼板は、近年では、屋根や壁等を中心とする建材
の材料として、需要が急速に伸びている。
は、熱間圧延し、さらに酸洗脱スケールした熱延鋼板
を、又はさらに冷間圧延した冷延鋼板を、例えば図6に
示す連続式の溶融亜鉛メッキ設備に挿入し、以下のよう
な工程で製造される。ここでは、上記いずれかの圧延に
よって帯状になった鋼板を溶融亜鉛メッキする場合につ
いて説明する。
上流側から、コイル状に巻かれた鋼板を送り出すための
鋼板給送部1と、鋼板の端部同士を溶接、機械的接続等
により接続するための鋼板接続機2と、鋼板接続機2に
よる接続作業時間を確保するための入り側ルーパー3
と、鋼板を加熱する無酸化炉等の加熱炉4と、還元性雰
囲気に保持され鋼板を焼鈍する焼鈍炉及び冷却帯5と、
焼鈍炉及び冷却帯5と連設され下端側がメッキ浴に浸漬
されたスナウト6と、AlとSiを所定量含んだ溶融亜
鉛メッキ浴9を有するポット7と、ポット7内に配置さ
れたシンクロール8と、ポット7の後段に配置され空気
や窒素ガス等を噴射する噴射ノズル10と、鋼帯を冷却
するための鋼帯冷却帯11と、スキンパスミルやレベラ
ー等を有する形状矯正装置12と、形状矯正装置12の
後段に配置された表面処理装置としての塗布ロール13
及び乾燥炉14と、鋼板をコイル状に巻き取る鋼板巻取
部16と、鋼板巻取部16からコイル状の鋼板を取り出
す作業時間を確保するための出側ルーパー15と、を備
えている。
は、メッキする鋼板として厚さ0.2〜2.0mmの帯
状の冷延鋼板や熱延鋼板が用いられ、この鋼板は、予め
コイル状に巻かれて鋼板給送部1に取り付けられる。そ
して、設備稼動時には、鋼板給送部1から鋼板接続機2
に送り出される際に鋼板の巻きが解かれ、この鋼板の先
端部が鋼板接続機2により先行する鋼板の後端部と接続
されることにより鋼帯23となり、連続して加熱炉4等
に供給される。
工程で鋼帯23を一定速度で通過させることから、鋼板
接続機2と加熱炉4との間に配置された入り側ルーパー
3を鋼帯23が通過することで、鋼板接続機2での鋼板
接続処理時に生じた鋼板供給のロスが補償される。
た後に、還元性雰囲気の焼鈍炉及び冷却帯5に搬送され
る。鋼帯23は、この焼鈍炉及び冷却帯5内で、焼き鈍
しと同時に、溶融亜鉛メッキし易くするための表面の清
浄化の処理、具体的には、表面に付着する圧延油等の除
去や、酸化膜の還元除去の処理が行われることになる。
と同一の還元性雰囲気とされたスナウト6を通過してポ
ット7に入ることで、ポット7内の溶融亜鉛メッキ浴9
に浸漬され、さらにシンクロール8で搬送方向を転換さ
れて、溶融亜鉛メッキ浴9の上方に引き上げられて外気
に触れる。この際に、鋼帯23は、後段の噴射ノズル1
0によって加圧した気体が噴射されることによって、表
面に付着した溶融亜鉛のメッキ量が調整され、所定厚の
メッキ被膜となる。
でほぼ常温まで冷却されて、さらに後段の形状矯正装置
12によって形状やメッキ表面性状などが矯正される。
鋼帯冷却帯11は、一般に空冷であるが、圧送空気によ
る強制空冷もある。
正装置12の後段に簡単な表面処理装置が設置されてい
る場合が多く、この例では、塗布ロール13と乾燥炉1
4が表面処理装置として設けられている。ここで、塗布
ロール13は、鋼帯23にクロメートや塗料を塗布する
塗布装置として機能する。また、乾燥炉14は、鋼帯2
3を加熱して、鋼帯23上のクロメートや塗料を乾燥さ
せるための加熱乾燥装置として機能する。
るための溶融亜鉛メッキ設備では、プレコートメタル製
造設備に優れた前処理装置や塗装装置があるため、この
ような表面処理設備は用いられないことが多い。
通って、鋼板巻取部16でコイル状に巻き取られ、所定
長さで適宜切断される等により、納入品としての溶融亜
鉛−アルミ合金メッキ鋼板製品となる。
鉛−アルミ合金メッキ鋼板製品は、Alを20〜95重
量%含有するメッキ層とされることにより、特徴的な被
膜構造となり、耐蝕性に優れたものとなる。具体的に
は、Alを20〜95重量%含有することにより、メッ
キ層は、Znを過飽和に含有しAlが凝固したデンドラ
イト部分と、残りのZnを主体とするデンドライト間隙
部分と、からなる被膜構造となり、優れた耐蝕性を示
す。
品のメッキ層にSiを1〜2重量%含ませることによ
り、メッキ被膜と下地鋼板との界面における合金層の成
長を抑制するという優れた性質を示すようになり、合金
層の厚さが1〜2μm程度に抑えられるメリットがあ
る。すなわち、このような合金層は、一般に、合金層を
除くメッキ被膜部分よりも硬く、曲げ等の加工時にクラ
ック起点として働くので、成長するとメッキ鋼板製品全
体の加工性の低下を招くことになり、その厚みを出来る
だけ抑える必要がある。さらに、合金層が薄ければ相対
的に上述のデンドライト組織のある特徴的な部分が多く
なるので、合金層の成長が抑制されれば、耐蝕性向上に
も寄与することになる。
アルミ合金メッキ鋼板製品は、折り曲げ等の加工を行う
と、加工の程度によっては外折り側のメッキ被膜にクラ
ックを生じるが、メッキ被膜中にAlを20〜95重量
%含有する上述の製品と、メッキ被膜中のAlが20重
量%未満の一般の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板とを
同一条件で曲げ加工した場合に、前者のクラックの程度
が後者と比較して非常に悪い、という問題点があった。
する溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板製品(以下、多A
l含有鋼板製品とも言う。)と、これと同一のメッキ量
(メッキ厚さ)及び板厚とし、メッキ被膜におけるAl
が20重量%未満の溶融亜鉛メッキ鋼板製品(以下、通
常鋼板製品とも言う。)とで、それぞれ同一条件下で折
り曲げ加工を行った場合には、多Al含有鋼板製品は、
通常鋼板製品に比べてクラックが大きく開口する傾向が
ある。
の時間、すなわち錆の発生しやすさが、平面部と被加工
部(折り曲げ部)とであまり変わらないのに対して、多
Al含有鋼板製品では、平面部と比較して被加工部にお
ける錆の発生しやすさが、著しく高かった。
製品は、プレコートメタル(PCM)の塗装下地鋼板と
しても大量に使用されており、このような場合にはメッ
キ層でクラックが発生すると塗膜のクラック発生につな
がり、塗膜にクラックが発生すると、溶融亜鉛−アルミ
合金メッキ鋼板自体の耐蝕性が著しく損われるため、曲
げ等の加工時においてクラックを発生させないようにす
ることが極めて重要な課題となる。
リエステル樹脂塗料が一般に用いられていることから、
以下のような問題が発生していた。すなわち、ポリエス
テル樹脂塗膜は、伸びが比較的少ない性質を有すること
から、メッキ層の上にポリエステル樹脂塗膜が形成され
た溶融亜鉛メッキ鋼板製品に対して曲げ加工を行い、こ
の際にメッキ層でクラックが発生すると、塗膜の伸びが
追従できずに破断してしまい、塗膜にもクラックを生じ
てしまう問題点があった。また、溶融亜鉛−アルミ合金
メッキ鋼板製品のメッキ層に対して塗膜の伸びが比較的
大きい高分子ポリエステル樹脂塗料を塗布した場合で
も、クラック発生の程度は小さくなるものの、多くの場
合は塗膜にもクラックが発生していた。従って、溶融亜
鉛−アルミ合金メッキ鋼板製品は、PCMの塗装下地鋼
板として用いる場合には、塗膜形成後の高加工成形が出
来ず、高加工成形後に塗膜形成を行う必要がある等の問
題点を有していた。
する溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板は、平面部の耐蝕
性については優れているが、加工成形の際に加工部にク
ラックを生じ、このクラック部分の耐蝕性が劣るため
に、高加工できないという欠点を有しており、PCMの
塗装下地鋼板として用いる場合にも同様の問題を有して
いた。
ための従来技術としては、例えばメッキ付着量を低減さ
せる方法(特開平5−271895号公報)、メッキ付
着量と表面粗さを制御する方法(特開平11−3435
60号公報)、溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を固液
共存温度域(500〜580℃)に再加熱し1〜120
秒の保熱処理あるいは冷却速度10℃/秒以下で5〜1
20秒徐冷処理を行う方法(特開平11−343555
号公報)、メッキ後の製品に対して93℃から427℃
の温度範囲で熱処理を施す方法(特開昭56−8765
4号公報)等が提案されている。
含有する溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板製品において
曲げ加工時のクラック発生阻止という点での加工性の改
善を得るために、上記各種方法を参考として種々の実験
等を行った結果、以下のような知見を得るに至った。
特開平5−271895号公報に記載の如く、メッキ付
着量を低減させる方法を用いると、メッキ量が低く抑え
られてしまうために、Alの重量%が高いにもかかわら
ず、曲げ等の加工以前の状態において既に十分な耐蝕性
が得られなくなってしまう結果となった。また、特開平
11−343555号公報に記載の如く、溶融亜鉛−ア
ルミ合金メッキ鋼板を固液共存温度域(500〜580
℃)に再加熱して、1〜120秒間の保熱処理を行うこ
と、あるいは、冷却速度10℃/秒以下で5〜120秒
間の徐冷処理を行った場合には、曲げ加工時におけるク
ラック発生を阻止するものでなく、いわばクラックの発
生形態を変えるものであって、0T等の厳しい曲げ加工
時に対応できるものではなかった。
20〜95重量%含有する溶融亜鉛−アルミ合金メッキ
鋼板において曲げ加工時のクラック発生阻止という点で
の加工性の改善を得るためには、メッキ後の鋼板に対し
て所定条件下での熱処理を行った場合に、メッキ層全体
が軟質化し伸びが増大する効果を得られることを見い出
し、詳しく検討を加えた。なお、熱処理を行うこと及び
熱処理時における処理温度範囲及び処理時間については
特開昭56−87654号公報に記載があるが、本願発
明者らは、この処理温度範囲及び処理時間を見直して最
適化すると共に、溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の有
効な工業的製造方法を案出するに至った。
工部の耐蝕性に優れた溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板
の製造方法を提供することにある。
め、本発明の第1の構成は、Al:20〜95重量%を
含む溶融亜鉛メッキ浴に鋼板を接して一定量のメッキを
該鋼板に付着させるメッキ工程を具備する、溶融亜鉛−
アルミ合金メッキ鋼板の製造方法であって、メッキ工程
後の冷却過程途中で、高温のまま溶融亜鉛−アルミ合金
メッキ鋼板を保温箱及び/又は保温室内に入れて溶融亜
鉛−アルミ合金メッキ鋼板の温度tと保温箱及び/又は
保温室内に入れている時間hとの関係について下記
(1)式を少なくとも1回は満足する状態とする。
の構成は、Al:20〜95重量%を含む溶融亜鉛メッ
キ浴に鋼板を接して、一定量のメッキを該鋼板に付着さ
せるメッキ工程を具備する、溶融亜鉛−アルミ合金メッ
キ鋼板の製造方法であって、メッキ工程後の冷却過程で
冷却した溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板又は該鋼板コ
イルを鋼帯状で加熱する加熱工程を備え、該加熱工程後
に、溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を切り板状あるい
はコイル状で保温箱及び/又は保温室に入れて溶融亜鉛
−アルミ合金メッキ鋼板の温度tと保温箱及び/又は保
温室に入れている時間hとの関係について下記(1)式
を少なくとも1回は満足する状態とする。
成において、保温箱あるいは保温室に、燃焼排ガスを導
入して溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を保温すること
を特徴とする。
る加熱工程を、誘導加熱装置又は連続加熱炉を用いて加
熱する工程とすることを特徴とする。
照しながら詳細に説明する。
i:1.5重量%、残部Znからなる溶融亜鉛メッキ浴
で図6で説明した従来の連続式溶融亜鉛設備でメッキし
た溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板(以下、Al:55
%溶融亜鉛メッキ鋼板という。)に種々の熱処理を施し
て、その鋼板の加工性についての試験を行い、表1の結
果を得た。
して、板厚:0.4mm、メッキ付着量(両面):15
0g/m2とし、200mm×300mmに切断したも
の(以下、試験片という。)を用いた。各試験片につ
き、熱処理を行うものについては、一定温度に設定した
電気炉に入れて所定時間保持した。加工性の試験につい
ては、曲げ角度180度、OT及び2Tで曲げ加工を行
い、曲げ加工部を肉眼及び写真で観察し、熱処理なしの
試験片と対比して、◎,○,△,×,での四段階評価を
行った。
少なく、ほぼクラックなしに近いもの ○:熱処理なしの試験片に比べてクラック発生の少ない
もの △:熱処理なしの試験片に比べてクラック発生が僅かに
改善されたもの ×:熱処理なしの試験片のクラック発生程度と同等のも
の
は、235℃から80℃の範囲である時間以上保持する
とメッキ鋼板のクラック発生が改善された。表1の中に
メッキ鋼板の加工時のクラックの発生が改善される範囲
(△以上の評価が得られた試験片)を太線で囲った。こ
の太線で囲まれた温度範囲では、熱処理時間が長くなる
ほどクラック発生改善効果が良好になる、という結果が
得られた。
定温度を250℃以上とすると、保持時間に関わりなく
加工時のクラック発生の改善効果が得られなくなるこ
と、及び、設定温度が235℃以下の場合には、温度
が低くなるほど加工時のクラック発生改善効果を奏する
試験片を得るためには長い熱処理時間が必要となるこ
と、が明らかになった。本願発明者らは、の結果につ
いて、温度と加工時のクラック発生改善に必要な熱処理
時間の関係を求め、次の実験式を得た。
改善されるまでの時間(hr)
0℃で熱処理するとすれば、0.73時間(44分)以
上の熱処理時間が必要であることが導かれる。なお、変
数tの上限を235℃とするのは、表1から分かるよう
に、235℃を超えた温度での熱処理では加工時のクラ
ック発生の改善が認められないためである。一方、変数
tの下限を80℃とするのは、80℃未満の温度での熱
処理では必要な熱処理時間が極端に長くなってしまい、
実用性がないためである。
らは、種々の実験を行った結果、加工時のクラック発生
の改善効果を備えた溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を
得るためには、熱処理時において、この温度範囲すなわ
ち235℃から80℃の温度範囲をどのように通過(冷
却又は加熱)させるか或いは保持させるかが重要である
という知見を得た。
度、例えば220℃一定で15分以上保持する必要はな
く、220℃で7分、200℃で7分、180℃で50
分保持しても良い。この場合には、180℃以上235
℃以下の状態が64分保持されたので、上述の四段階評
価において○の結果が得られる。
ある任意の温度をt℃とするとき、235℃からt℃の
温度範囲にある時間がt℃でクラック発生改善に必要な
時間以上であれば良く、さらには、このような温度:t
が1回以上あれば良い。前述した例の場合、180℃で
44分の熱処理を行った後に、急冷してもクラック発生
は改善される。但し、後述のように、235℃を超えた
温度にメッキ鋼板を加熱すると、クラック発生改善効果
はリセットされてしまう。
うに、220℃で1時間以上、200℃で1時間以上、
180℃で2時間以上、165℃で5時間以上、150
℃で10時間以上、130℃で24時間以上、100℃
で96時間以上保持する(熱処理する)と、極めて優れ
た特性を示すことが分かる。
クラック発生が改善されなかったメッキ鋼板をさらに2
00℃で30分以上保持してみたところ、クラックの発
生は少なくなり、上述の四段階評価で○の結果が得られ
た。
なく235℃〜80℃間の温度で保持される時間でクラ
ック発生の大小が決まるということを見い出した。
間保持されて、クラック発生が著しく改善されたメッキ
鋼板を400℃で2時間保持してみたところ、クラック
発生の程度は熱処理なしのメッキ鋼板と変わりなかっ
た。すなわち、235℃超の熱処理では熱処理によるメ
ッキ層の軟質化はリセットされてしまう。このことか
ら、235℃以上に加熱されたメッキ鋼板は、235℃
を過ぎて低温側になった時点から一定の時間が保持され
なければならないことが分かる。このように、本願発明
者らの実験結果では、Al:55%溶融亜鉛メッキ鋼板
の熱処理の最終過程において235℃〜80℃をいかに
通過したかで、加工部のクラック発生程度が決定される
ことが分かった。
融亜鉛メッキ鋼板を200℃で各時間熱処理し、研磨用
樹脂に埋め込んで研磨した後に、メッキ層断面をマイク
ロビッカース硬度計で測定したところ、熱処理時間の経
過と共にメッキ層の硬度が下がる(すなわちメッキ層が
柔らかくなる)現象が起きることを確認した。
者らは次のように理解した。一般に、微細析出粒子はメ
ッキ層内転位の移動を妨げてメッキ層を硬くする性質が
あるのに対して、粗大析出粒子はその効力が小さくメッ
キ層を柔らかくする性質がある。このことから、メッキ
層中、Alの多いデンドライト組織中に微細粒子として
相分離して析出したZnは、本発明の熱処理が行われる
と、熱処理時間の経過と共に粗大粒子に成長(オストワ
ルド成長)するために、メッキ層の硬度が下がるものと
考えた。
して、Al:55%溶融亜鉛メッキ鋼板に対して、一般
ポリエステル樹脂塗装及び高分子ポリエステル樹脂塗装
を行った。すなわち、これらの熱処理したAl:55%
溶融亜鉛メッキ鋼板と熱処理なしのAl:55%溶融亜
鉛メッキ鋼板をオルソ珪酸ソーダを主体とする脱脂剤で
脱脂し、塗布型クロメート処理し、塗装した。塗装は、
一般ポリエステル樹脂及び高分子ポリエステル樹脂で2
コート、2ベーク方式とした。
5%溶融亜鉛メッキ鋼板に対して、曲げ角度180度、
OT及び2Tで曲げ加工を行い、曲げ加工部を肉眼及び
写真で観察して加工性の試験を行い、熱処理なしの材料
と対比し、ほぼ表1と同様の結果を得た。従って、この
結果から、本発明の熱処理が行われたAl:55%溶融
亜鉛メッキ鋼板は、プレコートメタル(PCM)用の原
板とした場合でも、加工部の耐蝕性が優れていることが
明らかになった。
は、メッキ被膜中にAlを20〜95重量%含有される
もので、55%Al−Zn合金メッキ鋼板に代表される
メッキ鋼板である。この溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼
板のメッキ被膜中には、通常は、Al,Zn以外にSi
が含まれ、また、これ以外に、Fe,Ti,Sr,V,
Cr,Mg,Mn等の1種類以上、及び不可避的不純物
が含まれる。
多いデンドライト組織の軟質化であるから、その軟質の
程度はAlの多いデンドライト組織のメッキ層中の量で
左右され、該デンドライト組織の多い程効果は大きい。
なお、Zn−Al状態図で明らかなように、Alの多い
デンドライト組織はメッキ層中のAl含有量に比例す
る。
鋼板のメッキ被膜中にはSiが1〜2重量%添加される
が、これはSiの働きによってメッキ被膜/下地鋼板界
面の合金層を1〜2μmの厚さに抑えるためである。す
なわち、一般にメッキ被膜/下地鋼板界面の合金層は硬
いため、Siを1〜2重量%含有させることによって、
この合金層の厚さが抑えられることにより、加工時に合
金層がクラックの起点となることによるクラック発生を
減少し、加工性向上に効果をもたらす。また、クラック
部は、下地鋼板が露出していて耐蝕性が劣るので、クラ
ック発生を抑えることは加工部耐蝕性を向上させる効果
もある。さらに、Siを1〜2重量%含有させることに
よって、優れた耐蝕性を示すAlを多く含むデンドライ
ト構造を骨格とした被膜組織を多くして、耐蝕性の向上
をもたらす。
きく分けて、通常の連続式溶融亜鉛メッキ設備による熱
源を利用する場合と、連続式加熱炉や誘導加熱装置など
の新たな熱源を追加する場合、という2つの形態があ
る。前者の場合は、通常の連続式溶融亜鉛メッキ設備で
メッキ浴に浸漬させた高温のメッキ鋼板自体の熱を保持
及び制御する方法が考えられ、後者の場合は、一旦冷却
したメッキ鋼板を鋼帯状として、連続式加熱炉や誘導加
熱装置を用いて再加熱する方法が考えられる。
高温のメッキ鋼板が得られても、メッキ鋼板を鋼帯状と
したままで長時間の高温保持を行うことは容易でない。
また、通常の連続式溶融亜鉛メッキ設備に連続式加熱炉
を追加しようとすると、設備が大きくなり過ぎて工業的
実現が困難である。
亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板について長時間の高温保持
を図るためには、溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を鋼
帯状とするのではなく、コイル状に巻き取った状態ある
いは切り板状に切断し各切り板を積層した状態とするこ
と、さらには、このような状態の溶融亜鉛−アルミ合金
メッキ鋼板を保温箱及び/又は保温室を用いて保温する
ことが、設備面及び作業面で簡易であり、かつ、熱効率
が良いことを見い出した。
て、図6で上述した通常の連続式溶融亜鉛メッキ設備を
適宜参照して説明する。
式溶融亜鉛メッキ設備にて、鋼板(鋼帯23)をメッキ
浴9に浸漬させた後、メッキ浴9の上方に引き上げ、次
いでメッキ浴9の上方に配置された噴射ノズル10から
鋼帯23に向かって加圧した気体を噴射してメッキ量を
調整し、Al:20〜95重量%及びSi:1.0〜
2.0重量%となった高温の溶融亜鉛−アルミ合金メッ
キ鋼板とする。そして、この溶融亜鉛−アルミ合金メッ
キ鋼板を、高温の状態のままで、コイル状に巻き取るか
切り板状に切断した後に保温箱あるいは保温室に入れ
て、上述した温度範囲での熱処理を施すことで実現可能
である。この場合には、通常の連続式溶融亜鉛メッキ設
備に保温箱あるいは保温室を導入するだけで良いため、
設備面での低コスト化が図られる。
を参照して第1の実施の形態として後述する。
ッキ設備には、クロメートや塗料の塗布装置(塗布ロー
ル13)とその加熱乾燥装置(乾燥炉14)等が設置さ
れている場合が多い。この場合には、メッキ鋼板は、塗
布装置の前段で一次冷却された後に、加熱乾燥装置で再
度加熱されて、一般には80℃未満の温度でコイル状に
巻き取られることになる。
には、加熱乾燥装置によって本発明の温度範囲である2
35℃〜80℃までメッキ鋼板の温度を上昇させて、コ
イル状に巻き取るか、切り板状としてから、保温箱ある
いは保温室で保温すれば良い。この場合には、保温箱あ
るいは保温室を導入すること、及び加熱乾燥装置の加熱
温度を強化することで実現可能であり、加熱乾燥装置の
加熱温度を強化すること自体は比較的容易である。この
ような設備の構成例については、図3を参照して第2の
実施の形態として後述する。
燥装置等(図6の塗布ロール13や乾燥炉14等)がな
い場合には、鋼板巻取部16の前段に何らかの加熱手段
を設置すれば良い。特に、熱効率や設備スペースの面か
らは、誘導加熱装置が有利である。すなわち、誘導加熱
装置は、加熱用コイルのみを鋼板の流れ内に設置すれば
良いので、極めて小さな設置スペースで済むというメリ
ットがある。
温度が約200℃前後と比較的低いために、鋼板の放熱
を防止したり、誘導加熱装置の加熱コイルを熱保護する
ための保温材や断熱材等も簡単で良い。なお、誘導加熱
装置は、帯状の鋼板を約200℃の温度に上昇させるこ
とができる装置であれば良く、特に新たな機能等は必要
とされない。このような誘導加熱装置を備えた連続式溶
融亜鉛メッキ設備によれば、溶融亜鉛−アルミ合金メッ
キ鋼板が鋼帯状で加熱されるので、早く加熱でき、また
熱効率も良い。発明者らの行った誘導加熱装置による加
熱試験では、保温箱への挿入時点での電力効率は、40
%にも達した。このような設備の構成例については、図
4を参照して第3の実施の形態として後述する。
別の設備で、帯状のまま冷却されたAl:20〜95重
量%を含む溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を加熱して
も良い。
加熱装置や、或いは連続式ガス加熱設備を用いることが
可能であるが、特にこれらに限定されるものでなく、鋼
帯が連続して所定の温度に加熱できれば良い。すなわ
ち、加熱手段としては、鋼帯を巻き取るか切り板にする
工程の前段に設置すれば良く、特に熱効率や設備スペー
スの面からは、上述した誘導加熱装置が有利である。こ
のような設備の構成例については、図5を参照して第4
の実施の形態として後述する。
コイル状で加熱するのに比べて加熱が均一で、早く、さ
らに熱効率が良いというメリットがある。すなわち、コ
イル状の鋼板を加熱する場合、コイルへの熱入力はコイ
ル表面(コイルの外巻き表面、内巻き表面、鋼板エッ
ジ)からのみであるため、鋼板重量に対して熱入力でき
る表面積が極めて小さい。従って、これらの熱入力部位
が高温に曝されるのに反して、コイル内部は上述のコイ
ル表面からの熱伝導に頼ることになり、コイル内部とコ
イル表面の温度差は大きくなる、すなわち不均一な加熱
となるので、コイルの各部の熱を均熱化するには長時間
を要するというデメリットが生じる。
は、高温のまま保温箱あるいは保温室(以下、保温箱/
室とも言う。)で一定時間保持される。保温箱/室は、
溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を一定温度を保持する
ための保温設備であり、断熱材が装着されるのが一般的
であるが、断熱材や形状について特に限定されるもので
なく、コイル状あるいは切り板状の加熱された溶融亜鉛
−アルミ合金メッキ鋼板の温度が降下しにくい機能が備
わっていれば良い。
切り板状として保温する場合には、切り板状部材は比較
的放熱しやすくなるため、この放熱を防止するために、
各切り板状部材を積層して保温箱/室に入れることが必
要となる。
亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板のコイルが大きくなるほ
ど、或いは同時熱処理する切り板が多量になるほど、簡
易な構成で足りるようになる。すなわち、大きなコイル
や多量の切り板を同時に熱処理する場合には、メッキ鋼
板全体の有する熱量が大きくなるので、温度低下が遅く
なり、本発明の熱処理条件を容易に確保できる。
する場合には、保温室等の大型の設備が、熱効率上及び
作業上有効である。また、温度低下を防ぐためには、保
温箱/室に電熱ヒーターや燃焼バーナーを設置すること
が極めて有効となる。
みを単独で用いても、或いは双方を併用しても良い。双
方を併用する形態としては、例えば保温室内にさらに保
温箱を配置して保温箱内にメッキ鋼板を入れること、或
いは、メッキ鋼板を所定時間保温室に入れた直後又は所
定時間経過後に、さらに所定時間保温箱に入れること、
あるいはこの逆、などの形態が挙げられる。
箱の例を、図1に模式的に示す。図1に示す保温箱30
は、その前後左右の側面及び天井面について、厚さ0.
8mmの鉄板を内壁及び外壁として配し、両鉄板間には
厚さ50mmのセラミックファイバーの断熱材が設けら
れ、低部が開口となった箱状の構成となっている。
一の側面には、燃焼ガス導入口31及びガス排出口32
が形成されている。これら燃焼ガス導入口31及びガス
排出口32は、開閉可能な蓋部が取り付けられており、
燃焼ガスの導入がない場合には、各蓋部を閉めて当該ガ
スの流通を止めることが可能となる。このため、保温箱
30内にはヒーター、バーナー等の加熱手段は設けなか
った。
B及び高さACをそれぞれ2000mm、奥行きADを
1500mm、燃焼ガス導入口31及びガス排出口32
の径をそれぞれ280mmとした。
床には厚さ50mmのセラミックファイバーの断熱材を
敷き、その上に鋼製のコイル置台(図示せず)を設置
し、さらにその上に所定温度に加熱されたメッキ鋼板コ
イルを置いた。そして、上述した保温箱30を釣り上げ
用フック33を介してクレーンで釣り上げてメッキ鋼板
コイルにかぶせ、所定時間保温した。これら各作業は、
極めて容易に行うことが可能である。
示すものであって、具体的な材質、形状、大きさ等につ
いてこの例に限定されるものではない。使用される保温
箱は、加熱されたメッキ鋼板コイルの温度低下を防ぐこ
とができる箱であれば良く、容易かつ低コストで作成す
ることが可能である。
井からなり、各面には断熱材が設けられた構成とする。
さらに、保温室の場合には、例えば開閉扉を設ける等に
より、加熱されたメッキ鋼板コイル或いは積層した切り
板の搬入及び搬出ができるようになっていなければなら
ない。
は、一般に、例えば発泡スチロール等の有機系断熱材
や、煉瓦、上述のセラミックファイバー、耐火ボード等
の無機系断熱材があるが、この場合には燃焼ガスが直接
触れることもあるので、有機系断熱材は不適であり、無
機系断熱材を用いる必要がある。
いことから、保温箱/室に設ける断熱材としては、各種
の煉瓦や各種の耐火ボード等を使用するのは重量と効果
の面からあまり好ましくなく、セラミックファイバー等
の繊維状の断熱材を用いるのが最適である。
た図1の保温箱30では、熱伝達係数が1.06kca
l/m2・h・℃であった。これは、約6Tのメッキ鋼
板コイルが180℃付近で約5℃/h下がることにな
り、2時間保持しても約10℃しか降下せず、保温によ
る熱処理には十分である。保温室の場合には、使用する
断熱材について、その厚さを10mm以上とし、かつ、
保温室の全面に対して配置することが望ましい。
ル或いは積層した切り板の直接外気と接触する表面(コ
イルの場合には、上述の外巻き部分、内巻き部分、板巾
のエッジ部分)は、温度の降下が早くなる。このため、
本実施の形態ではメッキ鋼板の温度降下防止を図るため
に、保温箱/室内に、何らかの加熱された気体を導入す
ることが好ましい。具体的には、保温箱/室内に、石油
や天然ガス等の燃焼排ガスを導入することが極めて有効
となる。すなわち、通常の生産工場では、石油や天然ガ
ス等を燃料とする種々の加熱設備が存在しており、その
排気ガスは比較的高温で、大量に排出されるので、こう
した燃焼排ガスを保温箱あるいは保温室内に導入するこ
とで、排気ガスの有効利用がなされ、熱エネルギーの有
効利用及びエネルギーコストの低減に大きく寄与する。
板の加熱炉、均熱炉が設置されており、その排気ガスは
900℃程度に達する。この排気ガスは、前記加熱炉、
均熱炉の燃焼用空気の予熱のために熱交換器で熱交換さ
れ最終的には温度が下がるが、それでも最終排気ガス温
度として、350〜450℃はある。
や保温室に導入すれば、熱エネルギーの有効利用及びエ
ネルギーコストの低減につながり、極めて好ましい効果
が得られる。なお、上述のように、235℃を超えた熱
処理では効果が得られないことから、排気ガスについて
は200℃前後に低下させてから保温箱や保温室に導入
する必要があるが、この場合には例えば排気ガスを常温
の空気と混合することにより容易かつ迅速に200℃前
後に低下させることが出来、このような処理を経てから
保温箱や保温室に導入すれば良い。
排熱回収の蒸気発生装置の複合設備の場合には、例え
ば、出力7200KWの発電出力の設備で、160℃の
水蒸気3T/Hを発生するとともに、約200℃で52
000Nm3/Hの排気ガスを放出している。そして、
このような約200℃以下の排気ガスの熱は、一般に工
業的な回収が難しいことから低級熱源と呼ばれており、
従来はそのまま排出されていた実状にある。これに対し
て、本発明で用いられる熱処理は、235℃〜80℃と
低いため、このような低級熱源の排気ガスであっても十
分利用することができ、さらには上述のような常温空気
との混合処理を経なくても済むため、排気ガスを直接そ
のまま保温箱や保温室に導入することが可能である。
処理がなされるため、生産工場に設置されている加熱設
備の燃焼排ガスを十二分に利用できるメリットがある。
態)次に、本発明の熱処理条件により溶融亜鉛メッキ鋼
板を製造するための溶融亜鉛メッキ設備及び工程の実施
形態を、図2乃至図5を参照して説明する。なお、本願
発明は、以下の各設備例のみに限定されず、これら以外
にも種々の設備によって実現可能である。また、図6で
上述した従来例と同一機能の部分には同一符号を付し、
適宜その説明を省略する。
施の形態として、溶融亜鉛メッキ時の鋼板の熱を利用し
て熱処理する溶融亜鉛メッキ設備及び工程の例を示して
いる。本実施の形態では、鋼板給送部1から噴射ノズル
10までの工程と、形状矯正装置12以降の工程との間
に上述した熱処理を行う工程を加えている。
流側から、コイル状に巻かれた鋼板を送り出すための鋼
板給送部1と、鋼板の端部同士を溶接、機械的接続等に
より接続するための鋼板接続機2と、鋼板接続機2によ
る接続作業時間を確保するための入り側ルーパー3と、
鋼板を加熱する無酸化炉等の加熱炉4と、還元性雰囲気
に保持され鋼板を焼鈍する焼鈍炉及び冷却帯5と、焼鈍
炉5と連設され下端側がメッキ浴に浸漬されたスナウト
6と、AlとSiを所定量含んだ溶融亜鉛メッキ浴9を
有するポット7と、ポット7内に配置されたシンクロー
ル8と、ポット7の後段に配置され空気や窒素ガス等を
噴射する噴射ノズル10とを備えている。
板給送部1から噴射ノズル10までは、図6に示す通常
の溶融亜鉛メッキ設備と同様の構成及び製造工程となっ
ている。そして、本実施の形態では、図6と比較して分
かるように、噴射ノズル10の下流側の形状矯正装置1
2、塗布ロール13、及び乾燥炉14が除かれ、鋼板巻
取部16の後段に設けられた構成となっている。
10で所定のメッキ付着量に制御された溶融亜鉛メッキ
鋼帯を鋼帯冷却帯11で十分に冷却させることなく、熱
処理に必要な高温のままで通過させ、出側ルーパー15
を通して、高温の溶融亜鉛メッキ鋼帯24は、鋼板巻取
部16でコイル状に巻き取られ、高温の溶融亜鉛メッキ
鋼板コイル17となる。
7は、クレーンや台車等で移動され、上述した熱処理を
行うために、保温箱あるいは保温室18内に所定時間保
持される。ここで所定時間高温に保持された後、熱処理
済みの溶融亜鉛メッキ鋼板コイル17は、保温箱あるい
は保温室18から取り出され、冷却される。
は、必要に応じて、鋼板の形状の矯正や簡単表面処理が
施される。この実施の形態では、図2に示すように、熱
処理済みの溶融亜鉛メッキ鋼板コイル17は、第2の鋼
板給送部1’から送り出され、鋼板接続機2で次々に接
続されて形状矯正装置12を通過し、さらに、塗布ロー
ル13で塗布型クロメートが塗布されて、乾燥炉14で
乾燥された後、第2の鋼板巻取部16’でコイル状に巻
き取られ、所定長さで適宜切断される等により、納入品
としての溶融亜鉛メッキ鋼板製品となる。
態では、通常の溶融亜鉛メッキ設備に設置されている乾
燥炉で溶融亜鉛メッキ鋼板を加熱して熱処理する設備及
び工程の例である。
流側から、鋼板給送部1、鋼板接続機2、入り側ルーパ
ー3、加熱炉4、焼鈍炉及び冷却帯5、スナウト6、シ
ンクロール8及び溶融亜鉛メッキ浴9を有するポット
7、噴射ノズル10、鋼帯冷却帯11、形状矯正機1
2、簡単な表面処理装置としての塗布ロール13及び乾
燥炉14’、出側ルーパー15、及び鋼板巻取部16を
備えており、図6に示す通常の溶融亜鉛メッキ設備とほ
ぼ同様の構成及び製造工程となっている。
して、加熱能力の大きいものが用いられている。すなわ
ち、簡単な表面処理を行うための乾燥炉は一般に加熱能
力が小さいので、本実施の形態では、加熱能力の大きい
乾燥炉14’を用いることにより、鋼帯の温度を上述し
た熱処理に必要な温度まで上昇させることが可能とな
る。
備では、乾燥炉14’を出て出側ルーパー15を通った
高温の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼帯24は、鋼板巻
取部16により高温の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板
コイル17として巻き取られる。高温の溶融亜鉛−アル
ミ合金メッキ鋼板コイル17は、クレーン、台車等で移
動し保温箱あるいは保温室18内に所定時間保持され
る。所定時間高温に保持された後、熱処理中の溶融亜鉛
−アルミ合金メッキ鋼板コイル17は、保温箱あるいは
保温室18から取り出され、冷却されて、コイル状態の
まま或いは必要に応じて所定長さで適宜切断される等に
より、納入品としての溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板
製品となる。
鉛メッキ設備の鋼板巻取部16の前段に加熱設備を設置
して溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を加熱して熱処理
する設備及び工程の例である。工程は、鋼板コイル1、
鋼板接続機2、入り側ルーパー3、加熱炉4、焼鈍炉及
び冷却帯5、スナウト6、ポット7、噴射ノズル10、
鋼帯冷却帯11、形状矯正機12、塗布ロール13、乾
燥炉14、出側ルーパー15までは、図6で説明した通
常の溶融亜鉛メッキ製造工程と同じである。
アルミ合金メッキ鋼板の熱処理のために必要な温度まで
の加熱には能力不足である場合が一般的なので、本実施
の形態では、新たに誘導加熱装置等の加熱装置21を出
側ルーパー15の後段かつ鋼板巻取部16の前段に設置
して高温の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼帯24を得
て、鋼板巻取部16により高温の溶融亜鉛−アルミ合金
メッキ鋼板コイル17として巻き取るようにする。
温の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイル17は、ク
レーン、台車等で移動し保温箱あるいは保温室18内に
所定時間保持される。所定時間高温に保持された後、熱
処理中の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイル17
は、保温箱あるいは保温室18から取り出され、冷却さ
れて溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板製品となる。
鉛メッキ設備で溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を製造
し、さらに加熱装置を有する設備で溶融亜鉛−アルミ合
金メッキ鋼板を加熱して、熱処理する設備及び工程の例
である。工程は鋼板コイル1、鋼板接続機2、入り側ル
ーパー3、加熱炉4、焼鈍炉及び冷却帯5、スナウト
6、ポット7、噴射ノズル10、鋼帯冷却帯11、形状
矯正機12、塗布ロール13、乾燥炉14、出側ルーパ
ー15、鋼板巻取部16までは図6に示す通常の溶融亜
鉛メッキ製造工程と同じであり、ここで低温の熱処理前
の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイル22を得る。
本実施の形態では、この鋼板巻取部16の後段に、第2
の鋼板給送部1’、鋼板接続機2、加熱装置21、第2
の鋼板巻取部16’を備えた加熱設備を設ける構成とす
る。
メッキ鋼板コイル22は、第2の鋼板給送部1’から送
り出された後に、鋼板接続機2で次々に接続されて、誘
導加熱装置等の加熱装置21で加熱されて、高温の溶融
亜鉛−アルミ合金メッキ鋼帯24となり、第2の鋼板巻
取部16’によって高温の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ
鋼板コイル17として巻き取られる。高温の溶融亜鉛−
アルミ合金メッキ鋼板コイル17は、クレーン、台車等
で移動し保温箱あるいは保温室18内に所定時間保持さ
れる。所定時間高温に保持された後、熱処理中の溶融亜
鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイル17は、保温箱あるい
は保温室18から取り出され、冷却されて溶融亜鉛−ア
ルミ合金メッキ鋼板製品となる。
ついての実施例を説明する。各実施例では、溶融亜鉛−
アルミ合金メッキ鋼板のコイル寸法、加熱条件、加熱温
度(保温開始時の鋼板の温度)等について種々の値に設
定し、かつ、保温箱又は保温室のいずれかを用いて保温
した。
ミ合金メッキ鋼板の製造及び保温等について、上述した
第4の実施の形態の設備を用いて実施した。
溶融メッキ設備で製造したAl:55重量%、Si:
1.5重量%及び残部Znからなる溶融亜鉛−アルミ合
金メッキ鋼板コイルを、加熱装置21(誘導加熱装置、
周波数:20kHz、定格出力:200kW)を有する連
続式加熱設備に30mpmで通板して鋼帯状で加熱し、
第2の鋼板巻取部16’にてコイル状に巻き取った。こ
の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイルは、板厚:
0.35mm、板巾:1000mm、メッキ付着量(両
面):150g/m2の13Tonコイルとした。ま
た、誘導加熱装置の出力は、200KWであった。さら
に、第2の鋼板巻取部16’による巻き取り時に、鋼板
の内巻き部及び外巻き部の鋼板間にシース熱電対を入れ
て温度を測定したところ、巻き取り時における鋼板の内
巻き部及び外巻き部の温度は、200℃〜220℃の範
囲であった。
さ50mmのセラミックファイバー断熱材を敷き、さら
に鋼製のコイル置き台を設置し、その上に加熱された溶
融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイルを、図1に示す燃
焼ガス導入口31及びガス排出口32を備えた保温箱3
0で覆った。ここで、溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板
コイルを保温箱30で覆うと同時に鋼板コイルの温度測
定用の熱電対を記録温度計に接続し、該コイル温度を観
察・記録し続けた。
取り時における鋼板の内巻き部及び外巻き部の温度は、
上述のように200℃〜220℃の範囲であったが、保
温箱30内での保温開始時には、内巻き部は第2の鋼板
巻取部16’の巻き取りリールに抜熱されたため170
℃を示し、外巻き部は218℃であった。
kcal/Hの灯油ヒーターの燃焼ガスを燃焼ガス導入
口31から保温箱30内に導入した。そして、保温開始
から2時間後に、灯油ヒーターの燃焼ガス導入を中止
し、保温箱30の燃焼ガス導入口31及びガス排出口3
2を閉じた。この時の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板
コイルの温度は、内巻き部が203℃、外巻き部が21
7℃を示した。
コイルをさらに1時間保温箱30内に保持し続け、内巻
き部の温度が202℃、外巻き部の温度が208℃を示
したところで保温箱30をメッキ鋼板コイルから外し、
自然放冷とした。ここでは、少なくともメッキ鋼板コイ
ル全体が170℃以上の温度で3時間以上保持し続けら
れたので、(1)式の条件を満足し得た。保温開始時か
ら24時間経過後にメッキ鋼板コイルの温度を測定した
ところ、内巻き部が85℃、外巻き部が80℃であっ
た。
アルミ合金メッキ鋼板コイルの内巻き部及び外巻き部か
らそれぞれサンプルとしての試験片(本発明品)を採取
し、熱処理前の同じ材料の試験片(比較材)とで、同一
条件下での曲げ加工を行って、以下の各種特性について
比較した。
加工性 ここでは、本発明品及び比較材について、それぞれ曲げ
角度180度、OT及び2Tで曲げ加工を行い、曲げ加
工部を肉眼及び写真で観察して両者を対比し、上述した
指標での評価を行った。この評価結果を表2に示す。
しの比較材に比べて加工部のクラック発生回避という点
で極めて良好な結果が得られ、上述の熱処理に基づく著
しい改善効果が得られたことが分かる。
耐蝕性 これらのメッキ鋼板の平面部、OT折り曲げ部及び2T
折り曲げ部についての耐蝕性を、スガ試験機株式会社の
湿潤試験機(CT−3型)を用いて、50℃、相対湿度
98%で1000時間試験した。この結果を表3に示
す。なお、鋼板の切断端面はシールして試験に供した。
し、下記の評価とした。 ◎:錆発生なし ○:錆発生面積〜25%未満 △:錆発生面積25%超〜50%未満 ×:錆発生面積50%以上
しの比較材に比べて加工部の耐蝕性という点においても
極めて良好な結果が得られ、上述の熱処理に基づく著し
い改善効果が得られたことが分かる。
をそれぞれ脱脂し、塗布型クロメート処理を施し、Cr
付着量が50mg/m2のクロメート被膜を得て、下塗
り塗料としてポリエステル樹脂系塗料を乾燥重量が5g
/m2になるように塗装し、炉温210℃の焼き付け乾
燥炉で43秒焼き付け、さらに高分子ポリエステル系塗
料を乾燥重量が34g/m2になるように塗装し、炉温
235℃の焼き付け乾燥炉で54秒焼き付け、引き続き
水冷して、塗装鋼板を得た。
工部耐蝕性を、下記のように試験して評価した。
て、表4に示す結果を得た。ここでは、本発明品及び比
較材の各試験片についての180度の折り曲げを行い、
その折り曲げ加工部を20倍のルーペで観察してクラッ
クの生じていない最小の板はさみ枚数で下記のように評
価した。 ◎:0Tでもクラックが生じない ○:1Tまでならクラックが生じない △:2Tまでならクラックが生じない ×:3T以上でクラックが生じてしまう
も、本発明品では高加工性を有する結果が得られた。
り曲げ部についての耐蝕性を調べるため、JIS Z−
2371に従い塩水噴霧を行って1000時間試験し
た。この結果を表5に示す。なお、鋼板の切断端面はシ
ールして試験に供した。
し、下記のように評価した。 ◎:錆発生なし ○:錆発生面積〜25%未満 △:錆発生面積25%超〜50%未満 ×:錆発生面積50%以上 さらに、膨れについては、ASTM STANDARD
D714−56の評価方法に従った。
おける耐蝕性の点でも、比較材に比べて優れたものとな
っていることが分かる。
溶融メッキ設備で製造したAl:55重量%、Si:
1.5重量%及び残部Znからなる溶融亜鉛−アルミ合
金メッキ鋼板コイルを、インナーチューブ内で天然ガス
を燃焼させて加熱する方式の連続式ガス加熱設備に30
mpmで通板して鋼帯状で加熱し、第2の鋼板巻取部1
6’にてコイル状に巻き取った。
鋼板は、板厚:0.27mm、板巾:914mm、メッ
キ付着量(両面):150g/m2で6Tonコイルと
し、実施例1よりも板厚が薄く板巾も短いものとした。
部16’による巻き取り時に、鋼板の内巻き部及び外巻
き部の鋼板間にシース熱電対を入れて温度を測定したと
ころ、巻き取り時における鋼板の内巻き部及び外巻き部
の温度は、210℃〜230℃の範囲であった。
金メッキ鋼板コイルについて、工場内床面に厚さ50m
mのセラミックファイバー断熱材を敷き、さらに鋼製の
コイル置き台を設置して、その上に加熱された溶融亜鉛
−アルミ合金メッキ鋼板コイルを、実施例1と同じ保温
箱30で覆った。また、実施例1と同様に、溶融亜鉛−
アルミ合金メッキ鋼板コイルを保温箱30で覆うと同時
に鋼板コイルの温度測定用の熱電対を記録温度計に接続
し、該コイル温度を観察・記録し続けた。
ス導入口31及びガス排出口32を閉じた状態として、
ガスの導入は行わなかった点で実施例1とは異なる。ま
た、本実施例では、第2の鋼板巻取部16’による巻き
取り時における鋼板の内巻き部及び外巻き部の温度は、
上述のように210℃〜230℃の範囲であり、保温箱
30内での保温開始時には、内巻き部は巻き取りリール
に抜熱されたため180℃を示し、外巻き部は222℃
を示した。
保温開始から2時間後、内巻き部の温度が211℃、外
巻き部の温度が170℃を示したところで保温箱30を
溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイルから外し、自然
放冷とした。ここでは、少なくとも溶融亜鉛−アルミ合
金メッキ鋼板コイル全体が170℃以上の温度で2時間
以上保持し続けられたので、(1)式の条件を満足し得
た。保温開始時から24時間後に溶融亜鉛−アルミ合金
メッキ鋼板コイルの温度を測定したところ、内巻き部の
温度が80℃、外巻き部の温度が75℃であった。
アルミ合金メッキ鋼板コイルの内巻き部及び外巻き部か
らそれぞれサンプルとしての試験片(本発明品)を採取
し、熱処理前の同じ材料の試験片(比較材)とで、同一
条件下での曲げ加工を行って、各種特性について比較し
た。
品及び比較材について、それぞれ曲げ角度180度、O
T及び2Tで曲げ加工を行い、曲げ加工部を肉眼及び写
真で観察して両者を対比し、上述した指標での評価を行
った。この評価結果を表6に示す。
しの比較材に比べて加工部のクラック発生回避という点
で極めて良好な結果が得られ、上述の熱処理に基づく著
しい改善効果が得られたことが分かる。
溶融メッキ設備で製造したAl:55重量%、Si:
1.5重量%及び残部Znからなる溶融亜鉛メッキ鋼板
コイルを、インナーチューブ内で天然ガスを燃焼させて
加熱する方式の連続式ガス加熱設備に30mpmで通板
して鋼帯状で加熱し、第2の鋼板巻取部16’にてコイ
ル状に巻き取った。
鋼板は、板厚:0.35mm、板巾:1000mm、メ
ッキ付着量(両面):150g/m2で10Tonコイ
ルとした。また、第2の鋼板巻取部16’による巻き取
り時に、鋼板の内巻き部及び外巻き部の鋼板間にシース
熱電対を入れて温度を測定したところ、巻き取り時にお
ける鋼板の内巻き部及び外巻き部の温度は、200℃〜
210℃の範囲であった。
なり、加熱された溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイ
ルを以下のような保温室に入れて保温した。すなわち、
実施例3で用いた保温室は、内寸で、高さ3.0m、奥
行き3.0m、巾2.5mであり、巾方向の壁部に可動
式の扉を設けた構成とした。また、保温室の内面は、扉
及び床面を含めて厚さ150mmのセラミックファイバ
ーで覆った。さらには、保温室の内外の床面には、コイ
ルの移動用に2本のレールを敷設し、このレール上に台
車を乗せ、加熱された溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板
コイルを台車の上に乗せて、保温室の内外に出し入れし
た。
ミ合金メッキ鋼板コイルが保温室に入室した後に、扉を
閉じて保温状態に入った。ここで、保温室は、あらかじ
め天然ガスの燃焼バーナーで加温しており、鋼板コイル
の入室時には室内温度が約200℃を示した。そして、
溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイルを保温室に入れ
ると同時に鋼板コイル温度測定用熱電対を記録温度計に
接続し、該コイル温度を観察・記録し続けた。
取り時における鋼板の内巻き部及び外巻き部の温度は、
上述のように200℃〜210℃の範囲であったが、保
温室への入室時には、内巻き部は巻き取りリールに抜熱
されたため190℃を示し、外巻き部は205℃であっ
た。入室から2時間後、内巻き部の温度が201℃、外
巻き部の温度が189℃を示したところで、メッキ鋼板
コイルを保温室外に出し、自然放冷とした。
金メッキ鋼板コイル全体が189℃以上の温度で2時間
以上保持し続けられたので、(1)式の条件を満足し得
た。入室から24時間後の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ
鋼板コイルの温度は、内巻き部が85℃、外巻き部が7
9℃であった。
アルミ合金メッキ鋼板コイルの内巻き部及び外巻き部か
らそれぞれサンプルとしての試験片(本発明品)を採取
し、熱処理前の同じ材料の試験片(比較材)とで、同一
条件下での曲げ加工を行って各種特性を比較した。
品及び比較材について、それぞれ曲げ角度180度、O
T及び2Tで曲げ加工を行い、曲げ加工部を肉眼及び写
真で観察して両者を対比し、上述した指標での評価を行
った。この評価結果を表7に示す。
しの比較材に比べて加工部のクラック発生回避という点
で極めて良好な結果が得られ、上述の熱処理に基づく著
しい改善効果が得られたことが分かる。
溶融メッキ設備で製造したAl:55重量%、Si:
1.5重量%及び残部Znからなる溶融亜鉛−アルミ合
金メッキ鋼板コイルを、実施例1と同様に加熱装置21
(誘導加熱装置)を有する連続式加熱設備に30mpm
で通板して鋼帯状で加熱し、第2の鋼板巻取部16’に
てコイル状に巻き取った。
メッキ鋼板コイルは、板厚:0.27mm、板巾:10
00mm、メッキ付着量(両面):150g/m2の7
Tonコイルとした。また、誘導加熱装置の出力につい
ては、160KW/Hと、実施例1よりもやや弱く設定
した。さらに、第2の鋼板巻取部16’による巻き取り
時に、鋼板の内巻き部及び外巻き部の鋼板間にシース熱
電対を入れて温度を測定したところ、巻き取り時におけ
る鋼板の内巻き部及び外巻き部の温度は、155℃〜1
65℃の範囲であった。
さ50mmのセラミックファイバー断熱材を敷き、さら
に鋼製のコイル置き台を設置し、その上に加熱された溶
融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイルを、図1に示す燃
焼ガス導入口31及びガス排出口32を備えた保温箱3
0で覆った。また、ここでも実施例1と同様に、溶融亜
鉛−アルミ合金メッキ鋼板コイルを保温箱30で覆うと
同時に鋼板コイルの温度測定用の熱電対を記録温度計に
接続し、該コイル温度を観察・記録し続けた。
取り時における鋼板の内巻き部及び外巻き部の温度は、
上述のように155℃〜165℃の範囲であったが、保
温箱30内での保温開始時には、内巻き部は第2の鋼板
巻取部16’の巻き取りリールに抜熱されたため135
℃を示し、外巻き部も135℃であった。本実施例で
は、保温にあたり、実施例1と同様に30000kca
l/Hの灯油ヒーターの燃焼ガスを燃焼ガス導入口31
から保温箱30内に導入した。そして、保温開始から
1.5時間後に鋼板温度を測定したところ、内巻き部が
156℃、外巻き部が161℃を示した。
保温箱30内に導入し続け、導入開始時から11.5時
間経過した時点で、内巻き部の温度が168℃、外巻き
部の温度が164℃を示した。本実施例では、この時点
で燃焼ガスの導入を中止して、保温箱30をメッキ鋼板
コイルから外し、自然放冷とした。ここでは、少なくと
もメッキ鋼板コイル全体が150℃以上の温度で10時
間以上保持し続けられたので、(1)式の条件を満足し
得た。なお、保温開始時から48時間経過後に溶融亜鉛
−アルミ合金メッキ鋼板コイルの温度を測定したとこ
ろ、内巻き部及び外巻き部とも60℃前後であった。
アルミ合金メッキ鋼板コイルの内巻き部及び外巻き部か
らそれぞれサンプルとしての試験片(本発明品)を採取
し、熱処理前の同じ材料の試験片(比較材)とで、同一
条件下での曲げ加工を行って、以下の各種特性について
比較した。
それぞれ曲げ角度180度、OT及び2Tで曲げ加工を
行い、曲げ加工部を肉眼及び写真で観察して両者を対比
し、上述した指標での評価を行った。この評価結果を表
8に示す。
しの比較材に比べて加工部のクラック発生回避という点
で極めて良好な結果が得られ、上述の熱処理に基づく著
しい改善効果が得られたことが分かる。
毎の温度測定結果から、灯油ヒーターの燃焼ガス導入に
よるメッキ鋼板の温度上昇は極めて小さく、コイル状の
鋼板を加熱して温度上昇させることの困難さが分かる。
すなわち、メッキ鋼板の温度を上昇させるには鋼帯状と
して加熱することが極めて有効であり、また、コイル状
とした鋼板が加熱しにくいことは、同時に温度低下しに
くいことでもあるため、保温時には溶融亜鉛−アルミ合
金メッキ鋼板をコイル状とすることが極めて有効である
ことが分かる。
り製造された溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板は、従来
法により製造された溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板に
比べて、加工時のクラック発生が少なく、かつ加工部の
耐蝕性が優れている。また、本発明の製造方法は、熱効
率が極めて良く、かつ簡易である。
図であり、溶融亜鉛メッキ時の鋼板の熱を利用して、熱
処理する設備及び工程の例を説明する図である。
図であり、通常の溶融亜鉛メッキ設備に設置されている
乾燥炉で溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を加熱して熱
処理する設備及び工程の例を説明する図である。
図であり、通常の溶融亜鉛メッキ設備の巻き取り機前に
加熱設備を設置して溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を
加熱して熱処理する設備及び工程の例を説明する図であ
る。
図であり、通常の溶融亜鉛メッキ設備で溶融亜鉛−アル
ミ合金メッキ鋼板を製造し、さらに加熱装置を有する設
備で溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を加熱して、熱処
理する設備及び工程の例を説明する図である。
図である。
ル 23 鋼帯 24 高温の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼帯 30 保温箱 31 燃焼ガス導入口 32 ガス排出口 33 釣り上げ用フック
Claims (4)
- 【請求項1】 Al:20〜95重量%を含む溶融亜鉛
メッキ浴に鋼板を接して一定量のメッキを該鋼板に付着
させるメッキ工程を具備する、溶融亜鉛−アルミ合金メ
ッキ鋼板の製造方法であって、 前記メッキ工程後の冷却過程中、溶融亜鉛−アルミ合金
メッキ鋼板を80℃以上で、切り板状あるいはコイル状
となし保温箱及び/又は保温室に入れて溶融亜鉛−アル
ミ合金メッキ鋼板の温度tと保温箱及び/又は保温室に
入れている時間hとの関係について下記(1)式を少な
くとも1回は満足することを特徴とする溶融亜鉛−アル
ミ合金メッキ鋼板の製造方法。 【数1】 但し、t:235℃から80℃間の鋼板温度 - 【請求項2】 Al:20〜95重量%を含む溶融亜鉛
メッキ浴に鋼板を接して一定量のメッキを該鋼板に付着
させるメッキ工程を具備する、溶融亜鉛−アルミ合金メ
ッキ鋼板の製造方法であって、 前記メッキ工程後の冷却過程で冷却した溶融亜鉛−アル
ミ合金メッキ鋼板又は該鋼板コイルを鋼帯状で加熱する
加熱工程を備え、 該加熱工程後に、溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を切
り板状あるいはコイル状で保温箱及び/又は保温室に入
れて溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の温度tと保温箱
及び/又は保温室に入れている時間hとの関係について
下記(1)式を少なくとも1回は満足することを特徴と
する溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の製造方法。 【数2】 但し、t:235℃から80℃間の鋼板温度 - 【請求項3】 前記保温箱あるいは前記保温室に、燃焼
排ガスを導入し溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板を保温
することを特徴とする請求項1又は2記載の溶融亜鉛−
アルミ合金メッキ鋼板の製造方法。 - 【請求項4】 前記加熱工程では、誘導加熱装置あるい
は連続加熱炉を用いて加熱することを特徴とする請求項
2記載の溶融亜鉛−アルミ合金メッキ鋼板の製造方法。
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CN106481185A (zh) * | 2015-09-02 | 2017-03-08 | 上海东新冶金技术工程有限公司 | 用于热镀锌可准确停位的密封门及其使用方法 |
US10537915B2 (en) | 2008-09-15 | 2020-01-21 | The Boeing Company | Contaminant resistant coating fabrication structure and method |
WO2023037975A1 (ja) * | 2021-09-07 | 2023-03-16 | 株式会社ジーテクト | 生産方法 |
-
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- 2002-01-23 JP JP2002013672A patent/JP3742596B2/ja not_active Expired - Fee Related
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