JP2003213267A - コークス押出し機、コークス押出しラム、及びコークス押出し方法 - Google Patents
コークス押出し機、コークス押出しラム、及びコークス押出し方法Info
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Abstract
出しトラブルおよび、コークス炉炉壁の損傷を防止す
る。 【解決手段】 コークス押出しラム先端の水平断面形状
を凹状とし、その溝部深さを好適な値にすることによ
り、コークス押出し時における炭化室内でのコークス塊
の移動方向を制御し、炉壁に発生する荷重を減少させて
押出しトラブルおよび炉壁損傷を防止する。
Description
炉において石炭類を乾留してコークスを製造するに際
し、コークスの炉からの排出を容易ならしめるための押
出し機に関する。
を乾留してコークスを製造する際には、概略次のような
工程をとる。まず、適当な性状の石炭類を粒度調整し、
場合により部分的に乾燥あるいは成型を行なった後、コ
ークス炉の炭化室と称される例えば幅約0.3〜0.6
m、高さ約4〜8m、長さ約10〜20mの密閉された
空間にこれらを装入する。コークス炉はこの炭化室と、
燃焼室と称される例えば幅約0.5〜1m、高さ及び長
さが炭化室と概略同じレンガ構造体が交互に連続して1
0〜50組程度設置された構成となっていて、燃焼室に
はガスを燃焼させることができるバーナー構造などが設
置され、炭化室に装入された石炭は燃焼室からの熱で加
熱乾留される。約15〜24時間加熱することにより炭
化室の石炭は約1000℃のコークスとなる。その後、
炭化室の長さ方向両端に設置された炉蓋を取り除いて、
片側から赤熱コークスを押出し、冷却して製品のコーク
スが得られる。この際、コークスを押出すための装置を
押出し機と呼び、炭化室内のコークスの端面に荷重を与
え、コークスを移動、排出させることができる押出しラ
ムと呼ばれる可動部材が設置されている。
おり、稼動開始時に一旦昇温すると、通常冷却されるこ
となく約30〜50年間加熱され続ける。従って、万一
レンガに破損が発生した場合でも、その補修は炉体を冷
却することなしに行なうのが原則であるため、一般にコ
ークス炉構造体レンガの補修は容易ではない。このよう
な理由から、レンガの損傷を防止することはコークス炉
の順調な稼動のために極めて重要なことと認識されてい
る。コークス炉構造体レンガに損傷をもたらす原因とし
ては種々のものが挙げられるが、コークスを押出す際
に、押出しラムから与えられた荷重がコークスを介して
炭化室の炉壁に伝わり、炉壁損傷を発生させる例がある
ことが知られている。また、この炉壁にかかる荷重によ
って引き起こされるコークスと炉壁間の摩擦は、コーク
スの移動を妨げる抵抗となるため、摩擦が過大である場
合にはコークスが炭化室から排出できなくなる、いわゆ
る押詰まりと呼ばれる現象が発生することも知られてい
る。この押詰まりは操業の遅滞を招くだけでなく、押詰
まり発生時には、ラムからの荷重が過大となりやすく、
炉壁損傷発生の危険性が増すことから、押詰まりを防止
することはコークス炉操業上、重要な課題と認識されて
いる。
ス押出しに伴う炉壁損傷防止を目的としたいくつかの技
術が公知である。
スケーキを製造することによってトラブルを防止しよう
とするものである。その例としては、特開平07−27
8562号公報に開示された、装入石炭の性状を制御す
ることで押出し性を改善する技術、特開平08−283
731号公報に開示された、炭化室内のコークス性状と
押出し性の関係に基づいて押出し性を制御する技術、特
開平09−143473号公報および特開2000−1
44139号公報に開示された、実験もしくはシミュレ
ーションによってコークスの押出し性を予測し、その結
果に基づき操業を行なう技術などが公知である。これに
対し、押出し方法を制御してトラブルを防止しようとす
る技術がある。例えば、特開平08−283729号公
報には押出しラムの速度を制御することによって押出し
不良を防止する技術が開示されている。また、押出性を
改善するための押出しラム制御方法として、特開平08
−295888号公報、特開平11−349954号公
報、特開2000−273456号公報、特開2000
−290657号公報に開示された技術がある。
の形状を変更することにより押出性を改善しようとする
技術としては、実開平03−106336号公報およ
び、特開平06−271857号公報に記載の技術が公
知である。
のコークスの状態を仔細に観察すると、コークス塊はラ
ンダムに充填されているのではなく、塊が積み重なった
状態で全体としてひとかたまりの直方体形状のいわゆる
コークスケーキとして自立していることが知見される。
コークスは加熱によって収縮する性質を持つことから、
このコークスケーキ表面と炉壁の間には、コークスケー
キ全体が収縮することによって発生した間隙が存在す
る。コークスを炭化室から押出すために、このコークス
ケーキの端面に荷重を与えると、コークスケーキが荷重
に対して横方向(すなわち炉壁の方向)に広がり、コー
クスケーキと炉壁の間隙が減少する。さらに広がりが続
けば、コークスケーキの一部が炉壁と接触して炉壁に荷
重が発生することとなり、この荷重が過大であれば、押
詰まりや炉壁損傷を招くことが指摘されている。このよ
うな押出し時におけるコークスケーキの挙動に関する知
見に基づけば、コークス塊の炉壁方向への動きを抑制す
ることによって、コークスの押出し性を改善し、炉壁損
傷を防止することができるものと推定される。
状を変更することによってコークス塊の動きの制御を行
なおうとした試みとして実開平03−106336号公
報および、特開平06−271857号公報に記載の技
術がある。これらの技術においては、押出しラム先端の
水平断面形状を凹状として、コークス塊に炭化室中央側
への分力あるいは回転モーメントを発生させ、押出し抵
抗を低下させることが意図されている。ところが、これ
らの技術においては、凹状の窪みの深さをどの程度にす
べきかの明示がなく、実機適用を図るには最適な技術と
して完成された技術とは言えないものである。
することにより、押出し時における炭化室内でのコーク
ス塊の炉壁方向への動きをよりよく制御することで、押
詰まりの防止およびコークス押出しに伴う炉壁損傷防止
を図ることを検討した。
ス押出し時におけるコークス塊の挙動を精細に検討し
た。その上で、炉壁に作用する荷重を低減できるような
最適なラム形状について検討を行なった結果、凹状の窪
みの深さには最適範囲があることを見出し、本発明の完
成に至った。
ものであって、水平室炉式コークス炉においてコークス
を炭化室から排出するためのラムを装備したコークス押
出し機において、炭化室内のコークスに接触する押出し
ラム先端部分の水平断面形状をラム中央部が窪んだ形状
とし、かつ、窪みの深さをラム幅の1/3以下とするこ
とを特徴とするコークス押出し機を提供するものであ
る。
中央部が窪んだ形状とすれば、ラムとコークスケーキが
接触した部分において、コークス塊に対し炭化室中心方
向への力を作用させることができる。その結果、コーク
ス塊は押出し方向に移動するとともに、炭化室中心方
向、すなわち炉壁から離れる方向に移動することとな
る。この作用によって炉壁に発生する荷重を軽減し、損
傷防止、押詰まり防止の効果を得るのが実用新案公開平
03−106336号公報、特開平06−271857
号公報に記載の技術ならびに本発明の原理であるが、コ
ークス塊の移動による炉壁荷重減少の効果を定量化する
ことによって、当初予想していなかった凹部の深さに最
適値があることを見出し、本発明の完成に至ったもので
ある。
いてコークスを炭化室から排出するためのコークス押出
しラムにおいて、炭化室内のコークスに接触する押出し
ラム先端部分の水平断面形状をラム中央部が窪んだ形状
とし、かつ、窪みの深さをラム幅の1/3以下とするこ
とを特徴とする押出しラムとしても構成することができ
る。
おいてコークスを炭化室から排出するコークス押出し方
法において、炭化室内のコークスに接触する押出しラム
先端部分の水平断面形状が、ラム中央部が窪んだ形状と
され、かつ、窪みの深さがラム幅の1/3以下とされる
ラムを用意し、該ラムによってコークスを炭化室から排
出することを特徴とするコークス押出し方法としても構
成することができる。
明する。発明者らは、コークスケーキの圧縮試験を行な
うことによって、ラムの先端形状を変更した場合に得ら
れる効果の定量化が可能であることを知見した。この試
験に用いた装置は特開平10−332501号公報に開
示された技術に基づくものであり、長さ約1m、幅約
0.4m、高さ約0.8m程度のコークスケーキをコー
クス押出し方向に圧縮した場合に側壁に発生する荷重を
測定可能なものである。この装置の圧縮ラム先端の形状
を種々変更し、圧縮試験を行なった。用いたラムの先端
形状を図1に、圧縮試験の結果を表1に示す。図1に示
すように、コークスに接触するラム先端部分の水平断面
形状をラム中央部が窪んだ形状としている。図1のNo.1
ではラム中央部分に長方形断面の溝を形成し、図1のN
o.2ではラム中央部分に先端に向かって幅が広がる台形
断面の溝を形成し、図1のNo.3ではラム中央部分に円弧
断面の溝を形成し、図1のNo.4ではラム中央部分に底面
幅が所定幅cであると共に溝幅が先端に向かって序々に
大きくなるように側面を円弧にした溝を形成し、図1の
No.5ではラム中央部分に長方形断面の溝を形成し、ラム
の左右端部且つ先端部分に長方形の切り欠きを形成して
いる。それぞれのラム寸法を表1に示す。
に発生する荷重もほぼ比例して大きくなるため、結果は
指数β=(側壁に発生した圧力)/(ラムによる圧縮圧
力)により評価した。また、圧縮時に側壁に観測された
最大局所荷重値および、βから公知の方法(例えばJ. T
ucker and G. Everitt, 1989 Ironmaking ConferencePr
oceedings, p.599)により推定される押出力の相対値
(ラム先端形状が平面の場合を100とした値)も示して
ある。
断面形状をラム中央部が窪んだ形状とすれば、個々の形
状の違いによりその効果は若干異なるものの、側壁に発
生する荷重が低下し、推定押出し力が低下することが明
らかとなった。
d/aを表1の試験番号1および2の例と同じとして、e/a
すなわち、窪みの深さを変更した場合に計測されたβ値
とe/aの関係を図2に示す。e/aを0から増大させていく
と、まずβは低下するが、e/a =0.07〜0.2程度で最低
となった後、さらにe/aが大きくなるとβが増大する傾
向が認められた。e/a=0.35を超えるとβ値はラムが平
面状である場合(e/a=0)のβ値より大きくなってしま
い、ラム先端形状を凹状にした効果がなくなってしまう
ことが明らかとなった。このようなe/a値の変化による
β値の変化は、従来の知見では予想することができなか
った発見であり、この発見に基づき、ラム先端の最適な
窪み深さを決定して発明を完成することができた。
基づくものと推定される。すなわち、e/aがおよそ0.2以
下の場合、e/aの増大とともに、コークス押出し時に塊
が炉壁と離れる方向に動こうとするためβ値が低下す
る。ところが、e/aがさらに大きくなると、突出部と溝
部の段差のため、ラムに接触したコークスに割れが発生
し、ラム突出部に接触したコークス塊に対し、炉壁から
離れる方向へ移動せしめるような力をうまく与えられな
くなってしまうものと推定される。実際、図2に示した
e/a=0.37のラムでコークスケーキを圧縮した場合、圧
縮前には炭化室幅の約1/2程度の長さを持つコークス塊
に割れが発生し、細粒化している例が多く見られた。コ
ークス塊の細粒化については、コークス塊の大きさが影
響を与えると考えられ、塊の大きさによって最適なe/a
が変化する可能性があるが、広く用いられているラムの
幅が350mm程度であることを考慮すると、e/a=0.2の場
合、eすなわち凹部の深さは70mm程度となり、通常のコ
ークスの平均粒径(約50-60mm程度)より著しく大きな
凹部深さの場合に塊の破壊が起こりやすくなっていると
推定される。
して長さが小さい(約1/10から1/20程度)コークスケー
キを用いたものであるが、実炉においても押出しラム近
傍において起こる現象はこの試験と同様と考えられる。
特に炉壁損傷をもたらすような大きな炉壁荷重はラム近
傍で発生する可能性が高いことから、このような試験で
あってもその有効性は十分に期待できるものである。
ことは困難であるため、特開2000−144139号
公報に開示された方法により計算シミュレーションによ
って実炉における側壁圧力を推定した。表1の試験番号
2の形状のラムを用いた場合および比較例として平面形
状のラムを用いた場合の側壁圧力(平面形状ラムを用い
た場合におけるラムからの距離=0での側壁圧力を10
0とした相対値)の炉長方向における分布を図3に示
す。この結果より、ラム先端形状を凹状にすることによ
り、ラム近傍のみならず、ラムから離れた位置において
も側壁圧力を軽減できることが推定された。
略凹状にし、その深さを好適な値にすることによる炉壁
荷重低減効果は明らかである。なお、このような水平断
面形状は、ラムの高さ方向の位置によって同じである必
要はない。例えば、炉壁のある部位に凹凸がある等の理
由で押出しに対する抵抗が大きいことが予測される場合
などに、その部位の高さ方向位置に相当するラムの部分
のみ水平断面形状を望ましい形状にすることでその位置
における炉壁荷重発生を軽減することもできる。また、
ラム先端形状を可変として、必要な場合に炉壁水平断面
形状を制御することも可能である。さらに、ラム先端水
平断面形状は概略凹状であれば上記図1に示す形状に限
られず、例えば、ラム中央部分に三角形、多角形等の溝
が形成されたような形状に変更することも可能である。
ては、その強度を考慮することも重要である。例えば、
窪んだ部分の幅を大きくとりすぎると、突出した部分の
幅が小さくなり、変形しやすくなることが予想される。
万一、ラムの一部が外側に変形するとラムと炉壁が接触
して炉壁に損傷を与える可能性があるため、このような
変形が起こらないよう、十分な強度を持った構造とする
ことが必要である。特にラム先端は赤熱コークスと接触
している状態では約1000℃にまで加熱される可能性
があり、熱膨張や熱衝撃を考慮して変形や破壊が発生し
ないよう十分に検討する必要がある。なお、このような
強度の推定は、公知の構造計算や有限要素法による変形
解析などで可能であり、その結果にしかるべき安全係数
を見て構造を決定すればよい。
参考に、実炉における押出ラムの先端水平断面形状をラ
ムの上下方向全体にわたり図1のNo.1(詳細寸法は
表1の試験番号2)のように加工した。このラムを用い
て、実炉(炉幅0.43m、炉長15.43m、炉高
6.5m)において1日間操業を継続した場合の平均押
出し力は55tf、平均押出し電流(押出しラムの駆動
電流の最大値の平均)は175Aであり、押詰まりは発
生しなかった。この時、全押出し本数に占める押出力8
0tf以上の窯の割合は12%であった。
施例の場合と同じ炉、同じ押出し機を用い、同じ操業条
件(原料配合炭、乾留時間、乾留温度など)で1日間操
業を行なったところ、平均押出し力は64tf、平均押
出し電流は230Aであった。また、この日の全押出し
本数に占める押出力80tf以上の窯の割合は18%で
あり、全押出し本数のうち約3%の押出し窯において押
詰まりが発生した。
実コークス炉において押出し性を改善できることが明ら
かである。
炉式コークス炉におけるコークス押出し時の所用荷重を
低減できる。その結果、押出し時のトラブルによる減産
などの機会損失の抑制、押出し時に発生する炉壁荷重の
低減による炉壁損傷の防止、およびその結果として補修
費の低減、炉寿命の延長などの効果を有する。また、好
適な押出性を達成するために必要とされる操業条件(炉
温や乾留時間、原料炭水分制約など)の緩和ができ、操
業効率が向上する。また、高膨張圧を示したり、コーク
ス化時の収縮が小さく押出しに問題が発生しやすい原料
石炭もその使用量を増加させることができ、原料制約の
緩和が達成される。
する荷重の大きさを示す指数βの関係を示すグラフ
する圧力分布の例
Claims (3)
- 【請求項1】水平室炉式コークス炉においてコークスを
炭化室から排出するためのラムを装備したコークス押出
し機において、 炭化室内のコークスに接触する押出しラム先端部分の水
平断面形状をラム中央部が窪んだ形状とし、かつ、窪み
の深さをラム幅の1/3以下とすることを特徴とするコ
ークス押出し機。 - 【請求項2】水平室炉式コークス炉においてコークスを
炭化室から排出するためのコークス押出しラムにおい
て、 炭化室内のコークスに接触する押出しラム先端部分の水
平断面形状をラム中央部が窪んだ形状とし、かつ、窪み
の深さをラム幅の1/3以下とすることを特徴とするコ
ークス押出しラム。 - 【請求項3】水平室炉式コークス炉においてコークスを
炭化室から排出するコークス押出し方法において、 炭化室内のコークスに接触する押出しラム先端部分の水
平断面形状をラム中央部が窪んだ形状とされ、かつ、窪
みの深さがラム幅の1/3以下とされるラムを用意し、
該ラムによってコークスを炭化室から排出することを特
徴とするコークス押出し方法。
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KR100959141B1 (ko) | 2007-12-26 | 2010-05-25 | 주식회사 포스코 | 코크스 압출장치 |
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KR20210135807A (ko) * | 2020-05-06 | 2021-11-16 | 주식회사 포스코 | 낙 코크스 방지 장치 |
-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002332228A patent/JP4123357B2/ja not_active Expired - Fee Related
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