JP2003213255A - YVO4:Eu3+またはYVO4:Eu3+,Bi3+で表される組成を有する蛍光体の製造方法及び、前記製造方法により製造された蛍光体 - Google Patents

YVO4:Eu3+またはYVO4:Eu3+,Bi3+で表される組成を有する蛍光体の製造方法及び、前記製造方法により製造された蛍光体

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JP2003213255A JP2002015458A JP2002015458A JP2003213255A JP 2003213255 A JP2003213255 A JP 2003213255A JP 2002015458 A JP2002015458 A JP 2002015458A JP 2002015458 A JP2002015458 A JP 2002015458A JP 2003213255 A JP2003213255 A JP 2003213255A
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vanadium
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Naoko Furusawa
直子 古澤
Satoshi Ito
聡 伊藤
Takayuki Suzuki
隆行 鈴木
Hisahiro Okada
尚大 岡田
Noriko Hoshino
徳子 星野
Hideki Hoshino
秀樹 星野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 紫外線励起条件下での発光強度が高く、小粒
径であり、且つ、均一な組成を有する、YVO4:Eu
3+または、YVO4:Eu3+,Bi3+で表される組成を
有する蛍光体及び前記蛍光体の製造方法を提供する。 【解決手段】 YVO4:Eu3+で表される組成を有す
る蛍光体の製造方法において、蛍光体前駆体をゾルゲル
法で調製する工程、次いで、得られた該蛍光体前駆体を
焼成する工程を有することを特徴とする蛍光体の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は蛍光体の製造方法及
び蛍光体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、YVO4:Eu3+または、YV
4:Eu3+,Bi3+で表される組成を有する蛍光体
は、固相法で製造されることが一般的であった。その理
由は、従来公知の液相法においては、Y(イットリウ
ム)とV(バナジウム)とが共沈(共同沈殿現象)を起
こしにくく、蛍光体前駆体の組成の中に、イットリウム
とバナジウムを両方有する蛍光体の生成が極めて困難で
あるという事情にあった。
【0003】YVO4:Eu3+で表される組成を有する
蛍光体の従来公知の固相法を用いた製造方法としては、
例えば、R.K.Datta、J.Electroch
em.Soc.Vol.114,P.1057に記載の
ように、酸化イットリウム、酸化ユーロピウム、酸化バ
ナジウムを化学両論的に混合・粉砕し、焼成する方法、
また、イットリウムとユーロピウムを蓚酸塩として沈殿
させたのち、酸化バナジウムと混合・粉砕し焼成する方
法が報告されている。
【0004】しかしながら、上記記載の方法では各構成
元素を自動乳鉢等で物理的に混合するだけであり、混合
状態にムラが生じ、均一でないため、得られる蛍光体も
均一組成とはなりにくく、その結果、得られた蛍光体の
発光効率(発光強度)は市場ニーズからは不十分であっ
た。
【0005】また、市場では、紫外線(ブラックライ
ト)励起により可視光を発する蛍光体表示物の作製に、
YVO4:Eu3+または、YVO4:Eu3+,Bi3+で表
される組成を有する蛍光体を紫外線励起条件下で発光強
度の高いインクジェット用の蛍光インクに適応したいと
の強い要望があるが、固相法を用いて得られた蛍光体粉
体の粒子径は5μm〜10μm程度と大きく、市場ニー
ズに対応できていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、紫外
線励起条件下での発光強度が高く、小粒径であり、且
つ、均一な組成を有する、YVO4:Eu3+または、Y
VO4:Eu3+,Bi3+で表される組成を有する蛍光体
及び前記蛍光体の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は下記
の構成1〜10により達成された。
【0008】1.YVO4:Eu3+で表される組成を有
する蛍光体の製造方法において、蛍光体前駆体をゾルゲ
ル法で調製する工程、次いで、得られた該蛍光体前駆体
を焼成する工程を有することを特徴とする蛍光体の製造
方法。
【0009】2.YVO4:Eu3+,Bi3+で表される
組成を有する蛍光体の製造方法において、蛍光体前駆体
をゾルゲル法で調製する工程、次いで、得られた該蛍光
体前駆体を焼成する工程を有することを特徴とする蛍光
体の製造方法。
【0010】3.蛍光体の製造原料として、イットリウ
ムアセチルアセトナート、酸化バナジウムアセチルアセ
トナート及びユーロピウムアセチルアセトナートからな
る群から選択される少なくとも1種の金属キレート化合
物を用いることを特徴とする前記1または2に記載の蛍
光体の製造方法。
【0011】4.前記1〜3のいずれか1項に記載の製
造方法を用いて製造されたことを特徴とする蛍光体。
【0012】5.バナジウム化合物に、少なくとも有機
酸と有機溶媒を混合して得られた溶液とY、Euの陽イ
オンを含む水溶液とを混合し、該陽イオンを該有機酸の
塩として該バナジウム化合物の表面に析出させる晶析工
程、次いで、前記バナジウム化合物を分離し、乾燥して
得られる蛍光体前駆体を焼成する工程を経て、YV
4:Eu3+または、YVO4:Eu3+,Bi3+で表され
る組成を有する蛍光体を製造することを特徴とする蛍光
体の製造方法。
【0013】6.バナジウム化合物として、酸化バナジ
ウムアセチルアセトナートを用いることを特徴とする前
記5に記載の蛍光体の製造方法。
【0014】7.前記5または6に記載の製造方法を用
いて製造されたことを特徴とする蛍光体。
【0015】8.一次粒子径が0.5μm以下の粒子が
全粒子の80質量%以上であることを特徴とする前記4
または7に記載の蛍光体。
【0016】9.一次粒子径が0.5μm以下の粒子が
全粒子の80質量%以上であることを特徴とする蛍光
体。
【0017】10.一次平均粒子径が0.5μm以下で
ある粒子の粒径分布の変動係数が150%以下であるこ
とを特徴とする前記9に記載の蛍光体。
【0018】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者
等は、上記の問題点について鋭意研究を重ねた結果、請
求項9に記載のような小粒径であり、または、請求項1
0に記載のような、小粒径であり且つ、粒径分布がシャ
ープなYVO4:Eu3+またはYVO4:Eu3+,Bi3+
で表される組成を有する蛍光体により、紫外線励起条件
下での発光強度が高く、また、前記のような特徴を有す
る蛍光インクへの適性が極めて良好であることを見出し
た。
【0019】また、上記記載のような小粒径であり、ま
た、粒子径分布がシャープな蛍光体を得るためには、請
求項1、請求項2に記載のように、蛍光体前駆体をゾル
ゲル法を用いて調製し、蛍光体前駆体を焼成する、また
は、請求項5に記載のように晶析法(晶析により蛍光体
前駆体を調製する)により調製し、蛍光体前駆体を焼成
する等により、各々、紫外線励起条件下で発光強度が高
く、小粒径で、且つ、均一な組成を有する、YVO4
Eu3+または、YVO4:Eu3+,Bi3+で表される組
成を有する蛍光体が得られることを見出した。
【0020】本発明のYVO4:Eu3+または、YV
4:Eu3+,Bi3+で表される組成を有する蛍光体の
製造には、ゾルゲル法による蛍光体前駆体の調製また
は、晶析法による蛍光体前駆体の調製が必須要件であ
る。ここで、各々の蛍光体前駆体の調製方法について説
明する。
【0021】《ゾルゲル法による蛍光体前駆体の調製》
請求項1、2に記載の、本発明に係る蛍光体前駆体は、
ゾルゲル法を用いて調製される。ここで、ゾルゲル法と
は、母体または賦活剤または共賦活剤に用いる元素(金
属)の少なくとも1種類を、例えば、金属アルコキシド
等を加水分解し、水酸基を有する化合物になる有機金属
を脱水縮合反応(重縮合反応ともいう)させることであ
る。
【0022】上記のゾルゲル法により、均一な組成を有
し、且つ、小粒径である蛍光体前駆体を得ることがで
き、前記蛍光体前駆体を焼成して得られた、YVO4
Eu3+やYVO4:Eu3+,Bi3+で表される組成を有
する蛍光体は、発光強度が顕著に増加するということが
明らかになった。特に、励起波長の長波化が顕著であ
り、ブラックライト(具体的には、紫外線照射下)での
発光強度の著しい増加という効果が得られたと考えてい
る。
【0023】YVO4:Eu3+やYVO4:Eu3+,Bi
3+で表される組成を有する蛍光体の前駆体の調製に用い
る化合物としては、イットリウム、バナジウム等の金属
アルコキシドを用いることもできるが、好ましくは、イ
ットリウムアセチルアセトナート、酸化バナジウムアセ
チルアセトナート、ユーロピウムアセチルアセトナート
を用いた際に特に効果が顕著であった。その理由として
は、金属アルコキシドに比較して加水分解反応速度が遅
く、バッチ全体で均一に加水分解・脱水縮合反応が進行
するためと考えられる。
【0024】《晶析法による蛍光体前駆体の調製》本発
明に係る晶析法による蛍光体前駆体の調製について説明
する。
【0025】本発明に係る晶析法とは、冷却、蒸発、p
H調節、濃縮等による物理的または化学的な環境の変
化、或は化学反応によって混合系の状態に変化を生じさ
せて、液相中から固相を析出させることであり、一般に
晶析現象と言われているが、この様な晶析現象発生を誘
引する物理的、化学的操作を施す処理を意味する。
【0026】本発明で行われる晶析処理では、請求項5
に記載のように、バナジウム化合物に、少なくとも有機
酸と有機溶媒を混合して得られた溶液と、Y、Euの陽
イオンを含む水溶液とを混合し、該陽イオンを該有機酸
の塩として該バナジウム化合物の表面に析出させる晶析
工程の後、バナジウム化合物を分離、乾燥して蛍光体前
駆体を調製するが、後述するように、例えば、バナジウ
ム化合物が分散した有機溶媒に蓚酸を添加して混合して
得られた溶液に、Yイオン、EuイオンまたはBiイオ
ンを含む水溶液を添加しバナジウム化合物の周囲に該イ
オンの蓚酸塩が析出したものを分離して蛍光体前駆体を
調製することが好ましい。
【0027】(バナジウム化合物)本発明に係るバナジ
ウム化合物としては、バナジウムアルコキシド、酸化バ
ナジウムアセチルアセトナートなど、加水分解により、
水酸基を発現するバナジウム化合物から選択できる。
【0028】(有機酸)本発明に係る有機酸としては、
カルボキシル基を有する有機酸が好ましく、例えば、蓚
酸、蟻酸、酢酸、酒石酸等が挙げられるが、中でも、蓚
酸が好ましく用いられる。特に、蓚酸を用いた場合に
は、Y、Eu、Bi等の陽イオンとの難溶性塩形成によ
り、沈殿が容易に起こるため好ましい。
【0029】また、用いる有機酸の量は、溶液で添加し
たY、Eu、Biのイオンが有機酸塩として析出するの
に必要な化学両論量の1倍以上が好ましく、更に好まし
くは、3倍以上である。
【0030】(硝酸化合物)晶析法を用いての蛍光体前
駆体の調製には、硝酸化合物を溶解した水溶液が好まし
い。硝酸化合物としては、純水に溶解するものならば特
に限定はなく、例えば、硝酸イットリウム、硝酸ユーロ
ピウム、硝酸ビスマス等の硝酸化合物が純水への溶解性
が高いために好ましく用いられる。
【0031】蛍光体前駆体の調製において、バナジウム
化合物と有機酸の溶液に、硝酸化合物の水溶液を混合す
るのは、いかなる方法によってもよいが、バナジウム化
合物の溶液を乱流域で攪拌する中に、水溶液を少量ずつ
滴下する方法が好ましい。
【0032】また、滴下が終了した後にバナジウムの脱
水縮合を促進させるために、一定の時間熟成させること
が好ましい。熟成は、いかなる温度・時間で行ってもよ
いが好ましくは30℃〜90℃、更に好ましくは60℃
〜90℃の温度で、30分以上の攪拌下で行うことが好
ましい。熟成が終了した後に、生成した化合物を分離す
る方法としては、ろ過・蒸発乾固等により行う。
【0033】《蛍光体前駆体の調製に用いられる溶媒》
蛍光体前駆体の調製に用いられる溶媒について説明す
る。
【0034】(ゾルゲル法に用いられる有機溶媒)ゾル
ゲル反応に用いる有機溶媒としては、バナジウム化合物
が分散されるものなら何でもよいが、メタノール・エタ
ノール、イソプロパノールなどのアルコール類が特に好
ましく用いられる。
【0035】(晶析法に用いられる溶媒)また、晶析法
を適用する際の溶媒としては、反応原料が溶解すれば何
を用いてもよいが、過飽和度制御のしやすさの観点から
水が好ましい。複数の反応原料を用いる場合は、原料の
添加順序は同時でも異なってもよく、活性によって適切
な順序を組み立てることができる。
【0036】(蛍光体前駆体調製時の条件)上記記載の
ゾルゲル法または晶析法を用いて蛍光体前駆体を調製す
る場合、どの方法の場合でも反応中は温度、添加速度、
攪拌速度、pHなどを制御してもよく、反応中に超音波
を照射してもよい。粒径制御のために界面活性剤やポリ
マーなどを添加してもよい。原料が添加し終ったら必要
に応じて液を濃縮、及び/または熟成することも好まし
い態様の1つである。
【0037】ゾルゲル法や晶析法により蛍光体前駆体を
合成した後、必要に応じてろ過、洗浄、乾燥、焼成、分
散等の諸工程を施してもよく、分級してもよい。
【0038】分散方法は、例えば高速攪拌型のインペラ
ー型の分散機、コロイドミル、ローラーミル、またボー
ルミル、振動ボールミル、アトライタミル、遊星ボール
ミル、サンドミルなど媒体メディアを装置内で運動させ
てその衝突(crush)及び剪断力の両方により微粒
化するもの、またはカッターミル、ハンマーミル、ジェ
ットミル等の乾式型分散機、超音波分散機、高圧ホモジ
ナイザー等が挙げられる。これらの中でも、本発明では
特に媒体(メディア)を使用する湿式メディア型分散機
を使用することが好ましく、連続的に分散処理が可能な
連続式湿式メディア型分散機を使用することが更に好ま
しい。複数の連続式湿式メディア型分散機を直列に接続
する態様等も適用できる。ここで言う「連続的に分散処
理が可能」とは、少なくとも蛍光体及び分散媒体を、時
間当たり一定の量比で途切れることなく分散機に供給し
ながら分散処理すると同時に、前記分散機内で製造され
た分散物を供給に押し出される形で途切れることなく分
散機より吐出する形態を指す。蛍光体の製造方法で、分
散処理工程として媒体(メディア)を使用する湿式メデ
ィア型分散機を用いる場合、その分散室容器(ベッセ
ル)は縦型でも横型でも適宜選択することが可能であ
る。
【0039】本発明の蛍光体は、上記の蛍光体前駆体を
焼成処理することにより得られる。ここで、焼成処理の
条件(焼成条件)について説明する。
【0040】《焼成条件》得られた化合物を焼成する際
には、いかなる方法を用いてもよいが、焼成温度や時間
は最も性能が高くなるように調整すればよい。
【0041】好ましい焼成条件の例としては、大気中で
1000℃〜1300℃の間で適当な時間焼成すること
で、目的の組成の蛍光体を得ることができる。また、8
00℃程度で焼成を行い有機物を酸化した後に、110
0℃で90分大気中で焼成するという方法も有効であ
る。
【0042】焼成方法は現在知られているあらゆる方法
を用いてもよいが、回転型のキルンを用いることが好ま
しい。雰囲気も前駆体組成に合わせて酸化性、還元性、
不活性ガス等を用いることができる。
【0043】(蛍光体)本発明の製造方法により製造さ
れたYVO4:Eu3+またはYVO4:Eu3+,Bi3+
表される組成を有する蛍光体は、Y、V及び賦活剤を含
有する蛍光体であり、Y、V及び賦活剤を含有する蛍光
体の組成は、結晶母体としてYVO4等に代表される金
属酸化物にEu、Bi等の希土類金属のイオンを賦活剤
または共賦活剤として組み合わせたものである。
【0044】本発明の蛍光体は、インクジェットノズル
から吐出性を向上させる観点から、一次粒子の平均粒径
が0.3μm以下であることが好ましく、更に好ましく
は、0.01μm〜0.3μmである。
【0045】更に、蛍光体のインクジェットノズルから
吐出性を向上させる観点から、本発明の蛍光体は、一次
粒子径が0.5μm以下の粒子が全粒子の80質量%以
上であることが好ましく、更に好ましくは、0.5μm
以下の粒子が全粒子の90質量%以上である。
【0046】ここで、一次粒子径とは、単独粒子の粒径
を表し、複数の粒子が合体、凝集したような、いわゆる
二次粒子については、後述するような透過型電子顕微鏡
(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)等を用い
て得られた画像から市販の画像解析ソフトを用いて一次
粒子に分割する処理を施した後、粒子径を測定、算出し
た。
【0047】上記記載のように、本発明のYVO4:E
3+または、YVO4:Eu3+,Bi 3+で表される組成
を有する蛍光体は、従来のものに比べて、一次粒径が小
粒径化であり、且つ、粒度分布がシャープに調整されて
いることにより分散媒中で容易に分散されるので、分散
のためのせん断力により輝度の劣化が起こりにくいの
で、発光強度の高い、インクジェットプリンター用蛍光
体インクとして好ましく用いられる。
【0048】上記の粒度分布がシャープに調整されてい
るとは、蛍光体の一次平均粒子径が0.5μm以下の粒
子の粒径分布の変動係数が150%以下である蛍光体が
好ましく、更に好ましくは、変動係数が75%以下であ
る蛍光体である。
【0049】ここで、一次粒子径の変動係数(粒子分布
の広さ)は、下式で定義される。 粒子分布の広さ(変動係数)[%]=(一次粒子径分布
の標準偏差/一次平均粒子径)×100 上記の一次粒子径、一次平均粒径等は、各々、球換算粒
径であり、球換算粒径とは、粒子の体積と同体積の球を
想定し、該球の粒径をもって表わした粒径である。ここ
で、本発明に係る蛍光体の一次粒子径、一次平均粒子径
は、透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微
鏡(SEM)を用いて測定できる。また、一次平均粒子
径は、複数の粒子(50粒子〜100粒子)の撮影デー
タを市販の画像処理ソフトを用いることにより算出でき
る。
【0050】(蛍光体の励起波長)本発明の蛍光体は2
50nm〜430nmに励起波長を有するが、励起波長
域がブラックライトの励起波長域、330nm〜400
nmにあることが好ましく、更に、350nmから38
0nmの間に存在していることが好ましい。
【0051】ここで、励起波長の測定は、励起波長及び
蛍光波長を各々走査可能な、通常市販されている分光蛍
光光度計によって測定できる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが本発
明はこれらに限定されない。
【0053】実施例1 《蛍光体前駆体Aの調製》下記に示すA液とB液を混合
してC液を調製し、次いで、前記C液に下記のD液を9
0分かけて攪拌しながら添加した。
【0054】添加した後、C液を60℃に保ち、攪拌を
行いながら10時間熟成を行い、熟成の後、減圧下に溶
媒を留去(エバポレーション)して蛍光体前駆体Aを調
製した。
【0055】 (A液の組成) 酸化バナジウムアセチルアセトナート 5.3g メタノール 250ml (B液の組成) イットリウムアセチルアセトナート3水和物 8.18g ユーロピウムアセチルアセトナート2水和物 0.48g エタノール 200ml (D液の組成) 硝酸ビスマス 0.194g 純水 210ml 《蛍光体前駆体Bの調製》下記に示したE液を60℃で
攪拌しながら、下記のF液を90分かけて添加した。次
いで、E液を60℃に保温、攪拌しながら10時間熟成
した後、減圧下で溶媒を留去して蛍光体前駆体Bを得
た。
【0056】 (E液の組成) 酸化バナジウムアセチルアセトナート 5.3g 蓚酸2水和物 11.5g メタノール 250ml (F液の組成) 硝酸イットリウム 7.12g 硝酸ユーロピウム 0.45g 硝酸ビスマス 0.194g 純水 210ml 《蛍光体前駆体Cの調製》下記に示すG液とH液を混合
してI液を調製し、次いで、I液に下記のJ液を90分
かけて攪拌しながら添加した。
【0057】添加した後、混合液を60℃に保ち、攪拌
を行いながら10時間熟成を行い、熟成の後、減圧下に
溶媒を留去(エバポレーション)して蛍光体前駆体Cを
調製した。
【0058】 (G液の組成) 酸化バナジウムアセチルアセトナート 5.3g メタノール 350ml (H液の組成) イットリウムアセチルアセトナート3水和物 8.36g ユーロピウムアセチルアセトナート2水和物 0.48g エタノール 200ml (J液の組成) 純水 70ml 《蛍光体前駆体Dの調製》下記に示したK液を60℃で
攪拌しながら、下記のL液を90分かけて添加した。次
いで、混合液を60℃に保温、攪拌しながら10時間熟
成した後、減圧下で溶媒を留去して蛍光体前駆体Dを得
た。
【0059】 (K液の組成) 酸化バナジウムアセチルアセトナート 5.3g 蓚酸2水和物 11.5g メタノール 250ml (L液の組成) 硝酸イットリウム 7.27g 硝酸ユーロピウム 0.45g 純水 210ml 《比較用蛍光体前駆体Eの調製》 酸化バナジウム 3.64g 酸化イットリウム 4.20g 酸化ユーロピウム 0.35g 酸化ビスマス 0.09g 上記素材を乳鉢を用いて十分に粉砕混合し、比較用蛍光
体前駆体Eを得た。
【0060】 《比較用蛍光体前駆体Fの調製》 酸化バナジウム 3.64g 酸化イットリウム 4.29g 酸化ユーロピウム 0.35g 上記素材を乳鉢を用いて十分に粉砕混合し、比較用蛍光
体前駆体Fを得た。
【0061】《蛍光体の製造》下記のようにして、蛍光
体A、蛍光体B、蛍光体C、蛍光体D、及び比較の蛍光
体E、蛍光体Fを各々製造した。
【0062】(蛍光体Aの製造)上記で得られた蛍光体
前駆体Aを大気中で、1200℃で180分間焼成処理
を行い、蛍光体Aを得た。
【0063】(蛍光体Bの製造)蛍光体Aの調製におい
て、蛍光体前駆体Bを用いた以外は同様にして、蛍光体
Bを得た。
【0064】(蛍光体Cの製造)蛍光体Aの調製におい
て、蛍光体前駆体Cを用いた以外は同様にして、蛍光体
Cを得た。
【0065】(蛍光体Dの製造)蛍光体Aの調製におい
て、蛍光体前駆体Dを用いた以外は同様にして、蛍光体
Dを得た。
【0066】(比較の蛍光体Eの製造)蛍光体Aの調製
において、比較用の蛍光体前駆体Eを用いた以外は同様
にして、比較の蛍光体Eを得た。
【0067】(比較の蛍光体Fの製造)蛍光体Aの調製
において、比較用の蛍光体前駆体Fを用いた以外は同様
にして、比較の蛍光体Fを得た。
【0068】得られた蛍光体A、B、C、D及び比較の
蛍光体E、Fを各々下記のように評価した。
【0069】《発光強度の評価》発光強度は、HITA
CHI社製 Florescence Spectro
photometer F3010を用いて測定を行な
い、比較の蛍光体Fの365nm励起での620nmの
発光強度を100とし、蛍光体A、B、C、D、E及び
Fの発光強度を各々相対評価した。
【0070】《平均一次粒径及び0.5μm以下の質量
%評価》蛍光体A、B、C、D、E及びFの各々をゼー
タサイザー1000(マルバーン社製)で観察し、画像
処理した結果を表1に示す。
【0071】得られた結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】表1から、比較に比べて本発明の試料は、
発光強度が高く、且つ、小粒径化されていることが明ら
かである。
【0074】
【発明の効果】本発明により、紫外線励起条件下での発
光強度が高く、小粒径であり、且つ、均一な組成を有す
る、YVO4:Eu3+または、YVO4:Eu3+,Bi3+
で表される組成を有する蛍光体及び前記蛍光体の製造方
法を提供することが出来た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡田 尚大 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 星野 徳子 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 (72)発明者 星野 秀樹 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 4G048 AA03 AB02 AC08 AE05 4H001 CA02 CA04 CF02 XA08 XA23 XA39 YA63 YA83

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 YVO4:Eu3+で表される組成を有す
    る蛍光体の製造方法において、 蛍光体前駆体をゾルゲル法で調製する工程、次いで、得
    られた該蛍光体前駆体を焼成する工程を有することを特
    徴とする蛍光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 YVO4:Eu3+,Bi3+で表される組
    成を有する蛍光体の製造方法において、 蛍光体前駆体をゾルゲル法で調製する工程、次いで、得
    られた該蛍光体前駆体を焼成する工程を有することを特
    徴とする蛍光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 蛍光体の製造原料として、イットリウム
    アセチルアセトナート、酸化バナジウムアセチルアセト
    ナート及びユーロピウムアセチルアセトナートからなる
    群から選択される少なくとも1種の金属キレート化合物
    を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の蛍
    光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製
    造方法を用いて製造されたことを特徴とする蛍光体。
  5. 【請求項5】 バナジウム化合物に、少なくとも有機酸
    と有機溶媒を混合して得られた溶液とY、Euの陽イオ
    ンを含む水溶液とを混合し、該陽イオンを該有機酸の塩
    として該バナジウム化合物の表面に析出させる晶析工
    程、次いで、前記バナジウム化合物を分離し、乾燥して
    得られる蛍光体前駆体を焼成する工程を経て、YV
    4:Eu3+または、YVO4:Eu3+,Bi3+で表され
    る組成を有する蛍光体を製造することを特徴とする蛍光
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 バナジウム化合物として、酸化バナジウ
    ムアセチルアセトナートを用いることを特徴とする請求
    項5に記載の蛍光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または6に記載の製造方法を用
    いて製造されたことを特徴とする蛍光体。
  8. 【請求項8】 一次粒子径が0.5μm以下の粒子が全
    粒子の80質量%以上であることを特徴とする請求項4
    または7に記載の蛍光体。
  9. 【請求項9】 一次粒子径が0.5μm以下の粒子が全
    粒子の80質量%以上であることを特徴とする蛍光体。
  10. 【請求項10】 一次平均粒子径が0.5μm以下であ
    る粒子の粒径分布の変動係数が150%以下であること
    を特徴とする請求項9に記載の蛍光体。
JP2002015458A 2002-01-24 2002-01-24 YVO4:Eu3+またはYVO4:Eu3+,Bi3+で表される組成を有する蛍光体の製造方法及び、前記製造方法により製造された蛍光体 Pending JP2003213255A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008093845A1 (ja) * 2007-02-02 2008-08-07 Keio University 微粒蛍光体の製造方法
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CN103059861A (zh) * 2013-01-23 2013-04-24 上海应用技术学院 一种红色YVO4:Eu3+发光微球及其制备方法

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