JP2003211863A - 孔版原紙 - Google Patents

孔版原紙

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JP2003211863A
JP2003211863A JP2002013247A JP2002013247A JP2003211863A JP 2003211863 A JP2003211863 A JP 2003211863A JP 2002013247 A JP2002013247 A JP 2002013247A JP 2002013247 A JP2002013247 A JP 2002013247A JP 2003211863 A JP2003211863 A JP 2003211863A
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film
perforations
ink
ratio
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JP2002013247A
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English (en)
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Hideyuki Kinoshita
秀之 木下
Hiroyuki Ogawa
博之 小川
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Riso Kagaku Corp
Original Assignee
Riso Kagaku Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 孔版原紙の穿孔内における支持体繊維の占有
面積比に着目することにより、インキの被印刷体への転
移量のバラツキを抑制し、細線や細字の再現性といった
印刷品位を向上させ、画像部の擦れや裏移りを防止す
る。 【解決手段】 インキ通過性のウエブからなる多孔性支
持体3とこれに積層されたプラスチックフィルム2とか
らなる孔版原紙を用い、該プラスチックフィルム2に画
像に対応する多数の微細な穿孔1を施し、前記穿孔1内
におけるウエブの占有面積比の平均値を30〜80%と
し、かつ該占有面積比のSN比を2db以上とし、さら
には前記穿孔1内におけるウエブのフィルムからの距離
Lの平均値を2〜18μmとし、かつ該距離LのSN比
を1db以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ベタ部の均一性が
高く、裏移りや擦れを生じない印刷画像を提供する孔版
原紙およびその製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在一般に使用されている孔版原紙(以
下、原紙ともいう)としては、ポリエステル系樹脂フィ
ルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル
系樹脂フィルム、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体
系樹脂フィルム等の熱可塑性樹脂フィルムに、天然繊
維、化学繊維もしくは合成繊維またはこれらを混抄した
薄葉紙や、不織布、あるいはスクリーン紗等のウエブか
らなる多孔性支持体(以下、支持体ともいう)を接着剤
で貼り合わせた構造のものが挙げられる(例えば、特開
昭51−2513号公報、特開昭57−182495号
公報など)。
【0003】これらの原紙は、サーマルプリンティング
ヘッド(以下、TPHという)の他、ハロゲンランプ、
キセノンランプ、フラッシュランプなどによる閃光照射
や赤外線照射、さらにはレーザー光線等のパルス的照射
によって熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔することによ
り製版され、インキ通過性の多孔性支持体を介して該穿
孔からインキを印刷用紙に転移させることにより印刷を
達成する。
【0004】TPHなどを使用した製版方法では、原稿
の画像を予めイメージセンサーで読み取ってデジタル信
号に変換しておき、このデジタル信号に基づいてTPH
の発熱素子を選択的に発熱させることにより、孔版原紙
の熱可塑性樹脂フィルムに、原稿の画像に対応した多数
の微細な穿孔がドット状に形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】孔版印刷では、原紙の
穿孔を通過したインキは、印刷用紙に浸透することで印
刷画像を形成する。しかし、インキの浸透に印刷用紙内
での毛細管現象が加わると、印刷用紙に必要以上のイン
キが転移してしまう。この場合、印刷画像が滲んで細線
や細字の再現性といった印刷品位を低下させたり、浸透
しきれずに用紙表面に残ったインキが、画像の擦れや、
次に排紙される用紙の裏面に接触して再転写する裏移り
という不具合を生じさせることがある。特に、印刷画像
の印字率が大きい場合、すなわちベタ部が多い場合は、
上記の不具合が顕著になる。
【0006】また、孔版印刷でインキの転移量が多くな
る別の理由としては、熱可塑性樹脂フィルムに形成され
た穿孔から、インキが過剰に通過しやすいことが考えら
れる。原紙の穿孔径は、TPHの解像度や発熱素子のサ
イズによって異なるが、一般に約30μm〜60μmで
あって、印刷用紙の厚みと同等かやや小さい程度であ
る。よって、穿孔を通過するインキ量は、印刷用紙の厚
みに比べると非常に多い状態であり、明らかに過剰であ
る。
【0007】その他の理由として、原紙を構成する薄葉
紙、すなわち支持体内部をインキが過剰に通過しやすい
ことが考えられる。支持体の繊維径は太いもので10μ
m程度あり、さらに繊維の分散にもバラツキがあるた
め、最悪の場合、平面的に見て100μm×100μm
程度の繊維がまったくない部分(繊維間の空隙)が存在
する場合もあり、その空隙は穿孔の大きさに比べると非
常に大きく、したがって、その空隙部分では特にインキ
が通過しやすくなる。
【0008】そこで、支持体の目付量をふやして、繊維
間の空隙を減らすことも試みられているが、この場合
は、支持体の厚みも厚くなってしまうため、インキが通
過しにくくなり、ベタ部等が不均一になるという問題が
発生する。
【0009】さらにその他の理由として、支持体の太い
繊維の影響によって、フィルムと貼り合わせた際のフィ
ルム表面の平滑性が低下し、印刷時、フィルム表面と印
刷用紙との間に大きな隙間ができて、その隙間に過剰の
インキが流れ込むことも考えられる。
【0010】これらの欠点を改良するため、天然繊維か
らなる薄葉紙の代わりに、ポリエステル繊維等の合成繊
維を混抄した抄造紙や不織布を支持体として用いること
により、支持体の繊維を細くして繊維間の空隙を少なく
し、かつフィルム表面の平滑性を上げ、あるいは目付量
を少なくしてフィルム表面の平滑性を上げるといった対
策が提案されている(特開昭59−2896号公報、特
開昭59−16793号公報、特開平2−67197号
公報等)。また、支持体の繊維間の空隙に着目し、その
平均空隙面積、空隙面積の標準偏差、空隙率を適正化す
ることにより、支持体の繊維分散性を向上させるといっ
た対策も提案されている(特開平5−345489号公
報、特開平9−39430号公報)。
【0011】しかし、上述した対策により、フィルム表
面の平滑性や支持体繊維の分散性が向上して、細字や細
線の再現性といった印刷品位は若干向上するものの、画
像の擦れや裏移りに関しては、未だ満足のいくものでは
なかった。
【0012】その原因としては、合成繊維を混抄した抄
造紙や不織布は、やはり繊維の分散が不均一であり、穿
孔内における繊維の量が少ない部分や、最悪の場合は穿
孔内に繊維がまったく存在しない部分があることが挙げ
られる。その結果、そのような部分でインキ転移量が過
剰になり、擦れや裏移りが発生する。
【0013】そこで、特開平8−197825号公報
は、印刷ドラムと原紙との間に多孔性シートを設け、イ
ンキが印刷ドラムから印刷用紙に転移する間に、該シー
ト内部あるいは原紙の支持体内部において、少なくとも
一回迂回して印刷用紙に転移させることで、インキの過
剰な転移を抑制することを提案している。ここでは、多
孔性シートとして、樹脂や金属を含む不織布、焼結物、
スポンジ等の発泡材料、繊維状の部材等を掲げている。
しかし、孔版原紙の支持体に関する示唆はない。
【0014】近年の孔版印刷は、TPHの解像度を上げ
て、印刷品位を向上させることが行われている。つま
り、解像度を600dpiまたはそれ以上に上げてドッ
トの線密度を上げ、さらに発熱素子のサイズを小さくし
ている。このような高解像度では、穿孔径は約10〜3
0μmと、従来よりも非常に小さいものとなる。したが
って、穿孔内部に繊維が全く存在しない部分が増え、イ
ンキが過剰に転移しやすい部分が増え、そのような部分
で裏移りや擦れの不具合が発生しやすくなる。同時に、
穿孔内部の繊維の占有面積が大きすぎてインキが通過し
にくい部分も増え、最悪の場合は、繊維が完全に穿孔を
塞いでしまいインキが全く通過できない場合も発生し、
細線や細字の再現性といった印刷品位を低下させる不具
合も発生しやすくなる。
【0015】上記の不具合は、特開平8−197825
号公報のような構成においても同様に発生し、何れにし
てもインキ転移量のバラツキを解消することは必要であ
る。
【0016】本発明は、孔版原紙の穿孔内における支持
体繊維の占有面積比に着目することにより、インキの被
印刷体への転移量のバラツキを解消し、細線や細字の再
現性といった印刷品位を向上させ、画像部の擦れや裏移
りを防止することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の一つの局面によ
れば、インキ通過性のウエブからなる多孔性支持体とこ
れに積層されたプラスチックフィルムとからなり、該プ
ラスチックフィルムには画像に対応する多数の微細な穿
孔が施された孔版原紙であって、前記穿孔内におけるウ
エブの占有面積比の平均値が30〜80%であり、かつ
該占有面積比のSN比が2db以上であり、さらには前
記穿孔内におけるウエブのフィルムからの距離の平均値
が2〜18μmであり、かつ該距離のSN比が1db以
上であることを特徴とする孔版原紙が提供される。
【0018】本発明の他の局面によれば、インキ通過性
のウエブからなる多孔性支持体とこれに積層されたプラ
スチックフィルムとからなる孔版原紙を用い、該プラス
チックフィルムに画像に対応する多数の微細な穿孔を施
すことからなる孔版原紙の製版方法であって、前記穿孔
内におけるウエブの占有面積比の平均値が30〜80%
であり、かつ該占有面積比のSN比が2db以上であ
り、さらには前記穿孔内におけるウエブのフィルムから
の距離の平均値が2〜18μmであり、かつ該距離のS
N比が1db以上であることを特徴とする孔版原紙の製
版方法が提供される。
【0019】本発明において、ウエブとは、インキ通過
性の網状構造を備えたシート状部材を意味し、繊維の集
合体である薄葉紙や不織布の他、織布やスクリーン紗な
どのメッシュ状のものも包含する。本発明によれば、穿
孔内におけるウエブの占有面積比が一定範囲に抑えら
れ、そのバラツキも小さいので、部分的にインキ転移量
が過剰又は過小となるような不具合もない。また、本発
明によれば、穿孔内におけるウエブのフィルムからの距
離が一定範囲に抑えられ、そのバラツキも小さいので、
適度のインキ通過抵抗が得られ、過剰又は過小のインキ
の転移が抑制される。さらに、支持体の目付量等の調整
により、繊維の占有面積比の平均値を大きくすれば、イ
ンキの転移量を抑制する効果が得られる。
【0020】本発明において、穿孔内におけるウエブの
占有面積比は平均値で30〜80%とされ、好ましくは
45〜75%であり、さらに好ましくは60〜70%で
ある。ウエブの占有面積比が30%未満では、インキ通
過抵抗が小さすぎ、インキ転移量が過剰になるので、裏
移りや擦れの問題が発生する。ウエブの占有面積比が8
0%を越えると、インキ通過抵抗が大きすぎ、インキが
通過できないので、ベタ部の均一性に問題が生じる。
【0021】さらに、本発明において、ウエブの占有面
積比のバラツキは、そのSN比を指標とすると、2db
以上とされ、好ましくは4db以上、さらに好ましくは
8db以上である。このSN比が2db未満では、部分
的にインキ転移量が過剰になり、裏移りや擦れの問題が
発生したり、または、逆に、部分的にインキが通過でき
ず、ベタ部の均一性の問題が生じる。このSN比には、
特に上限はなく、大きければ大きいほどインキ転移量の
バラツキがなくなるのでよい。
【0022】さらに、本発明において、穿孔内における
ウエブのフィルムからの距離は、平均値で2〜18μm
とされ、好ましくは2〜16μmであり、さらに好まし
くは1〜14μmである。この距離の平均値が2μm未
満では、インキが通過するための隙間が小さすぎ、イン
キが通過し難くなり、ベタ部の均一性に問題が生じる。
この距離の平均値が18μmを越えると、インキが通過
するための隙間が大きすぎ、インキ転移量が過剰とな
り、裏移りや擦れの問題が生じる。なお、本発明におい
て、この距離は、未穿孔のプラスチックフィルム内面
(すなわちウエブ側の面)と、穿孔内で露出したウエブ
の最上部すなわちプラスチックフィルムに最も近い部分
との距離を意味するもので、例えばウエブを構成する繊
維がウエブの厚み方向に上下に2本重なって存在する場
合は、よりプラスチックフィルム側に近い繊維とプラス
チックフィルム内面との距離を意味する。
【0023】さらに、本発明において、穿孔内における
ウエブのフィルムからの距離のバラツキは、SN比を指
標とすると、1db以上とされ、好ましくは2db以上
であり、さらに好ましくは3db以上である。このSN
比が1db未満では、プラスチックフィルムとウエブと
の間の隙間が大きすぎて、過剰な量のインキが通過して
しまう穿孔が多くなり、インキ転移量が多くなり、裏移
りや擦れ等の不具合が発生する。このSN比には特に上
限はなく、大きければ大きいほど、インキの転移量を抑
制できるのでよい。
【0024】本発明において、ウエブの繊維目付量は、
好ましくは2〜25g/m、さらに好ましくは2〜2
0g/m、特に好ましくは5〜15g/mである。
目付量が25g/mを超えると、インキの通過性が低
下してベタ部の均一性に問題が発生し、目付量が2g/
より少ないと、支持体として十分な強度を得られな
い場合がある。
【0025】本発明において、上記のような穿孔を形成
するためには、ウエブの平均繊維径を細くして、繊維の
打ち込み本数を非常に多くすればよい。この平均繊維径
は1〜6μmが好ましく、より好ましくは2〜4μmで
あり、さらに好ましくは2〜3μmである。この場合、
繊維の打ち込み本数が非常に多い構成となるため、穿孔
内部に繊維が存在しない部分が減り、そのうえ繊維径が
細いので、穿孔を完全に塞ぐことがない。さらに、繊維
の本数が多いため、穿孔内におけるウエブのフィルムか
らの距離のバラツキが小さくなり、インキ通過抵抗が大
きくなるので、インキの転移量を効果的に抑制できる。
平均繊維径が1μm未満では、繊維を紡糸できなかった
り、できたとしても原紙の強度が不足して、印刷機内で
の搬送の際や、印刷ドラムに着版させる際に、原紙にシ
ワが入ってしまうなどの不具合を生じる。また、平均繊
維径が6μmを越えると、特に高解像度において、ウエ
ブの占有面積比のバラツキが大きくなって、過剰にイン
キが転移する部分が生じたり、逆に、完全に塞がれてイ
ンキを全く通過させることできない部分が発生する。
【0026】従来、600dpiまたはそれ以上の高解
像度で孔版原紙を製版すると、穿孔径が小さくなるた
め、穿孔内部に繊維が殆ど存在しない部分が増え、該穿
孔からの過剰なインキ転移量のために、裏移りや擦れ等
の問題が発生することが多かったが、本発明によれば、
そのような部分が少なくなり、印刷画像の品質が向上す
る。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明の孔版原紙は、プラスチッ
クフィルムと多孔性支持体とを積層して得られる。
【0028】本発明におけるプラスチックフィルムとし
ては、代表的には、熱可塑性樹脂フィルムが挙げられ、
例えばポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンまた
はその共重合体など従来公知のものが挙げられるが、感
熱製版における穿孔感度の点からポリエステルフィルム
が特に好ましい。
【0029】熱可塑性樹脂フィルムに用いられるポリエ
ステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、エチレ
ンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの共重合
体、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリヘキサ
メチレンテレフタレート、ヘキサメチレンテレフタレー
トと1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート
との共重合体が挙げられる。
【0030】熱可塑性樹脂フィルムは、従来公知のTダ
イ押し出し法、インフレーション法等によって製造する
ことができ、これらは延伸されたもの、特に2軸延伸さ
れたものが好ましい。
【0031】例えば、Tダイ押し出し法によってポリマ
ーをキャストドラム上に押し出すことによって未延伸フ
ィルムを作製し、次いで加熱ロール群により縦延伸し、
また必要に応じてテンター等に供給して横延伸して得る
ことができる。
【0032】口金のスリット幅、ポリマーの吐出量、キ
ャストドラムの回転数を調整することによって、所望の
厚さの未延伸フィルムを作ることができ、また加熱ロー
ル群の回転速度を調整したり、テンターの設定幅を変更
することによって、所望の延伸倍率で延伸することがで
きる。
【0033】また、熱可塑性樹脂フィルムには、必要に
応じて、難燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワック
ス等の有機滑材、またはポリシロキサン等の消泡剤等を
配合することができる。
【0034】熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、感熱孔版
原紙に要求される感度等によって適宜決定されるが、通
常0.1〜10μmとされ、好ましくは0.1〜5μ
m、より好ましくは0.1〜3μmとされる。フィルム
厚さが10μmを越えると穿孔性が低下する場合があ
り、0.1μm未満では製膜安定性が悪化する場合があ
る。
【0035】本発明に用いられる多孔性支持体は、イン
キ通過性のウエブから構成され、合成繊維を主体とする
ものが好ましい。該ウエブとしては、合成繊維を主体と
する短繊維からなる抄造紙、不織布の他、織物またはス
クリーン紗などが用いられるが、特に不織布が好まし
い。
【0036】合成繊維としては、例えばポリエステル、
ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアクリ
ロニトリル、ポリプロピレン、ポリエチレンまたはその
共重合体など従来公知のものが用いられる。
【0037】これらの合成繊維は、単体で用いても、2
種以上を併用してもよく、また、天然繊維や再生繊維を
含んでもよい。また穿孔時の熱安定性の点から、ポリエ
ステル繊維が好ましい。2種以上を併用する場合でも、
少なくとも60%以上がポリエステル繊維であるのが好
ましい。
【0038】合成繊維に用いられるポリエステルとして
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリシクロヘキサジメチレンテレフタレート、
エチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートとの
共重合体等が挙げられる。
【0039】これらのポリマーには、必要に応じて、難
燃剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、顔料、染料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑
材、またはポリシロキサン等の消泡剤等を配合すること
ができる。
【0040】不織布としては、フラッシュ紡糸法、メル
トブロー紡糸法やスパンボンド法など、従来公知の直接
溶融紡糸法によって製造されたものを使用することがで
きるが、本発明では特にメルトブロー紡糸法が好まし
い。
【0041】メルトブロー法では、溶融したポリマーを
口金から吐出するに際して、口金周辺部から熱風を吹き
付け、該熱風によって吐出したポリマーを細繊度化せし
めて、ついで、しかるべき位置に配置したネットコンベ
ア上に吹き付けて捕集し、ウエブを形成して製造され
る。
【0042】該ウエブはネットコンベアに設けた吸引装
置によって熱風と一緒に吸引され、個々の繊維が完全に
固化される前に捕集される。つまり、ウエブの繊維同士
はお互いに融着した状態で捕集される。口金とネットコ
ンベア間の捕集距離を適宜設定することによって、繊維
の融着度合いを調整することができる。
【0043】また、ポリマー吐出量、熱風温度、熱風流
量、コンベア移動速度を適宜調整することにより、ウエ
ブの目付や単糸繊維径を任意に設定することができる。
【0044】メルトブロー法で紡糸された繊維は、熱風
の圧力で細繊化され、無配向または低配向の状態で固化
される。繊維の太さは比較的均一であり、繊維が程良く
分散した状態でウエブを形成する。
【0045】また、口金から吐出されたポリマーは、溶
融状態から室温雰囲気下に急冷されるため、非晶質に近
い、低結晶の状態で固化する。
【0046】さらに不織布には、印刷インキとの親和性
を付与するために、必要に応じて、構成する繊維の表面
に酸、アルカリ等の化学処理、コロナ処理、低温プラズ
マ処理等を施してもよい。
【0047】プラスチックフィルムと多孔性支持体の積
層一体化は、該フィルムの穿孔感度を低下させない条件
で、接着剤を用いた接着により、または接着剤を用いる
ことなくプラスチックフィルムと多孔性支持体とを熱接
着させることにより行うことができる。
【0048】接着剤としては、酢酸ビニル系、アクリル
系、塩化ビニル酢酸ビニル共重合系、ポリエステル系、
ウレタン系などの接着剤が用いられる。また、紫外線硬
化型の接着剤を用いてもよい。紫外線硬化型の接着剤と
しては、例えば、ポリエステル系アクリレート、ウレタ
ン系アクリレート、エポキシ系アクリレート、ポリオー
ル系アクリレートと光重合開始剤との配合物が挙げら
れ、このうち、ウレタン系アクリレートを主成分とする
接着剤が好ましい。
【0049】印刷鮮明性の点からは、接着剤を用いるこ
となく熱接着によりプラスチックフィルムと支持体とを
直接固着するのが好ましい。熱接着は、通常、プラスチ
ックフィルムと多孔性支持体とを加熱しつつ直接張り合
わせる熱圧着により行われる。熱圧着の方法には特に限
定されないが、加熱ロールによる熱圧着がプロセス性の
点から特に好ましい。
【0050】本発明で用いる孔版原紙としては、未延伸
の熱可塑性樹脂フィルムと不織布とを熱接着した状態で
共延伸したものが特に好ましい。この熱接着は、不織布
と、押し出しキャストして得られた未延伸フィルムと
を、縦延伸する前の段階で行うのが好ましい。接着温度
は、80〜170℃であるのが好ましく、より好ましく
は100〜150℃である。熱接着した状態で共延伸す
ることにより、熱可塑性樹脂フィルムと不織布とが一体
となり、剥離を生じさせることなく良好に延伸すること
ができる。このとき、不織布の繊維は、その交絡点や接
点においてお互いに融着した状態で延伸されるため、支
持体として好適な網状体を形成することができる。ま
た、両者を一体に延伸することにより、熱可塑性樹脂フ
ィルムと支持体とが直接固着されるので、接着剤を用い
ることなく一体化を達成できる。この場合,不織布の結
晶化度は、好ましくは20%以上、特に好ましくは25
%以上である。さらに、熱可塑性樹脂フィルムの融点
(Tm)と不織布の融点(Tm )との関係は、Tm
≦Tmであるのが好ましい。
【0051】共延伸の方法には特に限定されないが、二
軸延伸が好ましく、遂次二軸延伸法、同時二軸延伸法の
いずれでもよい。遂次二軸延伸法の場合、縦方向、横方
向の順に延伸するのが一般的であるが、逆に延伸しても
よい。延伸倍率は特に限定されるものではなく、用いる
熱可塑性樹脂の種類や原紙に要求される穿孔感度等によ
って適宜決定されるが、通常は縦、横それぞれ2〜8倍
程度が適当である。また、二軸延伸後、縦もしくは横、
または縦横同時に再延伸してもよい。
【0052】さらに、二軸延伸後に熱処理するのが好ま
しい。この熱処理温度は特に限定されず、用いる熱可塑
性樹脂の種類によって適宜決定されるが、通常は80〜
260℃、時間は0.5〜60秒程度が適当である。ま
た、異なるまたは同種類の繊維径及び目付量の不織布
を、多層重ね合わせて延伸してもよい。
【0053】積層一体化されたプラスチックフィルムと
多孔性支持体の剥離強度は、1g/25mm以上が好ま
しく、より好ましくは3g/25mm以上、さらに好ま
しくは5g/25mm以上である。剥離強度が1g/2
5mm未満では、原紙を印刷機に供給搬送する際に、プ
ラスチックフィルムと多孔性支持体の剥離が生じる場合
がある。
【0054】本発明の孔版原紙のフィルムの外面には、
穿孔時のスティック防止のための離型剤を塗布して離型
層を設けることが好ましい。離型剤の塗布は、上記未延
伸フィルムと未延伸不織布とを熱接着した後の二軸延伸
の前もしくは後、またはその途中の工程、もしくは巻き
取り後の別工程のいずれの段階で行ってもよい。スティ
ック防止効果の点からは、延伸前に塗布するのが好まし
い。離型剤の塗布方法は特に限定されないが、ロールコ
ーター、グラビアコーター、リバースコーター、バーコ
ーター等を用いて塗布するのが好ましい。離型剤として
は、シリコーンオイル、シリコーン系樹脂、フッ素系樹
脂、界面活性剤等からなる従来公知のものを用いること
ができる。また、離型剤には、帯電防止剤、耐熱剤、耐
酸化防止剤、有機粒子、無機粒子、顔料など各種添加剤
を混合することができる。さらに、離型剤の塗布液に
は、水への分散性を向上させる目的で、各種添加剤、例
えば分散助剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤を添加して
もよい。離型層の厚みは、穿孔時の走行性及びTPHの
耐汚染性の点から、0.005μm〜0.4μmが好ま
しく、より好ましくは0.01μm〜0.4μmであ
る。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、例中に記載した測定は下記の方法で行った。
【0056】(1)繊維目付量(g/m) 原紙の重量を精密天秤で測定し、m当たりに換算し
た。フィルムの重量分を差し引いて繊維目付量とした。
【0057】(2)原紙の製版 作製した原紙を製版治具(デジタル孔版印刷機の製版部
のみからなる治具であり、TPHを任意に取替え可能な
もの)に供給し、各種解像度のTPHを用いて、格子柄
のチャートを原稿として製版した。
【0058】(3)穿孔内におけるウエブのフィルムか
らの距離の平均値及びバラツキ(SN比) 製版した原紙において、ベタ部の任意の穿孔について、
該穿孔内におけるウエブのフィルムからの距離を、レー
ザー式非接触三次元測定装置(三鷹光器製、商品名NH
−3)を使用して表面粗さ測定することよって計測し
た。
【0059】その際、当該距離の測定の基準面は、図1
〜図3に示されるように、未穿孔のフィルムの外面6に
設定したが、「穿孔内におけるウエブのフィルムからの
距離」が0となる基準面は、測定の基準面ではなくフィ
ルムの厚みを差し引いたもの、すなわち、未穿孔のフィ
ルムの内面7とした。すなわち、本発明で言う「穿孔内
におけるウエブのフィルムからの距離」とは、「穿孔内
におけるウエブのフィルム内面からの距離」と言い換え
ることができ、下記式のように定義される: L=L’−T 式中、L:穿孔内におけるウエブのフィルムからの距離
(μm) L’:表面粗さ測定による測定値(μm) T:フィルムの厚み(μm)
【0060】なお、図1〜図3において、数字1は穿
孔、2はプラスチックフィルム、3は多孔性支持体、3
a〜3gは多孔性支持体3を構成する繊維、6はフィル
ム2の外面、7はフィルム2の内面、Tはフィルム2の
厚み、Lは穿孔1内における多孔性支持体(ウエブ)3
のフィルム2からの距離、L’及びL’〜L’は表
面粗さ測定による測定値を示す。
【0061】この表面粗さ測定によって測定される距離
L’は、フィルムの外面6と、穿孔1内で露出したウエ
ブ3の最上部すなわちフィルム2の最も近くに位置する
ウエブ3の構成繊維3cとの距離である。たとえば、図
2に示されるように、穿孔1内において、ウエブ3の厚
み方向に上下に数本の繊維3a…3gが重なって存在す
る場合、最上に位置する繊維3cとフィルム2の外面6
との距離となる。
【0062】また、図3に示されるように、ウエブ3の
繊維3a〜3gはフィルム2に対して必ずしも平行に存
在するわけではなく、場合によってはフィルム2に対し
て傾いて存在する。したがって、本発明において、距離
L’は、フィルム2の外面6と、最上に位置する繊維3
cの穿孔1内の各点との距離(L’、L’
L’ )の平均値として定義する。
【0063】上記のようにして、任意の500個の穿孔
について距離Lを求め、その平均値mと標準偏差σを用
いて、下記式によりSN比を求めた: SN比 = 10×log10(m/σ) (db)
【0064】(4)穿孔面積 (3)で三次元測定した500個の穿孔を電子顕微鏡
(SEM)で写真撮影し、各穿孔について穿孔面積を測
定し、さらに平均値を求めた。
【0065】(5)繊維径、及び繊維の占有面積 (4)で穿孔面積を測定した500個の穿孔について、
各穿孔の内部に存在する繊維の繊維径を測定し、さらに
繊維の面積を測定してこれを繊維の占有面積とした。さ
らに、該繊維径及び占有面積の平均値も求めた。
【0066】(6)繊維の占有面積比の平均値及びバラ
ツキ(SN比) (4)及び(5)の結果を用いて、500個の穿孔のそ
れぞれについて、繊維の占有面積比を下記式によって求
めた: 繊維の占有面積比 = 繊維の占有面積×100/穿孔面積 (%)
【0067】さらに、この占有面積比の平均値mと標準
偏差σを求めて、下記式によりSN比を求めた: SN比=10×log10(m/σ) (db)
【0068】(7)搬送性能及び着版シワの評価方法 作製した原紙を孔版印刷機“リソグラフ(登録商標)G
R377”(理想科学工業(株)製)に供給して白紙製
版(印字率0%)を行い原紙を搬送させ、さらに印刷ド
ラムへ着版させた。着版状態を目視により観察し、下記
の基準で評価した: ◎:非常に良好 ○:良好 △:微小な着版シワが発生 ×:着版シワが発生し使用不可
【0069】(8)インキ転移量の評価方法 (2)で製版した原紙を、孔版印刷機“リソグラフ(登
録商標)GR377”(理想科学工業(株)製)の印刷
ドラムに巻き付けて、数10枚印刷して定常状態とし
た。ここで印刷ドラムの重量(W)を測定し、さらに
100枚印刷した後の印刷ドラム重量(W100)を測
定した。そして、下記式に従い、印刷ドラム重量の減量
分をベタ部の面積(A)で除して、インキ転移量を求め
た: インキ転移量=(W−W100)/A (mg/10
0枚・cm) 式中、W:定常状態でのドラム重量(mg) W100:定常状態から100枚印刷後のドラム重量
(mg) A:ベタ部の面積(cm
【0070】(9)ベタ部の均一性及び裏移りの評価方
法 (8)で得られた印刷物について、ベタ部の均一性及び
裏移りを目視で観察し、下記基準で評価を行った: ◎:非常に良好 ○:良好 △:ベタ部の均一性に若干劣る、または裏移りが若干発
生 ×:使用不可
【0071】(10)擦れの評価方法 (8)で得られた印刷物について、印刷後1分経った状
態でベタ部を、クロックメータ(東洋精機社製)で5回
擦った後、その部分の汚れ具合を目視で観察し、下記の
基準で評価した: ◎:非常に良好 ○:良好 △:若干発生 ×:使用不可
【0072】実施例1 孔径0.35mm、孔数80個の矩形口金を用いて、口
金温度285℃でポリエチレンテレフタレート原料
([η]=0.60、Tm=254℃)をメルトブロー
法にて紡出し、コンベア上に繊維を分散捕集して、目付
量80g/m、平均繊維径3.0μmの不織布を作製
した。
【0073】次いで、ポリエチレンテレフタレート85
モル%、ポリエチレンイソフタレート15モル%からな
る共重合ポリエステル樹脂([η]=0.65、Tm=
210℃)をスクリュー径40mmの押出機を用いて、
Tダイ口金温度270℃で押し出し、直径300mmの
冷却ドラム上にキャストして未延伸フィルムを作製し
た。
【0074】該未延伸フィルム上に、前記の不織布を重
ね、加熱ロールに供給してロール温度80℃で熱圧着
し、積層シートを作製した。
【0075】この積層シートを90℃の加熱ロール間
で、流れ方向に3.5倍延伸した後、テンター式延伸機
に送り込み、95℃で幅方向に4倍延伸し、さらにテン
ター内部で160℃で熱処理した。
【0076】フィルム面にはテンター入口部において、
ワックス系離型剤をグラビアコーターを用いて乾燥後の
重さで0.1g/m塗布して感熱孔版原紙を作製し
た。
【0077】得られた原紙の目付量は7.0g/m
平均繊維径1.5μm、フィルムの厚みは1.5μmで
あった。
【0078】得られた原紙を、解像度400dpiのT
PHを用いて製版し、各性能を評価したところ、搬送・
着版性、及びベタ部の均一性は良好であり、裏移り及び
擦れは全く発生せず非常に良好であった。
【0079】実施例2 実施例1において、目付量80g/m及び平均繊維径
6.0μmの不織布を使用した以外は、実施例1と同様
にして孔版原紙を作製した。
【0080】得られた原紙の目付量は7.0g/m
平均繊維径3.0μm、フィルムの厚みは1.5μmで
あった。
【0081】得られた原紙を、解像度400dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0082】その結果、搬送・着版性、ベタ部の均一
性、裏移り及び擦れはすべて全く発生せず、非常に良好
であった。
【0083】実施例3 実施例1において、目付量80g/m及び平均繊維径
11.0μmの不織布を使用した以外は、実施例1と同
様にして孔版原紙を作製した。
【0084】得られた原紙の目付量は7g/m、平均
繊維径5.5μm、フィルムの厚みは1.5μmであっ
た。
【0085】得られた原紙を、解像度400dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0086】その結果、搬送・着版性は非常に良好であ
り、ベタ部の均一性、裏移り及び擦れは良好であった。
【0087】実施例4 実施例1にて使用した原紙を、解像度600dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0088】その結果、搬送・着版性及びベタ部の均一
性は良好であり、裏移り及び擦れは全く発生せず非常に
良好であった。
【0089】実施例5 実施例2にて使用した原紙を、解像度600dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0090】その結果、搬送・着版性、ベタ部の均一
性、裏移り及び擦れは全く発生せず、非常に良好であっ
た。
【0091】実施例6 実施例3にて使用した原紙を、解像度600dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0092】その結果、搬送・着版性は非常に良好であ
り、ベタ部の均一性、裏移り及び擦れは、良好であっ
た。
【0093】実施例7 実施例1にて使用した原紙を、解像度800dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0094】その結果、搬送・着版性及びベタ部の均一
性は良好であり、裏移り及び擦れは全く発生せず、非常
に良好であった。
【0095】実施例8 実施例2にて使用した原紙を、解像度800dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0096】その結果、搬送・着版性、ベタ部の均一
性、裏移り及び擦れは全く発生せず、非常に良好であっ
た。
【0097】実施例9 実施例3にて使用した原紙を、解像度800dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0098】その結果、搬送・着版性は非常に良好であ
り、ベタ部の均一性、裏移り及び擦れは良好であった。
【0099】実施例10 実施例1において、目付量140g/m及び平均繊維
径11.0μmの不織布を使用した以外は、実施例1と
同様にして孔版原紙を作製した。
【0100】得られた原紙の目付量は13g/m、平
均繊維径5.5μm、フィルムの厚みは1.5μmであ
った。
【0101】得られた原紙を、解像度800dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0102】その結果、搬送・着版性及びベタ部の均一
性は非常に良好であり、裏移り及び擦れは良好であっ
た。
【0103】実施例11 実施例5にて使用した原紙を、ロールコーター機にて加
温加圧によりカレンダー加工を行った。そのときのロー
ル温度は70℃、ロールのニップ圧力は5kg/m
あった。
【0104】得られた原紙の穿孔内におけるウエブのフ
ィルムからの距離は、カレンダー加工により小さくなっ
た。
【0105】こうして得られた原紙を、解像度800d
piのTPHを用いて製版し、実施例1と同様にして評
価した。
【0106】その結果、搬送・着版性は非常に良好であ
り、ベタ部の均一性は良好であり、裏移り及び擦れは全
く発生せず非常に良好であった。
【0107】比較例1 実施例1において、目付量80g/m及び平均繊維径
14.4μmの不織布を使用した以外は、実施例1と同
様にして孔版原紙を作製した。
【0108】得られた原紙の目付量は7g/m、平均
繊維径7.2μm、フィルムの厚みは1.5μmであっ
た。
【0109】得られた原紙を、解像度400dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0110】その結果、搬送・着版性は非常に良好であ
ったが、ベタ部の均一性が若干劣り、裏移り及び擦れが
若干発生し、使用不可であった。
【0111】比較例2 比較例1にて使用した原紙を、解像度600dpiのT
PHを用いて製版し、比較例1と同様にして評価した。
【0112】その結果、搬送・着版性は非常に良好であ
ったが、ベタ部の均一性が劣り、裏移り及び擦れが発生
し、使用不可であった。
【0113】比較例3 実施例1において、目付量300g/m及び平均繊維
径14.4μmの不織布を使用した以外は、実施例1と
同様にして孔版原紙を作製した。
【0114】得られた原紙の目付量は27g/m、平
均繊維径7.2μm、フィルムの厚みは1.5μmであ
った。
【0115】得られた原紙を、解像度600dpiのT
PHを用いて製版し、実施例1と同様にして評価した。
【0116】その結果、搬送・着版性は非常に良好であ
り、裏移り及び擦れは発生せず良好であったが、ベタ部
の均一性が劣り使用不可であった。
【0117】以上の結果を、表1にまとめた。
【0118】
【表1】
【0119】表1より、繊維の占有面積比が、平均値で
30〜80%であり、かつ繊維の占有面積のバラツキ
(SN比)が2db以上であること、さらにはフィルム
の穿孔内におけるウエブのフィルムからの距離が平均値
で2〜18μmであり、かつバラツキ(SN比)が1d
b以上とすることによって、搬送・着版性能を満足し、
ベタ部の均一性が良好な上、インキ転移量を抑制でき、
裏移り及び擦れがない良好な印刷物を得ることができる
ことが示された。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、穿孔内におけるウエブ
の占有面積比が一定範囲に抑えられ、そのバラツキも小
さいので、部分的にインキ転移量が過剰又は過小となる
ような不具合もない。また、穿孔内におけるウエブのフ
ィルムからの距離が一定範囲に抑えられ、そのバラツキ
も小さいので、適度のインキ通過抵抗が得られ、過剰又
は過小のインキの転移が抑制される。その結果、ベタ部
の均一性に優れ、擦れや裏移りを生じない印刷物が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 製版された孔版原紙の穿孔部における断面
図。
【図2】 (a)は製版された孔版原紙の穿孔部におけ
る平面図、(b)は(a)の断面図。
【図3】 製版された孔版原紙の穿孔部における断面
図。
【符号の説明】
1 穿孔 2 プラスチックフィルム 3 多孔性支持体 3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g 繊維 6 フィルムの外面 7 フィルムの内面 T フィルムの厚み L 穿孔内におけるウエブのフィルムからの距離 L’、L’,L’,L’ 表面粗さ測定による測
定値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H084 AA13 AE05 BB04 BB07 CC09 2H114 AB23 AB25 BA06 DA41 DA73 DA76 EA04 EA06 EA08 FA01 FA06 GA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インキ通過性のウエブからなる多孔性支
    持体とこれに積層されたプラスチックフィルムとからな
    り、該プラスチックフィルムには画像に対応する多数の
    微細な穿孔が施された孔版原紙であって、前記穿孔内に
    おけるウエブの占有面積比の平均値が30〜80%であ
    り、かつ該占有面積比のSN比が2db以上であり、さ
    らには前記穿孔内におけるウエブのフィルムからの距離
    の平均値が2〜18μmであり、かつ該距離のSN比が
    1db以上であることを特徴とする孔版原紙。
  2. 【請求項2】 前記ウエブは、平均繊維径1〜6μmの
    繊維で構成されていることを特徴とする請求項1に記載
    の孔版原紙。
  3. 【請求項3】 前記ウエブは、薄葉紙、織布、不織布又
    はスクリーン紗である請求項1又は2に記載の孔版原
    紙。
  4. 【請求項4】 前記穿孔は600dpi以上の解像度で
    形成されている請求項1に記載の孔版原紙。
  5. 【請求項5】 インキ通過性のウエブからなる多孔性支
    持体とこれに積層されたプラスチックフィルムとからな
    る孔版原紙を用い、該プラスチックフィルムに画像に対
    応する多数の微細な穿孔を施すことからなる孔版原紙の
    製版方法であって、前記穿孔内におけるウエブの占有面
    積比の平均値が30〜80%であり、かつ該占有面積比
    のSN比が2db以上であり、さらには前記穿孔内にお
    けるウエブのフィルムからの距離の平均値が2〜18μ
    mであり、かつ該距離のSN比が1db以上であること
    を特徴とする孔版原紙の製版方法。
  6. 【請求項6】 前記ウエブは、平均繊維径1〜6μmの
    繊維で構成されていることを特徴とする請求項5に記載
    の孔版原紙。
  7. 【請求項7】 前記ウエブは、薄葉紙、織布、不織布又
    はスクリーン紗である請求項5又は6に記載の孔版原
    紙。
  8. 【請求項8】 前記穿孔は600dpi以上の解像度で
    形成される請求項5に記載の製版方法。
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