JP2003211279A - ビーム加工方法及びビーム加工装置 - Google Patents

ビーム加工方法及びビーム加工装置

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JP2003211279A JP2002007832A JP2002007832A JP2003211279A JP 2003211279 A JP2003211279 A JP 2003211279A JP 2002007832 A JP2002007832 A JP 2002007832A JP 2002007832 A JP2002007832 A JP 2002007832A JP 2003211279 A JP2003211279 A JP 2003211279A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エネルギービームにより適した加工を行うの
に必要なエネルギー密度が互いに異なる複数の加工対象
物を、1つのビーム源からのレーザービームで適切に加
工することである。 【解決手段】 共通のYAGレーザ装置を用いて、IT
OコートガラスとITOコートフィルム上のITO導電
膜を除去する加工を行う。YAGレーザ装置からのパル
スレーザ光が光路切換器7内に入射されると、その加工
対象物の種類に応じてミラー載置台701が上下に移動
し、コア径の異なる光ファイバ201a,201bに選
択的に案内され、共通のレーザ照射ヘッドから加工対象
物に照射される。高いエネルギー密度を必要とする加工
対象物を加工する場合、パルスレーザ光をコア径の小さ
い光ファイバに案内することで、スポット径が小さくな
り、高いエネルギー密度を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザービーム等
のエネルギービームを用いて、加工対象物を加工するビ
ーム加工方法及びビーム加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のビーム加工装置として
は、Qスイッチを有するYAGレーザ装置から出射され
るパルス状のレーザービーム(エネルギービーム)を、
例えば絶縁性基体上に透明導電膜が形成された加工対象
物に照射し、その透明導電膜を絶縁性基体上から除去し
て、絶縁性基体上に所定の電極パターンを形成するもの
が知られている。このようにして加工される加工対象物
としては、ガラス板や絶縁性フィルムなどの絶縁性基体
上に、ITO(インジウム酸化スズ)等の透明導電膜を
蒸着させたものがある。このような加工対象物を加工す
る場合、各加工対象物は、その絶縁性基体の違いによ
り、レーザービームによる加工を適正に行うために必要
なエネルギーが異なるため、それぞれ別個のビーム加工
装置を使用していた。
【0003】具体的に説明すると、絶縁性基体と透明導
電膜との間の付着強度が強いほど、レーザービームの照
射により透明導電膜を絶縁性基体上から完全に除去する
のに高いエネルギーが必要となる。一般に、ガラス板と
透明導電膜との間の付着強度は、絶縁性フィルムと透明
導電膜との間の付着強度よりも強いので、絶縁性フィル
ムに透明導電膜を蒸着させた加工対象物に適した比較的
出力の小さいビーム源を備えたビーム加工装置では、ガ
ラス板から透明導電膜を完全に除去することができな
い。一方、ガラス板に透明導電膜を蒸着させた加工対象
物に適した比較的出力の大きいビーム源を備えたビーム
加工装置を用いた場合、絶縁性フィルムから透明導電膜
を完全に除去することはできるが、絶縁性フィルムへの
ダメージが発生する。よって、従来では、レーザービー
ムによる加工を適正に行うためには、その絶縁性基体の
違いに応じて、各加工対象物を適切に加工できる出力の
レーザービームを出射するビーム源を備えたビーム加工
装置を個別に使用して加工を行う必要があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、このように絶縁
性基体の違いに応じてそれぞれ別個のビーム加工装置を
使用していたので、コストが高くなり、複数台分の設置
スペースを要するという不具合が生じていた。このた
め、絶縁性フィルム上に透明導電膜が形成された加工対
象物に対する加工と、ガラス板上に透明導電膜が形成さ
れた加工対象物の加工とを、1つの装置で行うことがで
きるビーム加工装置が望まれている。この要望に応える
方法として、1つのビーム加工装置に各加工対象物に適
したビーム源を設置し、各ビーム源からのレーザービー
ムを共通の又は別個の出射光学系に案内して加工対象物
を加工することも考えられる。しかし、この方法では、
複数のビーム源を必要とするため部品等のコストが高
く、あまり望ましくない。よって、実用的には、1つの
ビーム源からのレーザービームを用いて各加工対象物を
好適に加工できるビーム加工装置が望まれる。尚、この
ような要望は、絶縁性基体の種類が互いに異なる複数の
加工対象物を加工する場合に限らず、エネルギービーム
による加工を適正に行うのに必要な単位面積当たりのエ
ネルギー量(以下、適宜「エネルギー密度」という。)
が互いに異なる複数の加工対象物を加工する場合にも同
様に生じ得るものである。
【0005】そこで、本発明者は、PET(ポリエチレ
ンテレフタレート)からなる絶縁性フィルム上にITO
膜が形成された加工対象物(以下、「ITOコートフィ
ルム」という。)と、ガラス板上にITO膜が形成され
た加工対象物(以下、「ITOコートガラス」とい
う。)に対して、定格出力(最大出力)が100Wのレ
ーザ装置(以下、「低出力器」という。)、300Wの
レーザ装置(以下、「中出力器」という。)及び600
Wのレーザ装置(以下、「高出力器」という。)を用い
て、ITO膜を格子状に除去する加工処理の実験を行っ
た。この実験では、各レーザ装置に供給する電流を1A
単位で変化させて各加工対象物に照射されるレーザービ
ームの出力値(以下、「レーザ出力値」という。)を変
化させたときの加工品質の評価を行った。具体的には、
レーザービームで除去しないITO膜部分間の絶縁状態
をテスタにより測定して完全に絶縁されているかを確認
する評価と、レーザービームによる加工部分の外観評価
を行った。尚、本実験で使用した各レーザ装置は、パル
ス状のレーザービームを出射するものであり、そのスペ
ックは下記の表1に示すとおりである。
【0006】
【表1】
【0007】図6及び図7は、3つのレーザ装置から照
射されるレーザービームの電流値に対する1パルス当た
りのレーザ出力値を示すグラフである。図6には、IT
Oコートフィルムを適切に加工できた加工可能領域及び
適切に加工できなかった加工不可領域と、外観評価にお
いて絶縁性基体に焼け現象が生じた焼け現象発生領域と
が示されている。図示のように、ITOコートフィルム
に対しては、レーザ出力値が7mJ以上であれば完全な
絶縁状態となる絶縁加工を施すことができるが、レーザ
出力値が30mJを超えると、レーザービームによりI
TO膜が除去された加工ライン及びその加工ラインの交
点に絶縁性フィルムの焼けが観測された。この焼け現象
は、絶縁性フィルムに過剰なエネルギーが供給されたこ
とが原因であると考えられる。また、本実験では、高出
力器から出射されるレーザービームのパルス幅は、低出
力器及び中出力器よりも100nm程度長いため、パル
ス幅が長い分だけ高出力器からのレーザービームの絶縁
性フィルムへの入熱時間も長い。よって、単にレーザ出
力値が大きいだけでなくパルス幅も長い分、高出力器を
用いた加工時に焼け現象が生じたものと考えられる。
【0008】また、図7には、ITOコートガラスを適
切に加工できた加工可能領域と適切に加工できなかった
加工不可領域とが示されている。図示のように、ITO
コートガラスに対しては、レーザ出力値が30mJ以上
であれば完全な絶縁状態になる絶縁加工を施すことがで
きるが、レーザ出力値が30mJよりも低いと、完全な
絶縁状態にできなかった。
【0009】以上の実験結果から、1つのビーム源から
のレーザービームを用いて各加工対象物を好適に加工す
る方法を検討する。共通のビーム源として高出力器を用
いる場合、ITOコートガラスに対する加工には問題な
いが、ITOコートフィルムに対する加工時には焼け現
象が生じる問題があるので、この問題を解決する方策が
必要となる。その方策としては、第1に、ITOコート
フィルムに対する加工時にレーザ出力減衰器等を用いて
レーザ出力値を落とす方策が考えらる。しかし、この場
合には、加工対象物に供給されるエネルギー量を減少で
きても、そのパルス幅は低出力器や中出力器よりも長い
ままなので、焼け現象を完全に回避することができない
おそれがある。また、レーザービームのパルス幅は、高
出力器自体がもつ固有パラメータであるので変更するの
は困難である。更に、図6や図7に示すように、高出力
器では、低出力器や中出力器よりも、電流値に対するレ
ーザ出力値の変化率が大きい。このため、共通のビーム
源として高出力器を用いる場合、加工可能領域が狭い加
工対象物を加工するときには、加工条件の設定がシビア
になり、低出力器や中出力器よりも条件の最適化が難し
い。
【0010】このような考察から、本発明者は、共通の
ビーム源として、ITOコートフィルムの加工に適して
いる低出力器又は中出力器を用いるのが好ましいと考え
られる。しかし、共通のビーム源として低出力器又は中
出力器を用いる場合、ITOコートフィルムに対する加
工には問題ないが、ITOコートガラスに対する加工時
には完全な絶縁加工ができない問題があるので、この問
題を解決する方策が必要となる。
【0011】本発明は、以上の背景に鑑みなされたもの
であり、その目的とするところは、エネルギービームに
よる加工を適正に行うのに必要なエネルギー密度が互い
に異なる複数の加工対象物を、1つのビーム源からのレ
ーザービームで適切に加工することが可能なビーム加工
方法及びビーム加工装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1の発明は、ビーム源から出射されたエネル
ギービームを加工対象物に照射することで、該加工対象
物を加工するビーム加工方法において、同じ加工処理を
施すときに必要となる単位面積当たりのエネルギー量が
互いに異なる複数種の加工対象物に、同一のビーム源か
ら出射されたエネルギービームをそれぞれ照射するとき
の各スポット径を、その加工対象物の種類に応じて変更
するための処理を行うことを特徴とするものである。こ
のビーム加工方法においては、同じ加工処理を施すとき
に必要となる単位面積当たりのエネルギー量(エネルギ
ー密度)が互いに異なる複数種の加工対象物に、同一の
ビーム源から出射されたエネルギービームをそれぞれ照
射するときの各スポット径を、その加工対象物の種類に
応じて変更する。エネルギービームにより加工対象物に
供給される単位面積当たりのエネルギー量は、加工対象
物に照射されるエネルギービームのスポット径の2乗に
反比例するので、例えば、スポット径を1/2にする
と、エネルギー密度は4倍になる。よって、本ビーム加
工方法によれば、例えば、複数の加工対象物のうち必要
なエネルギー密度が低い方に適したビーム源を共通のビ
ーム源として用いる場合、必要なエネルギー密度が高い
加工対象物を加工するときに、エネルギービームのスポ
ット径を小さくすれば、必要なエネルギー密度が高い加
工対象物に対しても、加工処理を施すことができるよう
になる。逆に、例えば、複数の加工対象物のうち必要な
エネルギー密度が高い方に適したビーム源を共通のビー
ム源として用いてもよく、この場合、必要なエネルギー
密度が低い加工対象物を加工するときに、エネルギービ
ームのスポット径を大きくすれば、必要なエネルギー密
度が低い加工対象物に対しても、焼け現象等の不具合を
発生させずに加工処理を施すことができるようになる。
エネルギービームのスポット径を変更する方法として
は、ビーム源から出射されたエネルギービームの出射光
学系における結像倍率を変化させたり、エネルギービー
ムのビーム出射部に用いられる光ファイバのコア径を変
化させたりするなど、種々の方法を利用することができ
る。尚、共通のビーム源としては、複数の加工対象物の
うち必要なエネルギー密度が低い方に適したビーム源を
用いる方が好ましい。その理由は、出力の小さいビーム
源を用いることができるので、出力が大きいビーム源よ
りも部品等のコストを抑えることができる点にある。ま
た、必要なエネルギー密度が高い方に適したビーム源を
用いると、必要なエネルギー密度が低い加工対象物を加
工するときにスポット径を大きくする必要があるため、
加工面積が広くなり、微細な加工処理を施すことが困難
となる。しかし、必要なエネルギー密度が低い方に適し
たビーム源を用いれば、必要なエネルギー密度が高い加
工対象物を加工するときのスポット径が小さくなるの
で、加工面積が狭くなり、微細な加工処理を施すことが
できる。このとき、必要なエネルギー密度が高い加工対
象物を広い加工面積で加工したい場合には、エネルギー
ビームによる照射を繰り返せばよい。
【0013】また、請求項2の発明は、請求項1のビー
ム加工方法において、上記複数種の加工対象物は、絶縁
性基体上に導電膜が形成されたものであって、該絶縁性
基体と導電膜との間の付着強度が互いに異なるものであ
り、上記複数種の加工対象物について、上記エネルギー
ビームの照射により絶縁性基体上の導電膜を除去する加
工処理を行うことを特徴とするものである。このビーム
加工方法においては、絶縁性基体上に導電膜が形成さ
れ、その絶縁性基体と導電膜との間の付着強度が互いに
異なる複数種の加工対象物に、ビーム源からのエネルギ
ービームを照射して、絶縁性基体上の導電膜を除去する
加工処理を行う。このような加工対象物に対する加工で
は、導電膜の加工状態だけでなく絶縁性基体への影響も
考慮する必要があるので、共通のビーム源を用いた加工
処理が困難であった。よって、共通のビーム源を用い
て、加工対象物の種類に応じたエネルギー密度で加工処
理を行うことができるという本発明の効果による利益は
大きいものとなる。
【0014】また、請求項3の発明は、エネルギービー
ムを出射するビーム源を備え、上記ビーム源から出射さ
れたエネルギービームを加工対象物に照射することで、
該加工対象物を加工するビーム加工装置において、同一
のビーム源から出射されたエネルギービームを、互いに
異なるスポット径で加工対象物に対して照射するための
複数のビーム照射手段と、同一のビーム源から出射され
たエネルギービームが、上記複数のビーム照射手段のう
ちのいずれかに案内されるように、該エネルギービーム
の光路を切り換える光路切換手段とを有することを特徴
とするものである。このビーム加工装置においては、光
路切換手段により同一のビーム源から出射されたエネル
ギービームの光路を切り換えることで、複数のビーム照
射手段により、そのエネルギービームを互いに異なるス
ポット径で加工対象物に対して照射することができる。
よって、例えば、加工が予定されている複数の加工対象
物の加工に最適なエネルギー密度を得ることができるス
ポット径でそれぞれ照射できる複数のビーム照射手段を
用意しておけば、請求項1のビーム加工方法と同様に、
加工される加工対象物の種類に応じて適切なエネルギー
密度での加工が可能となる。尚、光路切換手段として
は、固定されたビーム源からのエネルギービームを各ビ
ーム照射手段が設置されている方向にそれぞれ反射させ
てに案内する反射ミラーや、ビーム源の出射方向を各ビ
ーム照射手段が設置されている方向に切り換えるビーム
源移動手段などを用いることができる。
【0015】また、請求項4の発明は、請求項3のビー
ム加工装置において、上記複数のビーム照射手段は、同
一のビーム源から出射されたエネルギービームを、互い
に異なるスポット径にそれぞれ対応する光伝送路を通じ
て伝送するビーム伝送部と、上記ビーム伝送部により伝
送されたエネルギービームを加工対象物に照射するビー
ム照射部とを有していることを特徴とするものである。
このビーム加工装置においては、ビーム源からのエネル
ギービームを、上記光路切換手段により、互いに異なる
スポット径にそれぞれ対応する光伝送路を通じて伝送す
る複数のビーム伝送部のいずれかに案内し、そのビーム
伝送部により伝送されたエネルギービームをビーム照射
部から加工対象物に照射する。ビーム伝送部の構成とし
ては、例えば、互いに異なるスポット径をそれぞれ得る
ためにエネルギービームを結像する1又は2以上の結像
レンズが設置された光伝送路を有するものや、互いに異
なるスポット径に対応するコア径をもつ光ファイバで形
成される光伝送路を有するものなどが挙げられる。ま
た、ビーム照射部は、ビーム伝送部ごとにそれぞれ設け
られるものでも、複数のビーム伝送部で共通に使用され
るものでもよい。
【0016】また、請求項5の発明は、請求項4のビー
ム加工装置において、上記ビーム伝送部は、上記スポッ
ト径に対応するコア径をもつ光ファイバを有することを
特徴とするものである。互いに異なるスポット径を得る
方法としては、結像レンズにより結像倍率を変化させる
方法が考えられるが、この方法では、結像レンズが比較
的高価であるとともに、所望のスポット径を得るのが困
難であるという不具合がある。そこで、本ビーム加工装
置においては、結像レンズよりも比較的安価な光ファイ
バを有するビーム伝送部を用い、そのコア径により所望
のスポット径に対応したエネルギービームを得ている。
よって、結像レンズを用いる場合に比べて安価かつ容易
に所望のスポット径を得ることが可能となる。尚、光フ
ァイバのコア径が最終的なスポット径と同じである必要
はない。
【0017】また、請求項6の発明は、請求項3、4又
は5のビーム加工装置において、上記ビーム源から出射
されたエネルギービームの出力を測定するビーム出力測
定手段を備えており、上記光路切換手段は、エネルギー
ビームの出力を測定するとき、上記ビーム源から出射さ
れたエネルギービームが、上記ビーム出力測定手段に案
内されるように、該エネルギービームの光路を切り換え
ることを特徴とするものである。このビーム加工装置
は、ビーム源から出射されたエネルギービームの出力を
測定するビーム出力測定手段を備えているので、その測
定結果に応じてビーム源の出力値を適宜調節したり、ビ
ーム源等のメンテナンス時期を把握したりすることが可
能となる。ここで、本ビーム加工装置では、上記光路切
換手段により、ビーム源から出射されたエネルギービー
ムを、ビーム照射手段だけでなく、ビーム出力測定手段
にも案内することができる。よって、エネルギービーム
の出力を測定するときには、ビーム源からのエネルギー
ビームを光路切換手段によりビーム出力測定手段に案内
すれば、ビーム源の出力を測定することができる。この
ような構成により、オペレータが手作業でビーム源の出
力部にパワーメータ等の測定器を置き、ビーム源の出力
を測定するような煩雑な作業を行う必要がなくなる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、ハイブリッド型
のタッチパネルの絶縁性基体である絶縁性透明基板上に
形成された電極膜である透明電極膜の一部を、スリット
状に除去して透明電極を形成する透明電極膜のビーム加
工装置に適用した実施形態について説明する。
【0019】図2は、本実施形態に係るビーム加工装置
の概略構成図である。本ビーム加工装置は、パルス状の
エネルギービームとしてのパルスレーザ光を繰り返し出
射するビーム源としてのYAGレーザ装置1と、YAG
レーザ装置1から出射されたパルスレーザ光を加工対象
物に案内して照射する複数のビーム照射手段2a,2b
と、YAGレーザ装置1から出射されたパルスレーザ光
を、加工対象物の種類に応じて適したビーム照射手段に
案内するために、そのパルスレーザ光の光路を切り換え
る光路切換手段としての光路切換器7と、加工対象物と
加工対象物に対するエネルギービームの照射ポイントと
を相対移動させる相対移動手段としてのXYテーブル5
と、加工制御データに基づいてYAGレーザ装置1、X
Yテーブル5及び光路切換器7を制御する制御手段して
の制御システム6とを備えている。本ビーム加工装置で
は、光路切換器7と複数のビーム照射手段2a,2bに
より、スポット径変更手段が構成されている。
【0020】上記YAGレーザ装置1は、YAGロッド
101a、Qスイッチ101b、励起光源としてのラン
プ101c、ミラー101d,101e等を内蔵したレ
ーザヘッド101と、Qスイッチ101bを駆動するQ
スイッチ駆動部102と、レーザヘッド101のランプ
101cに電流(以下「ランプ電流」という。)を供給
するレーザ電源103とを有している。上記Qスイッチ
駆動部102は、制御システム6から送られてきたレー
ザ制御信号に基づいて、レーザヘッド101内のQスイ
ッチ101bを駆動する。Qスイッチ101bをオンす
ると、レーザヘッド101から近赤外光(波長λ=10
64nm)からなるパルスレーザ光が出射される。上記
Qスイッチ駆動部102に入力するパルス状のレーザ制
御信号の繰り返し周波数は20Hz〜20kHz(周期
=50msec〜0.05msec)の範囲で変化させ
ることができ、また、上記レーザ制御信号のパルス幅は
80〜500nsecの範囲で変化させることができ
る。このQスイッチ駆動部102でレーザヘッド101
内のQスイッチ101bを駆動することにより、上記繰
り返し周波数が1kHz〜10kHzの範囲内で、レー
ザヘッド101からパルスレーザ光を出射することがで
きる。
【0021】上記レーザヘッド101内のYAGロッド
101aは、希土類元素のNd(ネオジウム)をドープ
したYAG(イットリウム、アルミニウム、ガーネッ
ト)結晶であり、励起光源としてのランプ101cで励
起される。励起光源としては、ランプのほか半導体レー
ザなどを使用することもできる。YAGロッド101a
は、希土類元素のNd(ネオジウム)をドープしたYA
G(イットリウム、アルミニウム、ガーネット)結晶で
あり、ランプ101cはレーザ電源103からランプ電
流Idが供給されることにより点灯する。このレーザ電
源103からランプ101cに供給されるランプ電流I
dは、制御システム6からレーザ電源103に送られて
くる制御指令に基づいて変更することができ、これによ
り、YAGレーザ装置1から出射されるパルスレーザ光
の出力を変更することができる。
【0022】上記ビーム照射手段2は、パルスレーザ光
をガイドするビーム伝送部としてのステップインデック
ス型の光ファイバ201と、光ファイバ201でガイド
されてきたパルスレーザ光を結像して加工対象物に照射
するビーム照射部としてのレーザ照射ヘッド202とを
用いて構成されている。
【0023】ITO(インジウム酸化スズ)からなる透
明電極膜4が表面に形成された透明ガラスや透明フィル
ム(例えばPET、ポリカーボネート)からなる絶縁性
透明基板3は、XYテーブル5のリニアモータ502
(例えば、サーボモータやステッピングモータ)で駆動
される載置台501上に、図示しない吸引及び機械的な
クランプ機構等によって固定される。この透明絶縁性基
板3が固定された載置台501を駆動するリニアモータ
502を制御システム6で制御することにより、上記透
明電極膜4が形成された透明絶縁性基板3を、上記パル
スレーザ光の照射方向に垂直な仮想面内で互いに直交す
るX方向及びY方向(図中の紙面に垂直な方向)に2次
元的に移動させることができる。
【0024】また、加工速度、XYテーブルの加速度、
加工精度をより向上させるために、XYテーブル5につ
いては、発泡チタン合金、マグネジウム合金、酸化アル
ミナ系セラミック、アルミニウム合金などの高強度軽量
素材で形成することが好ましい。
【0025】また、載置台501の内部に貫通孔を形成
して軽量化を図ってもよい。この貫通孔は、絶縁性透明
基板3と透明電極膜4との一体物がシート状のものであ
る場合の真空チャック用の気流経路を兼ねることもでき
る。載置台501については、絶縁性透明基板3の少な
くともパルスレーザ光が照射される部分の下側に凹部を
形成し、絶縁性透明基板3の下面と載置台501の上面
との間の距離をできるだけ長くするように構成すること
が好ましい。かかる構成により、絶縁性透明基板3を通
過して載置台501の表面で反射した反射レーザーが透
明電極膜4にあたることによってその加工に悪影響を及
ぼすことを抑制することができる。
【0026】また、本実施形態では、上記XYテーブル
5に、移動距離検出パルス信号生成手段としてのリニア
スケール503が取り付けられている。このリニアスケ
ール503は、X方向及びY方向の2方向のそれぞれに
ついて設けられ、上記透明絶縁性基板3が載置された載
置台501のX方向及びY方向の一定距離の移動ごとに
移動距離検出パルス信号を生成する。この移動距離検出
パルス信号をカウントすることにより、上記透明絶縁性
基板3が載置された載置台501の移動距離がわかる。
本実施形態では、この移動距離検出パルス信号に基づい
て、上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の
移動距離に同期させて各パルスレーザ光の照射タイミン
グを制御している。
【0027】本実施形態では、上記リニアスケール50
3としては、目盛格子が互いに形成されたスケールと走
査板とを非接触対向させて組み合わせることにより0.
5μm〜1.0μm程度の分解能が得られるものを用い
ている。ここで、例えばリニアスケール503の分解能
が1μmのときは1μmごとに1パルス出力されるの
で、上記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の
移動速度が1m/secの場合は、1MHzの周波数
(周期=1μsec)で移動距離検出パルス信号が出力
される。なお、上記リニアスケール503は、加工精度
や加工速度等の条件に応じて最適なものを適宜選択して
用いられる。また、上記移動距離検出パルス信号生成手
段は、X方向及びY方向の2方向のそれぞれについて上
記透明絶縁性基板3が載置された載置台501の一定距
離の移動ごとに移動距離検出パルス信号を生成するもの
であればよく、上記特定のリニアスケールに限定される
ものではない。
【0028】上記制御システム6は、ビーム加工装置全
体を監視するとともに加工制御データに含まれるCAM
(Computer Aided Manufacturing)データ及び加工対象
物の種類データに基づいて各部に制御指令を出す上位コ
ンピュータ装置601と、テーブル駆動制御装置(シー
ケンサ)602と、同期連動型運転用の制御回路基板6
03とを用いて構成されている。
【0029】上記CAMデータは、CAD(Computer A
ided Design)のデータに基づいてビーム加工装置の装
置パラメータを考慮して生成されたものであり、装置パ
ラメータのデータ、レーザ発射座標データとピッチデー
タとが組み合わされた照射条件データ、及びテーブル移
動座標データを含んでいる。上記装置パラメータのデー
タは、例えばXYテーブル5の加速度及び減速度、加速
減速域の加工の有無、自動ピッチ計算の有無、XYテー
ブル5の加速減速マージン、加工最低周波数、加工時の
最高速度、移動時の最高速度、照射パワー、ビーム径、
並びに加工対象物の厚み及びX,Y方向の大きさのデー
タである。また、上記照射条件データは、例えば各加工
要素に対する始点X座標、始点Y座標、終点X座標、終
点Y座標およびピッチのデータである。また、上記テー
ブル移動座標データは、例えば各加工要素に対する移動
X座標及び移動Y座標のデータである。
【0030】ここで、上記CAMデータは、外部のコン
ピュータ装置で生成したものをビーム加工装置に入力す
るようにしてもいいし、ビーム加工装置を構成する上位
コンピュータ装置601内で生成するようにしてもよ
い。後者の場合は、上位コンピュータ装置601が、各
加工要素について上記ピッチ制御データを生成するピッ
チ制御データ生成手段としても機能する。
【0031】上記テーブル駆動制御装置602は、上位
コンピュータ装置601から送られてきた制御指令に基
づいて、リニアモータ502の駆動を制御するものであ
る。このテーブル駆動制御部602は、例えばリニアモ
ータ502がサーボモータのときはサーボコントローラ
を用いて構成され、またリニアモータ502がパルスモ
ータのときはパルスコントローラを用いて構成される。
【0032】以上の構成をもつビーム加工装置を用い
て、加工対象物の加工処理を行う場合、XYテーブル5
の載置台501に固定された透明絶縁性基板3の移動距
離に同期するように制御されたパルスレーザ光が、透明
絶縁性基板3上の透明電極膜4に照射されることによ
り、図3に示すように、透明電極膜4に照射されるパル
スレーザ光の照射スポットLp(X)が一定のピッチで並
ぶ。これにより、透明電極膜4が均一な加工幅でスリッ
ト状に除去される。
【0033】次に、本発明の特徴部分である光路切換器
7の構成及び動作並びにビーム照射手段2の構成につい
て説明する。図1は、本実施形態における光路切換器7
の構成を示す概略構成図である。この光路切換器7は、
図中上下に移動可能なミラー載置台701と、このミラ
ー載置台701上に固定された2つの反射ミラー702
b,702cと、レンズ703a,703b,703c
と、ミラー載置台701を図中上下に移動させるための
載置台駆動部704とを備えている。また、この光路切
換器7には、YAGレーザ装置1の出力値を測定するビ
ーム出力測定手段としてのパワーメータ8が設けられて
いる。
【0034】ミラー載置台701は、制御システム6の
制御回路基板から送られてくる制御信号に応じて、載置
台駆動部704により図中上下方向に移動することがで
きる。2つの反射ミラー702b,702cは、YAG
レーザ装置1からのパルスレーザ光の波長(1064n
m)の光を全反射させるものである。レンズ703a,
703b,703cは、それぞれ適した結像倍率でYA
Gレーザ装置1からのパルスレーザ光を結像するもので
ある。上記光路切換器7には、3つのビーム出射口70
5a,705b,705cが設けられており、各ビーム
出射口705a,705b,705cには、それぞれレ
ンズ703a,703b,703cが設置されている。
【0035】第1ビーム出射口705aには、コア径Φ
が400μmである第1光ファイバ201aが取り付け
られており、第2ビーム出射口705bには、コア径Φ
が800μmである第2光ファイバ201bが取り付け
られている。また、パワーメータ8は、第3ビーム出射
口705cに近接して配置されている。このパワーメー
タ8は、制御システム6の制御回路基板603に接続さ
れており、そのパワーメータ8で測定された測定結果を
示す測定結果データは、制御回路基板603に送られ
る。
【0036】以下、本実施形態における加工工程の流れ
に沿って説明する。図4は、本実施形態における加工工
程の流れを示すフローチャートである。本実施形態で用
いるITOコートガラスの透明電極膜を好適に除去する
のに必要な単位体積(mm2)当たりのエネルギ量(エ
ネルギー密度)は、250mJ/mm2以上であるのに
対して、本実施形態で用いるITOコートフィルムの透
明電極膜を好適に除去するのに必要なエネルギー密度
は、30〜70mJ/mm2である。よって、YAGレ
ーザ装置1から出射されるパルスレーザ光をこれらの加
工対象物にそのまま照射して加工処理を行うと、少なく
とも一方の加工対象物に対して好適に透明電極膜を除去
することができない。そこで、まず、オペレータは、こ
れから加工する加工対象物の種類が、透明ガラスからな
る絶縁性透明基板3をもつもの(ITOコートガラス)
か、透明フィルムからなる絶縁性透明基板3をもつもの
(ITOコートフィルム)かを決定して、その種類を制
御システム6に入力する(S1)。オペレータが加工対
象物の種類を入力すると、制御システム6の制御回路基
板603は、その入力内容に基づいて、加工対象物がI
TOコートガラスか否かを判断する(S2)。
【0037】ここで、加工対象物がITOコートガラス
であると判断された場合(S2)、制御システム6の制
御回路基板603は、光路切換器7に設けられる載置台
駆動部704に、ミラー載置台701を図1(a)に示
す第1位置に移動させる旨の制御信号を送信する。この
制御信号を受けた載置台駆動部704は、ミラー載置台
701を移動させて図1(a)に示す第1位置にセット
する(S3)。一方、加工対象物がITOコートフィル
ムであると判断された場合(S2)、制御システム6の
制御回路基板603は、光路切換器7に設けられる載置
台駆動部704に、ミラー載置台701を図1(b)に
示す第2位置に移動させる旨の制御信号を送信する。こ
の制御信号を受けた載置台駆動部704は、ミラー載置
台701を移動させて図1(b)に示す第2位置にセッ
トする(S4)。このようにして、光路切換器7におけ
るミラー載置台701の移動が完了したら、加工処理が
開始される(S5)。
【0038】加工対象物がITOコートガラスである場
合の加工処理では、YAGレーザ装置1から出力された
パルスレーザ光は、光路切換器7の入射口706から光
路切換器7の内部に入り込む。このパルスレーザ光は、
光路切換器7の内部を直進し、第1出射口705aに到
達する。そして、パルスレーザ光は、第1出射口705
aに設置されたレンズ703aにより、コア径400μ
mの第1光ファイバ201aのコア内に案内される。第
1光ファイバ201a内に入射されたパルスレーザ光
は、そのコア内部を通ってレーザ照射ヘッド202内に
送られる。その後、レーザ照射ヘッド202内に配置さ
れた図示しない結像レンズによりビーム径が1/2とな
って、載置台501上のITOコートガラスに照射され
る。
【0039】このとき、YAGレーザ装置1から出力さ
れたパルスレーザ光によるITOコートガラスのスポッ
ト径Φは、200μmとなる。YAGレーザ装置1から
出力されたパルスレーザ光の1パルス当たりのレーザ出
力値は、30mJであり、ITOコートガラスに照射さ
れるパルスレーザ光のエネルギー密度は、260mJ/
mm2となる。上述したように、ITOコートガラスを
好適に加工できるエネルギー密度は、250mJ/mm
2以上であるので、ITOコートガラスの絶縁性透明基
板3上から透明電極膜4を好適に除去することができ
る。
【0040】一方、加工対象物がITOコートフィルム
である場合の加工処理では、YAGレーザ装置1から出
力されたパルスレーザ光は、光路切換器7の内部に入り
込むと、第2位置に位置するミラー載置台701上の反
射ミラー702bにより、図中下方に向きが変えられ
る。そして、反射ミラー702bで反射したパルスレー
ザ光は、第2出射口705bに到達する。そして、パル
スレーザ光は、第2出射口705bに設置されたレンズ
703bにより、コア径800μmの第2光ファイバ2
01bのコア内に案内される。第2光ファイバ201a
内に入射されたパルスレーザ光は、そのコア内部を通っ
てレーザ照射ヘッド202内に送られる。その後、レー
ザ照射ヘッド202内に配置された図示しない結像レン
ズによりビーム径が1/2となって、載置台501上の
ITOコートフィルムに照射される。
【0041】このとき、YAGレーザ装置1から出力さ
れたパルスレーザ光によるITOコートガラスのスポッ
ト径Φは、400μmであるので、ITOコートフィル
ムに照射されるパルスレーザ光のエネルギー密度は、6
0mJ/mm2となる。上述したように、ITOコート
フィルムを好適に加工できるエネルギー密度は、30〜
70mJ/mm2であるので、ITOコートフィルムの
絶縁性透明基板3上から透明電極膜4を好適に除去する
ことができる。
【0042】また、本実施形態では、YAGレーザ装置
1のメンテナンスや出力調節などのために、YAGレー
ザ装置1のレーザ出力値を測定する場合、オペレータ
は、その旨を制御システム6に入力する。これにより、
制御システム6の制御回路基板603は、パワーチェッ
クモードに移行し、光路切換器7に設けられる載置台駆
動部704に、ミラー載置台701を図1(c)に示す
第3位置に移動させる旨の制御信号を送信する。この制
御信号を受けた載置台駆動部704は、ミラー載置台7
01を移動させて図1(c)に示す第3位置にセットす
る。このようにして、光路切換器7におけるミラー載置
台701の移動が完了したら、制御回路基板603は、
所定のパワーチェックプログラムに従って、パワーチェ
ックを行う。このパワーチェックでは、YAGレーザ装
置1のレーザ電源103により供給する電流値や、Qス
イッチ駆動部102に入力するパルス信号の繰り返し周
波数を変化させ、レーザ出力値をパワーメータ8で測定
する。パワーメータ8での測定結果は、制御システム6
の制御回路基板603に送られ、図示しないRAMに保
存される。このようにして保存された測定結果データ
は、本ビーム加工装置の消耗品の交換時期等を警告する
ときなどに利用される。
【0043】以上、本実施形態によれば、好適に加工で
きるエネルギー密度が互いに異なるITOコートフィル
ムとITOコートガラスを、共通のYAGレーザ装置1
からのパルスレーザ光により、好適に加工することがで
きる。尚、本実施形態においては、透明絶縁性基板3上
の透明電極膜4の一部を除去する加工を行なう場合につ
いて説明したが、本発明は、このような加工に限定され
ることなく適用することができるものである。例えば、
図5に示すように、透明絶縁性基板3上の透明電極膜4
の表面に形成された導電性ペースト(例えば銀ペース
ト)からなる配線パターン13の周囲に配線間絶縁用の
スリット14を形成する場合にも用いることができ、同
様な効果が得られるものである。また、本発明は、樹脂
板にハーフエッチング加工や穴開け加工を行う場合にも
適用できるものである。さらに、本発明は、上記スリッ
ト形成加工、ハーフエッチング加工、穴開け加工だけで
なく、樹脂、セラミック、金属、フォトリソ用の感光層
などの加工対象物に表面処理加工、フォトレジストへの
露光を行う場合にも適用できるものである。
【0044】また、本実施形態のビーム加工装置を使用
して、実際にITOコートガラスの加工を行う場合、最
初に、1枚のITOコートガラスをサンプルとして加工
条件を最適化する。この最適化処理においては、まず、
オペレータは、その旨を制御システム6に入力する。こ
れにより、制御システム6の制御回路基板603は、加
工条件最適化モードに移行し、所定の最適化モードプロ
グラムに従って、光路切換器7に設けられる載置台駆動
部704を制御し、パワーチェックをしながら、ITO
コートガラスに格子状のパターン加工を行う。そして、
この最適化処理により格子状のパターンが形成されたI
TOコートガラスを所定の測定機器による評価や、オペ
レータの目視による外観評価又は画像認識を利用した外
観評価などを行って、加工条件が最適である電流値を得
る。そして、オペレータがその電流値を制御システム6
に入力すると、その電流値が以降の加工工程においてY
AGレーザ装置1のレーザ電源103により供給する電
流値となる。尚、この最適化処理は、自動化することも
可能である。
【0045】また、本実施形態では、透明電極膜を好適
に除去するのに必要なエネルギー密度がITOコートフ
ィルムよりもITOコートガラスの方が高い場合につい
て説明したが、そのエネルギー密度がITOコートフィ
ルムよりもITOコートガラスの方が低い場合もある。
このような場合であっても、本実施形態のビーム加工装
置を適用することができる。
【0046】
【発明の効果】請求項1及び2の発明によれば、必要な
エネルギー密度が互いに異なる複数種の加工対象物に対
し、1つのビーム源からのレーザービームでそれぞれ適
した加工処理を施すことができるという優れた効果があ
る。
【0047】特に、請求項2の発明によれば、本発明の
効果を最大限に発揮して有効利用することができるとい
う優れた効果がある。
【0048】請求項3乃至6の発明によれば、必要なエ
ネルギー密度が互いに異なる複数種の加工対象物に対
し、1つのビーム源からのレーザービームでそれぞれ適
した加工処理を施すことが可能となるという優れた効果
がある。
【0049】特に、請求項4の発明によれば、ビーム源
からのエネルギービームが光伝送路を通過することで、
所望のスポット径に対応するビーム径を得ることができ
るので、比較的簡易な構成で、加工対象物の種類に応じ
て適切なスポット径に変更することが可能であるという
優れた効果がある。
【0050】また、請求項5の発明によれば、ビーム伝
送部として比較的安価な光ファイバを用いるので、低コ
スト化を図ることができるという優れた効果がある。
【0051】また、請求項6の発明によれば、オペレー
タに作業負担をかけずに、ビーム源の出力値を適宜調節
したり、ビーム源等のメンテナンス時期を把握したりす
ることが可能となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は、本実施形態に係るビーム加
工装置の光路切換器の構成を示す概略構成図。
【図2】同ビーム加工装置の概略構成図。
【図3】同ビーム加工装置によるパルスレーザ光の照射
によって形成された透明電極膜のスリットの説明図。
【図4】同ビーム加工装置を使用した加工工程の流れを
示すフローチャート。
【図5】タッチパネルの周端部の配線パターン及びその
周囲のスリットの説明図。
【図6】ITOコートフィルムの加工可能領域が示され
た、3つのレーザ装置から照射されるレーザービームの
電流値に対する1パルス当たりのレーザ出力値を示すグ
ラフ。
【図7】ITOコートガラスの加工可能領域が示され
た、3つのレーザ装置から照射されるレーザービームの
電流値に対する1パルス当たりのレーザ出力値を示すグ
ラフ。
【符号の説明】
1 YAGレーザ装置 2 ビーム照射手段 3 透明絶縁性基板 4 透明電極膜 5 XYテーブル 6 制御システム 7 光路切換器 101 レーザヘッド 102 Qスイッチ駆動部 103 レーザ電源 201a,201b 光ファイバ 202 レーザ照射ヘッド 501 載置台 701 ミラー載置台 702b,702c 反射ミラー 703a,703b,703c レンズ 704 載置台駆動部 705a,705b,705c 出射口

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ビーム源から出射されたエネルギービーム
    を加工対象物に照射することで、該加工対象物を加工す
    るビーム加工方法において、同じ加工処理を施すときに
    必要となる単位面積当たりのエネルギー量が互いに異な
    る複数種の加工対象物に、同一のビーム源から出射され
    たエネルギービームをそれぞれ照射するときの各スポッ
    ト径を、その加工対象物の種類に応じて変更するための
    処理を行うことを特徴とするビーム加工方法。
  2. 【請求項2】請求項1のビーム加工方法において、上記
    複数種の加工対象物は、絶縁性基体上に導電膜が形成さ
    れたものであって、該絶縁性基体と導電膜との間の付着
    強度が互いに異なるものであり、上記複数種の加工対象
    物について、上記エネルギービームの照射により絶縁性
    基体上の導電膜を除去する加工処理を行うことを特徴と
    するビーム加工方法。
  3. 【請求項3】エネルギービームを出射するビーム源を備
    え、上記ビーム源から出射されたエネルギービームを加
    工対象物に照射することで、該加工対象物を加工するビ
    ーム加工装置において、同一のビーム源から出射された
    エネルギービームを、互いに異なるスポット径で加工対
    象物に対して照射するための複数のビーム照射手段と、
    同一のビーム源から出射されたエネルギービームが、上
    記複数のビーム照射手段のうちのいずれかに案内される
    ように、該エネルギービームの光路を切り換える光路切
    換手段とを有することを特徴とするビーム加工装置。
  4. 【請求項4】請求項3のビーム加工装置において、上記
    複数のビーム照射手段は、同一のビーム源から出射され
    たエネルギービームを、互いに異なるスポット径にそれ
    ぞれ対応する光伝送路を通じて伝送するビーム伝送部
    と、上記ビーム伝送部により伝送されたエネルギービー
    ムを加工対象物に照射するビーム照射部とを有している
    ことを特徴とするビーム加工装置。
  5. 【請求項5】請求項4のビーム加工装置において、上記
    ビーム伝送部は、上記スポット径に対応するコア径をも
    つ光ファイバを有することを特徴とするビーム加工装
    置。
  6. 【請求項6】請求項3、4又は5のビーム加工装置にお
    いて、上記ビーム源から出射されたエネルギービームの
    出力を測定するビーム出力測定手段を備えており、上記
    光路切換手段は、エネルギービームの出力を測定すると
    き、上記ビーム源から出射されたエネルギービームが、
    上記ビーム出力測定手段に案内されるように、該エネル
    ギービームの光路を切り換えることを特徴とするビーム
    加工装置。
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