JP2003207862A - 放射線画像変換パネル、画像読取方法及び画像読取装置 - Google Patents

放射線画像変換パネル、画像読取方法及び画像読取装置

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JP2003207862A
JP2003207862A JP2002005883A JP2002005883A JP2003207862A JP 2003207862 A JP2003207862 A JP 2003207862A JP 2002005883 A JP2002005883 A JP 2002005883A JP 2002005883 A JP2002005883 A JP 2002005883A JP 2003207862 A JP2003207862 A JP 2003207862A
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Satoru Honda
哲 本田
Osamu Morikawa
修 森川
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像鮮鋭性の低下を引き起こすことなしに、
蓄積性蛍光体シートに蓄積された放射線情報をより効率
的に読み出す放射線画像読取方法および放射線画像変換
パネルを提供する。 【解決手段】 支持体上に少なくとも放射線画像が蓄積
された輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルに互
いに異なる波長領域を有する複数の励起光を同時に2次
元状に走査し、該走査により該放射線画像変換パネルか
ら発生した輝尽発光光を検出することにより、前記放射
線画像を読みとる放射線画像読取方法において、該複数
の励起光が前記放射線画像変換パネル上の同一の画素を
同時に励起することを特徴とする放射線画像読取方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放射線画像変換パネ
ル、画像読取方法及び画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】X線画像のような放射線画像は、病気診
断用などの分野で多く用いられている。このX線画像を
得る方法としては、被写体を通過したX線を蛍光体層
(蛍光スクリーン)に照射し、これにより可視光を生じ
させた後、この可視光を通常の写真を撮るときと同様に
して、ハロゲン化銀写真感光材料に照射し、次いで現像
処理を施して可視銀画像を得る、いわゆる放射線写真方
式が広く利用されている。
【0003】しかしながら、近年では、ハロゲン化銀塩
を有する感光材料による画像形成方法に代わり、蛍光体
層から直接画像を取り出す新たな方法が提案されてい
る。
【0004】この方法としては、被写体を透過した放射
線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体を例えば
光または、熱エネルギーで励起することによりこの蛍光
体が上記吸収により蓄積している放射線エネルギーを蛍
光として放射せしめ、この蛍光を検出し画像化する方法
がある。
【0005】具体的には、例えば、米国特許第3,85
9,527号及び特開昭55−12144号公報などに
記載されているような輝尽性蛍光体(以下、単に蛍光体
ともいう)を用いる放射線画像変換方法が知られてい
る。
【0006】この方法は、輝尽性蛍光体を含有する放射
線画像変換パネルを使用するもので、この放射線画像変
換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線を
当てて、被写体各部の放射線透過密度に対応する放射線
エネルギーを蓄積させて、その後、輝尽性蛍光体を可視
光線、赤外線などの電磁波(励起光)で時系列的に励起
することにより、輝尽性蛍光体中に蓄積されている放射
線エネルギーを輝尽発光として放出させ、この光の強弱
による信号を、例えば、光電変換して、電気信号を得
て、この信号をハロゲン化銀写真感光材料などの記録材
料、CRTなどの表示装置上に可視像として再生するも
のである。
【0007】上記の放射線画像の再生方法によれば、従
来の放射線写真フィルムと増感紙との組合せによる放射
線写真法と比較して、はるかに少ない被曝線量で、且
つ、情報量の豊富な放射線画像を得ることができるとい
う利点を有している。
【0008】また、特開2001−100341に記載
のように、互いに異なる波長領域を持った複数の励起光
源から発せられた複数の励起光を、放射線画像が蓄積さ
れた蓄積性蛍光体シートに同時に2次元状に走査し、該
走査により前記蓄積性蛍光体シートから発生した輝尽発
光光を検出することにより前記放射線画像を読み取るこ
とを特徴とする放射線画像読取方法及び画像読取装置が
開示されている。
【0009】通常、励起光の照射により蓄積性蛍光体シ
ートから発生する輝尽発光光は非常に微弱な為、従来公
知の画像読み取り装置では、検出された画像信号に光学
的あるいは電気的ノイズ等が混入し、S/N比が低下し
やすく、蓄積性蛍光体シートに記録された放射線画像を
正確に読み取りにくくなる傾向があるが、上記の技術で
は、複数の励起光源を用いることにより、1つの励起光
で蓄積性蛍光体シートを照射した場合より輝尽発光光の
発光光量を増大させるというメリットがある。
【0010】しかしながら、複数の光源から発せられ
た、互いに異なる波長を有する複数の励起光を同時に用
いる為、励起光の走査幅手にあたる画像周縁部において
複数の励起光の波長に応じた屈折率の違いに基づき、励
起ビームの照射される位置にズレが生じやすくなり、そ
の結果、蓄積性蛍光体シート上に形成された放射線画像
は励起光の走査幅手にあたる画像周縁部において励起光
のビームが見かけ上、拡大し、それに基づき画像鮮鋭性
が低下し、改善が望まれていた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、蓄積
性蛍光体シート(以後、放射線画像変換パネルともい
う)に蓄積された放射線情報をより効率的に読み出すこ
と、すなわち励起光での読み取りから発生する輝尽発光
光の光量を増し、放射線画像変換パネルに記録されてい
る放射線画像を高いS/N比で読み取ることを目的と
し、互いに異なる波長を有する複数の励起光を同時に2
次元状に走査することによる従来の読み取り方法で生じ
ていた画像周縁部での画像鮮鋭性の低下のない画像読取
方法および前記読取方法に用いる放射線画像変換パネル
を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は下記
の構成1〜9により達成された。
【0013】1.支持体上に少なくとも放射線画像が蓄
積された輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルに
互いに異なる波長領域を有する複数の励起光を同時に2
次元状に走査し、該走査により該放射線画像変換パネル
から発生した輝尽発光光を検出することにより、前記放
射線画像を読みとる放射線画像読取方法において、該複
数の励起光が前記放射線画像変換パネル上の同一の画素
を同時に励起することを特徴とする放射線画像読取方
法。
【0014】2.互いに異なる波長領域を有する複数の
励起光を回折光学素子を有する光学系を通過させる工程
を有し、且つ、該回折光学素子は、主走査方向と副走査
方向とで互いに異なるパワーを有することを特徴とする
前記1に記載の放射線画像読取方法。
【0015】3.互いに異なる波長領域を有する複数の
励起光を走査光学素子を有する光学系を通過させる工程
を有し、且つ、該走査光学素子は、少なくとも屈折部と
回折部とを有し、該屈折部は主走査方向と副走査方向と
で互いに異なるパワーを有する非球面レンズを有し、該
回折部は前記主走査方向と前記副走査方向とで互いに異
なるパワーを有する回折光学素子を有することを特徴と
する前記1に記載の放射線画像読取方法。
【0016】4.支持体上に少なくとも放射線画像が蓄
積された輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルに
互いに異なる波長領域を有する複数の励起光を同時に2
次元状に走査する手段と該走査により該放射線画像変換
パネルから発生した輝尽発光光を検出する手段を有する
ことを特徴とする放射線画像読取装置。
【0017】5.互いに異なる波長領域を有する複数の
励起光を回折光学素子を有する光学系を通過させる手段
を有し、且つ、該回折光学素子は、主走査方向と副走査
方向とで互いに異なるパワーを有することを特徴とする
前記4に記載の放射線画像読取装置。
【0018】6.互いに異なる波長領域を有する複数の
励起光を走査光学素子を有する光学系を通過させる手段
を有し、且つ、該走査光学素子は、少なくとも屈折部と
回折部とを有し、該屈折部は主走査方向と副走査方向と
で互いに異なるパワーを有する非球面レンズを有し、該
回折部は前記主走査方向と前記副走査方向とで互いに異
なるパワーを有する回折光学素子を有することを特徴と
する前記4に記載の放射線画像読取装置。
【0019】7.前記1〜3のいずれか1項に記載の画
像読取方法または前記4〜6のいずれか1項に記載の画
像読取装置に用いられることを特徴とする放射線画像変
換パネル。
【0020】8.支持体上に、少なくとも輝尽性蛍光体
を含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネ
ルであって、該輝尽性蛍光体が、400nm〜900n
mの波長領域に輝尽励起スペクトルの最大ピークを有
し、更に、少なくとも一つの輝尽励起スペクトルのピー
クまたはショルダーを有することを特徴とする前記7に
記載の放射線画像変換パネル。
【0021】9.輝尽性蛍光体の輝尽励起スペクトルの
最大ピークの波長(a)と該輝尽励起スペクトルの、そ
の他の少なくとも1つのピークまたはショルダーの波長
(b)とが前記の一般式(1)を満たすことを特徴とす
る前記3に記載の放射線画像変換パネル。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態を説明するが、本発明はこれに限定されな
い。
【0023】《画像読取方法及び画像読み取り装置》本
発明の画像読取方法及び画像読取装置について説明す
る。
【0024】図1は、本発明の画像読取方法及び前記の
画像読取方法を適用した放射線画像読取装置の一例を示
す概略図である。ここで一点鎖線で囲んだ部分が装置内
の構成、その外側は外部接続機器等を意味する。
【0025】図中、画像読取装置500は、レーザ光源
から射出された励起光を、放射線画像を蓄積した輝尽性
蛍光体シート10に照射する光学系20、輝尽性蛍光体
シート10への励起光の照射により発生した輝尽発光光
を読み取る、読取手段30、及び前記読取手段30で読
み取られた信号を処理する、後述する下記の手段(D/
Aコンバータ40、スイッチ50、画像処理手段60
等)等からなる主要部から構成されている。
【0026】光学系20には、各々互いに異なる波長の
励起光を射出する第1のレーザ光源21a、第2のレー
ザ光源21b及び、第3のレーザ光源21cが備えられ
ている。本発明に用いられるレーザ光源としては、例え
ば、He−Neレーザ、SHGレーザ等が好ましく用い
られるが、特に好ましく用いられるのは半導体レーザで
ある。
【0027】図1においては、レーザ光源として3種類
の異なる励起光を発するレーザ光源(第1のレーザ光
源、第2のレーザ光源、第3のレーザ光源)が配設され
た状態を基に説明するが、本発明では複数の励起光で同
時に2次元状に走査できればよいので、2種類以上の、
互いに異なる励起波長を発するレーザ光源が配設されて
いれば良い。
【0028】第1のレーザ光源21aから射出される励
起光L1の光路には、第1のダイクロイックミラー22
a、第2のダイクロイックミラー22bが配設されてお
り、第1のレーザ光源21aから射出された励起光は第
1のダイクロイックミラー22a及び第2のダイクロイ
ックミラー22bを透過する。
【0029】第2のレーザ光源21bから射出された励
起光L2は第1のダイクロイックミラー22aによって
直角に反射され、次いで、第2のダイクロイックミラー
22bを透過する。
【0030】第3のレーザ光源21cから射出された励
起光L3は第2のダイクロイックミラー22bによって
直角に反射される。そして、上記の各々の励起光L1、
L2、L3(以後、総称して励起光L123と呼ぶ)
は、各々ポリゴンモータ(図示していない)によって駆
動され回転しているポリゴンミラー202に入射する。
【0031】ポリゴンミラー202に入射した励起光L
123は、ポリゴンミラー202によって反射、偏向さ
れ、回折光学素子を有する光学系24を通過後、輝尽性
蛍光体シート10に入射する。
【0032】ここで、ポリゴンミラー202の回転に従
い、偏向された励起光L123は、輝尽性蛍光体シート
10上を回折光学素子を有する光学系24を通過後、一
定速度でY方向に直線状に走査(これを主走査方向と呼
ぶ)される。
【0033】Y方向への走査が行われた後、輝尽性蛍光
体シート10は、図示していないサンプルステージ上に
載置される。このサンプルステージは、励起光のY方向
への主走査に同期して図示していない移送機構によって
X方向(これを副走査方向と呼ぶ)に移送されることに
より輝尽性蛍光体シート10の表面が、複数の互いに励
起波長の異なる励起光が合波された励起光L123によ
って輝尽性蛍光体シート10上の同一の画素が同時に2
次元状に走査されることにより、輝尽性蛍光体が励起さ
れ、輝尽発光光が発生する。
【0034】30は読取手段であり、励起光の照射によ
り輝尽性蛍光体シート10から放出された輝尽発光光を
受け入れて導く光ガイド301(光ファイバやアクリル
樹脂板等)と輝尽発光光を画像信号に変換増幅する長尺
フォトマルチプライヤ302と励起光をカットし輝尽発
光光を透過させるフィルタ303から構成される。
【0035】40は装置自体の画質性能を検査するため
の検査用画像信号を出力する検査用画像信号出力手段と
してのD/Aコンバータ、50は読取手段30とD/A
コンバータ40との間で入力する画像信号の切り替え
(ON/OFF)を行う選択手段としてのスイッチ、6
0はスイッチ50により選択された画像信号を処理する
画像処理手段(ログアンプ、アナログフィルタ、A/D
コンバータ等)である。
【0036】70は、画像信号や検査用画像信号等をデ
ジタルデータの形で格納する記憶手段であるHDD(ハ
ードディスクドライブ)、80は各種演算処理中のデー
タを扱うメモリ(RAM、SDRAM等)、100は装
置全体の動作あるいはシーケンス制御、外部接続装置の
動作制御、画像信号の評価(評価手段)等を司るCP
U、105はCPU100からのコマンドを受け、装置
内の各手段(光学系20、読取手段30、D/Aコンバ
ータ40、スイッチ50、画像処理手段60等)の具体
的な動作制御を行うコントローラである。
【0037】本発明の画像読取方法は、互いに異なる波
長領域を有する複数の励起光を、放射線画像が蓄積され
た輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネル上の同一
の画素を同時に2次元状に走査し、該走査により該放射
線画像変換パネルから発生した輝尽発光光を検出するこ
とにより前記放射線画像を読み取ることにより、従来公
知の画像読取方法である、すなわち、複数の光源から発
せられた、互いに異なる波長を有する複数の励起光を単
純に同時に用いる方法の問題点であった、画像ズレがな
く、且つ、輝尽発光光量の増大も併せて可能になるの
で、高鮮鋭性で、しかも、高いS/N比の放射線画像を
読取ることが可能になった。
【0038】《励起光の波長》本発明の画像読取方法に
おいて用いられる励起光の波長について説明する。
【0039】本発明の画像読取方法に係る励起光は、互
いに異なる波長領域を有する複数の励起光が用いられる
が、励起光の波長としては、後述する放射線画像変換パ
ネルの輝尽励起スペクトルの最大ピーク付近の波長、及
び、その他の輝尽励起スペクトルのピークまたはショル
ダー付近の波長が好ましく用いられる。
【0040】ここで、輝尽励起スペクトルの最大ピーク
付近の波長、その他の波長ピーク付近の波長またはショ
ルダーの付近の波長とは、各々、輝尽励起スペクトルの
最大ピーク±15nmの範囲、その他の波長ピーク±1
5nmの範囲に入ること、ショルダーの波長±15nm
の範囲に入るように、励起波長が各々、調整されること
が好ましく、更に好ましくは、輝尽励起スペクトルの最
大ピーク±10nmの範囲、その他の波長ピーク±10
nmの範囲に入ること、ショルダーの波長±10nmの
範囲に入るように励起光の波長が調整されることであ
る。
【0041】ここで、本発明に係る輝尽励起スペクトル
のスペクトル形状について、図2を用いて説明する。
【0042】図2は、本発明に係る輝尽励起スペクトル
形状の一例を示す概略図である。において、図2(A)
のは、1つのピークA1と1つのショルダーA2を有する
スペクトル例であり、前記ショルダーA2はスペクトル
曲線の変曲点を表す。
【0043】図2(B)、図2(C)は、各々、二つの
ピーク(B1、B2)、三つのピーク(C1、C2、C3
を有するスペクトル例であり、図2(D)は、ピークが
1つだけのスペクトル例である。
【0044】輝尽励起光源としては、放射線画像変換パ
ネルに使用される輝尽性蛍光体の輝尽励起波長を含む光
源が使用されるが、特にレーザ光を用いると光学系が簡
単になり、又、輝尽励起光強度を大きくすることができ
るために輝尽発光効率をあげることができ、より好まし
い結果が得られる。
【0045】レーザとしては、He−Neレーザ、He
−Cdレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、
2レーザ、YAGレーザ及びその第2高調波、ルビー
レーザ、半導体レーザ、各種の色素レーザ、銅蒸気レー
ザ等の金属蒸気レーザ等がある。通常はHe−Neレー
ザやArイオンレーザのような連続発振のレーザが望ま
しいが、パネル1画素の走査時間とパルスを同期させれ
ばパルス発振のレーザを用いることもできる。又、フィ
ルタ303を用いずに特開昭59−22046号に示さ
れるような、発光の遅延を利用して分離する方法による
ときは、連続発振レーザを用いて変調するよりもパルス
発振のレーザを用いる方が好ましい。
【0046】上記の各種レーザ光源の中でも、半導体レ
ーザは小型で安価であり、しかも変調器が不要であるの
で特に好ましく用いられる。
【0047】また、フィルタ303としては輝尽性蛍光
体シート(放射線画像変換パネル)10から放射される
輝尽発光を透過し、輝尽励起光をカットするものである
から、輝尽性蛍光体シート(放射線画像変換パネル)1
0に含有される輝尽性蛍光体の輝尽発光波長とレーザ光
源(輝尽励起光源)201の波長の組合わせによって最
も好ましく組み合わせが決定される。
【0048】例えば、輝尽励起波長が500nm〜90
0nmで輝尽発光波長が300nm〜500nmにある
ような実用上好ましい組合わせの場合、フィルタとして
は例えば東芝社製C−39、C−40、V−40、V−
42、V−44、コーニング社製7−54、7−59、
スペクトロフィルム社製BG−1、BG−3、BG−2
5、BG−37、BG−38等の紫〜青色ガラスフィル
タを用いることができる。又、干渉フィルタを用いる
と、ある程度、任意の特性のフィルタを選択して使用で
きる。光電変換装置としては、光電管、光電子倍増管、
フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、光
導電素子等光量の変化を電子信号の変化に変換し得るも
のなら何れでもよい。
【0049】《回折光学素子を有する光学系》本発明に
係る回折光学素子を有する光学系について説明する。
【0050】本発明の画像読取装置においては、互いに
異なる波長領域を有する複数の励起光がポリゴンミラー
上で合波された励起光が結合レンズ(fθレンズ)を通
過することによって生ずる、輝尽性蛍光体シート10の
画素上でのピントのずれを修正する観点から、結像レン
ズ(fθレンズ)のすくなくとも一方のレンズ面に回折
光学素子が配設されることが好ましい。
【0051】本発明に係る回折光学素子を有する光学系
としては、種々の構成を取りうるが、少なくともプラス
チック材より成る単一の結像レンズ(fθレンズ)と回
折光学素子を有する構成が好ましい。
【0052】また、前記回折光学素子は、主走査方向と
副走査方向とで互いに異なるパワーを有することが好ま
しい。ここで、互いにパワーが異なるとは、走査方向に
おいて、励起光が回折光学素子を通過する際に、励起光
に与える回折の付与の大きさが異なることを意味する。
【0053】また、結合レンズ(fθレンズ)と回折光
学素子を組み合わせた光学系にすることで、結像レンズ
(fθレンズ)の温度変化による屈折率変化及び形状変
化から生じるピント移動、像高変動をも併せて補正する
効果がある。
【0054】《走査光学素子を有する光学系》本発明に
係る走査光学素子を有する光学系について説明する。
【0055】本発明においては、上記記載の回折光学素
子を有する光学系が好ましく用いられるが、以下に示す
走査光学素子を有する光学系も好ましく用いられる。
【0056】本発明に係る走査光学素子を有する光学系
とは、少なくとも屈折部と回折部とを有し、該屈折部は
主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワーを有す
る非球面レンズを有し、該回折部は前記主走査方向と前
記副走査方向とで互いに異なるパワーを有する上記記載
のような回折光学素子を有する走査光学素子を有する光
学系も好ましく用いられる。
【0057】走査光学素子を有する光学系は、上記の回
折光学素子を有する光学系と同様に、互いに異なる波長
領域を有する複数の励起光がポリゴンミラー上で合波さ
れた励起光が結合レンズ(fθレンズ)を通過すること
によって生ずる、輝尽性蛍光体シート10の画素上での
ピントのずれを修正し、高画質の放射線画像の読取を可
能とする。
【0058】ここで、前記主走査方向の収差修正は、倍
率変化又は/及びピント変化であり、前記副走査方向の
収差修正は、ピント変化であることが多い。
【0059】上記の非球面レンズとしては、主走査方向
と副走査方向とで互いに異なるパワーを有するプラスチ
ック製のトーリックレンズ、屈折率分布型のGRINレ
ンズ等が好ましく用いられる。
【0060】上記記載の、屈折部の主走査方向と副走査
方向とで互いに異なるパワーを有する非球面レンズや、
回折部の主走査方向と副走査方向とで互いに異なるパワ
ーを有する回折光学素子は、特開平11−223783
号、同11−119113号、特開2001−3246
91号、同2001−100341号等に記載のものを
用いることが出来る。また、屈折率分布型のGRINレ
ンズは特開平8−146236号,同8−190046
号等に記載のものを用いることが出来る。
【0061】《放射線画像変換パネル》本発明の放射線
画像変換パネルについて説明する。
【0062】本発明の放射線画像変換パネルは、一般
に、支持体、その表面に必要に応じて設けられる下引層
等の機能層及び蛍光体層とからなり、更に、蛍光体層の
表面を物理的、化学的に保護するための保護膜が設けら
れている。
【0063】蛍光体層としては、大別して、蛍光体とこ
れを分散保持する高分子樹脂とから構成される塗布液
を、支持体上に塗布することにより形成する蛍光体層
(以下、これを塗布型蛍光体層ともいう)と、気相成長
方式によって形成される蛍光体層(以下、これを蒸着型
蛍光体層ともいう)とがある。
【0064】蛍光体層について、詳細に説明する。本発
明に係る蛍光体層としては、塗布型でも蒸着型でもよい
が、輝尽性蛍光体としては、波長が400nm〜900
nmの範囲にある励起光によって、300nm〜500
nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体が一般的に使用
される。
【0065】更に、本発明に係る蛍光体層は、400n
m〜900nmの波長領域において、輝尽励起スペクト
ルの最大ピークを有し、更に、少なくとも一つの輝尽励
起スペクトルのピークまたはショルダーを有することが
好ましく、特に好ましくは、前記輝尽励起スペクトルの
最大ピークの波長(a)と少なくとも一つの輝尽励起ス
ペクトルのピークまたはショルダーの波長(b)とが前
記一般式(1)を満たすことが好ましい。
【0066】ここで、輝尽励起スペクトルのショルダー
とは、前記輝尽励起スペクトル上における変曲点として
定義される。
【0067】《塗布型蛍光体層》はじめに、塗布型蛍光
体層について説明する。
【0068】塗布型蛍光体層は、主に蛍光体粒子と高分
子樹脂より構成され、支持体上にコーターを用いて塗
設、形成される。
【0069】以下に、本発明に係る塗布型蛍光体層で好
ましく用いることのできる蛍光体の例を挙げるが、本発
明はこれらに限定されない。
【0070】(1)特開昭55−12145号に記載さ
れている(Ba1-X,M(II)X)FX:yA、(式中、
M(II)はMg、Ca、Sr、ZnおよびCdのうちの
少なくとも一つ、XはCl、Br、およびIのうち少な
くとも一つ、AはEu、Tb、Ce、Tm、Dy、P
r、Ho、Nd、Yb、およびErのうちの少なくとも
一つ、そしては、0≦x≦0.6、yは、0≦y≦0.
2である)の組成式で表される希土類元素付活アルカリ
土類金属弗化ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍光体に
は以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0071】(a)特開昭56−74175号に記載さ
れている、X′、BeX″、M(III)X′″3、式中、
X′、X″、およびX′″はそれぞれCl、Brおよび
Iの少なくとも一種であり、M(III)は三価金属であ
る (b)特開昭55−160078号に記載されているB
eO、MgO、CaO、SrO、BaO、ZnO、Al
23、Y23、La23、In23、SiO2、Ti
2、ZrO2、GeO2、SnO2、Nb25、Ta25
およびThO2などの金属酸化物 (c)特開昭56−116777号に記載されているZ
r、Sc (d)特開昭57−23673号に記載されているB (e)特開昭57−23675号に記載されているA
s、Si (f)特開昭58−206678号に記載されているM
・L、式中、MはLi、Na、K、Rb、およびCsか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属で
あり、LはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、
Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
u、Al、Ga、In、およびTlからなる群より選ば
れる少なくとも一種の三価金属である (g)特開昭59−27980号に記載されているテト
ラフルオロホウ酸化合物の焼成物;特開昭59−272
89号に記載されているヘキサフルオロケイ酸、ヘキサ
フルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸
の一価もしくは二価金属の塩の焼成物;特開昭59−5
6479号に記載されているNaX′、式中、X′はC
l、BrおよびIのうちの少なくとも一種である (h)特開昭59−56480号に記載されているV、
Cr、Mn、Fe、CoおよびNiなどの遷移金属;特
開昭59−75200号に記載されているM(I)
X′、M′(II)X″2、M(III)X′″3、A、式
中、M(I)はLi、Na、K、Rb、およびCsから
なる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であ
り、M′(II)はBeおよびMgからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の二価金属を表し、M(III)はA
l、Ga、In、およびTlからなる群より選ばれる少
なくとも一種の三価金属であり、Aは金属酸化物であ
り、X′、X″、およびX′″はそれぞれF、Cl、B
rおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンである (i)特開昭60−101173号に記載されているM
(I)X′、式中、M(I)はRbおよびCsからなる
群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、
X′はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のハロゲンである (j)特開昭61−23679号に記載されているM
(II)′X′2・M(II)′X″2、式中、M(II)′は
Ba、SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくと
も一種のアルカリ土類金属であり;X′およびX″はそ
れぞれCl、BrおよびIからなる群より選ばれる少な
くとも一種のハロゲンであって、かつX′≠X″であ
る;更に、特開昭61−264084号明細書に記載さ
れているLnX″3、式中、LnはSc、Y、La、C
e、Pr、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の希土類元素であり;X″はF、C
l、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一
種のハロゲンである。
【0072】(2)特開昭60−84381号に記載さ
れているM(II)X2・aM(II)X′2:xEu2+(式
中、M(II)はBa、SrおよびCaからなる群より選
ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;Xお
よびX′はCl、BrおよびIからなる群より選ばれる
少なくとも一種のハロゲンであって、かつX≠X′であ
り;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦
0.2である)の組成式で表される二価ユーロピウム付
活アルカリ土類金属ハロゲン化物蛍光体;また、この蛍
光体には以下のような添加物が含まれていてもよい。
【0073】(a)特開昭60−166379号に記載
されているM(I)X′、式中、M(I)はRbおよび
Csからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ
金属であり;X′はF、Cl、BrおよびIからなる群
より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである (b)特開昭60−221483号に記載されているK
X″、MgX′″2、M(III)X″″3、式中、M(II
I)はSc、Y、La、GdおよびLuからなる群より
選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;X″、
X′″およびX″″はいずれもF、Cl、BrおよびI
からなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
る (c)特開昭60−228592号に記載されている
B、特開昭60−228593号に記載されているSi
2、P25等の酸化物、特開昭61−120882号
に記載されているLiX″、NaX″、式中、X″は
F、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なく
とも一種のハロゲンである (d)特開昭61−120883号に記載されているS
iO;特開昭61−120885号に記載されているS
nX″2、式中、X″はF、Cl、BrおよびIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンである (e)特開昭61−235486号に記載されているC
sX″、SnX′″2、式中、X″およびX′″はそれ
ぞれF、Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少
なくとも一種のハロゲンである;更に、特開昭61−2
35487号に記載されているCsX″、Ln3+、式
中、X″はF、Cl、BrおよびIからなる群より選ば
れる少なくとも一種のハロゲンであり;LnはSc、
Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、H
o、Er、Tm、YbおよびLuからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の希土類元素である。
【0074】(3)特開昭55−12144号に記載さ
れているLnOX:xA(式中、LnはLa、Y、G
d、およびLuのうち少なくとも一つ;XはCl、B
r、およびIのうち少なくとも一つ;AはCeおよびT
bのうち少なくとも一つ;xは、0<x<0.1であ
る)の組成式で表される希土類元素付活希土類オキシハ
ライド蛍光体。
【0075】(4)特開昭58−69281号に記載さ
れているM(II)OX:xCe(式中、M(II)はP
r、Nd、Pm、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、E
r、Tm、Yb、およびBiからなる群より選ばれる少
なくとも一種の酸化金属であり;XはCl、Br、およ
びIのうち少なくとも一つであり;xは0<x<0.1
である)の組成式で表されるセリウム付活三価金属オキ
シハライド蛍光体。
【0076】(5)特開昭62−25189号明細書に
記載されているM(I)X:xBi(式中、M(I)は
RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種
のアルカリ金属であり;XはCl、BrおよびIからな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そ
してxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式
で表されるビスマス付活アルカリ金属ハロゲン化物蛍光
体。
【0077】(6)特開昭60−141783号に記載
されているM(II)5(PO43X:xEu2+(式中、
M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはF、
Cl、BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも
一種のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数
値である)の組成式で表される二価ユーロピウム付活ア
ルカリ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0078】(7)特開昭60−157099号に記載
されているM(II)2BO3X:xEu2+(式中、M(I
I)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれる少
なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、B
rおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハ
ロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値であ
る)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ
土類金属ハロホウ酸塩蛍光体。
【0079】(8)特開昭60−157100号に記載
されているM(II)2(PO43X:xEu2+(式中、
M(II)はCa、SrおよびBaからなる群より選ばれ
る少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XはC
l、Br及びIからなる群より選ばれる少なくとも一種
のハロゲンであり;xは0<x≦0.2の範囲の数値で
ある)の組成式で表される二価ユーロピウム付活アルカ
リ土類金属ハロリン酸塩蛍光体。
【0080】(9)特開昭60−217354号に記載
されているM(II)HX:xEu2+(式中、M(II)は
Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくと
も一種のアルカリ土類金属であり;XはCl、Brおよ
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
であり;xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組
成式で表される二価ユーロピウム付活アルカリ土類金属
水素化ハロゲン化物蛍光体。
【0081】(10)特開昭61−21173号に記載
されているLnX3・aLn′X′3:xCe3+、(式
中、LnおよびLn′はそれぞれY、La、Gdおよび
Luからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元
素であり;XおよびX′はそれぞれF、Cl、Brおよ
びIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲン
であって、かつX≠X′であり;そしてaは0.1<a
≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦0.2の
範囲の数値である)の組成式で表されるセリウム付活希
土類複合ハロゲン化物蛍光体。
【0082】(11)特開昭61−21182号に記載
されているLnX3・aM(I)X′3:xCe3+
(式中、LnはY、La、GdおよびLuからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり;M
(I)はLi、Na、K、CsおよびRbからなる群よ
り選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;Xお
よびX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より
選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは
0<a≦10.0の範囲の数値であり、xは0<x≦
0.2の範囲の数値である)の組成式で表されるセリウ
ム付活希土類複合ハロゲン化物系蛍光体。
【0083】(12)特開昭61−40390号に記載
されているLnPO4・aLnX3:xCe3+、(式中、
LnはY、La、GdおよびLuからなる群より選ばれ
る少なくとも一種の希土類元素であり;XはF、Cl、
BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種の
ハロゲンであり;そしてaは0.1≦a≦10.0の範
囲の数値であり、xは0<x≦0.2の範囲の数値であ
る)の組成式で表されるセリウム付活希土類ハロ燐酸塩
蛍光体。
【0084】(13)特開昭61−236888号明細
書に記載されているCsX:aRbX′:xEu2+
(式中、XおよびX′はそれぞれCl、BrおよびIか
らなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであ
り;そしてaは0<a≦10.0の範囲の数値であり、
xは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表
される二価ユーロピウム付活ハロゲン化セシウム・ルビ
ジウム蛍光体。
【0085】(14)特開昭61−236890号に記
載されているM(II)X2・aM(I)X′:xE
2+、(式中、M(II)はBa、SrおよびCaからな
る群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属で
あり;M(I)はLi、RbおよびCsからなる群より
選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;Xおよ
びX′はそれぞれCl、BrおよびIからなる群より選
ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaは
0.1≦a≦20.0の範囲の数値であり、xは0<x
≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表される二価
ユーロピウム付活複合ハロゲン化物蛍光体。
【0086】上記の輝尽性蛍光体のうちで、輝尽性蛍光
体粒子がヨウ素を含有していることが好ましく、例え
ば、ヨウ素を含有する二価ユーロピウム付活アルカリ土
類金属弗化ハロゲン化物系蛍光体、ヨウ素を含有する二
価ユーロピウム付活アルカリ土類金属ハロゲン化物系蛍
光体、ヨウ素を含有する希土類元素付活希土類オキシハ
ロゲン化物系蛍光体、およびヨウ素を含有するビスマス
付活アルカリ金属ハロゲン化物系蛍光体は、高輝度の輝
尽発光を示すため好ましく、特に、輝尽性蛍光体がEu
付加BaFI化合物であることが好ましい。
【0087】《結合剤》本発明において、蛍光体層に用
いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デ
キストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴム
のような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラー
ル、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロ
ース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリア
ルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニル
コポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチ
レート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなど
のような合成高分子物質などにより代表される結合剤を
挙げることができるが、請求項4に係る発明では、結合
剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であるこ
とが特徴であり、熱可塑性エラストマーとしては、例え
ば、上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマ
ー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレ
タン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性
エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポ
リブタジェン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビ
ニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑
性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フ
ッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱
可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エ
ラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴ
ム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらのう
ち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエス
テル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強
いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線
増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。
なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたもの
でも良い。
【0088】塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との
混合比は、目的とする放射線画像変換パネルのヘイズ率
の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量
部が好ましく、さらには2質量部〜10質量部がより好
ましい。
【0089】輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、
イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコー
ル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコ
ールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモ
ノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエー
テルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳
香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライド
などのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが
挙げられる。
【0090】なお、塗布液には、該塗布液中における蛍
光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後
の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結
合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混
合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散
剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン
酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。ま
た、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリ
クレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル
酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エ
ステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコー
ル酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステ
ル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸との
ポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポ
リエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩
基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。ま
た、輝尽性蛍光体層塗布液中に、輝尽性蛍光体粒子の分
散性を向上させる目的で、ステアリン酸、フタル酸、カ
プロン酸、親油性界面活性剤等の分散剤を混合してもよ
い。
【0091】輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例え
ば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライタ
ー、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kady
ミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行
なわれる。
【0092】上記のようにして調製された塗布液を、後
述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形
成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の
塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコータ
ー、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーター
などを用いることができる。
【0093】上記の手段により形成された塗膜を、その
後加熱、乾燥されて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形
成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放
射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合
剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、通常は1
0μm〜1000μmが好ましく、更に好ましくは、1
0μm〜500μmである。
【0094】《蒸着型蛍光体層》次に、蒸着型蛍光体層
について説明する。
【0095】蒸着型蛍光体層で用いることのできる輝尽
性蛍光体としては、例えば、特開昭48−80487号
に記載されているBaSO4:Axで表される蛍光体、
特開昭48−80488号記載のMgSO4:Axで表
される蛍光体、特開昭48−80489号に記載されて
いるSrSO4:Axで表される蛍光体、特開昭51−
29889号に記載されているNa2SO4、CaSO4
及びBaSO4等にMn、Dy及びTbの中少なくとも
1種を添加した蛍光体、特開昭52−30487号に記
載されているBeO、LiF、MgSO4及びCaF2
の蛍光体、特開昭53−39277号に記載されている
Li247:Cu,Ag等の蛍光体、特開昭54−4
7883号に記載されているLi2O・(Be22
x:Cu,Ag等の蛍光体、米国特許第3,859,5
27号に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:
Eu,Sm、La22S:Eu,Sm及び(Zn,C
d)S:Mnxで表される蛍光体があげられる。又、特
開昭55−12142号に記載されているZnS:C
u,Pb蛍光体、一般式がBaO・xAl23:Euで
あげられるアルミン酸バリウム蛍光体、及び、一般式が
M(II)O・xSiO2:Aで表されるアルカリ土類金
属珪酸塩系蛍光体があげられる。
【0096】又、特開昭55−12143号に記載され
ている一般式が(Ba1-x-yMgxCay)Fx:Eu2+
表されるアルカリ土類フッ化ハロゲン化物蛍光体、特開
昭55−12144号に記載されている一般式がLnO
X:xAで表される蛍光体、特開昭55−12145号
に記載されている一般式が(Ba1-xM(II)x)Fx
yAで表される蛍光体、特開昭55−84389号に記
載されている一般式がBaFX:xCe,yAで表され
る蛍光体、特開昭55−160078号に記載されてい
る一般式がM(II)FX・xA:yLnで表される希土
類元素付活二価金属フルオロハライド蛍光体、一般式Z
nS:A、CdS:A、(Zn,Cd)S:A,Xで表
される蛍光体、特開昭59−38278号に記載されて
いる下記いずれかの一般式 xM3(PO42・NX2:yA xM3(PO42:yA で表される蛍光体、特開昭59−155487号に記載
されている下記いずれかの一般式 nReX3・mAX′2:xEu nReX3・mAX′2:xEu,ySm で表される蛍光体、特開昭61−72087号に記載さ
れている下記一般式M(I)X・aM(II)X′2・b
M(III)X″3:cAで表されるアルカリハライド蛍光
体、及び特開昭61−228400号に記載されている
一般式M(I)X:xBiで表されるビスマス付活アル
カリハライド蛍光体等があげられる。
【0097】特に、アルカリハライド蛍光体は、蒸着、
スパッタリング等の方法で柱状の輝尽性蛍光体層を形成
させやすく好ましい。
【0098】又、前述のように、アルカリハライド蛍光
体の中でもRbBr及びCsBr系蛍光体が高輝度、高
画質である点、好ましく、中でもCsBr系蛍光体が特
に、好ましい。
【0099】支持体上に、蒸着型の蛍光体層を形成する
方法としては、例えば、支持体上に特定の入射角で輝尽
性蛍光体の蒸気又は該原料を供給し、蒸着等の気相成長
(堆積)させる方法によって独立した細長い柱状結晶か
らなる輝尽性蛍光体層を得ることができる。蒸着時の輝
尽性蛍光体の蒸気流の入射角に対し約半分の成長角で該
柱状結晶は結晶成長することができる。また、常温近傍
で蒸着することにより分子状の蒸着膜を設けることもで
きる。
【0100】輝尽性蛍光体の蒸気流を支持体面に対しあ
る入射角をつけて供給する方法には、支持体を蒸発源を
仕込んだ坩堝に対し互いに傾斜させる配置を取る、或い
は、支持体と坩堝を互いに平行に設置し、蒸発源を仕込
んだ坩堝の蒸発面からスリット等により斜め成分のみ支
持体上に蒸着させる様規制する等の方法をとることがで
きる。
【0101】これらの場合において、支持体と坩堝との
最短部の間隔は輝尽性蛍光体の平均飛程に合わせて概ね
10cm〜60cmに設置するのが適当である。尚、柱
状結晶の太さは、支持体の温度が低くなるほど細くなる
傾向にある。
【0102】蒸発源となる輝尽性蛍光体は、均一に溶解
させるか、プレス、ホットプレスによって成形して坩堝
に仕込まれる。この際、脱ガス処理を行うことが好まし
い。蒸発源から輝尽性蛍光体を蒸発させる方法は電子銃
により発した電子ビームの走査により行われるが、これ
以外の方法にて蒸発させることもできる。
【0103】また、蒸発源は必ずしも輝尽性蛍光体であ
る必要はなく、輝尽性蛍光体原料を混和したものであっ
てもよい。
【0104】また、蛍光体の母体に対して付活剤をあと
からドープしてもよい。例えば、母体であるRbBrの
みを蒸着した後、付活剤であるTlをドープしてもよ
い。即ち、結晶が独立しているため、膜が厚くとも充分
にドープ可能であるし、結晶成長が起こりにくいので、
MTFは低下しないからである。
【0105】ドーピングは形成された蛍光体の母体層中
にドーピング剤(付活剤)を熱拡散、イオン注入法によ
って行うことが出来る。
【0106】これらの柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層
において、ヘイズ率を低下するためには、柱状結晶の大
きさ(柱状結晶を支持体と平行な面から観察したときの
各柱状結晶の断面積の円換算した直径の平均値であり、
少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む顕微
鏡写真から計算する)は1〜50μm程度がよく、更に
好ましくは、1〜30μmである。
【0107】又各柱状結晶間の間隙の大きさは30μm
以下がよく、更に好ましくは5μm以下がよい。即ち、
間隙が30μmを越える場合は蛍光体層中のレーザー光
の散乱が増加し、鮮鋭性が低下してしまう。
【0108】又、輝尽性蛍光体の斜め柱状結晶の成長角
は0°より大きく、90°より小であれば特に問わない
が、10〜70°がよく、好ましくは20°〜55°で
ある。成長角を10〜70°にするには、入射角を20
〜80°にすればよく20〜55°にするには入射角を
40〜70°にすればよい。成長角が大きいと支持体に
対して柱状結晶が倒れすぎ、膜が脆くなる。
【0109】該輝尽性蛍光体を気相成長(堆積)させる
方法としては蒸着法、スパッタ法及びCVD法がある。
【0110】蒸着法は、支持体を蒸着装置内に設置した
のち、装置内を排気して1.333×10-4Pa程度の
真空とし、次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも1つを抵
抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発
させて支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに斜め堆
積させる。この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光体
層が形成されるが、前記蒸着工程では複数回に分けて輝
尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、前記
蒸着工程では複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビー
ムを用いて蒸着を行うことも可能である。また蒸着法に
おいては、輝尽性蛍光体原料を複数の抵抗加熱器或いは
エレクトロンビームを用いて蒸着し、支持体上で目的と
する輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を
形成することも可能である。更に蒸着法においては、蒸
着時に必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱してもよ
い。また、蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理して
もよい。
【0111】スパッタ法は前記蒸着法と同様に支持体を
スパッタ装置内に設置した後、装置内を一旦排気して
1.333×10-4Pa程度の真空度とし、次いでスパ
ッタ用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスを装置内
に導入して1.333×10-1Pa程度のガス圧とす
る。次に、前記輝尽性蛍光体をターゲットとして、斜め
にスパッタリングすることにより支持体表面に輝尽性蛍
光体を所望の厚さに斜めに堆積させる。このスパッタ工
程では蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を
形成することも可能であるし、それぞれを用いて同時或
いは順次、前記ターゲットをスパッタリングして輝尽性
蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ
法では、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用
い、これを同時或いは順次スパッタリングして、支持体
上で目的とする輝尽性蛍光体層を形成する事も可能であ
るし、必要に応じてO2、H2等のガスを導入して反応性
スパッタを行ってもよい。更に、スパッタ法において
は、スパッタ時必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱
してもよい。また、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層を
加熱処理してもよい。
【0112】CVD法は目的とする輝尽性蛍光体或いは
輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を熱、高周
波電力等のエネルギーで分解することにより、支持体上
に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を得るものであ
り、いずれも輝尽性蛍光体層を支持体の法線方向に対し
て特定の傾きをもって独立した細長い柱状結晶に気相成
長させることが可能である。
【0113】これらの方法により形成した輝尽性蛍光体
層の層厚は目的とする放射線像変換パネルの放射線に対
する感度、輝尽性蛍光体の種類等によって異なるが、1
0μm〜1000μmの範囲から選ばれるのが好まし
く、20μm〜800μmから選ばれるのがより好まし
い。
【0114】《支持体》本発明の放射線画像変換パネル
に用いられる支持体について説明する。
【0115】本発明の放射線画像変換パネルに用いられ
る支持体としては、各種高分子材料、ガラス、金属等が
用いられ、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化
ガラスなどの板ガラス、あるいは、セルロースアセテー
トフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレ
フタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミド
フィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネート
フィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、
鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは親水性微粒子の
被覆層を有する金属シートが好ましい。これら支持体の
表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着
性を向上させる目的でマット面としてもよい。また、本
発明においては、支持体と輝尽性蛍光体層の接着性を向
上させるために、必要に応じて支持体の表面に予め接着
層を設けてもよい。
【0116】これら支持体の厚みは用いる支持体の材質
等によって異なるが、一般的には80μm〜2000μ
mであり、取り扱い上の観点から、更に好ましいのは8
0μm〜1000μmである。
【0117】また、支持体と輝尽性蛍光体層との間には
係る反射層を設けても良い。《反射層》反射層として
は、例えば、白色顔料を樹脂中に分散含有させたものが
用いられるが、これにより感度を向上させることができ
る。この反射層の製造方法としては、例えば、以下の方
法が挙げられる。
【0118】(1)有機溶剤中に樹脂及び白色顔料を分
散し支持体上に塗布乾燥させ、反射層とする。
【0119】(2)溶融樹脂中に白色顔料を分散し、支
持体用樹脂とともに共押し出しによりフィルム状に圧延
かつもしくは延伸し、支持体上に顔料分散層を設ける。
【0120】これら支持体上に顔料分散層を設ける方法
の詳細に関しては特開平6−226894号に示されて
いる。
【0121】白色顔料としては酸化チタン、酸化亜鉛、
酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が
挙げられる。中でも酸化チタン、炭酸カルシウムが好ま
しい。顔料を分散する樹脂としては、例えばポリウレタ
ン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート)、塩化ビニル共重合体
(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニ
ル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニ
トリル共重合体等)、ブタジエン−アクリロニトリル共
重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セル
ロース誘導体(ニトロセルロース等)、スチレン−ブタ
ジエン共重合体、各種の合成ゴム系樹脂、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノキシ樹脂、シ
リコン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルムアミド樹脂等
が挙げられる。なかでもポリウレタン、ポリエステル、
塩化ビニル系共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロ
セルロースを使用することが好ましい。
【0122】これらのうちでも、前記1の手法で支持体
上に顔料分散層を設ける場合は、ポリウレタン系熱可塑
性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマ
ーが好ましい。
【0123】前記2の手法で支持体上に顔料分散層を設
ける場合は共押し出しのため支持体と同じ樹脂が好まし
く、中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
また反り返り防止、支持体雛防止のため支持体の両面に
顔料分散層を設けても良い。
【0124】又、反射層として多数の気泡を含有する発
泡性ポリエチレンテレフタレートを支持体として用い、
支持体と反射層を同時にかねた構造とすることも好まし
い。この場合は前述の支持体を反射性を有するものとす
ることで反射層を特に設けることなく本発明の放射線画
像変換パネルの支持体として用いることができる。
【0125】又、その他に、支持体と上記反射層あるい
は輝尽性蛍光体層との結合を強化するため支持体表面に
ポリエステル又はゼラチンなどの高分子物質を塗布して
接着性を付与する下塗り層を設けたり、若しくはカーボ
ンブラックなどの光吸収物質からなる光吸収層などが設
けられてよい。それらの構成は目的、用途などに応じて
任意に選択することができる。
【0126】又、多数の気泡を含有する発泡性ポリエチ
レンテレフタレートを支持体と反射層を同時にかねた支
持体として用いるのが層構成上も単純であり好ましい一
形態である。これらの支持体を構成する樹脂中に気泡を
混入させる詳細な製造方法については特開平3−767
27号もしくは特開平6−226894号等に示されて
いるが、又、商品として入手でき、東レ(株)製E−6
0Lシリーズとして入手できる。これらの支持体を用い
る事で、反射率が顔料反射層に比べ高いためより輝度の
向上が可能である点好ましい。
【0127】本発明においては、上記光反射層の分光反
射率が、短波長側(370nm〜500nm)よりも長
波長側(600nm〜700nm)が低いことが特徴で
あり、好ましくは長波長側の反射率が、短波長側に対し
て0.01倍〜0.95倍であることが好ましく、より
好ましくは0.01倍〜0.50倍である。
【0128】本発明において、光反射層の分光反射率を
規定の条件とするには、分光反射特性の異なる各種顔料
を適宜選択、あるいは組み合わせることにより達成する
ことができる。
【0129】また、光反射層の分光反射率は、市販の分
光反射率測定装置、例えば日立自記分光光度計U−32
10、同分光光度計U−4000型等を用いて測定する
ことができる。
【0130】本発明の放射線画像変換パネルにおいて
は、支持体の分光吸収特性が、短波長側(370〜50
0nm)よりも長波長側(600〜700nm)の吸光
度が高いことが特徴であり、好ましくは長波長側の吸光
度が、短波長側に対して1.1〜10.0倍であり、よ
り好ましくは1.5〜5.0倍である。
【0131】支持体の分光吸収特性を、上記記載の条件
に設定するには、支持体作製時に着色剤を添加すること
により達成することができる。
【0132】本発明で用いることのできる着色剤として
は、例えば、特開昭47−30330号、同56−55
52号公報記載のペリレン顔料、特開昭47−3033
1号公報等に記載のキナクリドン顔料、特開昭47−1
8543号公報記載のビスベンズイミダゾール顔料、特
開昭47−18544号、同55−98754号、同5
5−126254号、同55−163543号公報に記
載の芳香族多縮合環化合物、特公昭44−16373
号、同48−30513号、特開昭56−321465
号公報等に記載のアゾ顔料、特公昭50−7434号、
特開昭47−37548号、同55−11715号、同
56−1944号、同56−9752号、同56−23
52号、同56−80050号公報等に記載のジスアゾ
顔料、特公昭44−12671号、同40−2780
号、同52−1667号、同46−30035号、同4
9−17535号、特開昭49−11136号、同49
−99142号、同51−109841号、同57−1
48745号公報等に記載のフタロシアニン顔料等が挙
げられ、これらは単独あるいは二種以上を併用して用い
ることができる。これらの化合物の中では、フタロシア
ニン化合物が、波長域の点から好ましい。また、本発明
においては、顔料としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸
化ジルコニウム等が挙げられる。
【0133】本発明の放射線画像変換パネルには、輝尽
性蛍光体層の表面を物理的、化学的に保護するための保
護膜を設けることが好ましく、それらの構成は目的、用
途などに応じて適宜選択することができる。
【0134】塗布型の蛍光体層を有する放射線画像変換
パネルに設ける保護層としては、ASTMD−1003
に記載の方法により測定したヘイズ率が、5%以上60
%未満の励起光吸収層を備えたポリエステルフィルム、
ポリメタクリレートフィルム、ニトロセルロースフィル
ム、セルロースアセテートフィルム等が使用できるが、
ポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレンナ
フタレートフィルム等の延伸加工されたフィルムが、透
明性、強さの面で保護層として好ましく、更には、これ
らのポリエチレンテレフタレートフィルムやポリエチレ
ンテレフタレートフィルム上に金属酸化物、窒化珪素な
どの薄膜を蒸着した蒸着フィルムが防湿性の面からより
好ましい。
【0135】保護層で用いるフィルムのヘイズ率は、使
用する樹脂フィルムのヘイズ率を選択することで容易に
調整でき、また任意のヘイズ率を有する樹脂フィルムは
工業的に容易に入手することができる。放射線画像変換
パネルの保護フィルムとしては、光学的に透明度の非常
に高いものが想定されている。そのような透明度の高い
保護フィルム材料として、ヘイズ値が2〜3%の範囲に
ある各種のプラスチックフィルムが市販されている。本
発明の効果を得るために好ましいヘイズ率としては5%
以上60%未満であり、さらに好ましくは10%以上5
0%未満である。ヘイズ率が5%未満では、画像ムラや
線状ノイズを解消する効果が低く、また60%以上では
鮮鋭性の向上効果が損なわれ、好ましくない。
【0136】本発明に係る保護層で用いるフィルムは、
必要とされる防湿性にあわせて、樹脂フィルムや樹脂フ
ィルムに金属酸化物などを蒸着した蒸着フィルムを複数
枚積層することで最適な防湿性とすることができ、輝尽
性蛍光体の吸湿劣化防止を考慮して、透湿度は少なくと
も5.0g/m2・day以下であることが好ましい。
樹脂フィルムの積層方法は、特に制限はなく、公知のい
ずれの方法を用いても良い。
【0137】また、積層された樹脂フィルム間に励起光
吸収層を設けることによって、励起光吸収層が物理的な
衝撃や化学的な変質から保護され安定したプレート性能
が長期間維持でき好ましい。また、励起光吸収層は複数
箇所設けてもよいし、積層する為の接着剤層に色材を含
有して、励起光吸収層としても良い。
【0138】保護フィルムは、輝尽性蛍光体層に接着層
を介して密着していても良いが、蛍光体面を被覆するよ
うに設けられた構造(以下、封止または封止構造ともい
う)であることがより好ましい。蛍光体プレートを封止
するにあたっては、公知のいずれの方法でもよいが、防
湿性保護フィルムの蛍光体シートに接する側の最外層樹
脂層を熱融着性を有する樹脂フィルムとすることは、防
湿性保護フィルムが融着可能となり蛍光体シートの封止
作業が効率化される点で、好ましい形態の1つである。
さらには、蛍光体シートの上下に防湿性保護フィルムを
配置し、その周縁が前記蛍光体シートの周縁より外側に
ある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシ
ーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、蛍光
体シートの外周部からの水分進入も阻止でき好ましい。
また、さらには、支持体面側の防湿性保護フィルムが1
層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層防湿
フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減で
き、またこの封止方法は作業的にも容易であり好まし
い。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法におい
ては、減圧環境下で加熱融着することが、蛍光体シート
の防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿
気を排除する意味でより好ましい。
【0139】防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側
の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着
していても接着していなくてもかまわない。ここでいう
接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性
保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的に
は殆ど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として
扱える状態のことである。また、上記の熱融着性を有す
る樹脂フィルムとは、一般に使用されるインパルスシー
ラーで融着可能な樹脂フィルムのことで、例えば、エチ
レン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン
(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等を
挙げることができるが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
【0140】支持体上に輝尽性蛍光体層が塗設された蛍
光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁にあた
っては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業
性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望まし
い。
【0141】また、蒸着型蛍光体層を有する放射線画像
変換パネルに設ける保護層としては、透光性がよくシー
ト状に形成できるものを用いることができる。例えば石
英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラスなどの板ガラス
や、PET、OPP、ポリ塩化ビニルなどの有機高分子
があげられる。
【0142】本発明の保護層は単一層であってもよい
し、多層であってもよく、材質の異なる2種類以上の層
からなっていてもよい。例えば2層以上の高分子膜を複
合したフィルムを用いることができる。この様な複合高
分子フィルムの製法としては、ドライラミネート、押し
出しラミネートまたは共押し出しコーティングラミネー
トなどの方法があげられる。2層以上の保護層の組合せ
としては有機高分子同士に限られるものではなく、板ガ
ラス同士や板ガラスと有機高分子などがあげられる。例
えば、板ガラスと高分子層とを組み合わせる方法として
は、保護層用塗布液を板ガラス上に直接塗布して形成す
るか、或いは予め別途形成した高分子保護層を板ガラス
上に接着する方法があげられる。尚2層以上の保護層は
互いに密着状態にあってもよいし、離れていてもよい。
【0143】本発明の保護層の厚さは、実用上は10μ
m〜3mmまでである。良好な耐湿性と耐衝撃性を得る
ためには保護層の厚さは100μm以上が好ましく、特
に500μm以上の保護層を設けた場合、耐久性、耐用
性に優れた変換パネルが得られて、一層好ましい。
【0144】また、保護層として板ガラスを用いた場合
には、極めて耐湿性に優れており特に好ましい。
【0145】保護層は輝尽励起光及び輝尽発光を効率よ
く透過するために、広い波長範囲で高い透過率を示すこ
とが望ましく、透過率は80%以上が好ましい。例えば
石英ガラス、ホウ珪酸ガラスなどがあげられる。ホウ珪
酸ガラスは330nm〜2.6μmの波長範囲で80%
以上の透過率を示し、石英ガラスでは更に短波長におい
ても高い透過率を示す。
【0146】また、保護層の表面にMgF2などの反射
防止層を設けると、輝尽励起光及び輝尽性発光を効率よ
く透過すると共に鮮鋭性の低下を小さくする効果もあり
好ましい。保護層の屈折率は特に規定しないが、実用的
に用いる材質では1.4〜2.0の間にあるものが多
い。
【0147】本発明において保護層の材料としては板ガ
ラスが好ましく、ガラスに色材を含有させ着色して、輝
尽励起光を吸収する機能をもたせる手段としては以下に
示す方法がある。
【0148】(1)ガラスに色材(顔料又は色素)で着
色したフィルムを積層する。着色したフィルムの製造方
法としては、色材を練り込んだプラスチックフィルムや
プラスチックフィルムの表面に色材(顔料又は染料)を
含有する層を塗布等によって形成する方法がある。
【0149】この様な方法によって作製された着色した
プラスチックフィルムを接着剤等を用いて均一にガラス
表面に貼り合わせる方法で保護層として用いる着色した
ガラスを得ることが出来る。
【0150】着色に用いる色材としては、輝尽励起光を
吸収する顔料又は染料が目的にかなっている。
【0151】(2)ガラスのどちらか一方の面に色素乃
至顔料を含有する層を塗布により設ける方法。
【0152】ガラスに直接ガラスと接着性のよいバイン
ダー(水ガラス、ポリビニルブチラール等の有機ポリマ
ー等)中に分散乃至溶解した顔料又は染料を塗布して着
色ガラスを得る方法である。
【0153】(3)次いで、ガラス自身に、色材とし
て、分散された顔料や着色剤を含有させる方法がある。
【0154】例えば、製造時において、ガラス中に色材
として例えばリン酸鉛等の着色剤を混入させ着色させ
る。この場合はガラス製造時に混入させるため熱安定性
のよい色材であることが条件であり、顔料等でも無機顔
料系の熱に強いものは分散して用いることができる。
【0155】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらに限定されない。
【0156】《塗布型の放射線画像変換パネル1〜3、
6、7の作製》下記に記載のように、蛍光体粒子の作
製、支持体上への蛍光体層を有するシートの作製、前記
シートの蛍光対面側、支持体面側に、各々保護層を形成
して、輝尽性蛍光体シートを作製し、次いで、前記輝尽
性蛍光体シートを封止フィルムにより封止処理を施し
て、塗布型の放射線画像変換パネル1〜3、6、7を各
々作製した。
【0157】《蛍光体粒子の作製》ユーロピウム付活弗
化ヨウ化バリウムの輝尽性蛍光体前駆体を合成するため
に、BaI2水溶液(3.6mol/L)2780ml
とEuI3水溶液(0.2mol/L)27mlを反応
器に入れた。この反応器中の反応母液を撹拌しながら8
3℃で保温した。弗化アンモニウム水溶液(8mol/
L)322mlを反応母液中にローラーポンプを用いて
注入し、沈澱物を生成させた。
【0158】注入終了後も保温と撹拌を2時間続けて沈
澱物の熟成を行なった。次に沈澱物をろ別後、エタノー
ルにより洗浄した後真空乾燥させてユーロピウム付活弗
化ヨウ化バリウムの結晶を得た。焼成時の焼結により粒
子形状の変化、粒子間融着による粒子サイズ分布の変化
を防止するために、アルミナの超微粒子粉体を0.2質
量%添加し、ミキサーで充分撹拌して、結晶表面にアル
ミナの超微粒子粉体を均一に付着させた。これを石英ボ
ートに充填して、チューブ炉を用いて水素ガス雰囲気
中、850℃で2時間焼成してユーロピウム付活弗化ヨ
ウ化バリウム蛍光体粒子を得た。次に上記蛍光体粒子を
分級することにより平均粒径7μmの粒子を得た。
【0159】《蛍光体層を有するシートの作製》蛍光体
層形成材料として、上記で得たユーロピウム付活弗化ヨ
ウ化バリウム蛍光体427g、ポリウレタン樹脂(住友
バイエルウレタン社製、デスモラック4125)15.
8g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂2.0gをメチ
ルエチルケトン−トルエン(1:1)混合溶媒に添加
し、プロペラミキサーによって分散し、粘度25Pa・
s〜30Pa・sの塗布液を調製した。この塗布液をド
クターブレードを用いて厚さ100μmの黒色PET支
持体上に塗布したのち、100℃で15分間乾燥させ
て、270μmの厚さの蛍光体層を有するシートを作製
した。
【0160】《輝尽性蛍光体シートの作製》蛍光体層を
有するシートの蛍光体面側、支持体面側の各々に下記の
ように保護フィルムを配設し、輝尽性蛍光体シートを作
製した。
【0161】(保護フィルムの作製) (a)蛍光体シートの蛍光体面側の保護フィルムの作製 蛍光体層を有するシートの蛍光体面側の保護フィルム
は、下記構成のものを使用した。
【0162】VMPET12//VMPET12//P
ET12//シーラントフィルム PET:ポリエチレンテレフタレート シーラントフィルム:熱融着性フィルムでCPP(キャ
ステングポリプロプレ )またはLLDPE(低密度線状ポリエチレン)を使用 VMPET:アルミナ蒸着PET(市販品:東洋メタラ
イジング社製) 各樹脂フィルムの後ろの数字はフィルムの膜厚(μm)
を示す。
【0163】上記“//”はドライラミネーション接着
層で、接着剤層の厚みが2.5μmであることを意味す
る。使用したドライラミ用の接着剤は2液反応型のウレ
タン系接着剤である。
【0164】(b)蛍光体シートの支持体面側の保護フ
ィルムの作製 蛍光体層を有するシートの支持体面側の保護フィルム
は、シーラントフィルム/アルミ箔フィルム9μm/ポ
リエチレンテレフタレート(PET)188μmの構成
のドライラミネートフィルムとした。またこの場合の接
着剤層の厚みは1.5μmで2液反応型のウレタン系接
着剤を使用した。
【0165】《放射線画像変換パネル1の作製》:塗布
型 上記の輝尽性蛍光体シートに下記に記載のように封止処
理を施して、放射線画像変換パネル1を作製した。
【0166】(蛍光体シートによる封止処理)輝尽性蛍
光体シートを20cm×20cmの正方形に断裁し、上
記の積層保護フィルムを使用し、減圧下で周縁部をイン
パルスシーラを用いて融着することで封止した。図3に
本発明の放射線画像変換パネルの断面図を示す。
【0167】尚、融着部から輝尽性蛍光体シートの周縁
部までの距離は1mmとなるように融着した。融着に使
用したインパルスシーラーのヒーターは8mm幅のもの
を使用した。
【0168】《放射線画像変換パネル2、3及び6、7
の作製》:塗布型 放射線画像変換パネル1の作製において、用いる蛍光体
を表1に記載の蛍光体に代えた以外は同様にして、放射
線画像変換パネル2、3、及び6、7を各々作製した。
【0169】《蒸着型の放射線画像変換パネル4、5の
作製》以下に記載の方法に従って、蒸着型蛍光体層を有
する放射線画像変換パネル4、5を作製した。
【0170】(支持体1の作製)厚さ500μmの透明
結晶化ガラス上に下記のようにして光反射層を設け、支
持体1を作製した。
【0171】(光反射層の形成)フルウチ化学社製酸化
チタンとフルウチ化学社製酸化ジルコニウムとを、40
0nmでの反射率が85%、660nmでの反射率が2
0%となるように、蒸着装置を用いて支持体1の表面に
膜形成を行った。
【0172】(輝尽性蛍光体プレートの作製)上記作製
した支持体1を240℃に加温し、真空チャンバー中に
窒素ガスを導入し、真空度を0.1Paとした後、支持
体1の一方の面に、公知の蒸着装置を用いて、CsB
r:Euからなるアルカリハライド蛍光体を支持体表面
の法線方向に対して30°の角度で、アルミニウム製の
スリットを用いて、支持体とスリット(蒸着源)の距離
を60cmとして、支持体と平行な方向に支持体を搬送
しながら蒸着を行って、300μm厚の柱状構造を有す
る蛍光体層Aを形成した。
【0173】次いで、支持体を挟んで蛍光体層Aを設け
た面とは反対側の面に、上記蒸着方法において、温度を
25℃に変更した以外は同様にして蒸着を行い、120
μm厚の粒子状蒸着膜からなる蛍光体層Bを形成した。
【0174】上記形成した各蛍光体層のヘイズ率を、A
STMD−1003に記載の方法により測定した結果、
蛍光体層Aは50%、蛍光体層Bは60%であった。
【0175】《放射線画像変換パネル4の作製》:蒸着
型蛍光体 上記の輝尽性蛍光体プレートを用いて蒸着型の放射線画
像変換パネル4を作製した。詳しくは、輝尽性蛍光体層
を有するガラス状の側縁部にスペーサを介して、各輝尽
性蛍光体層と保護層として用いるガラスとの間に、低屈
折率層として空気層が100μmの厚みになるように、
ガラス製の保護層を設けた。なお、スペーサとしてはガ
ラスセラミックス製で、支持体及び保護層ガラスの間に
輝尽性蛍光体層及び低屈折率層(空気層)が所定の厚み
となるように厚みを調整したものを用い、ガラス支持体
及びガラス製の保護層の側縁部は、エポキシ系接着剤を
用いて接着した。
【0176】《放射線画像変換パネル5の作製》:蒸着
型蛍光体 放射線画像変換パネル4の蛍光体作製に用いる蒸着膜の
組成を表1に記載のように代えた以外は同様にして蒸着
型の放射線画像変換パネル5を作製した。
【0177】上記で得られた放射線画像変換パネル1〜
7について下記の評価を行った。 《放射線画像変換パネルの輝尽励起スペクトル形状の評
価》放射線画像変換パネルに下記の条件でX線を照射し
た後、市販の蛍光光度計分光器により分光した励起光で
輝尽性蛍光体面を照射し、励起光波長を変えながら発光
強度を計測し、励起光波長と発光強度とをプロットし
て、輝尽励起スペクトルを得た。
【0178】 X線照射条件 :80kV、200mA、60sec 蛍光光度計 :スリット幅励起光1.5nm、発光光1.5nm 波長スキャン速度:60nm/min 放射線画像変換パネル1〜7(各々、パネル(1)〜
(7)と記載)の輝尽励起スペクトルの特徴を図2
(A)〜図2(D)の各々のスペクトル形状と対応づけ
て示す。
【0179】 放射線画像変換パネルの種類 スペクトル形状の特徴 パネル(1) 図2(C) パネル(2) 図2(C) パネル(3) 図2(B) パネル(4) 図2(D) パネル(5) 図2(D) パネル(6) 図2(C) パネル(7) 図2(C) また、上記の放射線画像変換パネル1〜7の各々の輝尽
励起スペクトルのピーク波長については、表1に示す。
【0180】《粒状性評価》 (放射線画像変換パネル1の粒状性評価)放射線画像変
換パネル1の粒状性評価に当たり、放射線画像の形成は
下記に記載のX線照射条件にて行い、次いで、放射線画
像の読取には、励起光として660nmの半導体レーザ
光、605nmの半導体レーザ光を各々用いて行った。
読取の後、フィルム出力したX線のベタ露光画像を目視
評価し、5段階にランク評価した。
【0181】(放射線画像変換パネル2〜7の粒状性評
価)放射線画像変換パネル1の粒状性評価において、用
いた励起光の種類を表1に記載のように変更した以外
は、同様にして粒状性評価を行った。
【0182】 X線照射条件:80kV、200mA、0.1sec フィルム出力条件:γ(階調)=3.0出力 5:粒状がほとんどわからず極めて良好 4:若干の粒状が認められるものの良好 3:粒状が認められる 2:粒状感がある 1:粒状がはっきり目立つ 得られた結果を表1に示す。
【0183】
【表1】
【0184】表1から、比較に比べて、本発明の試料は
画像粒状性に優れていることが明らかである。
【0185】
【発明の効果】本発明により、蓄積性蛍光体シート(放
射線画像変換パネル)に蓄積された放射線情報をより効
率的に読み出すこと、すなわち励起光での読み取りから
発生する輝尽発光光の光量を増し、放射線画像変換パネ
ルに記録されている放射線画像を高いS/N比で読み取
るとともに、放射線画像変換パネル上の同一の画素を、
互いに異なる波長を有する複数の励起光によって同時に
2次元状に走査することにより、画像周縁部での画像鮮
鋭性の低下のない画像読取方法、画像読み取り装置及
び、それらに用いられる放射線画像変換パネルを提供す
ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】放射線画像読取装置の一例を示す概略図であ
る。
【図2】本発明に係る輝尽励起スペクトル形状の一例を
示す概略図である。
【図3】本発明の放射線画像変換パネルの断面図を示
す。
【符号の説明】
10 輝尽性蛍光体シート 11 輝尽性蛍光体 12 支持体 13、14 積層保護フィルム 20 光学系 21a 第1のレーザ光源 21b 第2のレーザ光源 21c 第3のレーザ光源 22a 第1のダイクロイックミラー 22b 第2のダイクロイックミラー L1、L2、L3、L123 励起光 24 回折光学素子を有する光学系 202 ポリゴンミラー 30 読取手段 301 光ガイド 302 長尺フォトマルチプライヤ 303 フィルタ 40 D/Aコンバータ 50 スイッチ 60 画像処理手段 70 HDD 80 メモリ 100 CPU 105 コントローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G083 AA03 BB04 CC10 DD13 DD18 EE02 EE03 2H013 AC01 AC04 5C072 AA01 BA11 BA17 CA06 CA15 DA09 DA20 DA21 EA02 HA06 HA13 UA06 UA11 UA13 VA01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも放射線画像が蓄積
    された輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルに互
    いに異なる波長領域を有する複数の励起光を同時に2次
    元状に走査し、該走査により該放射線画像変換パネルか
    ら発生した輝尽発光光を検出することにより、前記放射
    線画像を読みとる放射線画像読取方法において、該複数
    の励起光が前記放射線画像変換パネル上の同一の画素を
    同時に励起することを特徴とする放射線画像読取方法。
  2. 【請求項2】 互いに異なる波長領域を有する複数の励
    起光を回折光学素子を有する光学系を通過させる工程を
    有し、且つ、該回折光学素子は、主走査方向と副走査方
    向とで互いに異なるパワーを有することを特徴とする請
    求項1に記載の放射線画像読取方法。
  3. 【請求項3】 互いに異なる波長領域を有する複数の励
    起光を走査光学素子を有する光学系を通過させる工程を
    有し、且つ、該走査光学素子は、少なくとも屈折部と回
    折部とを有し、該屈折部は主走査方向と副走査方向とで
    互いに異なるパワーを有する非球面レンズを有し、該回
    折部は前記主走査方向と前記副走査方向とで互いに異な
    るパワーを有する回折光学素子を有することを特徴とす
    る請求項1に記載の放射線画像読取方法。
  4. 【請求項4】 支持体上に少なくとも放射線画像が蓄積
    された輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネルに互
    いに異なる波長領域を有する複数の励起光を同時に2次
    元状に走査する手段と該走査により該放射線画像変換パ
    ネルから発生した輝尽発光光を検出する手段を有するこ
    とを特徴とする放射線画像読取装置。
  5. 【請求項5】 互いに異なる波長領域を有する複数の励
    起光を回折光学素子を有する光学系を通過させる手段を
    有し、且つ、該回折光学素子は、主走査方向と副走査方
    向とで互いに異なるパワーを有することを特徴とする請
    求項4に記載の放射線画像読取装置。
  6. 【請求項6】 互いに異なる波長領域を有する複数の励
    起光を走査光学素子を有する光学系を通過させる手段を
    有し、且つ、該走査光学素子は、少なくとも屈折部と回
    折部とを有し、該屈折部は主走査方向と副走査方向とで
    互いに異なるパワーを有する非球面レンズを有し、該回
    折部は前記主走査方向と前記副走査方向とで互いに異な
    るパワーを有する回折光学素子を有することを特徴とす
    る請求項4に記載の放射線画像読取装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の画
    像読取方法または請求項4〜6のいずれか1項に記載の
    画像読取装置に用いられることを特徴とする放射線画像
    変換パネル。
  8. 【請求項8】 支持体上に、少なくとも輝尽性蛍光体を
    含有する輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネル
    であって、該輝尽性蛍光体が、400nm〜900nm
    の波長領域に輝尽励起スペクトルの最大ピークを有し、
    更に、少なくとも一つの輝尽励起スペクトルのピークま
    たはショルダーを有することを特徴とする請求項7に記
    載の放射線画像変換パネル。
  9. 【請求項9】 輝尽性蛍光体の輝尽励起スペクトルの最
    大ピークの波長(a)と該輝尽励起スペクトルの、その
    他の少なくとも1つのピークまたはショルダーの波長
    (b)とが下記の一般式(1)を満たすことを特徴とす
    る請求項3に記載の放射線画像変換パネル。 一般式(1) |波長(a)−波長(b)|≧20nm
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