JP2004198177A - 放射線像変換パネル、該パネルに用いる蛍光体の製造方法及び該パネルの製造方法 - Google Patents

放射線像変換パネル、該パネルに用いる蛍光体の製造方法及び該パネルの製造方法 Download PDF

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Noriyuki Mishina
紀之 三科
Akihiro Maezawa
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Abstract

【課題】本発明の目的は、高鮮鋭性であり、輝度、粒状性及び残光に優れた放射線画像変換パネル、該パネルに用いる蛍光体の製造方法及び該パネルの製造方法を提供することである。
【解決手段】支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、少なくとも1層の該輝尽性蛍光体層が、化合物総質量に対してCsを10質量%〜65質量%含有する化合物からなる蛍光体粒子と該蛍光体粒子を分散支持する結合剤とを含有し、該輝尽性蛍光体層に含まれる蛍光体粒子の平均粒径が0.1〜3.0μmであることを特徴とする放射線像変換パネル。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線像変換パネル、該パネルに用いる蛍光体の製造方法及び該パネルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放射線画像を得るために銀塩を使用した、いわゆる放射線写真法が利用されているが、銀塩を使用しないで放射線像を画像化する方法が開発されている。即ち、被写体を透過した放射線を蛍光体に吸収せしめ、しかる後この蛍光体をある種のエネルギーで励起してこの蛍光体が蓄積している放射線エネルギーを蛍光として放射せしめ、この蛍光を検出して画像化する方法が開示されている。
【0003】
具体的な方法としては、支持体上に輝尽性蛍光体層を設けたパネルを用い、励起エネルギーとして可視光線または赤外線を用いる放射線画像変換方法が、米国特許第3,859,527号に開示されている。
【0004】
より高輝度、高感度の輝尽性蛍光体を用いた放射線画像変換方法として、例えば特開昭59−75200号等に記載されているBaFX:Eu2+系(X:Cl、Br、I)蛍光体を用いた放射線画像変換方法、同61−72087号等に記載されているようなアルカリハライド蛍光体を用いた放射線画像変換方法、同61−73786号、同61−73787号等に記載のように、共賦活剤としてTl+、Ce3+、Sm3+、Eu3+、Y3+、Ag+、Mg2+、Pb2+及びIn3+等の金属を含有するアルカリハライド蛍光体などが開発されている。
【0005】
近年、診断画像の解析において、より高鮮鋭性の放射線像変換パネルが要求されているが、従来、塗布型輝尽性蛍光体として実用化されていた化合物であるBaFX:Eu2+系(X:Cl、Br、I)などのフッ化ハロゲン化物バリウム系蛍光体は、発光領域390〜410nmでの透明性が低く、粒子表面における散乱が顕著となるため、鮮鋭性が低下し十分な画質が得られないことが課題であった。
【0006】
このため、鮮鋭性改善のための手段として、例えば形成される輝尽性蛍光体の形状そのものをコントロールし、感度及び鮮鋭性の改良を図る試みがされている。
【0007】
これらの試みの一つとして、例えば特開昭61−142497号等において行われている様な、微細な凹凸パターンを有する支持体上に輝尽性蛍光体を堆積させ形成した微細な擬柱状ブロックからなる輝尽性蛍光体層を用いる方法がある。
【0008】
また、特開昭61−142500号に記載のように微細なパターンを有する支持体上に、輝尽性蛍光体を堆積させて得た柱状ブロック間のクラックをショック処理を施して更に発達させた輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルを用いる方法、更には、特開昭62−39737号に記載されたような、支持体の面に形成された輝尽性蛍光体層にその表面側から亀裂を生じさせ擬柱状とした放射線画像変換パネルを用いる方法、更には、特開昭62−110200号に記載のように、支持体の上面に蒸着により空洞を有する輝尽性蛍光体層を形成した後、加熱処理によって空洞を成長させ亀裂を設ける方法等も提案されている。
【0009】
更に、特開平2−58000号では、気相成長法によって支持体上に、支持体の法線方向に対し一定の傾きを持った細長い柱状結晶を形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルが提案されている。
【0010】
これらの輝尽性蛍光体層の形状をコントロールする試みにおいては、いずれも輝尽性蛍光体層を柱状とすることで、輝尽励起光(また輝尽発光)の横方向への拡散を抑える(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返しながら支持体面まで到達する)ことができるため、輝尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることができるという特徴がある。
【0011】
最近、CsBrなどのハロゲン化アルカリを母体としEuを賦活した蛍光体結晶を、蛍光体として上述のような気相堆積法(真空蒸着法)や引き上げ法による単結晶形成法などで蛍光体性能を引き出し、輝尽性蛍光体層として形成された放射線像変換パネルが提案され(例えば、特許文献1及び2参照。)、より高輝度、高鮮鋭性の診断画像が得られると期待された。
【0012】
しかしながら、Euは熱による拡散が顕著で、真空下における蒸気圧も高いという性質を有するため、母体中で離散しやすく、Euが母体中に、遍在して存在するという問題が発生した。その結果、Euを用いて賦活させ、高いX線変換効率を得ることが難しく、市場での実用化に至らなかった。
【0013】
特に高いX線変換効率を得られる希土類元素の賦活においては真空下における蒸着膜形成に関しては、蒸着時の加熱が基板に輻射熱となり熱分布の影響を与える。
【0014】
この熱分布は真空度によっても変化し、熱分布によって結晶成長が不均一となり輝度、鮮鋭性に急激な乱れを生じさせていた。真空蒸着には制御が難しい問題であった。
【0015】
更に、アルカリハライドを母体とした蛍光体結晶は蛍光体としては、気相堆積法(真空蒸着法)や引き上げ法による単結晶形成法などで蛍光体性能を引き出し、耐湿性の低さからガラスあるいは金属のケースに封入されて用いられる。
【0016】
真空蒸着法を用いたCsBr:Eu蛍光体放射線像変換パネルにおいては前述の形成上真空状態では安定にEu拡散が行えないこと、耐湿性が低くガラスを用いるために取り扱い上の制限が大きく、汎用での利用が難しいことが課題となっていた。
【0017】
また、真空蒸着法では物理蒸着を行うとその材料利用効率は数%〜10%にすぎず、利用効率の低さから高価なものとなり汎用での利用が一層困難なものであった。
【0018】
このため放射線像変換パネルとして市場から要求される輝度、鮮鋭性の改善、賦活剤の均一性についての改良が求められていた。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−6092号公報
【0020】
【特許文献2】
特開2002−20742号公報
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高鮮鋭性であり、輝度、粒状性及び残光に優れた放射線画像変換パネル、該パネルに用いる蛍光体の製造方法及び該パネルの製造方法を提供することである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は下記の構成によって達成された。
【0023】
1.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、少なくとも1層の該輝尽性蛍光体層が、化合物総質量に対してCsを10質量%〜65質量%含有する化合物からなる蛍光体粒子と該蛍光体粒子を分散支持する結合剤とを含有し、該輝尽性蛍光体層に含まれる蛍光体粒子の平均粒径が0.1〜3.0μmであることを特徴とする放射線像変換パネル。
【0024】
2.支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、少なくとも1層の該輝尽性蛍光体層が、前記一般式(1)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする前記1項に記載の放射線像変換パネル。
【0025】
3.液相中に有機溶媒を添加することにより、前記輝尽性蛍光体の前駆体を形成し、該前駆体を焼成する際に、不活性ガス雰囲気中にて焼成することを特徴とする前記1または2項に記載の放射線像変換パネルに用いる蛍光体の製造方法。
【0026】
4.前記蛍光体粒子と結合剤を混合分散し、塗料化した塗布液を支持体上に塗布乾燥する際に、不活性ガス雰囲気中にて100℃以上の温度にて加熱乾燥することを特徴とする前記1または2項に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、CsBrを母体とする蛍光体を調製する際、水溶液液相析出により微粒子結晶を取り出すことで、結晶性に優れ、透明性の高い結晶を得ることができ、ひいては光散乱を抑制できることを見出した。
【0028】
結果、従来蒸着柱状結晶でしか得られないとされていた画像性能の一つである鮮鋭性に優れた結晶が、微粒子結晶を用いても得られることが分かった。
【0029】
CsBr蛍光体微粒子を形成する上で、CsBr結晶を水溶液中より析出した場合は1粒子中に結晶の脈離が多量に形成されるため、単一溶媒より析出した蛍光体前駆体粒子を焼成した場合は蛍光体表面に結びつく酸素が不均一となり、輝度ムラや残光の悪化をもたらすことが分かり、特に平均粒径3μm未満の微粒子を形成する際にはこの脈離の影響がより顕著に現れた。
【0030】
従って、本発明者らは、種々検討の結果、平均粒径0.1〜3.0μmの粒子を酸素の結びつきの少ない状態で形成させるために、水溶液液相中に有機溶媒を添加してCsBrを析出させると、脈離の影響がなく、画像特性が良好な蛍光体を形成することが可能であることを見出した。
【0031】
さらに、アルカリハライド蛍光体は酸素の結びつきによりその残光性能が極めて顕著に変化し、高温で長い時間を大気下で加熱し続けると残光が極度に悪化する。特に、蛍光体粒子形成工程における焼成時の加熱雰囲気を調整することで、適正な蛍光体表面を維持していくことが可能となるが、蛍光体層形成時の加熱雰囲気は加熱時間が長いために、大気雰囲気で加熱形成すると蛍光体層表面にO2成分が残存し、その残存成分が蛍光体と結びつき残光を悪化させることも分かった。
【0032】
そこで、本発明者らは、更に、種々検討した結果、輝尽性蛍光体前駆体焼成時の雰囲気を不活性ガスにしたところ残光がより良好になることを見出し、更に、蛍光体形成及び蛍光体層形成での加熱プロセスを安定化したことで、蛍光体微粒子中のEu拡散が安定になり、表面欠陥が減少するため、残光特性、輝度特性、鮮鋭性に優れた、放射線像変換パネルを形成することが可能になったものと推定している。
【0033】
本発明を更に詳細に述べる。
本発明は、輝尽性蛍光体層が、例えば、CsBr:Eu蛍光体粒子を有する蛍光体粒子と該蛍光体粒子を分散支持する結合剤により形成され、該蛍光体粒子の平均粒径を0.1〜3.0μmにすることにより、蛍光体の安定性(残光が少ない)が良好で、輝度ムラがなく、鮮鋭性、輝度に優れた効果を有する放射線画像変換パネルが得られることを特徴としている。
【0034】
蛍光体粒子の平均粒径を0.1〜3.0μmにすると蛍光体表面の表面積が増大し、表面にEu存在比率が増す。その結果、Euの凝集性の影響が現れるが、表面雰囲気を不活性ガス(例えば、Ar)下に制御するとその表面に存在するEuの配位状態が表面−内部間で方向性もつため、比較的低温での処理にて均一な存在状態を可能にし、電荷として安定化すると推定され、その結果、輝尽性蛍光体層(以下、単に蛍光体層ともいう)中の賦活剤を均一に形成することができるため、本発明の目的を達成することができる。
【0035】
蛍光体粒子の平均粒径を0.1〜3.0μmにするには、反応条件を適宜制御する方法、得られた蛍光体粒子を分級する方法等によりコントロールが可能である。更に、輝度と鮮鋭性を両立させるためには、平均粒径は1.0〜3.0μmであることが好ましい。
【0036】
尚、蛍光体粒子の平均粒径の値は、レーザー散乱方式の光学粒度分布計島津製作所(製)SALD−DS21にてエタノール溶媒中に、例えばCsBr:Euを超音波にて2min間攪拌後投入して、蛍光体粒子100個の粒径を測定し、その平均値として求めることができる。
【0037】
請求項3の発明は、液相中に有機溶媒を添加することにより、請求項1または2に記載の輝尽性蛍光体の前駆体を形成し、該前駆体を焼成する際に、不活性ガス雰囲気中にて焼成することを特徴とする蛍光体の製造方法である。
【0038】
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコールの他、例えば水との誘電率差のあるトルエン、MEKや、極性のあるシクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド等が利用できるが、環境等への影響の観点からは、エタノールが好ましい。
【0039】
不活性ガス雰囲気中とは、例えばチッソガス等のイナートガス雰囲気中のことで、酸素ガス等の活性ガス以外のガス雰囲気のことをいう。更に詳しくは、例えば、大気圧ないしは大気圧の近傍において、不活性ガスの50圧力%以上をアルゴン(Ar)ガスとした雰囲気下で行う。他の不活性ガスとして、ネオン(Ne)ガス、ヘリウム(He)ガス、クリプトン(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガスなどがあるが、各種不活性ガスも不活性ガスの50圧力%未満で用いることができるが、アルゴンガスを主成分として用い、アルゴンガスを60圧力%以上とすることが、本発明の効果を得る上で好ましい。
【0040】
請求項4の発明は、蛍光体粒子と結合剤を混合分散し、塗料化した塗布液を支持体上に塗布乾燥する際に、不活性ガス雰囲気中にて100℃以上の温度にて加熱乾燥することを特徴としている。
【0041】
不活性ガス雰囲気中とは、前記した通りであるが、例えばチッソガス、アルゴンガスが好ましく、更に好ましくはアルゴンガスである。
【0042】
本発明は、塗布方式で本発明に係る輝尽性蛍光体層を作製することができ、主に蛍光体と結合剤により構成され、支持体上にコーターを用いて塗設、形成される。
【0043】
加熱乾燥としては、100℃以上の温度が好ましい。
用いられる結合剤については後述する。
【0044】
塗布型蛍光体層で用いることのできる輝尽性蛍光体としては、波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって、300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す輝尽性蛍光体が一般的に使用される。
【0045】
引き続き、輝尽性蛍光体層について説明する。最初に前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体(単に蛍光体ともいう)について説明する。
【0046】
式中、M1は、Li、Na、K、Rb及びCsの各原子から選ばれるが、Rb及びCsが好ましく、更に好ましいのはCsである。
【0047】
2はM1以外のLi、Na、K、Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、中でも好ましいのはNa、K、Rbである。
【0048】
3はSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、Ga及びInの各原子から選ばれる少なくとも1種の三価の金属原子を表すが、中でも好ましいのはY、Ce、Sm、Eu、Al、La、Gd、Lu、Ga及びInである。
【0049】
AはEu、Tb、In、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgの各原子から選ばれる少なくとも1種の金属原子であり、好ましいのはEuである。
【0050】
輝尽性蛍光体の輝尽発光輝度向上の観点から、X、X′及びX″はF、Cl、Br及びIの各原子から選ばれるハロゲン原子であるが、F、Cl及びBrの各原子が好ましく、更に好ましく用いられるのはBrである。
【0051】
本発明では、化合物総質量に対してCsを10質量%〜65質量%含有する化合物からなる蛍光体粒子を調製することを特徴としており、好ましくは、40質量%〜65質量%含有する化合物からなる蛍光体粒子である。Csの含有率を高めることにより、本発明の効果を高めることができるため、特に好ましい蛍光体粒子のCs含有率は60質量%〜65質量%である。
【0052】
一般式(1)で表される輝尽性蛍光体は、例えば以下に述べる製造方法により製造される。
【0053】
まず蛍光体原料として、
(a)NaF、NaCl、NaBr、NaI、KF、KCl、KBr、KI、RbF、RbCl、RbBr、RbI、CsF、CsCl、CsBr及びCsIから選ばれる少なくとも1種の化合物が用いられる。
【0054】
(b)一般式(1)においては、Eu、Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgからなる群から選ばれる金属を有する賦活剤原料が用いられる。
【0055】
化学量論的に一般式(1)で示される輝尽性蛍光体において、aは0≦a<0.5、好ましくは0≦a<0.01、bは0≦b<0.5、好ましくは0≦b≦10-2、eは0<e≦0.2、好ましくは0<e≦0.1である。
【0056】
上記の数値範囲の混合組成になるように前記(a)及び(b)の蛍光体原料を秤量し、純水にて溶解する。
【0057】
この際、乳鉢、ボールミル、ミキサーミル等を用いて充分に混合しても良い。
次に、得られた水溶液のpH値Cを0<C<7に調整するように所定の酸を加えた後、水分を蒸発気化させる。
【0058】
本発明において、蛍光体層に用いられる結合剤の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質、及び、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステルなどのような合成高分子物質などにより代表される結合剤を挙げることができるが、本発明では、結合剤が熱可塑性エラストマーを主成分とする樹脂であることが好ましく、熱可塑性エラストマーとしては、例えば、上記にも記載のポリスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、天然ゴム系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリイソプレン系熱可塑性エラストマー、塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンゴム及びシリコンゴム系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0059】
これらのうち、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリエステル系熱可塑性エラストマーは、蛍光体との結合力が強いため分散性が良好であり、また延性にも富み、放射線増感スクリーンの対屈曲性が良好となるので好ましい。なお、これらの結合剤は、架橋剤により架橋されたものでも良い。
【0060】
塗布液における結合剤と輝尽性蛍光体との混合比は、目的とする放射線画像変換パネルのヘイズ率の設定値によって異なるが、蛍光体に対し1〜20質量部が好ましく、さらには2〜10質量部がより好ましい。
【0061】
蛍光体層の塗布液の固形分としては75質量%以上が好ましい。更に好ましくは77質量%以上である。
【0062】
輝尽性蛍光体層塗布液の調製に用いられる有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール等の低級アルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等の低級脂肪酸と低級アルコールとのエステル、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル、トリオール、キシロールなどの芳香族化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライドなどのハロゲン化炭化水素およびそれらの混合物などが挙げられる。
【0063】
尚、塗布液には、該塗布液中における蛍光体の分散性を向上させるための分散剤、また、形成後の輝尽性蛍光体層中における結合剤と蛍光体との間の結合力を向上させるための可塑剤などの種々の添加剤が混合されていてもよい。そのような目的に用いられる分散剤の例としては、フタル酸、ステアリン酸、カプロン酸、親油性界面活性剤などを挙げることができる。また、可塑剤の例としては、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸ジフェニルなどの燐酸エステル;フタル酸ジエチル、フタル酸ジメトキシエチル等のフタル酸エステル;グリコール酸エチルフタリルエチル、グリコール酸ブチルフタリルブチルなどのグリコール酸エステル;そして、トリエチレングリコールとアジピン酸とのポリエステル、ジエチレングリコールとコハク酸とのポリエステルなどのポリエチレングリコールと脂肪族二塩基酸とのポリエステルなどを挙げることができる。
【0064】
輝尽性蛍光体層用塗布液の調製は、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、三本ロールミル、高速インペラー分散機、Kadyミル、あるいは超音波分散機などの分散装置を用いて行なわれる。
【0065】
上記のようにして調製された塗布液を、後述する支持体表面に均一に塗布することにより塗膜を形成する。用いることのできる塗布方法としては、通常の塗布手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、コンマコーター、リップコーターなどを用いることができる。
【0066】
上記の手段により形成された塗膜を、その後加熱、乾燥させて、支持体上への輝尽性蛍光体層の形成を完了する。輝尽性蛍光体層の膜厚は、目的とする放射線画像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体の種類、結合剤と蛍光体との混合比などによって異なるが、本発明においては、0.5μm〜1mmであり、より好ましくは10〜500μmである。
【0067】
また、輝尽性蛍光体層には高光吸収の物質、高光反射率の物質等を含有させてもよい。これにより輝尽性蛍光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散の制御に有効である。
【0068】
高光反射率の物質とは、輝尽励起光(500〜900nm、特に600〜800nm)に対する反射率の高い物質のことをいい、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銀、インジウム、その他の金属等、白色顔料及び緑色〜赤色領域の色材を用いることができる。白色顔料は輝尽発光も反射することができる。
【0069】
白色顔料としては、例えば、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al23、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの各原子から選ばれる少なくとも一種の原子であり、XはCl原子又はBr原子である。)、CaCO3、ZnO、Sb23、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸塩、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウムなどがあげられる。
【0070】
これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線像変換パネルの感度を顕著に向上させることができる。
【0071】
また、高光吸収率の物質としては、例えば、カーボンブラック、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄など及び青の色材が用いられる。このうちカーボンブラックは輝尽発光も吸収する。
【0072】
また、色材は、有機又は無機系色材のいずれでもよい。
有機系色材としては、例えば、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルーAFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライオノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。
【0073】
また、カラーインデクスNo.24411、23160、74180、74200、22800、23154、23155、24401、14830、15050、15760、15707、17941、74220、13425、13361、13420、11836、74140、74380、74350、74460等の有機系金属錯塩色材もあげられる。
【0074】
無機系色材としては群青、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−Co−NiO系等の無機顔料があげられる。
【0075】
本発明においては、支持体と蛍光体層の結合を強化するため、下引き層を設けてもよい。下引き層を設けることにより蛍光体層と支持体との密着性が改善すると共に、衝撃や、曲げ等の機械的刺激に対する蛍光体層のひび割れ、剥離等を防止することができる。また蛍光体層の塗膜形成時に、輝尽性蛍光体層形成用塗布液に含有される溶剤により、膨潤や部分的溶解を生じ、それに続く乾燥・収縮による蛍光体層のムラやクラックの発生を防止するため、下引き層は硬化剤(架橋剤)によって架橋し、硬化することが好ましい。硬化剤を下引き層の塗膜を構成する樹脂へ添加するタイミングは特に問わないが、製造面から、塗布直前に硬化剤を添加し、塗布液を調製することが好ましい。硬化剤を樹脂へ添加し放置することにより、樹脂溶液中で樹脂の架橋が一部起こり、塗布液の粘度が増加するためである。
【0076】
硬化剤として用いられる化合物は、特に制限はなく、例えば、イソシアネート及びその誘導体、メラミン及びその誘導体、アミノ樹脂及びその誘導体等を挙げることができるが、イソシアネート化合物を用いることが好ましく、例えば、日本ポリウレタン社製のコロネートHX、コロネート3041等が挙げられる。
硬化剤の使用量は、放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂の種類等により異なるが、輝尽性蛍光体層の支持体に対する接着強度の維持を考慮すれば、樹脂に対して50質量%以下の比率で添加することが好ましく、特に5〜40質量%が好ましい。
【0077】
下引き層の膜厚は、放射線像変換パネルの特性、輝尽性蛍光体層及び支持体に用いる材料の種類、下引き層で用いる高分子樹脂及び硬化剤の種類等により異なるが、一般には3〜50μmであることが好ましく、特に5〜40μmである。
【0078】
下引き層に用いられる樹脂の例としては、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;及びポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン、塩化ビニルコポリマー、ポリアクリル(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等のような合成高分子物質等により代表される樹脂を挙げることができる。支持体、蛍光体層との相性、特性面、塗設時のハンドリング等の点から、ポリエステル系もしくはポリウレタン系樹脂を用いることが特に好ましい。
【0079】
これらの樹脂を適当な溶剤、例えば前記輝尽性蛍光体層形成用塗布液の調製で用いる溶剤に添加し、溶解して樹脂溶液として用いる。
【0080】
本発明で用いる樹脂については、既に溶剤に溶解させ樹脂溶液として市販されているものもあり、樹脂溶液として使用することができる。例えばポリエステル系樹脂の場合、バイロン30ss(東洋紡績(株)製;固形分濃度30質量%)、バイロン55ss(東洋紡績(株)製;固形分濃度35質量%)等が挙げられる。またこれらに前記溶剤、添加剤等を混合し、樹脂溶液として用いることもできる。
【0081】
本発明で用いることのできる支持体としては、例えば、ガラス、ウール、コットン、紙、金属等の種々の素材から作られたものを使用することができるが、情報記録材料としての取り扱い上、可撓性のあるシートまたはロールに加工できるものが好ましい。この点から、例えば、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスティックフィルム、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等の金属シート、一般紙及び例えば写真用原紙、コート紙、若しくはアート紙のような印刷用原紙、バライタ紙、レジンコート紙、ベルギー特許第784,615号に記載されているようなポリサッカライド等でサイジングされた紙、二酸化チタン等の顔料を含むピグメント紙、ポリビニルアルコールでサイジングした紙等の加工紙が特に好ましい。これら支持体の膜厚は、用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80〜1000μmであり、取り扱い上の点から、更に好ましくは80〜500μmである。これらの支持体の表面は滑面であってもよいし、下引き層との接着力を向上させる目的でマット面としてもよい。
【0082】
また、本発明の輝尽性蛍光体層は保護層を有していても良い。
保護層は保護層用塗布液を輝尽性蛍光体層上に直接塗布して形成してもよいし、あらかじめ別途形成した保護層を輝尽性蛍光体層上に接着してもよい。あるいは別途形成した保護層上に輝尽性蛍光体層を形成する手段を取ってもよい。
【0083】
保護層の材料としては、酢酸セルロース、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化−塩化エチレン、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の通常の保護層用材料が用いられる。他に透明なガラス基板を保護層として用いることもできる。
【0084】
これらの保護層の層厚は0.1〜2000μmが好ましい。
更には、放射線像変換パネルの上下に防湿性保護フィルムを配置し、その周縁が前記パネルの周縁より外側にある領域で、上下の防湿性保護フィルムをインパルスシーラー等で加熱、融着して封止構造とすることで、前記パネルの外周部からの水分侵入も阻止でき好ましい。また、支持体面側の防湿性保護フィルムを1層以上のアルミフィルムをラミネートしてなる積層フィルムとすることで、より確実に水分の進入を低減でき、またこの封止方法は作業的にも容易であり好ましい。上記インパルスシーラーで加熱融着する方法においては、減圧環境下で加熱融着することが、放射線像変換パネルの防湿性保護フィルム内での位置ずれ防止や大気中の湿気を排除する意味でより好ましい。
【0085】
防湿性保護フィルムの蛍光体面が接する側の熱融着性を有する最外層の樹脂層と蛍光体面は、接着していても接着していなくてもかまわない、ここでいう接着していない状態とは、微視的には蛍光体面と防湿性保護フィルムとが点接触していても、光学的、力学的にはほとんど蛍光体面と防湿性保護フィルムは不連続体として扱える状態のことである。
【0086】
支持体上に蛍光体層が塗設された蛍光体シートは、所定の大きさに断裁される。断裁に当たっては、一般のどのような方法でも可能であるが、作業性、精度の面から化粧断裁機、打ち抜き機等が望ましい。
【0087】
以下、本発明に好ましく用いられる放射線像変換パネルについて説明する。
図1は、本発明の放射線像変換パネルの構成の一例を示す概略図である。
【0088】
図1において21は放射線発生装置、22は被写体、23は輝尽性蛍光体を含有する可視光ないし赤外光輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネル、24は放射線像変換パネル23の放射線潜像を輝尽発光として放出させるための輝尽励起光源、25は放射線像変換パネル23より放出された輝尽発光を検出する光電変換装置、26は光電変換装置25で検出された光電変換信号を画像として再生する画像再生装置、27は再生された画像を表示する画像表示装置、28は輝尽励起光源24からの反射光をカットし、放射線像変換パネル23より放出された輝尽発光のみを透過させるためのフィルタである。
【0089】
尚、図1は被写体の放射線透過像を得る場合の例であるが、被写体22自体が放射線を放射する場合には、前記放射線発生装置21は特に必要ない。
【0090】
また、光電変換装置25以降は放射線像変換パネル23からの光情報を何らかの形で画像として再生できるものであればよく、前記に限定されない。
【0091】
図1に示されるように、被写体22を放射線発生装置21と放射線像変換パネル23の間に配置し放射線Rを照射すると、放射線Rは被写体22の各部の放射線透過率の変化に従って透過し、その透過像RI(即ち、放射線の強弱の像)が放射線像変換パネル23に入射する。
【0092】
この入射した透過像RIは放射線像変換パネル23の輝尽性蛍光体層に吸収され、これによって輝尽性蛍光体層中に吸収された放射線量に比例した数の電子または正孔が発生し、これが輝尽性蛍光体のトラップレベルに蓄積される。
【0093】
即ち、放射線透過像のエネルギーを蓄積した潜像が形成される。次にこの潜像を光エネルギーで励起して顕在化する。
【0094】
また、可視あるいは赤外領域の光を照射する輝尽励起光源24によって輝尽性蛍光体層に照射してトラップレベルに蓄積された電子または正孔を追い出し、蓄積されたエネルギーを輝尽発光として放出させる。
【0095】
この放出された輝尽発光の強弱は蓄積された電子または正孔の数、すなわち放射線像変換パネル23の輝尽性蛍光体層に吸収された放射線エネルギーの強弱に比例しており、この光信号を、例えば、光電子増倍管等の光電変換装置25で電気信号に変換し、画像再生装置26によって画像として再生し、画像表示装置27によってこの画像を表示する。
【0096】
画像再生装置26は単に電気信号を画像信号として再生するのみでなく、いわゆる画像処理や画像の演算、画像の記憶、保存等が出来るものを使用するとより有効である。
【0097】
また、光エネルギーで励起する際、輝尽励起光の反射光と輝尽性蛍光体層から放出される輝尽発光とを分離する必要があることと、輝尽性蛍光体層から放出される発光を受光する光電変換器は一般に600nm以下の短波長の光エネルギーに対して感度が高くなるという理由から、輝尽性蛍光体層から放射される輝尽発光はできるだけ短波長領域にスペクトル分布を持ったものが望ましい。
【0098】
本発明の輝尽性蛍光体の発光波長域は300〜500nmであり、一方輝尽励起光波長域は500〜900nmであるので前記の条件を同時に満たすが、最近、診断装置のダウンサイジング化が進み、放射線像変換パネルの画像読み取りに用いられる励起波長は高出力で、且つ、コンパクト化が容易な半導体レーザが好まれ、そのレーザ光の波長は680nmであることが好ましく、本発明の放射線像変換パネルに組み込まれた輝尽性蛍光体は、680nmの励起波長を用いた時に、極めて良好な鮮鋭性を示すものである。
【0099】
即ち、本発明の輝尽性蛍光体はいずれも500nm以下に主ピークを有する発光を示し、輝尽励起光の分離が容易でしかも受光器の分光感度とよく一致するため、効率よく受光できる結果、受像系の感度を高めることができる。
【0100】
輝尽励起光源24としては、放射線像変換パネル23に使用される輝尽性蛍光体の輝尽励起波長を含む光源が使用される。特にレーザ光を用いると光学系が簡単になり、また輝尽励起光強度を大きくすることができるために輝尽発光効率をあげることができ、より好ましい結果が得られる。
【0101】
レーザとしては、例えば、He−Neレーザ、He−Cdレーザ、Arイオンレーザ、Krイオンレーザ、N2レーザ、YAGレーザ及びその第2高調波、ルビーレーザ、半導体レーザ、各種の色素レーザ、銅蒸気レーザ等の金属蒸気レーザ等がある。通常はHe−NeレーザやArイオンレーザのような連続発振のレーザが望ましいが、パネル1画素の走査時間とパルスを同期させればパルス発振のレーザを用いることもできる。
【0102】
また、フィルタ28を用いずに特開昭59−22046号に示されるような、発光の遅延を利用して分離する方法によるときは、連続発振レーザを用いて変調するよりもパルス発振のレーザを用いる方が好ましい。
【0103】
上記の各種レーザ光源の中でも、半導体レーザは小型で安価であり、しかも変調器が不要であるので特に好ましく用いられる。
【0104】
フィルタ28としては放射線像変換パネル23から放射される輝尽発光を透過し、輝尽励起光をカットするものであるから、これは放射線像変換パネル23に含有する輝尽性蛍光体の輝尽発光波長と輝尽励起光源24の波長の組合わせによって決定される。
【0105】
例えば、輝尽励起波長が500〜900nmで輝尽発光波長が300〜500nmにあるような実用上好ましい組合わせの場合、フィルタとしては例えば東芝社製C−39、C−40、V−40、V−42、V−44、コーニング社製7−54、7−59、スペクトロフィルム社製BG−1、BG−3、BG−25、BG−37、BG−38等の紫〜青色ガラスフィルタを用いることができる。又、干渉フィルタを用いると、ある程度、任意の特性のフィルタを選択して使用できる。
光電変換装置25としては、光電管、光電子倍増管、フォトダイオード、フォトトランジスタ、太陽電池、光導電素子等光量の変化を電子信号の変化に変換し得るものなら何れでもよい。
【0106】
【実施例】
以下に本発明の実施例と比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0107】
実施例1
《蛍光体粒子の調製》
(CsBr:Eu蛍光体粒子の調製)
CsBr1モルに対し、Eu量5/10000モルとなるようにCsCO3とHBr及びEu23を加え溶解した。90〜110℃に加温することにより前記水溶液を濃縮し、飽和溶液を作製した。
【0108】
上記飽和溶液に有機溶媒としてエタノールを用い、エタノールを噴霧しながら飽和溶液中に添加することにより前駆体を沈殿析出させた。得られた粒子を濾別し、エタノールにより洗浄した後、真空乾燥させてCsBr:Eu蛍光体粒子前駆体を得た。
【0109】
この蛍光体粒子前駆体をArガス雰囲気下で400℃の温度下で、2hrチューブ炉を用いて焼成を行ない、CsBr:Eu蛍光体粒子を得た。得られた蛍光体粒子を分級することにより、表1記載のように平均粒径の異なるCsBr:Eu蛍光体粒子を調製した。
【0110】
また、この化合物は、その総質量に対してCsを65質量%含有していた。
(BaFI:Eu蛍光体粒子の調製)
沃化バリウム2水塩を溶解して3.2モル/リットルの水溶液を調製する。この水溶液中に沃化ユーロピウム2/1000モル(2×10-2モル)添加し、80℃に調整して溶解する。この溶液にNH4Fの5モル/リットル水溶液を10ml/minの添加速度で200ml添加してBaFI:Eu2+前駆体を析出させる。
【0111】
この前駆体を80℃で1時間熟成後、1μmのメンブランフィルターを用いて吸引濾過を行い、沈殿物を濾別後、エタノールを用いて洗浄し、BaFI:Eu3+前駆体を得た。
【0112】
得られたBaFI:Eu3+前駆体を80℃のオーブンにて2時間乾燥後、電気炉にてO2ガス中で850℃で3時間過熱し、輝尽性蛍光体BaFI:Eu2+を作製した。
【0113】
得られたBaFI:Eu蛍光体粒子は、BaF2含有量10%、BaI2濃度3%、平均粒径3.0μmであった。
【0114】
(BaFBr:Eu蛍光体粒子の調製)
上記、BaFI:Eu蛍光体粒子の調製において、沃化バリウム2水塩の代わりに、BaBr2を用い、同様にして平均粒径3.0μmのBaFBr:Eu蛍光体粒子を得た。
【0115】
《放射線像変換パネルの調製》
輝尽性蛍光体層形成用塗布液の調製として、前記CsBr:Eu蛍光体77質量%とポリエステル樹脂(バイロン630:東洋紡(株)製)15質量%となるように調製し、シクロヘキサノン/メチルエチルケトン/トルエンの混合有機溶媒8質量%を加え、プロペラミキサーにて混合分散し、粘度が30Pa・s(25℃)の輝尽性蛍光体層形成用塗布液を得た。
【0116】
この輝尽性蛍光体層形成用塗布液を350μmのギャップのあるナイフコーターを用いて、188μmポリエチレンテレフタレートフィルム支持体の表面に塗布し、乾燥雰囲気Arのイナートオーブン中を80℃/100℃/110℃の3つのゾーンの乾燥ゾーンをCS(塗布速度)2.0m/minで塗布乾燥し、蛍光体層輝尽性蛍光体層を形成し、次いで乾燥空気の雰囲気内で蛍光体層上に硼珪酸ガラスを有する保護層を重ね、支持体及び該保護層周辺部を接着剤で封入して、蛍光体層が密閉された構造の放射線像変換パネル1を作製した。
【0117】
放射線像パネル1と同様にして、蛍光体粒径、蛍光体焼成雰囲気、蛍光体層乾燥雰囲気を表1のように代えた以外は同様にして、放射線像変換パネル2〜7を作製した。
【0118】
更に、上記調製したBaFI:Eu蛍光体粒子、及びBaFBr:Eu蛍光体粒子を用いて、蛍光体層乾燥雰囲気を大気下で行い、後は同様にして放射線像変換パネル8、9を作製した。
【0119】
得られた各試料について、以下の評価を行った。
《放射線像変換パネルの評価》
〈輝度の評価〉
輝度は、放射線像変換パネル全面に、管電圧80kVのX線を照射し、パネルを100mWの半導体レーザー(680nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を光電子倍増管(浜松ホトニクス製:光電子倍増管R1305)を用い、受光してその強度を求め、放射線像変換パネル1の値を1.00とし、相対輝度とした。
【0120】
〈鮮鋭性の評価〉
鮮鋭性は、放射線像変換パネルにMTF測定用矩形波チャート(極光(株)製)を通して管電圧80kVのX線を照射した後、パネルを100mWの半導体レーザ(680nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を、上記と同じ受光器で受光して電気信号に変換し、アナログ/デジタル変換して磁気テープにより記録した。記録した磁気テープをコンピューターで分析して磁気テープに記録されているX線像の変調伝達関数(MTF)値を求めた。MTFは空間周波数2サイクル(1p)/mmMTF%で示した。
【0121】
鮮鋭性は高いほど良好であることを示し、放射線像変換パネル1の値を100とし、相対評価を行った。
【0122】
〈粒状性の評価〉
粒状性は、放射線像変換パネル全面に、管電圧80kVのX線を照射し、パネルを100mWの半導体レーザ(680nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器で受光して電気信号に変換し、アナログ/デジタル変換して磁気テープにより記録した。記録した磁気テープをコンピューターで分析して、磁気テープに記録されているX線平面像のRMS粒状度を求めた。その粒状度は値が小さいほど良好であることを示し、放射線像変換パネル1の値を100とし、相対評価を行った。粒状性は値が小さいほど、良好である。
【0123】
〈残光の評価〉
50mm角に断裁した放射線像変換パネルを、撮影カセッテと組み合わせ、カセッテ全面に管電圧80kVのX線を照射した。放射線像変換パネルを100mWの半導体レーザ(680nm)で走査して励起し、蛍光体層から放射される輝尽発光を受光器で受光して電気信号に変換し、アナログ/デジタル変換して磁気テープにより記録した。画像表示装置により、得られたデジタルデータを画像として表示し、放射線像変換パネル端部の信号値とサンプル端部から50画素目の信号値との差を残光値として求めた。残光値は値が大きいほど良好であることを示し、放射線像変換パネル1の値を100とし、相対評価を行なった。
【0124】
〈平均粒径〉
尚、蛍光体粒子の平均粒径の値は、レーザー散乱方式の光学粒度分布計島津製作所(製)SALD−DS21にてエタノール溶媒中にCsBr:Euを超音波にて2min間攪拌後投入して、蛍光体粒子100個の粒径を測定し、その平均値とした。
【0125】
以上、得られた結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
Figure 2004198177
【0127】
表1から、本発明の試料は輝度が高く、鮮鋭性及び粒状性が、比較例に対し優れていることが分かる。
【0128】
【発明の効果】
本発明により、高鮮鋭性であり、輝度、粒状性及び残光に優れた放射線画像変換パネル、該パネルに用いる蛍光体の製造方法及び該パネルの製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の放射線像変換パネルの構成の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
21 放射線発生装置
22 被写体
23 放射線像変換パネル
24 輝尽励起光源
25 光電変換装置
26 画像再生装置
27 画像表示装置
28 フィルタ

Claims (4)

  1. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、少なくとも1層の該輝尽性蛍光体層が、化合物総質量に対してCsを10質量%〜65質量%含有する化合物からなる蛍光体粒子と該蛍光体粒子を分散支持する結合剤とを含有し、該輝尽性蛍光体層に含まれる蛍光体粒子の平均粒径が0.1〜3.0μmであることを特徴とする放射線像変換パネル。
  2. 支持体上に輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいて、少なくとも1層の該輝尽性蛍光体層が、下記一般式(1)で表されるハロゲン化アルカリを母体とする輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする請求項1に記載の放射線像変換パネル。
    一般式(1)
    1X・aM2X′・bM3X″3:eA
    〔式中、M1はLi、Na、K、Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M2はM1以外のLi、Na、K、Rb及びCsからなる群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、M3はY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選ばれる少なくとも一種の三価の金属であり、X、X′及びX″は、各々F、Cl、Br及びIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、Aは、Eu、Tb、In、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm及びYからなる群から選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、また、a、b、eはそれぞれ0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。〕
  3. 液相中に有機溶媒を添加することにより、前記輝尽性蛍光体の前駆体を形成し、該前駆体を焼成する際に、不活性ガス雰囲気中にて焼成することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線像変換パネルに用いる蛍光体の製造方法。
  4. 前記蛍光体粒子と結合剤を混合分散し、塗料化した塗布液を支持体上に塗布乾燥する際に、不活性ガス雰囲気中にて100℃以上の温度にて加熱乾燥することを特徴とする請求項1または2に記載の放射線像変換パネルの製造方法。
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