JP2003206635A - 構造物の強化繊維シート及びその製造方法並びに構造物の補修工法 - Google Patents

構造物の強化繊維シート及びその製造方法並びに構造物の補修工法

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JP2003206635A
JP2003206635A JP2002002962A JP2002002962A JP2003206635A JP 2003206635 A JP2003206635 A JP 2003206635A JP 2002002962 A JP2002002962 A JP 2002002962A JP 2002002962 A JP2002002962 A JP 2002002962A JP 2003206635 A JP2003206635 A JP 2003206635A
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文夫 安永
Hiroko Yasunaga
弘子 安永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】略直角又は直角よりも小さい鋭角部分を有する
構造物のコーナー部をこれらの形状に予め成形しておい
た強化繊維シートで補強・補修する。 【解決手段】本発明にあっては、先ず、略直角又は直角
よりも小さな鋭角部分を有する成形型3に、1層目のレ
ジン層5を塗布して強化繊維6を貼り付けている。そし
て、この1層目のレジン5が半乾きの状態で2層目のレ
ジン層7を塗布して前記1層目の強化繊維6とはクロス
方向に2層目の強化繊維8を貼り付けている。次に、こ
れらの全体を押え型9で押さえて養生硬化させ、脱型す
ることにより、略直角又はこれよりも小さな鋭角部分が
形成された強化繊維シートを得るようにしている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、略直角又は直角よ
りも小さい鋭角部分を有する強化繊維シートを用いて四
角柱や階段及び屋上等の構造物の補修と強化を行うよう
にした技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、H型鋼の凹部にコンクリートを
流し込み、周囲を塗料等で保護した四角柱状の構造物に
あっては、長年風雨に曝されることによって継目から雨
水が侵入し、セメントの成分が減少して砂利等の骨材だ
けが詰まった状態になる。そのため、多くのコンクリー
ト部分が中性化し、これによって、亀裂,欠損,剥落等
の損傷を起こしていた。従来は、その対策として当該損
傷部に樹脂材料を注入したり、樹脂モルタルを充填した
りして補修修理を行っていた。
【0003】また跨線橋や歩道橋等の階段にあっては、
金属ベースにアスファルトやコンクリートを塗装し、こ
れに滑り止め等を塗布したものが公知である。このよう
な階段の金属ベースが経年劣化を起こした場合は、前記
アスファルトやコンクリートを全部剥離除去し、金属ベ
ースの錆部分を除去し、防錆加工を施した後に、再度ア
スファルトやコンクリートを塗装し直していた。
【0004】更に、コンクリート製建物の屋上の周囲に
は、パラペットと称される低い手摺り壁が形成され、屋
上床面には防水加工が施されている。ところが、経年劣
化等により前記防水加工材料が膨張等により表面のコン
クリート、アスファルトを亀裂、損傷させる。そのた
め、階下へ漏水することがあった。このような場合、従
来では、表面のコンクリート又はアスファルト等を剥離
除去し、防水材をコーティングして再度コンクリートや
アスファルトを施工し、補修していた。
【0005】更にまた、最近では地震等により損傷した
コンクリート橋脚等の周囲に、ガラス繊維による強化繊
維シートや炭素繊維による強化繊維シートを現場におい
て貼り付け、金属バンド等でバインドして補強する技術
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来の
補修方法では、亀裂,欠損,剥落等の損傷部の修復はで
きても、四角柱や跨線橋、歩道橋及び屋上防水加工床面
等の構造物自体の強度の劣化を回復することはできなか
った。そのため、各構造物の亀裂,欠損,剥落等の損傷
を補修した場合であっても、構造物自体の強度が補強さ
れていないので、構造物自体の寿命が低下することとな
っており、構造物の取り替えを短期間で行わなければな
らず、その作業に要する労働負担及び費用が莫大なもの
となり、問題であった。
【0007】またガラス繊維による強化繊維シートや炭
素繊維による強化繊維シートを劣化した橋脚の周囲に貼
り付けて補強する技術では、橋脚の周囲がかなりの大き
さを有しており、コーナー部の曲率が緩やかなものへし
か前記強化繊維シートは使用できなかった。これは、強
化繊維シートが平坦なものしかなく、曲率が大きく及び
直角又はそれよりも小さい鋭角のコーナー部では、平坦
な強化繊維シートの繊維自体が大きく折り曲げられこと
になり、ガラス繊維又は炭素繊維自体が折損するためで
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、略直角又は
直角よりも小さい鋭角部分を有する構造物のコーナー部
を補強・補修せんとするものである。
【0009】而して、本発明が前記解決課題を解決する
ために採用した請求項1の手段は、1層目のレジン層に
貼り付けられた強化繊維シートと、2層目のレジン層に
前記1層目の強化繊維とはクロス方向に貼り付けられた
強化繊維シートとから成り、略直角又はこれよりも小さ
な鋭角部分が形成されるように折曲された部分を有する
構造物の強化繊維シートである。特殊な製造方法によ
り、予め強化繊維シートに略直角又はこれよりも小さな
鋭角部分を形成しているため、現場において強化繊維シ
ートを略直角又はこれよりも小さな鋭角に折り曲げる必
要がなく、強化繊維シートのガラス繊維又は炭素繊維が
折損する等のことはない。
【0010】本発明が採用した請求項2の手段は、略直
角又は直角よりも小さな鋭角部分を有する成形型に、1
層目のレジン層を塗布して強化繊維を貼り付け、該1層
目のレジンが半乾きの状態で2層目のレジン層を塗布し
て前記1層目の強化繊維とはクロス方向に2層目の強化
繊維を貼り付け、これを押え型で押さえて養生硬化さ
せ、脱型することにより、略直角又はこれよりも小さな
鋭角部分が形成されるようにした強化繊維シートの製造
方法である。この発明は請求項1の強化繊維シートの製
造方法であり、1層目の強化繊維を貼り付けた後、1層
目のレジンが半乾きの状態で2層目のレジン層を塗布し
て2層目の強化繊維を貼り付けることに第1点の特徴が
ある。また押さえ型で押さえて養生硬化させることに第
2点の特徴がある。これにより、強化繊維シートの強化
繊維を折損させることなく、略直角又はこれよりも小さ
な鋭角部分に折曲することが可能である。
【0011】本発明が採用した請求項3の手段は、コン
クリート製四角柱の経年劣化等による損傷部の周囲をカ
ットして露呈した鉄筋の錆の除去及び防錆加工を施し、
カットした部分に充填剤を充填し、損傷部の領域の四角
柱の全周にプライマーを塗布し、プライマーの乾燥後
に、周囲の平坦部には樹脂塗料であるレジンを介して1
層目と2層目の強化繊維をクロス方向に貼り付けた平坦
な強化繊維シートを貼り付け、四角柱状の各コーナー部
には樹脂塗料であるレジンを介してL字状の折曲部を有
する前記請求項1に記載の強化繊維シートを貼り付け、
ウレタン樹脂塗料を上塗りして仕上げたことを特徴とす
る構造物の補修工法である。この発明は、四角柱の損傷
部を除去して所定の手当てをした後、平坦部には平坦な
強化繊維シートを貼り付け、コーナー部には請求項2の
製造方法により製造された請求項1に係るL字状の折曲
部を有する強化繊維シートを貼り付け、ウレタン樹脂塗
料で上塗りして仕上げている。このように請求項2及び
1の発明に係る強化繊維シートを利用することで、L字
状の折曲部に対しても強化繊維シートを貼り付けること
ができ、十分な補強と補修とが実現できるものである。
【0012】本発明が採用した請求項4の手段は、金属
ベースの上にアスファルトやコンクリート等を塗装した
階段部分の構造物であって、塗装部分及び金属ベースの
経年劣化等による損傷部を除去して防錆加工を施し、平
坦部には樹脂塗料であるレジンを介して1層目と2層目
の強化繊維をクロス方向に貼り付けた平坦な強化繊維シ
ートを貼り付け、階段の先端及び奥側のコーナー部には
樹脂塗料であるレジンを介して鋭角な折曲部を有する前
記請求項1に記載の強化繊維シートを貼り付け、ウレタ
ン樹脂塗料を上塗りして仕上げたことを特徴とする構造
物の補修工法である。
【0013】本発明が採用した請求項5の手段は、低い
手摺り壁を有する構造物であって、補修を必要とする部
分にプライマーを塗布し、プライマーの乾燥後に、床及
び手摺り壁の平坦部には樹脂塗料であるレジンを介して
1層目と2層目の強化繊維をクロス方向に貼り付けた平
坦な強化繊維シートを貼り付け、手摺り壁と床との各コ
ーナー部には樹脂塗料であるレジンを介してL字状の折
曲部を有する前記請求項1に記載の強化繊維シートを貼
り付け、ウレタン樹脂塗料を上塗りして仕上げたことを
特徴とする構造物の補修工法である。
【0014】これらの請求項4及び請求項5の手段は、
請求項3の発明の構造物が四角柱から階段及び低い手摺
り壁を有するものへ変更されただけのものであり、基本
的な施工手順及び作用効果は、前記請求項3の場合と同
じである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示
す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りであ
る。図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態に係るも
のであり、四角柱1の構造物へ適用した場合を示すもの
である。図1の図(A)〜図(C)は強化繊維シート2
の製造方法を説明するための工程図であり、図(A)は
成形型3の表面にビニールシート4を介して1層目のレ
ジン層5を塗布した状態を示す縦断面図、図(B)は1
層目のレジン層5に強化繊維6を貼り付けた状態を示す
縦断面図、図(C)は2層目のレジン層7に強化繊維8
を貼り付けて押え型9で養生硬化させている状態を示す
縦断面図、図2は製造後の強化繊維シート2を示す縦断
面図、図3は四角柱1の補修後の状態を示す横断平面図
である。
【0016】構造物が四角柱1である場合の補修工法で
は、L字状の強化繊維シート2と平坦な強化繊維シート
10とを準備する必要がある。L字状の強化繊維シート
2の製造方法は、先ず、L字状の成形面を備えた成形型
3の表面にビニールシート4を配置する。これは、後述
する樹脂材料のレジンが成形型3にくっつくの防止する
と共に、製造後の製品(強化繊維シート2)の保護を目
的とするものであり、施工時に強化繊維シート2から剥
離除去される。然る後は、図1の図(A)に示すよう
に、ビニールシート4上に1層目のFRレジン5を塗
り、これにシート状に成形された強化繊維6を貼り付け
る。そして、同図の図(B)に示すように、脱泡ローラ
を用いて強化繊維6の繊維間に含まれている空気を抜き
取る。尚、強化繊維6としては、ガラス繊維や炭素繊維
が一般的である。
【0017】そして、このままの状態で暫く放置し、F
Rレジン5が半乾きの状態になるまで待つ。FRレジン
5が半乾きになった後は、2層目のFRレジン7を塗
り、これに強化繊維8を前記1層目の強化繊維6の繊維
方向とはクロスする方向に貼り付け、脱泡ローラを用い
て強化繊維の繊維間に含まれている空気を抜き取る。続
いて、ビニールシート11を2層目の上に被覆し、L字
状の成形面を備えた押え型9で全体を押圧し、そのまま
の状態でFRレジンの樹脂材料を養生硬化させる。養生
硬化は、季節に応じた所定の反応時間とする。所定の養
生時間が経過した後は、ビニールシート4及び11を含
む強化繊維シート2を成形型から取り外し、カットでき
る程度の硬化状態において、使用目的に応じた大きさに
カットすればよい。これにより、L字状の強化繊維シー
ト2の製造が完了する。
【0018】このように、L字状の強化繊維シート2の
製造に際し、成形型3の表面で直接強化繊維シート2を
製造するようにし、しかも1層目のFRレジン5に強化
繊維6を貼り付けた後、前記レジン5が半乾きの状態で
2層目のFRレジン7を塗布して強化繊維8を貼り付け
るようにしたのは、次の理由による。すなわち、1層目
と2層目の強化繊維の繊維方向をクロス方向に配設した
平坦な強化繊維シート10(図3参照、これについては
後述する)を成形し、これを成形型3のL字状の成形面
へ貼り付けて直角状の強化繊維シートを成形すると、シ
ート全体の厚みが厚く成り過ぎ、L字状に曲げると強化
繊維が折損するという問題があるからである。また1層
目のFRレジン5が半乾きの状態で2層目の貼り付け作
業を行うのは、完全に硬化させてしまうと1層目と2層
目のレジンどうしの結合強度が低下する虞れがあるから
である。
【0019】なお、2層目の強化繊維8の繊維の方向を
1層目の強化繊維6の繊維の方向とはクロスする方向へ
配向したのは、クロスした繊維どうしの目の間から接着
剤としてのFRレジン5及び7が1層目と2層目の間の
繊維どうしの間へ及び2層目の繊維の上面側へ滲み出る
ようにすると共に、これらの接着剤としてのFRレジン
5及び7が強化繊維シートの全体に満遍なく且つ均一に
分布するようにするためである。これにより、強化繊維
6及び8どうしの接着強度並びに強化繊維シート2と相
手方部材(四角柱の構造物1)との接着強度の向上を図
ることが可能である。
【0020】これに対して平坦な強化繊維シート10を
製造する場合は、先ず、温度調節及び成形品の取り外し
をスムーズに行うために、基台としてガラス板を用い、
このガラス板上にビニールシートを貼り付ける。ビニー
ルシートの使用目的は、前記L字状の強化繊維シート1
0の場合と同じである。然る後は、ビニールシート上に
1層目のFRレジンを塗り、これにシート状の強化繊維
を貼り付け、脱泡ローラを用いて強化繊維の繊維間に含
まれている空気を抜き取る。続いて2層目のFRレジン
を塗り、これにシート状の強化繊維を前記1層目の強化
繊維とは繊維方向がクロスする方向に貼り付け、同様に
して脱泡ローラを用いて強化繊維の繊維間に含まれてい
る空気を抜き取る。そして、季節に応じた養生時間の経
過後に、全体を基台としてのガラス板から取り外し、使
用目的に応じた大きさにカットすればよい。
【0021】このようにしてL字状の強化繊維シート2
と平坦な強化繊維シート10とを製造準備した後は、図
3に示すように、四角柱のコンクリート構造物1の補修
を行う。この四角柱1は、H型鋼12の凹部に鉄筋13
で補強したコンクリート14を流し込んで成形したもの
であり、コンクリート14部分が経年劣化等により亀裂
欠損(以下は、単に亀裂という)を生じている場合の補
修工法を説明する。先ず、亀裂の周囲をダイヤモンドカ
ッター等で亀裂に沿ってV字型にカットし、凹部を形成
する。欠損部分については、ケレンハンマー等で落とせ
るだけ落としておき、補修後に当該部分から亀裂や欠損
等が進行する原因が発生しないようにする。また前記V
字型のカットは、亀裂の内部の腐食している鉄筋が露呈
する位置まで行い、鉄筋の錆をワイヤブラシ等で除去
し、錆の腐食進行を抑制する防錆剤を塗布する。
【0022】次に、前記カットした凹部に金コテ及び木
ヘラ等を用いて充填剤15を充填をする。充填は、でき
る限り平均的になるように塗布する。充填剤の乾燥後に
凸凹部分があれば、サンドペーパ等で平らにしておく。
そして、このような亀裂部の手当てが終了した後は、図
3に示すように、H型鋼12の周囲に防錆剤16を塗布
し、続いてFPプライマー(エポキシ樹脂を主成分とす
るプライマー)17を塗布する。このFPプライマー1
7は、硬化剤として変性脂肪族ポリアミンを用いた二液
型樹脂塗料であり、既存のコンクリート柱の強度を維持
すると同時に、この後に塗布される樹脂塗料の付着強度
を保持する働きがある。FPプライマー17の乾燥後
は、主剤としてエポキシ樹脂塗料を用い、硬化剤として
エポキシ系のイソシアネートを用いた二液型の樹脂塗料
であるFRレジン18をむらなく塗る。このFRレジン
18は、樹脂系接着剤としての機能を有している。主剤
と硬化剤との比率は、通常は、主剤:硬化剤=2:1の
割合に設定すればよいが、季節による温度差により硬化
の反応状態が異なるので、季節に応じて変更すればよ
い。変更の目安は、夏期の場合は主剤:硬化剤=2:
0.9〜0.85とし、冬期は主剤:硬化剤=2:1.
05〜1.1の範囲にすればよい。これは、硬化剤の割
合がこれらの数値を下回ると、硬化し難いため作業に支
障が生じる問題があり、また硬化剤の割合がこれらの数
値を上回ると、上記と同様の問題があるからである。
【0023】然る後は、四角柱1の平面部には、平坦な
強化繊維シート10を貼り付け、コーナー部にはL字状
の強化繊維シート2を貼り付ける。必要であれば、例え
ば、所定間隔ごとにビニールテープ等で結束する。最後
に、ウレタン樹脂塗料19を上塗りして仕上げる。この
ウレタン樹脂塗料19は、太陽光線による紫外線からの
強化繊維シート2及び10の劣化を防止するためのもの
である。
【0024】このようにして補修された四角柱1であれ
ば、強化繊維シート2及び10が、亀裂2の入った領域
部分の強度を補強することができ、四角柱1の長寿命化
が図れる。また四角柱1の補修作業は、ガラス繊維又は
炭素繊維で強化した強化繊維シート2を予めL字状に折
曲形成して準備しているため、現場においては、これを
貼り付けるだけでよく、熟練者でなくてもガラス繊維又
は炭素繊維を折損することなく、簡単に行うことが可能
である。
【0025】図4は本発明の第2の実施の形態に係るも
のであり、構造物が金属製の跨線橋や歩道橋等の階段部
20の場合の部分縦断面図である。同図に示す如く、階
段部20の場合は、金属ベース21上のコンクリートや
アスファルト等を全て剥離除去し、金属ベース21の錆
や孔が開いている部分等を補修する。そして、金属ベー
ス上21に防錆剤16、プライマー17を塗布し、続い
て接着剤としてのFRレジン18を介して平坦部分には
平坦な強化繊維シート10を貼り付け、コーナー部には
鋭角に折曲形成された強化繊維シート22及び23を貼
り付ける。これらの強化繊維シート10の製造方法は、
前記第1の実施の形態の場合と同じである。然る後は、
砂等の骨材24を混在させたウレタン樹脂塗料19を塗
布し、階段先端のコーナー部にはステップ25を取り付
ければよい。骨材24は、滑り止めとして機能するもの
である。これにより、前記第1の実施の形態の場合と同
じ作用効果を得ることが可能である。
【0026】図5は本発明の第3の実施の形態に係るも
のであり、構造物が低い手摺り壁(パラペット等)26
を有する屋上のコンクリート床27に防水加工を施す場
合の縦断面図である。同図に示す如く、コンクリ−ト床
27の上面及びこれに連続する手摺り壁26の内面側に
プライマー17及び接着剤としてのFRレジン18を塗
布し、平坦部には平坦な強化繊維シート10を貼り付
け、コンクリート床27と手摺り壁26のコーナー部に
は前記したL字状に折曲形成された強化繊維シート2を
貼り付ける。これらの強化繊維シート2及び10の製造
方法については、前記した第1の実施の形態の場合と同
じである。そして、最後にウレタン樹脂塗料19を塗布
すればよい。これにより、FRレジン18の層と、強化
繊維シート2及び10の層と、ウレタン樹脂塗料19の
層とがそれぞれ防水機能を果たし、優れた防水効果を得
ることができる。つまり、屋上から階下へ水漏れ等が発
生することはない。またこれらの各層からなる全体が手
摺り壁26及びコンクリート床27を補強する働きがあ
る。
【0027】ところで、本発明は上述した実施の形態に
限定されるものではなく、適宜の変更が可能である。適
用対象となる構造物は、略直角又は直角よりも小さな鋭
角部分の形成されるコーナー部分を有するものであれば
よく、四角柱1や階段20、低い手摺り壁26を有する
屋上以外への適用も可能である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の強
化繊維シートは、1層目のレジン層に貼り付けられた強
化繊維と、2層目のレジン層に前記1層目の強化繊維と
はクロス方向に貼り付けられた強化繊維とから成り、略
直角又はこれよりも小さな鋭角部分が形成されるように
折曲された部分を有するから、このような略直角又はこ
れよりも小さな鋭角部分の構造物の補修に際し、現場に
おいて強化繊維シートを略直角又はこれよりも小さな鋭
角に折り曲げる必要がなく、強化繊維シートのガラス繊
維又は炭素繊維が折損する等のことはない。
【0029】また請求項2に記載の製造方法にあって
は、略直角又は直角よりも小さな鋭角部分を有する成形
型に、1層目のレジン層を塗布して強化繊維を貼り付
け、該1層目のレジンが半乾きの状態で2層目のレジン
層を塗布して前記1層目の強化繊維とはクロス方向に2
層目の強化繊維を貼り付け、これを押え型で押さえて養
生硬化させ、脱型することにより、略直角又はこれより
も小さな鋭角部分が形成されるようにしている。この製
造方法は、1層目の強化繊維を貼り付けた後、1層目の
レジンが半乾きの状態で2層目のレジン層を塗布して2
層目の強化繊維を貼り付けるようにしたことと、押さえ
型で押さえて養生硬化させることに特徴がある。これに
より、強化繊維シートの強化繊維を折損させることな
く、略直角又はこれよりも小さな鋭角部分に折曲するこ
とが可能である。
【0030】更に、本発明の請求項3〜5の補修工法
は、四角柱や階段及び低い手摺り壁を有する構造物の補
修を行った後、直角又はこれよりも小さな鋭角のコーナ
ー部には予め請求項1の発明の強化繊維シートを貼り付
け、平坦な部分には平坦な強化繊維シートを貼り付け、
その上からウレタン樹脂塗料で保護するようにしてい
る。従って、大きく曲げ加工を必要とする部分の補修に
対して、現場において、強化繊維シートを曲げ加工する
必要がなく、強化繊維シートの繊維を折損することな
く、施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る製造工程を示
すものであり、図(A)は成形型へ第1層のFRレジン
を塗布した状態を示す縦断面図、図(B)は第1層の強
化繊維を貼り付けた状態を示す縦断面図、図(C)は第
2層の形成後に押え型で押えている状態を示す縦断面図
である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る強化繊維シー
トを示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る補修後の四角
柱の横断平面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る補修後の階段
部の縦断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態に係る補修後の屋上
の縦断面図である。
【符号の説明】
1…四角柱、2…L字状の強化繊維シート、3…成形
型、4…ビニールシート、5…第1層のFRレジン、6
…第1層の強化繊維、7…第2層のFRレジン、8…第
2層の強化繊維、9…押え型、10…平坦な強化繊維シ
ート、11…ビニールシート、12…H型鋼、13…鉄
筋、14…コンクリート、15…充填部材、16…防錆
剤、17…プライマー、18…FRレジン、19…ウレ
タン樹脂塗料、20…階段部、26…低い手摺り壁、2
7…床面部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2D059 AA03 BB03 GG00 GG40 2E176 AA01 BB29 4F100 AK01A AK01C BA04 BA07 BA10A BA10D BA24 CA23B CA23D DG11B DG11D GB07 GB90 JL00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1層目のレジン層に貼り付けられた強化繊
    維と、2層目のレジン層に前記1層目の強化繊維とはク
    ロス方向に貼り付けられた強化繊維とから成り、略直角
    又はこれよりも小さな鋭角部分が形成されるように折曲
    された部分を有する構造物の強化繊維シート。
  2. 【請求項2】略直角又は直角よりも小さな鋭角部分を有
    する成形型に、1層目のレジン層を塗布して強化繊維を
    貼り付け、該1層目のレジンが半乾きの状態で2層目の
    レジン層を塗布して前記1層目の強化繊維とはクロス方
    向に2層目の強化繊維を貼り付け、これを押え型で押さ
    えて養生硬化させ、脱型することにより、略直角又はこ
    れよりも小さな鋭角部分が形成されるようにした強化繊
    維シートの製造方法。
  3. 【請求項3】コンクリート製四角柱の経年劣化等による
    損傷部の周囲をカットして露呈した鉄筋の錆の除去及び
    防錆加工を施し、カットした部分に充填剤を充填し、損
    傷部の領域の四角柱の全周にプライマーを塗布し、プラ
    イマーの乾燥後に、周囲の平坦部には樹脂塗料であるレ
    ジンを介して1層目と2層目の強化繊維をクロス方向に
    貼り付けた平坦な強化繊維シートを貼り付け、四角柱状
    の各コーナー部には樹脂塗料であるレジンを介してL字
    状の折曲部を有する前記請求項1に記載の強化繊維シー
    トを貼り付け、ウレタン樹脂塗料を上塗りして仕上げた
    ことを特徴とする構造物の補修工法。
  4. 【請求項4】金属ベースの上にアスファルトやコンクリ
    ート等を塗装した階段部分の構造物であって、塗装部分
    及び金属ベースの経年劣化等による損傷部を除去して防
    錆加工を施し、平坦部には樹脂塗料であるレジンを介し
    て1層目と2層目の強化繊維をクロス方向に貼り付けた
    平坦な強化繊維シートを貼り付け、階段の先端及び奥側
    のコーナー部には樹脂塗料であるレジンを介して鋭角な
    折曲部を有する前記請求項1に記載の強化繊維シートを
    貼り付け、ウレタン樹脂塗料を上塗りして仕上げたこと
    を特徴とする構造物の補修工法。
  5. 【請求項5】低い手摺り壁を有する構造物であって、補
    修を必要とする部分にプライマーを塗布し、プライマー
    の乾燥後に、床及び手摺り壁の平坦部には樹脂塗料であ
    るレジンを介して1層目と2層目の強化繊維をクロス方
    向に貼り付けた平坦な強化繊維シートを貼り付け、手摺
    り壁と床との各コーナー部には樹脂塗料であるレジンを
    介してL字状の折曲部を有する前記請求項1に記載の強
    化繊維シートを貼り付け、ウレタン樹脂塗料を上塗りし
    て仕上げたことを特徴とする構造物の補修工法。
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