JP2003206301A - ゴムラテックス粒子の連続凝集肥大化方法 - Google Patents

ゴムラテックス粒子の連続凝集肥大化方法

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JP2003206301A JP2002004025A JP2002004025A JP2003206301A JP 2003206301 A JP2003206301 A JP 2003206301A JP 2002004025 A JP2002004025 A JP 2002004025A JP 2002004025 A JP2002004025 A JP 2002004025A JP 2003206301 A JP2003206301 A JP 2003206301A
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Kenji Asakawa
賢司 浅川
Hiroshi Kojima
洋 小島
Hajime Tomita
一 富田
Kenji Kubo
建二 久保
Hisayoshi Mese
央欣 目瀬
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Nippon A&L Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 凝固物の発生や装置への付着を防止しつ
つ、かつ連続的にゴムラテックス粒子を凝集肥大化する
方法を提供する。 【解決手段】 ゴムラテックスに酸性物質を加え、ラテ
ックスのpHを7より低くして、ラテックスの粒子を凝
集肥大化させた後、塩基性物質を加え、ラテックスのp
Hを7より高くして安定な凝集肥大化したラテックスを
得るにあたり、高低差により樋状流路を流下するゴムラ
テックスに酸性物質を加え、その下流にて塩基性物質を
加えることにより連続的に凝集肥大化したゴムラテック
ス粒子を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高低差により樋状
流路を流下するゴムラテックスに酸性物質を加え、ラテ
ックスのpHを7より低くして、ラテックスの粒子を凝
集肥大化させた後、その下流にて塩基性物質を加え、ラ
テックスのpHを7より高くすることにより、凝固物の
生成や装置壁への付着が少ない安定な凝集肥大化したラ
テックスを連続的に得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ゴムラテックスに酸性物質を
添加してラテックスのpHを低化させ、しかる後に塩基
性物質を加えpHを高くすることにより、ラテックス中
のゴム粒子を凝集肥大化させる方法はよく知られてい
る。例えば酸性物質として乳酸を用いる方法(特公昭6
2−61044号)や、リン酸をシャワー状又は霧状に
してラテックス液面上へ添加する方法(特公平2−96
01号)や、酸性物質を撹拌槽内のラテックスへ挿入管
等を通し直接添加すると共に撹拌翼先端の周速度を0.
1〜0.5m/秒の範囲で撹拌混合する方法(特開平1
1−209405号)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
の方法においても撹拌槽が用いられており、又通常バッ
チ方式で処理しているため、多量のゴムラテックスを短
時間で凝集肥大することはできない。又、添加する酸性
物質を迅速に混合・拡散することができない場合、滞留
した酸によりラテックスが破壊され凝固物が発生する。
そのために撹拌を強くした場合、混合は良くなり、滞留
した酸によるラテックスの破壊は防止できるが、強い撹
拌のため一旦凝集肥大した粒子が破壊され凝固物が発生
する。この問題を解決するため大型の翼で、低速にて撹
拌しながら、液中にゆっくりと酸性物質を添加する方法
が採られている。この方法では、大量のゴムラテックス
を凝集肥大処理するには、大容量の撹拌槽が必要であ
り、更に低速回転している大型翼を用い、ゆっくりと酸
性及び塩基性物質を添加するといった長時間かけての凝
集操作が必要となる。そのため装置固定費が高くなり、
経済的に競争力が劣る結果となる。更に撹拌槽による方
法では通常酸性物質全量を添加した後、塩基性物質を添
加するため、酸添加により凝集肥大した非常に不安定な
ゴム粒子は、塩基性物質の添加が完了してpHが上がる
まで、撹拌翼が回転する度にそのせん断力により凝固物
を生じ、撹拌槽による方法では凝固物の発生や装置壁へ
の付着といった問題を解決するには不充分であった。
【0004】一方、添加する酸性物質には燐酸、乳酸と
いった弱酸が一般的に使用されている。硫酸等の安価で
酸化力の強い強酸類は、撹拌により多量の凝集物が発生
するため使用されていないか、使用できる場合でも大幅
に酸溶液を水で希釈した状態でのみ使用できるため、ラ
テックスの固形分濃度が大幅に低下し、工業的には使用
されていない状況である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み鋭意研究した結果、ゴムラテックスを高低差
により樋状流路を流下させ、その途中に酸性物質を加
え、ラテックスのpHを7より低くして、ラテックスの
粒子を凝集肥大化させた後、その下流にて塩基性物質を
加え、ラテックスのpHを7より高くすることにより、
安価な装置で、高処理速度で、連続的に、凝固物の生成
や装置壁への付着が少ない安定な凝集肥大化したラテッ
クスを得る方法を見出し、本発明に到達したものであ
る。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法につき詳細に
説明する。本発明で用いられるゴムラテックスとしては
ゴム状重合体の水分散体であり、このようなゴム状重合
体としては、ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタ
ジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムなどのジエン系
ゴム、ポリブチルアクリレ−トなどのアクリルゴム、エ
チレン−プロピレンゴム、エチリデンノルボルネンやジ
シクロペンタジエン等の非共役ジエン成分を導入してな
るエチレン−プロピレン−非共役ジエンゴムなどのエチ
レン−プロピレン系ゴム等が挙げられるが、特にジエン
系ゴムが好ましい。
【0007】ゴムラテックスの固形分濃度については特
に制限はないが、30〜55%の範囲が好ましい。30
%以下では全量または一部のゴム粒子が凝集肥大化しな
い、又55%以上ではゴムラテックスの粘度が高くな
り、酸性物質の混合が不充分となり、多量の凝固物が発
生する。
【0008】凝集前後のゴムラテックス粒子の大きさに
ついては特に制限はないが、凝集前及び後のゴムラテッ
クス体積平均粒子径(メヂアン径)がそれぞれ0.01
〜0.2μ及び0.2〜0.6μが好ましい。更に0.
05〜0.15μ及び0.2〜0.4μが特に好まし
い。
【0009】ゴムラテックスの製造に使用する乳化剤と
しては脂肪酸石鹸類のように弱酸強塩基型の塩からな
り、pHが7以下の酸性領域で乳化作用を失う界面活性
剤を用いることができる。例えば、ラウリン酸、オレイ
ン酸、ステアリン酸、混合脂肪酸、ロジン酸、不均化ロ
ジン酸などの1種又は2種以上の酸のナトリウム塩及び
/又はカリウム塩が挙げられる。特に好ましくはオレイ
ン酸のカリウム塩又はナトリウム塩、ロジン酸のカリウ
ム塩又はナトリウム塩が挙げられる。該界面活性剤の使
用量には何ら制限はないが、ゴムラテックスの重合安定
性、その後の凝集肥大化処理効率の面よりゴムラテック
ス固形分100重量部当たり1.0〜5.0重量部用い
るのが好ましい。
【0010】凝集肥大化に供する小粒子径ゴムラテック
スは、上述の界面活性剤を乳化剤として使用してなる公
知の乳化重合により得ることができる。その際、通常の
開始剤、分子量調整剤、電解質などの重合助剤を用いる
ことができる。例えば、開始剤としては、過硫酸カリウ
ム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫
酸塩や、t−ブチルヒドロキシペルオキシド、クメンヒ
ドロキシペルオキシドなどの有機過酸化物と還元剤成分
とを組み合わせたレドックス系などが挙げられ、また分
子量調整剤としては、メルカプタン類(t−ドデシルメ
ルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなど)やターピ
ノレン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられ、
さらに電解質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質や塩化ナト
リウム、硫酸カリウム、酢酸ナトリウム、硫酸ナトリウ
ム、燐酸カリウム、ピロリン酸4カリウムなどが挙げら
れ、それぞれ単独もしくは2種以上の混合使用が可能で
ある。さらに、重合温度についても制限はないが、50
〜80℃の範囲が好ましい。また、凝集肥大化に供する
小粒子径ゴムラテックスは上記の乳化重合にて得ること
ができるが、他の方法として、別途重合された固体のゴ
ム状重合体を、例えばホモジナイザー等を用い、その際
に上記の界面活性剤を用いて乳化することにより得るこ
とも可能である。
【0011】上述のゴムラテックスは、酸性物質と接触
することにより凝集肥大化されるが、該酸性物質として
は、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸や、硫酸水素ナトリウ
ム、リン酸二水素ナトリウム等の酸性塩類、及び蓚酸、
クエン酸、酢酸、蟻酸などの有機酸や無水酢酸等の酸無
水物のいずれでも使用でき、これらの2種以上の混合使
用も可能であるが、リン酸、硫酸、無水酢酸が好まし
い。酸性物質の使用量は、ゴムラテックスを酸性(pH
7以下)にするのに必要な量であればよいが、肥大化対
象ゴムラテックスの粒子径、乳化剤の種類や量ならびに
目標とする肥大化ゴムラテックスの粒子径などによって
適宜調整される。また、酸性物質は基本的に脱イオン水
で希釈され水溶液として添加される。その濃度には特に
制限はないが、凝集肥大化後のゴムラテックス固形分濃
度の極端な低下防止及び凝固物の発生や装置への付着防
止のため、0.3〜10重量%であることが好ましく、
0.5〜5.0重量%の範囲が特に好ましい。
【0012】また、酸性物質を添加する前に、必要に応
じゴムラテックスへ予め酸性で良好な界面活性能を有す
る界面活性剤を添加しておいてもよい。予め酸性で良好
な界面活性能を有する界面活性剤を添加することによ
り、凝集肥大化時のラテックスの粒子径制御が容易とな
る。酸性で良好な界面活性能を有する界面活性剤として
は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル
ナフタレンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニル
エーテルスルホン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム
などが挙げられる。またその添加量は、凝集肥大化に用
いられる酸性物質濃度およびゴムラテックスの種類、固
形分濃度などによって適宜調整できる。好ましい添加量
はゴムラテックス(固形分)100重量部当り0.3重
量部以下である。多過ぎるとその後の凝集肥大化現象を
阻害し、目的とする粒子径を有する肥大化粒子が得られ
なくなる。
【0013】また、凝集肥大化の後、ゴムラテックスに
塩基性物質を添加し、ゴムラテックスのpHを7以上、
好ましくは8〜11としておくことが、凝集肥大化ラテ
ックスの機械的安定性保持即ち凝固物の発生防止、なら
びにかかるゴムラテックスを用いたグラフト重合時のラ
テックスの安定性向上の面より好ましい。塩基性物質と
しては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどが挙げ
られ、それらは一種または二種以上用いることができ
る。また、塩基性物質は基本的に脱イオン水で希釈さ
れ、水溶液として添加される。その濃度には特に制限は
ないが、ゴムラテックスの固形分濃度の極端な低下防止
及び凝固物の発生や装置への付着防止のため、0.5〜
20重量%であることが好ましく、5〜15重量%の範
囲が特に好ましい。
【0014】本発明の重要なポイントは、ゴムラテック
スに酸性物質を添加し、ゴム粒子を凝集肥大化するに際
し、酸性物質の添加により非常に不安定になるゴムラテ
ックスに最小の混合力により酸性物質を均一に行き渡ら
せ、更に凝集工程が瞬時に完了する現象であるため、そ
の後直ちに塩基性物質を同じく非常に不安定なゴムラテ
ックスに最小の混合力により均一に行き渡らせる方法を
見いだした事である。
【0015】上記特公平2―9601号に記載された方
法では、撹拌槽を用いてリン酸をシャワー状又は霧状に
ラテックスの液面上に添加する事により、ゴムラテック
ス粒子を凝集肥大化する方法が提示されているが、撹拌
操作によりゴム粒子が破壊されるのを防止するため、酸
性物質及び塩基性物質を添加する間、撹拌機を停止した
状態に保っている。このような操作は実際の工業生産に
於いては、長時間を要するという問題点と大型の装置で
実施できないといった問題点を抱えている。
【0016】また特開平11−209405号に記載さ
れた方法では、撹拌槽を用いて酸性物質を液中へ直接供
給する事が提示されているが、不安定なゴムラテックス
粒子の撹拌翼の回転に伴うせん断破壊を防止するため、
撹拌翼先端の周速度を0.1〜0.5m/秒としてい
る。このように、低速度の回転で混ぜることが必要であ
り、そのため酸性物質及び塩基性物質は少量づつしか添
加出来ず、そのため処理に長時間要するといった問題点
と、長時間の撹拌のため凝固物の生成を防止することが
できないといった問題点を抱えている。
【0017】本発明はゴムラテックスを高低差により樋
状流路を流下させ、その途中に酸性物質を加え、その下
流に塩基性物質を加えることにより、凝固物の生成がな
く、小型で安価な装置にて連続的にゴムラテックス粒子
の凝集肥大化操作ができるものである。
【0018】また本発明ではゴムラテックスが流下する
過程で生じる僅かな液の乱れによる混合拡散作用によ
り、酸性物質及び塩基性物質を混合することを特長とす
るものである。上記高低差については特に制限はなく、
ゴムラテックス液が流れる高低差があればよく、常に高
い位置から、低い位置へ流れる必要はなく、途中で下流
部の一部がその上流部より高い位置関係にあってもよ
い。
【0019】ゴムラテックス液の流速については特に制
限はないが、その平均流速が0.005m/秒〜1m/
秒の範囲が好ましい。更にその平均流速が0.01m/
秒〜0.5m/秒の範囲が特に好ましい。0.005m
/秒以下では添加される酸性物質や塩基性物質の混合が
弱すぎるため、凝固物が生成する。1m/秒以上ではゴ
ムラテックス液に生じるせん断力が強すぎるため、酸性
物質や塩基性物質の添加時、凝固物が生成する。ここで
平均流速とは液流量(m/秒)を流路断面積(m
で除した値である。
【0020】添加する酸性物質及び塩基性物質は最小の
乱れ及び最短の時間でゴムラテックス液中へ均一に行き
渡らすことができることが好ましい。その為、酸性物質
及び塩基性物質を添加する点で、ゴムラテックス液の液
深さは一様であることが望ましい。ここで液深さが一様
とは流れ方向に直交する垂直な流路断面の形状が矩形で
あり、断面の底辺が水平であることを意味する(図1参
照)。この場合底面に微少の凹凸があってもよく、実質
的に一様な液深さであればよい。ここで、液深さについ
ては特に制限はないが、凝固物の生成がなく、処理能力
の点より1mm〜100mmである事が好ましい。更に1mm〜50
mmの範囲が特に好ましい。1mm以下では処理能力が低く
過ぎ、50mm以上では凝固物の発生や凝集されないゴムが
残る。
【0021】更に、酸性物質及び塩基性物質を最小の乱
れ及び最短の時間で、一様な液深のゴムラテックス液中
へ均一に行き渡らすことができるためには、酸性物質及
び塩基性物質をゴムラテックス液表面に一様に添加する
ことが望ましい。一様に添加する方法として、流れ方向
に直交する垂直な流路断面の形状が矩形であり、断面の
底辺が水平であるダクトをゴムラテックスダクトの上空
部に設置し、開放端よりラテックス液表面へ薄膜状に流
下させる方法(図2参照)、ゴムラテックスダクトの
上空部に設置したスプレイノズルによりラテックス液表
面へ噴霧する方法(図3参照)、ゴムラテックスダク
トの上空部に設置した多数の細孔を持った配管よりシャ
ワー状にラテックス液表面に添加する方法(図4参
照)等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。この場合、酸性物質を添加するダクト、スプレイノ
ズル、配管等の装置の添加口とゴムラテックス液との間
隔について特に制限はないが、塩基性物質を添加するダ
クト、スプレイノズル、配管等の装置の添加口とゴムラ
テックス液とは接していないことが望ましい。酸性物質
により不安定になったゴムラテックス液との接触で凝固
物が発生し添加口を閉塞するトラブルが生じるおそれが
ある。添加口とゴムラテックス液表面間の距離について
は特に制限はなく、添加設備の構造により最適な距離を
離せばよい。一般に1000mm以内が好ましい。更に500mm
以内が特に好ましい。離れ過ぎると添加液が与える衝突
による衝撃によりゴムラテックス粒子が破壊され、凝固
物が発生する。
【0022】酸性物質と塩基性物質の添加位置の相互関
係については、酸性物質の添加後、その下流にて塩基性
物質を添加すれば良く、特に制限はないが、通常30mm〜
10000mm離れている事が好ましい。近すぎると酸性物質
の未混合な状態で塩基性物質が添加され未凝集ゴムが残
り、離れすぎると、酸性物質添加後の不安定な状態が長
く続くために凝固物が発生する。
【0023】酸性物質や塩基性物質はゴムラテックス液
に添加した後、流れによる乱れにより混合されるが、適
切な乱れを発生させる装置を用いてもよい。乱れを発生
させる方法としてはゴムラテックスの樋状流路に段差を
つける方法(図5参照)や、ゴムラテックスの樋状流
路を上流から下流へJ字に湾曲させる方法(図6参
照)や、ゴムラテックスの樋状流路の底面に凸状の突起
物を設ける方法(図7参照)等があるが、この方法に
限定されるものではない。
【0024】〔実施例〕次に、本発明を実施例により詳
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。各種の物性の測定は、下記の方法に従っ
て行った。なお、部および%は重量に基づく。 1)固形分量の測定;重量(A)既知の約50mm径のア
ルミカップへ試料を約数g入れ、全体の重量(B)を計
る。(ラテックスの場合は、100メッシュ金網で濾過
後、計量する。)全体を150℃恒温乾燥器にて60分
乾燥する。乾燥後、試料をデシケータ中にて室温迄冷却
後、その重量(C)を秤量する。固形分量(%)を以下
の計算式により算出する。 固形分量(%)=(C−A)×100/(B―A) 2)凝固物量の測定;ラテックスサンプル約150g
(S)を精秤する。乾燥した重量(W)既知の100メ
ッシュ金網で上記ラテックスを濾過し、金網上の濾過残
滓を純水にて洗浄後、十分に水を切った後、全体を15
0℃恒温乾燥器にて30分乾燥する。乾燥後、試料をデ
シケータ中にて室温迄冷却後、その重量(V)を秤量す
る。凝固物量(%-Dry)を以下の計算式により算出す
る。 凝固物量(%-Dry)=((V−W)×100)/(S×
固形分量(%)/100) 3)体積平均粒子径(メヂアン径)の測定;堀場製作所
製粒度分布測定装置 LA−300で、透過率85〜9
5%、循環速度5,データ取り込み回数10回の条件に
て体積基準粒度分布を測定し、メヂアン径を求めた。
【0025】参考例1(小粒子径ゴムラテックスの製造) 耐圧容器に、1,3−ブタジエン93部、スチレン7
部、n−ドデシルメルカプタン0.5部、過硫酸カリウ
ム0.24部、ロジン酸ナトリウム1.5部、水酸化ナ
トリウム0.1部および脱イオン水150部を仕込み、
70℃で15時間反応させた後、冷却して反応を終了さ
せた。得られたラテックスは、固形分40%、pH1
1、体積平均粒子径(メヂアン径)が0.12μであ
り、100メッシュ金網でろ過した際の金網上の凝固物
量は0.01%-Dry以下であった。
【0026】実施例1:参考例1で得られた小粒子径ゴ
ムラテックス20kgを、25Aステンレス製配管と外
径12mmのステンレス製配管よりなる図8で示されるよう
な構造の装置を用いてゴムラテックスの凝集肥大化操作
を実施した。以下に各装置の仕様をまとめ記述する。 4;25Aステンレススチール配管 7,8;外径12mmのステンレススチール配管 D2;10mm、D3;10mm、D4;12cm T1;10度、T2;35度、T3;25度 ゴムラテックス液に対し、3%リン酸水溶液と10%KO
H水溶液を用い、表1記載の条件でゴムラテックスの凝
集肥大化操作を実施した。(1−1),(1−2)に表
示のごとく流速を変更して2回実施した。肥大化後のゴ
ムの体積平均粒子径(メヂアン径)及び凝固物量を測定
した結果を表1に併せ示す。僅かの未凝集ゴムが残った
ため体積平均粒子径(メヂアン径)は0.3μ以下であ
ったが、実使用上、問題となる量ではなかった。また一
連の実験終了後ゴムラテックス用配管の内壁を観察した
結果、付着は認められなかった。
【0027】実施例2:参考例1で得られた小粒子径ゴ
ムラテックス100kgを、図9で示されるようなゴム
ラッテクス用ダクト、酸性物質添加用ダクト及び塩基性
物質添加用ダクトからなる構造の装置を用いてゴムラテ
ックスの凝集肥大化操作を実施した。以下に各装置の仕
様をまとめ記述する。 4;W1=10cmとH1=4cmのステンレススチー
ル製ダクト 7;W2=10cmとH2=4cmのステンレススチー
ル製ダクト 8;W3=10cmとH3=4cmのステンレススチー
ル製ダクト D2;25mm、D3;25mm、D4;15cm T1;10度、T2;30度、T3;30度 ゴムラテックス液に対し、3%リン酸水溶液、10%KO
H水溶液を用い、表1記載の条件でゴムラテックスの凝
集肥大化操作を実施した(2−1),(2−2)に表示
のごとく流速を変更して2回実施した。結果を表1に併
せ示す。肥大化後のゴムラテックス液の固形分濃度は3
4%であった。肥大化後のゴムの体積平均粒子径(メヂ
アン径)は全て0.3μ以上であり目標のものが得られ
た。肥大化後のゴムラテックス中の凝固物量は全て0.
1%-Dry以下で良好であった。また一連の実験終了後ゴ
ムラテックス用ダクトへの付着を観察したが、底面、側
面共に付着は認められなかった。
【0028】実施例3:参考例1で得られた小粒子径ゴ
ムラテックス100kgを実施例2と同一の装置を用い
て処理を行った。ただし、ゴムラテックス液に対し、
0.75%硫酸水溶液、13%KOH水溶液を用い処理を
行った。処理条件と結果を表1に示す(3−1),(3
−2)に表示のごとく流速を変更して2回実施した。肥
大化後のゴムラテックス液の固形分濃度は30%であっ
た。また実験終了後、ゴムラテックス用ダクトの底面、
側面共に付着は認められなかった。
【0029】実施例4:参考例1で得られた小粒子径ゴ
ムラテックス100kgを用い、ゴムラテックス液に対
し、3%リン酸水溶液、10%KOH水溶液を用い、実施
例2の構造のゴムラッテクス用ダクトを用い、酸性物質
添加用及び塩基性物質添加用に図4に表示の構造の細孔
よりシャワー状に添加する方法にて肥大化処理を行っ
た。酸性物質添加口及び塩基性物質添加口とゴムラテッ
クス液面との距離(D2及びD3)は共に10cmであ
る。また酸性物質添加点と塩基性物質添加点の距離は3
0cm離れている。酸性物質添加用装置は25Aのステ
ンレススチール製配管に直径3mmの細孔を10mmの
等間隔で9個開けた構造の装置である。又塩基性物質添
加用装置は25Aのステンレススチール製配管に直径2
mmの細孔を10mmの等間隔で9個開けた構造の装置
である。処理条件並びに結果を表1に示す(4−1),
(4−2)に表示のごとく流速を変更して2回実施し
た。凝固物量は全て0.1%-Dry以下で良好であった。また
一連の実験終了後ゴムラテックス用ダクトへの付着を観
察したが、底面、側面共に付着は認められなかった。
【0030】実施例5:参考例1で得られた小粒子径ゴ
ムラテックス100kgを用い、ゴムラテックス液に対
し、3%リン酸水溶液、10%KOH水溶液を用い、次の
点以外は実施例2と同一の装置を用いて処理を行った。
相違点は酸性物質添加後及び塩基性物質添加後共に添加
点から70mm下流に図.7に記載のごとく流れに直交
する面で1列に半径5mmの半球型の突起物を20mm
間隔で5個備えた構造のゴムラテックス用ダクトを用い
処理を行った。この場合の処理条件と結果を表1に示
す。凝固物量は全て0.1%-Dry以下で良好であった。また
一連の実験終了後ゴムラテックス用ダクトへの付着を観
察したが、底面、側面共に付着は認められなかった
【0031】実施例6:参考例1で得られた小粒子径ゴ
ムラテックス250部にドテシルベンゼンスルホン酸ナ
トリウムの10%水溶液0.3部を添加し、十分に撹拌
混合した。このラテックス100kgを用い、ゴムラテッ
クス液に対し、3%リン酸水溶液、10%KOH水溶液を
用い、実施例2と同一の装置を用いて凝集肥大化処理を
行った。各処理条件と結果を表1に示す(6−1),
(6−2)に表示のごとく流速を変更して2回実施し
た。ドテシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの効果で凝
固物の発生が抑えられた。また、実験の終了後ゴムラテ
ックス用ダクトへの付着状況を観察したが、底面、側面
共に付着は認められなかった。
【0032】比較例1:参考例1で得られた小粒子径ゴ
ムラテックスを用いて撹拌槽によるゴム粒子の凝集肥大
化処理を行った。槽径が100mmの撹拌槽を用い、幅
6mmのバッフル4枚を備え、羽根径50mm、羽根幅
15mmの1段4枚平パドル翼を、槽底から30mmの
高さに設置した。本撹拌槽に上記小粒子径ゴムラテック
ス750gを入れ、200rpmの速さで撹拌しなが
ら、液表面へゆっくりと3%燐酸水溶液90gを添加
し、その後引き続いて10%KOH水溶液18gを添加し
た。全添加時間には3分かかった。得られたゴム粒子の
体積平均粒子径(メヂアン径)は0.32μであった。
しかし、2.3%-Dryの凝固物が発生した。
【0033】比較例2:比較例1と同様の実験を羽根回
転数を100rpmに変えて行った。得られたゴム粒子
の体積平均粒子径(メヂアン径)は0.31μであっ
た。凝固物量は0.9%-Dryであった。
【0034】比較例3:比較例1と同様の実験を撹拌翼
を停止した状態で実施した。2分間かけ、ゆっくりと3
%燐酸水溶液90gを液表面へシャワー状に添加し、5
分放置後、10%KOH水溶液18gを1分かけ同様に液
表面へシャワー状に添加した。その後50rpmで撹拌
を開始した。しかし多量の凝固物が生成し、正常なゴム
凝集体を得ることができなかった。
【0035】比較例4:比較例1と同一の撹拌槽及び撹
拌条件にて、参考例1で得られた小粒子径ゴムラテック
ス750gに0.75%硫酸水溶液216g並びに13
%KOH水溶液27gの条件で凝集実験を行った。しか
し、0.75%硫酸水溶液添加中に多量の凝固物が発生
し、実験を中止した。正常なゴム凝集体を得ることがで
きなかった。
【0036】
【表1】
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、本発明は、凝固物の発生
や装置への付着を防止しつつ、かつ連続的にゴムラテッ
クス粒子を凝集肥大化する方法を提供することができも
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樋状流路の一例を示す図である。
【図2】本発明の樋状流路における酸性物質又は塩基性
物質の添加装置とその地点の一例を示す図である。
【図3】本発明の樋状流路における酸性物質又は塩基性
物質の添加装置とその地点の一例を示す図である。
【図4】本発明の樋状流路における酸性物質又は塩基性
物質の添加装置とその地点の一例を示す図である。
【図5】本発明の樋状流路における段差を設けるための
形状の一例を示す模式図である。
【図6】本発明の樋状流路における段差を設けるための
形状の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の樋状流路における段差を設けるための
形状の一例を示す模式図である。
【図8】実施例1の樋状流路を示す断面図と酸性物質並
びに塩基性物質の添加装置を示す図である。
【図9】実施例2の樋状流路と酸性物質の添加装置と塩
基性物質の添加装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ; ゴムラテックス液 2 ; 酸性物質 3 ; 塩基性物質 4 ; ゴムラテックスの樋状流路 5 ; 流れ方向に直交する垂直な流路断面 6 ; 流れ方向に直交する垂直な流路断面の底辺 7 ; 酸性物質添加用設備又はダクト 8 ; 塩基性物質添加用設備又はダクト 9 ; 酸性物質又は塩基性物質添加用スプレイノズル 10 ; 酸性物質又は塩基性物質添加用の細孔を有する
配管 D1 ; ラテックスの液深さ D2 ; 酸性物質添加口とゴムラテックス液面との距離 D3 ; 塩基性物質添加口とゴムラテックス液面との距
離 D4 ; 酸性物質添加点と塩基性物質添加点の流路間隔 W1 ; ゴムラテックス液ダクトの幅 W2 ; 酸性物質添加用ダクトの幅 W3 ; 塩基性物質添加用ダクトの幅 H1 ; ゴムラテックス液ダクトの高さ H2 ; 酸性物質添加用ダクトの高さ H3 ; 塩基性物質添加用ダクトの高さ T1 ; ゴムラテックス用樋状流路又はダクトの水平面
との傾斜角(度) T2 ; 酸性物質添加用ダクトの水平面との傾斜角
(度) T3 ; 塩基性物質添加用ダクトの水平面との傾斜角
(度)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保 建二 大阪府泉大津市本町1番25号 (72)発明者 目瀬 央欣 大阪府東大阪市長田3丁目9番21号 株式 会社フジキン内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゴムラテックスに酸性物質を加え、ラテッ
    クスのpHを7より低くして、ラテックスの粒子を凝集
    肥大化させた後、塩基性物質を加え、ラテックスのpH
    を7より高くして安定な凝集肥大化したラテックスを得
    るにあたり、高低差により樋状流路を流下するゴムラテ
    ックスに酸性物質を加え、その下流にて塩基性物質を加
    えることを特徴とするゴムラテックス粒子の連続凝集肥
    大化方法。
  2. 【請求項2】高低差により樋状流路を流下するゴムラテ
    ックスの平均流速が0.01m/秒以上、0.5m/秒
    以下である請求項1記載のゴムラテックス粒子の連続凝
    集肥大化方法。
  3. 【請求項3】酸性物質を添加する地点並びに塩基性物質
    を添加する地点で、ゴムラテックスの流れ方向に直交す
    る垂直な流路断面の形状が矩形であるダクトを用い、そ
    の断面の底辺を水平に設置することによりゴムラテック
    スの液深さを一様に保つと共に、酸性物質及び塩基性物
    質を、前記ゴムラテックスダクトの上空部に設置した流
    れ方向に直交する垂直な流路断面の形状が矩形であり、
    その断面の底辺が水平となるように設置したダクトを用
    い、その開放端よりラテックス液表面へ薄膜状に流下さ
    せる方法、前記ゴムラテックスダクトの上空部に設置
    したスプレイノズルによりラテックス液表面へ噴霧する
    方法、前記ゴムラテックスダクトの上空部に設置した
    多数の細孔を持った配管よりシャワー状にラテックス液
    表面に添加する方法等により、ラテックス液表面に一
    様に添加する請求項1又は2何れかに記載のゴムラテッ
    クス粒子の連続凝集肥大化方法。
  4. 【請求項4】酸性物質を添加した後及び/又は塩基性物
    質を添加した後、ゴムラテックスの樋状流路に段差を設
    ける方法、該流路を上流から下流へJ字に湾曲させる
    方法、該流路の底面に凸状の突起物を設ける方法等
    により、ゴムラテックスの流れに乱れを生じさせ混合す
    ることを特徴とする請求項1、2又は3何れかに記載の
    ゴムラテックス粒子の連続凝集肥大化方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7182978B2 (en) * 2000-04-28 2007-02-27 Basf Aktiengesellschaft Method and device for the prevention of wall adherences in shafts on the introduction of particles

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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