JP2003201684A - インクジェット捺染方法及びインクジェット捺染用インクセット - Google Patents

インクジェット捺染方法及びインクジェット捺染用インクセット

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JP2003201684A
JP2003201684A JP2001395387A JP2001395387A JP2003201684A JP 2003201684 A JP2003201684 A JP 2003201684A JP 2001395387 A JP2001395387 A JP 2001395387A JP 2001395387 A JP2001395387 A JP 2001395387A JP 2003201684 A JP2003201684 A JP 2003201684A
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yellow
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cloth
yellow ink
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JP2001395387A
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Hirokazu Yanagihara
弘和 柳原
Makoto Taniguchi
谷口  誠
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イエロー系の色相範囲において、L
の三次元的に色再現範囲が拡大された印捺物の提供が
可能なインクジェット捺染方法及びインクセットを提供
すること。 【解決手段】 ポリアミド系繊維からなる布帛上に、イ
ンクジェット方式にてイエロー系の色相を再現する場合
において、前記布帛上での色相範囲〔L,a,b
色系〕において定義される明度Lが異なる2種類のイ
エローインク1及びイエローインク2と、グレーインク
とを用意し、該インク1の明度Lを該インク2の明度
よりも大とし、前記布帛上で再現しようとする明度
が、前記イエローインク2の明度Lよりも高い場
合は、前記インク1と該インク2とを該布帛上で重ね合
わせて、所望の明度Lを有する2次色を形成し、前記
布帛上で再現しようとする明度Lが、前記インク2の
明度Lよりも低い場合は、該インク2と前記グレーイ
ンクとを該布帛上で重ね合わせて、所望の明度Lを有
する2次色を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絹、羊毛、ナイロ
ン繊維等のポリアミド系繊維からなる布帛にインクジェ
ット方式にて捺染するインクジェット捺染方法及びそれ
に用いるインクセットに関し、特に、イエロー系の色相
範囲において、L***の三次元的に色再現範囲が拡
大された印捺物の提供が可能なインクジェット捺染方法
及びインクジェット捺染用インクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】各種繊維からなる織布、不織布等の布帛
に対する文字及び/又は画像の捺染方法としては、スク
リーン捺染法、ローラー捺染法等が一般的であるが、こ
れらの捺染方法は、図柄毎にトレースや製版等の煩雑な
作業を要するため、低コスト化が難しく、少量他品種生
産には不向きであった。従来の捺染方法のこのような欠
点を解消すべく、図柄見本をスキャナー等の画像入力デ
バイスで読み取り、コンピュータで画像処理を行い、得
られた画像情報に基づき布帛に対してインクジェット記
録方式により印捺を行う方法(インクジェット捺染)が
提案され、実用化されている。このインクジェット記録
方式は、インクの液滴を飛翔させ、該液滴を被記録材に
付着させて印刷を行う記録方式であり、高画質のフルカ
ラー画像が容易に得られる等の利点により、特に被記録
材として紙等を用いる印刷分野で広く普及している。
【0003】また、インクジェット捺染の分野におい
て、高画質の印捺物を得るための技術は数多く提案され
ており、例えば、特開平7−3666号公報には、色再
現範囲が広く鮮明な画像が得られるインクジェット捺染
方法として、布帛上での(CIE1976)L***
色空間において定義される知覚色度指数a*及びb*が特
定の範囲にある染料を用いる方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】これまで提案されてき
た色再現範囲の拡大に関する技術のほとんどは、CIE
***色空間のa**平面上での拡大(二次元的な
拡大)に関するもので、明度L*も含めた三次元的な拡
大を達成し得る技術は未だ提供されていない。
【0005】従って、本発明の目的は、特にイエロー系
の色相範囲において、L***の三次元的に色再現範
囲が拡大された印捺物の提供が可能なインクジェット捺
染方法及びインクセットを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ポリアミ
ド系繊維からなる布帛上にイエロー系の色相を再現する
場合について種々検討した結果、明度L*が異なる2種
類のイエローインク及びグレーインクを用い、所望の明
度L*と、明度L*が低い方のイエローインクの該明度L
*との大小関係に基づいて印字制御を行うことにより、
単に、イエローインクとグレーインク(あるいはブラッ
クインク)1種類ずつを用いて所望の明度L*を得る従
来の方法に比して、明度の再現可能範囲が拡大され、且
つ同じ明度でより彩度の高い印捺物が得られることを知
見した。
【0007】本発明は、前記知見に基づきなされたもの
で、ポリアミド系繊維からなる布帛上に、インクジェッ
ト方式にてイエロー系の色相を再現する場合において、
前記布帛上での色相範囲〔L*,a*,b*表色系〕におい
て定義される明度L*が異なる2種類のイエローインク
1及びイエローインク2と、グレーインクとを用意し、
該イエローインク1の明度L*を該イエローインク2の
明度L*よりも大とし、前記布帛上で再現しようとする
明度L*が、前記イエローインク2の明度L*よりも高い
場合は、前記イエローインク1と該イエローインク2と
を該布帛上で重ね合わせて、所望の明度L*を有する2
次色を形成し、前記布帛上で再現しようとする明度L*
が、前記イエローインク2の明度L*よりも低い場合
は、該イエローインク2と前記グレーインクとを該布帛
上で重ね合わせて、所望の明度L*を有する2次色を形
成するインクジェット捺染方法を提供することにより前
記目的を達成したものである。
【0008】また、本発明は、前記インクジェット捺染
方法に用いられるインクセットであって、少なくとも前
記イエローインク1、前記イエローインク2及び前記グ
レーインクを備え、これらのインクは、それぞれ、前記
布帛上での色相範囲〔L*,a *,b*表色系〕において定
義される明度L*並びに知覚色度指数a*及びb*がそれ
ぞれ下記の範囲にあるインクジェット捺染用インクセッ
トを提供するものである。 イエローインク1:(L*)80〜90 (a*)−10〜10 (b*) 60〜100 イエローインク2:(L*)70〜80 (a*)0〜30 (b*)60 〜90 グレーインク:(L*)25〜40 (a*)−10〜10 (b*)−1 0〜10
【0009】尚、前記色相範囲は、ポリアミド系繊維
(絹、羊毛、ナイロン繊維)からなる布帛に、インクジ
ェット方式にて各インクを単色で打ち込み、着色剤(染
料)を該布帛上に固着せしめたときのその固着部分(着
色部分)の色相範囲を意味する。ここで、布帛は後述す
る前処理を行い、また、印字後に後述する染料固着処理
を行うものとする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明のインクジェット捺
染方法について、それに用いる本発明のインクセットと
共に、好ましい実施形態を挙げて説明する。
【0011】先ず、本発明のインクセットについて説明
する。本発明に係るイエローインク1のL*は、80〜
90の範囲内にあることを要する。80未満では十分な
明るさが得難くなり、90超は、既存の染料ではインク
ジェット特性を満たしたインク組成物を提供できない。
また、イエローインク1のa*は、−10〜10の範囲
内にあることを要する。−10未満では緑みが強くなり
過ぎ、10超では赤みが強くなり過ぎる。更に、イエロ
ーインク1のb *は、60〜100の範囲内にあること
を要する。60未満では発色が不足し、100超は、既
存の染料ではインクジェット特性を満たしたインク組成
物を提供できない。
【0012】本発明に係るイエローインク2のL*は、
70〜80の範囲内にあることを要する。70未満では
十分な明るさが得難くなり、80超では、目的とするL
*が低い場合に高い彩度が得難くなる。また、イエロー
インク2のa*は、0〜30の範囲内にあることを要す
る。0未満では緑みが強くなり過ぎ、30超では赤みが
強くなり過ぎる。更に、イエローインク2のb*は、6
0〜90の範囲内にあることを要する。60未満では発
色が不足し、90超は、既存の染料ではインクジェット
特性を満たしたインク組成物を提供できない。
【0013】本発明に係るグレーインクのL*は、25
〜40の範囲内にあることを要する。25未満ではL*
の微妙な調節が難しくなり、40超では、低いL*が得
難くなる。また、グレーインクのa*は、−10〜10
の範囲内にあることを要する。a*が該範囲外である
と、イエローの色目に影響を与えるおそれがある。更
に、グレーインクのb*は、−10〜10の範囲内にあ
ることを要する。b*が該範囲外であると、イエローの
色目に影響を与えるおそれがある。
【0014】本発明では、イエローインク1の明度L*
をイエローインク2の明度L*よりも大としてある。イ
エローインク1の明度L*とイエローインク2の明度L*
との差は、3以上であることが好ましく、5以上である
ことが更に好ましい。両インクの明度L*の差が3未満
では、実質上、明度L*の異なる2種類のイエローイン
クを備えていないことになるため、後述する本発明のイ
ンクジェット捺染方法に適さないおそれがある。
【0015】本発明に係る前記各インク(イエローイン
ク1、イエローインク2、グレーインク)に用いる着色
剤(染料)としては、前記色相範囲がそれぞれ前記範囲
内に入るようなものであれば特に限定されないが、イン
クジェット適性、インクの保存安定性、色相等の観点か
ら、特に好ましいものとして以下のものが例示できる。
尚、複数の着色剤が挙げてあるインクについては、複数
の着色剤のうちの1種を単独で用いてもよく、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
【0016】イエローインク1:C.I.アシッドイエ
ロー38,42,61,79,110 イエローインク2:C.I.アシッドイエロー207,
C.I.アシッドオレンジ67 グレーインク:C.I.アシッドブラック52
【0017】また、これらの着色剤(染料)の使用量
(インク全重量に対する重量%)は、各インクのL
*値、a*値、b*値をそれぞれ前記範囲内とする観点か
ら、下記のようにすることが好ましい。 C.I.アシッドイエロー38,61,79,110,
207: 5〜8重量% C.I.アシッドイエロー42: 2〜5重量% C.I.アシッドオレンジ67: 4〜6重量% C.I.アシッドブラック52: 1〜3重量%
【0018】本発明に係る前記各インクには、インクジ
ェットプリンタの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性
を向上させる観点から、保湿剤を含有させることが好ま
しい。保湿剤としては、例えば、グリセリン、エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリ
コール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオ
ール、1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオ
ール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリス
リトール等のポリオール類及びそのエーテル、エステル
等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリ
ドン、ε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ
尿素、エチレン尿素、1,3−ジメチルイミダゾリジノ
ン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコ
ノラクトン、マルトース等の糖類等が挙げられ、これら
の1種又は2種以上が用いられる。前記保湿剤の前記各
インク中における含有量は、インク全重量に対して4〜
40重量%が好ましい。
【0019】また、本発明に係る前記各インクには、布
帛への濡れ性を高めてインクの浸透性を高める観点か
ら、浸透剤として、有機溶剤を含有させることが好まし
い。有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノ
ール等の低級アルコール類;エチレングリコールモノメ
チルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル
等のセロソルブ類;ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等の
カルビトール類;エチレングリコールモノ−n−ブチル
エーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテ
ル、トリエチレングリコ−ル−n−ブチルエーテル等の
グリコールエーテル類等が挙げられ、これらの1種又は
2種以上が用いられる。前記有機溶剤(浸透剤)の前記
各インク中における含有量は、インク全重量に対して2
〜15重量%が好ましい。
【0020】また、同様の観点から、本発明に係る前記
各インクには、浸透剤として、界面活性剤を含有させる
ことが好ましい。界面活性剤としては、例えば、脂肪酸
塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活
性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界
面活性剤;サーフィノール61、82、104、44
0、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ
・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル
系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面
活性剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用い
られる。前記界面活性剤(浸透剤)の前記各インク中に
おける含有量は、インク全重量に対して0.2〜2重量
%が好ましい。
【0021】本発明に係る前記各インクには、上述した
ように、着色剤(染料)を含有させ、必要に応じて、保
湿剤及び浸透剤を含有させ、バランスとして水を含有さ
せる。水は、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸
留水等の純水又は超純水を用いることが好ましい。特
に、これらの水を、紫外線照射又は過酸化水素添加等に
より滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリ
アの発生が防止されるので好ましい。
【0022】本発明に係る前記各インクには、更に必要
に応じて、防黴剤・防腐剤、酸化防止剤・紫外線吸収
剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤、溶解助剤
等、この種のインクにおいて通常用いられる各種添加剤
の1種又は2種以上を含有させることができる。
【0023】本発明に係る前記各インクは、印字品質と
インクジェット記録用インクとしての信頼性とのバラン
スの観点から、表面張力が25〜40mN/mであるこ
とが好ましく、28〜35mN/mであることが更に好
ましい。また、同様の観点から、本発明に係る前記各イ
ンクの20℃における粘度は、1.5〜8mPa・sで
あることが好ましく、2〜6mPa・sであることが更
に好ましい。表面張力及び粘度を上記範囲内とするに
は、着色剤の濃度を調整する方法や、保湿剤や浸透剤の
種類、添加量等を調整する方法等を採ればよい。
【0024】本発明のインクセットは、少なくとも、前
記イエローインク1、前記イエローインク2及び前記グ
レーインクの3種のインクを備えていればよく、これら
以外の他のインクとして、マゼンタ、シアン、ブラッ
ク、ライトシアン、ライトマゼンタ等のインクを備えて
いてもよく、その種類や数は特に制限されない。これら
他のインクの組成及び特性については、上記の説明が適
用される。
【0025】本発明のインクセットは、通常、インクセ
ットを構成するインクを内部に一体的に収納したインク
カートリッジとして用いられる。インクカートリッジの
型式は特に制限されず、本発明のインクセットは、如何
なる型式のインクカートリッジにも適用可能である。
【0026】次に、本発明のインクジェット捺染方法に
ついて説明する。本発明のインクジェット捺染方法は、
ポリアミド系繊維からなる布帛上に、インクジェット方
式にてイエロー系の色相を再現する場合の印字制御に関
するものである。イエロー系の色相以外の色相を再現す
る場合の印字制御は、通常のインクジェット記録におけ
るものと同様である。
【0027】本発明のインクジェット捺染方法を実施す
るには、前記色相範囲において定義される明度L*が異
なる2種類のイエローインク1及びイエローインク2
と、グレーインクとを用意し、該イエローインク1の明
度L*を該イエローインク2の明度L*よりも大とする必
要がある。前記の本発明のインクセットは、これらの要
件を全て満たしており、本発明のインクジェット捺染方
法に最適なインクセットである。
【0028】そして、本発明のインクジェット捺染方法
では、好ましくは前記の本発明のインクセットを用い、
前記布帛上で再現しようとする明度L*が、前記イエロ
ーインク2の明度L*よりも高い場合は、前記イエロー
インク1と該イエローインク2とを該布帛上で重ね合わ
せて、所望の明度L*を有する2次色を形成し、前記布
帛上で再現しようとする明度L*が、前記イエローイン
ク2の明度L*よりも低い場合は、該イエローインク2
と前記グレーインクとを該布帛上で重ね合わせて、所望
の明度L*を有する2次色を形成する。このように、イ
エロー系の色相を再現する場合において、明度L*が異
なる2種類のイエローインク及びグレーインクを用い、
所望の明度L*とイエローインク2(明度L*が低い方)
の明度L*との大小関係に基づいて使用するインクを決
定し、それらのインクで所望のL*を有する2次色を形
成することにより、単に、イエローインクとグレーイン
ク(あるいはブラックインク)1種類ずつを用いて所望
の明度L*を有する2次色を形成する従来の方法に比し
て、明度の再現可能範囲が拡大され、且つ同じ明度でよ
り彩度の高い印捺物を得ることができる。即ち、本発明
のインクジェット捺染方法によれば、イエロー系の色相
範囲において、L***の三次元的に色再現範囲が拡
大された印捺物を提供することができる。
【0029】尚、本発明で再現できるイエロー系の色相
の明度L*の上限は、前記イエローインク1の明度L*
であり、再現しようとする明度L*が該明度L*値と同じ
場合は、該イエローインク1を単色で打ち込む。また、
再現しようとする明度L*が、前記イエローインク2の
明度L*と同じ場合は、該イエローインク2を単色で打
ち込む。
【0030】上述した本発明に係る印字制御は、インク
ジェットプリンタのプリンタドライバを適宜プログラミ
ングすることで実行できる。尚、インクジェットプリン
タには、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録
を行う圧電素子記録方式を採用したものや、記録ヘッド
に配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネル
ギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方式を採用した
もの等があるが、本発明のインクジェット捺染方法は何
れの方式のものでも適用できる。
【0031】本発明のインクジェット捺染方法において
は、通常のインクジェット捺染と同様に、捺染する前
に、予め布帛を前処理しておくことが好ましい。布帛の
前処理は、前処理剤中に布帛を浸積したり、あるいは布
帛に前処理剤を塗布又は噴霧するなどして布帛に前処理
剤を付着させた後、乾燥することにより行うことができ
る。
【0032】前記前処理剤としては、水溶性高分子等の
糊剤を0.01〜20重量%含有させたものを用いるこ
とができる。糊剤としては、例えば、トウモロコシ、小
麦等のデンプン物質;カルボキシメチルセルロース、ヒ
ドロキシメチルセルロース等のセルロース系物質;アル
ギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガ
ム、トラントガム、グアーガム、タマリンド種子等の多
糖類;ゼラチン、カゼイン等のタンパク質;タンニン;
リグニン等の天然水溶性高分子や、ポリビニルアルコー
ル系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリ
ル酸系化合物、無水マレイン酸系化合物等の合成の水溶
性高分子が挙げられる。前記前処理剤には、必要に応じ
て、尿素、チオ尿素等の保湿剤、pH調整剤、還元防止
剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、消泡剤等の各種添加剤
を含有させることもできる。
【0033】また、本発明のインクジェット捺染方法に
おいては、インクジェット方式による印字が終了した後
に、布帛に対して染料固着処理を行う。染料固着処理に
は、常圧スチーム法、高圧スチーム法、サーモフィック
ス法等があるが、特に制限されない。染料固着処理後
は、常法通り、布帛を水洗し乾燥する。必要に応じソー
ピング処理(未固着の染料を熱石鹸液等で洗い落とす処
理)をしてもよい。
【0034】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例により何
等制限されるものではない。
【0035】〔実施例〕前記イエローインク1として5
種類のインク(Y1A〜Y1E)、前記イエローインク
2として2種類のインク(Y2A,Y2B)、及び前記
グレーインクとして1種類のインクGをそれぞれ調製し
た。そして、インクジェットプリンタ(商品名「PM−
900C」、セイコーエプソン(株)製)を用いて、予
め前処理された3種類の布帛〔絹布帛、ナイロン布帛、
ウール(羊毛)布帛〕それぞれに、上記各インクを単色
で打ち込んで各色のベタパターンを印字し、印刷済み布
帛を得た。尚、印刷中にノズルの目詰まり等の不具合を
起こすことはなく、安定した印刷を行うことが出来た。
上記前処理は、下記のようにして調製した前処理剤を、
ピックアップ率90%で各布帛に塗布し、120℃で2
分間乾燥させることにより行った。
【0036】絹布帛用前処理剤:水に、尿素150g/l、ア
ルギン糊250g/l及び酒石酸アンモニウム50g/lを溶解さ
せて調製。 ナイロン布帛用、ウール布帛用前処理剤:水に、尿素10
0g/l、硫酸アンモニウム20g/l及びグアーガム250g/lを
溶解させて調製。
【0037】このようにして得られた印刷済み布帛に対
して、温度102℃(ナイロン布帛は100℃)、湿度
100%、処理時間30分でスチーミング処理(染料固
着処理)を行った後、更に、水洗、ソーピング処理、水
洗を順次行い、アイロンを用いて乾燥させて、印捺物を
得た。この印捺物の各色ベタパターンを、マクベス分光
光度計M−2020型を用いて測色し、色相範囲〔L*,
*,b*表色系〕において定義される明度L*並びに知覚
色度指数a*及びb*をそれぞれ求めた。これらの数値
を、各インクの組成と共に下記表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】〈イエロー系の色相の再現〉予め前処理さ
れた前記各種布帛それぞれに、前記Y1Eインク(イエ
ローインク1)及び前記Y2Aインク(イエローインク
2)を打ち込み比率1:1でそれぞれ打ち込んで2次色
のベタパターンを印字し、印刷済み布帛を得た。これら
の印刷済み布帛に対して、前記と同様の手順でスチーミ
ング処理等を行い、印捺物を得た。この印捺物の各色ベ
タパターンを前記と同様の方法で測色し、L*、a*、b
*をそれぞれ求めた。これらの数値を下記表2に示す。
また、前記Y2Aインク(イエローインク2)及び前記
Gインク(グレーインク)を用い、両インクの打ち込み
比率を適宜変化させた以外は、上記と同様の手順で印捺
物を得、この印捺物の各色ベタパターンについての
*、a*、b*をそれぞれ求めた。これらの数値を下記
表3に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】〔比較例〕前記Y1Eインク(イエローイ
ンク1)と前記Gインク(グレーインク)とを用い、両
インクの打ち込み比率を適宜変化させて、前記と同様の
手順で印捺物を得、この印捺物の各色ベタパターンにつ
いてのL*、a*、b*をそれぞれ求めた。これらの数値
を下記表4に示す。
【0043】
【表4】
【0044】図1は、絹布帛上にイエロー系の色相を再
現した場合のL*とb*との関係を示すグラフである。図
1中、実線は、実施例の印字制御で得られるイエローの
特性を示すものである。一方、点線は、比較例の印字制
御で得られるイエローの特性を示すものである。図1か
ら、実施例の印字制御によれば、比較例に比して、再現
可能な明度L*の範囲が広く(実線の方が点線より横の
広がりが大きい)、且つ同じ明度L*において常に高い
*が得られる(実線が点線より常に上に位置する)こ
とがわかる。即ち、本発明のインクジェット捺染方法に
よれば、イエロー系の色相範囲において、L***
三次元的に色再現範囲が拡大された印捺物を提供するこ
とができる。尚、ここでは、表1に挙げた複数のイエロ
ーインクのうち、イエローインク1としてY1Eインク
を、イエローインク2としてY2Aインクを用いたイン
クジェット捺染方法の有効性を示しているが、表1中の
他のイエローインクを用いた場合でも、同様の効果が得
られることを確認している。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、イエロー系の色相範囲
において、L***の三次元的に色再現範囲が拡大さ
れた印捺物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】絹布帛上にイエロー系の色相を再現した場合の
*とb*との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA11 ED07 EE03 EE09 EE18 FB03 FC02 4H057 AA02 DA01 DA34 EA02 GA06 4J039 BC07 BC09 BC10 BC11 BC12 BC20 BC37 BE01 BE02 BE12 BE22 BE33 CA03 EA17 EA29 GA24

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド系繊維からなる布帛上に、イ
    ンクジェット方式にてイエロー系の色相を再現する場合
    において、 前記布帛上での色相範囲〔L*,a*,b*表色系〕におい
    て定義される明度L*が異なる2種類のイエローインク
    1及びイエローインク2と、グレーインクとを用意し、
    該イエローインク1の明度L*を該イエローインク2の
    明度L*よりも大とし、 前記布帛上で再現しようとする明度L*が、前記イエロ
    ーインク2の明度L*よりも高い場合は、前記イエロー
    インク1と該イエローインク2とを該布帛上で重ね合わ
    せて、所望の明度L*を有する2次色を形成し、 前記布帛上で再現しようとする明度L*が、前記イエロ
    ーインク2の明度L*よりも低い場合は、該イエローイ
    ンク2と前記グレーインクとを該布帛上で重ね合わせ
    て、所望の明度L*を有する2次色を形成するインクジ
    ェット捺染方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェット捺染方法
    に用いられるインクセットであって、少なくとも前記イ
    エローインク1、前記イエローインク2及び前記グレー
    インクを備え、これらのインクは、それぞれ、前記布帛
    上での色相範囲〔L*,a*,b*表色系〕において定義さ
    れる明度L*並びに知覚色度指数a*及びb*がそれぞれ
    下記の範囲にあるインクジェット捺染用インクセット。 イエローインク1:(L*)80〜90 (a*)−10〜10 (b*) 60〜100 イエローインク2:(L*)70〜80 (a*)0〜30 (b*)60 〜90 グレーインク:(L*)25〜40 (a*)−10〜10 (b*)−1 0〜10
  3. 【請求項3】 前記イエローインク1の明度L*と前記
    イエローインク2の明度L*との差が3以上である請求
    項2記載のインクジェット捺染用インクセット。
  4. 【請求項4】 前記イエローインク1が、着色剤として
    C.I.アシッドイエロー38,42,61,79及び
    110の少なくとも1種を含有し、 前記イエローインク2が、着色剤としてC.I.アシッ
    ドイエロー207及びC.I.アシッドオレンジ67の
    少なくとも1種を含有し、 前記グレーインクが、着色剤としてC.I.アシッドブ
    ラック52を含有する請求項2又は3記載のインクジェ
    ット捺染用インクセット。
  5. 【請求項5】 前記各インクが、それぞれ、保湿剤、浸
    透剤及び水を含有する請求項2〜4の何れかに記載のイ
    ンクジェット捺染用インクセット。
  6. 【請求項6】 前記各インクが、それぞれ、前記保湿剤
    を4〜40重量%並びに前記浸透剤として有機溶剤を2
    〜15重量%及び界面活性剤を0.2〜2重量%含有す
    る請求項5記載のインクジェット捺染用インクセット。
  7. 【請求項7】 請求項2〜6の何れかに記載のインクセ
    ットを構成するインクを内部に収納したインクカートリ
    ッジ。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のインクジェット捺染方法
    により捺染された印捺物。
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JP2014185259A (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Tokai Senko Kk インクジェット捺染用インクセット及びインクジェット捺染方法
JP5996096B2 (ja) * 2013-03-28 2016-09-21 富士フイルム株式会社 着色組成物、捺染方法、布帛、板材、及びテトラアザポルフィリン系化合物

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JPWO2014156496A1 (ja) * 2013-03-28 2017-02-16 富士フイルム株式会社 着色組成物、捺染方法、布帛、板材、及びテトラアザポルフィリン系化合物

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