JP2010215711A - インクジェット捺染用インク組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】発色濃度が高い記録物が得られるとともに、保存安定性や吐出安定性にも優れるインクジェット捺染用インク組成物を提供する。
【解決手段】モノクロロトリアジン基またはジクロロトリアジン基を有する反応染料と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、水と、を少なくとも含んでなり、前記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が、インク組成物全体に対して、2〜20重量%含まれるインク組成物とする。
【選択図】なし
【解決手段】モノクロロトリアジン基またはジクロロトリアジン基を有する反応染料と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、水と、を少なくとも含んでなり、前記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が、インク組成物全体に対して、2〜20重量%含まれるインク組成物とする。
【選択図】なし
Description
発明の分野
本発明は、インクジェット捺染用インク組成物、およびそれを用いたインクジェット捺染方法に関し、さらに詳細には、普通紙や布帛類に対して鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られる、トリアジン系反応染料を含むインクジェット捺染用インク組成物に関する。
本発明は、インクジェット捺染用インク組成物、およびそれを用いたインクジェット捺染方法に関し、さらに詳細には、普通紙や布帛類に対して鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られる、トリアジン系反応染料を含むインクジェット捺染用インク組成物に関する。
背景技術
従来、画像や文字等の図柄を布帛に捺染する方法としては、スクリーン捺染法、ローラ捺染法、ロータリースクリーン捺染法、または転写捺染法等が一般的に用いられてきた。しかしながら、これらの従来方法では、図柄毎にトレースや製版等を製造する煩雑な作業を必要とするため、低コスト化が難しく、特に少量多品種生産にはなおさらであった。これらの従来技術の欠点を解消するために、スキャナー等の画像入力デバイスにより画像見本を読み取り、コンピュータで画像処理を行い、得られた画像情報に基づきインクジェット方式で布帛を印捺する技術、すなわちインクジェット捺染方法が開発され、実用化されている。このインクジェット記録方式は、インク液滴をインクヘッドから記録媒体(例えば、紙や布帛)に向かって飛翔させ、その液滴を記録媒体に付着させる記録方式であり、紙に対するインクジェット記録方法は既に広範に実用化されており、布帛に対しても開発が進んでいる。
従来、画像や文字等の図柄を布帛に捺染する方法としては、スクリーン捺染法、ローラ捺染法、ロータリースクリーン捺染法、または転写捺染法等が一般的に用いられてきた。しかしながら、これらの従来方法では、図柄毎にトレースや製版等を製造する煩雑な作業を必要とするため、低コスト化が難しく、特に少量多品種生産にはなおさらであった。これらの従来技術の欠点を解消するために、スキャナー等の画像入力デバイスにより画像見本を読み取り、コンピュータで画像処理を行い、得られた画像情報に基づきインクジェット方式で布帛を印捺する技術、すなわちインクジェット捺染方法が開発され、実用化されている。このインクジェット記録方式は、インク液滴をインクヘッドから記録媒体(例えば、紙や布帛)に向かって飛翔させ、その液滴を記録媒体に付着させる記録方式であり、紙に対するインクジェット記録方法は既に広範に実用化されており、布帛に対しても開発が進んでいる。
上記のようなインクジェット捺染用インクには、布帛等に対する染料の染着率や発色濃度が高いこと、インク滴を布帛等に付着させた際に滲みがないこと、色再現性の範囲が広いこと、固着処理時に安定した発色が得られること等が要求される。このようなインク組成物に用いられる色材としては、セルロース系繊維に適した反応染料である、ビニルスルホン系、トリアジン系、キノキサリン系、ピリミジン系、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系等の反応染料が用いられている。
また、インクジェット記録方法においては、記録ヘッドの目詰まり等にも考慮する必要があり、インク組成物には保存安定性や吐出安定性が要求される。例えば、特開平8−295818号公報(特許文献1)、特開平8−295819号公報(特許文献2)、特開平8−295822号公報(特許文献3)、特開平8−295823号公報(特許文献4)、特開平8−295824号公報(特許文献5)等には、特定構造を有するモノアゾ系反応染料、フタロシアニン系反応染料、アントラキノン系反応染料を含むインクに、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物を添加することにより、セルロース系繊維物に対して優れた発色性を有するとともに、保存安定性や吐出安定性にも優れるインクジェット捺染用インク組成物が提案されている。
本発明者等は、今般、特定の反応基を含むトリアジン系反応染料と、特定量のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物とを組み合わせることにより、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色であるとともに、保存安定性や吐出安定性にも優れるインク組成物が得られる、との知見を得た。本発明はこれらの知見に基づくものである。
従って、本発明は、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られ、かつ保存安定性や吐出安定性にも優れるインクジェット捺染用インク組成物の提供をその目的としている。
そして、本発明によるインクジェット捺染用インク組成物は、モノクロロトリアジン基またはジクロロトリアジン基を有する反応染料と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、水と、を少なくとも含んでなり、
前記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が、インク組成物全体に対して、2〜20重量%含まれてなるものである。
前記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が、インク組成物全体に対して、2〜20重量%含まれてなるものである。
本発明によれば、本発明は、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られ、かつ保存安定性や吐出安定性にも優れるインクジェット捺染用インク組成物を実現できる。
本発明によるインクジェット捺染用インク組成物は、モノクロロトリアジン基またはジクロロトリアジン基を有する反応染料と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、水と、を必須成分として含有する。以下、本発明によるインク組成物を構成する各成分について説明する。
<反応染料>
本発明においては、色材としてモノクロロトリアジン基またはジクロロトリアジン基を有する反応染料が用いられる。これらの反応染料と後記する特定量のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物とを併用することにより、インク組成物の発色濃度が顕著に改善され、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られる。この理由は定かではないが、反応染料が、布帛中に浸透することに作用し、視認性に有効な固着配置となるため、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られるものと考えられる。
本発明においては、色材としてモノクロロトリアジン基またはジクロロトリアジン基を有する反応染料が用いられる。これらの反応染料と後記する特定量のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物とを併用することにより、インク組成物の発色濃度が顕著に改善され、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られる。この理由は定かではないが、反応染料が、布帛中に浸透することに作用し、視認性に有効な固着配置となるため、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られるものと考えられる。
モノクロロトリアジン基を有する反応染料としては、C.I.リアクティブイエロー1、C.I.リアクティブオレンジ13、C.I.リアクティブレッド4、C.I.リアクティブバイオレット1、C.I.リアクティブブルー13、C.I.リアクティブブラック12等が挙げられ、これらの中もでもC.I.リアクティブレッド4が好ましい。また、ジクロロトリアジン基を有する反応染料としては、C.I.リアクティブイエロー7、C.I.リアクティブオレンジ18、C.I.リアクティブレッド5、C.I.リアクティブバイオレット8、C.I.リアクティブブルー9、C.I.リアクティブブラック9等が挙げられ、これらの中もでもC.I.リアクティブレッド5が好ましい。
上記反応染料の含有量は、所望する発色等が得られるよう適宜調整することができる。
<ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物>
本発明によるインク組成物は、上記した反応染料に加えて、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が、インク組成物全体に対して2〜20重量%含まれる。上記の反応染料と2〜20重量%のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物を含むことにより、発色濃度が顕著に改善される。
本発明によるインク組成物は、上記した反応染料に加えて、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が、インク組成物全体に対して2〜20重量%含まれる。上記の反応染料と2〜20重量%のナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物を含むことにより、発色濃度が顕著に改善される。
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物は、公知の方法(例えば特開昭51−52435号公報)により調製することができ、具体的には、ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとを、例えば50℃の温度で15〜50時間、または105℃の温度で約5〜10時間縮合させることにより得ることができる。平均縮合度は、好ましくは1.1〜3.0である。なお、縮合の際、一般的に、ナフタレンスルホン酸よりもホルムアルデヒドを過剰量とすることが必要である。
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物は、ナフタレンスルホン酸がアルキル化されていてもよく、C1〜C4のアルキル基を1〜3個有するアルキル化ナフタレンスルホン酸を用いることが好ましく、より好ましくは、メチル基またはエチル基を1〜2個有するアルキル化ナフタレンスルホン酸を用いて、ホルムアルデヒドと縮合させることが好ましい。また、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物は、ナフタレンスルホン酸のスルホン化度が50〜150程度が好ましい。このようなナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物としては、例えば、ラベリンFP(第一工業製薬社製)等を好適に用いることができる。
<水溶性有機溶剤>
本発明によるインク組成物には、インクジェットプリンターの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性を向上させる観点から、水溶性有機溶剤を含んでなることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に添加される溶剤を用いることができ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトール等のポリオール類、およびそのエーテルまたはエステル等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、またはε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、または1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、またはマルトース等の糖類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。なお、これらの水溶性有機溶剤は保湿剤としても機能することがある。
本発明によるインク組成物には、インクジェットプリンターの記録ヘッドのノズルからの吐出安定性を向上させる観点から、水溶性有機溶剤を含んでなることが好ましい。水溶性有機溶剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に添加される溶剤を用いることができ、例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、またはペンタエリスリトール等のポリオール類、およびそのエーテルまたはエステル等の誘導体;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、またはε−カプロラクタム等のラクタム類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、または1,3−ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、またはマルトース等の糖類等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を用いることができる。なお、これらの水溶性有機溶剤は保湿剤としても機能することがある。
本発明においては、上記した水溶性有機溶剤の中でも、2−ピロリドン、トリエチレングリコールおよび1,2−ヘキサンジオールが好ましく用いられる。これらの水溶性有機溶剤を添加することにより、インクの保存安定性や吐出安定性の向上のみならず、記録物の発色濃度がより改善され、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色が得られる。これら水溶性有機溶剤は、1種のみを用いてもよく、また、2種以上を併用してもよい。より好ましい水溶性有機溶剤は、1,2−ヘキサンジオールである。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク組成物の全体に対して、好ましくは15重量%以下であり、より好ましくは1〜5重量%である。水溶性有機溶剤の含有量を上記の範囲とすることにより、良好な保存安定性や吐出安定性と、鮮明かつ高濃度、高精彩な発色との両立を図ることができる。
<水、その他の成分>
本発明によるインク組成物には、上記した水溶性有機溶剤に加えて、界面活性剤をさらに加えても良い。界面活性剤を添加することにより、吐出安定性がより一層向上する。界面活性剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に界面活性剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;オルフィンSTG、オルフィンE1010(何れも商品名、日信化学社製)等のアセチレンアルコール系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を加えることができる。さらに、添加する界面活性剤の含有量は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.2〜2重量%である。
本発明によるインク組成物には、上記した水溶性有機溶剤に加えて、界面活性剤をさらに加えても良い。界面活性剤を添加することにより、吐出安定性がより一層向上する。界面活性剤としては、通常のインクジェット捺染用インク組成物に界面活性剤として使用されている化合物を用いることができ、例えば、脂肪酸塩類;アルキル硫酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン性界面活性剤;サーフィノール61、82、104、440、465、485(何れも商品名、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ社製)等のアセチレングリコ−ル系界面活性剤;オルフィンSTG、オルフィンE1010(何れも商品名、日信化学社製)等のアセチレンアルコール系界面活性剤;カチオン性界面活性剤;両イオン性界面活性剤等を挙げることができ、これらの一種または二種以上を加えることができる。さらに、添加する界面活性剤の含有量は、インク組成物の全重量に対して、好ましくは0.2〜2重量%である。
本発明によるインク組成物は、上記の反応染料、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、必要に応じて水溶性有機溶剤および界面活性剤に加え、さらに水を含む。水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、または超純水を用いることが好ましい。特に、これらの水を、紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水は、長期間に亘ってカビやバクテリアの発生が防止されるので好ましい。
本発明によるインク組成物には、さらに必要に応じて、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤、pH調整剤(例えば、トリエタノールアミン)、または溶解助剤等のように、インクジェット捺染用インク組成物において通常用いることができる各種添加剤の一種または二種以上を含有させることができる。
本発明によるインク組成物は、上記した各成分を従来公知の方法により混合することにより得ることができる。混合方法は、特に限定されるものではなく、インクジェット捺染に用いられる前に予め各成分を混合してもよく、またインクジェット捺染時に適宜混合してもよい。
本発明によるインク組成物は、印字品質とインクジェット捺染用インク組成物としての信頼性とのバランスの観点から、表面張力が25〜40mN/mであることが好ましく、28〜35mN/mであることがさらに好ましい。また、同様の観点から、本発明によるインク組成物の20℃における粘度は、1.5〜10mPa・sであることが好ましく、2〜5mPa・sであることがさらに好ましい。表面張力および粘度を上記の範囲内とするには、反応染料の濃度や、保湿剤の種類や添加量等により、調整することができる。
<インクジェット捺染方法>
本発明のインク組成物を、セルロース系繊維からなる布帛(例えば、織物、網物、または不織布)に対するインクジェット捺染に用いると、良好な保存安定性や吐出安定性を有し、かつ鮮明かつ高濃度、高精彩な発色を有する記録物を得ることができる。本発明のインク組成物を用いる場合には、通常のインクジェット捺染用のインク組成物と同様に、インクジェットプリンターのインクカートリッジにインク組成物を充填して使用する。前記インクジェットプリンターは特に限定されないが、ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターが好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターには、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があり、いずれの記録方法を採用することもできる。
本発明のインク組成物を、セルロース系繊維からなる布帛(例えば、織物、網物、または不織布)に対するインクジェット捺染に用いると、良好な保存安定性や吐出安定性を有し、かつ鮮明かつ高濃度、高精彩な発色を有する記録物を得ることができる。本発明のインク組成物を用いる場合には、通常のインクジェット捺染用のインク組成物と同様に、インクジェットプリンターのインクカートリッジにインク組成物を充填して使用する。前記インクジェットプリンターは特に限定されないが、ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターが好ましい。ドロップオンデマンド型のインクジェットプリンターには、記録ヘッドに配設された圧電素子を用いて記録を行う圧電素子記録方法を採用したもの、記録ヘッドに配設された発熱抵抗素子のヒーター等による熱エネルギーを用いて記録を行う熱ジェット記録方法を採用したもの等があり、いずれの記録方法を採用することもできる。
本発明のインク組成物を用いて布帛に対してインクジェット捺染方法を実施する場合には、通常のインクジェット捺染と同様に、予め、前処理剤を用いて布帛を前処理しておくことが好ましい。布帛の前処理は、前処理剤中に布帛を浸積するか、前処理剤を布帛に塗布または噴霧する等の手段を用いて、布帛に前処理剤を付着させた後、布帛を乾燥することにより行われる。
布帛の前処理剤としては、水溶性高分子化合物等の糊剤を0.01〜20重量%の量とアルカリ発生剤を1〜5重量%の量とで含有させた水溶液を用いることができる。前記糊剤としては、例えば、トウモロコシ、または小麦等のデンプン物質;カルボキシメチルセルロース、またはヒドロキシメチルセルロース等のセルロース系物質;アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、またはタマリンド種子等の多糖類;ゼラチン、またはカゼイン等のタンパク質;タンニン;リグニン等の天然水溶性高分子や、ポリビニルアルコール系化合物、ポリエチレンオキサイド系化合物、アクリル酸系化合物、または無水マレイン酸系化合物等の合成水溶性高分子化合物を挙げることができる。上記のアルカリ発生剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等を挙げることができる。前処理剤には、必要に応じて、尿素、またはチオ尿素等の保湿剤、pH調整剤、還元防止剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、あるいは消泡剤等の各種添加剤を含有させることもできる。
また、本発明のインク組成物を用いて布帛に対してインクジェット捺染方法を実施する場合には、布帛に対してインク組成物を吐出し、文字および/または画像を印刷した後に、染料固着処理を行う。染料固着処理方法としては、従来の捺染方法における染料固着処理方法と同様の方法、例えば、常圧スチーム法、高圧スチーム法、またはサーモフィックス法等を挙げることができる。染料固着処理後は、常法通り、布帛を水洗し、乾燥する。必要に応じソーピング処理(未固着の染料を熱石鹸液等で洗い落とす処理)を実施してもよい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、これら実施例により本発明が限定されるものではない。
インク組成物の調製
下記表1〜4の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、表1中の数字は全て重量%を表す。また、NSFとは、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物であるラベリンFP(第一工業製薬社製)を表し、C.I.リアクティブレッド4は、モノクロロトリアジン基を有する反応染料であり、C.I.リアクティブレッド5は、ジクロロトリアジン基を有する反応染料であり、C.I.リアクティブレッド21は、ビニルスルホン系反応染料である。また、TEGとはトリエチレングリコールを表し、1,2−HDは1,2−ヘキサンジオールを表す。
下記表1〜4の組成に従い各成分を混合し、10μmのメンブランフィルターでろ過することにより、各インクを調製した。なお、表1中の数字は全て重量%を表す。また、NSFとは、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物であるラベリンFP(第一工業製薬社製)を表し、C.I.リアクティブレッド4は、モノクロロトリアジン基を有する反応染料であり、C.I.リアクティブレッド5は、ジクロロトリアジン基を有する反応染料であり、C.I.リアクティブレッド21は、ビニルスルホン系反応染料である。また、TEGとはトリエチレングリコールを表し、1,2−HDは1,2−ヘキサンジオールを表す。
発色濃度の評価
上記で調製した各インク組成物をPX−G930プリンター(セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填し、綿布に解像度1440×1440dpiの印刷条件にて印字を行った。綿布を、温度110℃、相対湿度100%の環境下で10分間スチーミングして印捺を定着させた後、ラッコールSTA(明成化学社製)0.2%水溶液中に、80℃で10分間浸漬して洗浄し、次いで40℃および20℃の水中で洗浄を行った。洗浄後の綿布を乾燥し、アイロン処理したものを試験片とした。
グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて、得られた試験片の印捺部分のOD値を測定した。発色濃度の評価基準は以下の通りとした。
上記で調製した各インク組成物をPX−G930プリンター(セイコーエプソン社製)のインクカートリッジに充填し、綿布に解像度1440×1440dpiの印刷条件にて印字を行った。綿布を、温度110℃、相対湿度100%の環境下で10分間スチーミングして印捺を定着させた後、ラッコールSTA(明成化学社製)0.2%水溶液中に、80℃で10分間浸漬して洗浄し、次いで40℃および20℃の水中で洗浄を行った。洗浄後の綿布を乾燥し、アイロン処理したものを試験片とした。
グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いて、得られた試験片の印捺部分のOD値を測定した。発色濃度の評価基準は以下の通りとした。
1点:OD値が1.30未満である
2点:OD値が1.30以上、1.35未満である
3点:OD値が1.35以上、1.40未満である
4点:OD値が1.40以上、1.45未満である
5点:OD値が1.45以上、1.50未満である
6点:OD値が1.50以上である
評価結果は下記の表5に示される通りであった。
2点:OD値が1.30以上、1.35未満である
3点:OD値が1.35以上、1.40未満である
4点:OD値が1.40以上、1.45未満である
5点:OD値が1.45以上、1.50未満である
6点:OD値が1.50以上である
評価結果は下記の表5に示される通りであった。
Claims (7)
- モノクロロトリアジン基またはジクロロトリアジン基を有する反応染料と、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物と、水と、を少なくとも含んでなり、
前記ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が、インク組成物全体に対して、2〜20重量%含まれてなる、インクジェット記録用インク組成物。 - 水溶性有機溶剤として、2−ピロリドン、トリエチレングリコール、1,2−ヘキサンジオールからなる群から選択される少なくとも1種をさらに含んでなる、請求項1に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性有機溶剤の含有量が、インク組成物全体に対して、15重量%以下である、請求項2に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記水溶性有機溶剤が1,2−ヘキサンジオールである、請求項3に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 前記反応染料が、C.I.リアクティブレッド4、およびC.I.リアクティブレッド5からなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- インクジェット捺染に用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物を用いる、インクジェット捺染方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014133863A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-07-24 | Seiko Epson Corp | インクジェット捺染用インク組成物およびインクジェット捺染方法 |
-
2009
- 2009-03-13 JP JP2009061419A patent/JP2010215711A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014133863A (ja) * | 2012-12-10 | 2014-07-24 | Seiko Epson Corp | インクジェット捺染用インク組成物およびインクジェット捺染方法 |
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111129 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20120306 |