JP2018141065A - 液状組成物、記録方法、および樹脂 - Google Patents

液状組成物、記録方法、および樹脂 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロースを含む記録媒体に対して、顔料の定着性並びにインクジェットヘッドからの吐出安定性を向上させた液状組成物、記録方法及び樹脂の提供。【解決手段】液状組成物イミダゾリウム塩構造又はセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂と、顔料と、を含み、セルロースを含む記録媒体への記録に用いるインク組成物又は前記インク組成物の調製に用いる顔料分散液である液状組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、液状組成物、記録方法、および樹脂に関する。
従来、記録物の発色性や耐水性などを向上させるために、着色剤として顔料を含む顔料分散液やインクジェット記録用インクが知られていた。例えば、特許文献1には、顔料を特定の高分子分散剤で被覆したインクジェット用水性顔料インクが提案されている。また、特許文献2には、水に対して乳化性を有する親水性樹脂と、水に対して乳化性を有しない疎水性樹脂と、によって顔料がカプセル化されたカプセル粒子を含むインクジェット記録用インクが提案されている。
特開2012−36251号公報 特開平11−116881号公報
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット用水性顔料インク、および特許文献2に記載のインクジェット記録用インクでは、セルロースを含む記録媒体に対して、定着性を向上させることがむずかしいという課題があった。詳しくは、着色剤として顔料を用いて記録物を作製すると、記録媒体の表面付近に顔料がとどまって記録物の発色が確保される。したがって、記録物の擦過性や耐久性を向上させるためには、記録媒体表面からの顔料の脱落を抑制する必要があった。特に、インク受容層を備えない、普通紙や綿(綿布)などのセルロースを含む記録媒体では、顔料の定着性が確保しにくく、顔料の脱落が発生しやすかった。
また、顔料の定着性を改善するために定着剤を用いると、インク中の固形分が増加してインクの粘度が増加しやすかった。そのため、粘度が増加したインクをインクジェットプリンターでの印刷に用いると、インクジェットヘッドからの吐出安定性が確保しにくくなるという課題もあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係る液状組成物は、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂と、顔料と、を含む。
本適用例によれば、普通紙や綿などのセルロースを含む記録媒体に対して、顔料の定着性を向上させることができる。詳しくは、イミダゾリウム塩構造は、セルロースを溶解する作用を有している。そのため、イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、セルロースの表面を溶かしながら、くいつくように定着する。したがって、該樹脂を含むことによってアンカー効果が増大し、従来よりも、記録物における顔料の定着性を向上させることができる。
セルロース構造は、普通紙や綿などに含まれるセルロースに対して、分子構造が類似であることから、比較的に親和性が高い。そのため、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、セルロースを含む記録媒体の表面に濡れ広がりやすくなる。これにより、親和性の高さに加えて、該樹脂とセルロースとの接触面積(定着面積)が拡大されて、従来よりも、記録物における顔料の定着性を向上させることができる。
また、記録物における顔料の定着性を向上させるため、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂を定着剤として用いても、定着剤の含有量を従来よりも低減することが可能となる。定着剤の含有量が低減されるため、インクの粘度が増加しにくくなる。これによって、インクジェットプリンターでの印刷に用いても、インクジェットヘッドからの吐出安定性を向上させることができる。
以上により、セルロースを含む記録媒体に対する定着性、およびインクジェットヘッドからの吐出安定性が向上した、液状組成物を提供することができる。
上記適用例に記載の液状組成物において、セルロースを含む記録媒体への記録に用いるインク組成物であるか、インク組成物の調製に用いる顔料分散液であることが好ましい。
これによれば、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂によって、セルロースに対する顔料の定着性が向上する。そのため、セルロースを含む記録媒体に対して、顔料の脱落の発生を抑制して、記録物の擦過性や耐久性を向上させることができる。
上記適用例に記載の液状組成物において、紙、綿、麻の1種以上を含む、記録媒体への記録に用いることが好ましい。
これによれば、紙、綿、麻などの記録媒体は、セルロースを含むことから、顔料の定着性を向上させることができる。特に、綿や麻を含む布帛の捺染に用いると、定着剤の含有量の低減が可能であることから、定着剤に起因する布帛表面のこわばりが抑えられる。そのため、従来よりも、捺染物(記録物)の手触りや肌触りが改善され、風合いを向上させることができる。
上記適用例に記載の液状組成物においては、樹脂によって、顔料の少なくとも一部が被覆されていることが好ましい。
これによれば、記録媒体に定着した際に、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂と顔料とが離れにくくなる。そのため、液状組成物を記録媒体に塗布すると、顔料の脱落の発生がさらに抑えられて、定着性がより向上する。
上記適用例に記載の液状組成物において、樹脂は、顔料に吸着し、または顔料を包含してカプセル化し、顔料分散液を形成していることが好ましい。
これによれば、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂が分散剤となって、顔料分散液が形成される。そのため、該樹脂と顔料とがさらに離れにくくなり、定着性がよりいっそう向上する。これに加えて、該樹脂を分散剤として用いることから、該樹脂以外の定着剤が不要となるか、あるいはその含有量を低減することができる。また、該樹脂が顔料から離れにくくなるため、液状組成物における顔料の分散安定性が向上する。
上記適用例に記載の液状組成物において、樹脂は、親水性部と疎水性部とを含むことが好ましい。
これによれば、水性の液状組成物に分散剤として用いると、樹脂の疎水性部が顔料の表面側に、樹脂の親水性部が液状組成物の媒体側に、それぞれ配向して、顔料の分散性が向上する。そのため、液状組成物における、顔料の分散安定性をより向上させることができる。また、定着剤として用いると、液状組成物中で樹脂のミセルが形成され、液状組成物における樹脂の分散性を向上させることができる。
上記適用例に記載の液状組成物において、樹脂は、繰り返し単位中に、(メタ)アクリロイル基に由来する構造をさらに有することが好ましい。
これによれば、(メタ)アクリロイル基を重合反応させることによって、樹脂の繰り返し単位としての主鎖の一部を形成することができる。また、(メタ)アクリロイル基に由来する、疎水性の炭素鎖を形成することができる。
上記適用例に記載の液状組成物は、架橋剤を含むことが好ましい。
これによれば、架橋剤による樹脂の架橋によって、樹脂の靱性が高まり、液状組成物が記録媒体などに形成する塗膜層の強度が向上する。そのため、定着性をよりいっそう向上させることができる。
上記適用例に記載の液状組成物は、樹脂微粒子を含み、樹脂微粒子の含有量が、液状組成物の全質量に対して5質量%以下であることが好ましい。
これによれば、記録媒体に対する定着性をよりいっそう向上させると共に、液状組成物の粘度の増加を抑えることができる。
上記適用例に記載の液状組成物は、インクジェット法に用いられるインクジェットインク組成物であることが好ましい。
これによれば、インクジェット法によって、高精細な画像などを、記録媒体などへ容易に形成することができる。
[適用例]本適用例に係る記録方法は、上記適用例に記載の液状組成物を、記録媒体へ付着させる工程を備える。
本適用例によれば、顔料の定着性が向上した記録物を形成することができる。これによって、顔料の脱落の発生が抑えられて擦過性や耐久性が向上し、記録物の外観品質を従来よりも長く維持することができる。また、記録媒体として綿や絹などを含む布帛を用いると、記録物(捺染物)の風合いを向上させることができる。
上記適用例に記載の記録方法は、インクジェット法を適用したインクジェット記録方法であることが好ましい。
これによれば、インクジェット法によって、高精細な画像などを、記録媒体などへ容易に形成することができる。
[適用例]本適用例に係る樹脂は、イミダゾリウム塩構造、またはセルロース構造を繰り返し単位中に有し、顔料を含むインク組成物または顔料を含む顔料分散液に用いるものである。
本適用例によれば、普通紙や綿などのセルロース含む部材に対して、定着性を向上させる樹脂を提供することができる。イミダゾリウム塩構造は、セルロースを溶解する作用を有している。そのため、イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、セルロースの表面を溶かしながら、くいつくように定着する。したがって、該樹脂によってアンカー効果が増大し、定着性を向上させることができる。セルロース構造は、普通紙や綿などに含まれるセルロースに対して、分子構造が類似であることから、比較的に親和性が高い。そのため、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、セルロースを含む部材の表面に濡れ広がりやすくなる。これにより、親和性の高さに加えて、該樹脂とセルロースとの接触面積(定着面積)が拡大され、定着性を向上させることができる。
実施形態に係る塗布装置としてのインクジェットプリンターを示す概略斜視図。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も、本発明に含まれる。
(実施形態)
本実施形態に係る液状組成物について、顔料を含む顔料分散液と、該顔料分散液を含むインク組成物として、インクジェット法に用いられる水性のインクジェットインク組成物(以降、単に「インク」ともいう。)と、を例に挙げて説明する。
インクジェット法とは、インクジェットプリンター(塗布装置)などのインクジェットヘッドの吐出ノズルから、微小なインクの液滴を吐出して、記録媒体などに付着させる記録方法である。
本実施形態に係る液状組成物は、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂を含み、顔料を含む顔料分散液、または顔料分散液を含むインクである。
<樹脂>
[イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂]
イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂としては、下記式(1)または下記式(2)に示すイミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有していれば、特に限定されない。
Figure 2018141065
(式(1)において、Xはカウンターアニオンである。−*は原子間の結合を表し、*は該構造が結合している任意の原子を表す。)
Figure 2018141065
(式(2)において、Xはカウンターアニオンである。−*は原子間の結合を表し、*は該構造が結合している任意の原子を表す。)
上記の構造は、原子間の結合の少なくとも1つにより、樹脂の繰り返し単位中に導入されている。よって、*で示した原子の少なくとも1つは、さらに他の原子に結合しており、繰り返し単位中に導入されている。*は水素原子、炭素原子の何れかが好ましく、少なくとも1つは炭素原子であることが好ましく、両方が炭素原子であることがさらに好ましい。
このようなイミダゾリウム塩構造を有する化合物としては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジイソプロピルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウム、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウム、1−メチル−3−n−オクチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムなどの1,3−ジアルキルイミダゾリウム類、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムなどの1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム類、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウム、1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾリウム、1,3−ジ(1−アダマンチル)イミダゾリウム、1,3−ジシクロヘキシルイミダゾリウム、1−メチル−3−[6−(メチルスルフィニル)ヘキシル]イミダゾリウム、1−メチル−3−[6−(メチルチオ)ヘキシル]イミダゾリウム、3,3’−メチレンビス(1−tert−ブチル−3−イミダゾリウム)などが挙げられ、これらの群から選ばれる1つ以上が適用可能である。但し、上記の化合物において、式(1),(2)の*に該当する原子の少なくとも1つが、さらに他の原子に結合することで、該構造が樹脂の繰り返し単位中に備えられているものである。
カウンターアニオンとしては、例えば、Br-、Cl-、I-、Br3 -、BF4 -、PF6 -、CF3BF3 -、CF3SO3 -、(CF3SO22-、CH3SO3 -、NO3 -、CH3CO2 -、CH3−C64−SO3 -(p−トルエンスルホナート)などが挙げられ、これらの群から選ばれる1つ以上が適用可能である。
このようなイミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有することにより、セルロースを含む記録媒体に対する溶解性が高まって、イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂の定着性を向上させることができる。
イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、上述した構造以外の、その他の構造を繰り返し単位中に、さらに有していてもよい。その他の構造としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基などの炭素−炭素二重結合を含む重合性基、またはこのような重合性基を有する単量体に由来し、これらの重合反応によって形成された分子構造が挙げられる。なお、本明細書では、アクリロイル基とメタクリロイル基とを総称して「(メタ)アクリロイル基」と表記することとし、同様な構造を有する化合物、官能基についても同様に表記する。
重合性基は、イミダゾリウム塩構造に置換基として導入されてもよい。これにより、該重合性基の重合反応、すなわち、イミダゾリウム塩構造を有する単量体の重合反応によって、イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂を形成することができる。
また、イミダゾリウム塩構造を有する単量体と、重合性基を有する他の単量体とによって、イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂を、共重合体として形成してもよい。他の単量体を共重合させることにより、他の単量体に由来する特性を付与して、物性などを操作することができる。
重合性基を有する単量体としては、上述した重合性基を有していれば特に限定されず、例えば、エチレン、ブタジエン、スチレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アリルアミン、(メタ)アクリロイルクロイド、およびこれらの置換体などが挙げられ、これらの群から選ばれる1つ以上が適用可能である。
上述した重合性基の中で、(メタ)アクリロイル基を用いることが好ましく、イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、(メタ)アクリロイル基に由来する構造をさらに有することが好ましい。これにより、(メタ)アクリロイル基を重合反応させることによって、樹脂の繰り返し単位としての主鎖の一部を形成することができる。また、(メタ)アクリロイル基に由来する、疎水性の炭素鎖を形成することができる。
[セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂]
セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂としては、特に限定されない。セルロース構造とは、セルロース(β−グルコースを形成材料とする高分子化合物)から化学反応によって誘導可能な分子構造であればよく、例えば、セルロースが有する水酸基の少なくとも一部について、他の置換基を導入したもの、他の化合物と縮合反応させたものなどが挙げられる。他の置換基は、全てのグルコース構造について、同様に導入されたものであってもよく、グルコース構造の一部にのみ導入されたものであってもよい。また、グルコース構造によって、上記置換基が導入された部位が異なっていてもよい。セルロース構造としては、例えば、下記式(3)で表される。
Figure 2018141065
(式(3)において、Acはアセチル基であり、kは正の整数である。−*は原子間の結合を表し、*は独立して任意の原子を表す。)
式(3)において、*で示した原子は、他の原子にさらに結合していてもよい。式(3)のセルロース構造は、式(3)の左端、右端、−*の少なくとも1つ、の何れかを結合部として繰り返し構造中に導入されており、好ましくは−*の少なくとも1つにより繰り返し構造中に導入されている。−*の少なくとも1つを結合部とする場合、当該結合部の*は好ましくは炭素原子であり、該炭素原子はさらに他の原子と結合している。結合部とならない*は好ましくは水素原子である。結合部とならない左端、右端は好ましくは水素原子に結合している。kは、好ましくは、独立して2以上、100以下である。式(3)において結合部は好ましくは1つである。
上記置換基は、グルコース構造の分子同士を、共有結合によって結合可能な官能基を有することが好ましい。このような官能基(反応性官能基)としては、グルコース構造の分子同士を直接結合するものであってもよく、他の原子(少なくとも1個の原子)を介して結合するものであってもよい。
上記官能基(反応性官能基)としては、例えば、炭素−炭素二重結合を含むもの、水酸基、カルボキシ基などが挙げられ、これらの中でも炭素−炭素二重結合を含むものが好ましい。これにより、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂を、容易に形成することができる。
これらの官能基は、セルロース構造のいかなる部位に導入されたものであってもよいが、セルロース構造を構成するβ−グルコースの6位の炭素原子に結合する水酸基に、化学反応によって導入されたものであることが好ましい。これにより、上記官能基の立体障害が低減されることなどから、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂を形成する重合反応において、反応性を向上させることができる。
官能基(反応性官能基)として、上述した重合性基をセルロース構造に導入してもよい。これにより、セルロース構造および重合性基を有する単量体から、重合性基の重合反応によって、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂を形成することができる。
また、セルロース構造を有する単量体と、重合性基を有する他の単量体とによって、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂を、共重合体として形成してもよい。他の単量体を共重合させることにより、他の単量体に由来する特性を付与して、物性などを操作することができる。重合性基を有する単量体としては、上述したものが適用可能である。
重合性基としては、(メタ)アクリロイル基を用いることが好ましく、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、(メタ)アクリロイル基に由来する構造をさらに有することが好ましい。これにより、(メタ)アクリロイル基を重合反応させることによって、樹脂の繰り返し単位としての主鎖の一部を形成することができる。また、(メタ)アクリロイル基に由来する、疎水性の炭素鎖を形成することができる。
本実施形態のイミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂(以降、単に「樹脂」ともいう。)は、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を有する繰り返し単位と、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を有する繰り返し単位以外の、他の繰り返し単位とからなることが好ましい。各繰り返し単位は樹脂中でそれぞれランダムに存在していてもよいし、ブロックで存在していてもよい。
また、樹脂は、親水性部と、疎水性部とを含むことが好ましい。親水部および疎水部の一方が、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を有する繰り返し単位からなり、他方が他の繰り返し単位からなることが好ましい。これにより、樹脂を分散剤として用いると、樹脂の疎水性部が顔料の表面側に、樹脂の親水性部が液状組成物の媒体側に、それぞれ配向して、顔料の分散性が向上する。そのため、インクにおける、顔料の分散安定性を向上させることができる。また、インクに定着剤として用いると、インク中で樹脂のミセルが形成され、インクにおける樹脂の分散性を向上させることができる。
親水性部および疎水性部を含む樹脂は、親水性部を有する単量体と、疎水性部を有する単量体とを用いて、ブロック共重合体またはランダム共重合体として形成することが可能であり、ブロック共重合体とすることがより好ましい。樹脂をブロック共重合体とすることにより、疎水性部および親水性部の領域がそれぞれ広くなり、上述した分散に係わる機能がより向上する。親水性部と疎水性部との比率は、リビング重合を用いて制御される。
イミダゾリウム塩構造は、疎水性であるため、樹脂は、親水性部を有する単量体と、イミダゾリウム塩構造を有する単量体とを含む共重合体とすることが好ましい。セルロース構造は、親水性であるため、樹脂は、疎水性部を有する単量体と、セルロース構造を有する単量体とを含む共重合体とすることが好ましい。親水性部または疎水性部としては、公知の官能基などを導入することによって形成することが可能である。
親水性部を形成する官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、チオール基、アミノ基、アミド基、リン酸基などが挙げられ、親水性部を形成する構造としては、例えば、オキシエチレン鎖などが挙げられる。疎水性部を形成する官能基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、シクロアルキル基、フェニル基、アルコキシ基などが挙げられる。
樹脂における好ましい分子量(重量平均分子量)の範囲は、10000以上、100000以下であり、より好ましくは、10000以上、60000以下であり、さらにより好ましくは、10000以上、20000以下である。樹脂の重量平均分子量を上記の範囲内にすることにより、色材の分散に最適な樹脂とすることができる。なお、樹脂の重量平均分子量の測定方法は後述する。
樹脂において、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を含む繰り返し単位と、それ以外の繰り返し単位との重量比は、10対90から90対10の範囲が好ましく、より好ましくは、30対70から70対30であり、さらにより好ましくは40対60から60対40である。繰り返し単位の重量比を上記の範囲にすることにより、色材を包接し、安定な分散性を示す樹脂とすることができる。
<顔料>
本実施形態の液状組成物は、色材として顔料を含んでいる。液状組成物は、顔料分散液またはインク(インク組成物)である。液状組成物は、色材として顔料を用いることから、インクが記録媒体などに形成する塗膜層において、発色性および隠蔽性を確保することができる。また、記録媒体に、画像、テキスト、模様、色彩などを形成することができる。
顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料のいずれも用いることができる。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料などの多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキ顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロムなどの金属酸化物顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
カラーインク用の顔料としては、例えば、C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、155、180、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101、104、105、106、108、112、114、122、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
黒色インク用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、7(カーボンブラック)、11などが挙げられる。白色インク用の顔料としては、C.I.ピグメントホワイト1、4、5、6(二酸化チタン)、6:1、7、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28などが挙げられる。これらの着色用の顔料の他に、パール顔料やメタリック顔料などの光輝顔料を用いてもよい。
以上に挙げた顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
顔料を用いる場合の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、例えば、0.1質量%以上、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、20質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以上、15質量%以下である。顔料の含有量を上記の範囲内とすることにより、記録媒体などに形成する画像などの発色を確保すると共に、インク粘度の増加や、インクジェットヘッドにおける目詰まりの発生を抑えることができる。
<顔料分散液>
本実施形態の液状組成物において、樹脂は、顔料に吸着し、または顔料を包含してカプセル化し、顔料分散液を形成していることが好ましい。これにより、樹脂が分散剤となって、顔料分散液が形成される。そのため、樹脂と顔料とがさらに離れにくくなり、定着性がよりいっそう向上する。さらに、樹脂以外の定着剤が不要となるか、あるいはその含有量を低減することができる。また、樹脂が顔料から離れにくくなるため、インクにおける顔料の分散安定性が向上する。
本実施形態の樹脂を用いた顔料分散液においては、核となる顔料の疎水性の表面に、樹脂の疎水性部が吸着して内殻(定着部位)が形成され、樹脂の親水性部がインクの水性媒体中に配向して外殻(定着部位)が形成される。すなわち、顔料は、内殻および外殻を形成する樹脂によってカプセル化され、コアシェル型顔料粒子となっている。これにより、樹脂が顔料表面に吸着するだけでなく、顔料を包含することから、樹脂が顔料からさらに離れにくくなり、顔料の定着性や分散安定性がいっそう向上する。
顔料分散液における上述の樹脂の含有量は、特に限定されないが、顔料の全質量に対して、例えば、0.1質量%以上、10質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、2質量%以下である。顔料に対する樹脂(分散剤)の含有量を上記の範囲内とすることにより、インク中における顔料の分散安定性を向上させると共に、遊離する分散剤の量を低減して、インク粘度の増加や、インクジェットヘッドにおける目詰まりの発生を抑えることができる。
また、樹脂を分散剤として用いない場合においても、樹脂によって、顔料の少なくとも一部が被覆されていることが好ましい。すなわち、樹脂を分散剤として用いずとも、樹脂が顔料の少なくとも一部を被覆することによって、樹脂と顔料とが離れにくくなる。そのため、インクを記録媒体に塗布すると、顔料の脱落の発生を抑えることができる。
樹脂を分散剤として用いない場合は、インク中での顔料の分散性を高めるために、顔料に表面処理を施すか、他の分散剤などを用いてもよい。顔料の表面処理とは、物理的処理または化学的処理によって、顔料の粒子表面に、インクの媒体と親和性を有する官能基を導入する方法である。本実施形態のように水性のインクでは、カルボキシ基やスルホ基などの親水性基を導入することが好ましい。これにより、顔料を分散体としてインク中に含有させることが可能となる。
上記顔料分散液は、以下のインク中に含まれていてもよい。
<インク>
本実施形態の液状組成物、特にインクは、水、上記樹脂、顔料の他に以下の各成分を含んでいてもよい。インクにおける上述の樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば0.1質量%以上、10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上、5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上、3質量%以下がさらに好ましい。
<架橋剤>
本実施形態のインクは、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤(多官能単量体)が有する複数の反応基と、樹脂、記録媒体、後述する樹脂微粒子などに含まれる水酸基などの官能基とが化学結合(架橋構造)を形成し、分子同士が架橋される。これにより、インクが記録媒体などに形成する塗膜層の強度や、塗膜層と記録媒体との密着性が向上し、定着性をより向上させることができる。
架橋剤としては、特に限定されず、公知のものが適用可能である。このような架橋剤としては、例えば、ブロックイソシアネート化合物やカルボジイミド化合物などが挙げられる。これらの化合物として市販品を用いてもよい。
架橋剤による架橋構造の形成は、樹脂の製造段階、顔料分散液またはインクの調製段階、インクの記録媒体への塗布後、のいずれであってもよいが、インク粘度の増加抑制などの観点から、インクの記録媒体への塗布後に行うことが好ましい。記録媒体に塗布されたインクに加熱を施すことによって、架橋剤による架橋反応が促進され、架橋構造を形成することが可能である。
<樹脂微粒子>
本実施形態のインクは、定着剤として樹脂微粒子を含んでいてもよい。インクにおける樹脂微粒子の含有量は、インクの全質量に対して、5質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、4質量%以下である。樹脂微粒子の含有量を上記とすることにより、記録媒体に対する定着性をよりいっそう向上させると共に、インクの粘度の増加を抑えることができる。
樹脂微粒子は、高分子化合物の微小な粒子を媒体中に分散させたものであることが好ましい。樹脂微粒子として、樹脂エマルションを用いてもよい。樹脂微粒子の分散形態としては、乳化剤(界面活性剤)を利用した強制乳化型、高分子化合物の分子構造中に親水性部(親水基)を導入した自己乳化型などを用いることができる。
樹脂微粒子の形成材料(高分子化合物)としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、フルオレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、(塩化ビニル−酢酸ビニル)共重合体、(エチレン−酢酸ビニル)共重合体などが挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、その他の定着剤として、水溶性の高分子化合物を用いてもよい。水溶性の高分子化合物としては特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどやこれらの塩が挙げられる。
<有機溶剤>
本実施形態のインクには、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を添加することにより、粘度、表面張力などのインクの物性や、記録媒体に塗布した際の乾燥、浸透などの挙動を制御することができる。有機溶剤としては、例えば、2−ピロリドン類、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独または2種以上を用いることが可能である。
2−ピロリドン類とは、2―ピロリドン骨格を有する化合物のことをいう。2−ピロリドン類としては、例えば、置換基を有していない2−ピロリドンの他に、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどの置換基を有する化合物が用いられる。2―ピロリドン骨格における置換基は、炭素数が1から5の、飽和または不飽和の炭化水素基などの有機基が好ましい。これらの中でも、インクの保存安定性および凝集物の発生を抑制する効果に優れている、2−ピロリドンを用いることがより好ましい。
2−ピロリドン類を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対して、0.9質量%以上、8.1質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、8質量%以下である。2−ピロリドン類の含有量を上記の範囲内とすることにより、定着剤や分散剤などに起因する凝集物の発生を抑えると共に、インクの粘度の増加を抑えて、インクの吐出安定性を向上させることができる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどが挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて、均一に濡らす作用に優れている。そのため、滲みを抑えた画像などを形成することができる。1,2−アルカンジオール類を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対して、1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。多価アルコール類をインクに添加することよって、インクジェットヘッドの吐出ノズル内におけるインクの乾燥固化を抑制して、吐出ノズルの目詰まりや吐出不良などを低減することができる。多価アルコール類を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対して、2質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルやアルキレングリコールジエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
グリコールエーテル類をインクに添加することよって、記録媒体に対する濡れ性や浸透速度を調整できるため、画像や模様などを鮮明に形成することができる。グリコールエーテル類を添加する場合の含有量は、インクの全質量に対して、0.05質量%以上、6質量%以下であることが好ましい。
<水>
インクは、水性(水系)、油性(溶剤系)に大別される。水性のインクでは、水が主な媒体であり、油性インクでは、有機溶剤などが主な媒体であって、水は意図的には配合されない。インクでは、用途や用いる記録媒体に応じて、水性と油性とが使い分けられている。
水性のインクに用いる水としては、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、ならびに超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが用いられる。また、紫外線照射や過酸化水素の添加などによって滅菌した水を使用すると、インクを長期間保存する場合に、カビやバクテリアの発生を抑制することができる。水性インクに含まれる水の含有量は、特に限定されないが、インクの全質量に対して、例えば、45質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%、以上95質量%以下であり、さらにより好ましくは55質量%以上、90質量%以下である。
<その他の成分>
本実施形態のインクには、その他の成分として、界面活性剤、pH調整剤などを添加してもよい。
界面活性剤は、インクの表面張力を低下させて、記録媒体に対する濡れ性を向上させる機能を有している。界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc.社)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上商品名、日信化学工業社)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上商品名、川研ファインケミカル社)などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物を用いることが好ましい。ポリシロキサン化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましい。例えば、BYK−340(以上商品名、BYK社)などが挙げられる。
pH調整剤は、水性のインクにおいて用いられる。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば有機塩基、無機塩基が挙げられる。これらのpH調整剤を用いて、インクのpHを7.5以上、10.5以下の範囲に調整することが好ましい。
有機塩基としては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミンなどのアルカノールアミン類が挙げられる。ここで、これらの有機塩基の含有量は、例えば、インクの全質量に対して0.1質量%から3質量%程度である。
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である強塩基が挙げられる。これらの無機塩基含有量は、例えば、インクの全質量に対して、およそ0.03質量%以上、0.15質量%以下である。
上述した成分の他に、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、キレート化剤などの種々の添加剤を適宜用いてもよい。
<インクの調製>
本実施形態のインクは、上述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することにより、調製することが可能である。また、顔料、および樹脂や分散剤などを含む顔料分散液を調製してから、該顔料分散液を用いてインクを調製してもよい。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、材料を順次添加して撹拌、混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過などが採用可能である。
インクは、単色で用いてもよいし、記録媒体に塗布、付着させると異なる色を呈する複数種を組み合わせて、インクセットとして用いてもよい。インクセットとして用いることにより、カラーの画像などを形成して、所望の色調が得られやすくなる。
次に、本実施形態に係る記録方法について、塗布装置としてインクジェットプリンターを用いた、インクジェット法によるインクジェット記録方法を例に挙げ、図面を参照して説明する。
<塗布装置>
図1は、実施形態に係る塗布装置としてのインクジェットプリンターを示す概略斜視図である。本実施形態では、インクカートリッジがキャリッジに搭載されたオンキャリッジタイプのインクジェットプリンターを例に挙げて説明する。なお、図1においては、各部材を認識可能な程度の大きさとするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
インクジェットプリンター1(以降、単に「プリンター1」ともいう。)は、いわゆるシリアルプリンターと呼ばれているものである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにインクジェットヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってインクジェットヘッドが移動しながら印刷を行うプリンターをいう。
プリンター1は、図1に示すように、インクジェットヘッド3、キャリッジ4、主走査機構5、プラテンローラー6、プリンター1全体の動作を制御する制御部(図示せず)を有している。キャリッジ4は、インクジェットヘッド3を搭載すると共に、インクジェットヘッド3に供給されるインクが収容された、容器としてのインクカートリッジ7a,7b,7c,7dを着脱可能である。
主走査機構5は、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト8、タイミングベルト8を駆動するモーター9、ガイド軸10を有している。ガイド軸10は、キャリッジ4の支持部材として、キャリッジ4の走査方向(主走査方向)に架設されている。キャリッジ4は、タイミングベルト8を介してモーター9によって駆動され、ガイド軸10に沿って往復移動が可能である。これにより、主走査機構5は、キャリッジ4を主走査方向に往復移動させる機能を有している。
プラテンローラー6は、インクが塗布される記録媒体としての印刷用メディア2を、上記主走査方向と直交する副走査方向(印刷用メディア2の長さ方向)に、搬送する機能を有している。そのため、印刷用メディア2は副走査方向に搬送される。また、インクジェットヘッド3が搭載されるキャリッジ4は、印刷用メディア2の幅方向と略一致する主走査方向に往復移動が可能であり、インクジェットヘッド3は印刷用メディア2に対して、主走査方向および副走査方向へ、相対的に走査が可能となっている。
インクカートリッジ7a,7b,7c,7dは、独立した4つのインクカートリッジ(インク容器)である。インクカートリッジ7a,7b,7c,7dには、上述したインクが収容される。例えば、インクカートリッジ7a,7b,7c,7dに、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を呈するインクを個別に収容して、任意に組み合わせてインクセットとして用いることが可能である。図1では、インクカートリッジの数を4個としているが、これに限定されるものではない。インクカートリッジ7a,7b,7c,7dの底部には、収容されたインクをインクジェットヘッド3へ供給するための供給口(図示せず)が、設けられている。
インクカートリッジ7aからインクカートリッジ7dには、インクに含まれる成分の蒸発やインクに変質が起こりにくい部材を用いることが好ましい。本実施形態では、インク容器としてインクカートリッジを例に挙げたが、これに限定されない。インクが収容される容器としては、インクカートリッジの他に、インクパック、インクボトルなどを用いてもよい。これらのインク容器の形成材料は、特に限定されず、インクに侵されにくく、物性などの特性が変化しにくいものが好ましい。例えば、加工の容易さ、軽量さなどから、樹脂を用いることが好ましい。
インクジェットヘッド3は、印刷用メディア2と対向する面にノズル面(図示せず)を有している。ノズル面には、フッ素化合物およびシリコーン化合物を含む高分子膜、またはニッケルおよびフッ素化合物を含む共析メッキ膜などを、撥インク膜として形成してもよい。また、ノズル面には、複数の吐出ノズル(図示せず)からなるノズル列(図示せず)が各色インクに対応して個別に配置されている。各色インクは、それぞれインクカートリッジ7a,7b,7c,7dからインクジェットヘッド3に供給され、インクジェットヘッド3内のアクチュエーター(図示せず)によって、吐出ノズルから液滴として吐出される。吐出されたインク滴は印刷用メディア2に着弾し、画像、色彩、文字、模様などが印刷用メディア2に形成される。
ここで、インクジェットヘッド3では、アクチュエーター(駆動手段)として圧電素子を用いているが、この方式に限定されない。例えば、アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、加熱によって生じる気泡によってインクを液滴として吐出させる電気熱変換素子を用いてもよい。
本実施形態では、インクジェットプリンターとしてオンキャリッジタイプのプリンター1を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、インクカートリッジなどのインク容器がキャリッジに搭載されない、ラージフォーマットプリンターのようなオフキャリッジタイプのインクジェットプリンターであってもよい。また、本発明に用いられるインクジェットプリンターは、上述したシリアルプリンターに限定されるものではなく、インクジェットヘッドが印刷用メディア2の幅と同等以上に広く形成され、インクジェットヘッドが移動せずに記録動作を行うラインヘッドプリンターであってもよい。
印刷用メディア2は、用途や用いるインクジェットインクの種類に応じて、適宜選択される。印刷用メディア2としての記録媒体には、例えば、水性インクの浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(インクジェット専用紙)、アート紙、コート紙、キャスト紙などの紙類、天然繊維や化学繊維を用いた布帛、油性インクに好適な、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製フィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウムなどの金属または合金製のプレート、ガラス、セラミックなどの無機物のプレート、金属などを含む無機物の薄膜が表面に形成された樹脂製フィルムなどの非吸収性記録媒体が適用可能である。
上記記録媒体の中で、本実施形態のインクは、セルロースを含む記録媒体への記録に用いることが好ましい。樹脂によって、セルロースに対する顔料の定着性が向上する。そのため、セルロースを含む記録媒体に対して、顔料の脱落の発生を抑制して、記録物の擦過性や耐久性をさらに向上させることができる。セルロースを含む記録媒体としては、綿、麻、レーヨン、キュプラ、リヨセルなどのセルロース系繊維を含む記録媒体が挙げられる。記録媒体の形態としては、例えば、上述した紙類、布帛などが挙げられる。
また、印刷用メディア2は、紙、綿、麻の1種以上を含む記録媒体への記録に用いることが好ましい。紙、綿、麻は、セルロースを含むことから、これらを含む記録媒体に対して、顔料の定着性を向上させることができる。また、セルロースを含む天然繊維に限らず、布帛の捺染に用いると、定着剤の含有量の低減が可能であることから、定着剤に起因する布帛表面のこわばりが抑えられる。そのため、従来よりも、捺染物(記録物)の手触りや肌触りが改善され、風合いを向上させることができる。布帛の形態としては、例えば、織物、編物、不織布などが挙げられ、これらを、衣類やその他の服飾品などとしたものが挙げられる。具体的には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー、壁紙などのファーニチャー類、布看板、横断幕などの掲示物の他、縫製前の部品としての裁断前後の布地なども含まれる。布地の形態としては、ロール状に巻かれた長尺のもの、所定の大きさに切断されたもの、商品形状のものなどが挙げられる。
<記録方法>
次に、記録方法として、インクジェット法を適用した、本実施形態のインクおよびプリンター1(図1参照)によるインクジェット記録方法について説明する。本実施形態の記録方法は、本実施形態のインクを記録媒体へ付着させる塗布工程を備えている。
塗布工程では、プリンター1のインクジェットヘッド3から、印刷用メディア2に対してインクの液滴(インク滴)を塗布する。このとき、インク滴を、所定のタイミングで間欠的に、かつ所定の質量で吐出させることにより、印刷用メディア2にインク滴を付着させ、所望の画像、文字、模様、色彩などのデザインが形成(記録)される。
印刷用メディア2として布帛を用いる場合には、前工程として、布帛に前処理液を塗布する前処理工程を設けてもよい。前処理液としては、布帛に塗布されたインクの浸透、乾燥などの挙動を補助、変化させるもの、インクとの反応性を有し、発色性や摩擦堅ろう性などを向上させるもの、などが用いられる。前処理液の塗布方法としては、例えば、浸漬、スプレー、インクジェット法などが挙げられる。また、後工程として、布帛の加熱工程、布帛の洗浄および乾燥工程を設けてもよい。
布帛の加熱工程では、布帛に塗布されたインクに加熱を施す。加熱工程はインク滴を乾燥させると共に、架橋剤をインクに添加した場合に、架橋剤の架橋反応を促進させるために行う。加熱工程の加熱方法としては、特に限定されないが、例えば、ヒートプレス法、常圧スチーム法、高圧スチーム法、サーモフィックス法などが挙げられる。また、加熱の熱源としては、特に限定されないが、例えば赤外線(ランプ)などが挙げられる。
加熱工程の加熱温度は、架橋剤を添加した場合に、架橋剤の反応特性に応じて適宜設定される。例えば、ブロックイソシアネート化合物におけるブロック剤の解離温度や、カルボジイミド化合物の反応温度以上とすることが好ましい。これにより、架橋反応が促進される。架橋剤を添加しない場合には、加熱温度は特に限定されないが、例えば、100℃以上、200℃以下であることが好ましく、より好ましくは、150℃以上、180℃以下である。加熱温度をこのような範囲とすることにより、布帛への熱ダメージを抑え、インクの乾燥や定着を促進することができる。なお、上記加熱温度とは、布帛に形成された画像などのデザインの表面温度のことをいい、例えば、非接触温度計IT2−80(商品名、キーエンス社)を用いて測定することができる。また、加熱温度を印加する加熱時間は、特に限定されないが、例えば、30秒以上、20分以下とすることができる。
洗浄および乾燥工程では、布帛を水洗、乾燥する。水洗においては、必要に応じ、ソーピング処理として、布帛に定着しなかったインクの成分などを、熱石鹸液などを用いて洗い流してもよい。
印刷用メディア2として、非吸収性記録媒体を用いる場合には、後工程として、付着(塗布)されたインク滴の乾燥を促進するために、インク滴の乾燥工程を設けてもよい。インク滴の乾燥工程の乾燥手段は、特に限定されないが、油性インク用のラージフォーマットプリンターなどに備えられている、プラテンヒーターやアフターヒーターなどが採用可能である。
なお、本実施形態では、液状組成物としてインクジェットインクを例に挙げ、その記録方法として、インクジェットプリンターを用いたインクジェット記録方法について説明したが、これに限定されない。本発明の液状組成物は、例えば、オフセット印刷やスクリーン印刷などのアナログ印刷、手塗工などの、インクジェット法以外の記録方法(塗布方法)にも採用することが可能である。
以上に述べたように、本実施形態に係る樹脂、顔料分散液、インク、記録方法によれば、以下の効果を得ることができる。
普通紙や綿などのセルロースを含む記録媒体に対して、顔料の定着性を向上させることができる。イミダゾリウム塩構造は、セルロースを溶解する作用を有しているため、イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、セルロースの表面を溶かしながら、くいつくように定着する。したがって、該樹脂を含むことによってアンカー効果が増大し、従来よりも、記録物における顔料の定着性を向上させることができる。
セルロース構造は、普通紙や綿などに含まれるセルロースに対して、分子構造が類似であることから、比較的に親和性が高い。そのため、セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂は、セルロースを含む記録媒体の表面に濡れ広がりやすくなる。これにより、親和性の高さに加えて、該樹脂とセルロースとの接触面積(定着面積)が拡大されて、従来よりも、記録物における顔料の定着性を向上させることができる。
紙、綿、麻などの記録媒体の記録に用いることにより、顔料の定着性がさらに向上する。また、綿や麻を含む布帛の捺染に用いると、定着剤の含有量の低減が可能であることから、定着剤に起因する布帛表面のこわばりが抑えられる。そのため、従来よりも、捺染物(記録物)の手触りや肌触りが改善され、風合いを向上させることができる。
樹脂を分散剤として用い、顔料に吸着させるか、顔料を包含してカプセル化させて、顔料分散液を形成すると、樹脂と顔料とが離れにくくなり、顔料の分散安定性や定着性が向上する。樹脂の疎水性部が顔料の表面側に、樹脂の親水性部が水性のインクの媒体側に、それぞれ配向して、顔料の分散性安定性がより向上する。
高精細で、顔料の定着性が向上し、外観品質を従来よりも長く維持することが可能な記録方法を提供することができる。また、インク粘度の増加が抑制されてインクジェットヘッドからの吐出安定性が向上するため、塗布工程において、従来よりもインクジェットプリンターを安定的に稼働させることができる。
以下に、本実施形態の樹脂、顔料分散液、インク、記録方法について、実施例と比較例とを示し、本実施形態の効果をより具体的に説明する。
<樹脂の製造>
[樹脂1]
イミダゾリウム塩構造を繰り返し単位中に有する樹脂として、樹脂1を製造した。具体的には、まず、アクリルクロイド40ミリモルとトリエチルアミン48ミリモルとを、THF(テトラヒドロフラン)に加えて、0℃に冷却しながら撹拌して溶解した。そこへ、8−クロロ−1−オクタノールのTHF溶液を加えて、12時間撹拌した。この溶液を、ジクロロメタンおよび炭酸水素ナトリウムの混合溶液と混合した後、ジクロロメタンを用いて複数回の抽出操作を行った。抽出液を濃縮した後、カラムクロマトグラフィーにて精製を施して、8−ブロモ−1−アクリロイルオキシオクタンを得た。次に、8−ブロモ−1−アクリロイルオキシオクタン19ミリモルとメチルイミダゾール23ミリモルとを混合して、約20℃で12時間撹拌した。この混合物をエーテルで希釈し、飽和食塩水での洗浄、およびカラムクロマトグラフィーでの精製を施して、単量体(モノマー)の塩化物を得た。この塩化物をアセトニトリルに溶解し、過剰のテトラフルオロほう酸銀を加えて72時間撹拌した。その後、ろ過およびカラムクロマトグラフィーでの精製を施して、モノマー1を得た。
アルルアミン20ミリモル、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.02ミリモル、2−シアノプロプ−2−イル−ジチオベンゾエート0.02ミリモルを、トルエン10mlに加えて、65℃で5時間撹拌した。この溶液に、20ミリモルのモノマー1をトルエン2mlに溶解した溶液を加えて、5時間撹拌した。その後、溶液の温度を約20℃まで冷却してから、メタノールを用いた再沈殿操作を数回行って、下記式(3)の樹脂1を得た。樹脂1においては、下記式(3)に示すように、イミダゾリウム塩構造を含む繰り返し単位には、アクリルクロイドのアクリロイル基に由来する構造が含まれている。また、樹脂1は、アクリルクロイド、アリルアミンの重合反応に由来する炭素鎖、イミダゾリウム塩構造などの疎水性部と、アリルアミンのアミノ基に由来する親水性部とを含んでいる。
Figure 2018141065
(式(4)において、l(エル)、mは、それぞれ独立に、30以上、80以下の正数である。)
[樹脂2]
セルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂として、樹脂2を製造した。具体的には、まず、下記式(4)に示すセルロース誘導体10g、THF200ml、トリエチルアミン10mlを混合、撹拌して溶液とした。この溶液へ、アクリルクロイド4mlを溶かしたTHF10mlを、0℃で1時間かけて徐々に滴下した。次いで、約20℃で約20時間撹拌した後、この反応溶液を大量の水と混合した。相分離した有機層を、水および飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムして脱水してから、ろ過を施して濃縮した。その後、アセトンおよびメタノールの混合溶媒を用いて再結晶化し、モノマー2を得た。
Figure 2018141065
(式(5)において、Acはアセチル基であり、nは2以上、100以下の正数である。)
アルルアミン20ミリモル、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.02ミリモル、2−シアノプロプ−2−イル−ジチオベンゾエート0.02ミリモルを、トルエン10mlに加えて、65℃で5時間撹拌した。この溶液に、2ミリモルのモノマー2をトルエン2mlに溶解した溶液を加えて、5時間撹拌した。その後、溶液の温度を約20℃まで冷却してから、メタノールを用いた再沈殿操作を数回行って、下記式(5)の樹脂2を得た。樹脂2においては、下記式(5)に示すように、セルロース構造を含む繰り返し単位に、アクリルクロイドのアクリロイル基に由来する構造が含まれている。また、樹脂2は、アクリルクロイド、アリルアミンの重合反応に由来する炭素鎖などの疎水性部と、アリルアミンのアミノ基、セルロース構造(β−グルコース)などに由来する親水性部とを含んでいる。
Figure 2018141065
(式(6)において、Acはアセチル基であり、nは2以上、100以下の正数であり、o、pは、それぞれ独立に、30以上、80以下の正数である。)
<顔料分散液およびインクの調整>
実施例1から実施例9、および比較例1、比較例2のインクを調製して評価を行った。表1は、実施例および比較例のインクの組成を示したものである。表1において、数値の単位は質量%である。数値の記載がない、「−」表記の欄は、含有しないことを意味する。なお、実施例および比較例のインクは、水性インクである。
まず、表1において、顔料、成分α(樹脂1または樹脂2)またはアクリル樹脂(他の分散剤)、一部の水を用いて、顔料分散液を作製した。具体的には、顔料分散液における顔料の含有量が15質量%となるように、かつ、成分αまたはアクリル樹脂と顔料との質量比が、表1の比となるように、水(イオン交換水)全量のうちの一部を配合して混合した。その後、ビーズミルを用いて10時間の分散処理を施して、実施例および比較例の各顔料分散液を得た。
なお、実施例7においては、成分αを顔料分散液の作製には用いず、アクリル樹脂、顔料、水により顔料分散液を作製し、インクジェットインクの調製段階にて、成分αを後添加で配合した。
次に、顔料分散液と残りの成分が表1の組成となるように混合し、マグネティックスターラーにて2時間の撹拌を施した。その後、メンブレンフィルター(ポアサイズ5μm)でろ過を行い、ゴミや粗大粒子を除いて、実施例および比較例のインクジェットインクを調製した。
ここで、表1の成分のうち、顔料としては、シアン系のC.I.ピグメントブルー15:3を、成分αとしては、樹脂1または樹脂2を、架橋剤としては、ブロックイソシアネート化合物の市販品 フィクサーN(松井色素化学工業社)を、他の分散剤としては、アクリル系樹脂のDISPERBYK−2010(ビックケミー社)を、他の定着剤としては、樹脂微粒子の市販品 スーパーフレックス470(ウレタン樹脂エマルション、第一工業製薬社)、またはカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の市販品 セロゲン5A(第一工業製薬社)を、有機溶剤としては、ジエチレングリコールおよび1,2−ヘキサンジオールを、界面活性剤としては、BYK−348(ビックケミー社)を、pH調整剤としては、トリエタノールアミンを、水としては、イオン交換水を、それぞれ用いた。
Figure 2018141065
ここで、以下に述べるGPC(Gel Permeation Chromatography)法により、実施例で用いた成分α(樹脂1および樹脂2)の重量平均分子量を測定した。GPC測定装置として、HLC−8320GPC(東ソー社)を、カラムとして、カラム:TSKgel Super Multipore HZ−M、ガードカラム:TSKgel Guardcolumn Super MP(HZ)−M、リファレンスカラム:TSKgel Super HRC(いずれも東ソー社)を、それぞれ用いた。移動相(溶媒)としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いて、ポリスチレンを標準ポリマーとして測定を行い、重量平均分子量を求めた。その結果、樹脂1および樹脂2のいずれも、重量平均分子量が約15000であった。
また、プロトンNMR(Nuclear Magnetic Resonance)のピーク面積から、イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を含む繰り返し単位と、それ以外の繰り返し単位との質量比を計算した。その結果、樹脂1においては、イミダゾリウム塩構造を含む繰り返し単位(式(3)において繰り返し数をmで表した部位)と、アリルアミンに由来する繰り返し単位(式(3)において繰り返し数をl(エル)で表した部位)との重量比は、およそ50対50であった。樹脂2においては、セルロース構造を含む繰り返し単位(式(5)において繰り返し数をpで表した部位)と、アリルアミンに由来する繰り返し単位(式(5)において繰り返し数をoで表した部位)との重量比は、およそ50対50であった。
実施例1のインクは、成分α(樹脂1)を用いた組成である。実施例1において、成分αは、顔料を被覆してカプセル化顔料とすることで、分散剤としても機能している。
実施例2のインクは、実施例1の組成に、架橋剤(フィクサーN)を追加した組成である。
実施例3のインクは、実施例1の樹脂1に代えて、樹脂2を用いた組成である。実施例3において、成分αは、顔料を被覆してカプセル化顔料とすることで、分散剤としても機能している。
実施例4のインクは、実施例3に、架橋剤を追加した組成である。
実施例5のインクは、実施例2に樹脂微粒子(スーパーフレックス470)を追加した組成である。
実施例6のインクは、実施例4に樹脂微粒子(スーパーフレックス470)を追加した組成である。
実施例7のインクは、実施例1に他の分散剤(DISPERBYK−2010)を追加した組成である。実施例7では、上述した通り、樹脂1を顔料分散液の調製段階では使用せず、インクの調製段階で添加した。そのため、実施例7における樹脂1は、分散剤としては殆ど機能せず、定着剤として機能する。
実施例8のインクは、実施例3の樹脂2の含有量を、3質量%に変更した組成である。
実施例9のインクは、実施例3の樹脂2の含有量を、0.5質量%に変更した組成である。
比較例1のインクは、実施例1の樹脂1に代えて、他の分散剤(DISPERBYK−2010)を用いた組成である。
比較例2のインクは、比較例1に、樹脂微粒子(スーパーフレックス470)を追加した組成である。
<評価>
実施例および比較例のインクについて、以下の評価を行った。
[粒度分布測定]
インクの調製直後における、顔料の分散性の指標として、粒度分布測定を行った。具体的には、粒径測定システムELSZ−1000(大塚電子社)を用いて、25℃(における体積基準粒度分布D1(50%)を測定し、以下の基準に従って評価した。その結果を表2に示した。
A:D1(50%)が、100nm以下。
B:D1(50%)が、100nm超、300nm以下。
C:D1(50%)が、300nm超。
[保存安定性試験]
インクの保存安定性の指標として、60℃にて5日間放置した後の、粒度分布測定を行った。具体的には、インクを30mlのガラス管瓶に入れて密封して、60℃に温度調節した恒温槽に5日間投入した。次いで、恒温槽から取り出してから25℃まで放冷して、上記の粒度分布測定と同様に、体積基準粒度分布D2(50%)を測定した。上項の体積基準粒度分布D1(50%)からD2(50%)への変化量△D(50%)を計算し、以下の基準に従って評価した。その結果を表2に示した。
A:△D(50%)が、D1(50%)の10%未満。
B:△D(50%)が、D1(50%)の10%以上、30%未満。
C:△D(50%)が、D1(50%)の30%以上、40%未満。
D:△D(50%)が、D1(50%)の40%以上。
[吐出安定性試験]
インクの吐出安定性の指標として、吐出安定性試験を行った。具体的には、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社)を用いて、同機用インクカートリッジにインクを充填し、記録媒体(上質紙:北越紀州製紙社)にベタ印刷(塗布)した。印刷条件は、記録解像度を1440×1440dpi(dots per inch)、インクの塗布量を7mg/sq.in.とし、印刷環境は、35℃、55%RH(Relative Humidity)とした。試験開始直前に、ノズルチェックパターンを印刷して、インクジェットヘッドの全ての吐出ノズルが正常に吐出していることを確認した。次いで、上記条件にて、連続的に印刷を実施した。180分間の連続印刷の直後に、再びノズルチェックパターンを印刷して、正常に吐出されない吐出ノズルの発生数(吐出不良ノズル数)を調べた。全吐出ノズル数に対する、吐出不良ノズル数の割合を計算して、以下の基準に従って評価した。その結果を表2に示した。
A:吐出不良ノズルの発生がない。
B:吐出不良ノズルの発生があり、その割合が10%以下。
C:吐出不良ノズルの発生があり、その割合が10%超。
[耐押圧試験]
記録媒体に対する顔料の定着性の指標として、色移りの程度を耐押圧試験で評価した。具体的には、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社)を用いて、同機用インクカートリッジにインクを充填し、記録媒体(上質紙:北越紀州製紙社)にベタ印刷した。印刷条件は、記録解像度1440×1440dpi、インクジェットインクの塗布量7mg/sq.in.とした。次いで、印刷後、記録媒体を約20℃で24時間放置してから、記録媒体の印刷を施した領域に対して、金巾3号(綿白布)を置き、さらに上から25000N/m2の荷重を30秒間かけた。その後、金巾3号を記録媒体から剥がして、記録媒体から金巾3号へのインクジェットインク(顔料)の色移りを目視で観察した。色移りの程度を以下の基準に従って評価し、結果を表2に示した。
A:色移りが見られない。
B:軽微な色移りが見られる。
C:顕著(遠目にて認識可能)な色移りが見られる。
[摩擦堅ろう性試験]
擦過に対するインクの堅ろう性(顔料の定着性)の指標として、JIS L 0849(摩擦に対する染色堅ろう性試験方法)に準拠し、摩擦試験機2型(学振式試験機)を用いて摩擦堅ろう性試験を行った。具体的には、まず、下記の記録媒体1から記録媒体4をA4サイズに裁断し、両面テープにて上質紙(北越紀州製紙社製)に貼り付けた。これは、記録媒体として紙類などを用いるインクジェットプリンターに布帛を用いると、搬送不良が起きる可能性があり、そのための対応である。なお、記録媒体1および記録媒体2はセルロースを含み、記録媒体3および記録媒体4はセルロースを含まない。
記録媒体1:綿布帛(北越紀州製紙社製)
記録媒体2:麻生地(タケミクロス社製)
記録媒体3:ポリエステル生地(コスモテキスタイル社)
記録媒体4:シルクハンカチ(アバサ社)
次に、各記録媒体に対して、耐押圧試験と同じ条件にて、ベタ印刷を行った。その後、上質紙および両面テープを剥離し、145℃で10分間の加熱を施して試料とした。この試料を用いて摩擦堅ろう性試験を行って、以下の基準に従って評価し、結果を表2に示した。
A:4−5級から5級。
B:2−3級から4級。
C:1−2級。
Figure 2018141065
表2に示したように、実施例1から実施例9のインクは、耐押圧試験において、全て「好適」に相当するA評価となった。また、セルロースを含む布帛である綿(記録媒体1)および麻(記録媒体2)の摩擦堅ろう性試験において、A評価または、「適」に相当するB評価となった。これにより、成分αを含むインクは、紙、綿、麻といったセルロースを含む記録媒体に対して、定着性が優れていることが示された。特に、実施例7の結果から、成分αは、分散剤としてではなく定着剤として用いても、定着性を向上させる効果を有することが分かった。また、樹脂1を用いた実施例1、2、5、7は、ポリエステル(記録媒体3)および絹(記録媒体4)に対してもB評価となり、定着性が確保されることが示された。樹脂2を用いた場合では、実施例6のように、樹脂微粒子を併用することでB評価となり、定着性が確保されることが分かった。
実施例1から実施例9のインクは、粒度分布測定において、AまたはB評価となった。また、吐出安定性試験において、AまたはB評価となった。これにより、実施例1から実施例9では、初期の顔料分散性に優れ、インクの吐出安定性が向上することが示された。保存安定性試験においては、実施例5および実施例6以外は、A評価またはB評価となり、保存安定性が向上することが分かった。実施例5および実施例6は、樹脂微粒子を5質量%含有しており、樹脂微粒子によって保存安定性が影響を受けることが分かった。
これに対して、比較例1および比較例2は、成分αを含まないため、粒度分布測定以外でA評価が得られなかった。特に、樹脂微粒子を含有しない比較例1では、耐押圧試験および摩擦堅ろう性試験の全ての記録媒体において、「不適」に相当するC評価となり、顔料の定着性が、実施例より劣ることが分かった。比較例2は、樹脂微粒子を6質量%含有しているが、耐押圧試験および摩擦堅ろう性試験(記録媒体1,2)において、実施例6(樹脂微粒子を5質量%含有)より劣る結果となった。また、比較例2は、樹脂微粒子の含有により、保存安定性が「著しく不適」に相当するD評価となり、保存安定性が確保できないことが分かった。
1…塗布装置としてのインクジェットプリンター、2…印刷用メディア、3…インクジェットヘッド、4…キャリッジ、5…主走査機構、6…プラテンローラー、7a,7b,7c,7d…インクカートリッジ、8…タイミングベルト、9…モーター、10…ガイド軸。

Claims (13)

  1. イミダゾリウム塩構造またはセルロース構造を繰り返し単位中に有する樹脂と、
    顔料と、を含む液状組成物。
  2. セルロースを含む記録媒体への記録に用いるインク組成物であるか、前記インク組成物の調製に用いる顔料分散液である、請求項1に記載の液状組成物。
  3. 紙、綿、麻の1種以上を含む、前記記録媒体への記録に用いる、請求項2に記載の液状組成物。
  4. 前記樹脂によって、前記顔料の少なくとも一部が被覆された、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液状組成物。
  5. 前記樹脂は、前記顔料に吸着し、または前記顔料を包含してカプセル化し、前記顔料分散液を形成する、請求項4に記載の液状組成物。
  6. 前記樹脂は、親水性部と疎水性部とを含む、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液状組成物。
  7. 前記樹脂は、前記繰り返し単位中に、(メタ)アクリロイル基に由来する構造をさらに有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の液状組成物。
  8. 架橋剤を含む、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液状組成物。
  9. 樹脂微粒子を含み、
    前記樹脂微粒子の含有量が、前記液状組成物の全質量に対して5質量%以下である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の液状組成物。
  10. インクジェット法に用いられるインクジェットインク組成物である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の液状組成物。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の液状組成物を、記録媒体へ付着させる工程を備えた、記録方法。
  12. インクジェット法を適用したインクジェット記録方法である、請求項11に記載の記録方法。
  13. イミダゾリウム塩構造、またはセルロース構造を繰り返し単位中に有し、顔料を含むインク組成物または前記顔料を含む顔料分散液に用いるものである、樹脂。
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