JP2018145366A - ブロック共重合体、分散体、インク組成物、および分散体の製造方法 - Google Patents

ブロック共重合体、分散体、インク組成物、および分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間の保存において、分散安定性を向上させるブロック共重合体、分散体、インク組成物、および分散体の製造方法を提供すること。【解決手段】本発明のブロック共重合体は、保護基で保護されたイソシアネート基、ビニル基のいずれかの官能基を末端に有する単量体、またはアジド基を末端に有する単量体およびエチニル基を末端に有する単量体としての重合性モノマーAと、エチレンオキシド鎖、リン酸基、スルホ基、およびカルボキシ基の群から選ばれる構造または官能基を末端に有する単量体、またはN−イソプロピルアクリルアミドのいずれかの重合性モノマーBと、を重合してなる。【選択図】なし

Description

本発明は、ブロック共重合体、分散体、インク組成物、および分散体の製造方法に関する。
従来、高分子化合物を用いて、染料や顔料などの色材をカプセル化し、水などの媒体に対する分散性を付与する技術が知られていた。例えば、特許文献1には、カプセル化した染料粒子の作製方法が提案されている。また、特許文献2には、自己分散顔料と、有機高分子化合物によって顔料を被覆したマイクロカプセルとの2種類の着色剤を用いたインクが提案されている。
特開2003−292860号公報 特開2006−160819号公報
しかしながら、特許文献1に記載の作製方法、および特許文献2に記載のインクでは、長期間の保存において、分散安定性を確保しにくいという課題があった。詳しくは、分散染料や微細化した顔料などの比較的に微細な色材粒子を用いると、それらを余すところなくカプセル化することが難しかった。そのため、長期間の保存において、分散安定性が低下しやすく、色材の凝集物や結晶物が発生するおそれがあった。すなわち、分散染料や微細化した顔料などの微細な粒子のカプセル化に適した高分子化合物が求められていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例]本適用例に係るブロック共重合体は、保護基で保護されたイソシアネート基、ビニル基、アジド基、およびエチニル基の群から選ばれる官能基を末端に有する重合性モノマーAと、エチレンオキシド鎖、リン酸基、スルホ基、およびカルボキシ基の群から選ばれる構造または官能基を末端に有する単量体、またはN−イソプロピルアクリルアミドのいずれかの重合性モノマーBと、を重合してなる。
本適用例によれば、長期間の保存において、分散安定性を向上させるブロック共重合体を提供することができる。詳しくは、重合性モノマーAからは疎水性部が、重合性モノマーBからは親水性部が、それぞれ形成される。これらの疎水性部と親水性部とが連鎖状のブロックで形成されるため、分子構造における親水性と疎水性とを有する部位が、ランダム共重合体と比べて明確に区分される。そのため、色材との間で強い相互作用が得られやすく、分散染料や微細化した顔料などの微細な色材粒子のカプセル化に用いても、従来と比べて、被覆が密で強固なカプセルが形成される。これにより、分散安定性を長期間にわたって維持することができる。したがって、インク組成物に含まれる分散体などに、好適に用いることができる。
重合性モノマーAとして、保護基で保護されたイソシアネート基、ビニル基のいずれかの官能基を末端に有する単量体を用いると、重合性モノマーAから形成される疎水性部には、重合性モノマーAに由来する熱反応性の官能基が含まれる。そのため、色材をカプセル化した後に加熱を施すことによって、疎水性部に架橋構造を形成することができる。
重合性モノマーAとして、アジド基を末端に有する単量体およびエチニル基を末端に有する単量体を併用すると、アジド基とエチニル基とのヒュスゲン環化反応によってトリアゾール環構造が形成される。トリアゾール環構造は、π共役を有することから、同様にπ共役を有する染料や顔料などの色材との間に、強い相互作用が発生する。これにより、従来と比べて、被覆が密で強固なカプセルが形成される。
上記適用例に記載のブロック共重合体は、重合性モノマーAと、重合性モノマーBと、さらに、ナフタレン環またはインドール環のいずれかの縮合環構造を有する重合性モノマーCと、を重合してなることが好ましい。
これによれば、重合性モノマーCから、縮合環構造を有する連鎖状のブロックが形成される。分散染料の多くは、分子中に芳香環構造や構造を有するため、このような分散染料や同様な構造を有する顔料との間で、さらに強い相互作用が得られる。これにより、さらに強固なカプセルが形成可能となり、分散安定性がさらに向上する。
[適用例]本適用例に係る分散体は、分散染料と水とを含み、分散染料の粒子表面の少なくとも一部分が、上記適用例に記載のブロック共重合体によって被覆されている。
本適用例によれば、分散染料の粒子表面に、上記ブロック共重合体の疎水性部が相互作用によって配向して被覆され、媒体(水)側に親水性部が配向してミセルが形成される。また、分子中に芳香環構造や縮合環構造を有する分散染料に対しては、さらに、縮合環構造を有するブロックが分散染料の粒子表面に配向するため、分散染料の粒子表面の被覆がさらに密に形成される。これらにより、分散染料の分散体として、従来よりも、長期間の保存などにおける分散安定性を向上させることができる。
ブロック共重合体と分散染料との相互作用が向上するため、分散体中へ遊離する分散剤(ブロック共重合体)の量が低減される。そのため、従来の分散剤と比べて、分散体の粘度を低く抑えることができる。
上記適用例に記載の分散体において、ブロック共重合体は、重合性モノマーAに由来する架橋構造を有することが好ましい。
これによれば、分散染料の粒子を包含する被覆層において、靱性を向上させることができる。そのため、分散染料の粒子表面から被覆が脱落しにくくなり、長期間の保存などにおける分散安定性をいっそう向上させることができる。また、重合性モノマーAから形成される疎水性部に架橋構造が形成されるため、親水性部に架橋構造を形成する場合と比べて、色材粒子のカプセルが小さく、かつ柔らかくなる。そのため、該分散体をインクジェットインクに用いれば、インクジェットヘッドにおける目詰まりの発生を低減することができる。
[適用例]本適用例に係るインク組成物は、上記適用例に記載の分散体を含む。
本適用例によれば、従来よりも長期間の保存における分散安定性が向上した、分散染料を含むインク組成物を提供することができる。すなわち、分散染料に由来する結晶性の異物や、分散染料粒子の凝集物などの発生が抑えられたインク組成物を提供することができる。また、インクジェットインクとして用いれば、分散安定性に優れることから、インクジェットヘッドからの吐出安定性を向上させることができる。
[適用例]本適用例に係る分散体の製造方法は、分散染料の粒子表面の少なくとも一部分を、上記適用例に記載のブロック共重合体によって被覆する被覆工程と、被覆工程の後に、ブロック共重合体に架橋構造を形成する加熱工程と、を含む。
本適用例によれば、分散染料の粒子表面を上記ブロック共重合体によって被覆した後に、被覆層である上記ブロック共重合体に架橋構造が形成される。したがって、架橋構造を有しない、主鎖が直鎖状の上記ブロック共重合体で、まず分散染料の粒子が被覆される。そのため、架橋構造を有する高分子化合物によって被覆する場合と比べて、分散染料の粒子表面が密に被覆される。これは、架橋構造に由来する三次元の網目構造は、嵩高く立体障害が大きいため。粒子表面に密に配向しにくいことに起因する。
また、分散染料の粒子表面を被覆した後に架橋構造が形成されるため、主鎖が直鎖状の高分子化合物を用いた被覆と比べて、被覆層の靱性が向上して被覆が脱落しにくくなる。以上によって、分散染料の粒子表面を、従来よりも密に、かつ強固に被覆することができる。すなわち、長期間の保存などにおける分散安定性をいっそう向上させた、分散染料の分散体を製造することができる。
実施形態に係るインクジェットプリンターを示す概略斜視図。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も、本発明に含まれる。
(実施形態)
<ブロック共重合体>
本実施形態に係るブロック共重合体について、具体例を挙げて説明する。ブロック共重合体は、複数種の単量体(重合性モノマー)から生成される重合体の1種であって、同種の単量体が構成する高分子鎖がブロック状に複数種連結した構造を有する。
本実施形態に係るブロック共重合体は、保護基で保護されたイソシアネート基、ビニル基、アジド基、およびエチニル基の群から選ばれる官能基を末端に有する重合性モノマーAと、エチレンオキシド鎖、リン酸基、スルホ基、およびカルボキシ基の群から選ばれる構造または官能基を末端に有する単量体、またはN−イソプロピルアクリルアミドのいずれかの重合性モノマーBと、を重合してなる。
また、本実施形態のブロック共重合体は、重合性モノマーAと、重合性モノマーBと、さらに、ナフタレン環またはインドール環のいずれかの縮合環構造を有する重合性モノマーCと、を重合してなることが好ましい。
[重合性モノマーA]
保護基で保護されたイソシアネート基とは、いわゆるブロック剤を付加させることによって、マスクされたイソシアネート基を指す。イソシアネート基は、マスクされることによって活性(反応性)が抑えられるが、熱処理にてブロック剤を解離させると、イソシアネート基本来の活性が再生される。ブロック剤としては、イソシアネート基がマスクされれば特に限定されず、公知のブロック剤が適用可能である。このようなブロック剤としては、例えば、フェノールなどのフェノール系化合物、ε−カプロラクタムなどの2級アミン系化合物、メチルエチルケトオキシム(MEKO)などのオキシム系化合物、ジエチルマロネート(DEM)などのβ−ジケトン系化合物、3,5−ジメチルピラゾール(DMP)などのピラゾール系またはトリアゾール系化合物などが挙げられる。
重合性モノマーAは、上述した保護基で保護されたイソシアネート基、ビニル基(−CH=CH2)のいずれかの官能基を末端に有する単量体、またはアジド基(−N3)を末端に有する単量体およびエチニル基(−C≡CH)を末端に有する単量体の混合物であって、それらの単量体は、分子構造中にさらに他の重合性基を有している。他の重合性基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基などの炭素−炭素二重結合を含む重合性基が挙げられる。ここで、重合性モノマーAのうち、保護基で保護されたイソシアネート基を末端に有するものを重合性モノマーA1、アジド基を末端に有するものを重合性モノマーA2、エチニル基を末端に有するものを重合性モノマーA3、ビニル基を末端に有するものを重合性モノマーA4とする。なお、重合性モノマーA4においては、上述した他の重合性基のうち、ビニル基は含まれない。
本明細書では、アクリロイル基とメタクリロイル基とを総称して「(メタ)アクリロイル基」と表記することとし、同様な構造を有する化合物、官能基についても同様に表記する。
重合性モノマーA1としては、特に限定されず、例えば、下記式(1)、(2)、(3)に示す化合物、メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレートなどが挙げられる。また、重合性モノマーA1として、市販品を採用してもよい。このような市販品としては、例えば、カレンズMOI−BM(登録商標)、カレンズMOI−BP(登録商標)(以上、昭和電工社)などが挙げられる。
Figure 2018145366
(式(1)において、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。)
Figure 2018145366
(式(2)において、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。)
Figure 2018145366
(式(3)において、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。)
重合性モノマーA2としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸6−ヘキシルアジドなどを含む、下記式(4)に示す化合物などが挙げられる。
Figure 2018145366
(式(4)において、R7は水素原子またはメチル基であり、nは2以上、10以下の整数である。)
重合性モノマーA3としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸3−ブチニルなどを含む、下記式(5)に示す化合物などが挙げられる。
Figure 2018145366
(式(5)において、R8は水素原子またはメチル基であり、mは2以上、10以下の整数である。)
重合性モノマーA4としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸5−ヘキセニルなどを含む、下記式(6)に示す化合物などが挙げられる。
Figure 2018145366
(式(6)において、R9は水素原子またはメチル基であり、pは2以上、10以下の整数である。)
[重合性モノマーB]
重合性モノマーBは、N−イソプロピルアクリルアミド、またはエチレンオキシド鎖、リン酸基、スルホ基、およびカルボキシ基の群から選ばれる構造または官能基を末端に有する単量体である。N−イソプロピルアクリルアミド以外の重合性モノマーBは、さらに他の重合性基を有する。他の重合性基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基などの炭素−炭素二重結合を含む重合性基が挙げられる。ここで、重合性モノマーBのうち、N−イソプロピルアクリルアミドを重合性モノマーB1、エチレンオキシド鎖を末端に有するものを重合性モノマーB2、リン酸基を末端に有するものを重合性モノマーB3、スルホ基を末端に有するものを重合性モノマーB4とする。
重合性モノマーB2としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸オリゴオキシエチレンなどを含む、下記式(7)に示す化合物などが挙げられる。
Figure 2018145366
(式(7)において、R10は水素原子またはメチル基であり、qは3以上、20以下の整数である。)
重合性モノマーB3としては、特に限定されず、例えば、アクリロイルオキシリン酸などを含む、下記式(8)に示す化合物などが挙げられる。
Figure 2018145366
(式(8)において、R11は水素原子またはメチル基である。)
重合性モノマーB4としては、特に限定されず、例えば、下記式(9)に示す化合物などが挙げられる。
Figure 2018145366
(式(9)において、R12は水素原子またはメチル基である。)
[重合性モノマーC]
重合性モノマーCは、ナフタレン環またはインドール環のいずれかの縮合環構造に加えて、重合性基を有する。重合性基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基などの炭素−炭素二重結合を含む重合性基が挙げられる。ここで、重合性モノマーCのうち、ナフタレン環を有するものを重合性モノマーC1、インドール環を有するものを重合性モノマーC2とする。
重合性モノマーC1としては、特に限定されず、例えば、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどが挙げられる。
重合性モノマーC2としては、特に限定されず、例えば、2−ビニルインドール、3−ビニルインドール、4−ビニルインドールなどが挙げられる。
上述した重合性モノマーA、B、Cを用いて、本実施形態のブロック共重合体を製造する。具体的には、それぞれのホモポリマーを作製した後、それらを連結させて製造する方法、何れか1つのホモポリマーを作製した後、そこに他の1つの重合性モノマーからなる主鎖を繋げて作製し、さらに残りの重合性モノマーからなる主鎖を繋げて製造する方法が採用可能である。これらの製造方法においては、重合性モノマーA、B、Cが有する、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基などの重合性基に対して、ラジカル重合開始剤を用いて重合反応を促進させる。このとき、ラジカル重合開始剤に加えて、連鎖移動剤を併用してもよい。
本実施形態のブロック共重合体には、分散体を形成した後に、架橋構造を形成してもよい。これにより、ブロック共重合体の靱性が向上し、ブロック共重合体による被膜の強度が向上する。ブロック共重合体の架橋構造は、重合性モノマーAに由来する官能基などを用いて形成される。
具体的には、重合性モノマーA1を用いた場合には、熱処理によって保護基で保護されたイソシアネート基からブロック剤を解離させる。これにより、活性化されたイソシアネート基と水酸基との反応によってアミン基が生成し、さらにアミン基が他のイソシアネート基と反応して、ウレタン結合が架橋構造として形成される。ここで、水酸基は、分散染料や顔料の表面に存在するもの、または分散体やインク組成物に含まれる水などに由来する。
重合性モノマーAとして、重合性モノマーA2および重合性モノマーA3を併用した場合には、重合性モノマーA2の分子構造中のアジド基と、重合性モノマーA3の分子構造中のエチニル基と、をヒュスゲン環化反応させることによって、トリアゾール環構造が形成される。トリアゾール環構造は、π共役を有することから、同様にπ共役を有する染料や顔料などの色材との間に、強い相互作用が発生する。これにより、従来と比べて、被覆が密で強固なカプセルが形成される。
重合性モノマーA4を用いた場合には、(メタ)クリロイル基とビニル基とでは前者の反応性が勝るため、ブロック共重合体を形成した場合に、ビニル基が残存する。そのため、テトラメチルジシロキサンなどの2官能のヒドロシランを架橋剤として用いると、ビニル基のヒドロシリル化反応によって架橋構造が形成される。
<分散体>
次に、本実施形態に係る分散体について説明する。本実施形態の分散体は、分散染料と水とを含み、分散染料の粒子表面の少なくとも一部分が、上述したブロック共重合体によって被覆されている。また、本実施形態の分散体において、該ブロック共重合体は、重合性モノマーAに由来する架橋構造を有することが好ましい。
[分散染料]
分散染料は、分子構造中に強い親水性基を有しないため、水に対して難溶性または不溶性を示す。そのため、分散染料は、粒子状とされ、分散剤を用いて水などの分散媒中に分散させて用いられる色材である。分散染料には、加熱によって昇華性を示す、昇華性染料が含まれる。分散染料、とりわけ昇華性染料は、発色性や洗濯堅ろう性などに優れることから、アセテート、ポリエステル、ポリアミドなどの合成繊維を形成材料とする布帛などの染色(捺染)に好適に用いられる。
分散染料としては、特に限定されず、例えば、C.I.(Colour Index Generic Name)ディスパースブルー3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、C.I.ディスパースレッド1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、C.I.ディスパースイエロー3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、C.I.ディスパースブラック1、3、10、24、C.I.ディスパースオレンジ1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、C.I.ディスパースバイオレット1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、C.I.ディスパースグリーン9、C.I.ディスパースブラウン1、2、4、9、13、19などが挙げられる。これらの分散染料を、1種単独、または複数種を組み合わせて用いる。
分散体における分散染料の含有量は、特に限定されないが、分散体の全質量に対して、例えば、0.5質量%以上、10質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、5質量%以下であり、さらに好ましくは、2質量%以上、5質量%以下である。分散染料の含有量を上記の範囲内とすることにより、分散体の粘度の増大を抑えると共に、分散体を含むインク組成物を印刷に用いた場合に、印刷物の発色を向上させることができる。
分散染料の平均粒子径は、70nm以上、180nm以下であることが好ましい。より好ましくは、100nm以上、150nm以下であり、さらに好ましくは110nm以上、140nm以下である。平均粒子径を上記の範囲とすることにより、印刷物の発色を向上させると共に、分散体やインク組成物において沈降の発生を抑えることができる。
なお、本明細書では、「平均粒子径」とは、特にことわりのない限り、体積基準粒度分布(50%)を指すものとする。平均粒子径の測定方法は、JIS Z8825に記載の動的光散乱法やレーザー回折光法で求めることができる。例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
[その他の色材]
上述した分散染料に代えて、顔料を用いてもよい。顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料のいずれも採用可能である。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料などの多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキ顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロムなどの金属酸化物顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
具体的には、例えば、黒色インク組成物用としては、C.I.ピグメントブラック1、7、11が挙げられる。カラーインク組成物用としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、155、180、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101、104、105、106、108、112、114、122、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
これらの顔料の平均粒子径は、300nm以下が好ましく、より好ましくは150nm以下であり、さらにより好ましくは50nm以上、100nm以下の範囲である。顔料の平均粒子径を上記の範囲とすることにより、分散体の粘度の増大を抑えると共に、分散体を含むインク組成物を印刷に用いた場合に、印刷物の発色を向上させることができる。また、本実施形態のブロック共重合体は、平均粒子径が50nm以上、100nm以下の、比較的に微細化された顔料に対して好適に用いることができる。
分散体に顔料を用いる場合の含有量は、特に限定されないが、分散体の全質量に対して、例えば、1質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、5質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下である。顔料の含有量を上記の範囲内とすることにより、分散体の粘度の増大を抑えると共に、分散体を含むインク組成物を印刷に用いた場合に、印刷物の発色を向上させることができる。
[水]
水は、本実施形態の分散体の主な媒体である。水としては、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水、ならびに超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが採用可能である。また、紫外線照射や過酸化水素の添加などによって滅菌した水を使用すると、分散体やインク組成物を長期間保存する場合に、カビやバクテリアの発生を抑制することができる。
[その他の成分]
分散体に含まれるその他の成分として、分散体の製造時に用いる有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤としては、特に限定されず、公知の有機溶剤が採用可能である。このような有機溶剤はインク組成物にも含まれるため、具体例については後述する。
<分散体の製造方法>
上述した、ブロック共重合体および各成分を用いて、本実施形態の分散体を製造する。本実施形態の分散体の製造方法は、分散染料の粒子表面の少なくとも一部分を、請求項2に記載のブロック共重合体によって被覆する被覆工程を含む。
被覆工程では、ビーズミルやホモジナイザーなどの分散機を用いて、上述した分散染料および他の成分を混合して分散処理を施す。これにより、分散染料の粒子表面が、ブロック共重合体によって被覆される。このとき、分散染料の粒子表面に、ブロック共重合体の疎水性部が相互作用によって配向して被覆され、媒体(水)側に親水性部が配向してミセルが形成される。また、重合性モノマーCを用いると、分子中に芳香環構造や縮合環構造を有する分散染料の場合には、重合性モノマーCに由来する縮合環構造を有するブロックが、分散染料の粒子表面に配向する。そのため、分散染料の粒子表面の被覆がさらに密に形成される。
ここで、分散体におけるブロック共重合体の含有量は、特に限定されないが、例えば、色材としての分散染料または顔料の全質量に対して、0.2質量%以上、10質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、2質量%以下である。色材に対するブロック共重合体の含有量を上記の範囲内とすることにより、分散体や該分散体を用いたインク組成物において、色材の分散安定性を向上させると共に、遊離するブロック共重合体の量を低減して、分散体またはインク組成物の粘度の増大を抑えることができる。
さらに、本実施形態の分散体製造方法は、上記の被覆工程の後に、ブロック共重合体に架橋構造を形成する加熱工程を含むことが好ましい。被覆工程にて、分散染料の粒子表面にブロック共重合体の被覆を形成した後に、加熱工程にて熱処理を施す。これによって、分散染料を被覆しているブロック共重合体に、架橋構造が形成される。このとき、必要に応じて架橋剤や反応助剤を添加して、熱処理を行ってもよい。
被覆工程の後に架橋構造を形成するため、架橋構造を有しない、主鎖が直鎖状のブロック共重合体で、まず分散染料の粒子が被覆される。これにより、架橋構造を有する高分子化合物によって被覆する場合と比べて、分散染料の粒子表面が密に被覆される。その後、加熱工程にて架橋構造を形成するため、架橋構造を有しない被覆と比べて、被覆層の靱性が向上して被覆が脱落しにくくなる。
<インク組成物>
本実施形態に係るインク組成物について、インクジェット方式に用いられるインクジェットインク組成物(以降、単に「インク組成物」ともいう。)を例に挙げて説明する。インクジェット方式とは、インクジェットプリンター(塗布装置)などのインクジェットヘッドの吐出ノズルから、微小なインクの液滴を吐出して、記録媒体などに付着させる印刷方法である。
本実施形態に係るインク組成物は、本実施形態の分散体を含む。以下、上述した分散体の他に、インク組成物に含まれる各成分について説明する。
[有機溶剤]
本実施形態のインク組成物には、有機溶剤を添加してもよい。有機溶剤を添加することにより、粘度、表面張力などのインク組成物の物性や、記録媒体などに塗布した際の乾燥、浸透などの挙動を制御することができる。有機溶剤としては、例えば、2−ピロリドン類、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、グリコールエーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独または2種以上を用いることが可能である。
2−ピロリドン類とは、2―ピロリドン骨格を有する化合物のことをいう。2−ピロリドン類としては、例えば、置換基を有していない2−ピロリドンの他に、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどの置換基を有する化合物が用いられる。2―ピロリドン骨格における置換基は、炭素数が1から5の、飽和または不飽和の炭化水素基などの有機基が好ましい。これらの中でも、インクの保存安定性および凝集物の発生を抑制する効果に優れている、2−ピロリドンを用いることがより好ましい。
2−ピロリドン類を添加する場合の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.9質量%以上、8.1質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、8質量%以下である。2−ピロリドン類の含有量を上記の範囲内とすることにより、定着剤や分散剤などの樹脂に起因する凝集物の発生を抑えると共に、インク組成物の粘度の増大を抑えて、インク組成物の吐出安定性を向上させることができる。
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどが挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて、均一に濡らす作用に優れている。そのため、滲みを抑えた画像などを形成することができる。1,2−アルカンジオール類を添加する場合の含有量は、インク組成物の全質量に対して、1質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。多価アルコール類をインク組成物に添加することよって、インクジェットヘッドの吐出ノズル内におけるインク組成物の乾燥固化を抑制して、吐出ノズルの目詰まりや吐出不良などを低減することができる。多価アルコール類を添加する場合の含有量は、インク組成物の全質量に対して、2質量%以上、20質量%以下であることが好ましい。
グリコールエーテル類としては、例えば、アルキレングリコールモノエーテルやアルキレングリコールジエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールモノエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
アルキレングリコールジエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。
グリコールエーテル類をインク組成物に添加することよって、記録媒体などに対する濡れ性や浸透速度を調整できるため、画像や模様などを鮮明に形成することができる。グリコールエーテル類を添加する場合の含有量は、インク組成物の全質量に対して、0.05質量%以上、6質量%以下であることが好ましい。
[その他の成分]
本実施形態のインク組成物には、その他の成分として、界面活性剤、pH調整剤、定着剤などを添加してもよい。
界面活性剤は、インク組成物の表面張力を低下させて、記録媒体に対する濡れ性を向上させる機能を有している。界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などを用いることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA、DF110D(以上商品名、Air Products and Chemicals, Inc.社)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上商品名、日信化学工業社)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上商品名、川研ファインケミカル社)などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、特に限定されないが、ポリシロキサン系化合物を用いることが好ましい。ポリシロキサン化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサンが挙げられる。ポリエーテル変性オルガノシロキサンの市販品としては、例えば、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、BYK社)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学工業社)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましい。例えば、BYK−340(以上商品名、BYK社)などが挙げられる。
pH調整剤は、本実施形態のインク組成物のような、水系インク組成物に用いられる。pH調整剤としては、特に限定されないが、例えば有機塩基、無機塩基が挙げられる。これらのpH調整剤を用いて、水系インク組成物のpHを7.5以上、10.5以下の範囲に調整することが好ましい。
有機塩基としては、例えば、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、トリ−iso−プロパノールアミンなどのアルカノールアミン類が挙げられる。ここで、これらの有機塩基の含有量は、例えば、インク組成物の全質量に対して0.1質量%から3質量%程度である。
無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物である強塩基が挙げられる。これらの無機塩基含有量は、例えば、インク組成物の全質量に対して、およそ0.03質量%以上、0.15質量%以下である。
定着剤として、水溶性の樹脂を用いてもよい。記録媒体に対する定着性や、インク組成物が形成する塗膜の強度を向上させる機能を有し、該塗膜の耐擦傷性や、インク組成物を捺染用途に用いた場合に洗濯堅ろう性を改善させる効果がある。水溶性の樹脂としては特に限定されないが、例えば、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどやこれらの塩が挙げられる。
上述した成分の他に、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、キレート化剤などの種々の添加剤を適宜用いてもよい。
[インク組成物の調製]
本実施形態のインク組成物は、上述した成分を任意の順序で混合し、必要に応じてろ過などを実施して不純物や異物などを除去することにより、調製することが可能である。各成分の混合方法としては、メカニカルスターラー、マグネティックスターラーなどの撹拌装置を備えた容器に、各成分を順次添加して撹拌、混合する方法が用いられる。ろ過方法としては、遠心ろ過、フィルターろ過などが採用可能である。
ここで、分散染料を用いる場合の分散染料の含有量は、特に限定されないが、インク組成物の全質量に対して、例えば、0.5質量%以上、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、25質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以上、20質量%以下である。分散染料の濃度が、上記の範囲内となるように、インク組成物に含まれる分散体の含有量を調節する。分散染料の含有量を上記の範囲内とすることにより、記録媒体などに形成する画像などの発色を確保すると共に、インク組成物の粘度上昇や、インクジェットヘッドにおける目詰まりの発生を抑えることができる。
顔料を用いる場合の顔料の含有量は、特に限定されないが、インク組成物の全質量に対して、例えば、0.1質量%以上、30質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1質量%以上、20質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以上、15質量%以下である。顔料の含有量を上記の範囲内とすることにより、記録媒体などに形成する画像などの発色を確保すると共に、インク組成物の粘度上昇や、インクジェットヘッドにおける目詰まりの発生を抑えることができる。
水は、インク組成物の全質量に対して、例えば、45質量%以上が好ましく、より好ましくは50質量%、以上95質量%以下であり、さらにより好ましくは55質量%以上、90質量%以下である。
インク組成物の表面張力は、25℃において、10mN/m以上、40mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN/m以上、40mN/m以下であり、さらに好ましくは、20mN/m以上、35mN/m以下である。25℃の表面張力を、上記の範囲とすることにより、インクジェット方式にて印刷を行う場合に、インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出安定性が向上する。また、記録媒体などに対する浸透や濡れ広がりが調節されて鮮明な画像などを形成することができる。なお、インク組成物の表面張力は、自動表面張力計CBVP−Z(協和界面科学社)を用いて測定することが可能である。
インク組成物の粘度は、20℃において、2mPa・s(ミリパスカル秒)以上、15mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、2mPa・s以上、10mPa・s以下であり、さらに好ましくは、3mPa・s以上、6mPa・s以下である。20℃の粘度を、上記の範囲とすることにより、インクジェット方式にて印刷を行う場合に、インクジェットヘッドからのインク組成物の吐出安定性が向上する。また、記録媒体や布帛に対する浸透や濡れ広がりが調節されて鮮明な画像などを形成することができる。なお、インク組成物の粘度は、粘弾性試験機MCR−300(Pysica社)を用いて測定することができる。具体的には、インク組成物の温度を20℃に調整し、Shear Rateを10から1000に上げ、Shear Rateが200のときの粘度を読み取ることにより測定することが可能である。
インク組成物のpHは、6.0以上、11.0以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、6.5以上、10.0以下であり、さらに好ましくは、7.0以上、10.0以下である。また、インク組成物の製造直後から貯蔵時に至るまで、上記のpH範囲にあることが好ましい。これにより、経時変化によるインク組成物のpH変化を抑制することができる。ここで、製造直後とは、インク組成物の製造後24時間以内のことを指し、貯蔵時とは、インクカートリッジなどのインク容器に充填した後から、インクジェットヘッドから吐出されるまでの期間を指す。
インク組成物は、単色で用いてもよいし、記録媒体に塗布、付着させると異なる色を呈する複数種を組み合わせて、インクセットとして用いてもよい。インクセットとして用いることにより、カラーの画像などを形成して、所望の色調が得られやすくなる。
次に、本実施形態のインク組成物を用いた記録方法について、インクジェットプリンターを用いた、インクジェット方式による記録方法を例に挙げ、図面を参照して説明する。
<インクジェットプリンター>
図1は、実施形態に係るインクジェットプリンターを示す概略斜視図である。本実施形態では、インクカートリッジがキャリッジに搭載されたオンキャリッジタイプのインクジェットプリンターを例に挙げて説明する。なお、図1においては、各部材を認識可能な程度の大きさとするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
インクジェットプリンター1(以降、単に「プリンター1」ともいう。)は、いわゆるシリアルプリンターと呼ばれているものである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにインクジェットヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってインクジェットヘッドが移動しながら印刷を行うプリンターをいう。
プリンター1は、図1に示すように、インクジェットヘッド3、キャリッジ4、主走査機構5、プラテンローラー6、プリンター1全体の動作を制御する制御部(図示せず)を有している。キャリッジ4は、インクジェットヘッド3を搭載すると共に、インクジェットヘッド3に供給されるインク組成物が収容された、容器としてのインクカートリッジ7a,7b,7c,7dを着脱可能である。
主走査機構5は、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト8、タイミングベルト8を駆動するモーター9、ガイド軸10を有している。ガイド軸10は、キャリッジ4の支持部材として、キャリッジ4の走査方向(主走査方向)に架設されている。キャリッジ4は、タイミングベルト8を介してモーター9によって駆動され、ガイド軸10に沿って往復移動が可能である。これにより、主走査機構5は、キャリッジ4を主走査方向に往復移動させる機能を有している。
プラテンローラー6は、インク組成物が塗布される記録媒体2を、上記主走査方向と直交する副走査方向(記録媒体2の長さ方向)に、搬送する機能を有している。そのため、記録媒体2は副走査方向に搬送される。また、インクジェットヘッド3が搭載されるキャリッジ4は、記録媒体2の幅方向と略一致する主走査方向に往復移動が可能であり、インクジェットヘッド3は記録媒体2に対して、主走査方向および副走査方向へ、相対的に走査が可能となっている。
インクカートリッジ7a,7b,7c,7dは、独立した4つのインクカートリッジ(インク容器)である。インクカートリッジ7a,7b,7c,7dには、上述したインク組成物が収容される。例えば、インクカートリッジ7a,7b,7c,7dに、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を呈するインク組成物を個別に収容して、任意に組み合わせてインクセットとして用いることが可能である。図1では、インクカートリッジの数を4個としているが、これに限定されるものではない。インクカートリッジ7a,7b,7c,7dの底部には、収容されたインク組成物をインクジェットヘッド3へ供給するための供給口(図示せず)が、設けられている。
インクカートリッジ7aからインクカートリッジ7dは、本実施形態のような水系のインク組成物を収容する場合に、水分の蒸発やインク組成物に変質が起こりにくい部材を用いることが好ましい。本実施形態では、インク容器としてインクカートリッジを例に挙げたが、これに限定されない。インク組成物が収容される容器としては、インクカートリッジの他に、インクパック、インクボトルなどを用いてもよい。これらのインク容器の形成材料は、特に限定されず、インク組成物に侵されにくく、物性などの特性が変化しにくいものが好ましい。例えば、加工の容易さ、軽量さなどから、樹脂を用いることが好ましい。
インクジェットヘッド3は、記録媒体2と対向する面にノズル面(図示せず)を有している。ノズル面には、フッ素化合物およびシリコーン化合物を含む高分子膜、またはニッケルおよびフッ素化合物を含む共析メッキ膜などを、撥インク膜として形成してもよい。また、ノズル面には、複数の吐出ノズル(図示せず)からなるノズル列(図示せず)が各色インク組成物に対応して個別に配置されている。各色インク組成物は、それぞれインクカートリッジ7a,7b,7c,7dからインクジェットヘッド3に供給され、インクジェットヘッド3内のアクチュエーター(図示せず)によって、吐出ノズルから液滴として吐出される。吐出されたインク滴は記録媒体2に着弾し、画像、色彩、文字、模様などが記録媒体2に形成される。
ここで、インクジェットヘッド3では、アクチュエーター(駆動手段)として圧電素子を用いているが、この方式に限定されない。例えば、アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、加熱によって生じる気泡によってインク組成物を液滴として吐出させる電気熱変換素子を用いてもよい。
本実施形態では、インクジェットプリンターとしてオンキャリッジタイプのプリンター1を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、インクカートリッジ7aなどのインク容器がキャリッジに搭載されない、ラージフォーマットプリンターのようなオフキャリッジタイプのインクジェットプリンターであってもよい。また、本発明に用いられるインクジェットプリンターは、上述したシリアルプリンターに限定されるものではなく、インクジェットヘッドが記録媒体2の幅と同等以上に広く形成され、インクジェットヘッドが移動せずに塗布動作を行うラインヘッドプリンターであってもよい。
記録媒体2は、用途や用いるインク組成物の種類に応じて、適宜選択される。記録媒体2としては、特に限定されず、例えば、水系のインク組成物の浸透性が高い電子写真用紙などの普通紙、インクジェット用紙(インクジェット専用紙)、アート紙、コート紙、キャスト紙などの紙類、天然繊維や化学繊維を用いた布帛、非水系のインク組成物に好適な、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂製フィルムやプレート、鉄、銀、銅、アルミニウムなどの金属または合金製のプレート、ガラス、セラミックなどの無機物のプレート、金属などを含む無機物の薄膜が表面に形成された樹脂製フィルムなどの非吸収性記録媒体が挙げられる。なお、分散染料として昇華性染料を用いる場合には、普通紙、インク組成物の受容層を備えたインクジェット専用紙やコート紙などを転写媒体として用いてもよい。転写媒体を用いると、立体的な物品(記録媒体)に対して印刷を施すことができる。
<記録方法>
本実施形態のインク組成物およびプリンター1を用いた、記録方法について説明する。
本実施形態の記録方法は、インク組成物を記録媒体へ付着させる工程(塗布工程)を備えている。塗布工程では、プリンター1のインクジェットヘッド3から、記録媒体2に対してインク組成物のインク滴(液滴)を塗布する。このとき、インク滴を、所定のタイミングで間欠的に、かつ所定の質量で吐出させることにより、記録媒体2にインク滴を付着させ、所望の画像、文字、模様、色彩などのデザインが形成(記録)される。
分散染料として昇華性染料を用い、記録媒体2として転写媒体を採用した場合には、加熱により、転写媒体から記録媒体へ、インク組成物中の昇華性染料を転写させる転写工程を設ける。加熱温度は、160℃以上、220℃以下とすることが好ましい。加熱時間は加熱温度に対応して調節可能であり、特に限定されないが、例えば、30秒間以上、20分間以下とする。加熱温度および加熱時間を上記の範囲とすることにより、転写に要するエネルギーが抑制されると共に、記録媒体2に形成される画像などの発色を向上させることができる。
転写工程では、記録媒体2として、アセテート、ポリエステル、ポリアミドなどの布帛を用いることが好ましい。また、布帛の他には、樹脂フィルム、紙、ガラス、金属、陶器などを記録媒体として用いてもよい。布帛の他には、樹脂フィルム、紙、ガラス、金属、陶器などを記録媒体2として用いてもよい。
記録媒体2として布帛を用いる場合には、前工程として、布帛に前処理液を塗布する前処理工程を設けてもよい。前処理液としては、布帛に塗布されたインク組成物の浸透、乾燥などの挙動を補助、変化させるもの、インク組成物との反応性を有し、発色性や摩擦堅ろう性などを向上させるもの、などが用いられる。前処理液の塗布方法としては、例えば、浸漬、スプレー、インクジェット法などが挙げられる。
記録媒体2に布帛を用いた場合には、後工程として、布帛の洗浄および乾燥工程を設けてもよい。洗浄および乾燥工程では、布帛を水洗、乾燥する。水洗においては、必要に応じ、ソーピング処理として、布帛に染着しなかった染料や、布帛に定着しなかった顔料などを、熱石鹸液などを用いて洗い流してもよい。
なお、本実施形態では、インク組成物としてインクジェットインク組成物を例に挙げ、その記録方法として、インクジェットプリンターを用いたインクジェット方式について説明したが、これに限定されない。本発明のインク組成物は、例えば、オフセット印刷やスクリーン印刷などのアナログ印刷、手塗工などの、インクジェット方式以外の記録方法(塗布方法)にも採用することが可能である。
以上に述べたように、本実施形態に係るブロック共重合体、分散体、インク組成物、および分散体の製造方法によれば、以下の効果を得ることができる。
長期間の保存において、分散安定性を向上させるブロック共重合体を提供することができる。詳しくは、重合性モノマーAからは疎水性部が、重合性モノマーBからは親水性部が、それぞれ形成される。これらの疎水性部と親水性部とが連鎖状のブロックで形成されるため、分子構造における親水性と疎水性とを有する部位が、ランダム共重合体と比べて明確に区分される。そのため、色材との間で強い相互作用が得られやすく、分散染料や微細化した顔料などの微細な色材粒子のカプセル化に用いても、従来と比べて、被覆が密で強固なカプセルが形成される。これにより、分散安定性を長期間にわたって維持することができる。したがって、インク組成物に含まれる分散体などに、好適に用いることができる。
重合性モノマーCから、縮合環構造を有する連鎖状のブロックが形成される。分子中に芳香環構造や縮合環構造を有する、分散染料や同様な構造を有する顔料との間で、さらに強い相互作用が得られる。これにより、さらに強固なカプセルが形成可能となり、分散安定性がさらに向上する。
分散染料の粒子表面に、ブロック共重合体の疎水性部が相互作用によって配向して被覆され、媒体(水)側に親水性部が配向してミセルが形成される。また、分子中に芳香環構造や縮合環構造を有する分散染料に対しては、さらに、縮合環構造を有するブロックが分散染料の粒子表面に配向するため、分散染料の粒子表面の被覆がさらに密に形成されて、さらに強固なカプセルとなる。これらにより、分散染料の分散体として、従来よりも、長期間の保存などにおける分散安定性を向上させることができる。
ブロック共重合体と分散染料との相互作用が向上するため、分散体中へ遊離するブロック共重合体の量が低減される。そのため、従来の分散剤と比べて、分散体の粘度を低く抑えることができる。
重合性モノマーAとして、保護基で保護されたイソシアネート基、ビニル基のいずれかの官能基を末端に有する単量体を用いると、重合性モノマーAから形成される疎水性部には、重合性モノマーAに由来する熱反応性の官能基が含まれる。そのため、色材をカプセル化した後に加熱を施すことによって、疎水性部に架橋構造を形成することができる。
重合性モノマーAとして、アジド基を末端に有する単量体およびエチニル基を末端に有する単量体を併用すると、アジド基とエチニル基とのヒュスゲン環化反応によってトリアゾール環構造が形成される。トリアゾール環構造は、π共役を有することから、同様にπ共役を有する染料や顔料などの色材との間に、強い相互作用が発生する。これにより、従来と比べて、被覆が密で強固なカプセルを形成することができる。
分散染料の粒子表面をブロック共重合体によって被覆した後に、被覆層であるブロック共重合体に架橋構造が形成される。したがって、架橋構造を有しない、主鎖が直鎖状の上記ブロック共重合体で、まず分散染料の粒子が被覆される。そのため、架橋構造を有する高分子化合物によって被覆する場合と比べて、分散染料の粒子表面が密に被覆される。
分散染料の粒子表面を被覆した後に架橋構造が形成されるため、主鎖が直鎖状の高分子化合物を用いた被覆と比べて、被覆層の靱性が向上して被覆が脱落しにくくなる。以上によって、分散染料の粒子表面を、従来よりも密に、かつ強固に被覆することができる。すなわち、長期間の保存などにおける分散安定性をいっそう向上させた、分散染料の分散体を製造することができる。
従来よりも長期間の保存における分散安定性が向上した、分散染料を含むインク組成物を提供することができる。すなわち、分散染料に由来する結晶性の異物や、分散染料粒子の凝集物などの発生が抑えられたインク組成物を提供することができる。また、分散安定性に優れることから、インクジェットヘッドからの吐出安定性を向上させることができる。
以下に、本実施形態のブロック共重合体、分散体、分散体の製造方法、インク組成物について、実施例と比較例とを示し、本実施形態の効果をより具体的に説明する。
<ブロック共重合体の製造>
実施例用のブロック共重合体としてα1からα6、β1からβ15、δ1と、比較例用の重合体としてγ1からγ6とを、表1、表2、表3、表4に示した重合性モノマーの構成(組成)で調製した。表1から表4において、組成を示す欄における数値の単位はミリモル%であり、少数第1位以下を四捨五入して表示している。なお、表1から表4を含む、以降に示す表においては、表中に数値の記載がない「−」表記の欄は、含有しないことを意味する。
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実施例用として、重合性モノマーA1および重合性モノマーBの2つを用いたブロック共重合体の製造方法について、ブロック共重合体α1を例に挙げて説明する。まず、重合性モノマーA(A1)として、カレンズMOI−BP(登録商標)(昭和電工社)3.3ミリモル、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.02ミリモル、連鎖移動剤として2−{[(カルボキシメチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸0.1ミリモルを、トルエン14mLに溶解し、凍結脱気を3回行った後、60℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、約20℃で12時間の真空乾燥を行って重合体を得た。この重合体0.1ミリモル、重合性モノマーB(B1)としてN−イソプロピルアクリルアミド3.3ミリモル、AIBN0.02ミリモルを、トルエン14mLに溶解し、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、ろ過を行った。次いで、約20℃で12時間の真空乾燥を行って、重合性モノマーA1と重合性モノマーB1とからブロック共重合体α1を得た。
ブロック共重合体α2およびα3は、重合性モノマーBの種類を、表1に示した構成に変更して、ブロック共重合体α1と同様にして製造した。
重合性モノマーAとして重合性モノマーA2および重合性モノマーA3と、重合性モノマーBとを用いたブロック共重合体の製造方法について、ブロック共重合体α4を例に挙げて説明する。まず、重合性モノマーA3として、アクリル酸3−ブチニルを3.3ミリモル、重合性モノマーB(B1)としてN−イソプロピルアクリルアミド3.3ミリモル、ラジカル重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.02ミリモル、連鎖移動剤として2−{[(カルボキシメチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸0.1ミリモルを、トルエン14mLに溶解し、凍結脱気を3回行った後、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、約20℃で12時間の真空乾燥を行って重合体を得た。この重合体0.1ミリモル、重合性モノマーA2として、アクリル酸6−ヘキシルアジド3.3ミリモルを、トルエン14mLに溶解し、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、ろ過を行った。次いで、約20℃で12時間の真空乾燥を行って、重合性モノマーA2,A3と重合性モノマーB1とからブロック共重合体α4を得た。
ブロック共重合体α5およびα6は、重合性モノマーBの種類を、表1に示した構成に変更して、ブロック共重合体α4と同様にして製造した。
実施例用として、重合性モノマーA、重合性モノマーB、重合性モノマーCの3つを用いたブロック共重合体の製造方法について、ブロック共重合体β1を例に挙げて説明する。まず、ブロック共重合体α1を0.1ミリモル、重合性モノマーC(C1)として1−ビニルナフタレン3.3ミリモル、AIBN0.2ミリモルを、トルエン20mLに溶解し、凍結脱気を3回行った後、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、ろ過を行った。次いで、約20℃で12時間の真空乾燥を行って、重合性モノマーA1、重合性モノマーB1、重合性モノマーC1からブロック共重合体β1を得た。
ブロック共重合体β2からβ6およびブロック共重合体β10からβ15は、ブロック共重合体α1からα6を用い、重合性モノマーCの種類を、表2および表3に示した構成に変更して、ブロック共重合体β1と同様にして製造した。
ブロック共重合体δ1は、重合性モノマーA4としてアクリル酸5−ヘキセニルを、重合性モノマーB1としてN−イソプロピルアクリルアミドを、重合性モノマーC2として4−ビニルインドールを用いた他は、上述したブロック共重合体α1およびβ1と同様にして製造した。
比較例用として、重合性モノマーA、重合性モノマーB、重合性モノマーCのいずれか1つのみを用いた重合体γ1、γ2、γ3の製造方法について、重合体γ1を例に挙げて説明する。重合性モノマーA1として、カレンズMOI−BP(登録商標)(昭和電工社)3.3ミリモル、ラジカル重合開始剤としてAIBNを0.02ミリモル、連鎖移動剤として2−{[(カルボキシメチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸0.1ミリモルを、トルエン14mLに溶解し、凍結脱気を3回行った後、60℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、ろ過を行った。次いで、約20℃で12時間の真空乾燥を行って、重合性モノマーA1から重合体γ1を得た。
重合体γ2およびγ3は、重合性モノマーを表4に示した種類に変更し、重合体γ1と同様にして製造した。
重合体γ4は、重合体γ1の3.3ミリモル、重合性モノマーC(C1)として1−ビニルナフタレン3.3ミリモル、AIBN0.2ミリモルを、トルエン20mLに溶解し、凍結脱気を3回行った後、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、ろ過を行った。次いで、約20℃で12時間の真空乾燥を行って、重合性モノマーA1、重合性モノマーC1から重合体γ4を得た。重合体γ4は、重合性モノマーBを含まない重合体である。
重合体γ5は、重合性モノマーB(B1)としてN−イソプロピルアクリルアミド3.3ミリモル、ラジカル重合開始剤としてAIBNを0.02ミリモル、2−{[(カルボキシメチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸0.1ミリモルを、トルエン14mLに溶解し、凍結脱気を3回行った後、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、約20℃で12時間の真空乾燥を行って重合体を得た。この重合体3.3ミリモル、重合性モノマーC(C1)として1−ビニルナフタレン3.3ミリモル、AIBN0.2ミリモルを、トルエン20mLに溶解し、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、ろ過を行った。次いで、約20℃で12時間の真空乾燥を行って、重合性モノマーB1と重合性モノマーC1とから重合体γ5を得た。重合体γ5は、重合性モノマーAを含まない重合体である。
重合体γ5は、重合性モノマーA1として、カレンズMOI−BPを3.3ミリモル、重合性モノマーB(B1)としてN−イソプロピルアクリルアミド3.3ミリモル、ラジカル重合開始剤としてAIBN0.04ミリモル、連鎖移動剤として2−{[(カルボキシメチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸0.1ミリモルを、トルエン20mLに溶解し、凍結脱気を3回行った後、75℃で10時間の撹拌を行った。この反応溶液を濃縮し、少量のジクロロメタンで大量のメタノールへの再沈殿を3回繰り返した後、ろ過を行った。次いで、約20℃で12時間の真空乾燥を行って重合体γ6を得た。重合体γ6は、重合性モノマーAと重合性モノマーBとのランダム共重合体である。
実施例用のブロック共重合体α1からα6、β1からβ6、β10からβ15、δ1と、比較例用の重合体γ1からγ6について、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)法およびGPC(Gel Permeation Chromatography)法を用いて、構造の同定および重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの測定を行った。
NMR法により、ブロック共重合体α1からα6、β1からβ6、β10からβ15、δ1について、重合性モノマーAからCに由来する部位(セグメント)の割合を求めた。測定装置として、NMR Spectrometer Z(JEOL RESONANCE社)を用いた。外形5mmφのNMRチューブに、上記ブロック共重合体の約1mgを試料として入れ、さらに重クロロホルム0.7mLを加えて溶解してNMR測定を行った。得られた1H−NMRスペクトルから、各重合性モノマー由来のセグメントを算出した。その結果、ブロック共重合体α1からα6では、重合性モノマーAおよび重合性モノマーBの割合が、どちらも40%から50%の範囲であった。ブロック共重合体β1からβ16、β10からβ15、δ1では、重合性モノマーA,B,Cの割合が、いずれも25%から35%の範囲であった。
GPC法により、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを測定した。GPC測定装置として、HLC−8320GPC(東ソー社)を、カラムとして、カラム:TSKgel Super Multipore HZ−M、ガードカラム:TSKgel Guardcolumn Super MP(HZ)−M、リファレンスカラム:TSKgel Super HRC(いずれも東ソー社)を、それぞれ用いた。移動相(溶媒)としてテトラヒドロフランを用いて、ポリスチレンを標準ポリマーとして測定を行った。その結果、を表1から表4の物性の欄に記載した。ここで、Mwは10000から20000の範囲が好ましく、多分散度Mw/Mnは、1.1から2.0の範囲が好ましい。
<分散体の製造>
次に、表5から表11に示した組成にて分散体を製造した。実施例1から実施例18、および実施例37では、ブロック共重合体で分散染料の粒子を被覆した後に、ブロック共重合体に架橋構造を形成した。なお、表5から表11において、組成を示す欄における数値の単位は質量%であり、有効成分値で表記している。
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分散体およびインク組成物の製造方法について、実施例1を例に挙げて説明する。まず、分散剤としてブロック共重合体α1の2質量部、分散染料としてC.I.ディスパースレッド60の6質量部、1,2−ヘキサンジオールの1質量部を、超音波ホモジナイザーにて、テトラヒドロフラン中で約20分間の分散処理を施した。次に、エバポレーターを用いてテトラヒドロフランを留去して、イオン交換水を91質量部加えて混合した。その後、分散染料の粒子表面のブロック共重合体の被膜に架橋構造を形成するため、加熱工程として約70℃で約30分間の加熱処理を行った。これによって、分散染料濃度が6質量%、分散剤濃度が2質量%の実施例1の分散体を得た。
実施例1の分散体において、被覆を形成したブロック共重合体について架橋度を調査した。詳しくは、上述したNMR法を用いて、13C−NMRにより、残存するイソシアネート基の−C=N−構造を観察することで把握可能である。その結果、架橋度は15%であった。
実施例2から実施例18の分散体は、分散剤として用いるブロック共重合体を、表5から表7に示したものを用い、架橋構造を形成するための加熱工程の条件を、約100℃で約180分間とした他は、実施例1と同様にして製造した。実施例19から実施例37の分散体は、実施例1から実施例18とそれぞれ同様に途中まで製造し、架橋構造を形成するための加熱処理を省略した水準である。この加熱処理(加熱工程)の有無は、表5から表11の最下欄に記載した。
ここで、ブロック共重合体α4からα6を用いた実施例4から実施例6、ブロック共重合体β4からβ6を用いた実施例10から実施例12、ブロック共重合体β13からβ15を用いた実施例16から実施例18、のそれぞれの分散体について、NMR法を用いてトリアゾール環構造の有無を調べた。その結果、上記の全ての分散体において、トリアゾール環構造が形成されていることが確認された。すなわち、各ブロック共重合体において、アジド基とエチニル基とのヒュスゲン反応が進行し、架橋構造(トリアゾール環構造)が形成されたことが分かった。
実施例37の分散体は、ブロック共重合体δ1を用い、実施例1と同様にしてブロック共重合体δ1の被膜を形成した後、架橋剤としてテトラメチルジシロキサンを用いて、アクリル酸5−ヘキセニル由来のビニル基に架橋構造を形成した。テトラメチルジシロキサンは、分散剤に対して10質量%となるように添加し、加熱工程として約70℃で約30分間の加熱処理を行って、実施例37の分散体を得た。
比較例1の分散体は、表11に示したように、市販の分散剤として、アクリル系樹脂のDISPERBYK−2010(ビックケミー社)用いた。具体的には、DISPERBYK−2010の2質量部、分散染料としてC.I.ディスパースレッド60の6質量部、1,2−ヘキサンジオールの1質量部を、超音波ホモジナイザーにて、テトラヒドロフラン中で約20分間の分散処理を施した。次に、エバポレーターを用いてテトラヒドロフランを留去して、イオン交換水を91質量部加えて混合し、分散染料濃度が6質量%、分散剤濃度が2質量%の比較例1の分散体を得た。比較例2から比較例7の分散体は、表11に示した重合体γ1からγ6を用いて、実施例1と同様にして製造した。なお、比較例1、4、6については架橋構造形成のための加熱処理を省いた。
<インク組成物の製造>
次に、各分散体を用いて、表5から表11に示した組成となるように、マグネティックスターラーにて2時間の撹拌を施した。その後、メンブレンフィルター(ポアサイズ5μm)でろ過を行い、ゴミや粗大粒子を除いて、実施例および比較例のインク組成物を製造した。
ここで、表5から表11に示した成分のうち、定着剤として、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩の市販品 セロゲン5A(第一工業製薬社)を、界面活性剤として、BYK−348(ビックケミー社)を、pH調整剤として、トリエタノールアミンを、それぞれ用いた。
<評価>
実施例および比較例の各インクジェットインクについて、以下の評価を行った。
[異物]
保存安定性における異物発生の指標として、高温放置評価を行った。インク組成物の約30mlを、評価用インクパックに空気層がないように密閉状態で封入し、60℃で5日間放置した。その後、インクパックを開封して中のインク組成物10mlを金属メッシュフィルター(孔径10μm)でろ過し、金属メッシュフィルターに捕捉された結晶状異物の1mm四方あたりの個数を数えた。得られた個数に基づいて、以下の基準に従い、インクにおける異物の発生を評価した。その結果を表12から表18に示した。
A:1mm四方あたりの結晶状異物の個数が5個未満。
B:1mm四方あたりの結晶状異物の個数が5個以上、10個未満。
C:1mm四方あたりの結晶状異物の個数が10個以上、30個未満。
D:1mm四方あたりの結晶状異物の個数が30個以上。
[平均粒子径(製造直後)]
インク組成物の製造直後における、分散安定性の指標として、平均粒子径の測定を行った。具体的には、粒度分布計マイクロトラックUPA(日機装株式会社)を用いて、25℃における体積基準粒度分布D1(50%)を測定し、以下の基準に従って評価した。得られた平均粒子径データおよび評価結果を表12から表18に示した。
A:D1(50%)が、140nm以下。
B:D1(50%)が、140nm超、180nm以下。
C:D1(50%)が、180nm超。
[保存後の粒径変化]
長期間の保存における分散安定性の指標として、60℃にて5日間放置した後の、平均粒子径の測定を行った。具体的には、インク組成物を30mlのガラス管瓶に入れて密封して、60℃に温度調節した恒温槽に5日間投入した。次いで、恒温槽から取り出してから25℃まで放冷して、上記の平均粒子径と同様に、体積基準粒度分布D2(50%)を測定した。上項の体積基準粒度分布D1(50%)からD2(50%)への変化量△D(50%)を計算し、以下の基準に従って評価した。その結果を表12から表18に示した。
A:△D(50%)が、D1(50%)の10%未満。
B:△D(50%)が、D1(50%)の10%以上、30%未満。
C:△D(50%)が、D1(50%)の30%以上、40%未満。
D:△D(50%)が、D1(50%)の40%以上。
[吐出安定性試験]
インク組成物の吐出安定性の指標として、吐出安定性試験を行った。具体的には、インクジェットプリンターPX−G930(セイコーエプソン社)を用いて、同機用インクカートリッジにインク組成物を充填し、記録媒体(上質紙:北越紀州製紙社)にベタ印刷(塗布)した。印刷条件は、記録解像度を1440×1440dpi(dots per inch)、インク組成物の塗布量を7mg/sq.in.とし、印刷環境は、35℃、55%RH(Relative Humidity)とした。試験開始直前に、ノズルチェックパターンを印刷して、インクジェットヘッドの全ての吐出ノズルが正常に吐出していることを確認した。次いで、上記条件にて、連続的に印刷を実施した。180分間の連続印刷の直後に、再びノズルチェックパターンを印刷して、正常に吐出されない吐出ノズルの発生数(吐出不良ノズル数)を調べた。全吐出ノズル数に対する、吐出不良ノズル数の割合を計算して、以下の基準に従って評価した。その結果を表12から表18に示した。
A:吐出不良ノズルの発生がない。
B:吐出不良ノズルの発生があり、その割合が10%以下。
C:吐出不良ノズルの発生があり、その割合が10%超。
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表12から表17に示したように、実施例1から実施例37のインク組成物は、全ての試験において、「好適」に相当するA評価または「適」に相当するB評価となった。また、実施例1から実施例18、および実施例37では、ブロック共重合体に架橋構造を形成したことにより、60℃で5日後の粒径変化、および吐出安定性も含めて、全ての試験においてA評価となった。これらにより、長期間の保存における分散安定性が向上することが示された。また、異物の発生が低減されると共に、インクジェットヘッドにおける吐出安定性が向上することも示された。
これに対して、表18に示したように、比較例1から比較例7のインク組成物は、1つ以上の試験において、「不適」に相当するC評価となった。特に、比較例5および比較例6以外は、60℃で5日後の粒径変化がC評価となり、長期間の保存における分散安定性が実施例よりも劣ることが分かった。
1…インクジェットプリンター、2…記録媒体、3…インクジェットヘッド、4…キャリッジ、5…主走査機構、6…プラテンローラー、7a,7b,7c,7d…インクカートリッジ、8…タイミングベルト、9…モーター、10…ガイド軸。

Claims (6)

  1. 保護基で保護されたイソシアネート基、ビニル基、アジド基、およびエチニル基の群から選ばれる官能基を末端に有する重合性モノマーAと、
    エチレンオキシド鎖、リン酸基、スルホ基、およびカルボキシ基の群から選ばれる構造または官能基を末端に有する単量体、またはN−イソプロピルアクリルアミドのいずれかの重合性モノマーBと、を重合してなるブロック共重合体。
  2. 前記重合性モノマーAと、
    前記重合性モノマーBと、
    さらに、ナフタレン環またはインドール環のいずれかの縮合環構造を有する重合性モノマーCと、を重合してなる請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. 分散染料と水とを含み、
    前記分散染料の粒子表面の少なくとも一部分が、請求項2に記載のブロック共重合体によって被覆されている、分散体。
  4. 前記ブロック共重合体は、前記重合性モノマーAに由来する架橋構造を有する、請求項3に記載の分散体。
  5. 請求項3または請求項4に記載の分散体を含む、インク組成物。
  6. 分散染料の粒子表面の少なくとも一部分を、請求項2に記載のブロック共重合体によって被覆する被覆工程と、
    前記被覆工程の後に、前記ブロック共重合体に架橋構造を形成する加熱工程と、を含む分散体の製造方法。
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