JP2003201602A - カップ付き女性用衣類 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 着用時のバストシルエットを良好に保つこと
のできるノンワイヤ型のカップ付き女性用衣類を提供す
る。 【解決手段】 本発明に係るカップ付き女性用衣類は、
左右一対のノンワイヤ型のカップ部と、当該両カップ部
を連結する土台部とを備え、カップ部内に配置された成
型カップ２０の裏面の下辺部には、体幹屈曲点が位置す
る点Ｐ１からバストポイントが位置する点Ｐ２に向かっ
て末広がりの形状を有するカップ保形部２６が設けられ
ていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、ブラジャー等のカ
ップ付き女性用衣類に関する。

【０００２】

【従来の技術】カップ付き女性用衣類の１つであるブラ
ジャーには、着用時の身体へのストレスを減少させるた
め、カップ部の芯材にワイヤを用いていないノンワイヤ
型のブラジャーがある。図８（ａ）は、従来一般のノン
ワイヤ型のブラジャー１におけるカップ部２の周辺図で
ある。ブラジャー１のカップ部２は、前側のカップ表布
と肌側のカップ裏布とで保形性を有する成型カップ３を
挟むことにより構成されている。

【０００３】成型カップ３を用いたものとして、特開平
７−３５０６号公報には、その装着感を良好なものとす
るために、図８（ｂ）に示すような中央部付近が肉厚で
あり周囲に向かって薄くなっていくものが記載されてい
る。

【０００４】しかしながら、図８（ｂ）に示す成型カッ
プ３では、着用時に働く左右方向への引張り力によっ
て、バージスＬに沿う部分が左右方向に大きく広がって
しまい、バストシルエットが崩れてしまう。

【０００５】そこで、図８（ｃ）に示すように、成型カ
ップ３のバージスＬに沿う部分全体に渡って中央部より
肉厚に形成し、着用時に働く左右方向への引張り力によ
って、バージスＬに沿う部分が左右方向に大きく広がっ
てしまうのを防止する手段が従来から考えられている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、図８（ｃ）
に示す成型カップ３では、着用した際にバージスＬに沿
う部分が若干は左右方向に広がるため、バージスＬ最下
点直上の厚みの薄い部分（図８（ａ）において、二点鎖
線で囲まれた部分）が凹状にくびれ、バストシルエット
が崩れてしまう。

【０００７】そこで、本発明は、このような事情に鑑み
てなされたものであり、着用時のバストシルエットを良
好に保つことのできるノンワイヤ型のカップ付き女性用
衣類を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係るカップ付き女性用衣類は、左右一対の
ノンワイヤ型のカップ部と、当該両カップ部を連結する
土台部とを備えるカップ付き女性用衣類であって、カッ
プ部の裏面の下辺部には、体幹屈曲点が位置する点から
バストポイントが位置する点に向かって末広がりの形状
を有するカップ保形パッドが設けられていることを特徴
とする。

【０００９】カップ部の裏面の下辺部に、体幹屈曲点が
位置する点からバストポイントが位置する点に向かって
末広がりの形状を有するカップ保形パッドを設けること
で、着用した際に、当該カップ保形パッドには、カップ
部下辺部の他の部分に比べ大きな圧力が外側に向かって
生じ、バージス最下点直上の部分が前方に突き出され
る。これにより、左右方向への引張り力が働くバージス
最下点直上の部分に凹状のくびれ等が生じるのを防止す
ることができる。また、バージス最下点ではカップ保形
パッドの横幅が小さいため、すなわち、カップ部の下辺
部のバージスに沿う部分については全体的に厚みが薄い
ため、バージスがくっきりと現れる。したがって、美し
いバストシルエットを造形することが可能となる。ここ
で、体幹屈曲点とは、体幹の中心軸及びバストポイント
を通る平面とバージスとの交点であって、バージス最下
点に相当する。体幹屈曲点は、体幹の正面から側面につ
ながる部分で角度が最も急な点であり、丸胴、普通胴或
いは偏平胴等によらず、前中心からの距離が略一定な点
である。

【００１０】また、カップ保形パッドの厚みは、体幹屈
曲点が位置する点に向かって薄くなっていくことが好ま
しい。体幹屈曲点が位置する点に向かってなだらかに薄
くしていくことにより、乳房の下部に自然な丸みをもた
せ、美しく乳房を保形することができるからである。

【００１１】なお、カップ保形パッドの形状は、上述し
たように体幹屈曲点が位置する点からバストポイントが
位置する点に向かって末広がりの形状であれば、略三角
形状としてもよいし、弓状としてもよい。ここで、弓状
とは、略円弧と、当該略円弧の両端を結ぶ略直線とから
なる形状をいう。

【００１２】さらに、カップ部内には、保形性を有する
成型カップが設けられ、カップ保形パッドは、成型カッ
プに一体的に形成されていることが好ましい。成型カッ
プによれば、連続的な厚みの変化を伴う成型を容易に実
現することができるからである。なお、成型カップと
は、不織布や発泡ポリウレタン等の保形性及び弾力性を
有する素材を熱プレス等することにより一体成型された
カップをいう。

【００１３】また、成型カップの下辺部には、当該成型
カップの中央部より、厚みが薄く且つ硬いバージス保形
部がバージスに沿うよう形成されていることが好まし
い。熱プレス等により圧縮され形成されたバージス保形
部を補強とし、着用時に働く左右方向への引張り力によ
って、バージスに沿う部分が左右方向に広がるのを防止
するためである。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明の好適な
実施形態（カップ付き女性用衣類の１つであるノンワイ
ヤ型のブラジャー）について詳細に説明する。なお、本
明細書において、上下、左右及び前後の方向は、カップ
付き女性用衣類の着用者から見た方向であり、カップ付
き女性用衣類における裏面とは、着用者の肌側の面をい
う。また、図面の説明において同一又は相当部分には同
一符号を付し、重複する説明を省略する。

【００１５】本実施形態に係るブラジャー１０の全体構
成について、図１を参照して説明する。図１は、ブラジ
ャー１０の構成を示す斜視図である。

【００１６】ブラジャー１０は、前中心の左右両側に配
置された一対のカップ部１２と、両カップ部１２の下辺
部に縫着等により取り付けられ、両カップ１２を連結す
る土台部１４と、土台部１４の左右両端部に縫着等によ
り取り付けられ、後背側に延びる左右一対のバック布１
６と、バック布１６それぞれの後背側端部に設けられ、
互いに係脱自在のホック（図示しない）と、カップ部１
２の上端部とバック布１６とに縫着等により取り付けら
れ、両者間に架け渡された肩ストラップ１８とを備えて
いる。

【００１７】なお、土台部１４には、織布や編布等の素
材が用いられている。また、肩ストラップ１８は、織布
等の素材が紐状に縫製されることにより形成されてい
る。

【００１８】上述したカップ部１２の構成について、図
２〜４を参照して説明する。図２はは、左側のカップ部
１２内に配置された成型カップ２０を肌側から見た図で
あり、図２のIII−III線に沿っての断面図を図３に、IV
−IV線に沿っての断面図を図４に示す。なお、以下、左
側のカップ部１２について説明し、右側のカップ部１２
は対称な形状の構成であるため、その説明を省略する。

【００１９】カップ部１２は、前側のカップ表布と肌側
のカップ裏布とで、保形性を有する成型カップ２０を挟
むことにより構成されたノンワイヤ型のカップである。
カップ表布及びカップ裏布には、織布や編布等の素材が
用いられている。また、成型カップ２０は、不織布や発
泡ポリウレタンを熱プレスすることにより一体成型され
たカップである。

【００２０】図２に示すように、成型カップ２０の中央
部には、バストポイントを含む乳房の中央部を包み込む
ようカップ中央部２４が形成されている。当該カップ中
央部２４の肌側の面の下辺部には、バージスＬ最下点に
相当する体幹屈曲点が位置する点Ｐ１を１つの頂点と
し、バストポイントが位置する点Ｐ２に向かって末広が
りになっている略三角形状のカップ保形部２６（カップ
保形パッド）が形成されている。カップ保形部２６の点
Ｐ１を挟む２辺それぞれは、点Ｐ２に向かって凸となる
よう湾曲している。

【００２１】カップ中央部２４及びカップ保形部２６
は、良好な着用感を得るために、所定の厚みと弾力性と
を有している。カップ中央部２４の厚みは、図３及び４
に示すように、周辺から中心に向かって連続的に薄くな
っている。また、カップ保形部２６の厚みは、図３に示
すように、点Ｐ１に向かって連続的に薄くなっている。

【００２２】カップ中央部２４及びカップ保形部２６の
周囲には、図２に示すように、圧縮部２８が形成されて
いる。圧縮部２８は、成型カップ２０の下辺部に、バー
ジスＬに沿うよう形成されたバージス保形部３０を含ん
で構成されている。圧縮部２８（勿論、バージス保形部
３０を含む）は、図３及び４に示すように、カップ中央
部２４に比べ、厚みが薄く且つ硬くなるよう圧縮されて
いる。

【００２３】このように、成型カップ２０によれば、カ
ップ中央部２４、カップ保形部２６及びバージス保形部
３０を一体的に成型することができ、部分によって硬さ
を変化させることや、連続的に厚みを変化させることが
容易となる。

【００２４】上述したブラジャー１０の作用・効果につ
いて説明する。

【００２５】ブラジャー１０を着用した際には、左右の
カップ部１２それぞれが左右方向に引っ張られるが、カ
ップ部１２内に配置された成型カップ２０には、カップ
中央部２４より硬いバージス保形部３０がバージスＬに
沿うよう形成されているため、当該バージス保形部３０
が成型カップ２０の補強となって、バージスＬに沿う部
分が左右方向に広がるのを防止することができる。

【００２６】また、成型カップ２０の下辺部の厚みは、
体幹屈曲点が位置する点Ｐ１直上の部分がカップ保形部
２６により厚くされ、当該カップ保形部２６の左右両側
の部分がバージス保形部３０により薄くされているた
め、図３に示すように、ブラジャー１０を着用した際に
乳房の自重等によって、カップ保形部２６には、バージ
ス保形部３０に比べ大きな圧力が外側に向かって生じ、
成型カップ２０の点Ｐ１直上の部分が前方に突き出され
る。これにより、左右方向への引張り力が働く点Ｐ１直
上の部分に、凹状のくびれ等が生じるのを防止すること
ができる。

【００２７】図５は、本実施形態に係るブラジャー１０
と図８に示す従来のブラジャー１との着用時における右
側のバストの等高線を示す図である。

【００２８】従来のブラジャー１においては、図５
（ｂ）に示すように、カップ部２の下辺部に凹状のくび
れが生じ、カップ部２の下辺部が円弧状に保形されてい
ない。また、カップ部２下辺部のバージスに沿う部分３
の厚みが厚いため、図５（ｂ）の縦断面図（左側の図）
に示すように、バージス部分Ａがなだらかとなり、バー
ジスがあいまいになってしまっている。さらに、バージ
スに沿う部分３が若干は左右方向に広がるため、図５
（ｂ）の横断面図（上側の図）に示すように、脇部分Ｂ
にくびれが生じてしまっている。

【００２９】その一方、本実施形態に係るブラジャー１
０においては、体幹屈曲点が位置する点Ｐ１に向かっ
て、成型カップ２０に形成されたカップ保形部２６の厚
みが徐々に薄くなっているため、図５（ａ）に示すよう
に、カップ部１２の下辺部が自然な丸みを帯び、美しい
円弧状に保形されている。また、点Ｐ１に近づくほどカ
ップ保形部２６の横幅が小さくなり且つ厚みが薄くなっ
ているため、図５（ａ）の縦断面図（左側の図）に示す
ように、バージス部分Ａにバージスが明確に現れてい
る。さらに、カップ中央部２４に比べて厚みが薄く且つ
硬い圧縮部２８が成型カップ２０の脇側にまで及んで形
成されているため、図５（ａ）の横断面図（上側の図）
に示すように、脇部分Ｂがすっきりと略直線状に保形さ
れている。このように、ブラジャー１０によれば、美し
いバストシルエットを造形することができる。

【００３０】以上、本発明の好適な一実施形態について
詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されな
いことはいうまでもない。

【００３１】上記実施形態では、カップ保形部２６の形
状が、体幹屈曲点が位置する点Ｐ１を１つの頂点とし、
バストポイントが位置する点Ｐ２に向かって末広がりに
なっている略三角形状であり、且つ、点Ｐ１を挟む２辺
それぞれが、点Ｐ２に向かって凸となるよう湾曲してい
る場合について説明したが、本発明はこれに限られず、
カップ保形部２６が点Ｐ１から点Ｐ２に向かって末広が
りの形状を有していれば、上記実施形態と同様の作用・
効果を奏することとなる。

【００３２】例えば、カップ保形部２６の形状が上記実
施形態と同様に略三角形状である場合、図６（ａ）に示
すように、点Ｐ１を挟む２辺それぞれが直線状であって
もよいし、図６（ｂ）及び（ｃ）に示すように、点Ｐ１
を挟む２辺のうち一方が湾曲しており、他方が直線状で
あってもよい。なお、図６（ｂ）は、カップ中央部２４
の脇側辺部が円弧状に形成されている例であり、図６
（ｃ）は、カップ中央部２４の脇側辺部が複数の略直線
を組み合わせることにより形成されている例である。

【００３３】また、カップ保形部２６の形状が弓状であ
ってもよく、この場合、図７（ａ）に示すように、円弧
状の下辺がカップ中央部２４の下辺から外側に突出して
いてもよいし、図７（ｂ）に示すように、円弧状の下辺
がカップ中央部２４の下辺と一致していてもよい。

【００３４】さらに、上記実施形態では、カップ部内に
成型カップが設けられている場合について説明したが、
本発明は、例えば、織布や編布等により形成された保形
性のないカップ部裏面の下辺部に、体幹屈曲点が位置す
る点からバストポイントが位置する点に向かって末広が
りの形状を有するカップ保形パッドを縫い込み等により
取り付けた構成としてもよい。この場合にも、着用した
際、カップ保形パッドには、カップ部下辺部の他の部分
に比べ大きな圧力が外側に向かって生じ、バージス最下
点直上の部分が前方に突き出されるため、左右方向への
引張り力が働くバージス最下点直上の部分に、凹状のく
びれ等が生じるのを防止することができる。

【００３５】なお、上記実施形態では、ブラジャーにつ
いて説明したが、本発明は、種々のカップ付き女性用衣
類、例えば、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディ
スーツ、ボディテディ等のファンデーション衣類、水着
やレオタード等にも適用可能である。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
着用した際に乳房の自重等によって、カップ部の裏面の
下辺部に設けられた、体幹屈曲点が位置する点からバス
トポイントが位置する点に向かって末広がりの形状を有
するカップ保形パッドには、カップ部下辺部の他の部分
に比べ大きな圧力が外側に向かって生じ、バージス最下
点直上の部分が前方に突き出される。そのため、左右方
向への引張り力が働くバージス最下点直上の部分に凹状
のくびれや皺が生じるのを防止することができる。ま
た、バージス最下点に近づくほどカップ保形パッドの横
幅が小さくなり、カップ部の下辺部のバージスに沿う部
分については全体的に厚みが薄く維持されているため、
バージスが明確に現れる。したがって、美しいバストシ
ルエットを造形し、且つ保持することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施形態に係るブラジャーの構成を示す斜視図
である。

【図２】図１の左側のカップ部内に配置された成型カッ
プを肌側から見た図である。

【図３】図２のIII−III線に沿っての断面図である。

【図４】図２のIV−IV線に沿っての断面図である。

【図５】本実施形態に係るブラジャーと従来のブラジャ
ーとの着用時における右側のバストの等高線を示す図で
あり、（ａ）に本実施形態に係るブラジャーの等高線を
示し、（ｂ）に従来のブラジャーの等高線を示す。

【図６】他の実施形態に係る、カップ保形部の形状が略
三角形状の成型カップを前側から見た図であり、（ａ）
にその第１の例を示し、（ｂ）にその第２の例を示し、
（ｃ）にその第３の例を示す。

【図７】他の実施形態に係る、カップ保形部の形状が弓
状の成型カップを前側から見た図であり、（ａ）にその
第１の例を示し、（ｂ）にその第２の例を示す。

【図８】従来一般のノンワイヤ型のブラジャーを示す図
であり、（ａ）にカップ部の周辺図を示し、（ｂ）に成
型カップの縦断面図を示し、（ｃ）に他の成型カップの
縦断面図を示す。

【符号の説明】

１０…ブラジャー、１２…カップ部、１４…土台部、２
０…成型カップ、２４…カップ中央部、２６…カップ保
形部、３０…バージス保形部、Ｌ…バージス、Ｐ１…体
幹屈曲端が位置する点、Ｐ２…バストポイントが位置す
る点。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右一対のノンワイヤ型のカップ部と、
   当該両カップ部を連結する土台部と、を備えるカップ付
   き女性用衣類であって、 前記カップ部の裏面の下辺部には、体幹屈曲点が位置す
   る点からバストポイントが位置する点に向かって末広が
   りの形状を有するカップ保形パッドが設けられているこ
   とを特徴とするカップ付き女性用衣類。
2. 【請求項２】 前記カップ保形パッドの厚みは、前記体
   幹屈曲点が位置する点に向かって薄くなっていくことを
   特徴とする請求項１に記載のカップ付き女性用衣類。
3. 【請求項３】 前記カップ保形パッドの形状は、略三角
   形状であることを特徴とする請求項１又は２に記載のカ
   ップ付き女性用衣類。
4. 【請求項４】 前記カップ保形パッドの形状は、弓状で
   あることを特徴とする請求項１又は２に記載のカップ付
   き女性用衣類。
5. 【請求項５】 前記カップ部内には、保形性を有する成
   型カップが設けられ、 前記カップ保形パッドは、前記成型カップに一体的に形
   成されている、ことを特徴とする請求項１〜４のいずれ
   か１項に記載のカップ付き女性用衣類。
6. 【請求項６】 前記成型カップの下辺部には、当該成型
   カップの中央部より、厚みが薄く且つ硬いバージス保形
   部がバージスに沿うよう形成されていることを特徴とす
   る請求項５に記載のカップ付き女性用衣類。