JPS623362Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

本考案は、シームレスタイプのカツプから成る
と共に、特に身体の前後左右各方向に亘る各種の
動きに対し、バストを安定に確保維持できるよう
に案出された新しいブラジヤーの提供に関する。 周知のようにブラジヤーにおいては既に各種の
考案がなされ、使用生地、裁断形状、縫製等の全
ての面において改善され、旧来の単にバストを物
理的に圧迫して整形支持を行なうものに代り、無
用の圧迫感をなくし、ルーズフイツトタイプでし
かもシエイプアツプが可能であるような機能が得
られる方向に進んでいるのであり、最近では各種
スポーツの日常生活における一般的な浸透に伴な
い、スポーツ用ブラジヤーも開発されている。こ
の種スポーツ用ブラジヤーにおいては、特に各種
運動に伴なう身体の前後・左右・ひねりや屈伸等
に自在に適応できると共に、このさいブラジヤー
自体のずり上がりや横移動あるいはまくれ、更に
は肩紐のずれ等の生じないものが強く望まれるの
であり、この事は各種の職業に従事する一般女性
のためのブラジヤーにおいても多かれ少なかれ必
要な条件である。 本考案はかかる要求に適切に応えると共に造形
機能、着用機能においても優れた効果を発揮でき
るブラジヤーの提案に係るものであつて、その特
徴とする処は、表カツプは成型されたシームレス
カツプから成り、裏カツプは表カツプより製品時
の横方向における緊迫力の強い生地から成ると共
にトツプバスト周辺に相当する中央部付近に表カ
ツプとの間に開口部を有する構造から成る点にあ
り、更にその特徴とする処は、前記ブラジヤーに
おいてその左右カツプ部の連結部に網目状生地を
用いた点にある。 以下図示の実施例について本考案を詳述する
と、第１図及び第２図は本考案ブラジヤー実施例
をトルソーに着用させて使用状態を示したもので
あるが、両図において、本考案ブラジヤーにおけ
る左右の各カツプ部は、何れも表カツプ１と裏カ
ツプ２とから構成されるものであつて、表カツプ
１は第１図及び第１図におけるカツプ部分を含む
前身頃部を裏返し状に示した第３図に示すよう
に、伸縮性生地から成ると共に、所要大きさ、形
状に裁断したものを、例えば熱プレスや真空プレ
スその他の手段によつて型押しにより所定形態に
成型されたシームレスカツプであり、これに対し
裏カツプ２はその使用生地として、製品時の横方
向における緊迫力が、表カツプ１に使用した伸縮
性生地のそれよりも強い伸縮性生地を用いて形成
されると共に、第１図及び第３図に例示するよう
に、裏カツプ２の着用時のトツプバスト周辺に相
当する中央部付近には、表カツプ１との間にカツ
プ部下部の縫目１４を介して開口部１２を持つよ
うに形成されるのである。このように裏カツプ２
に特定の生地を用いかつ開口部１２を形成するこ
とによつて、着用時にバスト周辺は好適に固定さ
れて必要な造形美を持つ整形機能を持つと共に、
トツプバストやその周辺は開口部１２の遊離を介
し、裏カツプ２の生地より横方向の緊迫力の弱い
生地による表カツプ１によつて直接保持されるた
め、トツプバストや周辺に対する緊迫力は軽減さ
れ、着用時に無用な圧迫感や強圧感をなくして快
適な着用感が得られるのである。一般にバスト自
体はその周辺、特にバスト両側からしぼり込むよ
うにしつかりと固定して置けば、トツプバスト周
辺を強く圧迫や固定しなくても、概ねの造形は保
持されるのであり、本考案はこのようなバストの
整形原理を利用し、先に述べたような表カツプ１
と裏カツプ２とによる構造を採用したものであ
る。このさい表カツプ１は伸縮性生地を熱プレス
等の型押しによつて成形した縫合裁断構造を有し
ないシームレスのもので、しかも製品時の横方向
における緊迫力が裏カツプ２に用いる生地のそれ
より低い値のものを用いているため、前述のバス
ト周辺の固定とトツプバスト周辺のルーズフイツ
トタイプの保持による成形機能はより効果的に助
長されることになるのであり、バスト全体に対す
る物理的な強圧や緊張を強いることのない安定快
適な保持と造形維持が得られることになる。ここ
で本考案における製品時の横方向における緊迫力
の強い生地とは、人体における例えば前記バスト
部に対して横方向に作用する力の強い生地を指称
するものであり、具体的には概ね使用生地の製品
時における横方向の伸度80％までの伸張、回復応
力の強いものを指称する。これは一般的には既知
のようにストレス−ストレイン曲線（応力−歪曲
線）の３回繰り返し測定における伸度80％までの
伸張、回復時の応力値の強いものをいうのであ
り、第４図にそのストレス−ストレイン曲線図の
１例を示している。即ち図において縦軸はストレ
ス（応力）ｇを示し、横軸はストレイン（伸張
率）％を示しており、またイは80％までの伸張カ
ーブを示し、ロはその回復時の回復カーブを示し
ており、この応力値の高低によつて生地物性の判
断を行なうものである。このように伸縮性生地に
おける伸張、回復応力値が高いということは、即
ちそれだけ緊迫力の強いことを意味するのであ
り、本考案における表裏カツプ１，２の構造によ
つて、バスト周辺部の方がトツプバスト周辺部よ
り、特に横方向に多くの力を受けることによつ
て、バスト（乳房）の造形に有効に役立つことに
なるのである。 本考案におけるその他の必要構造について述べ
れば、本考案の前記表裏カツプ１，２による左右
のカツプ部は、その生地同志が左右直接に連結さ
れることなく、図示のように中央部には網目状生
地、例えば伸縮性のあるメツシユ生地３を配して
左右カツプ部を連結するのである。これによつて
左右カツプ部が独立して身体の各動きに即応でき
るようにしているのであり、このメツシユ生地３
の上端には縫目１０が形成され、これによつて左
右カツプ部を繋ぎ、メツシユ生地３が破れるおそ
れがないようにし、また生地３の下端はブラジヤ
ー下端の下縁テープ４側に縫着されるのである。
このさいメツシユ生地３は第３図に１例を示すよ
うに、左右に平行する一対の伸縮性生地１３，１
３を間に編成されたメツシユテープ形状のものを
用いることが、縫製、耐久性の点で有利である。 ブラジヤーにおける下縁テープ４は広巾の伸縮
性テープによつて形成され、これは広巾とするこ
とにより身体への圧迫力を減少して喰い込みをな
くすと共に、かつ身体の激しい運動に際会しても
ブラジヤー下縁の捲れ上がりを防止するものであ
る。またブラジヤーの上部周縁には縁取テープ
７，７が付設されて、カツプ部及び後身頃部５に
共通に亘り、かつ肩部においてはテープ７，７が
平行して肩紐部６の外縁を同時に形成する事にな
り、このテープ７，７と下縁テープ４とによつて
囲まれた後身頃部５は左右に伸縮可能な生地から
形成された１枚物であつて、脇身連絡部８，８に
よつて前身頃即ち左右カツプ部側に連結され、
９，１１はそれぞれ必要位置における縫目を示し
ている。 本考案における表カツプ１裏カツプ２における
好適な使用生地の各１例を上げれば、表カツプ１
としては例えば綿混リバーシブルスパン入りフラ
イス編メリヤス生地であり、また裏カツプ２とし
ては例えばナイロン、ポリウレタン、トリコツト
パワーネツト生地である。これら例示生地の伸
張、回復応力値について、３回反復測定時におけ
る、製品時の横方向に使用する部位の各応力（荷
重）値は下表の通りであつて、裏カツプ２に使用
する生地が製品時の横方向により強い緊迫力を有
することは明白である。

【表】 尚本考案における裏カツプ２の中央部付近にお
ける前記開口部１２の形状、構造については、ト
ツプバスト周辺を概ね円状もしくはその他の適宜
の曲線的な形状とすればよく、重要な点はバスト
周辺からその近傍を裏カツプ２によつてしぼり込
むように造形可能とすればよいのであり、開口部
１２の形状、構造について図例のみに限定される
ものではなく、網目状生地３においても伸縮性の
ある素材が好ましいのは勿論であるが、これも図
例のみに限定されることなく、その上下端、左右
両側の各連結縫着構造も勿論１例を示すに止ま
り、本考案の各部における設計的変更や構造の変
化は、本考案要旨を損なわない限り自由に採用可
能であり、実施例は好ましい１つの型式を示した
ものである。 本考案ブラジヤーは以上の通りであり、従来の
ブラジヤーに比し、特にその表裏カツプ構造の特
異性によつて、着用に当つてはきわめてフラツト
かつソフトであつて、圧迫感や強圧感を与えるこ
となくそのバストを好適に整形保持して必要なシ
エイプアツプと美観とを得られるのであり、しか
も身体における前後、左右各方向におけるひねり
や屈伸、回転等の運動に対し、ブラジヤーのずり
上がり、歪みや捲れ等を発生することなく、バス
トを安定に確保しつつ柔軟に即応できるのであ
り、特にカツプ部とバストの移動を生じないので
あり、しかもこれは左右カツプを網目状生地で連
結すれば、左右カツプは独立的に変形可能となつ
て左右バストの不均衡な動きにも夫々即応できる
ことになり、これによつてスポーツ用ブラジヤー
として特に有利でもあるが、それでなくても一般
用のブラジヤーとしても運動に対する忠実な対応
とバストの安定な保持、更に苦痛を生じないバス
トの確保安定において、好適に使用でき、造形機
能と運動に対する忠実な同行変形による適合機能
の両面において満足できるブラジヤーとして利点
大であり、製作上においても格別の難しさがなく
容易に実施できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例の着用状態を示す正面側
の斜面図、第２図は同背面側の斜面図、第３図は
同カツプ要部の裏側正面図、第４図はストレス−
ストレイン曲線図である。 １……表カツプ、２……裏カツプ、３……メツ
シユ（網目状）生地、４……下縁テープ、５……
後身傾部、６……肩紐部、１２……開口部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 表カツプは成型されたシームレスカツプから
   成り、裏カツプは表カツプより製品時の横方向
   における緊迫力の強い生地から成ると共にトツ
   プバスト周辺に相当する中央部付近に表カツプ
   との間に開口部を有する構造から成ることを特
   徴とするブラジヤー。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載のブラジ
   ヤーにおいて、左右カツプ部の連結部に網目状
   生地を用いたもの。