JP2003201594A - 部品の局部的なめっき方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に３次元の境界を設けることにより正確で
非常に柔軟性のある形状を可能にする、射出成形部品の
局部的なめっき方法を提供する。 【解決手段】 部品１０の少なくとも２個の部分３０、
３１の間で電気的な絶縁により前記部分の境界を画定す
るステップと、各部分３０、３１の表面に少なくとも一
つの電極を連続して配置することにより、部品１０の各
部分３０、３１を連続してめっきするステップとを含
み、各部分３０、３１の間の絶縁が、部品１０の二重の
射出により行われ、めっき可能な材料が前記部分３０、
３１を構成するように射出され、めっき不能な材料が境
界１５を構成するように射出される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、任意の形状および
寸法をもつ部品のめっき（ｇａｌｖａｎｉｓａｔｉｏ
ｎ）方法、特に、このような部品の複数部分のめっきに
関する。

【０００２】

【従来の技術】めっきは、多数の産業で一般に使用され
ている技術であり、たとえばクロムめっき、チタン、ま
たは金めっきの外観を備えた部品を得ることができる。
めっきは、主に、一般に酸化を防ぐために金属塩の電解
質を金属に堆積させる反応である。従って、部品にめっ
きすることにより、酸化しないメタリックな外観が得ら
れる。

【０００３】めっきされる部品は、必ずしも金属ではな
く、価格面および形状を形成しやすいという理由で、た
とえばプラスチックなどの他の材料からも構成可能であ
る。実際、プラスチックは、低価格で作業が容易な材料
であり、特に金型にプラスチックを射出（ｉｎｊｅｃｔ
ｉｏｎ）する知られている技術を用いて、あらゆる種類
の部品の形状が得られる。射出成形には、たとえばＰＣ
（ポリカーボネート）またはＡＢＳ（アクリルニトリル
−ブタジエン−スチレン）などの様々な種類のプラスチ
ックを使用できる。さらに、たとえばＡＢＳのようにめ
っき可能なプラスチックの種類もあれば、たとえばＰＣ
のようにめっき不能なプラスチックもある。

【０００４】そのため、プラスチック部品のめっきは、
自動車産業、無線通信端末あるいは携帯電話（ａｓｓｉ
ｓｔａｎｔｓ ｐｅｒｓｏｎｎｅｌｓ）産業、あるいは
酸化されないメタリックな外観を、プラスチック部品に
与えることが必要な他のあらゆる種類の産業など、各種
の産業において多数の用途がある。

【０００５】プラスチック部品にめっきするには、主
に、以下のステップを実施しなければならない。すなわ
ち、プラスチックの表面を侵食する化学的に酸性のバス
に部品を浸し、部品の表面に空洞を形成する。次に、複
数の金属を含むバスに部品を連続して浸すことにより、
プラスチック表面の空洞に金属（たとえば銅および／ま
たはニッケル）を堆積する一方、予め実施された金属堆
積と電気分解反応する金属塩を堆積して、めっき自体を
構成することができる。金属塩のバスは、めっきを施す
部品に対して望まれる最終的な外観に応じて、たとえば
クロム、チタン、または金を主成分とすることができ
る。電気分解反応を行うには、部品をめっきバスに浸す
ときに、めっきされる部品に少なくとも一つの電極を配
置することが必要不可欠である。

【０００６】かくして、プラスチック部品のめっきは、
特に、商業的な説得手段としてデザインを利用する産業
で発展する傾向がある。めっきは、特に、各種のメタリ
ックな外観（たとえばクロムまたは金）を有する様々な
連続表面部分を備えた低価格の材料で、部品を製造する
ことができる。

【０００７】実際、技術的または美的な要求に応じて、
同一部品に各種のメタリック仕上げを施すことが有利な
場合があり、すなわち単一部品の各部分に、局部的に様
々なメタリック効果または外観を与えるめっきを施すこ
とが有利な場合がある。

【０００８】従来技術では、異なる仕上げゾーンで、部
品に部分的にめっきする技術がいろいろと提案されてい
る。第一の技術は、異なる複数のプラスチック部品を構
成し、適切な金属塩で別々に全体をめっきした後で組み
立てることにより、最初の各部品に対応する各仕上げゾ
ーンを備えた最終部品を形成することからなる。ところ
で、組立ステップは、難しくて時間がかかり、ゾーン
（初期部品）間の移行部の溝が組立後も残るので品質は
凡庸である。

【０００９】特開昭５９−１２６７９０号に記載された
別の技術は、単一のプラスチック部品を構成し、絶縁イ
ンキにより境界を印刷して、この部品の各部分の境界を
画定することからなる。それから、部品は、様々な金属
を含むバスに連続して完全に浸され、最後のめっきバス
は、部品の絶縁部分の内側に配置された電極と共に実施
される。この技術は、対応するめっきバスに毎回含浸す
る前に、電極を一つの部分から他の部分に移動すること
によって、部品の各部分に様々なめっき仕上げを施すこ
とができる。しかし、上記の技術は、部品の各部分間の
絶縁部の印刷が、平面に制限されるので、部品の形状は
簡単な形状に限られてしまう。従って、この技術を用い
て複雑な形状の部品部分の境界を画定することは不可能
である。

【００１０】

【特許文献１】特開昭５９−１２６７９０号明細書

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
よるこうした数々の知られている技術が有する制限を取
り除くものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】このため、本発明は、め
っきされる部品の各部分間に、部品の容積内に組み込ま
れる境界を設けることを提案し、特に３次元の境界を設
ける可能性により、いっそう正確で非常に柔軟性のある
形状を可能にする。

【００１３】本発明は、特に、射出成形により得られる
部品の局部的なめっき方法に関し、部品の少なくとも２
個の部分間で電気的な絶縁により前記部分の境界を画定
するステップと、各部分の表面に少なくとも一つの電極
を連続して配置することにより、部品の各部分を連続し
てめっきするステップとを含み、各部分の間の絶縁が、
部品の二重の射出（ｂｉ ｉｎｊｅｃｔｉｏｎ）により
行われ、めっき可能な材料が前記部分を構成するように
射出され、めっき不能な材料が境界を構成するように射
出されることを特徴とする。

【００１４】本発明の特徴によれば、各部分の連続めっ
きが、電極を一方の部分から他方の部分に移動し、部品
を連続する異なる金属を含むバスに漬けることにより行
われる。

【００１５】本発明は、また、異なる仕上げを施される
少なくとも２個の異なる部分の表面に局部的にめっきが
行われる部品に関し、別々にめっきされる部分が、部品
の容積に組み込まれる境界によって分離されることを特
徴とする。

【００１６】本発明の特徴によれば、境界が、たとえば
ポリカーボネート（ＰＣ）のような、めっき不能な材料
から構成される。

【００１７】本発明の別の特徴によれば、部品のめっき
される部分が、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレ
ン（ＡＢＳ）、またはアクリルニトリル−ブタジエン−
スチレン／ポリカーボネート（ＡＢＳ／ＰＣ）から構成
される。

【００１８】本発明は、特に、異なる仕上げを施される
少なくとも２個の異なる部分で、外面が局部的にめっき
されるシェルを含む無線通信端末に適用され、別々にめ
っきされる部分が、めっき不能な材料からなる境界によ
り分離されることを特徴とする。

【００１９】本発明の特徴および長所は、添付図面に関
して限定的ではなく例としてなされた以下の説明を読め
ば、いっそう明らかになるであろう。

【００２０】

【発明の実施の形態】本発明によれば、部品１０は、異
なる仕上げをされる少なくとも２つの部分３０、３１に
めっきを施される。部品１０は、有利には、実際にどん
な形状の部品を得ることもできる従来の射出成形方法に
よって得られ、特に、めっき可能な材料とめっき不能な
材料との二重の射出によって得られる。

【００２１】めっき可能な材料は、たとえば、アクリル
ニトリル−ブタジエン−スチレン（ＡＢＳ）、またはア
クリルニトリル−ブタジエン−スチレン／ポリカーボネ
ート（ＡＢＳ／ＰＣ）のようなプラスチックとすること
ができ、このプラスチックは、既に説明したように、酸
性バスにより腐食されて金属粒子を堆積し、金属塩の堆
積によりめっき反応を可能にする。めっき不能な材料
は、例えばポリカーボネート（ＰＣ）であり、これは、
酸性バスの腐食に耐える材料であり、従って、金属粒子
の堆積およびめっき反応を行うことはできない。

【００２２】部品１０を構成するのに使用される射出金
型は、所定の形状に従って二重の射出を可能にするよう
に構成される（ステップａ）。この形状は、所定の構成
に従って個別にめっきされる各部分３０、３１の間に境
界１５をなす部分を形成するように選択される。かくし
て、境界１５は、部品１０の容積内に組み込まれ、３次
元で画定可能である。めっきされる個別部分の数が、２
個に制限されることは全くない。

【００２３】従来の技術に従って適切な金型で二重の射
出成形し、部品を型抜きした後、部品１０にめっきを施
す。このため、好適には、部品１０を全体として酸性バ
スに浸す。酸性バスは、部品１０の部分３０、３１を構
成するめっき可能な材料を腐食するが、境界１５を構成
するめっき不能な材料を腐食しない。従って、金属堆積
のための空洞は、部品１０のめっきされる各ゾーンの表
面にのみ形成される。

【００２４】次に、少なくとも一つの電極４０を、境界
１５により他方の部分３１から絶縁された第一の部分３
０に配置する（ステップｂ）。それから、部品１０を全
体として金属を含むバスに浸すが、電気分解によるめっ
き反応は、一つまたは複数の電極４０と接する部品の表
面部分３０でしか行われない。

【００２５】そのため、所定の仕上げにより部分的にめ
っきされる部品１０が得られ、この作業は、部品の各画
定部分で繰り返し行われる（ステップｃ）。めっきされ
る各部分３０、３１は連続し、これらの部分間の境界１
５を複雑化することができる。

【００２６】本発明は、各種の仕上げゾーンでめっきさ
れるプラスチックの自動車部品、あるいは無線電話また
は携帯電話のような、シェルからなる無線通信端末に適
用可能であり、シェルの外面は、部品の容積内に組み込
まれる境界により分離されて異なる仕上げを施され、別
々の各部分に局部的にめっきを施される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるめっき方法のステップａ、ｂ、ｃ
を示す図である。

【符号の説明】

１０ 部品 １５ 境界 ３０、３１ 部分 ４０ 電極

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出成形により得られる部品（１０）の
   局部的なめっき方法であって、 部品（１０）の少なくとも２個の部分（３０、３１）の
   間で電気的な絶縁により前記部分の境界を画定するステ
   ップと、 各部分（３０、３１）の表面に少なくとも一つの電極を
   連続して配置することにより、部品（１０）の各部分
   （３０、３１）を連続してめっきするステップとを含
   み、 各部分（３０、３１）の間の絶縁が、部品（１０）の二
   重の射出により行われ、めっき可能な材料が前記部分
   （３０、３１）を構成するように射出され、めっき不能
   な材料が境界（１５）を構成するように射出されること
   を特徴とする方法。
2. 【請求項２】 各部分（３０、３１）の連続めっきが、
   一方の部分（３０）から他方の部分（３１）に電極を移
   動し、連続する異なる金属を含むバスに部品（１０）を
   漬けることにより行われることを特徴とする、請求項１
   に記載のめっき方法。
3. 【請求項３】 異なる仕上げを施される少なくとも２個
   の異なる部分（３０、３１）の表面に局部的にめっきが
   行われる部品（１０）であって、別々にめっきされる部
   分（３０、３１）が、部品（１０）の容積に組み込まれ
   る境界（１５）によって分離されることを特徴とする部
   品。
4. 【請求項４】 境界（１５）が、めっき不能な材料から
   構成されることを特徴とする、請求項３に記載の部品。
5. 【請求項５】 境界（１５）のめっき不能な材料が、ポ
   リカーボネート（ＰＣ）であることを特徴とする、請求
   項４に記載の部品。
6. 【請求項６】 部品（１０）のめっきされる部分（３
   ０、３１）が、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレ
   ン（ＡＢＳ）、またはアクリルニトリル−ブタジエン−
   スチレン／ポリカーボネート（ＡＢＳ／ＰＣ）から構成
   されることを特徴とする、請求項３から５のいずれか一
   項に記載の部品。
7. 【請求項７】 異なる仕上げを施される少なくとも２個
   の異なる部分（３０、３１）で、外面が局部的にめっき
   されるシェルを含む無線通信端末であって、別々にめっ
   きされる部分（３０、３１）が、めっき不能な材料から
   なる境界（１５）により分離されることを特徴とする無
   線通信端末。