JP2003195115A - 光コネクタの製造方法と光コネクタ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 研磨量が少なく、光ファイバの位置精度の低
下を抑え、加工工数を低減した光コネクタの製造方法と
光コネクタを提供する。 【解決手段】 合成樹脂から成形され、突合せ端面に複
数のファイバ孔が形成されたフェルール３の、複数のフ
ァイバ孔のそれぞれに光ファイバ２ａを挿通し、接着固
定して突合せ端面３ａを研磨して製造される光コネクタ
の製造方法と製造方法によって製造される光コネクタ。
突合せ端面３ａを斜面に成形し、光ファイバ２ａをファ
イバ孔に接着固定した後、斜面を研磨して製造する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光コネクタの製造
方法と、この製造方法によって製造される光コネクタに
関する。

【０００２】

【従来の技術】光コネクタ、例えば、複数の光ファイバ
を有する多心コネクタにおいては、光ファイバを伝送さ
れてくる光信号の端面反射を抑制するため、コネクタ端
面を斜めに研磨したものがある。図４に示すように、端
面を斜めに研磨した光コネクタ５は、従来、複数の光フ
ァイバ６の端部に固定したフェルール７の端面７ａを、
光ファイバ６の光軸に対して垂直に点線Ｌ1の位置まで
研磨した後、点線Ｌ2で示すように斜めに研磨して製造
している。ここで、図４は、研磨量を明確に示すため誇
張して描いてあるが、実際の研磨量は、光軸に沿って数
１００μｍ程度である。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、多心コネク
タの製造においては、光ファイバを接着固定するファイ
バ孔を成形ピンの両端を金型で把持し、金型内に合成樹
脂を注入してフェルールを成形している。このため、成
形されるフェルールにおいては、ファイバ孔はフェルー
ル両端で高精度に成形されている。しかし、前記成形ピ
ンは、フェルール成形時に注入される合成樹脂の圧力に
よって撓むことがある。このため、ファイバ孔は、中間
部における精度が両端に比べて低下し易い。

【０００４】従って、上記のようにフェルールの端面を
２段階に研磨すると、当初の端面から全体で最大２００
μｍ程度迄研磨することから、研磨量が多くなる。この
ため、製造される多心コネクタは、端面に露出した光フ
ァイバの位置精度が低下してしまうことがある。この結
果、多心コネクタは、他の光コネクタと接続したときに
接続損失が大きくなってしまうという問題があった。

【０００５】また、前記のように研磨量が多いことか
ら、多心コネクタの製造において加工工数が多くなると
いう問題もあった。本発明は上記の点に鑑みてなされた
もので、研磨量が少なく、光ファイバの位置精度の低下
を抑え、加工工数を低減した光コネクタの製造方法と光
コネクタを提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明においては上記目
的を達成するため、合成樹脂から成形され、突合せ端面
に複数のファイバ孔が形成されたフェルールの、前記複
数のファイバ孔のそれぞれに光ファイバを挿通し、接着
固定して前記突合せ端面を研磨して製造される光コネク
タの製造方法であって、前記突合せ端面を斜面に成形
し、前記光ファイバを前記ファイバ孔に接着固定した
後、前記斜面を研磨して製造する構成としたのである。

【０００７】また、本発明においては上記目的を達成す
るため、フェルールの突合せ端面に形成された複数のフ
ァイバ孔に光ファイバを挿通して接着固定し、前記突合
せ端面を研磨して製造される光コネクタであって、前記
光コネクタは、前記突合せ端面が斜面に成形され、前記
光ファイバを前記ファイバ孔に接着固定した後、前記斜
面を研磨して製造される構成としたのである。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の光コネクタの製造
方法と光コネクタに係る一実施形態を図１乃至図３に基
づいて詳細に説明する。先ず、本発明方法によって製造
される光コネクタ１は、テープファイバ２の端部に合成
樹脂製のフェルール３が取り付けられている。

【０００９】テープファイバ２は、所定ピッチで平行に
配列した複数の光ファイバ２ａが合成樹脂で被覆されて
いる。フェルール３は、前部の突合せ端面３ａが光ファ
イバ２ａの光軸に対して所定角度θ（＝６〜８゜）傾斜
すると共に、複数の光ファイバ２ａが所定ピッチで平行
に配列固定されている。また、フェルール３は、突合せ
端面３ａに各光ファイバ２ａの先端が露出して端面研磨
され、複数の光ファイバ２ａを挟む両側には突き合わせ
方向に延びる２本のピン孔３ｂが形成されている。

【００１０】光コネクタ１は、フェルール３の突合せ端
面３ａを傾斜させることにより、光ファイバ２ａ内を伝
送されてくる光の端面での反射光を線路外に逃し、反射
光の逆行を防止している。即ち、光コネクタ１は、フェ
ルール３の突合せ端面３ａを角度θだけ傾斜させること
により、他の光コネクタ１と突合せ接続する際の接続損
失を屈折率整合剤を用いることなく抑制している。

【００１１】上記のように構成される光コネクタ１は、
以下のようにして製造される。先ず、複数の光ファイバ
２ａを個々に挿通するファイバ孔と２本のピン孔３ｂ
（図１参照）を有し、端面３ｃ下側の端面３ｄが所定角
度θ傾斜した図２に示すフェルール３を合成樹脂で成形
する。ここで、フェルール３は、図示してはいないが、
各ファイバ孔に挿通された複数の光ファイバ２ａを固定
するための接着剤を注入する開口が上側に、テープファ
イバ２を挿通する挿通口が後部に、それぞれ形成されて
いる。

【００１２】次に、テープファイバ２の先端から被覆を
所定長さ除去し、複数の光ファイバ２ａを個々の光ファ
イバ２ａに分ける。次いで、先端が個々の光ファイバ２
ａに分けられたテープファイバ２を、成形されたフェル
ール３後部の挿通口から挿通し、各光ファイバ２ａを対
応する前記ファイバ孔へ挿入する。

【００１３】そして、前記開口から接着剤を注入し、図
３に示すように、テープファイバ２を個々の光ファイバ
２ａと共にフェルール３に接着固定する。しかる後、所
定角度θ傾斜した端面３ｄを図３に示すように研磨し、
突合せ端面３ａを有する光コネクタ１が製造される。従
って、本発明方法によれば、ファイバ孔が高精度に成形
されたフェルール３の所定角度θ傾斜した端面３ｄを研
磨するだけなので、従来の光コネクタに比べてフェルー
ルの研磨量が少なく、突合せ端面３ａに露出した光ファ
イバ２ａの位置が高精度に維持される。この結果、光コ
ネクタ１は、同じ構造の他の光コネクタ１と接続したと
きに接続損失が大きくなることがない。また、研磨量が
少ないことから、光コネクタ１を製造する際の加工工数
が減り、コストダウンを図ることができる。

【００１４】更に、フェルール３は成形された段階で端
面３ｄが所定角度θ傾斜している。このため、フェルー
ル３の研磨加工に際し、フェルール３の上下を簡単に見
分けられるので、端面が垂直な従来のフェルールに比べ
ると、上下位置を誤って研磨してしまう事故を防ぐこと
もできる。上記した本発明方法に基づいて光コネクタ１
を５０００個製造したところ、従来の製造方法では３０
〜４０％であった不良品の発生率が、殆ど不良品が発生
しないレベルまで低下していた。

【００１５】尚、上記実施形態の光コネクタ１は、光フ
ァイバの数が４本の場合について説明した。しかし、本
発明方法は、複数のファイバ孔が形成されたフェルール
の端面が斜面に成形されていれば、ファイバ孔従って光
ファイバの数は４本に限定されるものでないことは言う
までもない。

【００１６】

【発明の効果】請求項１，２の発明によれば、研磨量が
少なく、光ファイバの位置精度の低下を抑え、加工工数
を低減した光コネクタの製造方法と光コネクタを提供す
るできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光コネクタの製造方法を適用して製造
される光コネクタの斜視図である。

【図２】図１の光コネクタで使用するフェルールの側面
図である。

【図３】光ファイバが取り付けられた図２のフェルール
の所定角度傾斜した端面を研磨する様子を示す側面図で
ある。

【図４】従来の光コネクタの製造方法を示す側面図であ
る。

【符号の説明】

１ 光コネクタ ２ テープファイバ ２ａ 光ファイバ ３ フェルール ３ａ 突合せ端面 ３ｂ ピン孔

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 合成樹脂から成形され、突合せ端面に複
   数のファイバ孔が形成されたフェルールの、前記複数の
   ファイバ孔のそれぞれに光ファイバを挿通し、接着固定
   して前記突合せ端面を研磨して製造される光コネクタの
   製造方法であって、 前記突合せ端面を斜面に成形し、前記光ファイバを前記
   ファイバ孔に接着固定した後、前記斜面を研磨して製造
   することを特徴とする光コネクタの製造方法。
2. 【請求項２】 フェルールの突合せ端面に形成された複
   数のファイバ孔に光ファイバを挿通して接着固定し、前
   記突合せ端面を研磨して製造される光コネクタであっ
   て、 前記光コネクタは、前記突合せ端面が斜面に成形され、
   前記光ファイバを前記ファイバ孔に接着固定した後、前
   記斜面を研磨して製造されることを特徴とする光コネク
   タ。