JP2003194122A - 緩衝装置 - Google Patents

緩衝装置

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JP2003194122A
JP2003194122A JP2001390851A JP2001390851A JP2003194122A JP 2003194122 A JP2003194122 A JP 2003194122A JP 2001390851 A JP2001390851 A JP 2001390851A JP 2001390851 A JP2001390851 A JP 2001390851A JP 2003194122 A JP2003194122 A JP 2003194122A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部材同士の摩擦により減衰力を発生させる緩
衝装置において、発生する減衰力の変動を抑制して緩衝
装置の性能を向上させる。 【解決手段】 緩衝装置10に減衰部材20と支持用ば
ね30とを設ける。減衰部材20は、ゴム製の外側部材
21及び内側部材22によって構成される。外側部材2
1は、エンドレスの帯状に形成される。内側部材22
は、長方形板状に形成され、外側部材21の内周面に沿
って設けられる。支持用ばね30が伸縮すると、外側部
材21と内側部材22が摺動して減衰力が発生する。ま
た、外側部材21が大きく撓んだ場合でも、内側部材2
2が外側部材21に密着した状態に保たれる。つまり、
外側部材21と内側部材22の接触面積が一定に保た
れ、減衰部材20で安定した減衰力が発生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体に作用する衝
撃を緩和して物体の損傷等を防止するための緩衝装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、緩衝装置が知られており、2
つの物体間に介設されて一方の物体から他方の物体へ伝
わる衝撃荷重を緩和するために利用されている。例え
ば、実公昭52−48466号公報には、緩衝装置を利
用した遠心分離機の防振構造が開示されている。
【0003】上記公報に開示された緩衝装置は、コイル
ばねと、その両端を巡るように複数回巻き付けられたベ
ルトとを備えている。このベルトは、弾性を有しない材
料で構成される。コイルばねの両端は、巻かれて輪状と
なったベルトに固定されている。また、コイルばねの端
部近傍には、ピン状の部材が何重にも巻かれたベルトを
貫通して設けられている。
【0004】この緩衝装置に荷重が作用すると、コイル
ばねが伸縮する。コイルばねが伸縮すると、何重にも巻
かれて輪状となったベルトが撓み、隣接するベルトの部
分同士が擦れ合う。その際、擦れ合うベルトの部分の間
では、摩擦力が生じる。この摩擦力は、コイルばねの伸
縮を抑制するように作用する。つまり、緩衝装置に入力
された衝撃荷重がコイルばねの変形によって緩和される
一方、その後のコイルばねの振動がベルト同士の摩擦に
よって減衰される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の緩衝装置では、ベルト同士の摩擦により生じる減衰
力が安定せず、充分な性能が得られないという問題があ
った。ここでは、この問題点について説明する。
【0006】上記緩衝装置で減衰力を発生させるための
ベルトは、弾性を有していない。また、何重にも巻かれ
たベルトには、2箇所にピン状の部材が刺し通されてい
る。つまり、重なり合ったベルト同士は、対向する2箇
所でピン状部材により拘束され、ベルト同士の相対移動
が規制される。
【0007】このため、コイルばねが縮むと、何重にも
巻かれたベルトの部分のうち内周側に位置する部分は、
周方向の長さの変化を吸収できずに皺が寄った状態とな
ってしまう。そして、ベルトに皺が寄ると隣接するベル
トの部分同士が離れてしまい、その部分では摩擦力が生
じなくなる。このように、従来の緩衝装置では、コイル
ばねの伸縮に伴ってベルト同士の接触面積が変動してし
まい、ベルト同士の摩擦により生じる減衰力が変化して
しまっていた。
【0008】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、部材同士の摩擦によ
り減衰力を発生させる緩衝装置において、発生する減衰
力の変動を抑制して緩衝装置の性能を向上させることに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明が講じた第1の解
決手段は、2つの物体の間に設けられて一方の物体から
他方の物体へ伝わる衝撃を緩和するための緩衝装置を対
象としている。そして、上記物体からの荷重を支えるた
めの支持用ばねと、該支持用ばねが伸縮する際に減衰力
を生じさせる減衰部材とを備える一方、上記減衰部材に
は、上記支持用ばねを囲うように該支持用ばねの一端か
ら他端へ亘って設けられる可撓性の外側部材と、上記外
側部材の内周面に沿うように湾曲して設けられる板状の
弾性体であって上記支持用ばねが伸縮する際に上記外側
部材と摺動する内側部材とが設けられるものである。
【0010】本発明が講じた第2の解決手段は、上記第
1の解決手段において、内側部材は、四角形状に形成さ
れると共に、対向する二辺が外側部材の周方向に沿う姿
勢で設けられるものである。
【0011】本発明が講じた第3の解決手段は、上記第
1の解決手段において、内側部材は、長方形状に形成さ
れて長辺が外側部材の周方向に沿う姿勢で設けられると
共に、長手方向の中央部が外側部材に固定されるもので
ある。
【0012】本発明が講じた第4の解決手段は、上記第
3の解決手段において、内側部材の長辺は、外側部材が
撓んだ状態で上記内側部材の長手方向の端部同士が当接
しないような長さとなっているものである。
【0013】本発明が講じた第5の解決手段は、上記第
1,第2,第3又は第4の解決手段において、内側部材
は、外側部材における支持用ばねの一方の端部近傍に固
定されるものである。
【0014】本発明が講じた第6の解決手段は、上記第
5の解決手段において、減衰部材における支持用ばねの
一端近傍には、弾性を有すると共に、上記支持用ばねの
縮み量が所定値以上になると上記減衰部材における支持
用ばねの他端近傍に当接する突出部が設けられるもので
ある。
【0015】本発明が講じた第7の解決手段は、上記第
1,第2,第3,第4,第5又は第6の解決手段におい
て、外側部材と内側部材の両方がゴム製であるものであ
る。
【0016】本発明が講じた第8の解決手段は、上記第
7の解決手段において、内側部材が外側部材と一体に形
成されるものである。
【0017】本発明が講じた第9の解決手段は、上記第
7又は第8の解決手段において、外側部材の曲げこわさ
と内側部材の曲げこわさとが互いに相違しているもので
ある。
【0018】本発明が講じた第10の解決手段は、上記
第7又は第8の解決手段において、内側部材の曲げこわ
さが外側部材の曲げこわさよりも大きくなっているもの
である。
【0019】−作用− 上記第1の解決手段では、緩衝装置に支持用ばねと減衰
部材とが設けられる。緩衝装置に物体からの荷重が作用
すると、その荷重を受けて支持用ばねが伸縮する。支持
用ばねが伸縮すると、減衰部材で減衰力が発生する。上
記減衰部材には、外側部材と内側部材とが設けられる。
外側部材は、支持用ばねを囲うように設けられる。内側
部材は、弾性を有する板状の部材である。この板状の内
側部材は、外側部材の内周面に沿うように湾曲させら
れ、外側部材に押し付けられた状態となっている。
【0020】荷重を受けて支持用ばねが伸縮すると、そ
れに伴って外側部材が撓み、外側部材と内側部材が摺動
する。つまり、内側部材は、外側部材に押し付けられた
状態で、外側部材と擦り合わされる。そして、外側部材
と内側部材に働く摩擦力が、減衰力として作用する。
【0021】本解決手段において、内側部材は、輪状で
はなく板状に形成されている。また、この内側部材は、
弾性を有している。このため、外側部材が撓んで内側部
材の曲率が大きくなった場合でも、内側部材は、皺にな
ることなく外側部材と接触した状態に保持される。従っ
て、内側部材と外側部材の接触面積は、ほぼ一定に保た
れる。
【0022】上記第2の解決手段では、内側部材が四角
形状に形成される。本解決手段の減衰部材において、内
側部材は、一辺とその対辺とが支持用ばねを囲う外側部
材の周方向に沿うように設けられる。
【0023】上記第3の解決手段では、内側部材が長方
形状に形成される。本解決手段の減衰部材において、内
側部材は、その長辺が支持用ばねを囲う外側部材の周方
向に沿うように設けられる。また、長方形状の内側部材
は、その長手方向の中央部が外側部材に固定される。従
って、内側部材は、その中央部から両端に向かって延び
る部分が外側部材と摺動する。
【0024】上記第4の解決手段では、長方形状に形成
された内側部材の長辺が所定の長さとされる。つまり、
内側部材は、外側部材が撓んだ状態においても内側部材
の端部が互いにぶつかり合わないような長さに形成され
る。従って、外側部材が撓んだ際にも、内側部材の端部
同士が当接して内側部材が外側部材から離れてしまうこ
とは無い。
【0025】上記第5の解決手段では、外側部材のうち
支持用ばねの一方の端部近傍に位置する部分に内側部材
が固定される。この内側部材は、外側部材に固定された
部分以外の部分で外側部材と摺動する。
【0026】上記第6の解決手段では、減衰部材のうち
支持用ばねの一端近傍に位置する部分に突出部が設けら
れる。この突出部は、支持用ばねが荷重を受けて縮んだ
場合に、その縮み量が所定値以上となると、減衰部材の
うち支持用ばねの他端近傍に位置する部分にぶつかる。
また、突出部は、弾性を有しており、減衰部材にぶつか
ると変形する。この状態において、物体から緩衝装置へ
加えられた荷重は、支持用ばねと突出部の両方によって
支持される。
【0027】上記第7の解決手段では、外側部材と内側
部材の両方について、その材質がゴムとされる。つま
り、本解決手段では、内側部材だけでなく外側部材も弾
性を有する。また、外側部材を構成するゴムと内側部材
を構成するゴムとは、同じ組成のものであってもよい
し、異なる組成のものであってもよい。
【0028】上記第8の解決手段では、減衰部材におい
て、内側部材と外側部材とが一体に形成される。
【0029】上記第9の解決手段では、外側部材と内側
部材について、それぞれの「曲げこわさ」(即ち、曲げ剛
性)が互いに異なっている。
【0030】上記第10の解決手段では、内側部材の
「曲げこわさ」が外側部材のそれよりも大きくなってい
る。つまり、支持用ばねを囲う外側部材よりも、外側部
材の内周面に沿って湾曲する内側部材の方が曲がりにく
くなっている。このため、両者の「曲げこわさ」が同じ場
合に比べ、内側部材が外側部材に強く押し付けられた状
態となる。
【0031】
【発明の効果】本発明では、減衰力を発生させるために
外側部材と摺動する内側部材を、板状の弾性体によって
構成している。このため、比較的大きな荷重が緩衝装置
に作用して外側部材が大きく撓んだ場合でも、内側部材
と外側部材を確実に接触させて内側部材と外側部材の接
触面積を一定に保持することが可能となる。
【0032】つまり、緩衝装置に作用する荷重の大小に
拘わらず、減衰部材における内側部材と外側部材の接触
面積を一定に保ち、内側部材と外側部材の間に作用する
摩擦力、即ち減衰部材で生じる減衰力の変化を抑制する
ことができる。従って、本発明によれば、減衰部材にお
いて安定した減衰力を発生させることができ、緩衝装置
の性能を向上させることが可能となる。
【0033】また、上記第4の解決手段では、長方形状
に形成された内側部材の長辺が所定の長さとされ、外側
部材が撓んだ状態でも内側部材の端部同士が当接しない
ようになっている。このため、比較的大きな加重が緩衝
装置に作用して外側部材が大きく撓んだ場合でも、内側
部材の両端部が互いにぶつかり合って内側部材が外側部
材から離れてしまうのを確実に回避できる。従って、本
解決手段によれば、減衰部材で生じる減衰力の変化を一
層確実に抑制でき、緩衝装置の更なる性能向上を図るこ
とができる。
【0034】また、上記第6の解決手段によれば、支持
用ばねの縮み量が所定値以上となった状態において、支
持用ばねと弾性を有する突出部との両方によって荷重を
支えることができる。このため、比較的大きな荷重が緩
衝装置に作用した場合であっても、例えば支持用ばねが
全屈状態となって破損するといった事態を回避でき、緩
衝装置の信頼性を向上させることが可能となる。
【0035】また、上記第8の解決手段では、共にゴム
製の外側部材と内側部材とを一体に形成している。この
ため、一度の成型工程で外側部材と内側部材の両方を成
型することが可能となる。従って、本解決手段によれ
ば、減衰部材の製造工程を簡略化でき、緩衝装置の製造
コストを削減することが可能となる。
【0036】また、上記第10の解決手段では、内側部
材の「曲げこわさ」を外側部材の「曲げこわさ」よりも大き
くしている。このため、両者の「曲げこわさ」が同じ場合
に比べ、内側部材を外側部材に強く押し付けることがで
きる。即ち、内側部材の外側面と外側部材の内周面とに
作用する垂直荷重を大きくすることができる。従って、
本解決手段によれば、内側部材と外側部材の間に作用す
る摩擦力を大きくすることができ、減衰部材で発生する
減衰力を増大させることが可能となる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて詳細に説明する。
【0038】図1及び図2に示すように、本実施形態に
係る緩衝装置10は、減衰部材20と支持用ばね30と
を備えている。また、この緩衝装置10には、一対の取
付金具31が設けられている。
【0039】上記減衰部材20は、何れもゴム製の外側
部材21及び内側部材22を備えている。外側部材21
は、エンドレスの帯状に形成されている。一方、内側部
材22は、長方形の板状に形成されている。長方形状の
内側部材22は、短辺の長さが外側部材21の幅Wと等
しく、長辺の長さが外側部材21の内周長の2/3程度
となっている。つまり、外側部材21の周方向に沿う内
側部材22の長辺は、その長さが外側部材21の内周長
よりも短くなっている。また、外側部材21の厚みt1
と内側部材22の厚みt2とは、ほぼ等しくなってい
る。
【0040】内側部材22は、その長手方向が外側部材
21の周方向と一致する姿勢で、輪状となった外側部材
21の内側に設けられている。この内側部材22は、そ
の長手方向の中央部23が外側部材21に固定されてい
る。具体的には、外側部材21の内周面にやや盛り上が
った部分が形成され、この部分に内側部材22の中央部
23が固着されている。
【0041】内側部材22において、その中央部23か
ら図1における左右の端部へ向かって延びる部分は、摺
動部24を構成している。内側部材22が外側部材21
に固定された状態では、内側部材22の摺動部24が外
側部材21の内周面に沿って湾曲した状態となる。つま
り、元々は平板状である摺動部24は、外側部材21に
沿って湾曲し、自らの弾性によって外側部材21の内周
面に押し付けられた状態となっている。
【0042】上記減衰部材20には、2つの貫通孔2
5,26が形成されている。第一貫通孔25は、減衰部
材20のうち内側部材22が外側部材21に固着された
部分に形成されている。この第一貫通孔25は、減衰部
材20の幅方向の中央付近に形成され、外側部材21と
内側部材22の両方を貫通している。一方、第二貫通孔
26は、減衰部材20における第一貫通孔25に対向す
る箇所に形成されている。この第二貫通孔26は、減衰
部材20の幅方向の中央付近に形成され、外側部材21
を貫通している。
【0043】上記減衰部材20には、ゴム製のストッパ
27が設けられている。このストッパ27は、突出部を
構成している。具体的に、ストッパ27は、減衰部材2
0における第二貫通孔26の両側、即ち図1における紙
面の手前側と奥側に1つずつ設けられている。また、ス
トッパ27は、外側部材21と一体に形成され、外側部
材21の内周面から突出している。更に、このストッパ
27は、図1に現れる断面形状が半円状となっている。
【0044】上述のように、上記減衰部材20の外側部
材21と内側部材22は、何れもゴム製である。外側部
材21や内側部材22を構成するゴムとしては、例えば
ニトリルゴムやアクリルゴム等の極性の強い合成ゴムを
ベースとした高減衰性のゴムを用いるのが望ましい。ま
た、減衰部材20の成型工程では、外側部材21になる
未加硫ゴムと内側部材22になる未加硫ゴムとを1つの
型へ入れて加硫成型することにより、外側部材21と内
側部材22とが一体に形成される。
【0045】上記減衰部材20では、外側部材21を構
成するゴムの硬度と、内側部材22を構成するゴムの硬
度とが互いに相違している。具体的に、内側部材22の
ゴム硬度は、外側部材21のゴム硬度よりも10〜20
程度大きくなっている。尚、ここで示すゴム硬度の値
は、「JIS K 6253」に規定されたデュロメータ硬
さであってタイプAデュロメータを用いた試験により得
られた値である。また、内側部材22のゴム硬度はA5
0以上A70以下とするのが望ましく、外側部材21の
ゴム硬度はA30以上A60以下とするのが望ましい。
【0046】このように内側部材22のゴム硬度を外側
部材21のゴム硬度よりも大きくすると、内側部材22
の「曲げこわさ」が外側部材21の「曲げこわさ」よりも大
きくなる。つまり、外側部材21よりも曲がりにくい内
側部材22が、外側部材21の内周面に沿って湾曲させ
られることとなる。従って、内側部材22のゴム硬度が
大きいほど、内側部材22が外側部材21に強く押し付
けられる。
【0047】上記支持用ばね30は、コイルばねによっ
て構成され、減衰部材20の第一及び第二貫通孔25,
26に挿通されている。つまり、支持用ばね30は、輪
状に形成された外側部材21に対して、その径方向に架
け渡された状態で設けられている。
【0048】上記取付金具31は、平板部32とボルト
部33とによって構成されている。平板部32は、長方
形板状に形成されている。この平板部32は、その長辺
の長さが減衰部材20の幅Wと等しく、その短辺の長さ
が支持用ばね30の直径よりもやや長くなっている。一
方、ボルト部33は、雄ねじを構成しており、平板部3
2における表面の中央付近に突設されている。
【0049】上記取付金具31は、支持用ばね30の各
端に1つずつ設けられている。具体的に、取付金具31
は、平板部32におけるボルト部33と反対側の裏面が
支持用ばね30の端部と接合されている。また、各取付
金具31の平板部32は、減衰部材20の外側部材21
に固定されている。具体的に、取付金具31は、平板部
32の裏面が外側部材21の外周面に接着されている。
【0050】このように、減衰部材20の外側部材21
は、支持用ばね30と共に取付金具31の平板部32に
固定されている。この状態で、外側部材21は、横長の
長円形状あるいは楕円形状となっている。また、支持用
ばね30は、その伸縮方向が外側部材21の短径方向と
一致する姿勢となっている。そして、外側部材21の円
弧状に湾曲した部分が支持用ばね30の左右両側に形成
され、この外側部材21の円弧状の部分に対して内側部
材22の摺動部24が湾曲した状態で押し付けられる。
【0051】つまり、上記緩衝装置10では、減衰部材
20の外側部材21が支持用ばね30を囲うようにその
一端から他端に亘って設けられた状態となっている。そ
して、この緩衝装置10では、荷重を受けて支持用ばね
30が伸縮すると、減衰部材20の外側部材21が撓
み、外側部材21と内側部材22が摺動して減衰力が発
生する。
【0052】−緩衝装置の動作− 上記緩衝装置10の動作について、この緩衝装置10を
手押し用の台車60に適用した場合を例に説明する。
【0053】図3に示すように、台車60の荷台61
は、長方形板状に形成され、その下面の四隅にキャスタ
ー62が設けられている。荷台61の一端には、その上
面にパイプ製のハンドル63が立設されている。荷台6
1の上面には、本実施形態に係る緩衝装置10を介して
搭載板64が取り付けられている。この搭載板64は、
長方形板状に形成されている。
【0054】上記緩衝装置10は、搭載板64の下面の
四隅に1つずつ設けられている。つまり、緩衝装置10
は、荷台61と搭載板64の間に設けられている。その
際、緩衝装置10は、図1における下側のボルト部33
で荷台61に固定され、同図における上側のボルト部3
3で搭載板64に固定される。
【0055】例えば、上記台車60のキャスター62が
段差を乗り越える際には、緩衝装置10に対して荷台6
1からの衝撃荷重が作用する。緩衝装置10に荷重が加
わると、支持用ばね30が縮み、減衰部材20の外側部
材21が撓んで内側部材22の摺動部24と外側部材2
1が擦れ合う。その後、支持用ばね30は伸縮を繰り返
すが、その間は内側部材22の摺動部24と外側部材2
1が摺動し続ける。そして、外側部材21と内側部材2
2の間の摩擦力が減衰力として作用し、支持用ばね30
の伸縮が次第に収束する。
【0056】このように、上記台車60では、荷台61
に加えられた衝撃荷重は、緩衝装置10によって緩和さ
れてから搭載板64に作用する。従って、搭載板64に
載せられた荷物に作用する衝撃荷重が低減され、荷物の
損傷等が回避される。
【0057】ここで、本実施形態の緩衝装置10では、
長方形状の内側部材22が外側部材21の周方向に沿っ
て設けられると共に、内側部材22の長さが外側部材2
1の内周長よりも短くなっている。従って、緩衝装置1
0に大荷重が作用して外側部材21が大きく撓んだ場合
であっても、内側部材22と外側部材21の相対移動が
制限されて内側部材22が皺になることは無く、内側部
材22の摺動部24は外側部材21に密着した状態に保
たれる。また、内側部材22における摺動部24の端部
同士が当たることは無く、それによって内側部材22が
外側部材21から離れてしまうことも無い。
【0058】また、例えば、上記台車60が比較的高い
段差を乗り越える場合には、緩衝装置10に比較的大き
な荷重が作用して支持用ばね30が縮み量が大きくな
る。このような場合には、減衰部材20が大きく撓み、
支持用ばね30が全屈状態となる前にストッパ27が内
側部材22の中央部23に当接する。そして、このスト
ッパ27は、内側部材22に当接して押し潰され、支持
用ばね30と共に緩衝装置10に作用した荷重を支え
る。
【0059】−実施形態の効果− 本実施形態では、減衰力を発生させるために外側部材2
1と摺動する内側部材22を、ゴム製の板状体によって
構成している。このため、緩衝装置10が比較的大きな
荷重を受けて外側部材21が大きく撓んだ場合でも、内
側部材22と外側部材21を確実に接触させて内側部材
22と外側部材21の接触面積を一定に保持することが
可能となる。
【0060】つまり、緩衝装置10に作用する荷重の大
小に拘わらず、減衰部材20における内側部材22と外
側部材21の接触面積を一定に保つことができ、内側部
材22と外側部材21の間に作用する摩擦力、即ち減衰
部材20で生じる減衰力の変化を抑制することができ
る。従って、本実施形態によれば、減衰部材20におい
て安定した減衰力を発生させることができ、緩衝装置1
0の性能を向上させることが可能となる。
【0061】また、本実施形態では、内側部材22を長
方形状に形成し、その中央部23を外側部材21におけ
る支持用ばね30の端部近傍に固定している。このた
め、支持用ばね30の左右両側に形成された外側部材2
1の円弧状の部分に対し、内側部材22の摺動部24を
確実に密着させることができる。従って、本実施形態に
よれば、外側部材21と内側部材22の接触面積を充分
に確保することができ、両者の摺動によって減衰力を確
実に発生させることができる。
【0062】また、本実施形態では、長方形状に形成さ
れた内側部材22の長辺が所定の長さとされ、外側部材
21が撓んだ状態でも内側部材22の端部同士が当接し
ないようになっている。このため、緩衝装置10が比較
的大きな加重を受けて外側部材21が大きく撓んだ場合
でも、内側部材22の両端部が互いにぶつかり合って内
側部材22が外側部材21から離れてしまうのを確実に
回避できる。従って、本実施形態では、内側部材22を
所定の形状とすることによって、減衰部材20で生じる
減衰力の変化を一層確実に抑制でき、緩衝装置10の更
なる性能向上を図ることができる。
【0063】また、本実施形態では、内側部材22と外
側部材21とでゴム硬度を相違させ、内側部材22の
「曲げこわさ」を外側部材21の「曲げこわさ」よりも大き
くしている。このため、両者の「曲げこわさ」が等しい場
合に比べ、内側部材22を外側部材21に強く押し付け
ることができる。即ち、内側部材22の外側面と外側部
材21の内周面とに作用する垂直荷重を大きくすること
ができる。従って、本実施形態によれば、内側部材22
と外側部材21の間に作用する摩擦力を大きくすること
ができ、減衰部材20で生じる減衰力を増大させること
が可能となる。
【0064】また、本実施形態によれば、支持用ばね3
0の縮み量が所定値以上となった場合には、支持用ばね
30が全屈する前にストッパ27を内側部材22の内側
面に当接させ、支持用ばね30と弾性を有するストッパ
27との両方によって荷重を支えることができる。この
ため、比較的大きな荷重が緩衝装置10に作用した場合
であっても、支持用ばね30が全屈状態となって破損す
るといった事態を回避でき、緩衝装置10の信頼性を向
上させることが可能となる。
【0065】また、本実施形態では、何れもゴム製の外
側部材21と内側部材22とを一体に形成している。こ
のため、加硫成型を一回行うだけで外側部材21と内側
部材22の両方を一度に成型することが可能となる。従
って、本実施形態によれば、減衰部材20の製造工程を
簡略化でき、緩衝装置10の製造コストを削減すること
が可能となる。
【0066】−第1の変形例− 上記実施形態の減衰部材20では、外側部材21をエン
ドレスの帯状に形成しているが、これに代えて次のよう
な構成としてもよい。
【0067】図4に示すように、本変形例では、外側部
材21を長方形の平板状に形成しておき、その外側部材
21の端面同士を突き合わせて接着することによって、
輪状の外側部材21を形成している。この場合、外側部
材21は、その長手方向の中央部の外側面が一方の取付
金具31の平板部32に接着され、その両端部の外側面
が他方の取付金具31の平板部32に接着される。本変
形例において、両端面が接着された外側部材21の周長
は、両端面が接着される前の外側部材21の長辺の長さ
と等しくなる。また、同図に示すように、本変形例で
は、外側部材21の各端部にストッパ27を1つずつ形
成してもよい。
【0068】尚、本変形例で外側部材21を輪状に形成
する際には、外側部材21の端面同士を接着している
が、これに代えて、外側部材21の端部同士を機械的に
係止する構成としてもよい。例えば、取付金具31の平
板部32にピン状の部材を突設し、このピン状部材を外
側部材21の端部に刺し通すことによって、外側部材2
1を輪状に形成してもよい。
【0069】−第2の変形例− 上記実施形態の減衰部材20では、外側部材21と内側
部材22とを一体に形成しているが、これに代えて、外
側部材21と内側部材22を別体に形成してもよい。
【0070】図5に示すように、本変形例では、エンド
レスの輪状の外側部材21と長方形状の内側部材22と
が別々に加硫成型され、外側部材21の内周面に沿って
内側部材22が設けられる。そして、内側部材22にお
ける長手方向の中央部23が、外側部材21における支
持用ばね30の端部近傍の内周面に固定される。
【0071】その際、内側部材22における中央部23
の内側面には、平板状の固定用金具34が設けられる。
また、外側部材21の外周面には、取付金具31の平板
部32が接着されている。そして、外側部材21と内側
部材22とは、重ね合わされた状態で取付金具31の平
板部32と固定用金具34とによって挟み込まれ、これ
によって内側部材22が外側部材21に固定される。
【0072】尚、本変形例では、固定用金具34と取付
金具31の平板部32とを利用して内側部材22を外側
部材21に固定しているが、これに代えて、内側部材2
2を外側部材21に接着するようにしてもよい。
【0073】−第3の変形例− 上記実施形態では、減衰部材20に一つの内側部材22
を設けてその中央部23を外側部材21に固着させてい
るが、これに代えて次のような構成としてもよい。
【0074】図6に示すように、本変形例では、減衰部
材20に二つの内側部材41が設けられている。各内側
部材41は、それぞれが四角形状に形成され、その対向
する二辺が外側部材21の周方向に沿う姿勢で設けられ
ている。また、各内側部材41は、一方の端部が外側部
材21における支持用ばね30の端部近傍の内周面に固
着されている。更に、各内側部材41では、外側部材2
1に固着された部分以外の部分が摺動部42を構成し、
この摺動部42が外側部材21と摺動する。
【0075】−第4の変形例− 上記実施形態では、減衰部材20に一つの内側部材22
を設けているが、これに代えて次のような構成としても
よい。
【0076】図7に示すように、本変形例の減衰部材2
0では、互いに重ね合わされた複数の内側部材22,5
1が外側部材21に取り付けられる。具体的に、本変形
例では、二枚の内側部材22,51が上下に重ねられて
いる。また、これら二枚の内側部材22,51は、外側
部材21と一体に形成されている。
【0077】下側に位置する第一の内側部材22は、上
記実施形態のものと同様に構成されている。即ち、第一
の内側部材22は、所定長さの長方形状に形成され、そ
の長手方向の中央部23が外側部材21における支持用
ばね30の端部近傍に固着されている。
【0078】一方、上側に位置する第二の内側部材51
は、第一の内側部材22よりもやや短い長方形状のゴム
板によって構成されている。この第二の内側部材51
は、その長手方向の中央部52が第一の内側部材22の
中央部23に固着されている。また、第二の内側部材5
1では、その中央部52から図7における左右の端部へ
向けて延びる部分が摺動部53を構成し、この摺動部5
3が第一の内側部材22の摺動部24と摺動する。
【0079】本変形例の緩衝装置10に荷重が作用して
支持用ばね30が伸縮すると、第一の内側部材22が外
側部材21と摺動すると同時に、第二の内側部材51が
第一の内側部材22と摺動する。従って、第一の内側部
材22と外側部材21の間の摩擦力だけでなく、第二の
内側部材51と第一の内側部材22の間の摩擦力も減衰
力として作用する。
【0080】このように、上記実施形態に係る緩衝装置
10の減衰部材20は、それぞれが板状の弾性体であっ
て互いに摺動可能な状態で積層された複数の内側部材2
2,51を備え、上記支持用ばね30が伸縮する際に外
側部材21と1つの内側部材22が摺動すると共に複数
の内側部材22,51同士が摺動するように構成されて
いてもよい。
【0081】尚、本変形例では外側部材21と二枚の内
側部材22,51とを全て一体に形成しているが、これ
に代えて、外側部材21と各内側部材22,51をそれ
ぞれ個別に形成してもよい。また、例えば、外側部材2
1と第一の内側部材22を一体として第二の内側部材5
1だけを別体としてもよく、二枚の内側部材22,51
を一体として外側部材21だけを別体としてもよい。
【0082】−第5の変形例− 上記実施形態では、内側部材22と外側部材21とでゴ
ム硬度を相違させることによって両者の「曲げこわさ」を
相違させているが、これに代えて、内側部材22と外側
部材21とで厚みを相違させることによって両者の「曲
げこわさ」を相違させてもよい。つまり、内側部材22
の厚みt2を外側部材21の厚みt1よりも大きくするこ
とによっても、内側部材22の「曲げこわさ」を外側部材
21の「曲げこわさ」よりも大きくすることが可能であ
る。
【0083】また、内側部材22の形状を変更すること
によって、内側部材22の「曲げこわさ」を増大させるよ
うにしてもよい。例えば、内側部材22にその長手方向
に沿って延びるリブ状の突起を設け、それによって内側
部材22の「曲げこわさ」を増大させることも可能であ
る。
【0084】本変形例によれば、内側部材22と外側部
材21とで「曲げこわさ」を相違させる場合であっても、
硬度や組成が同じゴムを内側部材22や外側部材21の
材料として用いることができる。このため、内側部材2
2と外側部材21とでゴム硬度を相違させる場合に比
べ、材料の管理等の生産管理を簡素化することができ、
製造コストの更なる低減が可能となる。
【0085】尚、内側部材22と外側部材21につい
て、両者のゴム硬度を相違させた上で、更に両者の厚み
や形状を相違させるようにしてもよい。
【0086】−その他の変形例− 上記実施形態では、内側部材22の「曲げこわさ」を外側
部材21の「曲げこわさ」よりも大きくしているが、内側
部材22や外側部材21の「曲げこわさ」をどの様に設定
するかは設計事項である。つまり、上記緩衝装置10に
おいて、内側部材22や外側部材21の「曲げこわさ」
は、必要とされる特性が得られるように適宜定められる
ものである。従って、場合によっては、外側部材21の
「曲げこわさ」が内側部材22の「曲げこわさ」よりも大き
くなってもよい。
【0087】また、上記実施形態の外側部材21と内側
部材22については、両者が組成のゴムで構成されてい
てもよいし、異なる組成のゴムで構成されていてもよ
い。更に、上記実施形態では、外側部材21と内側部材
22の両方をゴム製としているが、外側部材21は必ず
しもゴム製であることを要しない。つまり、外側部材2
1については、可撓性を有して支持用ばね30の伸縮に
伴って撓むものであればよく、例えば厚手の帆布等によ
って構成されていてもよい。
【0088】また、上記実施形態では、緩衝装置10に
作用する荷重の殆ど全てを支持用ばね30で支えている
が、これに代えて、減衰部材20における外側部材21
のゴム硬度を大きくし、支持用ばね30と外側部材21
の両方で緩衝装置10に作用する荷重を支えるようにし
てもよい。
【0089】また、上記実施形態では、内側部材22の
摺動部24が下から上に向かって延びる姿勢で緩衝装置
10を使用しているが(図3を参照)、この緩衝装置1
0を上下逆さまの姿勢で使用してもよい。この緩衝装置
10は、設置される姿勢の如何に拘わらず同等の機能を
発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る緩衝装置の正面図である。
【図2】図1におけるA-A断面を示す緩衝装置の断面
図である。
【図3】実施形態に係る緩衝装置を用いた台車の概略構
成図である。
【図4】実施形態の第1の変形例に係る緩衝装置の正面
図である。
【図5】実施形態の第2の変形例に係る緩衝装置の正面
図である。
【図6】実施形態の第3の変形例に係る緩衝装置の正面
図である。
【図7】実施形態の第4の変形例に係る緩衝装置の正面
図である。
【符号の説明】
10 緩衝装置 20 減衰部材 21 外側部材 22 内側部材 23 中央部 27 ストッパ(突出部) 30 支持用ばね 41 内側部材

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの物体の間に設けられて一方の物体
    から他方の物体へ伝わる衝撃を緩和するための緩衝装置
    であって、 上記物体からの荷重を支えるための支持用ばねと、該支
    持用ばねが伸縮する際に減衰力を生じさせる減衰部材と
    を備える一方、 上記減衰部材には、上記支持用ばねを囲うように該支持
    用ばねの一端から他端へ亘って設けられる可撓性の外側
    部材と、上記外側部材の内周面に沿うように湾曲して設
    けられる板状の弾性体であって上記支持用ばねが伸縮す
    る際に上記外側部材と摺動する内側部材とが設けられて
    いる緩衝装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の緩衝装置において、 内側部材は、四角形状に形成されると共に、対向する二
    辺が外側部材の周方向に沿う姿勢で設けられている緩衝
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の緩衝装置において、 内側部材は、長方形状に形成されて長辺が外側部材の周
    方向に沿う姿勢で設けられると共に、長手方向の中央部
    が外側部材に固定されている緩衝装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の緩衝装置において、 内側部材の長辺は、外側部材が撓んだ状態で上記内側部
    材の長手方向の端部同士が当接しないような長さとなっ
    ている緩衝装置。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3又は4記載の緩衝装置
    において、 内側部材は、外側部材における支持用ばねの一方の端部
    近傍に固定されている緩衝装置。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の緩衝装置において、 減衰部材における支持用ばねの一端近傍には、弾性を有
    すると共に、上記支持用ばねの縮み量が所定値以上にな
    ると上記減衰部材における支持用ばねの他端近傍に当接
    する突出部が設けられている緩衝装置。
  7. 【請求項7】 請求項1,2,3,4,5又は6記載の
    緩衝装置において、 外側部材と内側部材の両方がゴム製である緩衝装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の緩衝装置において、 内側部材が外側部材と一体に形成されている緩衝装置。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8記載の緩衝装置におい
    て、 外側部材の曲げこわさと内側部材の曲げこわさとが互い
    に相違している緩衝装置。
  10. 【請求項10】 請求項7又は8記載の緩衝装置におい
    て、 内側部材の曲げこわさが外側部材の曲げこわさよりも大
    きくなっている緩衝装置。
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