JP2003193289A - 電解メッキ皮膜の熱処理方法 - Google Patents
電解メッキ皮膜の熱処理方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 電子機器の銅部品やフレキシブルプリント配
線基板の銅配線に用いられる錫−銅系合金の電解メッキ
皮膜ににおける、ウイスカの発生を抑制すること並びに
鉛による環境問題を解決すること。 【解決手段】 錫を主成分とし、10%(wt)以下の
銅並びに不可避成分からなる錫−銅系合金を、電解メッ
キ処理により銅或いは銅合金上に設た後、この電解メッ
キ皮膜に270℃以下227℃以上で、15分以内の熱
処理を施すことによって解決される。
線基板の銅配線に用いられる錫−銅系合金の電解メッキ
皮膜ににおける、ウイスカの発生を抑制すること並びに
鉛による環境問題を解決すること。 【解決手段】 錫を主成分とし、10%(wt)以下の
銅並びに不可避成分からなる錫−銅系合金を、電解メッ
キ処理により銅或いは銅合金上に設た後、この電解メッ
キ皮膜に270℃以下227℃以上で、15分以内の熱
処理を施すことによって解決される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器等の部品
や特にフレキシブルプリント配線基板における銅配線の
半田付けのために用いられる、錫−銅系合金の電解メッ
キ皮膜の熱処理方法に関するものである。
や特にフレキシブルプリント配線基板における銅配線の
半田付けのために用いられる、錫−銅系合金の電解メッ
キ皮膜の熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子機器等における半田付けされ
る部品やコネクタに装着される配線基板の接続部等に
は、その表面に錫を主成分とする半田メッキ処理が施さ
れる。このような半田合金としては、錫に鉛を数%〜4
0%程度含む錫−鉛系の半田合金が用いられてきた。こ
の半田合金は、半田濡れ性が良いことやウイスカと称す
る髭状単結晶の発生が抑制される等の利点がある反面、
この様に多量の鉛を含む半田合金を用いた電子機器等
が、廃棄処分されたりして酸性雨等に曝されると鉛が溶
出し動植物や人体に影響することが懸念されるため、鉛
を極力含まない半田合金が検討されている。その様な鉛
を含まない半田合金としては、錫を主成分としこれに
銅、銀、ビスマス等の1種或いは2種以上を添加したも
のが知られている。そしてこのような半田合金は鉛を含
まないだけでなく、半田付け性の向上や前記ウイスカの
発生防止上からも好ましいものとされているが、例えば
銀を含む錫合金を用いて電解メッキをする場合には、銀
が錫陽極と置換反応を起こして電解メッキ浴の組成が不
安定になり、その管理に手間がかかる等の問題がある。
また、ビスマスを含む錫合金の電解メッキ処理の場合に
は、ビスマスの濃度が高いとメッキ延性が低下すること
や半田付け不良をおこし易く、またビスマス濃度が低い
と、ウイスカの抑制が不充分である問題があった。
る部品やコネクタに装着される配線基板の接続部等に
は、その表面に錫を主成分とする半田メッキ処理が施さ
れる。このような半田合金としては、錫に鉛を数%〜4
0%程度含む錫−鉛系の半田合金が用いられてきた。こ
の半田合金は、半田濡れ性が良いことやウイスカと称す
る髭状単結晶の発生が抑制される等の利点がある反面、
この様に多量の鉛を含む半田合金を用いた電子機器等
が、廃棄処分されたりして酸性雨等に曝されると鉛が溶
出し動植物や人体に影響することが懸念されるため、鉛
を極力含まない半田合金が検討されている。その様な鉛
を含まない半田合金としては、錫を主成分としこれに
銅、銀、ビスマス等の1種或いは2種以上を添加したも
のが知られている。そしてこのような半田合金は鉛を含
まないだけでなく、半田付け性の向上や前記ウイスカの
発生防止上からも好ましいものとされているが、例えば
銀を含む錫合金を用いて電解メッキをする場合には、銀
が錫陽極と置換反応を起こして電解メッキ浴の組成が不
安定になり、その管理に手間がかかる等の問題がある。
また、ビスマスを含む錫合金の電解メッキ処理の場合に
は、ビスマスの濃度が高いとメッキ延性が低下すること
や半田付け不良をおこし易く、またビスマス濃度が低い
と、ウイスカの抑制が不充分である問題があった。
【0003】これに対して、銅を含有する錫−銅系合金
の場合には、半田濡れ性が向上し安定した品質の電解メ
ッキが行える等好ましいものであるが、しかしながらこ
の合金系では、ウイスカが発生するという問題があり、
これはフレキシブルプリント配線基板のように銅配線の
ピッチが非常に小さい場合には、短絡等が問題となる。
さらにまた前記銅配線は、接着剤によって接着されてい
るため、これらを劣化させるような熱処理を施すことは
できないので、両者を同時に解決できる錫−銅系合金半
田の電解メッキ処理方法が望まれている。
の場合には、半田濡れ性が向上し安定した品質の電解メ
ッキが行える等好ましいものであるが、しかしながらこ
の合金系では、ウイスカが発生するという問題があり、
これはフレキシブルプリント配線基板のように銅配線の
ピッチが非常に小さい場合には、短絡等が問題となる。
さらにまた前記銅配線は、接着剤によって接着されてい
るため、これらを劣化させるような熱処理を施すことは
できないので、両者を同時に解決できる錫−銅系合金半
田の電解メッキ処理方法が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明が解決し
ようとする課題は、電子機器等の部品や特にフレキシブ
ルプリント配線基板の銅配線に用いる錫−銅系合金の電
解メッキ皮膜における、ウイスカの発生を抑制しかつ前
記フレキシブルプリント配線基板の銅配線部分での変色
防止が可能な錫−銅系合金半田の熱処理方法を提供する
と同時に、鉛による環境問題も生じないようにすること
にある。
ようとする課題は、電子機器等の部品や特にフレキシブ
ルプリント配線基板の銅配線に用いる錫−銅系合金の電
解メッキ皮膜における、ウイスカの発生を抑制しかつ前
記フレキシブルプリント配線基板の銅配線部分での変色
防止が可能な錫−銅系合金半田の熱処理方法を提供する
と同時に、鉛による環境問題も生じないようにすること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上のような課題を解決
するためには、錫を主成分とし10%(wt)以下の銅
並びに不可避成分からなる錫−銅系合金を、電解メッキ
処理により、銅或いは銅合金上に形成した錫−銅系合金
の電解メッキ皮膜を、270℃以下であってかつ227
℃以上の温度で15分以内の熱処理を施すこと、また前
記銅或いは銅合金としてフレキシブルプリント配線基板
の銅配線に適用することによって、解決される。
するためには、錫を主成分とし10%(wt)以下の銅
並びに不可避成分からなる錫−銅系合金を、電解メッキ
処理により、銅或いは銅合金上に形成した錫−銅系合金
の電解メッキ皮膜を、270℃以下であってかつ227
℃以上の温度で15分以内の熱処理を施すこと、また前
記銅或いは銅合金としてフレキシブルプリント配線基板
の銅配線に適用することによって、解決される。
【0006】以上のように錫−銅系合金の電解メッキ皮
膜の熱処理条件を、270℃以下で227℃以上の温度
に15分以内のように、前記錫−銅系合金が液相を呈す
る227℃以上の温度に曝すことによって、ウイスカの
発生が抑制され、良好な半田付け性を有するものとする
ことができる。そして特にフレキシブルプリント配線基
板の銅配線のように銅配線のピッチが非常に小さい場合
においても、ウイスカによる配線回路の短絡の問題が生
じることもない。また前記温範囲と時間の組合せによ
り、前記フレキシブルプリント配線基板の絶縁部分に対
しても、熱劣化等による変色の問題を生じることがな
い。また前記合金中の銅の添加量を10%(wt)以下
としているため、銅或いは銅合金上に形成したこの錫−
銅系合金の電解メッキ皮膜は、ウイスカそのものの発生
も抑制されている。さらに、鉛は不可避成分程度の量で
あるため、廃棄処分されたこの種部品が、酸性雨等に曝
されても鉛の溶出による環境問題もない。
膜の熱処理条件を、270℃以下で227℃以上の温度
に15分以内のように、前記錫−銅系合金が液相を呈す
る227℃以上の温度に曝すことによって、ウイスカの
発生が抑制され、良好な半田付け性を有するものとする
ことができる。そして特にフレキシブルプリント配線基
板の銅配線のように銅配線のピッチが非常に小さい場合
においても、ウイスカによる配線回路の短絡の問題が生
じることもない。また前記温範囲と時間の組合せによ
り、前記フレキシブルプリント配線基板の絶縁部分に対
しても、熱劣化等による変色の問題を生じることがな
い。また前記合金中の銅の添加量を10%(wt)以下
としているため、銅或いは銅合金上に形成したこの錫−
銅系合金の電解メッキ皮膜は、ウイスカそのものの発生
も抑制されている。さらに、鉛は不可避成分程度の量で
あるため、廃棄処分されたこの種部品が、酸性雨等に曝
されても鉛の溶出による環境問題もない。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
請求項1に記載される錫を主成分とし10%(wt)以
下の銅並びに不可避成分からなる錫−銅系合金を、電解
メッキ処理により、銅或いは銅合金上に形成した錫−銅
系合金の電解メッキ皮膜を、270℃以下227℃以上
の温度で15分以内の熱処理を施すことによって、前記
電解メッキ皮膜はウイスカのない錫−銅系合金の電解メ
ッキ皮膜とすることができる。すなわち、熱処理温度を
270℃以下とすることによって、後述するフレキシブ
ルプリント配線基板の銅配線に適用したときに、前記銅
配線の接着剤を劣化させたりすることがなく、かつウイ
スカの発生も抑制できる。このことは、前記フレキシブ
ルプリント配線基板の銅配線のようにそのピッチが非常
に小さい場合にも、ウイスカの発生による配線の短絡や
半田付け性の低下の問題がなく好ましい。また、熱処理
温度を227℃以上で15分以内としたのは、使用する
前記錫−銅系合金半田が液相を生じる温度227℃以上
の温度に一度は曝されるようにするためである。このこ
とによって、ウイスカの発生は抑制される。また、22
7℃であっても15分以内とする必要がある。この時間
を越えて加熱を続けると、前記プリント配線基板に使用
されている接着剤が劣化し好ましくない。さらにまた、
前記錫−銅系合金の銅量を10%(wt)以下としたの
は、銅量が10%を越えるとウイスカの発生も多くなり
半田濡れ性が特に悪くなるためである。またこのように
鉛を不可避成分としてしか含まない合金半田を用いた半
田メッキ部品等は、廃却後に酸性雨等に曝されても鉛が
溶出して環境問題を生じることもない。
請求項1に記載される錫を主成分とし10%(wt)以
下の銅並びに不可避成分からなる錫−銅系合金を、電解
メッキ処理により、銅或いは銅合金上に形成した錫−銅
系合金の電解メッキ皮膜を、270℃以下227℃以上
の温度で15分以内の熱処理を施すことによって、前記
電解メッキ皮膜はウイスカのない錫−銅系合金の電解メ
ッキ皮膜とすることができる。すなわち、熱処理温度を
270℃以下とすることによって、後述するフレキシブ
ルプリント配線基板の銅配線に適用したときに、前記銅
配線の接着剤を劣化させたりすることがなく、かつウイ
スカの発生も抑制できる。このことは、前記フレキシブ
ルプリント配線基板の銅配線のようにそのピッチが非常
に小さい場合にも、ウイスカの発生による配線の短絡や
半田付け性の低下の問題がなく好ましい。また、熱処理
温度を227℃以上で15分以内としたのは、使用する
前記錫−銅系合金半田が液相を生じる温度227℃以上
の温度に一度は曝されるようにするためである。このこ
とによって、ウイスカの発生は抑制される。また、22
7℃であっても15分以内とする必要がある。この時間
を越えて加熱を続けると、前記プリント配線基板に使用
されている接着剤が劣化し好ましくない。さらにまた、
前記錫−銅系合金の銅量を10%(wt)以下としたの
は、銅量が10%を越えるとウイスカの発生も多くなり
半田濡れ性が特に悪くなるためである。またこのように
鉛を不可避成分としてしか含まない合金半田を用いた半
田メッキ部品等は、廃却後に酸性雨等に曝されても鉛が
溶出して環境問題を生じることもない。
【0008】また本発明の最も有用な用途としては、請
求項2に記載されるように半田メッキを施される前記銅
或いは銅合金が、フレキシブルプリント配線基板(FP
C)の銅配線に適用される場合であって、前述したよう
に前記銅配線の接続部分を熱による劣化がなく変色を生
ぜず、また配線ピッチが極めて小さなものであっても、
ウイスカ発生による配線回路の短絡の問題もなく、さら
に鉛による環境問題もないFPC用銅配線の錫−銅系合
金の電解メッキ皮膜として、特に有用なものとなる。な
お、本発明における電解メッキ皮膜形成のための電解メ
ッキ処理条件は、特に限定されるものではないが、電解
条件としては電流密度が5〜100mA/cm2程度と
するのが良い。
求項2に記載されるように半田メッキを施される前記銅
或いは銅合金が、フレキシブルプリント配線基板(FP
C)の銅配線に適用される場合であって、前述したよう
に前記銅配線の接続部分を熱による劣化がなく変色を生
ぜず、また配線ピッチが極めて小さなものであっても、
ウイスカ発生による配線回路の短絡の問題もなく、さら
に鉛による環境問題もないFPC用銅配線の錫−銅系合
金の電解メッキ皮膜として、特に有用なものとなる。な
お、本発明における電解メッキ皮膜形成のための電解メ
ッキ処理条件は、特に限定されるものではないが、電解
条件としては電流密度が5〜100mA/cm2程度と
するのが良い。
【0009】以上のような本発明によれば、錫−銅系合
金の電解メッキ皮膜は、270℃以下227℃以上の温
度で、15分以内の熱処理を行うことによって構成され
るので、前記メッキ皮膜中のウイスカ発生を抑制し配線
回路の短絡問題もなく、またFPC絶縁部等の熱劣化に
よる問題もないので、特にフレキシブルプリント配線基
板の銅配線に適用することによって、効果が顕著である
ことがわかる。また前記錫−銅系合金は、銅の添加量を
10%(wt)以下としているので、銅或いは銅合金上
に形成した錫−銅系合金の電解メッキ皮膜は、ウイスカ
そのものの生成も少なくかつ発生したものも抑制される
ので、半田付け性に優れたものとなる。また、鉛成分は
不可避成分としての量であるから、前記半田メッキが施
された部品等が廃棄処分され、酸性雨等に曝されても、
鉛の溶出問題もない。
金の電解メッキ皮膜は、270℃以下227℃以上の温
度で、15分以内の熱処理を行うことによって構成され
るので、前記メッキ皮膜中のウイスカ発生を抑制し配線
回路の短絡問題もなく、またFPC絶縁部等の熱劣化に
よる問題もないので、特にフレキシブルプリント配線基
板の銅配線に適用することによって、効果が顕著である
ことがわかる。また前記錫−銅系合金は、銅の添加量を
10%(wt)以下としているので、銅或いは銅合金上
に形成した錫−銅系合金の電解メッキ皮膜は、ウイスカ
そのものの生成も少なくかつ発生したものも抑制される
ので、半田付け性に優れたものとなる。また、鉛成分は
不可避成分としての量であるから、前記半田メッキが施
された部品等が廃棄処分され、酸性雨等に曝されても、
鉛の溶出問題もない。
【0010】
【実施例】表1に示す内容の各試料について、ウイスカ
の発生状況、FPC絶縁部の変色状態並びに環境問題に
ついて測定を行った。ウイスカ発生状況は、FPC試料
の銅配線部分に初期皮膜組成に記載されるような錫−銅
系合金の電解メッキを施し、この試料を窒素雰囲気のリ
フロー炉中に入れて、熱処理条件として記載した処理を
行った。その後、50℃で1000時間のウイスカ発生
加速試験を行い、SEM(走査型電子顕微鏡)により倍
率750倍で、2.5mm2の範囲を観測した。そし
て、ウイスカの発生が見られたものを×印、発生が見ら
れなかったものを○印で表示した。また、FPC絶縁部
の変色についてはその外観を観測し、変色が見られたも
のは×印で、変色の見られなかったものを○印で表示し
た。
の発生状況、FPC絶縁部の変色状態並びに環境問題に
ついて測定を行った。ウイスカ発生状況は、FPC試料
の銅配線部分に初期皮膜組成に記載されるような錫−銅
系合金の電解メッキを施し、この試料を窒素雰囲気のリ
フロー炉中に入れて、熱処理条件として記載した処理を
行った。その後、50℃で1000時間のウイスカ発生
加速試験を行い、SEM(走査型電子顕微鏡)により倍
率750倍で、2.5mm2の範囲を観測した。そし
て、ウイスカの発生が見られたものを×印、発生が見ら
れなかったものを○印で表示した。また、FPC絶縁部
の変色についてはその外観を観測し、変色が見られたも
のは×印で、変色の見られなかったものを○印で表示し
た。
【0011】なお前記の電解メッキ処理は、500ml
のSn−Cu電解メッキ浴を用いて、電解メッキを施し
たもので、陽極には白金電極を用い、電流密度は20m
A/cm2とした。また、前記メッキ皮膜中のCu濃度
は、前記メッキ浴中のSnイオン濃度ならびにCuイオ
ン濃度を調整することにより制御した。さらに前記メッ
キ皮膜の厚さは、電解メッキ処理時間を変えることによ
って調整した。なお、前記メッキ皮膜中のSn並びにC
u濃度は、前記銅板に変えてステンレス板に前記と同様
の条件で電解メッキ処理を行い、得られたメッキ皮膜を
酸により溶解し、ICP(誘導結合高周波プラズマ分光
分析)により測定したものである。
のSn−Cu電解メッキ浴を用いて、電解メッキを施し
たもので、陽極には白金電極を用い、電流密度は20m
A/cm2とした。また、前記メッキ皮膜中のCu濃度
は、前記メッキ浴中のSnイオン濃度ならびにCuイオ
ン濃度を調整することにより制御した。さらに前記メッ
キ皮膜の厚さは、電解メッキ処理時間を変えることによ
って調整した。なお、前記メッキ皮膜中のSn並びにC
u濃度は、前記銅板に変えてステンレス板に前記と同様
の条件で電解メッキ処理を行い、得られたメッキ皮膜を
酸により溶解し、ICP(誘導結合高周波プラズマ分光
分析)により測定したものである。
【0012】
【表1】
【0013】表1から明らかな如く、本発明における錫
−銅系合金の電解メッキ処理皮膜の熱処理方法は、熱処
理温度が、270℃を超えず、227℃以上の温度に曝
される時間が15分以内であるため、ウイスカの発生が
全く見られず、特にFPCの銅配線に適用した場合その
絶縁部における変色も見られず、銅配線間の短絡問題も
ないことがわかる。そしてまた鉛は不可避成分程度であ
るので、検出されず環境問題も生じないものであること
がわかった。より詳細に説明すると、実施例1〜7に示
される本発明による電解メッキ皮膜の熱処理方法によれ
ば、銅の含有量を10%(wt)までとする錫−銅系合
金は、ウイスカの発生が全くないものであることがわか
る。これは、熱処理温度を前記範囲内で行うと、表1の
ピーク温度として記載した数値からも明らかなように、
この種の合金半田が液相を生じる227℃を超える温度
に曝される時間があるため、ウイスカが消滅するためと
考えられる。そしてまた、熱処理温度の上限を270℃
としているので、FPCの銅配線に適用しても絶縁部に
おける変色の問題、すなわち前記絶縁部の劣化を生じな
いものとすることができる。
−銅系合金の電解メッキ処理皮膜の熱処理方法は、熱処
理温度が、270℃を超えず、227℃以上の温度に曝
される時間が15分以内であるため、ウイスカの発生が
全く見られず、特にFPCの銅配線に適用した場合その
絶縁部における変色も見られず、銅配線間の短絡問題も
ないことがわかる。そしてまた鉛は不可避成分程度であ
るので、検出されず環境問題も生じないものであること
がわかった。より詳細に説明すると、実施例1〜7に示
される本発明による電解メッキ皮膜の熱処理方法によれ
ば、銅の含有量を10%(wt)までとする錫−銅系合
金は、ウイスカの発生が全くないものであることがわか
る。これは、熱処理温度を前記範囲内で行うと、表1の
ピーク温度として記載した数値からも明らかなように、
この種の合金半田が液相を生じる227℃を超える温度
に曝される時間があるため、ウイスカが消滅するためと
考えられる。そしてまた、熱処理温度の上限を270℃
としているので、FPCの銅配線に適用しても絶縁部に
おける変色の問題、すなわち前記絶縁部の劣化を生じな
いものとすることができる。
【0014】これに対し、比較例として記載した比較例
1〜4に記載のものは、ウイスカの発生やFPCの絶縁
部において変色が見られる。これは、熱処理においてこ
の種半田合金の液相が生じる温度227℃に曝されるこ
とがないような条件であるため、ウイスカが発生する。
また、熱処理温度の時間が15分よりも長くなったり、
ピーク温度が270℃を越えるような場合には、FPC
の絶縁部に劣化による変色を生じ、特にFPCの場合に
は信頼性を損なうものとなる。なお錫−銅系合金の銅量
が10%(wt)を越えるものは、本発明の熱処理を施
してもウイスカの発生を、問題が生じない量までに抑え
ることが出来なかった。また比較例4は錫−銅系合金の
組成は好ましい範囲にあるが、熱履歴が280℃となる
と、FPCの絶縁部分に変色を生じてFPCの信頼性を
損なうものとなる。なお従来例1および2は、ウイスカ
の発生は見られないが、Pbが多量に検出され環境問題
をクリアできないものである。
1〜4に記載のものは、ウイスカの発生やFPCの絶縁
部において変色が見られる。これは、熱処理においてこ
の種半田合金の液相が生じる温度227℃に曝されるこ
とがないような条件であるため、ウイスカが発生する。
また、熱処理温度の時間が15分よりも長くなったり、
ピーク温度が270℃を越えるような場合には、FPC
の絶縁部に劣化による変色を生じ、特にFPCの場合に
は信頼性を損なうものとなる。なお錫−銅系合金の銅量
が10%(wt)を越えるものは、本発明の熱処理を施
してもウイスカの発生を、問題が生じない量までに抑え
ることが出来なかった。また比較例4は錫−銅系合金の
組成は好ましい範囲にあるが、熱履歴が280℃となる
と、FPCの絶縁部分に変色を生じてFPCの信頼性を
損なうものとなる。なお従来例1および2は、ウイスカ
の発生は見られないが、Pbが多量に検出され環境問題
をクリアできないものである。
【0015】このように本発明における錫−銅系合金の
電解メッキ皮膜の熱処理方法は、錫を主成分とし銅の添
加量が10%(wt)以下でありその他は不可避成分か
らなる錫−銅系合金を用い、熱処理温度を270℃以下
かつ227℃以上で15分を越えない熱処理とすること
によりウイスカの発生が抑制され、特にFPCの絶縁部
分の変色を起こす事もなく信頼性の高い電解メッキ皮膜
の熱処理方法とすることができる。また鉛は半田合金成
分中の不可避成分であるので、このような錫−銅系合金
を電解メッキした部品等を廃却処分しても、鉛の溶出に
よる環境問題は生じないことになる。
電解メッキ皮膜の熱処理方法は、錫を主成分とし銅の添
加量が10%(wt)以下でありその他は不可避成分か
らなる錫−銅系合金を用い、熱処理温度を270℃以下
かつ227℃以上で15分を越えない熱処理とすること
によりウイスカの発生が抑制され、特にFPCの絶縁部
分の変色を起こす事もなく信頼性の高い電解メッキ皮膜
の熱処理方法とすることができる。また鉛は半田合金成
分中の不可避成分であるので、このような錫−銅系合金
を電解メッキした部品等を廃却処分しても、鉛の溶出に
よる環境問題は生じないことになる。
【0016】
【発明の効果】以上のような本発明によれば、錫を主成
分とし銅の添加量を10%(wt)以下、その他の成分
は不可避成分とする錫−銅系合金を用いて、銅或いは銅
合金上に形成した電解メッキ皮膜を、270℃以下かつ
227℃以上の温度で、15分以内の熱処理を行うこと
によって処理するので、前記メッキ皮膜中のウイスカの
発生を抑制し半田濡れ性が優れたものとなり、特に前記
銅或いは銅合金としてフレキシブルプリント配線基板の
銅配線に適用する場合には、銅配線の短絡問題や絶縁部
の熱劣化による変色もなく、半田付け性の信頼性の高い
ものとなる。さらに鉛成分は不可避成分としてしか含ま
れないので、前記合金半田による電解メッキが施された
部品等が廃棄処分され、それがたとえ酸性雨等に曝され
ても、鉛の溶出はなく環境問題のないものである。
分とし銅の添加量を10%(wt)以下、その他の成分
は不可避成分とする錫−銅系合金を用いて、銅或いは銅
合金上に形成した電解メッキ皮膜を、270℃以下かつ
227℃以上の温度で、15分以内の熱処理を行うこと
によって処理するので、前記メッキ皮膜中のウイスカの
発生を抑制し半田濡れ性が優れたものとなり、特に前記
銅或いは銅合金としてフレキシブルプリント配線基板の
銅配線に適用する場合には、銅配線の短絡問題や絶縁部
の熱劣化による変色もなく、半田付け性の信頼性の高い
ものとなる。さらに鉛成分は不可避成分としてしか含ま
れないので、前記合金半田による電解メッキが施された
部品等が廃棄処分され、それがたとえ酸性雨等に曝され
ても、鉛の溶出はなく環境問題のないものである。
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Fターム(参考) 4K024 AA21 AB08 BA12 BB11 DB01
GA14 GA16
5E319 AC03 BB01 CC36 CD25 GG03
GG20
Claims (2)
- 【請求項1】 錫を主成分とし10%(wt)以下の銅
並びに不可避成分からなる錫−銅系合金を、電解メッキ
処理により銅或いは銅合金上に形成した錫−銅系合金の
電解メッキ皮膜を、270℃以下227℃以上の温度範
囲で15分以内の熱処理を施すことを特徴とする錫−銅
系合金の電解メッキ皮膜の熱処理方法。 - 【請求項2】 前記銅或いは銅合金が、フレキシブルプ
リント配線基板の銅配線であることを特徴とする、請求
項1に記載される錫−銅系合金の電解メッキ皮膜の熱処
理方法。
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---|---|---|---|
JP2001397927A JP2003193289A (ja) | 2001-12-27 | 2001-12-27 | 電解メッキ皮膜の熱処理方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2001
- 2001-12-27 JP JP2001397927A patent/JP2003193289A/ja active Pending
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