JP2003192392A - 防曇性ガラス製部材 - Google Patents
防曇性ガラス製部材Info
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Abstract
でき、長期に亘って優れた防曇性能を有する防曇性ガラ
ス製部材を提供する。 【解決手段】 親水性物質3を内包するマイクロカプセ
ル4を含有するバインダーの被膜2をガラス基材1の表
面に形成する。バインダー被膜2の表面が液剤に溶出し
てマイクロカプセル4が露出することによって、マイク
ロカプセル4から放出される親水性物質3でバインダー
被膜2の表面が被覆されるようにする。
Description
の防曇鏡、自動車用等の防曇窓ガラスや防曇鏡、建築用
の防曇ガラスなどとして使用される、表面に防曇性を付
与した鏡やガラスなど防曇性ガラス製部材に関するもの
である。
防曇処理する方法として、ガラス基材の表面の親水性を
維持することによって、水滴から水膜を形成させて防曇
を行なう方法や、ガラス基材の表面に吸水性あるいは吸
湿性ポリマーによる膜を形成させることによって、水滴
が付着することを防いで防曇を行なう方法などが提案さ
れている。
を維持する方法としては、特開2000−265163
号公報に記載されているような、界面活性剤や親水性物
質及び水に対して徐放性を有する徐放性物質をガラス基
材の表面に設け、界面活性剤や親水性物質が水で流れ出
る量を徐放性物質でコントロールすることによって、表
面の親水性を長期間維持する方法や、特開平5−302
173号公報に記載されているような、平均粒子径5μ
m以下の無機物質を含むケイ素のアルコキシドの溶液を
ガラス基材の表面に塗布焼成して親水性被膜を形成し、
親水性被膜で表面の親水性を長期間維持する方法や、特
開平8−119673号公報に記載されているような、
硬化性珪素樹脂溶液に金属酸化物を配合した親水化処理
剤をガラス基材の表面に塗布焼成して親水性被膜を形成
し、親水性被膜で表面の親水性を長期間維持する方法な
どが知られている。
5−302173号公報や特開平8−119673号公
報のように、無機系の親水性被膜を形成することによる
親水性の向上のみでは、表面に汚染物質が付着すること
によって親水性被膜の親水性が損なわれ、長期に亘って
防曇効果を維持することが困難であり、また水蒸気のよ
うな細かい水滴を水膜化して防曇効果を得るには親水性
が不十分であるという問題があった。また上記の特開2
000−265163号公報では、界面活性剤や親水性
物質の作用で水蒸気のような細かい水滴でも水膜化して
防曇効果を得ることが可能であるが、界面活性剤や親水
性物質はいずれも水溶性であって、過剰な水などが表面
に作用すると流れ落ちてしまい、長期間に亘って親水性
を維持することができくなるという問題があった。さら
にこの特開2000−265163号公報では徐放性物
質によって界面活性剤や親水性物質の流れ落ち易さを抑
えるようにしているものの、徐放性物質が溶出されると
界面活性剤や親水性物質がすぐに流出してしまい、界面
活性剤や親水性物質の流出をコントロールすることが困
難であり、この点でも親水性を長期間保持することがで
きないという問題があった。
あり、高い親水性を長期間に亘って維持することがで
き、長期に亘って優れた防曇性能を有する防曇性ガラス
製部材を提供することを目的とするものである。
防曇性ガラス部材は、親水性物質を内包するマイクロカ
プセルを含有するバインダーの被膜がガラス基材の表面
に形成されており、バインダー被膜の表面が液剤に溶出
してマイクロカプセルが露出することによって、マイク
ロカプセルから放出される親水性物質でバインダー被膜
の表面が被覆されることを特徴とするものである。
て、バインダーは水ガラスからなるものであることを特
徴とするものである。
て、バインダーは水溶性高分子からなるものであること
を特徴とするものである。
て、バインダーは無機コーティング材からなるものであ
ることを特徴とするものである。
いずれかにおいて、マイクロカプセルは液剤によって破
泡し、内包する親水性物質を放出するものであることを
特徴とするものである。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材は水溶性
高分子からなるものであることを特徴とするものであ
る。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材は非水溶
性高分子からなるものであることを特徴とするものであ
る。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材は無機質
多孔体からなるものであることを特徴とするものであ
る。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材中に光触
媒を含有するものであることを特徴とするものである。
のいずれかにおいて、マイクロカプセルは直径が100
μm以下であることを特徴とするものである。
0のいずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材はバ
インダーと親水性物質の少なくとも一方とほぼ同等の屈
折率を持つ光透過性のものであることを特徴とするもの
である。
1のいずれかにおいて、親水性物質は界面活性剤からな
るものであることを特徴とするものである。
いて、界面活性剤はアニオン性界面活性剤であることを
特徴とするものである。
3のいずれかにおいて、親水性物質は水溶性高分子から
なるものであることを特徴とするものである。
する。
ス基材の表面に、親水性物質を内包するマイクロカプセ
ルを含有したバインダーを塗布して、このバインダーの
被膜でガラス基材の表面を被覆して形成されるものであ
り、窓ガラスなどの防曇性ガラスや、防曇性鏡として使
用されるものである。
しては、透明な膜を形成する造膜性能を有すると共に、
水、あるいは酸、アルカリ、溶剤などの液剤によって溶
出されるものを用いるものである。例えば、水に溶出す
るバインダーとして、水ガラスや、あるいはポリビニル
アルコール、ポリエチレングリコール、ポリエーテル等
の水溶性高分子などを用いることができる。また酸やア
ルカリの溶液に溶出するバインダーとして、シリカ、ア
ルミナ、ジルコニアなどの金属酸化物を含むゾル溶液を
ゲル化するゾル−ゲル法によって被膜を形成する無機コ
ーティング材を用いることができる。この無機コーティ
ング材のなかでも、親水性被膜を形成するシリカゾル溶
液からなるコーティング材を用いるのが好ましい。さら
に溶剤に溶出するバインダーとしては、ポリエチレン、
エポキシ系樹脂、エーテル化合物系樹脂など、各種の有
機樹脂を用いることができる。
ては、セル材内に親水性物質を内包し、上記のバインダ
ーの被膜の表面に露出されることによって内包する親水
性物質を放出するものを用いるものである。例えば、バ
インダーが溶出する液剤に溶解して破泡する材料や、こ
の液剤に含有される成分に溶解して破泡する材料を用い
ることができるものであり、さらに溶剤に溶出したバイ
ンダーがアルカリや酸性を呈する場合にはこのアルカリ
や酸に溶解して破泡する材料などでセル材を形成するこ
とができるものである。具体的には上記のバインダーの
材料として例示したものと同様な材料でセル材を形成す
ることができるものであり、勿論、これらと異なる材料
でセル材を形成するようにしてもよい。また、セル材と
してシリカなどの無機多孔体粒子を用いることもできる
ものであり、この場合にはセル材は破泡しないが、マイ
クロカプセルがバインダーの被膜の表面に露出されるこ
とによって、セル材の多孔内に吸着されて内包されてい
る親水性物質を放出させることができるものである。
ルが球でない場合は各部の直径の平均値)が100μm
以下であることが好ましい。マイクロカプセルの直径が
100μmを超える大きさであると、マイクロカプセル
の粒子の存在が目立つおそれがあり、商品価値を損ねる
おそれがある。無色透明ガラスや鏡などに本発明を適用
する場合はこのようにマイクロカプセルの直径を100
μm以下に設定することが好ましいが、スリガラスや着
色ガラスの場合には、マイクロカプセルが少々大きくて
もその粒子の存在が目立たないので、特に直径が100
μm以下である必要はない。マイクロカプセルの直径の
下限は特に設定されないが、5μm程度が現時点での実
用上の下限である。またマイクロカプセルがより目立た
ないようにするために、マイクロカプセルのセル材はバ
インダーや親水性物質とほぼ同じ屈折率を持つ光透過性
のものであることが好ましい。
媒を含有させておくこともできる。光触媒としては、酸
化チタンの微粒子など、光触媒作用を有するものであれ
ば任意のものを用いることができる。光触媒は、セル材
中に1〜50質量%の範囲で含有させるのが好ましい。
れるものではなく、従来から知られている方法により作
製されたものでよいが、大別して化学的方法、物理化学
的方法、機械的方法などがある。これらのなかで、化学
的方法としては、界面重合法、in−situ重合法な
どを挙げることができ、物理化学的方法としては、コア
セルベーション法、液中乾燥法などを挙げることがで
き、機械的方法としては、噴霧乾燥法、乾式混合法など
を挙げることができる。
包される親水性物質としては、界面活性剤、親水性水溶
性高分子などを用いることができるものであり、無色透
明の液体であることが望ましい。界面活性剤としてはア
ニオン性界面活性剤が好ましく、アルキルジフェニルエ
ーテルジスルフォン酸塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エス
テル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナ
フタレンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、
アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(アル
キルアリル)硫酸エステル塩などを挙げることができ、
これらの少なくとも1種を含むものが好ましい。また親
水性水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリプロピレングリ
コール、ポリエチレングリコールなどを挙げることがで
きる。
性物質を内包するマイクロカプセルを混合し、このバイ
ンダーをガラス基材の表面に塗布してバインダー被膜を
形成することによって、防曇性鏡や防曇性ガラスなどの
防曇性ガラス製部材を得ることができるものである。こ
こで、バインダーに対するマイクロカプセルの配合割合
は必要に応じて任意に設定することができるが、バイン
ダー100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲で
含有されるように調整するのが好ましい。またガラス基
材の表面に形成するバインダー被膜の膜厚は任意に設定
することができるが、5〜200μm程度の範囲に設定
するのが好ましい。
布する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法
を採用することができる。例えばスプレーコーティング
法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、
ロールコーティング法、フローコーティング法、バーコ
ート法、スポンジを用いたコーティング法などがある。
防曇性ガラス部材にあって、図1に示すようにガラス基
材1の表面に形成されているバインダー被膜2には親水
性物質3を内包するマイクロカプセル4が含有されてい
る。そして水、酸、アルカリ、溶剤などバインダーを溶
解させて溶出させる液剤をガラス基材1に設けたバイン
ダー被膜2の表面に作用させると、この液剤にバインダ
ー被膜2の表面が溶出し、バインダー被膜2内に含有さ
れているマイクロカプセル4のうち一部のものがバイン
ダー被膜2の表面に露出される。このとき、マイクロカ
プセル4のセル材5がバインダーを溶出させる上記の液
剤に溶解したり、上記の液剤に含有される成分に溶解し
たり、あるいは溶剤で溶出したバインダーの作用で溶解
したりするものであれば、図1(b)に示すようにバイ
ンダー被膜2の表面に露出されたマイクロカプセル4の
セル材5がこの液剤の作用を受けて溶解し、セル材5が
破泡して内包されている親水性物質が放出される。また
マイクロカプセル4のセル材5が無機多孔体であれば、
バインダー被膜2の表面に露出されたマイクロカプセル
4のセル材5の多孔に内包されている親水性物質3が浸
出して放出される。このようにバインダー被膜2の表面
に露出するマイクロカプセル4から親水性物質3が放出
されると、親水性物質3でバインダー被膜2の表面が被
覆され、バインダー被膜2の表面、すなわち防曇性ガラ
ス製部材の表面は親水性になっている。従って防曇性ガ
ラス製部材の表面に水蒸気や結露等の細かい水滴が付着
しても、この水滴を水膜化することができ、曇りが発生
することを防ぐことができるものである。
被覆されている親水性物質が減少して表面の親水性が低
下してくると、バインダーを溶出させる液剤をバインダ
ー被膜に作用させてバインダー被膜の表面を溶出させる
ことによって、新たにマイクロカプセルから親水性物質
を放出させ、防曇性ガラス製部材の表面を常に親水性物
質で被覆させておくことができるものであり、防曇性を
常に保持させることができるものである。しかもマイク
ロカプセルはバインダー被膜の表面に露出しないと親水
性物質を放出しないので、バインダー被膜の表面が徐々
に溶出するのに従って親水性物質も徐々に放出され、長
期間に亘って親水性物質を放出させることができるもの
であり、長期に亘って防曇性ガラス製部材の表面の親水
性を維持して防曇性能を保つことができるものである。
用いるのが好ましく、既述のように界面活性剤としては
アニオン性界面活性剤を用いるのが特に好ましい。すな
わち、防曇性ガラス製部材の表面にオイル分などの撥水
性物質が付着しても、界面活性剤の分子はその親油基が
撥水性物質に吸着された状態で撥水性物質を囲み、撥水
性物質の周囲に界面活性剤の分子のミセルを形成し、ミ
セルは界面活性剤の分子の親水基が外側を向いているの
で、水と共にミセルに囲まれた撥水性物質を洗い流すこ
とができるものである。そしてここで、界面活性剤がア
ニオン性界面活性剤であると、アニオン性界面活性剤は
親水基がマイナス極になるように分極されており、ミセ
ル外周がマイナスに帯電された状態になっているが、ガ
ラス基材は通常マイナスに帯電されているので、ミセル
は電気的反発力で防曇性ガラス製部材から離れ、撥水性
物質を効果的に除去することができ、表面の親水性を長
く保つことができるのである。
うにセル材に光触媒を含有させたものを用いるようにす
れば、バインダー被膜の表面に露出するマイクロカプセ
ルの光触媒によっても、バインダー被膜の表面を親水性
にすることができ、防曇性能を一層高く得ることができ
るものである。
セルの配合量を調整して分散度を変化させることによっ
て、バインダー被膜の表面に放出される親水性物質の量
を調整することができ、防曇性ガラス製部材の表面の親
水化度を任意に設定することができるものである。また
バインダーの組成の調整などで液剤に対するバインダー
の溶出速度を調整することによって、親水性物質の放出
の速度も調整することができるものであり、防曇性ガラ
ス製部材の防曇性能の寿命を制御することができるもの
である。
する。
作製した直径10μmのシリカセル材内に親水性物質と
してアニオン性界面活性剤(花王ペレックス「SS−
H」)を内包したマイクロカプセル(和信化学社製)を
用いた。またバインダーとして3号珪酸ソーダ(水ガラ
ス)を用い、水ガラス100質量部に対して上記のマイ
クロカプセルを1質量部分散させてコーティング液を調
製し、さらに水ガラスの硬化剤としてリン酸二水素カリ
ウムを添加した。
ノーマル鏡をガラス基材として用い、ガラス表面を酸化
セリウム系研磨剤で十分に研磨した後、イオン交換水で
洗浄し、その後にエアースプレーにより水を除去した。
そしてこの酸化セリウム研磨した表面に上記のコーティ
ング液をバーコーターにより塗布して成膜し、150℃
で乾燥することによって、厚み30μmのバインダー被
膜を形成した。
の外観を評価し、また呼気を吹き付けたときの防曇性を
評価した。結果を表1の「外観評価」及び「初期防曇性
(呼気)」の欄に示す。さらにバインダー被膜を形成し
た表面の防曇性の寿命を評価した。すなわち、1質量%
に水で希釈した洗髪用リンス(日本リーバ社製「ラック
ススーパーリッチコンディショナー」)をスプレーによ
り吹き付け、その後、冷蔵庫に入れて5℃に冷却し、さ
らに室内に取り出してから5分後、水を含む濡れタオル
で表面を拭き取る操作を1サイクルとして、繰り返して
行ない、この操作を何回繰り返すと曇りが発生したかを
試験した。結果を表1の「防曇維持回数」の欄に示す。
尚、表1の「バインダー被膜寿命」は、上記の拭き取る
操作を繰り返し行なったときのバインダー被膜を目視及
びSEMで観察し、被膜が消失するまでの拭き取り回数
を表示したものである。
ム研磨した表面に対して行ない(比較例1)、さらにノ
ーマル鏡の酸化セリウム研磨した表面にマイクロカプセ
ルを含まない上記の水ガラスをコーティングし、この表
面に対しても同じ評価を行なった(比較例2)。結果を
同様に表1に示す。
した直後の表面は高い防曇性を有しているが、撥水剤で
あるリンスが付着すると、すぐに防曇性は失われるもの
であった。また比較例2のものは比較例1より防曇性は
高いが、リンスが5回付着することによって防曇性がな
くなり、防曇性の寿命は非常に短いものであった。これ
に対して、実施例1のものでは、リンスが50回付着し
ても良好な防曇性を有しており、長期に亘って防曇性を
維持できることが確認される。この実施例1のもので
は、水ガラスで形成されるバインダー被膜はリンス希釈
液の水や、濡れタオルで拭き取る際の水で表面が溶出さ
れ、またマイクロカプセルは水ガラスが溶出されたアル
カリ性水溶液によって破泡され、アニオン性界面活性剤
が放出されて表面の親水性が維持されたものと考えられ
る。
代わりに、水溶性高分子であるポリビニルアルコール
(ナカライテスク社製、重合度2000)を用いた。そ
して、このポリビニルアルコール100質量部に対して
実施例1と同様な界面活性剤を内包するマイクロカプセ
ルを1質量部分散させ、コーティング液を調製した。後
は実施例1と同様にして、ノーマル鏡の酸化セリウム研
磨した表面に実施例1と同様に塗布して成膜し、厚み3
0μmのバインダー被膜を形成した。
して評価し、結果を表1に示す。また同じ評価を、ノー
マル鏡の酸化セリウム研磨した表面にマイクロカプセル
を含まない上記のポリビニルアルコールをコーティング
し、この表面に対しても同じ評価を行なった(比較例
3)。結果を同様に表1に示す。
いるが、リンスが3回付着することによって防曇性がな
くなり、防曇性の寿命は非常に短いものであった。これ
に対して、実施例2ではバインダー被膜が水溶性高分子
で形成されているために、水ガラスよりも溶出速度が速
く、防曇維持回数は実施例1よりも短いが、30回もの
長期防曇性を有するものであった。
代わりに、無機コーティング材であるシリカゾル溶液を
用いた。このシリカゾル溶液は次のようにして調製し
た。すなわち、まずテトラエトキシシラン208質量部
にメタノール356質量部を加え、さらに水18質量部
及び0.01Nの塩酸18質量部を混合し、ディスパー
を用いてよく混合し、60℃恒温槽中で2時間加熱する
ことにより、A成分のシリコーンレジンを得た。次に、
このA成分のシリコーンレジンに、B成分としてシリカ
ゾル(日産化学工業社製「ST−0L」、粒径40〜5
0nm)を、縮合化合物換算で固形物の質量比率B/
(A+B)が0.75になるように添加し、40℃で1
時間重合反応させた後に、全固形分が5%になるように
メタノールで希釈することによって、シリカゾル溶液を
調製した。
対して実施例1と同様な界面活性剤を内包するマイクロ
カプセルを1質量部分散させ、コーティング液を調製し
た。
ス表面を酸化セリウム系研磨剤で十分に研磨した後、さ
らに純水で洗浄されたガラス表面温度が40℃になった
時点で、上記のコーティング液をスピンコーターによっ
て塗布し、250℃で15分間焼成することによって、
厚み20μmのバインダー被膜を形成した。
の外観を評価し、また呼気を吹き付けたときの防曇性を
評価した。結果を表1の「外観評価」及び「初期防曇性
(呼気)」の欄に示す。さらにバインダー被膜を形成し
た表面の防曇性の寿命を評価した。すなわち、1質量%
に水で希釈した洗髪用リンス(日本リーバ社製「ラック
ススーパーリッチコンディショナー」)をスプレーによ
り吹き付け、その後、冷蔵庫に入れて5℃に冷却し、さ
らに室内に取り出してから5分後、弱アルカリ性洗剤で
表面を拭き取る操作を1サイクルとして、繰り返して行
ない、この操作を何回繰り返すと曇りが発生したかを試
験した。結果を表1の「防曇維持回数」の欄に示す。ま
た同じ評価を、ノーマル鏡の酸化セリウム研磨した表面
にマイクロカプセルを含まない上記のシリカゾルコーテ
ィング液をコーティングし、この表面に対しても同じ評
価を行なった(比較例4)。結果を同様に表1に示す。
実施例4のものでは初期防曇性を有するのは勿論、優れ
た親水性表面を長期間保持し、長期防曇性を有するもの
であった。
リビニルアルコール(ナカライテスク社製、重合度50
0)で作製した直径15μmのセル材内に実施例1と同
じ親水性物質を内包したものを用いた。
被膜を形成し、防曇性の評価を行なったところ、表1に
みられるように実施例1と同様に優れた親水性表面を長
期間保持することができるものであった。
リ酢酸ビニル(日本合成化学工業社製「ゴーセニール)
で作製した直径15μmのセル材内に実施例1と同じ親
水性物質を内包したものを用いた。
被膜を形成し、防曇性の評価を行なったところ、表1に
みられるように実施例1と同様に優れた親水性表面を長
期間保持することができるものであった。尚、実施例1
では水を含む濡れタオルで表面を拭き取る操作をした
が、実施例5ではエタノールを含むタオルで表面を拭き
取る操作を行なうようにした。従って水ガラスで形成さ
れるバインダー被膜はリンス希釈液の水で表面が溶出さ
れ、マイクロカプセルはエタノールによって破泡され、
アニオン性界面活性剤が放出されて表面の親水性が維持
されたものと考えられる。
半導体フィラーとして酸化チタンを10質量%混入した
PMMA(ポリメチルメタクリレート)で作製した直径
15μmのセル材内に実施例1と同じ親水性物質を内包
したものを用いた。このセル材は、PMMAエマルジョ
ン中に予め酸触媒としてHClを添加したシラノール化
したテトラエトキシシラン及びチタニアゾルを加えて攪
拌することによって作製した。
被膜を形成し、防曇性の評価を行なった。尚、実施例6
では波長400nm紫外線を照射した環境下で水を含む
濡れタオルで拭き取りの操作を行なうようにした。結果
は、表1にみられるように実施例1と同様に優れた親水
性表面を長期間保持することができるものであった。
性界面活性剤の代りに、ポリビニルアルコール(日本合
成化学工業社製「ゴーセニール)を用いるようにした他
は、実施例1と同様にしてバインダー被膜を形成し、防
曇性の評価を行なった。実施例7では親水性物質が水溶
性高分子で形成されているために、表1にみられるよう
に防曇維持回数は実施例1よりも短いが、相当の長期防
曇性を有するものであった。
曇性ガラス部材は、親水性物質を内包するマイクロカプ
セルを含有するバインダーの被膜がガラス基材の表面に
形成されており、バインダー被膜の表面が液剤に溶出し
てマイクロカプセルが露出することによって、マイクロ
カプセルから放出される親水性物質でバインダー被膜の
表面が被覆されるようにしたので、バインダー被膜の表
面の溶出によって露出するマイクロカプセルから親水性
物質を放出させ、防曇性ガラス製部材の表面を常に親水
性物質で被覆させておくことができ、しかもマイクロカ
プセルはバインダー被膜の表面に露出しないと親水性物
質を放出しないものであって、バインダー被膜の表面が
徐々に溶出するのに従って親水性物質も徐々に放出さ
れ、長期間に亘って親水性物質を放出させることができ
るものであり、長期に亘って防曇性ガラス製部材の表面
の親水性を維持して優れた防曇性能を保つことができる
ものである。
て、バインダーは水ガラスからなるものであるので、水
の作用でバインダー被膜の表面を徐々に溶出させること
ができるものである。
て、バインダーは水溶性高分子からなるものであるの
で、水の作用でバインダー被膜の表面を徐々に溶出させ
ることができるものである。
て、バインダーは無機コーティング材からなるものであ
るので、酸やアルカリの作用でバインダー被膜の表面を
徐々に溶出させることができるものである。
いずれかにおいて、マイクロカプセルは液剤によって破
泡し、内包する親水性物質を放出するものであるので、
液剤の作用によってマイクロカプセルを破泡させて親水
性物質で表面を常に被覆させることができるものであ
る。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材は水溶性
高分子からなるものであるので、水の作用によってマイ
クロカプセルを破泡させて親水性物質で表面を常に被覆
させることができるものである。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材は非水溶
性高分子からなるものであるので、酸やアルカリや溶剤
の作用によってマイクロカプセルを破泡させて親水性物
質で表面を常に被覆させることができるものである。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材は無機質
多孔体からなるものであるので、バインダー被膜の表面
が溶出してマイクロカプセルが露出することによって、
無機質多孔体の多孔に内包される親水性物質を放出させ
ることができるものである。
いずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材中に光触
媒を含有するので、バインダー被膜の表面に露出するマ
イクロカプセルの光触媒によっても、バインダー被膜の
表面を親水性にすることができ、防曇性能を一層高く得
ることができるものである。
のいずれかにおいて、マイクロカプセルは直径が100
μm以下であるので、マイクロカプセルの粒子の存在が
目立たないようにすることができるものである。
0のいずれかにおいて、マイクロカプセルのセル材はバ
インダーと親水性物質の少なくとも一方とほぼ同等の屈
折率を持つ光透過性のものであるので、マイクロカプセ
ルの粒子の存在が目立たないようにすることができるも
のである。
1のいずれかにおいて、親水性物質は界面活性剤からな
るものであるので、界面活性剤によって防曇性ガラス製
部材の表面を親水性にすることができるものである。
いて、界面活性剤はアニオン性界面活性剤であるので、
防曇性ガラス製部材の表面に付着した撥水性物質を効果
的に除去することができるのである。
3のいずれかにおいて、親水性物質は水溶性高分子から
なるものであるので、水溶性高分子によって防曇性ガラ
ス製部材の表面を親水性にすることができるものであ
る。
(a),(b)はそれぞれ一部を拡大してイメージ的に
示した図である。
Claims (14)
- 【請求項1】 親水性物質を内包するマイクロカプセル
を含有するバインダーの被膜がガラス基材の表面に形成
されており、バインダー被膜の表面が液剤に溶出してマ
イクロカプセルが露出することによって、マイクロカプ
セルから放出される親水性物質でバインダー被膜の表面
が被覆されることを特徴とする防曇性ガラス製部材。 - 【請求項2】 バインダーは水ガラスからなるものであ
ることを特徴とする請求項1に記載の防曇性ガラス製部
材。 - 【請求項3】 バインダーは水溶性高分子からなるもの
であることを特徴とする請求項1に記載の防曇性ガラス
製部材。 - 【請求項4】 バインダーは無機コーティング材からな
るものであることを特徴とする請求項1に記載の防曇性
ガラス製部材。 - 【請求項5】 マイクロカプセルは溶出する液剤によっ
て破泡し、内包する親水性物質を放出するものであるこ
とを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の防曇
性ガラス製部材。 - 【請求項6】 マイクロカプセルのセル材は水溶性高分
子からなるものであることを特徴とする請求項1乃至5
のいずれかに記載の防曇性ガラス製部材。 - 【請求項7】 マイクロカプセルのセル材は非水溶性高
分子からなるものであることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれかに記載の防曇性ガラス製部材。 - 【請求項8】 マイクロカプセルのセル材は無機質多孔
体からなるものであることを特徴とする請求項1乃至5
のいずれかに記載の防曇性ガラス製部材。 - 【請求項9】 マイクロカプセルのセル材中に光触媒を
含有するものであることを特徴とする請求項1乃至8の
いずれかに記載の防曇性ガラス製部材。 - 【請求項10】 マイクロカプセルは直径が100μm
以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか
に記載の防曇性ガラス製部材。 - 【請求項11】 マイクロカプセルのセル材はバインダ
ーと親水性物質の少なくとも一方とほぼ同等の屈折率を
持つ光透過性のものであることを特徴とする請求項1乃
至10のいずれかに記載の防曇性ガラス製部材。 - 【請求項12】 親水性物質は界面活性剤からなるもの
であることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに
記載の防曇性ガラス製部材。 - 【請求項13】 界面活性剤はアニオン性界面活性剤で
あることを特徴とする請求項12に記載の防曇性ガラス
製部材。 - 【請求項14】 親水性物質は水溶性高分子からなるも
のであることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか
に記載の防曇性ガラス製部材。
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---|---|---|---|
JP2001392192A JP3912105B2 (ja) | 2001-12-25 | 2001-12-25 | 防曇性ガラス製部材 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2003192392A true JP2003192392A (ja) | 2003-07-09 |
JP3912105B2 JP3912105B2 (ja) | 2007-05-09 |
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JP (1) | JP3912105B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007246818A (ja) * | 2006-03-17 | 2007-09-27 | Inax Corp | コーティング剤及びタイル |
CN113774671A (zh) * | 2021-09-23 | 2021-12-10 | 无锡市欧亿特包装制品有限公司 | 防雾处理剂、一种防雾眼镜布及其制备方法 |
WO2023135924A1 (ja) * | 2022-01-13 | 2023-07-20 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 熱交換システム及びこれを備える応用機器 |
-
2001
- 2001-12-25 JP JP2001392192A patent/JP3912105B2/ja not_active Expired - Fee Related
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